JP2008214099A - ワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム - Google Patents

ワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム Download PDF

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【課題】 ワンシャフトマルチカーエレベータシステムに適用でき、かつ前述の安全性、完遂性、非逆走性、非分割性を同時に満足することのできる新たな運行制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 呼びを複数のかごの何れかに割当てる割当手段と、前記複数のかごの優先順を決定する優先順決定手段と、前記優先順に従って各かご間の干渉を解決し割当てられた呼びをサービスするように、前記各かごの運行経路を作成し或いは変更する経路計画作成・変更手段と、前記各かごの最新の経路計画を更新記憶する経路計画記憶手段とを備え、該経路計画記憶手段に記憶された最新の経路計画に従って各かごの運行制御を行うようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一つのシャフト内に独立して走行可能な複数のかごを備えた、ワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システムに関するものである。
ビルにおける利用可能面積を増加させると同時に輸送能力の増大を図るため、図42に示すように、一つのシャフト内に複数のかごを走行させるワンシャフトマルチカーエレベータが提案されている。ワンシャフトマルチカーエレベータでは、一つのシャフト内を複数のかごが上昇方向或いは下降方向に独立して走行することが可能なため、各かごの位置や運転方向によっては他のかごの制約を受け、各かごは通常のエレベータと異なりシャフト内を自由に走行することができない。すなわち、ワンシャフトマルチカーエレベータでは、運行の制御方法を誤るとかご同士が衝突する可能性があるため、このかご同士の衝突を確実に防止しつつ(安全性)、各呼びを効率よくサービスするための特別な制御が必要となる。
また、ワンシャフトマルチカーエレベータでは、上記の安全性だけでなく、完遂性、ならびに、一般の乗用エレベータでは暗黙のうちに保証されている非逆走性と、非分割性とが要求される。ここで、完遂性とはデッドロックなどに陥らずに各かごに割り当てられた呼びに必ずサービスすること、非逆走性とは出発階で乗せた乗客を行先階まで反転せずに運ぶこと、そして、非分割性とは出発階で乗せた乗客を途中で降ろさずに行先階まで運ぶことである。
ここでの完遂性、すなわち、各かごが割り当てられた呼びをサービスすることを保証するには、少なくとも、資源飢餓に陥らないことを保証する必要がある。飢餓とは資源が永久に得られない状態で、ここで言及する資源とは、呼びをサービスするために出発階から行先階まで反転せずに移動するための昇降路の空間である。資源飢餓に陥る状態にデッドロックとライブロックがある。
デッドロックとは、複数のかごが互いに移動に必要な階床に位置したままいずれも譲らずに膠着し、どのかごもサービスできない状態である。従って、システムはデッドロックに陥らないこと、言い換えると生存性、を保障する必要がある。ただし生存性は必要条件の一つに過ぎず、それが保証されても、ライブロックに陥るという問題がある。
ライブロックとは、あるかごが移動するのに必要な空間を一時的に占有できるが移動を完了するまで占有できずに退避を繰り返す、あるいは、他のかごのサービスによって空間が占められているために移動できない状態である。従って、このような資源飢餓に陥らずに完遂性を保証するには、生存性に加えて、公平性も保証する必要がある。公平性とは、呼びを割り当てられたかごがサービスを完了するまで少なくとも一度は資源を獲得できる、つまり、呼びをサービスするのに必要な空間を確保して移動を終えることができることである。ちなみに、公平性はかごにサービスを行う機会が与えられるという点で公平であり、それが速いことを意味する応答性とは直接には関係しない。
それゆえ、上記の安全性をはじめとする諸性質が問題となるため、ワンシャフトマルチカーエレベータでは、乗場呼びの割り当てや運行制御について従来の制御方式を単純にそのまま適用することができない。そこで、独自の運行制御方法が種々提案されている。
例えば、特許文献1では、上層と下層とがそれぞれ接続された上昇走行専用シャフトと下降走行専用シャフトで形成された循環型走行シャフトに、複数のエレベータが走行する循環式マルチエレベータシステムの運行制御方式が提案されている。
また、特許文献2では、一つのシャフト内を双方向に走行する複数のかごを干渉することなく円滑に運行できる方法として、かごの存在する可能性のある範囲(占有区間)から他のかごが制約を受けずに走行可能な走行可能区間を求め、この走行可能区間の範囲内でかごの運行を制御する方法が開示されている。
また、特許文献3では、特許文献2と同様のワンシャフトマルチカーエレベータに関して、シミュレーションにより将来予測を行い、衝突すると判断された場合は予め定められた優先条件と干渉回避規則に従って退避させて、各かごを運行する方法が示されている。
特開平6−271214号公報 特開2003−81542号公報 特開2005−330083号公報
上記特許文献1のように、循環型走行シャフトとした場合には、運転方向が一方向に限定されるので制御は比較的簡単になるものの、必ず複数のシャフトが必要となるため、シャフトが一つだけの場合には適用することができない。また、上下方向の移動だけでなく、水平方向にも移動するための駆動システムが必要となるため、装置構成が非常に大掛かりになるといった問題がある。
また、上記特許文献2においては、シャフトが一つのエレベータにおいて、かご同士の衝突を防止する方法が提案されているものの、占有区間や走行可能区間を超えてサービスする必要のある呼びや、多数の呼びに対してどのように呼びを割当て、どのように運行管理すればよいかまでは具体的に開示されていない。
さらに、上記特許文献3においては、各かごが他のかごとの衝突を避けながら、保持する呼びにサービスするための運行方法が示されている。しかし、非逆走性を保証していないために、乗客に与える違和感を緩和する方法が必要となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、ワンシャフトマルチカーエレベータシステムに適用でき、かつ前述の安全性、完遂性、非逆走性、非分割性を同時に満足することのできる新たな運行制御システムを提供することを目的とする。
本発明に係るワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システムは、呼びを複数のかごの何れかに割当てる割当手段と、前記複数のかごの優先順を決定する優先順決定手段と、前記優先順に従って各かご間の干渉を解決し割当てられた呼びをサービスするように、前記各かごの運行経路を作成し或いは変更する経路計画作成・変更手段と、前記各かごの最新の経路計画を更新記憶する経路計画記憶手段とを備え、該経路計画記憶手段に記憶された最新の経路計画に従って各かごの運行制御を行うようにしたものである。
本発明によれば、前述の安全性、完遂性、非逆走性、非分割性を保証しながらも、あらゆる交通状況に対応できる新たな運行管理システムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態においては、一つのシャフト内に1号機〜3号機の3台のかごが運行する場合について説明するが、勿論、複数であれば何台であっても同様に適用することが可能である。また、本発明の対象とするワンシャフトマルチカーエレベータは、図42に示したように、シャフトの上下に退避階を設けることが望ましいが、かごの走行自由度(呼びの割当て自由度)が多少制限されることも許容されるのであれば、必ずしも退避階を必要とするものではない。また、呼び登録方式についても、最も一般的な、乗場で方向を指定する方向指定方式など種々の呼び登録方式を適用することも可能であるが、ここでは乗場で行先階を登録することのできる乗場行先階登録方式を適用した場合について説明する。
まず、本発明の詳細について説明する前に、全体の概略動作を説明する。本発明においては、エレベータの各かごは、運行管理システムによって随時或いは所定のタイミングで作成または変更される最新の経路計画に従って運行する。経路計画とは各かごが他のかごとの衝突を避けつつ割り当てられた呼びをサービスする経路に沿って運行するための、各かごに対する一連の操作を示したものである。
この操作には移動操作、待機操作、および、遊休操作がある。移動操作とは操作対象のかごがある階床から別の階床まで走行により移動する操作である。一方で待機操作とは、前方のかごとの衝突を避けるために、その前方の経路計画が消化され、かつ、安全な距離が保たれるまで、走行開始または走行継続を中止する操作である。また、遊休操作とは、かごのサービスあるいは移動が終了して、次にサービスを行う方向を定めた状態で停止する操作である。
なお、他のかごとの衝突を避ける目的である場合、移動操作を退避移動と呼ぶことがある。ただし、退避移動中にサービス可能な呼びが存在する場合は、それに応答しながら移動操作を行う。ここで応答とは、乗場で待っている乗客を行先階へ反転せずに運ぶために乗車するように指示することである。また、各かごが移動あるいは待機の操作を行うことでたどる一連の階床を経路と呼ぶ。
この経路計画を作成するに際し、現時点における未応答呼びの割り当て、及び、現時点における各かごの優先順を決定し、優先順の高いかごから順にサービスするための経路計画の作成または変更を行う。ここで各かご間の干渉が生じる場合は、優先順に従って干渉を解決するように、退避移動あるいは待機操作を加えた経路にするための変更を行う。すなわち、優先順位の高いかごが移動する経路は変更せず、優先順位の低いかごの経路計画を退避移動および待機操作するように変更するすることで干渉を解決する。
ただしこの優先順は、干渉時にあくまでもどちらのかごが呼びに対して先にサービスするかを決めるものに過ぎず、すべての呼びにサービスを終えた後は、優先順の低いかごが呼びにサービスできるように、優先順が高いかごであっても他のかごを避けるための退避移動を行う必要がある。すなわち、優先順位の高いかごは、自己が保持している呼びのすべてをサービスするまでの経路計画は変更しないが、サービスの終了後はすべての呼びのサービスを終了した時点でそのかごの優先順位は実質的に意味が無くなるので、その時点で呼びを保持している優先順位の低いかごがサービスを行えるように退避するための経路を追加するなどの変更を行うことがある。
また、この経路計画の作成・変更は、時々刻々変化する状況に応じて随時或いは一定周期で行うことも可能である。
なお経路計画の作成・更新に際しては、非逆走性と非分割性を保証するため、以下の説明ではいわゆるセレコレ(セレクティブコレクティブ)方式、すなわち、一方向に運転中は同方向の乗場呼び及びかご呼びに順次応答し、前方に呼びがなくなれば自動的に運転方向を反転して、今度はその方向の呼びに順次応えて運転し、応答すべき呼びがなくなるとそこで停止し待機するという、従来からの一般的な運転方式により、或いはそれに準じて運行経路を決定するものとする。ただし、前述の非逆走性や非分割性を保証するなど、乗客に違和感を与えることのない運行が出来るのであれば、必ずしもセレコレの運転方式に限る必要はない。
実施の形態1
{1.1 構成}
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に、本発明の一実施形態であるワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システムの全体構成図を示す。
図1において、C1〜C3はそれぞれ1号機〜3号機のエレベータのかご、M1〜M3はそれぞれ1号機〜3号機の経路計画に従ってかごの運行やドアの開閉等を制御する号機制御装置、B1〜Bfは1階〜f階の各乗場に設けられた行先階呼び登録装置である。
10は呼びの発生に応じて各かごの経路計画を決定し全体の運行を管理する運行管理装置、11は行先階呼び登録装置B1〜Bfによって発生した呼びの発生階(出発階)とその行先階、発生時刻等を登録し管理する呼び登録手段、12は新たに発生した呼びを1号機〜3号機の何れかのかごに割当てる呼び割当て手段、13は各かごの経路計画が干渉する場合にそれを解決するためのかごの優先順を決定する優先順決定手段、14は決定された優先順に従って各かご間の干渉を解決するように、前記各かごの経路計画を作成し或いは変更する経路計画作成・変更手段、15は各かごの最新の経路計画をそれぞれ更新記憶する経路計画記憶手段、16は最新の経路計画を各かごに指令する経路計画指令手段、17は各号機制御装置B1〜B3と運行管理装置10との間で情報の双方向の伝送を行うための通信インターフェイスである。
以上の構成において、次に本実施形態の運行制御手順を図1と図2以下のフローチャートに基づいて説明する。
{1.2 システムの全体の制御}
本実施形態にかかる運行制御システム全体を制御する際に、手続きSYSTEM_MAIN_LOOPを実行する。この手続きのフローチャートは図2である。
はじめにステップS0201からS0207を運行制御を終了するまで繰り返し行う。終了条件として例えば、異なる運行制御方法への切り替えや、電源の遮断がある。
まずステップS0202で経路計画の更新を行うために、経路計画作成・変更手段14(構成図は図1)で手続きUPDATE_PLAN(フローチャートは図4)を実行する。ここでは詳細は後述し、経路計画が作成・変更されたとしてステップS0203に進む。次のステップS0203で、作成・更新した経路計画を経路計画記憶手段15から取り出し、各号機の運行制御装置M1〜M3にそれぞれ送信する。これで各号機は最新の経路計画に従って運行されることになり、ステップS0204に進む。
次にステップS0204からS0206は次に経路計画を変更するまでステップS0205を繰り返し行う。
このステップS0205で各運行制御装置に送信された経路計画に従って自号機のかごの運行制御を行う。具体的には経路計画で定められた移動操作、待機操作、あるいは、遊休操作を実行する。また同時に応答可能な呼びが存在する場合、その呼びの行先階までの経路計画を確定するための手続きFIX_PLAN(フローチャートは図5、後述)を実行し、乗客に乗車するように指示する。前述のセレコレにおいては、呼びを出発階から行先階への経路が、経路計画の現在位置から次の反転位置までの部分経路に含まれている場合に、乗客を乗せることが可能である。
次にステップS0206でステップS0204に戻り、繰り返しの終了条件を再び判定する。この終了条件は次に経路計画を変更するタイミングに満たされ、例えば、いずれかのかごが呼びに応答する直前、優先順を変更する直前、呼びが発生するなどして呼びを呼びの割り当てを見直す直前がある。なお、優先順の変更および呼びの割り当ての見直しは、新たに呼びが発生した直後だけでなく、随時行うことができる。
そしてステップS0204からS0206の繰り返しを終了した後、ステップS0207でステップS0201に戻る。本実施形態にかかる運行制御を終える場合は手続きSYSTEM_MAIN_LOOPを終了し、そうでない場合は経路計画を変更して運行制御を継続する。
{1.3 経路計画の更新}
次にステップS0202の詳細である経路計画の更新について説明する。これは手続きUPDATE_PLANで行い、図3はこの手続きのフローチャートである。
はじめにステップS0301で経路計画記憶手段15に経路計画が記憶されているか否かを検出する。既に編成した経路計画が存在するならばステップS0303に進む。電源を投入した、あるいは、この運行制御に切り替えたばかりでは、経路計画記憶手段15に経路計画が存在しないため、ステップS0302に進む。
このステップS0302で初期の経路計画を作成し、その計画を更新対象の経路計画とする。初期の経路計画は、各かごが次の移動方向を定めて、現在位置で遊休しているだけのものである。なお遊休時の方向は、呼びの登録状況や、前回に呼びを運んだ方向などに応じて決めるものとする。更新対象の初期計画を作成したらステップS0304に進む。
一方でステップS0303は経路計画が経路計画記憶手段15に存在している場合に進み、経路計画記憶手段15が保持している現在の経路計画を、経路計画作成・変更手段14にコピーし、これを更新対象の経路計画としてステップS0304へ進む。
そしてステップS0304で、変更対象の経路経過について、現時点で消化された全ての操作を削除し、ステップS0305に進む。
次にS0305で、経路計画の再編成を行う手続きRECOMPOSE_PLAN(フローチャートは図4、後述)を実行する。ここでは再編成したとしてステップS0306に進む。
最後にステップS0306で、経路計画作成・変更手段14で対象となっている経路計画を経路計画記憶手段15に送信し、この手続きを終了する。終了後は手続きSYSTEM_MAIN_LOOPのステップS0202の終わりから継続する。すると各号機の制御装置M1〜M3に最新の経路計画が送信され、その最新の経路計画に沿って運行制御が行われることになる。
{1.4 経路計画の再編成}
{1.4.1 再編成の一般的な手順}
ここで先述の手続きRECOMPOSE_PLANについて説明する。図4はこの手続きを示すフローチャートで、図3のステップS0305の詳細である。
はじめにステップS0401で呼び割当手段12を用いて、未応答呼びを担当するかごを決定する。次にステップS0402で優先順決定手段13を用いて、優先順を決定する。呼び割当と優先順を決定した後、ステップS0403に進む。
そしてステップS0403で変更対象の経路計画から確定されていない全ての操作を削除する。
次にステップS0404からステップ0408で、各かごについて経路計画を加える処理を、優先順が最上位であるかごから最下位であるかごまで順番に行う。ここで現在処理しているかごmを手番かごと呼ぶ。手番かごとは他の全てのかご(優先順が上位である場合も含む)を退避させて、自分がサービスを行うための経路計画を追加する処理を行うかごである。
まずステップS0405で、手番かごmが現時点の変更対象の経路計画ではサービスを完了していない呼びについて、変更対象の経路計画の終点からサービスする経路が占める範囲を求める。
次にステップS0406で、手番かごm以外のかごについて、前ステップで求めた範囲から退避する経路を変更対象の経路計画に加える。手番かごm以外のかごには優先順が上位でもあるかごも含まれ、下位のかごがサービスするために、干渉している場合は退避を行うことがある。ただしここで、この退避するための経路は、上位のかご自身が優先してサービスを終えた後になる。範囲外へ退避する経路を加えたらステップS0407へ進む。
そしてステップS0407で、手番かごmがサービスする経路を変更対象の経路計画に加える。ここで、他のかごと干渉する場合は、退避移動を待った後に移動するための経路を加える。手番かごmが保持している全ての未応答の呼びをサービスする経路計画に変更したらステップS0408へ進む。
最後にステップS0408でステップS0404に戻り、手番かごmを優先順が次であるかごとして繰り返す。優先順位が最下位であるかごについて追加したらこの手続きを終了する。
{1.4.2 経路計画の再編成の例1}
経路計画の再編成の例を挙げる。図6は9階床のシャフトに3台のかごが走行するワンシャフトマルチカーエレベータである。現在、かごC3、かごC2、かごC1がそれぞれ、6階、5階、2階に位置しており、どの呼びにもサービスしておらず、停止しているとする。この時点では、8階から5階への呼びH1と、1階から4階への呼びH2が未応答の状態で存在しており、担当するかごはまだ決定されていない。呼びの発生時刻はH1が前でH2は後である。この状態で運行方式を前述のセレコレ方式として、手続きRECOMPOSE_PLANを開始する場合を具体的に説明する。
はじめにステップS0401で呼びへの割当を行う。呼び割当手段には種々考えられるが、この例では、出発階と行先階の両方に移動できるかごが唯一である場合はそのかごに割り当てる。そして複数存在する場合は、全階床をかご台数で等分に、ただし、下かごは上かごより1階床だけ多くしたゾーンに区切り、各かごはゾーンの上側の境界以下に発生した呼びを担当するものとする。この例では9階床のシャフトに3台のかごが走行しているため、最下かごであるC3はサービスするために移動する区間の最上階が4階以下の呼び、中間かごであるC2は最上階が5階から7階までの呼び、最上かごであるC1は8階以上の呼びを担当させる。従って、呼びH1の最高階床は9階なのでかごC3に、呼びH2の最高階床は4階なのでかごC1に割り当てられる。かごC2については該当する呼びが存在しないため、呼びは割り当てられない。
次にステップS0402で優先順を決定する。優先順決定手段には種々考えられるが、ここでは最旧要求順、すなわち、各かごが保持している呼びのうち最も旧い呼びの発生時刻で比較し、最も旧い呼びを持つかごの順番とする。例では呼びH1、H2の順で発生しているため、呼びH1を保持するかごC3が最上位で、呼びH2を保持するかごC1が次で、呼びを保持しないかごC2は最下位となる。なお、最も旧い呼びの発生時刻が同じである場合、かごの号機の番号など、同点の場合に決着できる方法を用いて優先順を決定する。
次のステップS0403では現在乗客を乗せているかごが存在せず、確定されている部分は存在しないため、経路計画は図6のままである。
そして、ステップS0404からステップS0407について、優先順、この例では手番かごをC3、C1、C2に順次変えながら、ステップS0405とステップS0406を繰り返し行う。
まず、手番かごC3について、ステップS0405を実行する。かごC3に割り当てられている呼びは8階から5階への呼びH1で、それをサービスするために移動する範囲は、6階から8階へ上昇して5階へ下降するので、5階から8階である。次のステップS0406で、この範囲に干渉するかごC2を4階へ退避させる経路を追加する。この段階における変更対象の経路計画を図7に示す。そしてステップS0407でかごC3がサービスするための経路、すなわち、8階へ上昇して5階へ下降する経路、を加える。ただし、かごC3が5階へ下降する際に、かごC2が4階に下降するまで待機する必要がある。この段階における変更対象の経路計画を図8示す。
次に手番かごC1についてサービスする経路を加える。まずステップS0405でかごC1の移動する範囲を求める。かごC1には1階から4階への呼びH2が割り当てられており、終点である2階から1階へ下降して4階へ上昇するので、移動範囲は1階から4階である。次のステップS0406で、かごC2の終点はかごC3を退避した後の4階であるので、5階へ退避する必要がある。さらに、かごC2が5階に退避すると、終点が5階であるかごC3と干渉する。従って、かごC3が6階に退避する経路を加えた後、かごC2が5階に退避する経路を加える。この段階における経路計画を図9に示す。そしてステップS0407で、かごC1がサービスするための経路、すなわち、1階へ下降して4階へ上昇する経路を加える。ただし、3階から4階へ上昇する際はかごC2と干渉するので、ステップS0406で加えた経路計画の消化されるまで待機する必要がある。この段階における経路計画を図10に示す。
最後に、手番かごC2についてステップS0405からステップS0406を実行する。この例では呼びが割り当てられていないため、サービスするための経路を加える必要は無く、かごC1についてステップS0407を実行した後の図10のままである。この段階で全てのかごについて終えたので、再編成した経路計画は図10となる。なお、優先順に関わらずサービスする呼びが存在しない場合は、経路を変更すること無く手番かごの処理を終える。
このように、優先順の上位であるかごがサービスするための経路は変更されず、下位であるかごについては、上位のかごに干渉しないように退避を行う経路を加える。ただし、優先してサービスの手番を終えた上位のかごについて、下位であるかごがサービスするための経路と干渉する場合は、退避するための経路を追加することがある。つまり優先順は、干渉する場合にあくまでもどちらがサービスを先に行うかを決めるものに過ぎず、優先してサービスを終えた後に、他のかごのために退避することがある。
{1.4.2 経路計画の実体}
ところで、経路計画の実体は先述の通り、運行制御対象の各かごに対する一連の操作である。例を図11に挙げる。同図の経路計画P11は、9階床のシャフトを3台のかごが走行する例で、K1101はかごC1が5階から1階へ下降して2階へ上昇する経路、K1102かごC2が7階から4階へ下降する経路、K1103はかごC3が8階から9階へ上昇して6階へ下降する経路である。また、かごC2は4階を行先階とする乗客を運んでいるものとする。
この経路計画P11は図12の表と等価である。表の行成分は操作対象のかごの号機、列成分は操作を行う順番を示している。操作には移動操作、待機操作、遊休操作がある。移動操作は「移動元→移動先」の形式で表される。例えばかごC3の1番目の「8→9」が移動操作で、8階から9階への走行することを表している。
待機操作は「WAIT(待機対象のかごの号機:待機する手順の番号)」を表している。例えばかごC3の3番目の「WAIT(C2:1)」が待機操作で、かごC2が1番目の操作が終わるまで移動しないことを表す。かごC3の5番目の操作も待機で、かごC2が3番目の操作が終わるまで次の移動しないことを表す。
遊休操作は「停止階床 方向」で表され、その停止階床でかごの移動を中断し、サービスを再開するときはその方向から行うことを表す。例えば図12のかごC3の7番目の「6↓」が遊休操作で、6階で停止し、サービスを再開するときは下方向から行うことを表す。従って、この表のC1、C2、C3行はそれぞれ、対応するかごの経路K1101、K1102、K1103に相当する。
また、乗客を乗せていて行先階まで経路を変えずに確定している場合は、「!」を付けて表す。例えば図12のかごC2の最初の操作は7階から6階への移動で、この操作は確定されており、次に経路計画を再編成してもステップS0403で削除されない部分である。さらに、干渉する場合は待機操作についても確定されることがあり、図12のかごC2の操作が確定された待機操作の例である。この確定操作に関しては、図12におけるC2の行の3番目から5番目の操作のように上部に確定の印を付ける、あるいは、C1の行の1番目と2番目の操作のように枠で囲うことで示すこともある。
従って、各かごの経路計画は図6〜図10のように、運行線図、すなわち、横軸が時刻で縦軸が階床とした各かごの位置の時間変化、のような形式で表すこともできる。しかし、経路計画そのものは実際の運行線図とは異なり、実時間の運行予定も運行実績も表しておらず、単に、各かごに対する一連の移動、待機、遊休からなる操作の系列に過ぎない。つまり経路計画は、どのかごがどこへ移動するのか、干渉するときはどの移動を待ってからにするのか、あるいは、遊休するときにどこで停止してサービスを再開するときはどの方向からか、を表している。
また、経路計画に基づいて各かごの移動を行う際、1階床ずつ移動する必要はない。次の移動方向を変える位置、次に乗客を乗せ降ろしをするための位置、衝突しないように退避あるいは待機を行う位置、あるいは、経路計画の終点までのうち、最も近い階床までで良い。例えば図11のかごC3の下降、すなわち、図12のかごC3の3番目から6番目までの操作を行う際は、既にかごC2が5階以下に下降していた場合は、途中で待機のために停止せずに移動することができる。
ただし、かごC2が7階あるいは6階で乗客の乗せ降ろしを行い、なおかつ、それが長時間になる場合は、かごC3はかごC2に衝突しないように途中で待機しながら移動する必要がある。そして、かごが呼びに応答するときは、応答条件を満たす必要がある。
この応答条件とは、呼びの出発階から行先階までの移動経路が、経路計画の現時点から次の反転位置(反転しなければ終点)までの部分経路に含まれていることである。例えば図11における経路計画においてかごC2が6階へ下降したとき、6階から4階への呼びに応答することができる。しかし、仮に6階から3階へあるいは2階への呼びがあるとしたとき、6階から3階ないし2階へ下降する経路が存在しないため、呼びに応答しない。応答する場合は行先階まで移動するための経路計画に改めてからとなる。なぜなら、経路計画P11が変更されてかごC2が4階へ下降した後に反転する場合も考慮しなければならず、3階以下への呼びに応答すると非逆走性に違反する可能性があるからである。
{1.4.3 経路計画の編成例2}
さらに経路計画の変更例を前述の表形式も加えて説明する。これは非逆走性と非分割性を満たしていれば、退避している途中でも呼びに応答する例でもある。
図13あるいは図14は現在、かごC1、C2、C3がそれぞれ、1階、7階、8階に位置しており、乗客を乗せておらず、それぞれ、下方向、下方向、上方向で停止している経路計画である。ここで、9階から6階への呼びH3、1階から4階への呼びH4、6階から4階への呼びH5、5階から2階への呼びH6、5階から8階への呼びH7、4階から2階への呼びH8が順に発生し、未応答の状態で存在しているとする。
まずステップS0401で呼びの割り当てを行う。ここでも前述のゾーンによる割当を用いるものとし、この例ではかごC1にはH4とH8、かごC2にはH5とH6、かごC3にはH3とH7が割り当てられる。
次のステップS0402で優先順の決定を行う。ここでも前述の最旧要求順を用いるものとする。この例ではかごC1については呼びH4とH8の旧い方であるH4、かごC2ついては同様にH5、かごC3については同様にH3であるため、優先順はかごC3、かごC1、かごC2となる。続くステップS0403では、現在乗客を乗せているかごが存在しないため、確定されていない経路計画を削除した後は、図13あるいは図14である。
そして、かごC3、かごC1、かごC2の優先順でステップS0404からステップS0408までを繰り返す。
まず、最優先のかごC3についてステップS0405で求められる範囲は、5階から9階である。そのため、ステップS0406で、干渉しているかごC2を4階へ退避させる経路を加える。続くステップS0407でかごC3について8階から9階へ上昇し、9階から5階へ下降した後、8階へ上昇する経路を加える。ただし、かごC2は優先するかごを退避するために7階から4階へ下降するので、かごC3が7階以下へ下降する際はかごC2の退避移動を待機することになる。この段階の変更対象の経路計画は図15あるいは図16となる。
次にかごC1においてサービスするための経路と他のかごを退避させる経路を加えることになる。かごC1は呼びH4とH8をサービスするために、1階から4階へ上昇して2階へ下降する経路を加える。ステップS0405で求められる範囲は1階から4階で、かごC2の終点である4階と干渉する。
このため、かごC2については5階へ上昇する経路を加える。ただし、かごC2が5階へ上昇する際、優先かごであるC3がサービスするために5階まで下降した後の上昇を待機することになる。この段階の変更対象の経路計画は図17あるいは図18となる。
次のステップS0407で手番かごであるかごC1が4階へ上昇して2階へ下降する経路を加える。4階へ上昇する際に既存の経路と干渉するので退避移動を待機する操作を加える。この段階の変更対象の経路計画は図19あるいは図20となる。
最後にかごC2を手番かごとしてサービスするための経路を追加する。現段階のかごC2の経路は、他のかごを退避するために、7階から4階へ下降し、4階から5階へ上昇した経路である。この経路は6階から4階への呼びH5をサービスする経路を含んでいるため、新たに加える経路は、5階から2階への呼びH6のみをサービスする経路となる。
従ってステップS0405で、かごC2の移動範囲は5階から2階となる。ステップS46とステップS47は同様に、かごC1を1階に退避させる経路を加え、かごC2が2階へ下降する経路を加える変更を行う。この段階の変更対象の経路計画は図21あるいは図22である。ここで全てのかごについて終えたので、ステップS0408からS0404の繰り返しの条件を判定し、繰り返しを終えて手続きRECOMPOSE_PLANを終了する。
ちなみにこの例では、かごC2の下方向のサービスが2回の下降に分けて行われている。ただし、仮に何らかの優先順決定手段がかごC2に対してかごC1よりも高い優先順を与えた場合、1回目の下降で全ての呼びをサービスすることになる。
{1.5 経路計画の確定}
{1.5.1 確定の手順}
そして、呼びに応答するための経路計画の確定する手続きFIX_PLANを説明する。図5はこの手続きを示すフローチャートで、手続きSYSTEM_MAIN_LOOP(図2)のステップS0205で、いずれかのかごが呼びに応答する際に行う処理の詳細である。
この処理はステップS0501からステップS0507で、各かごの確定処理を順不同に行う。ここで確定処理を行うかごをmとし、着目かごとする。
そしてステップS0502からステップS0506で、着目かごmが応答する呼びそれぞれについて確定処理を行う。ここで着目かごmが応答する呼びをqとし、着目呼びqとする。
まずステップS0503で、着目かごmについて現在の操作から応答呼びの最遠行先階へ移動するまでの全ての操作を確定する。
次のステップS0504で、ステップS0503で待機操作を確定した場合は、その待機対象のかごの、待機対象の手順までの操作についても確定する。
そしてステップS0505で、ステップS0504で待機対象のかごの待機操作を確定した場合、さらに待機対象のかごの待機対象についても操作を確定する。すなわち、待機操作を確定すると、それに関連する全ての操作に付いて、順次確定を行う。待機対象となる部分を確定させたらステップS0506に進む。
ステップS0506でステップS0502に戻り、着目かごmが他に応答する呼びが存在する場合は、着目呼びqをその呼びとして確定処理を行う。着目かごmがが応答する全ての呼びについて終えた後、繰り返しを終えてステップS0507に進む。
ステップS0507でステップ0501に戻り、他に確定処理を終えていないかごがある場合、それを着目かごとして応答する呼びの確定処理を行う。そして、全てのかごについて処理を終えた後、手続きFIX_PLANを終了する。
{1.5.2 確定の例}
手続きFIX_PLANの例として、図21あるいは図22の経路計画において、かごC1が呼び1階から4階への呼びH4に応答する場合を説明する。ここではひとつのかごがひとつの呼びの応答についての例で、応答するかごまたは呼びが複数の場合も同様である。
まずステップS0501で着目かごmはかごC1となり、ステップS0502で応答呼びqは1階から4階への呼びH4となる。
ステップS0503で、H4の行先階が4階であるので、4階へ上昇する手順までの全ての操作、すなわち、図22のかごC1について1番目から4番目の操作まで全て確定する。確定した操作を「!」で表すと、図23となる。
次にステップS0504で確定した操作のうち、3番目のWAIT(C2:5)は待機操作である。そのため待機対象のかごC2について、待機対象の順番である5番目までの操作を全て確定する。この段階の経路計画を図24に示す。図23との違いはかごC1の待機しているかごC2の経路計画を確定している部分である。
さらにステップS0550で、ステップS0504で確定した経路計画のうち、かごC2の4番目のWAIT(C3:9)は待機操作である。そのため待機対象のかごC3について、待機対象の順番である9番目までの全ての操作を確定する。かごC3について確定した操作の中には、かごC2を待機する操作が含まれている。しかし、既にかごC2における処理で確定されているため、この段階で確定操作を終了する。この段階の経路計画を図25に示す。
なお、図25で示した経路計画を再編成する際、ステップS0403で未確定の全ての操作を削除することになる。この場合、図25における「!」の付いていない全ての操作、すなわち、かごC3の10番目以降、かごC2の6番目以降、かごC1の5番目以降の操作が削除対象なる。未確定の操作を削除した結果が図26で、図27の実線の部分である。また、図27の点線の部分は削除された経路計画である。
実施の形態2
{2.呼び割当…経路包含割当}
上記の実施形態1においては呼び割当手段12として、全階床をかご台数で等分に区切ったゾーンに基づいた割り当てを用いた。しかし、本発明においてはこれに限る必要はなく、異なる呼び割当手段を用いることができ、これを実施の形態2として以下に説明する。なお、呼び割当手段以外の部分については実施の形態1と同様である。
例えば、ある呼びが発生したとき、その呼びをサービスするための経路を含む経路計画を保持するかごが存在すれば、そのかごに割り当てるような方法を呼び割当手段として用いても良い。ただし、複数のかごが存在する、あるいは、どのかごの経路計画もその呼びをサービスする経路を含んでいない場合は、例えば保持している呼びの数、サービス完了までに移動を要する階床の数、かごの号機の番号など、同点の場合に決着できる方法を用いて割り当てを決定する。この割当を経路包含割当と呼び、一般的な手順は手続きALLOCATE_TO_MOST_COMPRISABLEで、フローチャートは図28である。
この手続きを図29に示す経路計画P29における状態で適用した場合を示す。この例では9階床のシャフトを3台のかごが走行しており、経路計画P29の各かごのC1、C2、C3の経路計画K2901、K2902、K2903はそれぞれ、3階から1階へ下降した後2階へ上昇、5階から8階へ上昇した後4階へ下降、9階から7階へ下降して再び9階へ上昇である。
はじめにステップS2801で、呼びをサービスする経路の全てが経路計画に含まれるかごを割り当て候補として抽出する。例えば経路計画P29において、H9の移動範囲である8階から7階への下降を含んでいるかごはかごC3とかごC2の2つで、これらが割り当て候補となる。候補を抽出したらステップS2802に進む。
次のステップS2802でサービス経路を含む割り当て候補の数に応じた処理を行う。0台(無し)の場合はステップS2803に、1台ならばステップS2805に、複数存在する場合はステップS2806へ移行する。この例では割り当て候補が2つ存在するのでステップS2806へ進む。
ステップS2806で複数の候補を1つにする処理を行う。ここでは候補の中で最上のかごとしており、C2とC3が候補である例ではかごC3に呼びH9を割り当てる。この段階で割り当てが決まるので、手続きALLOCATE_TO_MOST_COMPRISABLEを終了する。
一方でステップS2803は割り当て候補が無い場合に移行する。例えば経路計画P29の例では、1階から3階への呼びH10が発生したときに、経路K2901〜K2903のいずれにも含まれていない場合である。このステップで出発階と行先階の両方に移動可能であるかごを割り当て候補として抽出し、ステップS2804へ進む。
そしてステップS2804で再び割り当て候補の数を判定する。1つならばステップS2805に、複数ならばステップS2806へ進む。この例では呼びH10を割り当てる際、候補となるかごは1階へ移動可能なC1のみなので、ステップS2805へ進むことになる。
また、ステップS2805は候補が1つである場合に進み、その候補に呼びを割り当てる。ここで割り当てが決まるので、手続きALLOCATE_TO_MOST_COMPRISABLEを終了する。
なお、ステップS2806の複数候補を比較して1つに絞る処理は、かごの号機に限らず、例えば呼びの個数の少なさや現在位置から応答するまでに要する移動操作の数の少なさなど、所定の比較尺度を用いて候補を絞る処理を行っても良い。ただし、最終的には候補を1つにし、その候補に割り当てる必要がある。
実施の形態3
{3.優先順の決定…最長非移動順}
上記の実施形態において優先順の決定は、各かごが受け持っている呼びのうち発生時刻が最も旧い呼びを保持しているかごから優先順を上位に設定する方法について説明した。この方法は公平性、すなわち、呼びを保持している限り必ずサービスを行うことができること、を保障している。なぜなら最悪でも、他の旧い呼びがサービスされた後には必ず、呼び保持しているかごが最優先になり、サービスするための経路計画に編成され、確定することができるからである。もちろん本発明では公平性を保証していれば、他の方法も優先順決定手段として適用することができる。実施形態3では前述の方法とは異なる優先順の与え方である最長非移動順について説明する。この優先順決定手段は、過去に呼びをサービスするための経路を含む経路計画が作成され、なおかつ、実際に移動した時刻が最も旧いかごから順番に優先順を与える方法である。具体的な処理は手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTである。
{3.1 最長非移動順を適用する際の経路計画を変更するタイミング}
まず最長非移動順の手順の前に経路計画を変更するタイミングについて説明する。手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTは、前述の旧い呼び順と同様に、手続きRECOMPOSE_PLANのステップS0402で実行される。これは手続きUPDATE_PLAN(図3)のステップS0304を経て、手続きSYSTEM_MAIN_LOOP(図2)のステップS0202から呼び出される。従って、ステップS0204で経路計画を変更するタイミングは、新たに呼びが発生した直後、あるいは、シャフト内のいずれかのかごが経路計画の移動操作を実行した直後である。この移動直後のタイミングには、かごが停止した時点だけでなく、走行中ならば減速すれば停止が可能な最も近い階床が次の階床に変わった時点も含まれる。
{3.2 最長非移動順による優先度の手順}
次に手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを説明する。この手続きのフローチャートは図30である。
はじめにステップS3001からステップS3010までは全てのかごについて優先度を計算する処理を行う。優先度の計算はかご毎に独立なのでどのかごから行っても良い。ここでは現段階で優先度を計算しているかごmを着目かごとする。
まずステップS3002で着目かごmの優先度を負の無限大に初期化する。そして、ステップS3003からS3009で、着目かごmが保持している呼びについて優先度を調べ、最も大きい値を計算する処理を行う。現在処理している呼びqを着目呼びとし、優先度を調べる順番はどの呼びからでも良い。
そしてステップS3004で、着目呼びqのサービス経路を求め、それをkとする。サービス経路とは呼びの出発階から行先階まで反転せずに移動するための、待機操作と遊休操作を含まない一連の移動操作である。サービス経路kを求めたらステップS3005に進む。
次のステップS3005で、着目かごmについて過去に、サービス経路kを含む経路計画が作成され、なおかつ、サービス経路kの全ての移動操作を消化したことがあるか検出する。さらに詳しく説明すると、着目かごmに過去にサービス経路を反転せずに移動した実績が存在し、そして、移動した実績があれば移動開始時点の経路計画によってサービス経路kの終点まで反転せずに移動することができたかを検出する。検出されたらステップS3006へ、そうでない場合はステップS3008へ進む。
続くステップS3006で、着目かごがサービス経路kを最後に消化を開始した時刻を計算する。この時刻をbとし、最終消化開始時刻と呼ぶ。
次にステップS3007で現在の優先度と、最終消化開始時刻bの正負を逆転した値を比較し、大きい方を優先度とする。つまり、最終消化開始時刻の旧さが優先度となる。優先度の比較をしたらステップS3009に進む。
一方ステップS3008で着目かごの優先度を正の無限大にする。この処理は着目かごmがサービス経路kを反転せずに移動した実績がない、あるいは、実績があっても移動開始時の経路計画がサービス経路kを含まなかった場合に進む。従って、最終消化開始時刻bを負の無限大として扱い、ステップS3007の比較処理を行うことと実質的に同じである。優先度を無限大にしたらステップS3009へ進む。
そしてステップS3009でステップS3003に戻って、他に呼びがあればそれを着目呼びとして繰り返し行う。着目かごmが保持する全ての呼びついて終えたらステップS3010へ進む。
そしてまたステップS3010でステップS3001に戻り、まだ優先度を計算していないかごがあればそれを着目かごとして、繰り返し行う。全てのかごについて優先度を計算したらステップS3011へ進む。
最後にステップS3011で、優先順を優先度の大きい順になるように設定する。この結果、優先順は、最終移動時刻が最も旧いかご、すなわち、最も長く移動していなかったかごの順になる。なお、優先度が同じ場合は実施形態2と同様に、何らかの方法で優先するかごを決定する。
優先順が決まればこの手続きを終了し、手続きRECOMPOSE_PLANのステップS0402の終わりから処理を続け、ステップS0404でこの優先順が用いられることになる。
{3.3 最長非移動順の例}
ここで手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを用いた運行の例を挙げる。
この例は9階床のシャフトを3台のかごが走行するワンシャフトマルチカーエレベータである。呼び登録方式は乗場行先階登録方式とする。ここでは簡単のために、各かごは1階床を1時区間で走行するとし、乗客の乗せ降ろしのために要する停止時間も1時区間であるとする。そして、安全性を満たすための条件を、かごが移動を開始する時点で移動先の階床に他のかごが存在、あるいは、進入しないこととする。そのため安全条件を満たしていない間は停止することになる。
さらに呼び割当手段は、前述のゾーンによる割り当て方法であるとする。ただし、これらかごの駆動方法および安全条件は手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを用いた運行を簡単に説明するためであるため、例と異なる場合はそれぞれの前提条件に従って運行するものとする。
運行開始の時点では各かごC1、C2、C3はそれぞれ、1階、2階、3階で遊休しているとする。各かごは移動可能である空間の最も低い階床に位置しているため、次にサービスを行う方向は上とする。
まず、この例において発生する呼びと、運行結果について述べる。運行開始の状態を時刻0とし、この時点ではいずれのかごも移動した実績がないものとする。運行制御開始から図31に示される呼びが発生すると、運行結果は図32で示される運行線図になる。
図31は呼びの発生系列で、発生時刻、出発階、行先階の関係が示されている。発生する呼びはH11からH18の8個で、H11は時刻1に発生する3階から7階への呼び、H12は時刻4に発生する9階から6階への呼び、H13は時刻6に発生する5階から2階への呼び、H14は時刻8に発生する5階から8階への呼び、H15は時刻13に発生する5階から2階への呼び、H16は時刻18に発生する6階から1階への呼び、H17は時刻20に発生する7階から9階への呼び、H18は時刻22に発生する3階から7階への呼びである。
図32は時刻25までの運行線図、すなわち、各かごについての時刻と位置の関係であり、経路計画ではなく、実際に運行した結果を表している。
次に図31の呼び発生系列に対して図32の運行結果に至るまでに手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを適用する例を、時間の経過とともに説明する。ただし、前述の呼び発生系列について、運行管理装置10は将来に発生する部分は未知で、既に発生した呼びに基づいて運行するものとする。
時刻1では3階から7階への呼びH11が発生する。この時点で経路計画の再編成を行い、ステップS0401で呼びH11をかごC2に割り当てる。そして次のステップS0402で手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを実行する。ステップS3001では、各かごについて、ステップS3002からステップS3009を実行する。
まず、かごC1についてステップS3002を実行すると優先度は負の無限大となり、未応答の呼びを保持していないのでステップS3003らステップS3009は行われず、ステップS3002で設定した負の無限大が優先度となる。
次にかごC2について、ステップS3002を実行すると優先度は負の無限大となり、割り当てられた呼びH11についてステップS3003からS3009の処理を行う。ステップS3004でサービスするための経路は3階から7階となり、ステップS3005では過去に経路計画も移動した実績もないため、ステップS3008に進み、優先度は正の無限大となる。
最後にかごC3については、呼びを保持していないかごC1と同様に、優先度は負の無限大となる。これで各かごについて優先度を計算したので、ステップS3011に進み、優先順を設定する。これは優先度の降順(同点の場合は上かご優先)であるため、かごC2、かごC3、かごC1となる。
その後は手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTで設定した優先順で経路計画の再編成を行う。結果は図33に示す。そして、各かごは経路計画に従って、かごC3は退避移動を開始し、かごC2はかごC3と衝突するので待機を行い、かごC1は1階で遊休する。
呼びH12が発生する時刻4までは図33の経路計画に従って、消化済みの部分を削除しながら各かごを運行する。かごC2は時刻2に3階へ移動し、時刻3に呼びH11に応答するために停止する。このとき、かごC2が7階まで上昇する部分と、待機対象の対象となるかごC3が8階まで退避する部分を確定する。一方で、かごC3は6階まで移動し、かごC1は1階で遊休する。
時刻4では9階から6階への呼びH12が発生する。この呼びはかごC3に割り当てられる。呼びH11はサービス中で、未応答の呼びはかごC3に割り当てられた呼びH12のみであるため、かごC3が最優先になる。経路計画を更新すると図34になる。確かにかごC3が最優先であるが、かごC2は既に呼びH11を応答したため、呼びH12のサービスは8階への退避した後になる(仮に呼びH11が逆でかごC2が応答するために移動していたとすると、かごC2は途中で引き返すことになる)。そして各かごは再編成された経路計画に従って運行し、かごC3、C2はそれぞれ、7階、4階へ移動する。
時刻5までは図34の経路計画に従って運行し、かごC3は8階へ、かごC2は5階へ移動する。
時刻6で5階から2階への呼びH13が発生し、経路計画の再編成時にかごC2に割り当てられる。かごC3、かごC2が保持している未応答の呼びはそれぞれ、H12、H13である。かごC3とかごC2は両方とも、経路計画も移動実績もないため優先度は正の無限大となり、優先順はかごC3、かごC2、かごC1となる。この後に経路計画が再編成されて図35となる。そして、かごC3は8階から9階へ、かごC2は5階から6階へ移動する。呼びのサービスも退避移動もないかごC1は1階で遊休する。
時刻7でかごC3は9階から7階への呼びH12に応答するために、経路計画の7階まで下降する部分の確定する。かごC3は呼びH12を応答するために停止し、かごC2は6階から7階への移動を行う。
時刻8で5階から8階への呼びH14が発生する。これはかごC3のゾーン内であるためそれに割り当てられる。ここで経路計画の再編成を行うために手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを実行する際、かごC1、かごC2、かごC3の優先度はそれぞれ、負の無限大、正の無限大、マイナス3となる。ここで、かごC3の優先度を計算するために呼びH14についてステップS3005を実行すると、時刻3から時刻5の間に5階から8階へ移動した実績があり、なおかつ、移動を開始した時刻3の経路計画(図33の時刻2までに消化した部分を除いた部分計画)が8階へ反転せずに移動する部分計画を含む。従って、ステップS3006に進むと最終消化開始時刻bは移動を開始した時刻3となり、ステップS3007でかごC3の優先度がマイナス3となる。優先順はC2、C3、C1となり経路計画を再編成すると図36となる。つまり、仮に時刻3に5階から8階への呼びがあったならば、かごC3は応答することができたことになる。そして、この経路計画に従って運行すると、かごC2は呼びH11の乗客を降ろすために停止し、かごC3は呼びH12を運ぶために8階へ下降する。
時刻9から時刻12まで、図36の経路計画に従って消化済みの部分を削除しながら運行する。かごC2は呼びH13に応答するために時刻11に停止しながら下降し、かごC3は呼びH14に応答するために下降する。ただし、かごC3は時刻9と時刻12で待機操作を行う際、移動を継続するとかごC2と衝突するので停止する。
時刻13で5階から2階への呼びH15が発生し、経路計画を再編成する際に、かごC2に割り当てられる。そして、手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTでかごC1、かごC2、かごC1の優先度を計算すると、負の無限大、正の無限大、マイナス3となる。かごC2は時刻13において4階に位置し、5階から2階への呼びH13を搬送中であるものの、5階から2階へ移動した実績はないため、優先度は正の無限大となる。優先順はC2、C3、C1となり、経路計画を再編成すると図37になる。そして、かごC2は3階へ移動し、かごC3はかごC2がH15に応答して下降するまで待機する。
時刻14まで図37の経路計画に従って、消化済みの部分を削除しながら運行する。かごC3は待機し、かごC2は2階まで下降する。そしてかごC2の移動後の時刻15において、経路計画を再編成するために手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTを実行する。ここでかごC2が保持する呼びH15についてステップS3005を実行すると、かごC2は現時点で5階から2階へ移動したのでステップS3006に進み、最終消化開始時刻は12となり、優先度はマイナス12となる。かごC3の優先度はマイナス3である。従って優先順はC3、C2、C1に変わり、経路計画を再編成すると図38となる。
時刻15から時刻17までは図38の経路計画に従って運行する。時刻15にかごC1は5階へ移動し、かごC2は2階に停止して呼びH13の乗客を降ろす。時刻16にかごC3は呼びH14に応答するために8階までの経路計画を確定し、5階で停止して呼びH14の乗客を乗せる。かごC2は呼びH15に応答するために5階へ移動する。時刻17ではかごC3は6階へ、かごC2は4階へ移動する。
そして時刻18で6階から1階への呼びH16が発生する。経路計画を更新するとき、1階へ移動可能な唯一のかごC1に割り当てられ、優先順はかごC1、かごC2、かごC3となり、経路計画は図39になる。そして、各かごは上方向に移動する。次の時刻19でも各かごは上方向に移動する。時刻19の移動が終わった時点でのかごC1、C2、C3の位置はそれぞれ、3階、6階、8階となる。
時刻20で7階から9階への呼びH17が発生する。経路計画を再編成するときにかごC3に割り当てられ、優先順はかごC1、かごC3、かごC2になる。かごC3は時刻5に7階から9階への移動を行った実績があるので優先度はマイナス5、かごC2のマイナス12より優先されることになる。従って、経路計画は図40となる。そして、かごC2は7階に、かごC1は4階へ移動する。
時刻21ではかごC3、かごC2は待機のために停止し、かごC1は呼びH16に応答するために引き続き5階へ移動する。
時刻22で3階から7階への呼びH18が発生する。経路計画を再編成するときにかごC2に割り当てられる。そして各かごについて優先順の計算を行い、かごC1、かごC3はそれぞれ、正の無限大、マイナス5となる。しかし、かごC2の優先度はマイナス17でもマイナス12でもなく、マイナス4である。なぜなら、時刻17から時刻20の間にかごC2が3階から7階へ上昇した実績はあるものの、時刻17において消化した経路計画は5階までの部分であって、7階まで移動する経路計画の部分ではないからである。移動の実績も移動開始時に経路計画が存在した時刻は、呼びH11を運ぶために移動を始めた時刻4である。従って優先順は、かごC1、かごC2、かごC3の順となり、経路計画は図41となる。
このように、反転せずに移動を行っても移動を開始した時点で経路計画が存在しない場合、最終消化開始時刻はさかのぼって検索されることになる。結果的に移動だけはできても、仮にサービス経路が同じ呼びがあったとすると、移動か応答かを選択する時点で応答できるとは限らないからである。
{3.4 最長非移動順の公平性について}
また、手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTが公平性を保証することを説明する。
まず、要求型という概念を説明する。要求型とは出発階と最も遠い行先階の2つ組で、乗場行先階登録方式である場合は出発階と行先階、方向指定方式である場合は出発階と最上階または最下階の2つ組である。要求型の数は運行制御の対象となるエレベータ毎に一定の有限値で、サービスを行う階床の数をfとすると、乗場行先階登録方式の呼びの型の数はf×(f−1)通り、方向指定方式の呼び型の数はする2×(f−1)通りである。ただしこの要求型の数は、サービス可能なかごが少なくとも1台は存在している場合である。
そして、手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTにおいて最終消化開始時刻は、要求型とサービス可能なかご号機の組み合わせ1つにつき、1つずつ記録される。そのため、あるかごがある要求型の呼びを保持している限り、最悪でも、他の全てのかごが他の全ての要求型について経路計画を編成して移動した後は、必ず、その呼びを保持するかごが最優先になり、呼びをサービスするための経路計画を作成し、応答する際に確定することができる。シャフト内のかご台数と要求型の個数は有限であるため、最優先を永久に得られないことはない。ゆえに、手続きLEAST_RECENTLY_MOVE_FIRSTは公平性を保証する。言い換えると、前述の資源、すなわち、出発階から行先階まで移動する空間、が公平に与えられることになる。
なお、最終応答時刻が最も旧い要求型を保持するかごから優先順を定めても、同様に公平性を保証することができる。他の全ての要求型について応答されると、次は必ず、その呼びを保持するかごが最優先になるからである。
実施の形態4
{4.呼び割当手段…半周割当}
上記の実施形態では、その何れにおいても、各かごの経路計画には割当てられた全ての呼びをサービスするための経路が含まれる。この方法によると、当然ながら背面呼び(かごの運転方向と同方向の呼びで、呼びの出発階がかごの後方に位置する呼び)も経路計画の中に含まれることになるため、背面呼びを有するかごの優先順位が高い場合には、他のかごに長時間の待機を強いることになるという問題が生じる。特にアップピーク時(オフィスビルの出勤時のように、基準階を出発階とする上方向の呼びが集中する時間帯)に実施の形態1で説明したようなゾーン割当てを行うと、上かごが基準階を出発した後に背面呼びが生じて経路計画に組み込まれるため、上かごの優先度が高い場合には、他のかごを長時間待機させる結果となる。これを以下に具体例により説明する。
図43は、9階床2かごの例である。2階には8階への呼びH19、7階への呼びH20、5階への呼びH21、3階への呼びH22がこの順に発生しており、H19とH20は上かごに、H21とH22は下かごに割当てられている。上かごは呼びH19とH20の客を乗車させる際に、2階から8階まで上昇する部分経路が確定され、2階から3階へ移動する。
しかし、上かごが発進した直後に2階から9階までの呼びH23が発生した場合(図44)が問題となる。ここで優先順は実施の形態3で説明した最長非移動順であり、かつ電源が投入されたばかりで呼びH21〜H23と同一経路の呼びがまだ一度もサービスされていないとすると、各かごの優先度はすべて同一となり、最も上のかごが優先されて経路計画は図45となる。これの経路計画は上かごが背面呼びであるH23に応答するまで下かごに待機させる経路計画であり、シャフト全体の輸送力を損ねる原因となる。
このように本発明における優先順は呼びではなくかご毎に与えるため、後で応答する呼びについても優先順が同じになり、他のかごを待機させることになるのが問題である。そこで実施の形態4では、経路計画作成の際はそのかごが担当すべき全ての呼び(以下、この呼びの集合を課役割当と呼ぶ)ではなく、そのかごが次の反転までにサービスする呼び(以下、課役割当から抽出したこの呼びの集合を当務割当と呼ぶ)のみを用い、他かごの拘束時間の緩和を図る。この最終的に経路の編成対象と当務割当とする方法を半周割当と呼び、経路計画の編成対象に少なくとも背面呼びが含まれないようにするものである。
当務割当は上記のように課役割当から次の反転までにサービスする呼びを抽出した集合であり、当務割当は常に課役割当の部分集合である。実施の形態4においては、この当務割当のみを用いて経路計画の作成を行うようにしたものであり、以下にその詳細について説明する。なお、当務割当の抽出の方法については、象限という概念を用いると容易になるので、抽出の手順を説明する前にこの象限について説明する。
象限とは、あるかごの位置と運転方向から見た呼びの相対的な位置関係で、以下の4つの象限がある。
[第1象限]…着目位置から着目方向で見て、呼びの出発階が同じあるいは前方で、なおかつ、出発階から行先階への方向が着目方向と同じ、いわゆる前方。
[第2象限]…着目位置から着目方向で見て、呼びの出発階が前方(同じは含まない)で、なおかつ、出発階から行先階への方向が着目方向と逆、いわゆる対面。
[第3象限]…着目位置から着目方向で見て、呼びの出発階が同じ或いは後方で、なおかつ、出発階から行先階への方向が着目方向と逆、いわゆる反対。
[第4象限]…着目位置から着目方向で見て、呼びの出発階が後方(同じは含まない)で、なおかつ、出発階から行先階への方向が着目方向と同じ、いわゆる背面。
象限の例を図46に示す。この図はかごが上方向にサービス中のかごが5階に位置しており、5階から6階への呼びH24、6階から8階への呼びH25、2階から4階への呼びH26、4階から5階への呼びH27、1階から9階への呼びH28、8階から6階への呼びH29、9階から1階への呼びH30、6階から5階への呼びH31、5階から4階への呼びH32、4階から2階への呼びH33が未応答で割り当てられている状態である。
第1象限はH24とH25、第2象限はH29〜H31、第3象限はH32とH33、第4象限はH26〜H28である。方向が同じ呼びについては、反転しなくてもサービスが可能なH24は第1象限、出発階が後方で応答するのに反転が必要なH27は第4象限である。方向が逆の呼びについては、応答するのに前方に移動する必要があるH31は第2象限、その場で反転すればサービス可能なH32は第3象限である。
次に、実施の形態4における課役割当から当務割当を抽出する手続きALLCATE_TO_SERVEを図47に示す。ゾーン割当(実施の形態1)あるいは経路包含割当(実施の形態2)などの元の割当をこの手続きで修正する方法が、手続きRECOMPOSE_PLANのステップS0401を実現する具体的な内容のひとつである。それ以外の部分については実施の形態1と同様である。
以下、図47のフローチャートについて、図48に示す呼びの発生状況の一例に基づいて説明する。図48は、着目かごが3階に上方向で位置し、現在8階を行先階とする呼びを搬送している状態であり、4階から6階への呼びH34、5階から7階への呼びH35、9階から7階への呼びH36、9階から1階への呼びH37、7階から6階への呼びH38、3階から2階への呼びH39、3階から1階への呼びH40、2階から1階への呼びH41、1階から4階への呼びH42が課役割当されている。ステップ4701ではかごの当務方向を現在実行中の経路計画から計算してステップS4702に進む。この例では上方向である。ステップS4702ではかごの当務位置を現在実行中の経路計画から計算してステップS4703に進む。この例では3階である。
次にステップS4703では着目かごの当務割当を空集合として、ステップS4704に進む。ステップS4705ではまず第1象限の呼びを当務割当に加える。この例ではH34とH35が該当する。次にステップS4705で着目かごの最遠搬出階を計算する。呼びH34の行先階は6階、H35の行先階は7階であり、7階より遠方の搬送中の呼びがない場合は7階となる。しかしここでは8階への呼びを搬送中なので最遠搬出階は8階となる。そして、ステップS4706では最遠搬出階から見て第2象限の呼び1つを当務割当に加える。この例では9階を出発階とするH36とH37が第2象限で、当務割当に加えるのは搬送距離が短いH36の方である。このように、第2象限の呼びについて複数割当てないのは、反転後のかご間の干渉を少なくするためであり、必ずしも1つに限定する必要は無い。
次のステップS4707では当務割当または搬送中の呼びの有無を調べ、いずれかがあれば終了し、当務割当も搬送中の呼びもない場合はステップS4708に進む。この例では第1象限の呼び、第2象限の呼びが当務割当にあり、搬送中の呼びもあるので当務割当はH34、H35、H36となる。
ステップS4707で搬送中の呼びも象限が2以下である呼びもない場合にはステップS4708に進む。例えば図48において、8階への呼びを搬送しておらず、呼びH34〜H38が課役割当されておらずH39〜H42のみの場合である。ステップS4708では第3象限の呼びの有無を調べ、出発階が当務位置に最も近い呼びを1つ当務割当に加える。ただし、出発階が当務位置と同じ呼びが複数存在する場合は、その全てを割り当てる。この例ではH39とH40が該当し、H41は第3象限でも当務割当には加えない。これは方向を変えるとすぐに呼びに応答する可能性のためである。
次のステップS4709では当務割当の有無を調べ、存在するならば終了し、そうでない場合はステップS4710に進む。この例ではH39とH40が当務割当にあるので終了する。
ステップS4710では第4象限の呼びが課役割当に存在すれば、出発階が最も遠い呼びを当務割当に加える。出発階が最も遠い呼びが複数個ある場合は、搬送距離が最も短い呼びを1つ割り当てる。これは方向を逆にした場合は第4象限は第2象限の呼びになるので、ステップS4706と同様の方法で該当する呼びを当務割当に加える。
このようにして課役割当から着目かごがセレコレで運行したときに次に反転する位置までの呼びを抽出した当務割当を計算し、その当務割当の呼びだけを対象として、言い換えればかごの位置と運転方向から見て象限の小さい呼びを優先して経路計画の作成・変更を行うようにすることで、経路計画の編成の対象に少なくとも背面呼びが含まれないようにする。
実施の形態4によれば、元の課役割当と経路計画の作成の対象となる当務割当とを分けることで、応答が遠い先である呼びによって他のかごを待機させることが減少し、シャフトの輸送力を上げることができる。例えば図49に示すように、この状況では呼びH23が当務割当の対象にならず、下かごは待機させられずにサービスを行うことができる。なお、背面となった呼びH23は、上かごが8階で乗客を降車させた後に第2象限となるのでこのときに当務割当される。
なお、経路計画を編成する場合、当務割当された第2象限の呼びについては、出発階へ移動する部分だけとしても良い。この方法でも行先階へ運び終えるまでの経路計画を編成する場合と同様に、少なくとも次の反転位置まで移動する経路計画にすることは可能だからである。
実施の形態5.
{5.優先順決定…不要時降格補正}
不要時降格補正とは、実施形態3に示した最長非移動順による優先度決定方法の改良に関するもので、最長非移動順における移動時刻(すなわち最終消化開始時刻)の更新方法である。アップピークをゾーン割当で運行している場合、上かごが下降できるか否かは下かごより優先順位が高いか否かに依存する。そして、実施の形態4の最長非移動順では優先順をかごの移動した時刻を参照して決めるため、遠い過去にしか移動していない場合は、その時刻によって高い優先順が与えられ、他の多くのかごに待機を強いることがある。そのため、課役割当されていない場合は、すなわち、移動する必要が無い場合は、移動時刻を更新することで優先順を下げて待機を減らすことを図る。
図50は不要時降格補正が解決する典型的な問題例となる運行線図である。図50において、縦軸は階床、横軸は時刻、階床数9、かご数2で、最初は各かごは最下位置から運行を開始し、図51の要求発生系列に対してサービスを行う例を示したもので、2階を最下サービス階とし、6階以下が下かごのゾーン、7階以上が上かごのゾーンとしている。稼動開始時である時刻0では上かごも下かごも最下位置にあり、2階から8階への呼びと2階から6階への呼びが発生している。このとき両かごともに上方向のサービスを行い、その間の時刻6に2階から8階への呼び、時刻7に2階から5階への呼びが発生したとする。そして、時刻15は両かごともにサービスを行い、この間に時刻21に2階から8階への呼び、時刻22に2階から6階への呼びが発生したとする。ここで最長非移動順で優先順が決められ、2階から8階へは上かごが直前にサービスしているので下かごが2階から6階へ移動した時刻4の方が旧く、下かごが優先されて上かごは時刻33まで待機することになる。この状況は何回でも生じる可能性があり、時刻30に2階から6階への呼び、時刻44に2階から8階への呼び、時刻45に2階から5階への呼びが発生した後、下かごが上昇中に2階から6階への呼びと2階から8階への呼びが発生すると、上かごは待機を強いられることになる。
図50の問題例では、2階から6階への呼びは時刻18の時点で課役割当されていない、言い換えると2階から6階へは移動する必要がない、にも関わらず、下かごが2階から6階への上昇する経路に対する優先度が高い(移動時刻が旧い)ままであることが原因となっている。つまり一般的には、たった今呼びが割り当てられて経路が必要になったばかりなのに、あたかも昔から必要で今までサービスできなかったかのように扱われる状態が問題である。従って、移動する必要がない経路の時刻を更新すると、高い優先順位を得ることが無いので待機を強いることが少なくなる。
具体的な更新方法は、手続きUPDATE_TIMESTAMPSで、そのフローチャートを図52に示す。この手続はかごが移動を開始する、あるいは、制動停止が可能な階床が次の階床になる直前に実行し、ステップS5201で移動する着目かごをmとする。次のステップS5202からS5205で、移動方向が上ならば最上階、移動方向が下ならば最下階から現在階までステップS5203とS5204を繰り返す。ステップS5203で現在位置を出発階とし、最遠行先階が位置pである呼びが割当てられているか検出する。前述の半周割当(実施の形態3)を用いている場合は当務割当ではなく本来の課役割当を調べ、割当てられていない場合はステップS5204へ進む。
ステップS5204で現在位置から位置pまでの経路に対する移動時刻を現在位置に変更し、次は位置pを現在位置に1階床分近い階にして繰り返す。ステップS5203で呼びが割当てられている場合、少なくとも現在位置から反転せずに位置pまで移動する必要があり、位置pより遠方の最終消化開始時刻のみが更新された状態でこの手続を終了する。
例えば、図50の時刻19において下かごの移動開始時に時刻を更新する際、2階から5階までの呼びは搬送中で、いずれの呼びも割当てられていないため、2階から9階までに含まれる全ての部分経路の最終消化開始時刻である19に更新する。
また、かごが遊休操作を実行している場合、着目かごがサービスするために移動する必要がないためである。この遊休時の更新は一定の時間間隔で行う。
実施の形態5によれば、移動時刻は不要な経路、すなわち、移動時は呼びが割当てられていない経路(遊休時は全て)、に対して更新される。この処理により遠い過去に移動した時刻が参照されず、言い換えれば、今になって必要になったばかりなのにあたかも昔から必要であったかのように扱われることがなくなり、呼びを持つ他のかごを優先させることで待機を減らす効果がある。実際にこの方法を用いると、図50の時刻22において、上かごが参照する時刻は16、下かごが参照する時刻は19となり、上かごが優先となって待機せずに2階を出発階とする呼びに応答するために移動することが可能となり、シャフトの輸送力の改善が期待できる。
実施の形態6
{6.優先順の決定…同方向最後尾順補正}
アップピークにおける問題は実施の形態4に示した半周割当で解決することができる。しかし、ダウンピーク(オフィスビルにおける退勤時のように、各階から基準階へ向かう下方向の呼びが集中する時間帯)においては、最下サービス階から見て第2象限の呼びが主で、その行先は最下サービス階である。そのため、アップピークと同様にゾーン割当で運行すると、最下サービス階から上方向で見て第2象限の呼びしか存在しない状況では、実施の形態4で説明した半周割当を行ってもその呼びしか割当てられず、下かごに長時間の待機を強いることになり、シャフト全体の輸送力を損ねる原因となっている。そこで、同方向の場合は最後尾から優先順を与えることで、ダウンピークで改善するための方法を挙げる。
ダウンピーク時における典型例を図53に示す。上かごC2が2階に、下かごC1が1階に位置しており9階から2階への呼びH43、5階から2階への呼びH44が順に発生している。課役割当はH43が上かご、H44は下かごである。優先順を最長非移動順でも最旧要求順にしても上かごC2が優先され、上かごC2が9階へ上昇して再び2階へ戻るまでの間、下かごC1は待機することになる。これは前述の当務割当に分けても下かごC1のサービスを妨げることには変わらず、シャフトの輸送力が上がらない原因となっている。
そこで、実施の形態6では隣接するかごが同方向であるかご同士でグループに分け、グループ間ではグループ内で最も優先順位の高いかごの優先順を用い、グループ内では最後尾のかごから優先順を与えることで問題の解決を図る。この方法を同方向最後尾順補正と呼び、図54は優先順を決定する手続きDIRECTIONAL_TAIL_FIRSTのフローチャートである。
まずステップS5401で従来の優先順、例えば最旧要求順や最長非移動順、で各かごの優先順を決定する。ステップS5402〜S5410まではグループに分けて優先順を変更する処理で、ステップS5402で各かごをグループにする手続きMERGE_INTO_GROUPSを実行する。
図55は隣接するかご同士を方向別にグループにする手続きMERGE_INTO_GROUPSのフローチャートである。これは各かごについて最優先であったと仮定したときの仮方向を比べ、隣接するかごで同じならば同じグループにする手続きである。例を図56に挙げる。この図は7台のかごα〜ηがあり、下かごから順に仮方向は下、上、上、上、下、上、上で、手続きDIRECTIONAL_TAIL_FIRSTのステップS5401で定めた優先順は、3、7、5、1、2、6、4であるとする。
図55において、最初のステップS5501でグループ番号gを最初のグループである1とする。次にステップS5502において各かごについて最下かごから最上かごまで順に、ステップS5509までの処理を繰り返して行う。ステップS5503でかごαを第1グループに加える。次のステップS5504で上かごがあるか調べ、ここではかごβが上かごなのでステップS5505に進む。最上かごηの場合はステップS5504の判定は偽となり、この手続きを終了する。ステップS5505ではかごαを、ステップS5506ではかごβの仮方向を計算する。そしてステップS5507では仮方向を比べ、同じならばステップS5509に戻って繰り返し、異なる場合はステップS5508に進む。ここではかごαとβが異なる方向なのでステップS5508に進み、グループ番号gを1増やす。つまり、かごβはかごαとは異なるグループに属することになる。次の繰り返しでかごβとかごγについて仮方向を比較するときは、同じなのでステップS5509に進み、次のステップS5503でかごβと同じグループにかごγが加えられる。この処理を最上かごηまで繰り返すと、図57で示すように、第1グループG1はかごα、第2グループG2はかごβとγとδ、第3グループG3はかごε、第4グループG4はかごζとηとなる。
手続きMERGE_INTO_GROUPSが終了すると、手続きDIRECTIONAL_TAIL_FIRSTのステップS5403から続きを行う。ステップS5403では各グループの優先順位を決定する。グループの優先順位はグループに属するかごの中で最も高い優先順位で、図57の例では、グループG1の優先順位はかごαの優先順位で3、グループG2の優先順位はかごδが最も優先順が高いので優先順位で1、グループG3は2、グループG4はかごηの優先順位である4となる。このようにグループの優先順位をグループ内の最も高い優先順位を用いるのは、互いに向かい合う方向で干渉している場合でも元の優先順、少なくとも最優先、が損なわれないようにするためである。次のステップS5404では優先順位rを1とする。次にステップS5405において優先順位が高いグループから順番に、ステップS5409までの処理を繰り返し行う。この例ではグループG2、G3、G1、G4の順番である。
ステップS5406ではグループg内の各かごにおいて、ステップS5409までの処理を繰り返す。グループG2の仮方向は上であるため最後尾のかごはβとなり、かごγ、かごδの順で、優先順を与えるステップS5407と優先順位を増やすステップS5408とを繰り返す。この結果、グループG2については、かごβ、γ、δの優先順となる。同様の手続きをグループG3、G1、G4の順で繰り返す。この結果、図56の従来の優先順は、図58に示すようにβ、γ、δ、ε、α、ζ、ηに替えられる。
実施の形態6によれば、図53で示すようにダウンピークにおいて呼びを降ろし終えた上かごと下かごがそれぞれの呼びの出発階へ移動する際、同じ上昇する方向なので下かごが上かごよりも優先するようになる。従って、下かごが待機する必要がなくなり、上かごと並行してサービスが可能となり輸送力の改善が期待できる。
その他の実施形態
次に本発明のその他の実施形態について説明する。
上記の各実施形態においては、呼び登録方式として乗場行先階登録方式を適用した場合について説明したが、最も一般的な、乗場で方向を指定し、かごが到着してからかご内で行先階を登録する、方向指定方式であっても勿論よい。ただしこの場合は、かごが到着して乗客が乗り込んでからでないと行先階が判明しないため、乗場呼びを登録した時点では、その方向の最遠階を仮の行先階として呼びの割当や経路計画の作成を行っておき、かごが呼びの出発階に到着し、乗客がかご内で行先階を登録した時点で行先階を確定することにより、上記実施例と同様の手順で運行管理を行うことができる。
また、上記の各実施形態はそれぞれ適宜組合わせて適用することも可能であり、例えば、実施形態4の半周割当と、実施形態3の最長非移動順に実施形態5の不要時降格補正を施したものと、実施形態6の同方向最後尾順とを併用したものなどである。
その他、本発明では上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改変を施すことができる。
本発明の一実施形態であるワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システムの全体構成図である。 本発明の実施の形態1に係る運行制御システムの全体の制御手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る経路計画を更新する手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る経路計画の再編成を行う手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る経路計画を確定する手順を示すフローチャートである。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る経路計画の実体を説明するための、経路計画の一例を示す図である。 図11の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図13の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図15の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図17の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図19の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図4の手順による経路計画の再編成を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 図21の経路計画と等価な、各かごに対する一連の操作を表にした図である。 図5による経路計画の確定手順を説明するための、図22の経路計画の一部が確定する様子を示す図である。 図5による経路計画の確定手順を説明するための、図22の経路計画の一部が確定する様子を示す図である。 図5による経路計画の確定手順を説明するための、図22の経路計画の一部が確定する様子を示す図である。 図25の経路計画から未確定の操作を削除した結果を示す図である。 図25の経路計画の確定部分と未確定部分とを区別して示す図である。 本発明の実施の形態2に係る呼び割当て手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2を説明するための、経路計画とかご位置及び呼びとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る呼び優先順決定手順を示すフローチャートである。 図30の手順を説明するための、呼びの発生系列の一例を示す図である。 図30の呼びの発生系列に対する各かごの運行結果を、時刻と位置の関係で表した運行線図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 図30の手順に従ってかごの優先順を決定した場合の、呼びの発生と経路計画の再編成の関係を示す図である。 ワンシャフトマルチカーエレベータの、一般的な構成を示す図である。 本発明の実施の形態4を説明するための、呼びの発生状況とかご位置との関係を示す図である。 本発明の実施の形態4を説明するための、呼びの発生状況とかご位置との関係を示す図である。 本発明の実施の形態4を説明するための、呼びの発生状況と経路計画との関係を示す図である。 本発明の実施の形態4を説明するための、呼びと象限との関係を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る呼び割当て手順を示すフローチャートである。 図47のフローチャートを説明するための、呼びの発生状況の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4を説明するための、呼びと経路計画との関係を示す図である。 本発明の実施の形態5を説明するための、運行線図の一例を示す図である。 本発明の実施の形態5を説明するための、呼びの発生系列の一例を示す図である。 本発明の実施の形態5に係る不要時降格補正の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6を説明するための、呼びとかごの位置関係を示す図である。 本発明の実施の形態6に係る優先順決定の手順を示すフローチャートである。 図54の手順において、隣接するかごを方向別にグループ化する手順を示すフローチャートである。 図55のフローチャートに従って、隣接するかごをグループ化する一例を示す図である。 図55のフローチャートに従って、隣接するかごをグループ化する一例を示す図である。 図55のフローチャートに従って、隣接するかごをグループ化する一例を示す図である。
符号の説明
B1〜Bf 各階の乗場の行先階登録装置
C1〜C3 1〜3号機の各かご
M1〜M3 1〜3号機の運行制御装置
b 最終消化開始時刻
d 当務方向
f サービス階床数
g グループ
k サービス経路
m 現在処理を実行しているかご(手番かごまたは着目かご)
p 位置
q 現在処理を実行している呼び(着目呼びまたは応答呼び)
r 優先順位
u 最遠搬出階
w 当務位置
10 運行管理装置
11 呼び登録手段
12 呼び割当手段
13 優先順決定手段
14 経路計画作成・更新手段
15 経路計画記憶手段
16 経路計画指令手段
17 通信インターフェイス

Claims (13)

  1. 一つの昇降路内に独立して走行する複数のかごを備えたワンシャフトマルチカーエレベータにおいて、
    呼びを前記複数のかごの何れかに割当てる割当手段と、前記複数のかごの優先順を決定する優先順決定手段と、前記優先順に従って各かご間の干渉を解決し割当てられた呼びをサービスするように、前記各かごの運行経路を作成し或いは変更する経路計画作成・変更手段と、前記各かごの最新の経路計画を更新記憶する経路計画記憶手段とを備え、該経路計画記憶手段に記憶された最新の経路計画に従って各かごの運行制御を行うようにしたことを特徴とするワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  2. 前記経路計画は、各かごに対する一連の移動、待機、遊休からなる操作の系列を示すものであることを特徴とする請求項1記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  3. 前記経路計画の作成或いは変更は、少なくとも、新規乗場呼びが何れかのかごに割当てられたとき、既存の呼びの割当てが変更されたとき、又は、かごが呼びに応答して階床に停止したときに行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  4. 前記経路計画の作成或いは変更は、優先度の高いかごから順に、割当てられた呼びにサービスするための移動範囲を該かごの経路計画に追加するとともに、その移動範囲と干渉するかごについては退避経路を該かごの経路計画に追加することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  5. 前記経路計画のうち、応答中の呼びの出発階から行先階までの経路計画については該呼びの乗客を乗せた時点から変更しないことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  6. 前記新規呼びの割当ては、全サービス階床をかご台数分のゾーンに分割して各かごが一つのゾーンを担当するようにし、新規呼びの出発階或いは行き先階がこのゾーンを担当するかごに割当てるように行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  7. 前記新規呼びの割当ては、その呼びをサービスするための経路を含む経路計画を保持している号機に優先的に割当てられるように行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  8. 前記経路計画の作成或いは変更は、各かごについて担当すべき呼びにセレコレで運行したときに、該担当すべき呼びのうち、次に反転する位置までの呼びを対象とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  9. 前記優先順の決定は、各かごが受け持っている呼びのうち、発生時刻が最も旧い呼びを保持しているかごから優先順を上位に設定するように行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  10. 前記優先順の決定は、新規呼びと現在各かごが保持している未応答の呼びのすべてについて、過去にそれらの呼びと同じ呼びをサービスするための経路を含む経路計画が作成され、かつ実際にその経路を移動した時刻が最も旧いかごから順に優先順位を上位に設定するように行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  11. 前記優先順の決定において、前記実際にその経路を移動した時刻については、その経路に対応する呼びがどのかごにも割当てられていない状態になった場合はその時点を当該時刻として更新することを特徴とする請求項10記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  12. 前記優先順の決定において、隣接するかごを方向別にグループ化し、各グループ内では最後尾のかごから優先順を与え、グループ間では最も高い優先順位を有するかごが属するグループから優先順を与えることを特徴とする請求項1乃至請求項11記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
  13. 前記経路計画の作成或いは変更は、各かごがセレクティブコレクティブ方式に準じて未応答の呼びに順次応答する経路計画となるように行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12記載のワンシャフトマルチカーエレベータの運行制御システム。
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