JP2008221609A - スクリーン版およびその製造方法とそれの管理方法とそれを用いたプリント配線板の製造方法 - Google Patents

スクリーン版およびその製造方法とそれの管理方法とそれを用いたプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便にスクリーン版の版寿命を管理し、個々に設定できることで、製造工程での品質を著しく向上させ、電子機器の信頼性をも向上させるスクリーン版およびその製造方法とそれを用いたプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スキージ印刷に使用されるスクリーン版において、紗に含浸された第1の乳剤層と、第1の乳剤層の少なくとも片面に形成された第2の乳剤層によって構成することにより、磨耗や損傷があれば色が異なる乳剤層が露出するので容易に発見することができる。
【選択図】図1

Description

本発明はパソコン、移動体通信用電話機、ビデオカメラ等の各種電子機器に用いられるプリント配線板の製造に利用するスクリーン版およびその製造方法とそれの管理方法とそれを用いたプリント配線板に関するものである。
近年、各種電子機器等に数多く使用されているプリント配線板は電子機器の小型化や多機能化に伴い、配線の高密度化や電子機器の表面実装化が著しく、絶縁基板上に形成される導体パターンや電子部品が実装されるランドはますます狭ピッチ、細線化や小形状化し、それに伴いソルダレジスト形成、部品図形成も高密度化し、ソルダレジスト形成時におけるスクリーン版の劣化が製品の品質状態を左右するようになり、スクリーン版の状態を常に維持・管理することはますます困難になってきている。
図4は従来のスクリーン版を示す断面図であり、図4(a)は全体像、図4(b)は中央部の拡大を示すものである。図4において従来のスクリーン版は、ステンレス材の版枠1と、この版枠1に固定された網状の紗3と、この紗3に一体化された乳剤2によって構成され、乳剤2には所定形状の開口部4が形成されている。この開口部4は印刷する際にインキがここを通過するようにするために設けられたものである。
紗3は図5に示すように、複数の繊維が縦横に配置され織り合わさる所謂平織り形成されたものであり、繊維の間に印刷の際にインキを通過させるための間隙を有する。織り方は平織りに限るものではなく、綾織り等の一般に知られる他の織り方でもよく、また特殊なものとしては縦横に等間隔に配置した繊維を織らずに接合するというものも知られている。繊維はポリエステル、ナイロンの合成樹脂やステンレス、タングステン等から選択されたものであり、表面がめっきや樹脂でコーティングされることもある。標準的には繊維径は5〜50μm、繊維間隔は50〜200μmで配列されている。乳剤2の厚みは、紗の厚みと同等かそれよりも50μmの範囲で厚めに形成されている。
次にスクリーン版の製造方法について、以下に説明する。図6は従来のスクリーン版の製造方法を示す断面図である。図6(a)に示す線状の合成樹脂を網状に織った紗3上に乳剤2を塗布・乾燥し図6(b)の状態を得る。次に乾燥した乳剤2の表面に露光用マスクフィルムを密着させ、300〜400mJ/cm2の光量の紫外線を照射することにより露光を行う。次に、現像液で未露光部を現像・除去し、20〜40℃の温風で乾燥し、検査後、スキージ面から300〜400mJ/cm2の光量の紫外線で照射を行い、さらに乳剤2の後露光を行って、図6(c)に示すようにスクリーン版が完成される。開口部4は露光時に露光フィルムによって紫外線が遮光された部分が現像で除去されて形成される。
次に図7を用いてプリント配線板の製造工程の一工程であるソルダレジスト形成工程について説明する。図7に示すように所定の導体パターン9が形成された銅張り積層板8上にスクリーン版5を配置し、そのスクリーン版5上にソルダレジストインキ7を施し、スキージ6をスクリーン版5上に摺動させることにより、導体パターン9が形成された銅張り積層板8の導体パターン9上にソルダレジストインキ7を印刷転写する。その後80〜90℃の温度で印刷転写したソルダレジストインキ7を仮硬化する。次に、絶縁被膜形成用マスクフィルムを介して400〜500mJ/cm2の光量の紫外線を照射させたのち、1.0〜1.5%の炭酸ナトリウム溶液により現像することで未露光部のソルダレジストインキ7を除去する。最後に150〜160℃で本硬化することで、所望する絶縁被膜を得る。
上記の説明に用いたスクリーン版以外にも近年の高密度印刷に対応するために、乳剤を感度が異なる2層構造とするものや、紗の両面に開口部の大きさが異なる乳剤層を各々形成するものも提唱されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1および2が知られている。
特開平9−142052号公報 特開平4−255395号公報
プリント配線板の高密度化が進展化するに従って、回路形成はドライフィルムや液状レジスト等の写真現像法によるエッチングレジストの形成で対応している。ソルダレジスト被膜形成において静電スプレー方式やカーテンコート方式やロールコート方式やドライフィルム方式などの工法があるが、生産性や生産コスト等の面からスクリーン印刷法が一般的に用いられている。
しかしながら、従来のスクリーン版を用いた場合、印刷時におけるスクリーン版の磨耗の程度や、印刷終了後、スクリーン版洗浄溶液にて洗浄を行った際のスクリーン版の損傷を、印刷前のスクリーン版検査で見逃すことがあり、その状態でソルダレジスト被膜を形成した場合、プリント配線板上の絶縁被膜形成部以外にソルダレジストインキの付着が生じ、著しい場合には、絶縁劣化など信頼性に大きく影響する品質課題が生じる等の問題があった。
その課題を解決するために、従来ではスクリーン版の損傷の程度の検査を、熟練した検査員が拡大鏡などを用いて検査していたが、明確な判定基準がないため、印刷枚数や版洗浄回数などを規制することでスクリーン版使用寿命を設定するなどの、一律管理しかできず、個々のスクリーン版の寿命を確認できないなどの問題点を有していた。
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、簡便にスクリーン版の版寿命を管理し、個々に設定できることで、製造工程での品質を著しく向上させ、電子機器の信頼性をも向上させるスクリーン版およびその製造方法とそれの管理方法とそれを用いたプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明は、網状の紗を版枠に固定し、前記紗に少なくとも2層の色の異なる感光乳剤を塗布し、印刷パターンを形成した構成である。このスクリーン版は印刷開始前の検査の際に、感光性乳剤が基板表面に接触することや版洗浄溶剤で磨耗、劣化した場合に、劣化した部分と正常部分の感光性乳剤の色が異なるためスクリーン版検査が簡便になり、個々の版寿命を管理することが容易になる。そのスクリーン版を用いて回路形成した基板にソルダレジスト被膜を印刷形成することで、欠点のない所望する絶縁被膜を形成することが容易になる。
本発明は色の異なる2層以上の乳剤で構成されるスクリーン版を用いることにより、スクリーン版の基板接触面の感光性乳剤が磨耗した場合、色の異なる内層の感光性乳剤が見えることより、版検査が簡便になるだけでなく、個々のスクリーン版の状況や版寿命を管理でき、そのスクリーン版を用いてプリント配線板を製造することにより欠点のない所望する絶縁被膜を得ることができるため、安定した品質のプリント配線板の製造を実現することができる。
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態におけるスクリーン版を示す断面図であり、図1(a)は全体像、図1(b)、(c)、(d)は中央部の拡大を示すものである。図1において本発明のスクリーン版は、ステンレス材の版枠11と、この版枠11に固定された網状の紗14と、この紗14に一体化された第1の乳剤12及び第2の乳剤13によって構成され、第1の乳剤12及び第2の乳剤13には所定形状の開口部15が形成されている。この開口部15は印刷する際にインキがここを通過するようにするために設けられたものである。紗14は従来のスクリーン版で説明したものと同じものを用いたのでここでの説明は省略する。
本発明のスクリーン版は従来のスクリーン版と異なり、紗14に含浸した第1の乳剤12とその表面に形成された第2の乳剤13を備え、さらに第1の乳剤12と第2の乳剤13とは色が異なるという特徴的な構成を有する。第2の乳剤13は、目的に応じて第1の乳剤12の上側、下側、両側に形成する場合があり、それぞれ図1(b)、(c)、(d)として示した。スクリーン版の上側とは従来のプリント配線板の製造方法で説明したとおりスキージが接する側であり、下側とはプリント配線板に接する側を表す。
この構成により、乳剤の磨耗がある一定量を超えた場合や、ある深さ以上の損傷を受けた場合には、第2の乳剤13の下に本来隠れているはずの第1の乳剤12が露出することになる。その結果、スクリーン版の検査において2つの乳剤の色の差によってこれらの不具合箇所を確実に発見することができ、印刷時に所定の印刷部以外の箇所へのインキ付着を防止することができる。2つの乳剤の色は人が視覚で感知したときに異なったものであると判別できる必要があるが、その程度が大きい程好ましい。また第1の乳剤12の色のほうが第2の乳剤13の色よりも濃い色であるのが好ましい。ここでの濃い色というのは薄緑色よりも緑色、緑色よりも深緑色というように一般に濃い薄いで区別されて用いられる場合の濃い色でもよく、また色差計や分光光度計で濃淡として計測した場合における濃い色でもよい。
第2の乳剤13を第1の乳剤12のどちらの面に形成するかは目的に応じて選択することができる。例えば印刷時に硬いスキージを使用する場合は、スキージの摺動によるスクリーン版の磨耗度合いを管理する必要があるので第2の乳剤13を上面に形成すればよい。また例えば導体厚が厚いなどの理由によって凹凸が大きいプリント配線板に印刷する場合は、スクリーン版表面がプリント配線板から損傷を受ける恐れがあるので第2の乳剤13を下面に形成すればよい。もちろん第2の乳剤13を上下両面に形成して両面を管理するのも可能であるということは言うまでもない。
次に図2を用い本発明のスクリーン版の製造方法について説明する。図2は本発明の実施の形態におけるスクリーン版の製造方法を示す断面図である。図2(a)に示す線状の合成樹脂を網状に織った紗14上に液状の第1の乳剤12を紗14の厚み分だけ刷毛で塗り込むなどの周知の方法により塗布・乾燥し図2(b)の状態を得る。次に図2(c)に示すように乾燥した第1の乳剤12の表面に液状の第2の乳剤13を30μmの厚みで塗布し乾燥する。乾燥した第2の乳剤13の表面に露光用マスクフィルムを密着させ、400mJ/cm2の光量の紫外線を照射することにより露光を行う。次に、現像液で未露光部を現像・除去し、40℃の温風で乾燥し、検査後、スキージ面から400mJ/cm2の光量の紫外線で照射を行い、さらに乳剤2の後露光を行って、図2(d)に示すようにスクリーン版を完成させる。開口部15は露光時に露光フィルムによって紫外線が遮光された部分が現像で除去されて形成されるものである。紫外線は第1の乳剤12および第2の乳剤13を透過するので一度の露光によってパターンの図柄に応じた所定形状の開口部15を形成することができる。
こうして完成した本発明のスクリーン版をソルダレジスト形成や部品図印刷といったプリント配線板の製造工程において所定インキの印刷用に用いることができる。通常、印刷前のスクリーン版の管理検査として磨耗や傷の検査を行う。本発明のスクリーン版においては、所定深さ以上の深さの磨耗や傷があれば第2の乳剤13の下に隠れている第1の乳剤12が露出し、その色の違いにより容易に発見することができる。高い検出力で管理されているスクリーン版によって作製することにより、インキ付着不良の無い高い品質のプリント配線板を提供することができる。
(実施の形態2)
次に図3を用いて本発明のスクリーン版の別なる製造方法を説明する。本実施の形態2では乳剤として液状のものに代えフィルム状のものを用いる。本発明では色が異なる2層の乳剤層を形成するので、ここでも2層の乳剤層からなるフィルムを予め準備する。図3(b)に示すように線状の合成樹脂を網状に織った紗14の下側に2層の乳剤層からなるフィルムを配置する。フィルムは厚み50μmの色が濃い第1の乳剤12層と、厚み30μmの色が薄い第2の乳剤13層によって構成され、紗14に接する側を第1の乳剤12になるように配置する。この状態でフィルムを紗14にラミネートすることで図3(c)のように紗14に第1の乳剤12が含浸した状態を得る。以下実施の形態1でのスクリーン版の製造方法と同様の方法により、乳剤を乾燥し、乾燥した第2の乳剤13の表面に露光用マスクフィルムを介して紫外線により露光した後、現像、温風乾燥、後露光を行って、図3(d)に示すように下側に第2の乳剤13層を有するスクリーン版を完成することができる。
上側に第2の乳剤13層を有するスクリーン版を形成する場合は上記の説明とは逆の配置にすればよい。すなわち紗14の上にフィルム状の乳剤を第1の乳剤12層が下側になるように配置すればよい。
なお本実施の形態2のフィルムを用いた乳剤層の形成方法と、実施の形態1の液状の乳剤を用いた乳剤層の形成方法を併用することも可能である。すなわちフィルム状の第1の乳剤を紗にラミネート、乾燥し、その後、液状の第2の乳剤を塗布、乾燥することで2層構造の乳剤層を形成することも可能である。
以上のように本発明のスクリーン版は、磨耗や損傷を容易に発見することができるので、パソコン、移動体通信用電話機、ビデオカメラ等の各種電子機器に用いられるプリント配線板の製造用として有用である。
本発明の実施の形態におけるスクリーン版を示す断面図 本発明の実施の形態におけるスクリーン版の製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態におけるスクリーン版の製造方法を示す断面図 従来のスクリーン版を示す断面図 従来の紗を示す平面図 従来のスクリーン版の製造方法を示す断面図 従来のプリント配線板の製造方法を示す断面図
符号の説明
11 版枠
12 第1の乳剤
13 第2の乳剤
14 紗
15 開口部

Claims (10)

  1. スキージ印刷に使用されるスクリーン版であって、
    版枠と、
    前記版枠に固定された網状の紗と、
    前記紗に含浸された第1の乳剤層と、
    前記第1の乳剤層の少なくとも片面に形成された第2の乳剤層によって構成され、
    前記第1の乳剤層および第2の乳剤層は印刷パターンを形成した開口部を有し、
    前記第1の乳剤層および第2の乳剤層は色が異なることを特徴とするスクリーン版。
  2. 第1の乳剤層の両面に第2の乳剤層を有することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン版。
  3. 第1の乳剤層の色は第2の乳剤層の色よりも濃い色であることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン版。
  4. スキージ印刷に使用されるスクリーン版の製造方法であって、
    網状の紗を版枠に固定する工程と、
    液状の第1の感光性乳剤を前記紗に含浸し乾燥する工程と、
    前記第1の感光性乳剤の少なくとも片面に、前記第1の感光性乳剤と色が異なる液状の第2の感光性乳剤を塗布し乾燥する工程と、
    所望のパターンを描画した露光用マスクフィルムを介して露光することによって前記感光性乳剤を感光させる工程と、
    前記感光性乳剤の未露光部分を現像液で現像し除去する工程からなるスクリーン版の製造方法。
  5. スキージ印刷に使用されるスクリーン版の製造方法であって、
    色が異なる2層の感光性乳剤からなる感光性乳剤フィルムを準備する工程と、
    網状の紗を版枠に固定する工程と、
    前記感光性乳剤フィルムを前記紗にラミネートし乾燥する工程と、
    所望のパターンを描画した露光用マスクフィルムを介して露光することによって前記感光性乳剤を感光させる工程と、
    前記感光性乳剤の未露光部分を現像液で現像し除去する工程からなるスクリーン版の製造方法。
  6. 色が異なる2層の感光性乳剤からなる感光性乳剤フィルムを、色の濃い感光性乳剤の層の側を紗に接触させた状態でラミネートすることを特徴とする請求項5に記載のスクリーン版の製造方法。
  7. スキージ印刷に使用されるスクリーン版の製造方法であって、
    色が単一の感光性乳剤からなる感光性乳剤フィルムを準備する工程と、
    網状の紗を版枠に固定する工程と、
    前記感光性乳剤フィルムを前記紗にラミネートし乾燥する工程と、
    前記感光性乳剤フィルムの少なくとも片面に、前記感光性乳剤フィルムと色が異なる液状の感光性乳剤を塗布し乾燥する工程と、
    所望のパターンを描画した露光用マスクフィルムを介して露光することによって前記感光性乳剤を感光させる工程と、
    前記感光性乳剤の未露光部分を現像液で現像し除去する工程からなるスクリーン版の製造方法。
  8. 請求項1記載のスクリーン版を用いて行うスクリーン版の管理方法であって、
    第2の乳剤層が形成された側における第1の乳剤層の露出の有無により良否を判定するスクリーン版の管理方法。
  9. 請求項1記載のスクリーン版を用いて回路形成後の基板上に感光性ソルダレジストインキを印刷する工程と、
    前記ソルダレジストインキを仮硬化する工程と、
    前記仮硬化後のソルダレジストに所望のパターンを描画した露光用マスクフィルムを介して露光する工程と、
    前記露光後のソルダレジストの未露光部を現像液で現像し除去する工程と、
    前記ソルダレジストを本硬化する工程からなるプリント配線板の製造方法。
  10. 請求項1記載のスクリーン版を用いて、ソルダレジスト形成後の基板上に部品図インキを印刷する工程と、
    前記印刷後の部品図インキを硬化する工程からなるプリント配線板の製造方法。
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