JP2008218165A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】報知装置の信頼性向上を図ることのできる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】反応ガスの供給を受けて電気化学反応により発電する燃料電池20と、システム起動指令を受けた後に燃料電池20が所定の出力以上で発電可能な状態となったことを知らせる報知装置40と、報知装置40の動作を制御する制御装置50と、を備える。制御装置50は、直前に受けたシステム停止指令からシステム起動指令を受けるまでの経過時間に応じて、当該システム起動指令を受けてから報知装置40を作動させるまでの時間を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応ガス(酸化ガス、燃料ガス)の供給を受けて電気化学反応により発電する燃料電池を備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池システムにおいては、システム停止後長時間経過した後に同システムを再起動したときの燃料電池のアノードにおける水素濃度は、システム停止後の経過時間に依存する。具体的には、システム停止後の経過時間が長いと、大気から窒素等の不純物が配管および燃料電池内を通ってアノードに混入するので、当該アノードにおける不純物濃度が上昇し、この不純物濃度の上昇に相反してアノードにおける水素濃度は低下する。
そこで、従来の燃料電池システムにおいては、システム停止後の経過時間を計測し、この経過時間に応じてシステムを再起動したときのアノードにおける不純物の濃度を推定し、更にこの推定結果に応じてシステム起動時の燃料電池の出力を制限する技術が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
特開2004−172026号公報
例えばユーザー(運転者)がイグニッションを「ON」にする等してシステムに対して起動指令を発した後に、車両を例にとればアクセルペダルを踏む等のようにシステムに負荷をかけることが可能になったことを運転者に報知するインジケータが設けられた燃料電池システムにおいては、システム停止後長時間経過した後に再起動したときでも、システム停止後短時間のうちに再起動したときでも、システム起動指令を受けてからインジケータが作動するまでの時間は一定である。
したがって、特にシステム停止後長時間経過した後の再起動時には、インジケータが作動したにもかかわらず、燃料電池の出力が安定する程アノードの水素濃度が上昇していない場合があり、かかる場合には、燃料電池の出力が定常値よりも低くなり、例えば車載燃料電池システムにおいては十分な走行性能を得ることができなくなる等、インジケータの信頼性が十分とはいえない場面を生ずる可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、報知装置の信頼性向上を図ることのできる燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、反応ガスの供給を受けて電気化学反応により発電する燃料電池と、システム起動指令を受けた後に前記燃料電池が所定の出力以上で発電可能な状態となったことを知らせる報知装置と、前記報知装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間に応じて、当該システム起動指令を受けてから前記報知装置を作動させるまでの時間を設定する。
この構成によれば、システム停止後長時間経過した後に同システムを再起動したときでも、報知装置が作動した後は燃料電池のアノード側の反応ガス濃度が十分に上昇して出力が安定するので、報知装置の信頼性は向上する。
前記制御装置は、前記経過時間が長いほど、前記報知装置の作動を遅延させてもよい。
この構成によれば、システム停止後の経過時間が短い場合には、報知装置が作動するまでの時間を不必要に長く設定せずに済ますことができ、また、システム停止後の経過時間が長い場合には、報知装置作動後の出力をより一層確実に安定させることができる。
前記制御装置は、前記報知装置の作動遅延時間に上限を設定してもよい。
システム停止後のアノードにおける反応ガス濃度は、システム停止後の経過時間に伴い低下するが、一定時間経過してしまえば、所定濃度以下には低下しなくなるので、この構成のように、作動遅延時間に上限を設定してしまえば、当該作動遅延時間が不必要に長く設定されることはない。
本発明の燃料電池システムによれば、報知装置が作動した後の燃料電池の出力を安定化させることが可能となり、報知装置の信頼性向上を図ることができる。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施形態を説明する。以下、この燃料電池システムを燃料電池車両の車載発電システムに適用した場合について説明するが、本発明はこのような適用例に限らず、船舶、航空機、電車、歩行ロボット等のあらゆる移動体への適用や、例えば燃料電池が建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムへの適用も可能である。
図1に示される燃料電池システム1において、酸化ガスとしての空気(外気)は、空気供給路71を介して燃料電池20の空気供給口に供給される。空気供給路71には、空気から微粒子を除去するエアフィルタA1、空気を加圧するコンプレッサA3、及び空気に所要の水分を加える加湿器A21が設けられている。エアフィルタA1には、空気流量を検出する図示省略のエアフローメータ(流量計)が設けられている。コンプレッサA3は、モータMによって駆動される。
燃料電池20から排出される空気オフガス(酸化オフガス)は、排気路72を経て外部に放出される。排気路72には、圧力調整弁A4、及び加湿器A21が設けられている。圧力調整弁A4は、燃料電池20への供給空気圧を設定する調圧(減圧)器として機能する。
燃料ガスとしての水素ガスは、水素供給源30から水素供給路74を介して燃料電池20の水素供給口に供給される。水素供給源30は、例えば高圧水素タンクが該当するが、いわゆる燃料改質器や水素吸蔵合金等であっても良い。
水素供給路74には、水素供給源30から水素を供給しあるいは供給を停止する遮断弁H100、燃料電池20への水素ガスの供給圧力を減圧して調整する水素調圧弁H9、及び燃料電池20の水素供給口と水素供給路74間を開閉する遮断弁H21が設けられている。水素調圧弁H9としては、例えば機械式の減圧を行う調圧弁を使用できるが、パルスモータで弁の開度がリニアあるいは連続的に調整される弁であっても良い。
燃料電池20で消費されなかった水素ガスは、水素オフガス(燃料ガスのオフガス)として水素循環路75に排出され、水素供給路74の水素調圧弁H9の下流側に戻される。水素循環路75には、水素オフガスから水分を回収する気液分離装置H42、回収した生成水を水素循環路75外の図示しないタンク等に回収する排水弁H41、及び水素オフガスを加圧する水素ポンプH50が設けられている。
遮断弁H21は、燃料電池20のアノード側を閉鎖する。水素ポンプH50は、制御装置50によって動作が制御され、水素供給路74を通じて燃料電池20に水素ガスを供給したり、水素供給路74および水素循環路75を通じて燃料電池20に水素ガスを供給したりすることが可能である。水素オフガスは、水素供給路74で水素ガスと合流し、燃料電池20に供給されて再利用される。遮断弁H21は、制御装置50からの信号で駆動される。
水素循環路75は、排出制御弁H51を介して、パージ流路76によって加湿器A21の下流側の排気路72に接続されている。排出制御弁H51は、電磁式の遮断弁であり、制御装置50からの指令によって作動することにより、水素オフガスは燃料電池20から排出された空気オフガスとともに外部へ排出(パージ)される。このパージ動作を間欠的に行うことによって、水素ガス中の不純物濃度が増加することによるセル電圧の低下を防止することができる。
燃料電池20の冷却水出入口には、冷却水を循環させる冷却路73が設けられている。冷却路73には、冷却水の熱を外部に放熱するラジエータ(熱交換器)C2、及び冷却水を加圧して循環させるポンプC1が設けられている。また、ラジエータC2には、モータによって回転駆動される冷却ファンC13が設けられている。
燃料電池20は、水素ガスと空気の供給を受けて電気化学反応により発電する単セルを所要数積層してなる燃料電池スタックとして構成されている。燃料電池20が発生した電力は、図示しないパワーコントロールユニットに供給される。パワーコントロールユニットは、車両の駆動モータに電力を供給するインバータと、コンプレッサモータや水素ポンプ用モータなどの各種の補機類に電力を供給するインバータと、二次電池等の蓄電手段への充電や該蓄電手段からのモータ類への電力供給を行うDC−DCコンバータなどが備えられている。
さらに、本実施形態の燃料電池システム1には、運転者(ユーザー)がイグニッションを「ON」する等して当該燃料電池システム1の起動指令が制御装置50に対して発せられた後に、燃料電池20が所定の出力(例えば、発電電圧)以上で発電可能な状態となったこと、言い換えれば、燃料電池20の出力が安定した状態となったことを例えば点灯、警報等により知らせるインジケータ(報知装置)40が設けられている。
制御装置50は、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイなどの公知構成から成る制御コンピュータシステムによって構成されており、図示しない車両のアクセル信号などの要求負荷や燃料電池システム1の各部のセンサ(圧力センサ、温度センサ、流量センサ、出力電流計、出力電圧計等)から制御情報を受け取り、システム各部の弁類やモータ類の運転を制御する。
制御装置50には、直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間を計るタイマを備える等、計時機能が付加されている。さらに、制御装置50には、直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間に応じて、当該システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間(遅延時間)を変更する機能が付加されている。
具体的には、直前に受けたシステム停止指令から次に受けたシステム起動指令までの経過時間と、当該システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間との関係を規定したマップを制御装置内外の記憶装置に保有している。このマップは、例えば図2に示すように、直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間(横軸)と、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間(縦軸)との関係を示すグラフと見なすことができる。
直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間がある長さに達するまでは、当該経過時間と、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間とは比例関係にあり、当該経過時間がある長さを越えたら、その後は経過時間の長さに関係なく、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間は一定である。つまり、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの遅延時間に上限が設定されている。
上記のように構成された燃料電池システム1において、制御装置50は、システム起動指令を受けた(検知した)ときには、タイマ機能によって直前に受けたシステム停止指令から今回受けたシステム起動指令までの経過時間を計測する。そして、図2に示すマップを参照して、計測された経過時間に応じて、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間を設定(変更)する。
例えば、直前に受けたシステム停止指令から今回受けたシステム起動指令までの経過時間が1時間未満と比較的短ければ、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間は数秒と短く設定するが、直前に受けたシステム停止指令から今回受けたシステム起動指令までの経過時間が24時間を超過すれば、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間はおよそ30秒と長く設定する。
この燃料電池システム1によれば、直前のシステム停止から今回のシステム起動までの経過時間に応じて、システム起動指令を受けてからインジケータ40を点灯させるまでの時間を設定するので、運転者は、インジケータ40が点灯したことを確認してからアクセルペダルを踏み込み、車両を発進させれば、システム停止後長時間経過した後の再起動時であっても、要求通りの出力を得ることが可能となり、インジケータ40の信頼性向上を図ることができる。
ところで、本実施形態においては、報知装置として点灯式のインジケータ40を採用したが、本発明の報知装置は、このようなインジケータに限らず、音声で運転者に報知する形式のものを採用してもよい。
本発明の燃料電池システムの実施形態を示す概略図である。 直前に受けたシステム停止指令から次に受けたシステム起動指令までの経過時間と、システム起動指令を受けてからインジケータを点灯させるまでの時間との関係を規定したマップの一例である。
符号の説明
1…燃料電池システム、20…燃料電池、30…水素供給源、40…インジケータ(報知装置)、50…制御装置

Claims (3)

  1. 反応ガスの供給を受けて電気化学反応により発電する燃料電池と、
    システム起動指令を受けた後に前記燃料電池が所定の出力以上で発電可能な状態となったことを知らせる報知装置と、
    前記報知装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、直前に受けたシステム停止指令から次にシステム起動指令を受けるまでの経過時間に応じて、当該システム起動指令を受けてから前記報知装置を作動させるまでの時間を設定する燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御装置は、前記経過時間が長いほど、前記報知装置の作動を遅延させる燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御装置は、前記報知装置の作動遅延時間に上限を設定する燃料電池システム。
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