JP2008218217A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2008218217A
JP2008218217A JP2007054380A JP2007054380A JP2008218217A JP 2008218217 A JP2008218217 A JP 2008218217A JP 2007054380 A JP2007054380 A JP 2007054380A JP 2007054380 A JP2007054380 A JP 2007054380A JP 2008218217 A JP2008218217 A JP 2008218217A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
fuel
lid
cell system
anode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007054380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5245262B2 (ja
Inventor
Shoji Sekino
省治 関野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2007054380A priority Critical patent/JP5245262B2/ja
Publication of JP2008218217A publication Critical patent/JP2008218217A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5245262B2 publication Critical patent/JP5245262B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】燃料電池セルにおける電解質膜−電極接合体の劣化をなくすか、又は最小限に抑えて、安全に保管することができる燃料電池システム等を提供する。
【解決手段】アノード又はアノード集電体に接して配された燃料容器とを少なくとも備える燃料電池セル11を一又は複数備え、更に開閉自在な蓋80と、前記蓋に設けられた短絡部材72と、前記燃料電池セルを収容・固定する筐体10とを備える。この燃料電池システム1では、前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめる。また、前記燃料電池システムを使用して、電解質膜−電極接合体の劣化がないか又は最小限に抑えられ、安全に保管することができる携帯型電子機器及び携帯型電子機器用の補助電源装置も提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム、好ましくは液体燃料供給型燃料電池システム、特に燃料供給のためのポンプ等の補機等を用いる必要のない、パッシブ型燃料電池システムに関し、より詳しくは、燃料電池セルにおける電解質膜−電極接合体(以下、MEA(Membrane and Electrode Assembly)とも称する。)の劣化をなくすか、又は最小限に抑えて、安全に保管することができる燃料電池システム等に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで挟持した構造の電解質膜−電極接合体(MEA)を備えている。このような燃料電池のうち液体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池は、直接型燃料電池と呼ばれている。その発電メカニズムは、供給された燃料、例えば、液体燃料がアノードに担持された触媒上で分解してプロトン、電子及び反応生成物を生成し、生成した水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、生成した電子が外部負荷を経てカソード側に移動し、そしてプロトンと電子がカソードで空気中の酸素と反応して反応生成物を生じることによって発電するというものである。例えば、液体燃料としてメタノール又はメタノール水溶液をそのまま使用するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)とも称する。)では、下式1で表される反応がアノードで起こり、下式2で表される反応がカソードで起こる。
[化1]
CHOH + HO →CO + 6H + 6e ・・・1
[化2]
6H + 6e + 3/2O → 3HO ・・・2
なお、燃料として気体燃料である水素が使用される場合には、上式1で表される反応に代えて下式1Aで表される反応がアノードで起こる。
[化3]
→2H + 2e ・・・1A
固体高分子型燃料電池のうち燃料として液体燃料を使用した固体高分子型燃料電池は、小型、軽量化が容易であるために、今日では携帯型電子機器をはじめとした種々の電子機器用電源としての開発が活発に進められている。固体高分子型燃料電池の発電部分は、MEAと呼ばれる発電最小ユニットを基本構成としてもち、更に、燃料供給や電力の取り出しを行うための構造をもつ燃料電池セルにMEAを搭載することによって、初めて電源としての利用が可能となる。例えば、携帯電話等の電子機器用電源として用いる場合には、単一の燃料電池セルでは電圧が低いため、複数のMEAを連結したスタックにして、必要とする電圧を得ることができる。
また、電子機器のうち、特に携帯電話や、ノートPC等の携帯型の電子機器は、持ち運ばれることが一般的であり、このような携帯型の電子機器に燃料電池を適用する場合には、より小型軽量であり、かつ余計な補機類が搭載されていない燃料電池システムを使用することが望ましい。そのため、携帯型電子機器に用いられる燃料電池としては、燃料を燃料電池セルに送るための機構(補機等)が必要とされないパッシブ型燃料電池が用いられてきている。
一方、燃料電池には、アノードに水素ガス、カソードに酸素若しくは空気を供給して発電させるような、ガス燃料供給システムを備えるPEFC(Polymer Electlyte Fuel Cell)型の燃料電池もある。この燃料電池の場合では、保管時等の無通電時において、カソードとアノードの電位差を最小化することによって、燃料電池システムの性能低下を抑制する等、いくつかのアイデアが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
例えば、アノードに水素ガスを供給するガス供給システムを備える燃料電池の場合では、両面の電極があるセルの空間を不活性ガスで置換することによって、カソードとアノードの電位差を最小化してから保管するシステムが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、カソードへの酸素供給を停止後に、アノードとカソードを、抵抗を介して短絡させることで燃料を使い切り、水素発生電圧以下になってから、アノードへの燃料供給を停止させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−71778号公報 特開2006−147550号公報 特開2006−24546号公報
しかしながら、前記固体高分子型燃料電池を静置状態で保管する場合には、通常、燃料成分中のメタノール等の揮発や水素等の残存が何らかの形で起こる。その結果、燃料容器内部に空隙が生じることにより、アノード面内において、燃料と触れた部分と、触れていない部分が発生し、それらの部位に局所電池が形成された状況となるため、アノードの触媒層中のカーボンや触媒金属の酸化・脱離、それに付随する電極自体の腐食が起こること等が原因となり、MEAの破損が起こる可能性がある。また、一部のMEAが破損すると燃料電池システム全体に影響が及ぶことになるため、燃料電池システムを安全に保管するためには、何らかの工夫が必要となっていた。
また、パッシブ型燃料電池においては、アノードへの燃料供給をウィッキング材等を用いて自発的な駆動力によって行うことが多いが、前記同様、常に燃料容器が燃料で満たされ、かつアノードに燃料が触れているような状況に保ち続けられることが望ましい。しかしながら、実際には、このようなことは難しく、保管時若しくは発電時において、アノードが十分に燃料と触れていない部位が生じる可能性が高い。そのような状態で保管する場合には、MEAが破損する可能性がある。
一方、特許文献1及び2において提案されている方法は、アクティブにガスを供給するタイプの燃料電池には適用可能であるが、燃料を自発的に供給する燃料電池、特にパッシブ型燃料電池には適用することができない。
また、特許文献3において提案されている方法では、アノードへの燃料供給を完全に止める必要があるため、ダイレクトメタノール型燃料電池等の液体燃料をアノードに供給するタイプの燃料電池には適用することができない。
更に、これらの提案された方法に類似した方法を取りいれようとする場合であっても、その機構自体にある程度の大きさが必要となるため、特に携帯型燃料電池システムにおいて、そのまま取りいれることは困難である。
このような背景から、特にダイレクトメタノール型燃料電池等の液体燃料を用いる場合において、上述の方法のようにして、MEAに供給される燃料を完全に絶つということはできない。そのため、残存する燃料による局所電池の発生によって、触媒層を構成するカーボンの劣化や触媒金属の脱離等の性能低下が起こることが多い。また、携帯型電子機器に適しているパッシブ型燃料電池においては、燃料を使い切らない状況で保管することが多くなると考えられるため、アノード側に設けられる燃料容器に燃料、特に液体燃料を常に最大限満たしたまま保管することは困難である。更に、保管特性を向上させることを目的とした補機等を導入することは、燃料電池システムの大型化につながってしまうため、携帯型電子機器に用いる燃料電池には不向きである。一方、特に保管時においては、カソードへの酸素の侵入もMEAの劣化要因であり、これを防止又は抑制する必要がある。したがって、燃料を除去しきらずに発電システムを安全に停止させ、かつそのまま保管できる方法が求められている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、携帯型小型機器用の電源として用いる場合等であっても、従来技術に比較して、保管時、特に、ある程度の時間発電をさせてから、燃料を満たさないままで保管した場合におけるMEAの劣化がないか、又は最小限に抑えられ、燃料容器に燃料が満たされていない状態が生じることによるMEA面内での局所電池(部分電池)の発生、及びこれによって生ずる、触媒層を構成するカーボンの酸化、触媒金属の脱離、更には電極自体の酸化等がないか、又は最小限に抑えられた燃料電池システム、特に液体燃料供給型燃料電池システム、より具体的には、ダイレクトメタノール方式の燃料電池システム等を提供することにある。
本発明においては、特定の燃料電池システムを用いる。この特定の燃料電池システムは、燃料電池セルを備え、更に開閉自在な蓋と、当該燃料電池セルを収容・固定する筐体とを備える。この特定の燃料電池システムでは、前記蓋が完全閉合位置になった際に、前記燃料電池セルは密閉状態下におかれるので、特に保管時におけるカソードへの酸素侵入を防止又は抑制することができる。また、前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が、前記燃料電池セルが有するカソード集電体に配される端子(カソード端子)及びアノード集電体に配される端子(アノード端子)に、前記カソード端子及びアノード端子との接触部(短絡接触部)を形成するように当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめるので、MEAでの局所電池の発生等がないか又は抑制される。
即ち、本発明の第一の視点において、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面に接して配されたカソードと、他方の面に接して配されたアノードと、前記カソード及び前記アノードにそれぞれ接して配されたカソード集電体及びアノード集電体と、前記アノード又はアノード集電体に接して配された燃料容器とを少なくとも備える燃料電池セルを一又は複数備え、
更に開閉自在な蓋と、
前記蓋に設けられた短絡部材と、
前記燃料電池セルを収容・固定する筐体とを備え、
前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめることに特徴を有する燃料電池システム、好ましくは液体燃料供給型燃料電池システム(以下、「本発明の燃料電池システム」とも称する。)を提供することができる。
本発明の燃料電池システムでは、前記燃料電池セルは、直列若しくは並列に複数接続されて形成された燃料電池スタックの構成をとることができる。また、このとき、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子を、各燃料電池セルに対して配し、前記短絡部材を、各燃料電池セルに応じて所定数前記蓋に設け、前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セル単位で、短絡を生じせしめるようにしてもよい。
また、本発明の燃料電池システムでは、前記短絡部材を、抵抗体としての機能を有するもの又は抵抗体、好ましくは大きくとも100mA/cmの電流密度を示すものにすることができる。これにより、その抵抗を介して、緩やかに電圧が下がるため、短絡による、瞬時の大電流印加によるMEA破壊を抑えることができる。
本発明の燃料電池システムでは、更に、電子制御系による電圧制御手段(例えば、電子制御によって、燃料電池システム全体、又は各MEAの電圧を制御する回路)を備えさせることができ、電圧値をモニターすることができる手段(例えば、燃料電池システム全体、又は各MEAの電圧値をモニターする電子機器)を備えさせることができる。また、本発明の燃料電池システムでは、燃料電池セルにおける電圧を、モニターした電圧値に応じて、所定の電圧値となるよう制御する手段を更に備えさせることができ、例えば、0±0.1Vの範囲で制御することができる。
本発明の燃料電池システムでは、前記蓋を、その下端で前記筐体と継手を介して連結させ、前記継手が前記蓋の回動方向に摺動することによって回動自在とすることより開閉自在とし、前記短絡部材を、前記蓋の内面に設け、これが前記蓋を閉めるに際して、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめるようにすることができる。或いは、前記蓋を、前記筐体の外側面に配設され、摺動可能な前記蓋の摺動方向に沿った溝と、前記蓋の側面であって筐体側(内側面)において、前記溝と当接する位置に摺動を案内するガイドと、からなるスライド機構によって、摺動により開閉自在とし、前記短絡部材を、前記蓋の内面に設け、これが前記蓋を閉めるに際して、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめるようすることができる。
本発明の第二の視点において、前記燃料電池システム、即ち本発明の燃料電池システムを備えることに特徴を有する携帯型電子機器(以下、「本発明の携帯型電子機器」とも称する。)を提供することができる。
本発明の第三の視点において、前記燃料電池システム、即ち本発明の燃料電池システムを備えることに特徴を有する携帯型電子機器用の補助電源装置(以下、「本発明の補助電源装置」とも称する。)を提供することができる。
本発明の燃料電池システムは、固体高分子型燃料電池、好ましくは液体供給型燃料電池、より好ましくはアノードに供給される燃料としてメタノール水溶液を用いるダイレクトメタノール型燃料電池、特に、液体燃料を供給するための送液ポンプ等の補機等を用いないパッシブ型燃料電池に採用できる。本発明の燃料電池システムによれば、保管時、特に、ある程度の時間発電をさせてから、燃料を満たさないまま(燃料が残存したまま)で保管した場合における燃料電池の劣化がないか、又は最小限に抑えられた燃料電池システムを提供することができる。
また、本発明の燃料電池システムによれば、燃料容器に燃料が満たされていない場合にMEA内に発生する触媒層を構成するカーボンの酸化や、触媒金属の脱離、電極自体の酸化等がないか、又は最小限に抑えられる。更に、本発明の燃料電池システムでは、発電によって、燃料容器内部の燃料が少なくなった場合であっても、燃料を補充せずに保管することが可能となるため、ユーザビリティが向上し、燃料容器内部の燃料が少なくなり燃料容器に燃料が満たされずに残存したままで保管した場合であっても、燃料電池の劣化がないか、又は最小限に抑えられる。そのため、燃料が充填された交換用カートリッジを取り付ける必要がないか、又は交換用カートリッジの交換頻度を減らすことができ、より携帯型電子機器への搭載が容易にもなる。
更に、前記燃料電池システムを使用して、上記効果に優れた携帯型電子機器、及び携帯型電子機器用の補助電源装置を、容易かつ簡便に製造することができる。したがって、本発明は、工業的に極めて有用である。
以下、本発明の燃料電池システムについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の燃料電池システム、特に燃料として液体燃料を使用した燃料電池システムを中心に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、また以下で説明する実施形態及び図面に限定されるものではない。
(従来の燃料電池システム)
本発明の燃料電池システムを説明する前に、先ず、従来の燃料電池システムについて図面を参照しつつ説明する。図4は、従来の燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。なお、図4(a)は、蓋が閉じた状態を図示し、図4(b)は、蓋が開いた状態を図示したものである。また、図5は、従来の燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面透視図又は上面図であるが、図5(a)は、蓋80が閉じた状態を図示した上面透視図であり、図5(b)は、蓋80の内面を図示した上面図である。図6は、図5(a)のB−B’断面図であるが、図6(a)は、蓋が閉じた状態を図示し、図6(b)は、蓋が開いた状態を図示したものである。
図4〜6を参照すると、当該燃料電池システム2は、燃料電池セルを備え、当該燃料電池セル11は、直列、即ち平面上かつ一軸方向に三つ接続されて形成された燃料電池スタック15の構成をとっている。更に図4及び6を参照すると、当該燃料電池システム2は、更に開閉自在な蓋80と、筐体10とを備え、当該筐体10には前記燃料電池スタック15が収容・固定されている。なお、この燃料電池システム2は、いわゆる折りたたみ機構を有する。即ち、この燃料電池システム2では、前記蓋80は、その下端で前記筐体10と継手81を介して連結され、当該継手81が前記蓋80の回動方向に摺動することによって回動自在であることにより開閉自在なものとなっている。具体的には、前記継手81は、その側面に前記蓋80の回動方向に対し所定の範囲で摺動可能とする溝を有し、筐体10は、その端部であって前記溝と当接する位置に前記継手81の摺動を案内するガイドを有し、前記溝と前記ガイドとが係合し、前記ガイドが前記溝を滑ることにより前記蓋80は回動自在となっている。
(本発明の燃料電池システム)
次に、本発明の燃料電池システムについて図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。なお、図1(a)は、蓋が閉じた状態を図示し、図1(b)は、蓋が開いた状態を図示したものである。また、図2は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示した上面図又は上面透視図であり、図2(a)は、蓋80が開いた状態を図示した上面図であり、図2(b)は、蓋が閉じた状態を図示した上面透視図であり、図2(c)は、蓋80の内面を図示した上面図である。図3は、図2(b)のA−A’断面図であるが、図3(a)は、蓋が閉じた状態を図示し、図3(b)は、蓋が開いた状態を図示したものである。なお、図2(a)において、理解の容易のため、蓋の記載は省略した。
図1及び3を参照すると、当該燃料電池システム1は、燃料電池セル11を備え、当該燃料電池セル11は、直列、即ち平面上かつ一軸方向に三つ接続されて形成された燃料電池スタック15の構成をとっており、この点は前記説明した従来の燃料電池システム2と同様である。なお、後述するように、当該燃料電池セル11は、必要な出力に応じて、その数や配置を変更することができ、直列でなく並列に接続されていてもよく、また、単一のMEAからなる燃料電池セル又は二以上(複数)接続された燃料電池スタックの構成をとっていてもよい。更に図1及び3を参照すると、当該燃料電池システム1は、更に開閉自在な蓋80と、筐体10とを備え、当該筐体10には前記燃料電池スタック15が収容・固定され、前記説明した従来の燃料電池システム2と同様、いわゆる折りたたみ機構を有する。即ち、この燃料電池システム1では、前記蓋80は、その下端で前記筐体10と継手81を介して連結され、当該継手81が前記蓋80の回動方向に摺動することによって回動自在であることにより開閉自在なものとなっている。
図1、図2(c)及び図3を参照すると、前記蓋80の内面には、短絡部材72が設けられている。前記短絡部材72は、その一方の端部(長手方向の端部)が前記燃料電池スタック15の一方の端部(長手方向の端部)と係合して前記燃料電池スタック15に備えられたカソード集電体に配される端子(カソード端子)411に当接し、同時に、他方の端部が前記燃料電池スタック15の他方の端部と係合して前記燃料電池スタック15に備えられたアノード集電体に配される端子(アノード端子)421に当接するよう形成されている。したがって、図1(a)、図2(b)及び図3(b)に図示するように、前記開閉自在な蓋80を閉めるに際して、即ち、これを完全閉合位置まで回転させて蓋80を閉じた状態にすると、前記短絡部材72は、その一方の端部において前記燃料電池スタック15の一方の端部と係合し前記カソード端子411に当接すると同時に、他方の端部において前記燃料電池スタック15の他方の端部と係合し前記アノード端子421に当接し、前記短絡部材72の一部と前記カソード端子411及び前記アノード端子421との間で、詳しくはその一方の端部と前記カソード端子411との間及び他方の端部と前記アノード端子421との間で、接触部(短絡接触部)73が形成される。その結果、接触部73で、前記短絡部材72、前記カソード端子411及び前記アノード端子421が電気的に接続され、前記燃料電池スタック15全体において、短絡が生じ、電流を印加していない場合にかかる開放電圧がほぼ0Vになる。また、このように前記蓋80を完全閉合位置まで回転させると、前記燃料電池スタック15は、筐体10及び蓋80に完全に覆われ、密閉状態下におかれるため、前記燃料電池スタック15が備えるカソードに侵入しうる酸素を遮断することができる。したがって、このような状態で保管すれば、局所的に発生する電圧分布が軽減され、保管時の局所電池の形成がないか又は抑制されるため、燃料電池スタック15を形成する燃料電池セル11、詳しくはそのMEAでの劣化進行等がないか又は低減化される。特に、発電を途中で停止させた場合であっても、燃料が残っている状態にあることにより発生し易い局所電池の形成が抑えられるため、長時間の保管信頼性を得ることができる。一方、前記蓋80を開いた状態にすると、前記短絡部材72は前記カソード端子411及び前記アノード端子421の何れとも接触していないため、発電状態に影響を与えることなく、発電が正常に行われる。したがって、本発明の燃料電池システム1では、蓋80が開いた状態にある場合であって、前記短絡部材72が前記カソード端子411及び前記アノード端子421と当接していない場合に発電が行われ、蓋80が閉じた状態にある場合であって、前記短絡部材72が前記カソード端子411及び前記アノード端子421と当接している場合には発電が行われない。即ち、前記蓋80は、発電時に開いた状態にされ、保管時に閉じた状態にされる。なお、前記蓋80が完全閉合位置まで回転されたとき、当該蓋80の内面と前記筐体10における前記蓋80との当接面との間に隙間が生じることがある。このような場合には、この隙間が生じないように高分子材料、特にそれからなる弾性体等を(パッキンとして)前記蓋80の内面及び/又は前記筐体10における前記蓋80との当接面に設けることができる。これにより、前記蓋80を完全閉合位置まで回転させたときに、より密閉な状態にすることができる。
なお、本発明の燃料電池システムでは、蓋を閉めるに際して、当該蓋に設けられた短絡部材が燃料電池セル又は燃料電池スタックのカソード端子及びアノード端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめるという本発明の特徴を発揮することができる範囲内で、上記記載した以外の各種構成や、短絡方法等を採用することができる。
例えば、本発明の燃料電池システムでは、前記記載した折りたたみ機構、詳しくは、蓋を、その下端で筐体と継手を介して連結させて、前記継手が前記蓋の回動方向に摺動することによって回動自在とすることより開閉自在にする機構を採用することができるが、本発明の燃料電池システムにおいて、前記蓋を開閉自在にする機構(方法)については特に制限はなく、蓋を閉めるに際して、当該蓋に設けられた短絡部材が燃料電池セル又は燃料電池スタックのカソード端子及びアノード端子に当接し、前記燃料電池セル又は燃料電池スタックにおいて、短絡を生じせしめるという本発明の特徴を発揮することができる範囲内で、この機構以外の従来使用されていた機構や将来開発されうる機構を採用することができる。例えば、図7に図示したように、蓋80を、その下端で筐体10と回転軸86により連結させて、この回転軸86を中心に回動させることにより開閉自在にする折りたたみ機構や、前記筐体の外側面に配設され、摺動可能な前記蓋の摺動方向に沿った溝と、前記蓋の側面であって筐体側(内側面)において、前記溝と当接する位置に摺動を案内するガイドと、からなるスライド機構を採用することができる。
図8は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。図8を参照すると、この燃料電池システム1では、前記した折りたたみ機構に代えて、スライド機構が採用されている。このスライド機構は、前記筐体10の外側面に摺動可能な前記蓋80の摺動方向に沿った溝91を設け、前記蓋80の側面(内側面)であって筐体10側において、前記溝91と当接する位置に前記溝91を滑るガイド92を設けることによって、前記蓋80が摺動するものであり、この摺動に伴い前記蓋80が開閉自在となる。この場合において、所定の範囲内で前記蓋80が摺動するように、例えば、前記溝を、前記蓋の摺動方向に沿って、所定の範囲内に形成し、前記ガイドとして、例えば、前記溝を滑る一若しくは複数のピン又はレール等を選択して、前記溝と前記ガイドが係合し、前記ガイドが前記溝を滑るようにすることができるし、或いは前記蓋が摺動により着脱可能になるよう、前記溝を、前記蓋の摺動方向に沿って、所定の範囲内に限らないで形成し、同様に前記ガイドとして、例えば、前記溝を滑る一若しくは複数のピン又はレール等を選択して、前記溝と前記ガイドが係合し、前記ガイドが前記溝を滑るようにすることもできる。また、摺動方向は適宜選択可能であり、燃料電池セル又は燃料電池スタックの長手方向と同方向であってもよく、長手方向に直行する方向であってもよい。
更に、前記蓋を着脱可能にした場合には、取り外した後の蓋を、例えば、長手方向に対して直行する方向に180°回転させて、前記筐体の底部に、同様に摺動により配設させることが可能である。なお、上記スライド機構を採用した場合には、取り外し時等、摺動により前記短絡部材が前記カソード端子及び前記アノード端子と当接していない場合に発電が行われ、摺動により前記短絡部材が前記カソード端子及び前記アノード端子と当接している場合に短絡し、発電が行われない。
また、本発明の燃料電池システムにおいて、複数のMEA若しくは燃料電池セルを直列又は並列に接続してスタックを形成させた場合には、燃料電池スタック全体で短絡を生じせしめてもよいし、燃料電池スタックを構成している燃料電池セル毎に、個別に短絡を生じせしめてもよい。
図9は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面図又は上面透視図である。図9(a)は、蓋80を取り外した状態、即ち蓋が開いた状態を図示した上面図であり、図9(b)は、蓋80を取り付けた状態、即ち蓋が閉じた状態を図示した上面透視図である。図9(c)は、蓋80の内面を図示した上面透視図である。図9(a)を参照すると、燃料電池スタック15では、これを構成する燃料電池セル11毎にカソード端子(個別カソード端子)412及びアノード端子(個別アノード端子)422が備えられている。また、図9(c)を参照すると、蓋80には、各燃料電池セル11に対応して、所定数、短絡部材72が設けられている。各短絡部材72は、その一方の端部(長手方向の端部)が対応する燃料電池セル11のカソード端子412に当接し、同時に、他方の端部がこの燃料電池セル11のアノード端子422に当接するよう形成されている。したがって、この開閉自在な蓋80を閉めるに際して、即ち蓋80を閉じた状態にすると、各燃料電池セル11において、短絡部材72は、それぞれ、その一方の端部において前記対応する燃料電池セル11のカソード端子412に当接すると同時に、他方の端部において前記対応する燃料電池セル11のアノードの端子422に当接し、短絡部材72の一部と前記カソード端子412及び前記アノード端子422との間で、詳しくはその一方の端部と前記カソード端子412との間及び他方の端部と前記アノード端子422との間で、接触部(短絡接触部)73が形成される。その結果、接触部73で、前記短絡部材72、前記カソード端子412及び前記アノード端子422が電気的に接続され、各燃料電池セル11において、短絡が生じる。このように燃料電池セル毎に短絡を生じせしめる場合には、一つの短絡部材で燃料電池スタック全体に短絡を生じせしめるときに必要とされる電圧よりも、各短絡部材で各燃料電池毎に短絡を生じせしめるときに必要とされる電圧の方が小さいため、より安全に短絡を生じせしめることができる。
更に、本発明の燃料電池システムでは、例えば、前記蓋に設けられた短絡部材において、その前記カソード端子と当接する適当な位置に前記カソード端子が挿入される第一の挿入口を設けると共に、前記アノード端子と当接する適当な位置に前記アノード端子が挿入される第二の挿入口を設け、前記蓋を閉めるに際して、前記第一の挿入口に、前記カソード端子が挿入され前記短絡部材に当接すると同時に、前記第二の挿入口に、前記アノード端子が挿入され前記短絡部材に当接して、前記短絡部材、前記カソード端子及び前記アノード端子を電気的に接続させ、前記燃料電池セル又は燃料電池スタック全体において、短絡を生じせしめてもよい。
図10は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示した上面図又は上面透視図である。図10(a)は、蓋80を取り外した状態、即ち蓋80が開いた状態を図示した上面図であり、図10(b)は、蓋80を取り付けた状態、即ち蓋80が閉じた状態を図示した上面透視図である。図10(c)は、蓋80の内面を図示した上面透視図であり、図10(d)は、蓋80の内面を図示した上面図である。図11は、図10(a)のC−C’断面図である。図10を参照すると、前記燃料電池スタック15を構成する燃料電池セル11毎に、カソード端子412及びアノード端子422が備えられている。前記蓋80は、前記スライド機構により摺動によって開閉自在である。また、図11を参照すると、前記蓋80は、前記カソード端子412が挿入されるよう前記カソード端子412と当接する適当な位置に設けられた第一の挿入口74と、前記アノード端子422が挿入されるよう前記アノード端子422と当接する適当な位置に設けられた第二の挿入口75とを、有する短絡部材72を備える。したがって、摺動により前記蓋80を閉めるに際して、前記第一の挿入口74に、前記カソード端子412が挿入され前記短絡部材72に当接すると同時に、前記第二の挿入口75に、前記アノード端子422が挿入され前記短絡部材72に当接して、前記短絡部材72、前記カソード端子412及び前記アノード端子422を電気的に接続させ、前記燃料電池セル11毎において、短絡を生じせしめる。
このように前記蓋を閉めるに際して、前記カソードの端子が前記第一の挿入口に、前記アノードの端子が前記第二の挿入口に、それぞれ挿入され、これらが前記短絡部材に当接して、前記短絡部材、前記カソードの端子及び前記アノードの端子を電気的に接続させ、前記燃料電池セル(又は燃料電池スタック全体)において、短絡を生じせしめる場合には、前記短絡部材と、前記カソードの端子及び前記アノードとの間での当接がより確実に行われるため、短絡の信頼性が高くなる。なお、図10及び11を参照して、燃料電池スタックを構成する燃料電池セル毎に短絡を生じせしめる場合であって、蓋が、前記スライド機構により摺動によって開閉自在となっている場合について説明したが、単一の燃料電池セルや燃料電池スタック全体で短絡を生じせしめる場合や、前記記載した蓋が、折りたたみ機構によって開閉自在となっている場合にも適用可能である。
(筐体)
前記筐体の材質については特に制限はなく、樹脂及び金属等を使用することができる。また、前記筐体の形状及び大きさについては、燃料電池セル又は燃料電池スタックを収容・固定できるよう選択すればよく、特に制限はない。
(蓋)
前記蓋の材質については特に制限はなく、前記筐体と同様、樹脂及び金属等を使用することができる。また、前記蓋の形状及び大きさは、前記蓋を閉めた際、即ち前記蓋が完全閉合位置になった際に、前記蓋と前記筐体とが燃料電池セル又は燃料電池スタックを完全に覆い密閉状態下におくことができる形状又は大きさであることが必要である。したがって、前記蓋の形状及び大きさは、通常、前記筐体の形状及び大きさに応じて選択される。
(短絡部材)
本発明において使用される短絡部材は、カソード端子及びアノード端子と当接して何らかの形で、特に電気的にカソード端子及びアノード端子と接続して、燃料電池セル又は燃料電池スタックを短絡せしめるものである。
したがって、前記短絡部材の形状は、燃料電池セルにおけるカソード端子とアノード端子の配設位置に応じて適宜選択され、前記蓋を閉めるに際して、当該部材が、燃料電池セルにおけるカソード端子と同時に、アノード端子とも当接するような形状が選択される。
前記短絡部材の配設位置については、前記蓋、特にその内面において、前記蓋を閉めるに際して、当該部材が、燃料電池セルにおけるカソード端子と同時に、アノード端子とも当接するよう適当な位置であればよく、燃料電池セルにおけるカソード端子とアノード端子の配設位置に応じて選択される。
また、前記短絡部材については、前記蓋、特にその内面で、当該部材の全部が露出されている必要は無く、少なくともその一部、詳しくは当該部材がカソード端子及びアノード端子に当接して形成(構成)される接触部(短絡接触部)に対応する部分が露出されていればよい。したがって、前記短絡部材の配設方法には、前記蓋、特にその内面に前記短絡部材を圧着・固定して配設する方法や、更には前記蓋、特にその内面に前記短絡部材を仮付けし、更に適当な素材でその一部(前記接触部に対応する部分以外の部分)にコーティングを施す方法、前記蓋の成型の際に予め前記短絡部材を少なくとも前記接触部に対応する部分が露出するように素材原料に取り付けて成型する方法等により前記蓋に埋設する方法等を含めることができる。
前記短絡部材の素材に関しては、少なくとも電気伝導性を有する素材が選択されればよく、特に限定されない。例えば、金属材料を用いることができるが、特に燃料として液体燃料を使用する場合には、カソードで発生する水やクロスオーバーしたメタノール等の燃料成分による腐食を防ぐため、ステンレス等の耐食性の素材を用いることが好ましい。また、特に蓋の内面に配設される場合や、前記短絡部材が蓋に埋設される場合には、少なくとも前記短絡部材と前記カソード端子及びアノード端子との当接により構成される接触部が耐食性の高い素材で構成されることが好ましいが、必ずしも部材全体を耐食性の高い金属のみで構成する必要はない。
前記短絡部材72に関しては、抵抗体としての機能を持つもの又は抵抗体を用いることが、より好ましい。これを選択した場合には、短絡時における瞬時の大電流印加を抑制することができ、より安全である。前記抵抗体としての機能を持つもの又は抵抗体として、例えば、その電流密度が大きくとも100mA/cm(100mA/cm以下)になるようなもの、又はその抵抗値が50mΩ〜100Ωとなるものを選定することが更に好ましい。なお、このような抵抗体としての機能を持つ短絡部材を得る方法には、特に制限はなく、抵抗体としての機能を持つもの又は抵抗体自体を短絡部材として選択するだけでなく、短絡部材として使用可能な素材に抵抗体としての機能を持つ素材を混合した混合物を短絡部材とする方法や、また、第一の短絡部材と第二の短絡部材の間に抵抗体を挿入して一つの短絡部材とする方法等を含めることができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、前記短絡部材72には、電子制御系による電圧制御手段、例えば、電子制御によって、燃料電池システム全体、又は各MEAの電圧を制御する回路を備えさせることができる。これにより、保管時の電圧管理ができるようになり、本発明の燃料電池システムにおける信頼性(保管信頼性)がより向上する。更に、本発明の燃料電池システムには、電圧値をモニターすることができる手段、例えば、燃料電池システム全体、又は各MEAの電圧値をモニターする電子機器を備えさせることができる。なお、本発明の燃料電池システムでは、燃料電池セル(複数の場合には各燃料電池セル)における電圧を、モニターした電圧値に応じて、所定の電圧値となるよう制御する手段を更に備えさせ、これと、前記電圧制御手段と、前記電圧値をモニターすることができる手段とを組み合わせて、モニターした電圧値に応じて、所定の電圧値となるよう電圧を制御することができる。この場合において、電圧を、0V±0.1Vの範囲内で制御することが好ましく、より好ましくは0V+0.1Vの範囲内で制御する。
(燃料電池セル)
次に、本発明の燃料電池システムにおいて用いられる燃料電池セルについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する燃料電池セルは、その一例であって、本発明において使用される燃料電池セルは、下記燃料電池セルに限定されるものではない。
本発明において使用される燃料電池セルは、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面に接して配されたカソードと、他方の面に接して配されたアノードと、前記カソード及び前記アノードにそれぞれ接して配されたカソード集電体及びアノード集電体と、前記アノード又はアノード集電体に接して配された燃料容器とを少なくとも備える。ここで、前記固体高分子電解質膜を、前記カソードと前記アノードとで狭持して構成したものは、一般に、電解質膜−電極接合体(MEA)と称される。
図12は、本発明の燃料電池システムにおいて使用される一つの実施形態に係る燃料電池セルの概略構成を示した断面図である。なお、図12においては、燃料電池セルの構造の明確化のため、単一のMEAからなる燃料電池セルについて図示しているが、後述するように、複数のMEA若しくは燃料電池セルを直列又は並列に接続してスタックを形成させてもよい。
図12を参照すると、当該燃料電池セル11は、電解質膜−電極接合体(MEA)13を備えている。当該MEA13は、固体高分子電解質膜33と、前記固体高分子電解質膜33の一方の面に接して配されたカソード31と、他方の面に接して配されたアノード32と、からなり、前記高分子電解質膜33を前記カソード31と前記アノード32とで挟持した構造からなっている。なお、図12には図示されていないが、前記カソード31及び前記アノード32の何れについても、少なくとも一方の面には触媒層が塗布されており、前記固体高分子電解質膜33は、前記カソード31と前記アノード32により、それらの触媒層を介して挟持されている。
更に図12を参照すると、前記カソード31及び前記アノード32には、それぞれ集電体41及び42(カソード集電体41及びアノード集電体42)が、接して配されている。なお、一般には、これら集電体は、絶縁や、液体(燃料)の漏れの防止又は抑制等の目的でシール部材を介在させて、高分子電解質膜に配される。図12を参照すると、高分子電解質膜33の一方の面の周縁にはシール部材44が枠状に配され、このシール部材44は、高分子電解質膜33とアノード集電体42とで挟持されている。同様に、高分子電解質膜33の他方の面の周縁にもシール部材43が枠状に配され、このシール部材43は、高分子電解質膜33とカソード集電体41とで挟持されている。一方、アノード集電体42において、アノード32と接していない面の周縁にもシール部材45が枠状に配され、このシール部材45は、アノード集電体42と筐体10とで挟持されている。
更に図12を参照すると、前記アノード32には、燃料容器12が接して配され、当該燃料容器12には燃料流入口21が備えられ、特に燃料の補充の際に適時、この燃料流入口21から燃料、特に液体燃料が流入又は注入され、燃料容器12に貯留される。また、前記燃料容器12の内部には、ウィッキング材60が備えられている。このウィッキング材60は連続空孔を有し、主として毛管力等の駆動力によって、液体燃料を、この連続空孔を介して伝播し、アノード32に燃料を供給する。したがって、このウィッキング材を燃料容器の内部に設ける場合には、燃料供給のためのポンプ等の補機等を用いる必要がなくなる。よって、液体燃料供給型燃料電池、特に、パッシブ型燃料電池に用いられる場合において、燃料容器、例えばその内部には、ウィッキング材等の燃料を保持する若しくは燃料供給を制御する部材又は手段を備えさせることが好ましい。
燃料電池セル11は、前記燃料容器12を介して筐体10に収容・固定されている。この固定の方法については、集電を妨げない範囲で、ねじ止め等、適当な固定方法を選択することができる。
本発明において使用される燃料電池セルの燃料については、選択される形式に応じて選択される。例えば、液体燃料供給型の場合には、燃料として液体燃料が選択され、当該液体燃料については、その燃料がアノードに供給されることによって発電が起こるものが選択される。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系燃料、エチレングリコール等の多価アルコール系燃料、蟻酸や酢酸等の酸や、更にはエーテル系燃料等を主成分として含む燃料が選択可能である。なお、本発明では、メタノール水溶液をそのまま使用するダイレクトメタノール型燃料電池に適用されることが特に好ましいため、メタノール水溶液(メタノールと水との組み合わせ)が選択される。
本発明は、好ましくは液体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池システムに適用され、その場合には、前記のように燃料として液体燃料が選択されるが、本発明は、気体燃料を直接アノードに供給するタイプの燃料電池システムにも適用可能であり、上記燃料電池の劣化抑制等の効果に極めて優れた燃料電池システムを提供することができる。その場合においては、燃料として、前記液体燃料の代わりに、水素等の気体燃料が選択される。
また、本発明は、プロトン伝導型に限らず、アルカリ型燃料電池を基本とする燃料電池にも適応可能であり、そのような燃料電池を用途として選択した場合には、これに適した燃料が選択される。
本発明では、燃料電池セルの数や配置を適宜変更することができる。したがって、本発明の燃料電池システムは、単一の燃料電池セルを備えるものであってもよく、必要となる電圧や出力に応じて、燃料電池セルを複数組合せて(接続して)形成(構成)された燃料電池スタックを備えるものであってもよい。その構成方法は特定のセルのものに限定されることはなく、例えば、目的とする燃料電池システムの仕様に応じて、複数のMEA若しくは燃料電池セルを直列又は並列に接続してスタックを形成させてもよい。また、この際、燃料容器は、複数の燃料電池セルに共有されてもよく、また、燃料電池セル毎に設けられていてもよい。なお、一つの燃料容器が、複数の燃料電池セルにより共有されるようにする場合には、当該燃料容器の内部に、各燃料電池セルに応じて燃料供給が行われるよう燃料電池セル毎に仕切るための隔壁(仕切り壁)を所定数設けると共に、当該隔壁を介して隣接する燃料容器同士を連通させる燃料通過路を形成するよう各隔壁の適当な位置に、連通孔(例えば所定数(例えば3〜5個)の直径1mm程度の孔)を一又は複数設けることができる。これにより、燃料の漏れをより確実に防止又は抑制することができる。
図13は、本発明の燃料電池システムにおいて使用される一つの実施形態に係る燃料電池セルの概略構成を模式的に示した上面図又は断面図である。図13(a)は、筐体10に収容・固定された状態にある燃料電池スタックを図示した上面図であり、図13(b)は、そのD−D’断面図である。なお、図13においては、三つの燃料電池セル11により形成された燃料電池スタック15が図示されているが、本発明では、前記したように、必ずしも三つの燃料電池セルにより燃料電池スタックが形成される必要は無く、必要な出力等に応じて、燃料電池セルの数や配置は適宜変更可能である。
図13(a)を参照すると、燃料電池スタック15は、三つの燃料電池セル11を直列に、即ち平面上にかつ一軸方向に接続させることにより、形成されている。この燃料電池スタック15は、図12における単一の燃料電池セルの場合と同様、筐体10に収容・固定されている。図13(a)を参照すると、この燃料電池システムには、燃料容器12が備えられ、この燃料容器12は、三つの燃料電池セル11に共有されている。図13(a)には図示されていないが、この燃料容器12の側面には、燃料の補充等のため燃料流入口が設けられ、この燃料容器12の内部には、燃料電池セル毎に仕切るための隔壁が設けられると共に、この隔壁を介して隣接する燃料容器同士を連通させる燃料通過路が形成されるよう各隔壁の適当な位置に、連通孔(例えば3〜5個の直径1mm程度の孔)を設けることにより、各燃料電池セルに応じて燃料供給が行われるようになっている。なお、前記したように各燃料電池セルに固有のものとされてもよい。前記燃料容器12の内部には、ウィッキング材60が設けられている。このウィッキング材は、燃料を保持する若しくは燃料供給を制御するためのものであるが、必ずしも必要というわけではなく、場合によっては設けないようにすることも可能である。なお、前記したように、パッシブ型の液体供給型燃料電池等、燃料供給のための手段(例えば送液ポンプ)等を補機として用いない燃料電池を用途として選択する場合には、前記燃料容器12の内部にウィッキング材60を設けることが好ましい。
図13(a)において、各燃料電池セル11は、集電体によって連結されており、このような構造を選択することが最もコンパクトであり、実用的である。なお、燃料電池スタックにおいて、燃料電池セル同士の接続方法に関しては、電気的に接続されるものであれば特に制限はなく、直列に接続される方法を選択することもできるし、並列に接続される方法を選択することもできる。
(MEA(電解質膜−電極接合体))
前記MEA13は、高分子電解質膜33をカソード31とアノード32とで挟持した構造からなるものである。前記高分子電解質膜としては、プロトンの伝導性が高く、かつ、電子伝導性を有しない高分子膜が好適に使用される。前記固体高分子電解質膜33の構成材料としては、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基等の強酸基や、カルボキシル基等の弱酸基等の極性基を有するイオン交換樹脂が好ましく、その具体例としては、パーフルオロスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリイミド系樹脂等が挙げられる。より具体的には、例えば、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミド、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族系高分子からなる高分子電解質膜を挙げることができる。前記高分子電解質膜の膜厚は、その材質や燃料電池の用途等に応じて、10〜300μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
(カソード)
カソードでは、上記式2に示した反応が生ずる。即ち、カソードは、酸素を還元して水にする電極である。本発明においてカソードを得る方法については特に制限はなく、例えば、触媒をカーボン等の担体に担持させた粒子(粉末を含む)又は担体を有しない触媒単体と、プロトン伝導体との触媒層を、カーボンペーパー等の基材上に塗布等により形成する方法によって得ることができる。前記触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、モリブデン、ランタン、ストロンチウム、イットリウム等が挙げられる。なお、前記触媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。前記触媒を担持する担体粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素系材料が例示される。前記触媒の粒子の大きさは、例えば炭素系材料が粒状物であるときには、0.01〜0.1μm程度の範囲内、好ましくは0.02〜0.06μm程度の範囲内で適宜選定される。前記担体粒子に触媒を担持させる方法については特に制限はなく、例えば、含浸法を選択することができる。
前記触媒層が形成される基材としては、高分子電解質膜等の有機系の基材を用いることができ、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属等の導電性を有する多孔性物質を用いることもできる。また、金属細線で形成されたマットを使用することもできる。カーボンペーパー等の基材を用いた場合には、基材上に触媒層を形成してカソードを得た後に、ホットプレス等の方法によって、触媒層が高分子電解質膜と接する向きでカソードを高分子電解質膜に接合することが好ましい。カソードの単位面積当たりの触媒量は、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm 〜20mg/cm 程度の範囲内で適宜選定可能である。
(アノード)
アノードでは、燃料として液体燃料、具体的にはメタノール水溶液を選択した場合には、上記式1に示した反応が生ずる。即ち、アノードは、燃料としてメタノール水溶液を選択した場合に、メタノールと水から水素イオンとCOと電子を生成する電極である。本発明においてアノードを得る方法、使用される触媒、前記触媒を担持する担体粒子、前記触媒の粒子の大きさ、及び前記担体粒子に触媒を担持させる方法については、上記のカソードの場合と同様である。なお、アノードを構成する触媒層や基材は、カソードを構成する触媒層や基材と同じであってもよいし異なっていてもよい。触媒層が形成される基材も、上記カソードの場合と同様であり、またアノードの単位面積当たりの触媒量も、上記カソードの場合と同様、触媒の種類や大きさ等に応じて、0.1mg/cm 〜20mg/cm 程度の範囲内で適宜選定可能である。
(集電体)
前記カソード集電体41及び前記アノード集電体42は、前記カソード31及び前記アノード32にそれぞれ接して配される。これらは電子の取出効率及び電子の供給効率を高めるように作用する。また、これらの集電体は、燃料電池セル同士を接続して燃料電池スタックを形成する際にも使用される。例えば、燃料電池セル同士を直列に接続する場合には、第一の燃料電池セルのアノード集電体と、これと隣接する第二の燃料電池セルのカソード集電体とを電気的に接続させ、次いで他の燃料電池セルについても同様に順次接続していくことで、燃料電池スタックを形成させることができる。これらの集電体は、図12に図示したような、MEAの周縁部に接する枠形状のものであってもよいし、MEAの全面に接する平板状又はメッシュ状等のものであってもよい。その形状に関しては、設計上の都合等に合わせて決めることができる。これらの集電体の材料としては、例えば、ステンレス鋼、焼結金属、発泡金属等、又はこれらの金属に高導電性金属材料をメッキ処理したものやカーボン材料等の導電体等を用いることができる。なお、燃料電池スタックと一体化された集電機構をもつものに関しては、必ずしも前述のような集電体を必要としない。また、後述するウィッキング材等の燃料供給制御部材により燃料供給を促進するためには、少なくともアノード側の集電体に関しては、アノード面とウィッキング材等の燃料供給部材の面との接触面積ができる限り大きくなる方が、効率的な発電に有利となる。
(カソード端子及びアノード端子)
前記カソード集電体及び前記アノード集電体には、それぞれ端子が設けられる。これらの端子は、前記短絡部材により短絡を生じせしめる際に使用される。なお、これらの端子を設けることには、特に困難はなく、単一の燃料電池セルを用いる場合には、この燃料電池セルが備えるアノードの電極に、電気的に接続可能な端子(アノード端子)を設け、カソードの電極に、電気的に接続可能な端子(カソード端子)を設ければよい。また、複数の燃料電池セルにより燃料電池スタックを形成させた場合には、他の燃料電池セルと接続されていない末端のアノードの電極に、電気的に接続可能な端子(アノード端子)を設け、他の燃料電池セルと接続されていない末端のカソードの電極に、電気的に接続可能な端子(カソード端子)を設けるか、或いは、燃料電池セル毎に、各燃料電池セルが備えるアノードの電極に、電気的に接続可能な端子(個別アノード端子)を設け、カソードの電極に、電気的に接続可能な端子(個別カソード端子)を設ければよい。
前記カソード端子及びアノード端子の配設位置には、特に制限はないが、前記短絡を安全かつ確実に行うことができる位置が選択されることが好ましい。例えば、図9に図示されているように、燃料電池セルにおいて、その同一の面(側面)にカソード端子(個別カソード端子)412とアノード端子(個別アノード端子)422が備えられてもよい。また、例えば、図14は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面図又は上面透視図であり、図14(a)は、蓋80を取り外した状態、即ち蓋が開いた状態を図示した上面図であり、図14(b)は、蓋80を取り付けた状態、即ち蓋が閉じた状態を図示した上面透視図であり、図14(c)は、蓋80の内面を図示した上面透視図であるが、図14に図示されているように、燃料電池セルにおいて、一方の面(側面)にカソード端子412が備えられ、このカソード端子412が備えられている面(側面)に対向する面にアノード端子422が備えられてもよい。なお、後者の場合には、短絡部材72がMEAを跨いで、カソード端子(個別カソード端子)412及びアノード端子(個別アノード端子)422と当接するように、カソード端子412及びアノード端子422が設けられているため、発電時に誤って短絡(ショート)させてしまうような可能性がないか又はその可能性を低減化することができ、より安全である。
(シール部材)
本発明の燃料電池セルには、シール機能、例えば、液体の漏れの防止機能等や絶縁性等を有するシール部材が複数設けられていてもよい。例えば、図12を参照すると、高分子電解質膜33の一方の面の周縁にはアノード32の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材44が枠状に配され、このシール部材44は、高分子電解質膜33とアノード集電体42とで挟持されている。同様に、高分子電解質膜33の他方の面の周縁にもカソード31の厚さとほぼ同じ厚さからなるシール部材43が枠状に配され、このシール部材43は、高分子電解質膜33とカソード集電体41とで挟持されている。一方、アノード集電体42において、アノード32と接していない面の周縁にも任意の厚みをもつシール部材45が枠状に配され、このシール部材43は、アノード集電体42と筐体10とで挟持されている。前記シール部材を形成する材料は、必要に応じて、シール性や、絶縁性、弾性を有するものを選択することが好ましい。通常は少なくともシール機能を有するゴムやプラスチックで形成されており、詳しくは、PTFE、PET、PEEK、塩化ビニル等のプラスチック素材や、テフロン(登録商標)ゴム、シリコンゴム、ブチルゴム等のゴム素材で形成することができる。なお、必ずしも、図12に図示した位置全てにシール部材が備えられる必要はなく、特に集電体を必要としないで電気的な接続が可能となるような構造を選択した場合や、燃料の漏れがないように構成されているような場合等には、前記シール部材を設ける必要がないことがある。
(燃料容器)
前記燃料容器は、前記アノード又はアノード集電体に接して配される。前記燃料容器には、一般に燃料流入口が設けられるが、前記燃料流入口については、一又は複数設けることができる。また、燃料容器内に溜まった空気と燃料の置換を起こりやすくさせるため、燃料容器の内部で薄まった燃料を抜き取ったり、押し出したりするために、空気排出口や、燃料導出口、放圧弁等を設けてもよい。なお、前記燃料流入口、空気排出口等の配設位置については特に制限はなく、燃料容器の側面等、適宜選択される。また、前記燃料流入口の構造に関して具体的に制約することはないが、逆止弁等、流入又は注入した燃料の逆流を防止又は抑制する手段を取り付けることが、燃料の飛び出し等を防ぐことができることから、より好ましい。
なお、前記燃料容器の形状、及び大きさには特に制限はないが、その開口部分は、アノード(電極)の表面積と同程度であることが好ましい。また、その深さに関しても、特に制限はないが、前記燃料容器12の底面とアノードまでの距離が離れすぎる、即ち前記燃料容器の深さが大きすぎる場合には、燃料容器の底に燃料が溜まってしまう傾向があるため、一つの燃料電池スタックに対して、10mmを超えない(10mm未満の)深さとすることが好ましい。また、前記燃料流入口(又は燃料流入口を備える燃料流入路)に、別途燃料が充填された燃料カートリッジを、直接取り付けることも可能である。
(燃料保持材、燃料供給制御部材)
前記したように、特にパッシブ型燃料電池として用いる場合では、燃料容器の内部には、燃料を保持する部材(燃料保持材)若しくは燃料供給を制御する部材(燃料供給制御部材)を設けることが好ましい。このとき、前記燃料を保持する部材若しくは燃料供給を制御する部材を設ける位置については、燃料容器の内部において、燃料が保持されるため及び/又は燃料供給が制御されるため適当な位置に設ければよい。また、前記燃料を保持する部材若しくは燃料供給を制御する部材として、ウィッキング材と呼ばれる部材等を選択することができる。ここで、ウィッキング材は、主に毛細管現象により燃料である液体燃料、例えばメタノール水溶液を吸い上げ、かつ保持すること、更にはアノードへの燃料供給を目的として選択されるものである。即ち、ウィッキング材は、燃料保持及び燃料供給制御を可能とする部材である。ウィッキング材の性状について詳しく述べると、ウィッキング材は、その内部に連続した空孔を有し、この連続した空孔を介して、液体の燃料成分が伝播し、空孔内部を占める液体中での拡散、及び別の隣接した空孔への更なる燃料伝播が繰り返され、アノードに燃料が供給される原理となっている。この際、アノードに近い側では、燃料成分中のメタノール等の主成分が消費されるため、アノード方向に向かった燃料の濃度勾配ができ、濃度勾配を駆動力として、燃料として選択されるメタノール水溶液等の拡散が起こることになる。
前記ウィッキング材の素材として、例えば、織布、不織布、繊維マット、繊維ウェブ、発泡性高分子等を用いることができる。特に、セルロースを主原料とする繊維質、ウレタン及びPVF系等の発泡性高分子素材を使うことができる。従来、ウィッキング材としては、親水性素材が燃料保持の観点から最もよく用いられてきたが、ウィッキング材が燃料保持しすぎると、保持した燃料を放しにくくなり、アノードへの燃料供給が不十分になり、出力が低下したり、或いは、不安定になったりするという問題点が生じてくる。そのため、故意に親水性の低い素材、更にいえば疎水性の素材を用いることも有効となる場合がある。
なお、前記燃料電池セルについて、そのカソード上には、保湿層を設けることができる。この保湿層は、発電時にカソードで生成する水の蒸散を抑制するように作用する。前記保湿層の材質としては、織布、不織布、繊維マット、繊維ウェブ、発泡プラスチック等、親水性を有する材料が選択される。
本発明の燃料電池システムについては、更にメタノール改質器等の補機の導入をした場合にも同様の効果が得られる場合があり、このような燃料電池システムも本発明に含めることができる。
(本発明の携帯型電子機器)
本発明の携帯型電子機器は、前記記載の燃料電池システム(本発明の燃料電池システム)を備える携帯型電子機器である。したがって、当該燃料電池システムは、前記記載の通りであり、本発明については、前記記載を参考にして容易に実施することができる。
(本発明の補助電源装置)
本発明の補助電源装置は、前記記載の燃料電池システム(本発明の燃料電池システム)を備える携帯型電子機器用の補助電源装置である。したがって、当該燃料電池システムは、前記記載の通りであり、本発明については、前記記載を参考にして容易に実施することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、この実施例及び比較例により本発明は何等制限されるものではない。
[実施例1]
実施例1において作製した燃料電池システム(本発明品)について以下に説明する。実施例1では、図1に図示した燃料電池システムと同様のものを用いた。当該燃料電池システムは、燃料電池セル11を備え、当該燃料電池セル11は、直列、即ち平面上かつ一軸方向に三つ接続されて燃料電池スタック15の構成をとっている。当該燃料電池システムは、更に開閉自在な蓋80と、筐体10とを備える。この蓋80及び筐体10は、蓋80が完全閉合位置になった際に、当該蓋80と筐体10とにより、燃料電池スタック15が覆われて密閉状態が形成されるよう適当な形状及び大きさをとっている。前記筐体10には前記燃料電池スタック15が収容され、後述するように、ねじ止めにより固定されている。また、前記蓋80は、折りたたみ機構により、詳しくはその下端で前記筐体10と継手81を介して連結され、当該継手81が前記蓋の回動方向に摺動することによって回動自在であることにより開閉自在となっている。前記蓋80の内面には、ステンレス鋼(SUS316)からなる短絡部材72が設けられている。前記短絡部材72は、その一方の端部、具体的には長手方向の端部が前記燃料電池スタック15の一方の端部、具体的には長手方向の端部と係合して前記燃料電池スタック15に備えられたカソード端子411に当接し、同時に、他方の端部が前記燃料電池スタック15の他方の端部と係合して前記燃料電池スタック15に備えられたアノード端子421に当接するよう形成されている。前記蓋80の内面であって前記筐体10に当接する面には、前記蓋80が完全閉合位置になった際、前記蓋80及び筐体10による前記燃料電池スタック15の密閉度を高めるため、高分子材料の弾性体からなるパッキンが配されている。
実施例1で用いた燃料電池セルの構造及び作製方法について以下に説明する。先ず、炭素粒子(ライオン社製のケッチェンブラックEC600JD)に粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金微粒子を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を用意し、この触媒担持炭素微粒子1gにデュポン社製の5重量%ナフィオン溶液(商品名;DE521、「ナフィオン」はデュポン社の登録商標)を加え、攪拌して、カソード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー(東レ社製のTGP−H−120)上に1〜8mg/cmの塗工量で塗布し、乾燥させて、4cm×4cmのカソード31を得た。一方、白金微粒子に代えて粒子径が3〜5nmの範囲内にある白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金微粒子(Ruの割合は50at%)を用いた以外は上記カソード形成用の触媒ペーストを得るときと同様の条件及び方法によりアノード形成用の触媒ペーストを得た。この触媒ペーストを用いた以外は上記カソード31の作製条件と同じ条件及び方法で、アノード32を得た。
次に、デュポン社製のナフィオン117(数平均分子量は250000)からなる6cm×6cm×厚さ180μmの膜を固体高分子電解質膜33として用い、この膜の厚さ方向の一方の面に、上記カソード31を、触媒を塗布していない面が外側となる向きで配置し、他方の面に上記アノード32を、アノード触媒を塗布していない面が外側となる向きで同様に配置し、触媒を塗った電極面同士が固体高分子電解質膜33を介して対面するように、各カーボンペーパーの外側から圧力を印加してホットプレスした。このようにして、MEA(電解質膜−電極接合体)13を作製し、これを得た。得られたMEA13に関して、電解質膜の余分な部分(燃料電池セル(特にその集電体)からはみ出した部分)を、カッターを使用して切断し、取り除いた。
次に、カソード31の上には、ステンレス鋼(SUS316)からなる外寸6cm×6cm、厚さ1mmの矩形板を、アノード32の上には、ステンレス鋼(SUS316)からなる外寸6cm×6cm、厚さ1mm、幅1cmの矩形枠状の枠板を、それぞれ集電体41及び42として、配設した。なお、このとき、集電体を形成する板については、その長手方向の端部の一方が第一の燃料電池セルのカソード集電体になり、他方が第一の燃料電池セルと隣接する第二燃料電池セルのアノード集電体になるような大きさの板を選択すると、一枚の板で集電体の形成と燃料電池セル同士の接続とを行うことができ簡便である。アノード集電体42と筐体10との間には、シリコンゴム製の外寸6cm×6cm、厚さ0.2mm、幅1cmの矩形枠状の枠板を、液漏れ等を防ぐためのシール部材45として配設させた。また、カソード集電体41と固体高分子電解質膜33との間、並びにアノード集電体42と固体高分子電解質膜33との間にも、前記シール部材45と同様のシール部材43及び44をそれぞれ配設した。更に、前記カソード31のうち他の燃料電池セルと接続されていない末端のカソードには、電気的に接続可能な端子(カソード端子)411を設け、同様に、前記アノード32のうち他の燃料電池セルと接続されていない末端のアノードにも、電気的に接続可能な端子(アノード端子)421を設けた。
燃料容器12は、全ての燃料電池セル11が一つの燃料容器12を共有するように構成した。具体的には、外寸7cm×20cm×厚さ0.5cmのテフロン(登録商標)板に、開口が4cm×18cmであって、深さがアノード32が液体燃料と触れ、かつ燃料容器とした際にその底に液体燃料が溜まりにくい適当な深さ10mm未満である空間を形成させて、得られたもの、即ちテフロン(登録商標)製で外寸7cm×20cm×高さ0.5cm、内寸4cm×20cm、深さ0.4cmの容器を燃料容器12として用いた。また、この燃料容器12の内部については、各燃料電池セルに応じて燃料供給が行われるべく燃料電池セル毎に4cm×4cmの開口が形成されるよう所定数の縦0.4cm×横4cm、厚さ2cmの隔壁16で仕切り、この隔壁16を介して隣接する燃料容器同士が連通するよう、各隔壁16の適当な位置に、燃料通過路17として直径1mm程度の孔を3個設けた。更に得られた燃料容器12の内部には、ウレタン製の発泡素材をウィッキング材60として設けた。なお、燃料として、30vol%のメタノール水溶液を選択した。
得られたMEA、カソード集電体、アノード集電体、及びシール部材等を一体化し、セルとした。得られたセルを三個準備し、これらを平面上かつ一方向、即ち直列に並べ、隣接するセル同士における一方のカソード集電体と他方のアノード集電体とをステンレス鋼(SUS316)を介して接続させて、スタックを形成させた。更に、このスタックと燃料容器とを一体化し、筐体に所定数のネジによりネジ止めして一体化し、本発明の燃料電池システムを得た。
[実施例2]
各燃料電池セル11において、図9に図示したように、その同一の面(側面)にカソード端子とアノード端子が備えられるよう、燃料電池セル毎のアノード31に、電気的に接続可能な端子(個別アノード端子)422を設け、燃料電池セル毎のカソードに、電気的に接続可能な端子(個別カソード端子)412を設けること、並びに、蓋80に、一方の端部、具体的には長手方向の端部が各燃料電池セル11の一方の端部と係合して各燃料電池セル11に備えられた個別カソード端子412に当接し、同時に、他方の端部が各燃料電池セル11の他方の端部と係合して各燃料電池セル11に備えられたアノード端子422に当接するよう形成された短絡部材72を使用すること以外は、実施例1と同様の燃料電池システムを作製した。
[実施例3]
各燃料電池セル11において、図14に図示したように、カソード端子が備えられている面(側面)の向かい側の面にアノード端子が備えられるよう、燃料電池セル毎のアノード31に、電気的に接続可能な端子(個別アノード端子)422を設け、燃料電池セル毎のカソードに、電気的に接続可能な端子(個別カソード端子)412を設けること、並びに、蓋80に、一方の端部、具体的には長手方向の端部が各燃料電池セル11の一方の端部と係合して各燃料電池セル11に備えられた個別カソード端子412に当接し、同時に、他方の端部が各燃料電池セル11の他方の端部と係合して各燃料電池セル11に備えられたアノード端子422に当接するよう形成された短絡部材72を使用すること以外は、実施例1と同様の燃料電池システムを作製した。
[実施例4]
実施例2において使用した折りたたみ機構に替えて、図8に図示した、前記筐体の外側面に摺動可能な前記蓋の摺動方向に沿った溝を設け、前記蓋の側面であって筐体側(内側面)において、前記溝と当接する位置に前記溝を滑るガイドを設けることによって、前記蓋が摺動するスライド機構を使用すること、並びに実施例2において使用した蓋に替えて、図10及び11に図示した、カソード端子412が挿入されるよう前記カソード端子412と当接する適当な位置に設けられた第一の挿入口74と、前記アノードの端子422が挿入されるよう前記アノードの端子422と当接する適当な位置に設けられた第二の挿入口75とを、有する短絡部材72を備える蓋を使用すること以外は、実施例2と同様の燃料電池システムを作製した。
[実施例5]
実施例2において使用した短絡部材72に替えて、短絡部材として5Ωの抵抗体を使用すること以外は、実施例2と同様の燃料電池システムを作製した。
[実施例6]
実施例2において使用した短絡部材72に、電圧を制御することができる電子回路を配設して、保管時(蓋を閉じた時)に、常に0V+0.1Vに制御させるようにすること以外は、実施例2と同様の燃料電池システムを作製した。
[比較例]
比較例において作製した燃料電池システム(従来品)について以下に説明する。比較例では、図4に図示した燃料電池システムと同様のものを用いた。したがって、当該燃料電池システムは、実施例1において使用した短絡部材72を使用しないことこと以外は、実施例1と同様の燃料電池システムである。なお、実施例1の燃料電池システムと同様、燃料容器の内部については、各燃料電池セルに応じて燃料供給が行われるべく燃料電池セル毎に4cm×4cmの開口が形成されるよう所定数の縦0.4cm×横4cm、厚さ2cmの隔壁で仕切り、この隔壁を介して隣接する燃料容器同士が連通するよう、各隔壁の適当な位置に、燃料通過路として直径1mm程度の孔を3個設けた。
[実施例7]
実施例1〜6における燃料電池システム(本発明の燃料電池システム)及び比較例における燃料電池システム(従来の燃料電池システム)について、下記試験方法に基づいて発電及び保管試験による評価を行った。それらの結果を下記表1及び2に示す。
(試験方法)
実施例1〜6及び比較例において作製した各燃料電池システムを、その端子を介して測定機器(電圧測定機)と接続した。
(予備試験)
各燃料電池システムについて、燃料である30vol%のメタノール水溶液を燃料容器に最大限満たしてから1Aで発電を行い、これを継続すると、ほぼ1.2Vの電圧で推移し、3時間で電圧が0.7以下となることが確認された。そこで、試験では、0.7Vを発電停止の閾値と設定し、発電時間は、燃料を燃料容器に最大限満たした状態で開始した場合、最大3時間であると判断した。
(本試験)
各燃料電池システムについて、燃料を燃料容器に最大限満たした状態から発電を行い、0.7Vを切った段階で発電を停止した。その後蓋を閉じ、各燃料電池システムを、所定の保管時間、保管した。保管後、燃料容器に残存する燃料濃度が薄いため、50vol%メタノール水溶液を追加して燃料容器が燃料で満たされるようにし、ウィッキング材60内部に燃料が十分浸透するのをまってから1Aで再度発電させた。0.7Vを切った段階で発電を停止して、そのときの発電した時間(発電時間)を測定すると共に、この発電時間における平均電圧を求めた。なお、保管時間は、1日、1週間、1ヶ月とし、その間に、電圧の低下が認められる場合も、0.7V以上で発電できる限り、評価を継続した。
Figure 2008218217
Figure 2008218217
(結果)
実施例1〜6及び比較例における各燃料電池システムの何れにおいても、保管1日後の場合には、ほぼ電圧や発電時間に影響は認められなかった。一方、保管1週間後の場合には、発電時間、即ち0.7V以上で発電を維持できた時間は、実施例1〜6の燃料電池システムでは2.5〜3.0時間であったのに対し、比較例の燃料電池システムでは、0.2時間程度であった。また、この保管一週間後の発電後、この比較例の燃料電池システムを分解して、カソード電極の観察をしたところ、そのカソード電極表面において、MEAにおける局所電池の発生によると思われる腐食が認められた。
保管一ヶ月後の場合では、実施例2〜6の燃料電池システムにおいては、初期のものとほぼ同等の平均電圧で発電が行われた。また、発電時間に関しては、実施例5及び6、特に実施例6の燃料電池システムが優れていた。また、この保管一ヶ月後の発電の後、実施例1〜6の燃料電池システムを分解して、それぞれのカソード電極の観察をしたところ、実施例1の燃料電池システムのカソード電極表面においては、およそ斑点状の錆が認められたが、その他の実施例2〜6の燃料電池システムについては、何れもカソード電極表面には何ら異常は認められず、MEAの劣化の発生を認めることはできなかった。なお、実施例2〜6の燃料電池システムが実施例1の燃料電池システムよりも優れている理由としては、実施例1の燃料電池システムでは、燃料電池スタック全体で短絡を生じせしめるため、各燃料電池セルにおける燃料の供給状態、及び酸化剤の遮断状況が同一でなく、その結果、起電力を出しているセルの影響によって起電力を出していない燃料電池セルに逆バイアスが印加される一方、実施例2〜6の燃料電池システムでは、燃料電池セル毎で短絡を生じせしめるため、各燃料電池セルは、隣接した燃料電池セルの影響を受けないことが考えられる。また、実施例5の燃料電池システムが実施例2〜4の燃料電池システムよりも優れているのは、短絡部材として5Ωの抵抗体を使用して緩やかに短絡を生じせしめるようにしたため、瞬時の大電流印加が起こりにくく、良い状態で保管されていたためであると推察される。更に、実施例1〜6の燃料電池システムのうち実施例6の燃料電池システムが特に優れているが、これは、実施例6の燃料電池システムでは、電圧が、燃料電池セルが劣化しない値で制御されていたため、より良い状態で保管できたためであると考えられる。
上記表1及び2から明らかなように、本発明の燃料電池システムでは、保管時、特に、ある程度の時間発電を行ってから、燃料を満たさないままで保管した場合におけるMEAの劣化がないか、又は最小限に抑えられ、燃料容器に燃料が満たされていない状態が形成されることによるMEA面内での局所電池の発生、及びこれによって生ずる、触媒層を構成するカーボンの酸化、触媒金属の脱離、更には電極自体の酸化等がないか、又は最小限に抑えられる。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。 図2は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示した上面図又は上面透視図である。 図3は、図2(b)のA−A’断面図である。 図4は、従来の燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。 図5は、従来の燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面透視図又は上面図である。 図6は、図5(a)のB−B’断面図である。 図7は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。 図8は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した斜視図である。 図9は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面図又は上面透視図である。 図10は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示した上面図又は上面透視図である。 図11は、図10(a)のC−C’断面図である。 図12は、本発明の燃料電池システムにおいて使用される一つの実施形態に係る燃料電池セルの概略構成を示した断面図である。 図13は、本発明の燃料電池システムにおいて使用される一つの実施形態に係る燃料電池セルの概略構成を模式的に示した上面図又は断面図である。 図14は、本発明の一つの実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示した上面図又は上面透視図である。
符号の説明
1 燃料電池システム(本発明の燃料電池システム)
2 燃料電池システム(従来の燃料電池システム)
10 筐体
11 燃料電池セル
12 燃料容器
13 MEA
15 燃料電池スタック
16 隔壁
17 燃料通過路
21 燃料流入口
31 カソード
32 アノード
33 固体高分子電解質膜
41 カソード集電体
411 カソード端子
412 個別カソード端子
42 アノード集電体
421 アノード端子
422 個別アノード端子
43、44、45 シール部材
60 ウィッキング材
72 短絡部材
73 接触部(短絡接触部)
74 第一の挿入口
75 第二の挿入口
80 蓋
81 継手
82 蓋の内側面
86 回転軸
91 溝
92 ガイド

Claims (11)

  1. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面に接して配されたカソードと、他方の面に接して配されたアノードと、前記カソード及び前記アノードにそれぞれ接して配されたカソード集電体及びアノード集電体と、前記アノード又はアノード集電体に接して配された燃料容器とを少なくとも備える燃料電池セルを一又は複数備え、
    更に開閉自在な蓋と、
    前記蓋に設けられた短絡部材と、
    前記燃料電池セルを収容・固定する筐体とを備え、
    前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 液体燃料供給型燃料電池システムであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池セルは、直列若しくは並列に複数接続されて形成された燃料電池スタックの構成をとり、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子は、各燃料電池セルに対して配され、前記短絡部材は、各燃料電池セルに応じて所定数前記蓋に設けられ、前記蓋を閉めるに際して、前記蓋に設けられた短絡部材が前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セル単位で、短絡を生じせしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記短絡部材は、抵抗体としての機能を有するもの又は抵抗体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記抵抗体としての機能を有するもの又は抵抗体は、大きくとも100mA/cmの電流密度を示すことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 更に、電子制御系による電圧制御手段、及び/又は電圧値をモニターすることができる手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 更に、燃料電池セルにおける電圧を、モニターした電圧値に応じて、所定の電圧値となるよう制御する手段を備え、0±0.1Vの範囲で制御することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記蓋は、その下端で前記筐体と継手により連結され、前記継手が前記蓋の回動方向に摺動することによって回動自在であることにより開閉自在とされ、前記短絡部材は、前記蓋の内面に設けられ、前記蓋を閉めるに際して、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記蓋は、前記筐体の外側面に配設され、摺動可能な前記蓋の摺動方向に沿った溝と、前記蓋の側面であって筐体側(内側面)において、前記溝と当接する位置に摺動を案内するガイドと、からなるスライド機構によって、摺動により開閉自在とされ、前記短絡部材は、前記蓋の内面に設けられ、前記蓋を閉めるに際して、前記カソード集電体に配される端子及び前記アノード集電体に配される端子に当接し、前記燃料電池セルにおいて、短絡を生じせしめることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の燃料電池システムを備えることを特徴とする携帯型電子機器。
  11. 請求項1〜9の何れか一項に記載の燃料電池システムを備えることを特徴とする携帯型電子機器用の補助電源装置。
JP2007054380A 2007-03-05 2007-03-05 燃料電池システム Expired - Fee Related JP5245262B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007054380A JP5245262B2 (ja) 2007-03-05 2007-03-05 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007054380A JP5245262B2 (ja) 2007-03-05 2007-03-05 燃料電池システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008218217A true JP2008218217A (ja) 2008-09-18
JP5245262B2 JP5245262B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=39838010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007054380A Expired - Fee Related JP5245262B2 (ja) 2007-03-05 2007-03-05 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5245262B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016185359A1 (en) * 2015-05-15 2016-11-24 Gp Batteries International Limited Portable power supply apparatus

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005107717A (ja) * 2003-09-29 2005-04-21 Casio Comput Co Ltd 携帯型電子機器
JP2005235167A (ja) * 2003-09-17 2005-09-02 Hitachi Maxell Ltd 情報処理装置
JP2005243603A (ja) * 2004-01-26 2005-09-08 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 燃料電池システム
JP2005285546A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Casio Comput Co Ltd 電子機器
JP2006156040A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2006252812A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池および電気機器

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005235167A (ja) * 2003-09-17 2005-09-02 Hitachi Maxell Ltd 情報処理装置
JP2005107717A (ja) * 2003-09-29 2005-04-21 Casio Comput Co Ltd 携帯型電子機器
JP2005243603A (ja) * 2004-01-26 2005-09-08 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 燃料電池システム
JP2005285546A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Casio Comput Co Ltd 電子機器
JP2006156040A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2006252812A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池および電気機器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016185359A1 (en) * 2015-05-15 2016-11-24 Gp Batteries International Limited Portable power supply apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP5245262B2 (ja) 2013-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5019122B2 (ja) 燃料電池及び燃料電池システム
US20080070076A1 (en) Fuel cell and fuel cell system, and electronic device
WO2006057283A1 (ja) 燃料電池
US20100167099A1 (en) Membrance electrode assembly (mea) structure and manufacturing method thereof
JP5062392B2 (ja) 固体高分子型燃料電池
JP4984428B2 (ja) 燃料電池システム
JP5093640B2 (ja) 固体電解質型燃料電池及びその製造方法
JP2008192506A (ja) 燃料電池
JP2003323902A (ja) 燃料電池発電装置及びこれを用いた携帯機器
JP4823583B2 (ja) 燃料電池用高分子膜/電極接合体及びこれを含む燃料電池
WO2007119130A1 (en) Fuel cell
US20110117465A1 (en) Fuel cell
JP2006134808A (ja) 燃料電池
JPWO2007105458A1 (ja) 燃料電池システム
JP5022707B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
US20110200914A1 (en) High power direct oxidation fuel cell
JP5245262B2 (ja) 燃料電池システム
JP2006049115A (ja) 燃料電池
JP2009123441A (ja) 燃料電池
JP5127267B2 (ja) 燃料電池および燃料電池システム
US7655343B2 (en) Liquid fuel supply type fuel cell
WO2009119434A1 (ja) 燃料電池ユニット、燃料電池スタックおよび電子機器
JP2010277782A (ja) 膜電極接合体及び燃料電池並びにそれらの製造方法
KR100696688B1 (ko) 직접 산화형 연료 전지 장치
JP2011096468A (ja) 燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees