JP2008213816A - 車両の車体強度調整装置 - Google Patents

車両の車体強度調整装置 Download PDF

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俊次 鈴木
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Abstract

【課題】 バンパービームに車体前後方向の衝突荷重が加わったときに圧壊強度可変装置に車幅方向の横力が入力するのを防止し、圧壊強度可変装置を効率的に圧壊して衝撃吸収効果を高める。
【解決手段】 バンパービーム11に衝突荷重が入力すると、本体部11aおよびその両端の傾斜部11bが直線状に伸ばされて車幅方向の長さが増加するため、傾斜部11bに接続された圧壊強度可変装置13の取付ブラケット42に横力が作用し、圧壊強度可変装置13が倒れてしまう可能性がある。しかしながら、バンパービーム11の傾斜部11bに形成したボルト孔11cを車幅方向に長い長孔としてボルト43で取付ブラケット42に締結したので、前記横力を長孔よりなるボルト孔11bとボルト43との間の滑りで吸収して圧壊強度可変装置13の倒れを防止し、圧壊強度可変装置13の衝撃吸収効果を最大限に発揮させることができる。
【選択図】 図13

Description

本発明は、バンパービームの車幅方向に延びる本体部の左右両端から車体前後方向に向けて傾斜する傾斜部と左右の車体フレームとの間に、車体前後方向の衝突荷重を受けて圧壊する圧壊強度が可変な圧壊強度可変装置を配置した車両の車体強度調整装置に関する。
自動車のフロントサイドフレームの前端に取り付けられるバンパービームを、相互に平行に配置された前後一対のビーム部材と、両ビーム部材間に所定間隔で配置された複数の圧壊強度可変装置とで構成したものが、下記特許文献1により公知である。
前記圧壊強度可変装置は衝突の衝撃で座屈するように隣接して配置された複数の形状記憶合金製の座屈板と、それらの座屈板を一体に連結した状態および相互に分離した状態に切り換えるアクチュエータとを備えており、座屈板を一体に連結した状態では座屈強度を高めて吸収可能な衝突エネルギーを増加させ、また座屈板を相互に分離した状態では座屈強度を低めて吸収可能な衝突エネルギーを減少させるようになっている。
特開2006−8106号公報
一般に、バンパービームの形状は、左右両端部が車体側方に回り込むように傾斜している。従って、バンパービームの傾斜した左右両端部を圧壊強度可変装置を介して左右のフロントサイドフレームの前端に支持したものでは、正面衝突の荷重がバンパービームに入力すると、その傾斜した左右両端部が真っ直ぐに伸びるように変形してバンパービームの左右方向の長さが増加するため、圧壊強度可変装置が車体外側に倒れるように傾いてしまい、前方から入力される衝突荷重を効果的に吸収できなくなる可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、バンパービームに車体前後方向の衝突荷重が加わったときに圧壊強度可変装置に車幅方向の横力が入力するのを防止し、圧壊強度可変装置を効率的に圧壊して衝撃吸収効果を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、バンパービームの車幅方向に延びる本体部の左右両端から車体前後方向に向けて傾斜する傾斜部と左右の車体フレームとの間に、車体前後方向の衝突荷重を受けて圧壊する圧壊強度が可変な圧壊強度可変装置を配置した車両の車体強度調整装置において、前記バンパービームの傾斜部に形成した第1ボルト孔および前記圧壊強度可変装置の取付ブラケットに形成した第2ボルト孔の少なくとも一方を車幅方向に長い長孔で構成し、前記第1、第2ボルト孔をボルトで締結したことを特徴とする車両の車体強度調整装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第1ボルト孔を構成する長孔は水平面内に配置されており、かつ前記長孔が前記バンパービームの本体部の方向に対して成す角度は、前記バンパービームの傾斜部が本体部の方向に対して成す角度よりも大きいことを特徴とする車両の車体強度調整装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記長孔が前記バンパービームの傾斜部の方向に対して成す角度は、前記バンパービームの傾斜部が本体部の方向に対して成す角度に等しいことを特徴とする車両の車体強度調整装置が提案される。
尚、実施の形態のフロントサイドフレーム12は本発明の車体フレームに対応する。
請求項1の構成によれば、バンパービームに衝突荷重が入力すると、本体部およびその両端の傾斜部が直線状に伸ばされてバンパービームの車幅方向の長さが増加するため、バンパービームの傾斜部に接続された圧壊強度可変装置の取付ブラケットに車幅方向外側に向かう横力が作用し、圧壊強度可変装置が倒れて前後方向の衝突荷重を充分に受け止められなくなる可能性がある。しかしながら、バンパービームの傾斜部に形成した第1ボルト孔および圧壊強度可変装置の取付ブラケットに形成した第2ボルト孔の少なくとも一方を車幅方向に長い長孔で構成し、第1、第2ボルト孔をボルトで締結したので、前記車幅方向外側に向かう横力を長孔とボルトとの間の滑りで吸収して圧壊強度可変装置の倒れを防止し、車体前後方向の衝突荷重を圧壊強度可変装置に正面から入力して確実に圧壊することで、衝撃吸収効果を最大限に発揮させることができる。
また請求項2の構成によれば、バンパービームの傾斜部の水平面内に形成された第1ボルト孔を構成する長孔が本体部の方向に対して成す角度を、バンパービームの傾斜部が本体部の方向に対して成す角度よりも大きく設定したので、衝突荷重によって傾斜部が本体部に対して一直線を成すように変形しても、長孔の方向を車幅方向に対して依然として傾斜した状態に維持することができる。これにより、車体前後方向に作用する衝突荷重によって長孔をボルトに対してスムーズに滑らせ、圧壊強度可変装置の倒れを確実に防止することができる。
また請求項3の構成によれば、長孔がバンパービームの傾斜部の方向に対して成す角度を、バンパービームの傾斜部が本体部の方向に対して成す角度に等しく設定したので、衝突荷重によって傾斜部が本体部に対して一直線を成すように変形しても、長孔の方向を車幅方向に対して衝突前の傾斜部の角度だけ傾斜した状態に維持することができ、圧壊強度可変装置の倒れを一層確実に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1は車両の車体前部の平面図、図2は図1の2部拡大図、図3は圧壊強度可変装置の斜視図、図4は圧壊強度可変装置の分解斜視図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図2の7−7線断面図、図8は図2の8方向矢視図、図9は高荷重モードの作用説明図、図10は低荷重モードの作用説明図、図11は第1、第2倒れ防止板の作用説明図、図12は第1、第2座屈板の座屈時の作用説明図、図13は衝突時のバンパービームの伸び変形の作用説明図である。
図1に示すように、四輪の車両の車体前部に配置されたバンパービーム11は、車幅方向に直線状に延びる本体部11aと、本体部11aの左右両端から車体後方に向けて傾斜する左右の傾斜部11b,11bとを備える。車体の両側部に前後方向に配置されたフロントサイドフレーム12,12の先端とバンパービーム11の左右の傾斜部11b,11bとが、圧壊強度を変更可能な圧壊強度可変装置13,13により接続される。左右の圧壊強度可変装置13,13は実質的に同じ構造を有しているため、以下、左側の圧壊強度可変装置13を例に取って構造を説明する。
図2〜図7に示すように、ボックス断面を有するフロントサイドフレーム12の前端開口を閉塞する端板12aに圧壊強度可変装置13の取付板14が4本のボルト15…で固定され、取付板14の前面に円板状の厚板で構成される後部基板16が4本のボルト17…で固定される。後部基板16の前面にスペーサ板18と、ヒンジ支持板19と、ブロック部材20とが重ね合わされ、ブロック部材20の肉抜き孔20aの内部から後向きに挿入された4本のボルト21…が、ヒンジ支持板19およびスペーサ板18を貫通して後部基板16に締結される。
ブロック部材20の左右にそれぞれ配置されるヒンジ板22は、筒状に曲げられた一対のロックピン支持部22a,22aと、ロックピン支持部22a,22aから相互に離反するように延びる第1、第2ヒンジアーム22b,22cとを備える。第1ヒンジアーム22bの後端はヒンジ支持板19の外端の角部に溶接W1(図3参照)され、第2ヒンジアーム22cは鉄材製の第1座屈板24の外面に溶接W2(図3参照)される。第1座屈板24は中央部に座屈強度を調整するためのリブ24aを備えるとともに、外周部に4個の固定爪24b…を備える。形状記憶合金で第1座屈板24と概ね同寸法に形成した矩形状の第2座屈板25が、前記4個の固定爪24b…によって第1座屈板24の内面に重ね合わされるように固定される。
形状記憶合金製の第2座屈板25は加工が難しく溶接にも適さないため、第1、第2座屈板24,25をボルト止めや溶接で一体化するのは困難であるが、第1、第2座屈板24,25を、加工が容易な鉄材製の第1座屈板24に設けた固定爪24b…で一体化したので、加工コストを削減しながら第1、第2座屈板24,25を確実に一体化することができる。
第1、第2座屈板24,25の前端の位置は揃っているが、第2座屈板25の後端は第1座屈板24の後端よりも僅かに後方にまで延びている(図2参照)。即ち、第1座屈板24の前後方向長さは、第2座屈板25の前後方向長さよりも僅かに短くなっている。
ブロック部材20の前面の左右両側に、上下方向に延びる断面U字状の支持溝20b,20bが形成されており、各々の支持溝20bに円筒状のブッシュ26が固定される。ブッシュ26の内部には2本のロックピン27,27が摺動自在に支持されており、相対向するロックピン27,27の側面にそれぞれ形成されたラック27a,27aに共通のピニオン28が噛合する。ブロック部材20の肉抜き孔20aの前方に形成されたモータ支持孔20cに支持されたモータ29の回転軸29aの両端に前記ピニオン28が固定される。よって、モータ29によりピニオン28が回転すると、ピニオン28にラック27a,27aを駆動された2本のロックピン27,27が相互に接近・離反する方向に移動する。
通常、2本のロックピン27,27の先端のテーパー状の係合部27b,27bはブッシュ26の端部から突出しており、その先端の係合部27b,27bがヒンジ板22の一対のロックピン支持部22a,22aに圧入した受け部材51,51にそれぞれ係合する(図5および図6の実線参照)、ロックピン27,27がモータ29により駆動されてブッシュ26の内部に引き込まれると、その先端の係合部27b,27bがヒンジ板22の一対の受け部材51,51から離脱する(図5および図6の鎖線参照)。
2分割された第1モータ支持板30,30がブロック部材20のモータ支持孔20cの周囲にそれぞれ2本のボルト31,31で固定されるとともに、第2モータ支持板32がブロック部材20のモータ支持孔20cの周囲に4本のボルト33…で固定されており、モータ29は第1、第2モータ支持板30,30;32に挟まれるように支持される。
一方、ブロック部材20の前面に、左右一対の内側座屈板支持板34,34と、厚肉円板状の前部基板35を一体に備えた外側座屈板支持板36とが重ね合わされ、8本のボルト37…,38…で一体に結合される。そして、各内側座屈板支持板34の左右方向外端を溝状の屈曲させた座屈板支持部34aが、重ね合わされた第1、第2座屈板24,25の前端に係合し、第1座屈板24に溶接W3(図3参照)される。
中間部に三角状のリブ39aが形成された第1倒れ防止板39は前後のフランジ39b,39cを備えており、前側のフランジ39bが前記ボルト37,37で内側座屈板支持板34および外側座屈板支持板36に共締めされるとともに、後側のフランジ39cが前記第1モータ支持板30のフランジ30aに2本のボルト40,40で固定される。また中間部に三角状のリブ41aが形成された第2倒れ防止板41は前後のフランジ41b,41cを備えており、前側のフランジ41bが前記ボルト38,38で内側座屈板支持板34および外側座屈板支持板36に共締めされるとともに、後側のフランジ41cが前記第2モータ支持板32に前記ボルト33,33で共締めされる。
第1、第2倒れ防止板39,41は概ね台形状の部材であって、その上底に対応する前縁が内側座屈板支持板34および外側座屈板支持板36に固定され、その下底に対応する後縁がブロック部材20に固定され、その一対の斜辺に対応する左右の側縁が第2座屈板25の内面に僅かな隙間α(図2参照)を介して対向する。
図2および図8から明らかなように、バンパービーム11と圧壊強度可変装置13とを接続する取付ブラケット42は、車体前後方向に延びる軸線Lに対して斜めに傾斜してバンパービーム11の傾斜部11bと平行な第1取付部42aと、圧壊強度可変装置13の前部基板35と平行な第2取付部42bと、車体前後方向に延びて第1、第2取付部42a,42bを連結する複数の薄肉のリブ42c…とを備える。バンパービーム11の傾斜部11bの後面には左右方向に長い4個の第1ボルト孔11c…が形成されており、これらの第1ボルト孔11c…と取付ブラケット42の第1取付部42aの第2ボルト孔42d…とが4本のボルト43…および4個のナット44…で締結される。そして取付ブラケット42の第2取付部42bと圧壊強度可変装置13の前部基板35とが2本のボルト45,45で締結される。
このように構成された圧壊強度可変装置13は、図1および図2に示すように、伸縮自在なゴム製のブーツ46内に収納された状態で、ブーツ46の後部開口46aが円形の後部基板16の外周に嵌合してバンド47で締結され、ブーツ46の前部開口46bが円形の前部基板35の外周に嵌合してバンド48で締結される。これにより圧壊強度可変装置13に水や泥が付着するのをブーツ46で遮り、その耐久性を高めるとともに作動の確実性を保証することができる。
図1〜図4から明らかなように、モータ29から延びるハーネス49は、第1モータ支持板30,30の開口30bを通過した後、ブロック部材20の開口20d、ヒンジ支持板19の開口19a、スペーサ板18の開口18aおよび後部基板16の開口16aに装着したグロメット52を通過し、更に取付板14の開口14aおよびフロントサイドフレーム12の端板12aの開口12bを通過してフロントサイドフレーム12の内部に導かれる。従って、ブーツ46に孔を形成してハーネス49を引き出す必要がなくなってブーツ46の防水性が確保されるだけでなく、ハーネス49を閉断面のフロントサイドフレーム12の内部に導くことにより、ハーネス49を水や泥から保護することができる。
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施の形態の作用を説明する。
通常時、圧壊強度可変装置13のロックピン27,27はブッシュ26の両端から突出しており、従ってロックピン27,27の先端の係合部27b,27bはヒンジ板22の受け部材51,51に係合している(図5および図6の実線参照)。この状態で車両が正面衝突してバンパービーム11に車体後方への衝突荷重が加わると、バンパービーム11およびフロントサイドフレーム12間に配置された圧壊強度可変装置13の前部基板35および後部基板16が前後方向に圧縮される。
このとき、図9に示すように、ヒンジ板22のロックピン支持部22a,22aはロックピン27,27によって左右方向への移動が規制されており、かつロックピン27,27は強固なブロック部材20によって後方への移動が規制されているため、重ね合わされた第1、第2座屈板24,25が前後方向に圧縮されて座屈することで、圧壊強度可変装置13は大きな衝突エネルギーを吸収することができる(高荷重モード)。
一方、車両に搭載されたレーダー装置やテレビカメラで検知した外部状況と、車速センサで検知した車速とから、衝撃を小さくする必要がある衝突が予測されると、モータ29が作動してピニオン28およびラック27a,27aを介して一対のロックピン27,27をブッシュ26の内部に後退させることで、ロックピン27,27の係合部27b,27bをヒンジ板22の受け部材51,51から離脱させる(図5および図6の鎖線参照)。その結果、ヒンジ板22のロックピン支持部22a,22aは左右方向への移動が可能になり、図10に示すように、第1、第2座屈板24,25は座屈することなく折り畳まれ、圧壊強度可変装置13は小さな荷重で圧壊してバンパービーム11の後退を許容する(低荷重モード)。
上述した高荷重モードおよび低荷重モードの何れの場合にも、第1、第2倒れ防止板39,41は前後方向の圧縮荷重を受けて座屈するが、元々第1、第2倒れ防止板39,41は薄板で構成されており、かつ中央部に三角形のリブ39a,41aが形成されているため、前後方向の荷重を受けると極めて容易に座屈し、圧壊強度可変装置13の前後方向のエネルギー吸収特性に影響を及ぼすことはない。従って、圧壊強度可変装置13を低荷重で圧壊させたい低荷重モードにおいても、第1、第2倒れ防止板39,41によって圧壊強度可変装置13が圧壊し難くなる虞はない。尚、図9および図10において第1、第2倒れ防止板39,41は図示を省略している。
第1、第2倒れ防止板39,41が機能を発揮するのは、斜め衝突時によってバンパービーム11に車体前後方向に対して傾斜した衝突荷重が加わった場合である。斜め衝突時の衝突荷重は、バンパービーム11を車体後方に移動させる前後方向荷重と、バンパービーム11を車幅方向に移動させる左右方向荷重とに分解される。
図11(A)に模式的に示すように、左右方向荷重が圧壊強度可変装置13に入力すると、前部基板35および後部基板16間に剪断力が作用するため、右側の第1、第2座屈板24,25と左側の第1、第2座屈板24,25とが座屈することなく左右方向に倒れてしまい、高荷重モードであっても殆どエネルギー吸収性能を発揮できなくなる可能性がある。
しかしながら、図11(B)に示すように、本実施の形態では、相対向する左右の第2座屈板25,25に挟まれた台形状の空間に合計4枚の第1、第2倒れ防止板39,41が配置されているため、これらの第1、第2倒れ防止板39,41が、左右の第1、第2座屈板24,25が図11(A)の状態に倒れるのを抑制し、圧壊強度可変装置13を前後方向に確実に圧壊してエネルギー吸収性能を効率的に発揮させることができる。
また第1、第2倒れ防止板39,41に三角形状のリブ39a,41a(図7参照)を形成したので、座屈が開始される荷重を低下させ、荷重変動の少ない特性を得ることができる。尚、第1、第2倒れ防止板39,41と第2座屈板25との間には僅かな隙間α(図2参照)が存在するが、第1、第2座屈板24,25が僅かに倒れると第2座屈板25が第1、第2倒れ防止板39,41に接触するので支障はない。
ところで、圧壊強度可変装置13が大きな荷重で圧壊する高荷重モードでは、座屈する第1、第2座屈板24,25が、圧壊の開始から終了までの間、一定の高い荷重を発生することが望ましい。
図12の時間(変位量)および荷重の関係を示すグラフから明らかなように、一般的な鉄材よりなる第1座屈板24は、変位量の増加に伴って荷重が急激に高まってピークに達した後に漸減する特性を有している。それに対して、形状記憶合金よりなる第2座屈板25は、変位量の増加に伴って荷重が急激に高まってピークに達した後に急激に減少してボトムに達し、そこから漸増する特性を有している。従って、第1座屈板24および第2座屈板25を単独で使用しても、圧壊の開始から終了まで一定の高い荷重を発生することは不可能である。しかしながら、先ず時刻t1に第2座屈板25が変形を開始して時刻t2にピークに達したときに、第1座屈板24の変形が開始するように設定すると、時刻t2から時刻t3を経て時刻t4に至る間の第2座屈板25の荷重の減少・増加特性と、第1座屈板24の荷重の増加・減少特性とが上下対称な特性となるため、それらを足し合わせた特性を実線で示す理想的な特性、つまり圧壊の開始から終了まで一定の高い荷重を発生する特性とすることができる。
第1、第2座屈板24,25が変形を開始するタイミングの差は、次のようにして得ることができる。即ち、重ね合わされて固定爪24b…で一体化された第1、第2座屈板24,25の前後方向長さは、形状記憶合金製の第2座屈板25の方が鉄材製の第1座屈板24よりも僅かに長くなっているので、長い方の第2座屈板25が先に変形を開始し(時刻t1)、第2座屈板25が所定量圧縮された後に、短い方の第1座屈板24を第1座屈板25と共に変形させることができる(時刻t2)。
形状記憶合金製の第2座屈板25は鉄材に比べて加工が難しいため、単純な板形状としてコストを低減しているが、加工が容易な鉄材製の第1座屈板24の板厚を設定したり所定の形状のリブ24aを形成したりすることで、時刻t2以降に第2座屈板25が発生する荷重と上下対称な荷重を発生し得るように、第1座屈板24の荷重発生特性を調整することができる。
尚、実施の形態では第1座屈板24を鉄材製としているが、アルミニウム材等の他の材料を採用することができる。
ところで、図13に示すように、車両が正面衝突してバンパービーム11に後向きの荷重が作用すると、取付ブラケット42の脆弱なリブ42c…が圧壊することで、本体部11aに対して後方に傾斜していた傾斜部11bの角度が本体部11aと略平行になるように変形するため、バンパービーム11の左右方向の寸法がβだけ伸びることになる。このとき、仮にバンパービーム11と圧壊強度可変装置13とが左右方向に相対移動不能に結合されていると、バンパービーム11が左右方向に伸びたことで圧壊強度可変装置13が車体外側に倒れてしまい、衝突荷重を効果的に吸収できなくなる可能性がある。
しかしながら、本実施の形態では、図8に示すように、バンパービーム11の傾斜部11bの後面に形成された第1ボルト孔11c…が左右方向に長い長孔とされているため、その第1ボルト孔11c…および取付ブラケット42の第2ボルト孔42d…を貫通するボルト43…に対して、バンパービーム11の傾斜部11bが車体外側にスライドすることができる。よって、正面衝突時にバンパービーム11が左右方向に伸びても圧壊強度可変装置13が車体外側に倒れるのを防止し、圧壊強度可変装置13の機能を確実に発揮させることができる。
更に、低荷重モードにおいて前後方向に変形し易くなるため、第1、第2倒れ防止板39,41の圧縮強度を低下させることなく目標の荷重設定が可能となる。従って、左右方向の横倒れ強度の低下を防止することができる。
次に、図14に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態ではバンパービーム11側の第1ボルト孔11c…および取付ブラケット42側の第2ボルト孔42d…のうち、第1ボルト孔11c…を長孔で構成しているが、第2の実施の形態は第2ボルト孔42d…を長孔で構成したものである。
この第2の実施の形態によっても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
次に、図15に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態は第2の実施の形態の変形であって、板材を断面コ字状に折り曲げて取付ブラケット42を構成し、その上壁および下壁に車幅方向に延びる長孔よりなる第2ボルト孔42d…を形成するとともに、これらの第2ボルト孔42d…と、バンパービーム11の傾斜部11bの上壁および下壁に形成した第1ボルト孔11c…とを、ボルト43…およびナット44…で締結したものである。
この第3の実施の形態によっても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
次に、図16〜図18に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。
図16および図17に示すように、第4の実施の形態は、第3の実施の形態と同様に板材を断面コ字状に折り曲げた取付ブラケット42を備えており、バンパービーム11の傾斜部11bの上壁および下壁に形成した長孔よりなる2個の第1ボルト孔11c,11cと、取付ブラケット42の上壁および下壁に形成した円孔よりなる2個の第2ボルト孔42d,42dとを、ボルト43,43およびナット44,44で締結したものである。
バンパービーム11の傾斜部11bの上壁および下壁に形成した長孔よりなる2個の第1ボルト孔11c,11cの延びる方向は、車体後方に向けて傾斜する傾斜部11bの方向に対して平行ではなく、それよりも更に強く傾斜している。即ち、バンパービーム11の本体部11aの方向(車幅方向)に対して傾斜部11bは角度γだけ後方に傾斜しており、第1ボルト孔11cの延びる方向は、傾斜部11bの方向に対して更に角度δだけ後方に傾斜している。従って、第1ボルト孔11cの延びる方向は、本体部11aの方向に対して角度ε=γ+δだけ傾斜することになる。そして本実施の形態では、γ=δに設定されており、よって第1ボルト孔11cが本体部11aの方向に対して成す角度εは、ε=γ+δ=2γとなる。
図18に示すように、バンパービーム11に車体後方に向かう衝突荷重が作用すると、バンパービーム11の本体部11aに対して後方に傾斜していた傾斜部11bが、その本体部11aと一直線を成すように、つまり車幅方向に延びるように変形する。このとき、第1ボルト孔11cが傾斜部11bの方向と平行に形成されていると仮定すると、衝突により傾斜部11bの傾斜角γが減少することで、鎖線で示すように、第1ボルト孔11cの方向は車幅方向に近づき、車体後方に向かう衝突荷重をうまく逃がすことができなくなり、ボルト44に沿って第1ボルト孔11cがスムーズに滑らなくなる可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、第1ボルト孔11cの延びる方向が傾斜部11bの方向よりも更に強く傾斜しているので、衝突により傾斜部11bの傾斜角γが減少しても、実線で示すように、第1ボルト孔11cの方向は依然として車幅方向に対して角度δ(=γ)だけ傾斜しており、車体後方に向かう衝突荷重をうまく逃がしながらボルト44に沿って第1ボルト孔11cをスムーズに滑らせ、圧壊強度可変装置13が車体外側に倒れるのを防止して機能を確実に発揮させることができる。
特に、δ=γに設定したことにより、衝突荷重によって傾斜部11bが本体部11aに対して一直線を成すように変形しても、第1ボルト孔11cの方向を車幅方向に対して衝突前の傾斜部11bの傾斜角γだけ傾斜した状態に維持することができ、圧壊強度可変装置13の倒れを一層確実に防止することができる。
尚、上記第4の実施の形態において、取付ブラケット42とバンパービーム11とを上下2本のボルト43,43で締結しているが、取付ブラケット42とバンパービーム11を完全に貫通する1本のボルト43で締結することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではフロントバンパーのバンパービーム11の圧壊強度可変装置13について説明したが、本発明はリヤバンパーのバンパービームの圧壊強度可変装置13に対しても適用することができる。
また第4の実施の形態では、バンパービーム11の傾斜部11bの方向に対して第1ボルト孔11cが成す角度δを、バンパービーム11の本体部11aの方向に対して傾斜部11bが成す角度γに等しく設定しているが、必ずしもγ=δである必要はない。
第1の実施の形態に係る車両の車体前部の平面図 図1の2部拡大図 圧壊強度可変装置の斜視図 圧壊強度可変装置の分解斜視図 図2の5−5線断面図 図5の6−6線断面図 図2の7−7線断面図 図2の8方向矢視図 低荷重モードの作用説明図 高荷重モードの作用説明図 第1、第2倒れ防止板の作用説明図 第1、第2座屈板の座屈時の作用説明図 衝突時のバンパービームの伸び変形の作用説明図 第2の実施の形態に係る、前記図8に対応する図 第3の実施の形態に係る、前記図8に対応する図 第4の実施の形態に係る、前記図8に対応する図 図16の17方向矢視図(衝突前の状態) 図17に対応する作用説明図(衝突後の状態)
符号の説明
11 バンパービーム
11a 本体部
11b 傾斜部
11c 第1ボルト孔
12 フロントサイドフレーム(車体フレーム)
13 圧壊強度可変装置
42 取付ブラケット
42d 第2ボルト孔
43 ボルト
γ 角度
δ 角度
ε 角度

Claims (3)

  1. バンパービーム(11)の車幅方向に延びる本体部(11a)の左右両端から車体前後方向に向けて傾斜する傾斜部(11b)と左右の車体フレーム(12)との間に、車体前後方向の衝突荷重を受けて圧壊する圧壊強度が可変な圧壊強度可変装置(13)を配置した車両の車体強度調整装置において、
    前記バンパービーム(11)の傾斜部(11b)に形成した第1ボルト孔(11c)および前記圧壊強度可変装置(13)の取付ブラケット(42)に形成した第2ボルト孔(42d)の少なくとも一方を車幅方向に長い長孔で構成し、前記第1、第2ボルト孔(11c,42d)をボルト(43)で締結したことを特徴とする車両の車体強度調整装置。
  2. 前記第1ボルト孔(11c)を構成する長孔は水平面内に配置されており、かつ前記長孔が前記バンパービーム(11)の本体部(11a)の方向に対して成す角度(ε)は、前記バンパービーム(11)の傾斜部(11b)が本体部(11a)の方向に対して成す角度(γ)よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の車両の車体強度調整装置。
  3. 前記長孔が前記バンパービーム(11)の傾斜部(11b)の方向に対して成す角度(δ)は、前記バンパービーム(11)の傾斜部(11b)が本体部(11a)の方向に対して成す角度(γ)に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の車両の車体強度調整装置。
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