JP2008218155A - 基板の加熱冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板とこの基板に取り付けられた部材との温度が所定の温度差以内となるように加熱冷却して、基板、取付け部材の損傷を防止することのできる基板の加熱冷却方法を提供する。
【解決手段】板状の第1部材12、および第1部材の一方の表面上に設けられ第1部材よりも熱容量の小さい複数の第2部材14を少なくとも有する第1基板と、第1基板に所定間隔離して対向配置された第2基板11とを、それぞれ異なる温度となるように加熱冷却する基板の加熱冷却方法であって、第2部材と対向した状態で、第1基板と第2基板との間に所定間隔を置いて第3基板30を対向配置し、第1部材と第2部材とが所定の温度差以内となるように、第1基板および第2基板を加熱、冷却する。
【選択図】 図5

Description

この発明は、複数の加熱室および冷却室を順次搬送しながら基板を加熱冷却する基板の加熱冷却方法に関する。
近年、軽量・薄型の画像表示装置として、液晶の配向を利用して光の強弱を制御する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)、プラズマ放電の紫外線により蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、電界放出型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導型電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)などが開発されている。
例えばFEDでは、一般に、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周辺部同士を互いに接合することにより真空容器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子が設けられている。
背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。背面基板側の電位はほぼアース電位であり、蛍光面にはアノード電圧として例えば10kVが印加される。蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体に電子放出素子から放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。
このようなFEDにおいては、真空容器内部を高い真空度に維持することが重要となる。真空度が低いと、安定した電子放出ができず、画像表示装置の寿命が低下することになるからである。
そこで、長期間にわたって真空容器内部を高い真空度に維持するため、真空容器を構成する前面基板および背面基板を真空処理装置に投入して真空中で加熱し、各基板に吸着している不所望なガス分子を除去して排気するベーキングが行われる。このようなベーキングを行う方法として、前面基板および背面基板を対向配置して真空処理装置に投入し、一方の基板を他方の基板よりも高い温度で加熱する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−332618号公報
しかしながら、上述のように2枚の基板を異なる温度で加熱する方法においては、背面基板に配設された複数の支持部材が背面基板と異なる温度となるため、背面基板や支持部材が破壊されるなどの問題が発生する。すなわち、支持部材は大きさが背面基板に比較して小さいため、熱容量が背面基板と比べて著しく小さく、両者の間に温度差が発生しやすい。
例えば、50℃を超えるような大きな温度差をつけて両基板を加熱冷却する場合、一方の基板に取り付けられた支持部材の温度が取り付けられている基板の温度よりも20〜30℃以上高く、あるいは、低くなる。すると支持部材が収縮して基板との接合部分が破壊されたり、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたり、あるいは、冷却完了後、支持部材がもとの位置に戻らず、支持部材としての機能を充分に発揮できない場合がある。
この発明は以上の点に鑑みなされたものであり、その目的は、基板とこの基板に取り付けられた部材との温度が所定の温度差以内となるように加熱冷却して、基板、取付け部材の損傷を防止することのできる基板の加熱冷却方法を提供するものである。
上述の目的を達成するため、この発明の様態に関わる基板の加熱冷却方法は、板状の第1部材、および前記第1部材の一方の表面上に設けられ前記第1部材よりも熱容量の小さい複数の第2部材を少なくとも有する第1基板と、前記第1基板に所定間隔離して対向配置された第2基板とを、それぞれ異なる温度となるように加熱冷却する基板の加熱冷却方法であって、
前記第2部材と対向した状態で、前記第1基板と第2基板との間に所定間隔を置いて第3基板を対向配置し、前記第1部材と前記第2部材とが所定の温度差以内となるように、前記第1基板および第2基板を加熱、冷却する基板の加熱冷却方法である。
本発明の様態によれば、第1基板と第2基板との間に第3基板を配置することにより、第1基板を構成する第1部材と熱容量の小さい第2部材が所定の温度差以内となるように加熱冷却することができる。よって2枚の基板を異なる温度で加熱冷却する場合であっても、支持部材が収縮して取り付け部分が破壊されたり、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたりすることがなくなり、両方の基板を効率よく加熱冷却することが可能になる。
以下図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る基板の加熱冷却方法について詳細に説明する。始めに、上記方法により加熱冷却された基板を有する画像表示装置、例えば、FEDについて説明する。
図1および図2に示すように、FEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は所定の間隔で対向配置されている。第1基板としての背面基板12は、第2基板としての前面基板11よりも大きな寸法に形成されている。前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された偏平な外囲器10を構成している。接合部材として機能する側壁18は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材19、21により、前面基板11の周縁部および背面基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
外囲器10の内部には、前面基板11および背面基板12に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、外囲器10の一辺、例えば、長辺と平行なX方向にそれぞれ延在しているとともに、上記一辺と直交するY方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。各支持部材14の長手方向両端部は、それぞれ側壁18と隙間を置いて対向している。各支持部材14は、例えば、背面基板12に取り付けられている。支持部材14は、背面基板12よりも熱容量が小さい第2部材として機能する。
図2および図3に示すように、前面基板11の内面には、表示面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青の蛍光体層R、G、B、およびこれらの蛍光体層間に位置した黒色の遮光層20を並べて構成されている。赤、緑、青の3色の蛍光体層R、G、Bは、第1方向に隙間を置いて交互に並んで形成され、同一色の蛍光体層が第1方向と直交する第2方向に隙間を置いて配列されている。蛍光体層R、G、Bはそれぞれ、赤、緑、青の単色でサブピクセルを構成し、3色のサブピクセルを合わせて一画素を構成している。
蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム膜等からなるメタルバック層17が形成されている。本実施形態によれば、メタルバック層17は、縦方向および横方向に分断され、互いに電気的に分離した複数の分断領域を有している。電気的に分断したメタルバック層17は、蛍光体層R、G、Bに夫々重なって設けられている。また、メタルバック層17に重ねてゲッタ膜13が形成されている。
図2に示すように、背面基板12の内面上には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電子放出素子が設けられている。すなわち、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデンやニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。背面基板12の内面上において各キャビティ25内にはモリブデンなどからなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。これらの電子放出素子22は、画素に対応して複数列および複数行に配列されている。
導電性カソード層24およびゲート電極28は、それぞれ直交する方向にストライプ状に形成され、背面基板12の周縁部には、これら導電性カソード層およびゲート電極に電位を供給する多数本の配線23が形成されている。
このようなFEDでは、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック層17にアノード電圧を印加して、電子放出素子22から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーンへ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bが励起されて発光し、カラー画像を表示する。
次に、上記構成のように構成されたFEDの製造方法および基板の加熱冷却方法について説明する。
まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体ストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンを形成した板ガラスと前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットする。この状態で、露光、現像することにより、前面基板11となるガラス板上に蛍光体スクリーン16を形成する。その後、蛍光体スクリーン16に重ねてメタルバック層17を形成する。
続いて、背面基板12用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。これはまず、導電性カソード層24を板ガラス上に形成し、このカソード層上に例えば熱酸化法やCVD法あるいはスパッタリング法により2酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。この後、この絶縁膜上に、例えばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法によりモリブデンやニオブなどのゲート電極形成用の金属膜を形成する。次に、この金属膜上に、形成すべきゲート電極に対応した形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングし、ゲート電極28を形成する。
その後、レジストパターン及びゲート電極28をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。レジストパターンを除去した後、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に例えばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。その後、背面基板表面に対して垂直な方向からカソード形成用の材料として例えばモリブデンを電子ビーム蒸着法により蒸着する。これによって、キャビティ25の内部に電子放出素子22が形成される。次に、剥離層をその上に形成された金属膜とともにリフトオフ法により除去する。
続いて、大気中で低融点ガラス19により側壁18および支持部材14を背面基板12の内面上に封着する。その後、側壁18の封着面の全周に渡ってインジウムを所定の幅および厚さに充填する。同様に、前面基板11の側壁と対向する封着面にインジウムを所定の幅および厚さで矩形枠状に充填する。なお、側壁18および前面基板11の封着面に対する封着層の充填は、溶融したインジウムを封着面に塗布する方法、あるいは、固体状態のインジウムを封着面に載置する方法等によって行う。
この後、前面基板11、背面基板12を所定間隔離して対向配置し、その間に支持部材14の温度を制御するための第3基板30を対向配置した状態で、図4に示す真空処理装置100に投入する。ダミー基板としての第3基板30は、板厚が0.5mmであり、大きさが背面基板12よりも大きな寸法に形成されている。第3基板としては液晶用のガラス板あるいは金属板を用いることができる。また、第3基板30の表面は放射率が0.4となるように全面がコーティングされている。
図4に示すように、真空処理装置100は、背面を投入するための投入室101、加熱室102、103、104、冷却室105、106、107、ゲッタ室108、封着室109、排出室110、第2排出室111を備えている。これらの投入室101、加熱室102、103、104、冷却室105、106、107、ゲッタ室108、封着室109、排出室110は、一列に並んで設けられている。第2排出室111は、ゲッタ室108に並んで設けられている。真空処理装置100の各処理室はFEDの製造時には全室が真空排気され、これら各処理室間は図示しないゲートバルブ等を介して接続されている。なお、本実施の形態における真空処理装置は模式的なものであり、真空室の数やその構成は本実施の形態に限定されるものではない。
基板の加熱冷却処理においては、まず、第2部材として機能する支持部材14および側壁18が取り付けられた背面基板12と前面基板11とを所定間隔離して対向配置し、これらの基板間に第3基板30を配置する。第3基板30は、支持部材14全体と対向し、かつ、前面基板11および背面基板12とそれぞれ所定間隔離して対向配置される。この状態で、これらの基板を投入室101に投入する。
続いて、投入室101を排気し、内部を真空雰囲気とした後、基板は加熱室102に搬送される。図5に示すように、加熱室102には、第1加熱源としてのヒーター121および第2加熱源としてのヒーター122が互いに所定の間隔を置いて対向配置されている。そして、加熱室102において、背面基板12の外側にヒーター121が、前面基板11の外側にヒーター122がそれぞれ所定の隙間を置いて対向配置される。なお、背面基板、前面基板、および第3基板を搬送するための搬送ジグや加熱室内の駆動装置、配線等は図示を省略している。また、基板を加熱室102に搬送するのと同時に、つぎにベーキングを行う背面基板、前面基板および第3基板を投入室101に投入して内部を排気しておく。
図6に示すように、ヒーター121、122は、正面からみるとそれぞれ5分割され、以下の領域に対応して独立して温度制御することができるように構成されている。ヒーター121、122としては、ランプヒーター、シースヒーター、ホットプレートなど公知のものを用いることができる。
第1領域41a:基板中央領域(ヒーター121)
第2領域42a:基板長辺領域(ヒーター121)
第3領域43a:基板短辺領域(ヒーター121)
第4領域41b:基板中央領域(ヒーター122)
第5領域42b:基板長辺領域(ヒーター122)
第6領域43b:基板短辺領域(ヒーター122)
ヒーター121の第1領域41aは矩形状に形成され、背面基板12の中央部に対向している。ヒーター121の一対の第2領域42aは、それぞれ第1領域41aの長辺に沿って位置し、背面基板12の一対の長辺部にそれぞれ対向している。ヒーター121の一対の第3領域43aは、それぞれ第1領域41aの短辺に沿って位置し、背面基板12の一対の短辺部にそれぞれ対向している。
同様に、ヒーター122の第4領域41bは矩形状に形成され、前面基板11の中央部に対向している。ヒーター122の一対の第5領域42bは、それぞれ第4領域41bの長辺に沿って位置し、前面基板11の一対の長辺部にそれぞれ対向している。ヒーター122の一対の第6領域43bは、それぞれ第4領域41bの短辺に沿って位置し、前面基板11の一対の短辺部にそれぞれ対向している。
第1ないし第3領域のヒーターは、背面基板12の中央部、長辺部、短辺部がそれぞれ略同等の温度で上昇するように、固有の温度で一定に動作している。第4ないし第6領域のヒーターは、前面基板11の中央部、長辺部、短辺部がそれぞれ略同等の温度で上昇するように、固有の温度で一定に動作している。このとき、ヒーターは、前面基板11はその全体が背面基板12よりも高い温度となるように温度制御される。ヒーター121およびヒーター122の各領域は、図7に示す固有の温度で一定に動作され、加熱室102に搬送された背面基板12と前面基板11とはそれぞれ図8に示す温度変化により所望の温度まで上昇する。
この際、第3基板30は、前面基板11および背面基板12からの熱放射を受け、基板中央部、長辺部、短辺部のそれぞれの領域が図8に示す温度変化をする。第3基板30は、背面基板12に取り付けられている支持部材14のすぐ上方に対向配置されているため、支持部材14にとっては第3基板30がヒーターとしての役割を果たす。したがって、第3基板30の板厚、大きさ、表面の放射率を前述に示したように適切に設定することによって、支持部材14の温度変化を制御することができる。
本実施形態においては、図9に示すように、支持部材14の温度変化は、背面基板12の温度変化に追従することになり、両者の温度差を所定の温度差以内、例えば、15℃〜−4℃におさめることができる。図9においては、背面基板12の温度と支持部材14の温度との差が8℃〜−3℃の範囲に入っている。この程度の温度差であれば、支持部材14が収縮して取り付け部分が破壊されることがなく、また、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたりすることはない。
前面基板11および背面基板12が所望の温度に到達した後、これらの基板を隣接するつぎの加熱室103に搬送する。また、それと同時に、投入室101で待機している次の前面基板、背面基板および第3基板を加熱室102に搬送する。加熱室103の内部は加熱室102と同様に構成され、加熱室102で加熱される温度よりも高い温度まで、加熱室102と同様のヒーター制御方法により前面基板11と背面基板12が加熱される。この際、背面基板12に取り付けられた支持部材14は第3基板30の板厚、大きさ、表面の放射率を適切に設定していることにより、背面基板12と略同等の温度変化でその温度差が所定の温度差以内となるように加熱される。
前面基板11および背面基板12が加熱室103において所望の温度に加熱された後、これらの基板を隣接するつぎの加熱室104に搬送し、加熱室102および加熱室103と同様に所望の温度、例えば、前面基板11を450℃、背面基板12を380℃まで加熱する。以上の工程により、前面基板11、背面基板12、第3基板30はそれぞれ図10に示す温度変化を経て所望の温度まで上昇し、支持部材14は、図11に示す温度変化を経て所望の温度まで上昇する。
本実施形態においては、温度上昇の完了時に前面基板11の温度が背面基板12の温度よりも約70℃高くなるように加熱を実施した。このとき、第3基板30が図10に示すような前面基板11および背面基板12に追随する温度変化をすることで、図11に示すように、支持部材14は背面基板12と略同等の温度で上昇した。このときの背面基板12の温度と支持部材14の温度との差は8℃〜−3℃の範囲に入っている。それにより、支持部材14が収縮して取り付け部分が破壊されたり、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたりすることがなかった。なお、各基板を搬送するのと同時に、つぎの基板を順次投入室、加熱室に搬入することはいうまでもない。
加熱が完了した前面基板11、背面基板12および第3基板30は、続いて冷却室105に搬送され、所望の温度まで冷却される。図12に示すように、冷却室105には、背面基板12の外側に第1加熱源としてのヒーター125が、前面基板11の外側に第2加熱源としてのヒーター126がそれぞれ対向して配置されている。それぞれのヒーター125、126の外側には冷却板127、128が配置されている。ヒーター125,126としては、ランプヒーター、シースヒーターなどを用いることができる。
冷却板127、128は各冷却室それぞれに固有の温度で一定に温度制御され、これらの冷却板によって前面基板11、背面基板12の冷却が促進される。同時に、ヒーター125、126をそれぞれ固有の温度で一定に動作させて加熱制御することにより、前面基板11、背面基板12の基板面温度変化が各々略均一になるように冷却される。第3基板30の板厚、大きさ、表面の放射率を前述に示したように適切に設定していることによって、背面基板12、前面基板11、支持部材14は、支持部材14の温度が背面基板12に対して所定の温度差以内となるように冷却される。
所望の温度に冷却された各部材は続いて冷却室106、107に順次搬送され、それぞれの冷却室における所望の温度まで、冷却室105と同様の温度制御方法により冷却される。
以上により前面基板11および背面基板12加熱冷却され、基板に吸着している不所望なガス分子を除去させるベーキングが行われる。
ベーキングが完了した前面基板11および背面基板12はゲッタ室108に搬送された後、背面基板12が先行して封着室109に搬送される。同時に、不要となった第3基板30は第2排出室111に搬送され、真空処理装置100外に排出される。その後、前面基板11にゲッタが蒸着され、封着室109に搬送されて再び背面基板12と所定間隔離して対向配置される。
封着室109に搬送された両基板は公知の通電加熱法、ヒーター加熱法などにより封着され、封着後の真空容器は排出室110に搬送された後、大気開放され取り出される。以上の工程により、FEDが得られる。
以上のように構成された基板の加熱冷却方法によれば、第1基板と第2基板との間に、大きさや板厚、放射率などを適切に選択した第3基板を配置した状態で第1および第2基板を加熱、冷却することにより、第3基板を第1基板および第2基板の温度変化に追従するように温度変化させ、第3基板の熱放射により支持部材を加熱している。これにより、支持部材と支持部材が取り付けられた第1基板との温度差が所定の温度差以内となるように加熱冷却することが可能となる。したがって、第1基板と第2基板との温度が互いに異なる温度となるように加熱冷却する場合であっても、支持部材が収縮して取り付け部分が破壊されたり、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたりすることがなくなり、両方の基板を効率よく加熱冷却することが可能になる。このように加熱冷却された基板を用いることにより、不所望なガス分子の除去が十分に行われ低コストで長寿命な画像表示装置を提供することができる。
なお、上述した実施形態では、第3基板30の板厚を0.5mm、放射率を0.4としたが、これに限らず、第3基板の板厚および放射率は、各基板の条件や支持部材14の寸法、ベーキング温度などにより適宜適切なものを選択可能である。
図13は、第2の実施形態に関わる基板の加熱冷却に用いる第3基板30を示している。本実施形態によれば、第3基板30は、中央部の放射率が0.3、最端部の放射率が0.5、これら中央部と最端部との間で放射率が滑らかに変化するように、その表面がコーティングされている。なお、第3基板30の中央部とは、背面基板12上に取り付けられた支持部材14の配列方向Yの中央部を示し、第3基板表面の放射率は、第3基板の中央部からY方向の両側に向かって、滑らかに増加し、Y方向両端部で最も大きくなっている。支持部材14の延出方向であるX方向について、第3基板表面の放射率は、ほぼ均一となっている。
前述した実施形態と同様に、背面基板12および前面基板11は、これらの基板間に第3基板30を隙間を置いて対向配置した状態で、加熱冷却される。第3基板30は第1基板である背面基板12、第2基板である前面基板11よりも大きな寸法に形成している。そのため、第3基板30の周辺部はヒーターからの熱放射を直接受け、その中央部よりも温度が高くなる。この場合、背面基板12上に取り付けられている熱容量の小さい複数の第2部材、すなわち、複数の支持部材14の内、第3基板30の周辺部に近い位置にある支持部材14は、中央部に位置した支持部材よりも温度が高くなり、背面基板12との温度差がつきやすくなる。そこで、上述のように、第3基板30の周辺部の放射率を中央部よりも大きくすることで、基板周縁部が放熱しやすくし、周辺部の温度が中央部に近い温度で変化するようにしている。これにより、背面基板の周辺部に設けられた支持部材の温度が過剰に高くなることを防ぐことができる。
図14は、第3の実施形態に関わる基板の加熱冷却に用いる第3基板を示している。
本実施形態によれば、第3基板30は、その中央部の板厚が0.4mm、最端部の板厚が0.8mmであり、その間を板厚が滑らかに変化するような形状としている。第3基板30の中央部とは、背面基板12上に取り付けられた支持部材14の配列方向Yの中央部を示し、第3基板の板厚は、第3基板の中央部からY方向の両側に向かって、滑らかに増加し、Y方向両端部で最も大きくなっている。支持部材14の延出方向であるX方向について、第3基板30の板厚は、ほぼ均一となっている。
このような第3基板30を挟んで背面基板および前面基板を加熱、冷却する場合においても、ヒーターから直接熱放射を受ける第3基板周辺部の温度が過剰に上昇することを防ぎ、周辺部の支持部材の温度が中央部の支持部材に近い温度で変化するようにしている。これにより、背面基板の周辺部に設けられた支持部材の温度が過剰に高くなることを防ぐことができる。
上記第2および第3の実施形態において、第3基板以外の構成は前述した第1の実施形態と同一である。そして、第2および第3実施形態においても、支持部材が収縮して取り付け部分が破壊されたり、支持部材が過剰に膨張して基板面や支持部材自身を擦って傷つけたりすることがなくなり、前面基板および背面基板を効率よく加熱冷却することができる。
上記実施形態以外にも各基板の条件や支持部材14の寸法、ベーキング温度などの条件に合わせて第3基板を種々選択できる。第3基板の板厚は0.1mmから1.8mmの範囲にすることが好ましい。0.1mm以下では第3基板の温度が高くなりすぎ、熱容量の小さい複数の第2部材の温度が高くなりすぎる。そのため、第2部材が過剰に膨張して基板面や第2部材自身を擦って傷つけたり、冷却完了後、第2部材がもとの位置に戻らず大気圧強度や画像の視認性が悪化したりしやすくなる。また、第3基板の剛性が小さくなるために加熱冷却中の保持が難しくなり、装置の構造が複雑になってコストがアップする。また、第3基板の板厚が1.8mm以上では、第3基板中央部の温度が上がりにくくなるため、熱容量の小さい複数の第2部材の温度が低くなりすぎ、第2部材が収縮して接合部分が破壊されやすくなる。
第3基板の放射率は、板厚と同様に、第3基板の温度を制御する。本発明においては、第3基板の放射率は0.3から0.7の範囲にすることが好ましい。0.3以下では第3基板の周辺部の放熱が小さいために温度が上がりやすく、かつヒーターの熱放射を第2部材に反射しやすくなり、第2部材の温度が高くなりすぎる。0.7以上では中央部および周辺部の第2部材ともに温度が上がりやすくなり、過剰に膨張しやすくなる。
この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、支持部材の形状は上述の形状に限られるものではなく、他の形状であっても良い。支持部材を背面基板ではなく前面基板に取り付けても良い。真空処理装置の各処理室の数や種類、その構成も上述した実施形態に限定されるものでないことはいうまでもない。加熱室および冷却室のヒーター構造や制御領域の選定についても、基板サイズやその他の条件に合わせて適宜選択することができる。
その他、この発明は、装置内部が真空ではない場合についても適用することができる。また、適用される基板の例としては、上述のFEDに限定されることなく、SED、PDP、LCD等の他の表示装置、あるいは半導体ウェハーなどにも適用することができる。
図1は、この発明の実施形態に係るFEDを一部破断して示す斜視図。 図2は、図1の線A−Aに沿ったFEDの断面図。 図3は、前記FEDの前面基板および蛍光体スクリーンの一部を拡大して示す平面図。 図4は、前記FEDの製造に用いる真空処理装置を概略的に示す平面図。 図5は、前記真空処理装置における加熱室の構成を示す断面図。 図6は、前記加熱室に設けられたヒーターの構成を示す平面図。 図7は、前記加熱室におけるヒーターの制御温度を示す図。 図8は、前記加熱室における前面基板、背面基板、第3基板の温度変化を示す図。 図9は、前記加熱室における背面基板および支持部材の温度変化を示す図。 図10は、複数の加熱室により加熱処理する際の前面基板、背面基板、第3基板の温度変化を示す図。 図11は、複数の加熱室により加熱処理する際の背面基板および支持部材の温度変化を示す図。 図12は、前記真空処理装置における冷却室の構成を示す断面図。 図13は、この発明の第2の実施形態に係る基板の加熱冷却方法に用いる第3基板を概略的に示す平面図。 図14は、この発明の第3の実施形態に係る基板の断面図。
符号の説明
10…外囲器、 11…前面基板、 12…背面基板、 14…支持部材、
16…蛍光体スクリーン、 17…メタルバック層、 18…側壁、
22…電子放出素子、 R、G、B…蛍光体層、 30…第3基板、
100…真空処理装置、 122、121…ヒーター、125、126…ヒーター、
127、128…冷却板

Claims (11)

  1. 板状の第1部材、および前記第1部材の一方の表面上に設けられ前記第1部材よりも熱容量の小さい複数の第2部材を少なくとも有する第1基板と、前記第1基板に所定間隔離して対向配置された第2基板とを、それぞれ異なる温度となるように加熱冷却する基板の加熱冷却方法であって、
    前記第2部材と対向した状態で、前記第1基板と第2基板との間に所定間隔を置いて第3基板を対向配置し、
    前記第1部材と前記第2部材とが所定の温度差以内となるように、前記第1基板および第2基板を加熱、冷却する基板の加熱冷却方法。
  2. 前記対向配置された第1基板、第2基板、第3基板を、間隔を置いて対向配置された第1加熱源および第2加熱源をそれぞれ有する複数の加熱室と、間隔を置いて対向配置された第1加熱源および第2加熱源と前記第1および第2加熱源の外側に設けられた冷却源とをそれぞれ有する複数の冷却室と、に順に通して搬送し、
    各加熱室において、前記第1基板および第2基板を前記第1加熱源および第2加熱源とそれぞれ所定の間隔を置いて対向させるとともに、前記第1および第2加熱源をそれぞれ加熱室固有の温度で一定に動作させて、前記第1および第2基板を加熱し、
    各冷却室において、前記第1基板および第2基板を前記第1加熱源および第2加熱源とそれぞれ所定の間隔を置いて対向させるとともに、前記第1および第2加熱源をそれぞれ冷却室固有の温度で一定に動作させて、前記第1および第2基板を冷却する請求項1に記載の基板の加熱冷却方法。
  3. 前記第3基板の大きさは、前記第1基板および前記第2基板よりも大きい請求項1又は2に記載の基板の加熱冷却方法。
  4. 前記第3基板の板厚は、0.1〜1.8mmである請求項1又は2に記載の基板の加熱冷却方法。
  5. 前記第3基板の板厚は、第3基板の中央部が薄く、周辺部に至るにしたがって厚くなっている請求項4に記載の基板の加熱冷却方法。
  6. 前記複数の第2部材は、それぞれ第1方向に沿って延びた板状に形成され、前記第1方向と直交する第2方向に隙間を置いて並んで配置され、
    前記第3基板の板厚は、第3基板の中央部が薄く、前記中央部から前記第2方向に離間した周辺部に至るにしたがって厚くなっている請求項5に記載の基板の加熱冷却方法。
  7. 前記第3基板の放射率は0.3〜0.7である請求項1又は2に記載の基板の加熱冷却方法。
  8. 前記第3基板の放射率は、第3基板の中央部が小さく、周辺部に至るにしたがって大きくなっている請求項7に記載の基板の加熱冷却方法。
  9. 前記複数の第2部材は、それぞれ第1方向に沿って延びた板状に形成され、前記第1方向と直交する第2方向に隙間を置いて並んで配置され、
    前記第3基板の放射率は、第3基板の中央部が小さく、前記中央部から前記第2方向に離間した周辺部に至るにしたがって大きくなっている請求項8に記載の基板の加熱冷却方法。
  10. 前記第1加熱源および前記第2加熱源は、それぞれ対向する複数の領域に分割され、前記複数の領域毎に設定した温度条件に従って前記第1基板および第2基板を加熱冷却する請求項2に記載の基板の加熱冷却方法。
  11. 前記加熱室および前記冷却室は真空室である請求項2に記載の基板の加熱冷却方法。
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