JP2008215735A - ワークの加熱方法 - Google Patents

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Koichi Masuda
晃一 増田
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Abstract

【課題】ワークに所望の温度履歴を与えることが可能であり、系が変わった場合にもワークの温度履歴を精度良く再現することができるワークの加熱方法を提供する。
【解決手段】ダミーのワーク20に温度センサ13を取り付け、検出されたダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ10の出力値を制御しながら、ヒータ出力値の時間的変化のデータ、あるいはヒータ近傍温度の時間的変化のデータを記憶させる。次に製品となるワークをセットし、記憶されたデータに従ってヒータ出力値を制御することにより、製品となるワークに所定の温度履歴を与える。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガラス基板のような直接その温度を測定できないワークを加熱する方法に関するものである。
例えば有機EL素子やプラズマディスプレイパネル等の製造工程においては、ガラス基板上に各種の機能膜を成膜したうえ、乾燥あるいは焼成する必要がある。特許文献1に示されるように、このような乾燥や焼成は、電気加熱式のヒータによって基板を加熱する方法で行われるのが普通である。ところが機能膜の乾燥速度が大きいような場合には、基板に与えられる温度履歴が僅かに変化するだけでも乾燥状態が著しく変化し、製品不良につながる場合がある。
このような場合、熱電対のような温度センサを加熱対象物(ワーク)に直接貼り付けてワークの温度を検出し、ワークが所定の温度履歴となるようにヒータ出力を制御することが、最も確実な方法である。しかしワークがガラス基板のような薄肉のものであったり、表面全体にペースト等が塗布されていたりすると、ワークを損傷するおそれがあるため、熱電対のような温度センサを直接取り付けることはできない。また非接触式の温度センサを使用してワーク温度を検出することも考えられるが、ガラス表面の反射が邪魔になり、精度のよい温度検出は困難である。
そこでこのような場合には、図1に示すように、ヒータ1の近傍に熱電対2を設置し、熱電対2の検出温度が所定のヒートカーブを描くようにヒータ1の出力を制御する方法が採用されている。また図2に示すように、ワーク4の近傍に熱電対3を配置し、その検出温度が所定のヒートカーブとなるようにヒータ1の出力を制御する方法も考えられる。
しかし図1の場合には制御されるのはヒータ1の温度であり、図2の場合には制御されるのはワーク4の近傍の温度である。このため何れの場合にもワーク4の温度は成り行きとなるので、ワーク4に所定の温度履歴を正確に付与できる保証はない。また、これらの方法では、系が変わるとワーク4の温度履歴が変わってしまうという問題があるうえ、ワーク4の温度履歴を変更したい場合には、試行錯誤によってヒータ1の最適な出力制御方法を求めなければならないという問題がある。
特開2001−317872号公報
本発明は上記した従来の問題点を解決して、ワーク自体の温度を精度よく制御して所望の温度履歴を与えることが可能であり、系が変わった場合にもワークの温度履歴を精度良く再現することができ、ワークの温度履歴を変更する場合にも試行錯誤を必要としないワークの加熱方法を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ダミーのワークに温度センサを取り付け、この温度センサにより検出されたダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ出力値を制御しながら、ヒータ出力値の時間的変化のデータを記憶させておき、次にこの記憶されたデータに従ってヒータ出力値を制御することにより、製品となるワークに所定の温度履歴を与えることを特徴とするものである。
また同一の目的を解決するためになされた請求項2の発明は、ダミーのワークに温度センサを取り付け、この温度センサにより検出されたダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ出力値を制御しながら、ヒータ近傍に設置した温度センサによりヒータ近傍温度の時間的変化のデータを記憶させておき、次にこの記憶されたデータに従ってヒータ近傍温度を制御することにより、製品となるワークに所定の温度履歴を与えることを特徴とするものである。
これらの発明によれば、ダミーのワークに温度センサを取り付け、ダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ出力値を制御しながらそのデータを記録し、そのデータに従って製品となるワークを加熱するので、製品となるワークにも所定の温度履歴を正確に与えることができる。また系が変わった場合や、ワークの温度履歴を変更する場合にも、一度だけデータの記録を行えばよく、従来のように試行錯誤を繰り返すことなく、製品となるワークに所定の温度履歴を与えることができる。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。この実施形態では、ワークは直接温度センサを取り付けることができないガラス製の基板である。
図3と図4は請求項1の発明の実施形態を示す図である。図3において10はワークを加熱するために配置されているヒータであり、11はこのヒータ10の電源装置であるサイリスタである。サイリスタ11は温調装置12からの信号を受けてヒータ10の出力を制御することができるものである。
本発明では先ず、製品となるワークと同一材質、同一サイズのダミーのワーク20を準備し、その表面に温度センサ13を貼り付け、製品となるワークと同一場所にセットする。温度センサ13としては熱電対を用いることが好ましい。そしてヒータ10によりダミーのワーク20を加熱する。このときダミーのワーク20の温度を温度センサ13によって直接検出し、温度信号TCVとして温調装置12に入力する。
温調装置12には予め所定の温度履歴(ヒートカーブ)が目標値として設定されており、温調装置12は温度センサ13からの温度信号TCVと目標値との偏差がゼロとなるように出力MVを変化させてサイリスタ11を制御し、ヒータ10の出力を制御する。またこれと同時に、ヒータ出力値の時間的変化のデータをコンピュータ14等の記憶装置15に記憶させる。なおここでは、ヒータ出力値と等価な温調装置12の出力MVを記録している。
このようにしてダミーのワーク20を用いてヒータ出力値の変化を記憶させたうえで、図4に示すように製品となるワーク21を所定位置にセットし、記憶装置15からサイリスタ11に記憶されたデータを出力する。すなわち、記憶装置15は記憶している出力MVをサイリスタ11に送り、サイリスタ11はそのとおりヒータ10の出力を制御する。この結果、製品となるワーク21にはダミーのワーク20に対して行われたと同一の加熱が行われ、所定の温度履歴が与えられることとなる。
なおこの実施形態においては、図3、図4に示されるようにワーク20、21の近傍にモニタ用の温度センサ16を設置し、異常発生等を監視している。この温度センサ16は必須のものではないが、実機としては設置することが好ましい。
上記した方法によれば、製品となるワーク21に所定の温度履歴を与えることができる。またヒータ10を含む系を変更した場合、あるいはワーク21に与えるべき温度履歴を変更したい場合にも、一度だけダミーのワーク20を用いたデータを取り直すだけでよく、従来のような試行錯誤を要しない。
図5と図6は請求項2の発明の実施形態を示す図である。
請求項2の発明もダミーのワーク20の表面に温度センサ13を貼り付け、ヒータ10によりダミーのワーク20を加熱すること、このときのダミーのワーク20の温度を温度センサ13によって直接検出し、温度信号TCVとして温調装置12に入力すること、温調装置12には予め所定の温度履歴(ヒートカーブ)が目標値として設定されており、温調装置12は温度センサ13からの温度信号TCVと目標値との偏差がゼロとなるように出力MVを変化させてサイリスタ11を制御し、ヒータ10の出力を制御することは全て請求項1の発明と同じである。
しかし請求項1の発明では、このときのヒータ出力値の時間的変化のデータ、具体的にはヒータ出力値と等価な温調装置12の出力MVを記録したのに対して、請求項2の発明では図5に示すようにヒータ10の近傍に温度センサ17を設置し、ヒータ近傍温度の時間的変化のデータをコンピュータ14等の記憶装置15に記憶させる。
そして次に図6に示すように、製品となるワーク21を所定位置にセットし、この記憶されたデータに従ってヒータ近傍温度を制御する。この場合には請求項1の発明とは異なり記憶されているのが温度データであるから直接サイリスタ11を制御することはできず、コンピュータ14は温調装置12に対して記憶されているデータを温度信号SPとして出力し、温調装置12は温度センサ17により検出される温度が上記の温度信号SPと一致するように出力MVを変化させてサイリスタ11を制御する。
この結果、ヒータ10はダミーのワーク20をセットした場合と同一の温度変化を再現することとなるから、製品となるワーク21にもダミーのワーク20をセットした場合と同一の温度履歴が与えられることとなる。
この請求項2の発明においても、製品となるワーク21に所定の温度履歴を与えることができ、ヒータ10を含む系を変更した場合、あるいはワーク21に与えるべき温度履歴を変更したい場合にも、一度だけダミーのワーク20を用いたデータを取り直すだけでよいことは請求項1の発明と同様である。
以上に説明したこれらの発明はワークの種類を問わずに適用することができるが、特にガラス製の基板のように、直接その温度を測定できないワークの温度を精度よく制御して所望の温度履歴を与える必要がある場合に、好適である。
従来方法の説明図である。 他の従来方法の説明図である。 請求項1の発明の実施形態における、記憶工程を示す説明図である。 請求項1の発明の実施形態における、加熱工程を示す説明図である。 請求項2の発明の実施形態における、記憶工程を示す説明図である。 請求項2の発明の実施形態における、加熱工程を示す説明図である。
符号の説明
1 ヒータ
2 熱電対
3 熱電対
4 ワーク
10 ヒータ
11 サイリスタ
12 温調装置
13 温度センサ
14 コンピュータ
15 記憶装置
16 温度センサ
20 ダミーのワーク
21 製品となるワーク

Claims (3)

  1. ダミーのワークに温度センサを取り付け、この温度センサにより検出されたダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ出力値を制御しながら、ヒータ出力値の時間的変化のデータを記憶させておき、次にこの記憶されたデータに従ってヒータ出力値を制御することにより、製品となるワークに所定の温度履歴を与えることを特徴とするワークの加熱方法。
  2. ダミーのワークに温度センサを取り付け、この温度センサにより検出されたダミーのワーク温度が所定の温度履歴となるようにヒータ出力値を制御しながら、ヒータ近傍に設置した温度センサによりヒータ近傍温度の時間的変化のデータを記憶させておき、次にこの記憶されたデータに従ってヒータ近傍温度を制御することにより、製品となるワークに所定の温度履歴を与えることを特徴とするワークの加熱方法。
  3. 製品となるワークが、直接その温度を測定できない基板であることを特徴とする請求項1または2記載のワークの加熱方法。
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