JP2008213705A - タイヤ用の滑り止めネット - Google Patents

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Takashi Yanai
孝 谷内
Kenji Hamamatsu
健治 浜松
Kiyoshi Miyaji
清 宮地
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Abstract

【課題】特に自動車の乗り心地に優れたタイヤ用の滑り止めネットを提供するものである。
【解決手段】繊維芯材にゴムや樹脂を被覆したタイヤ用の滑り止めネットであって、繊維芯材を構成する糸が、繰り返し単位の95モル%以上が下記式(1)で示されるポリケトンで構成される繊維(以下、ポリケトン繊維という。)フィラメント糸であることを特徴とするタイヤ用の滑り止めネット。
【化1】
Figure 2008213705

【選択図】なし

Description

本発明はタイヤ用の滑り止めネットに関するものであり、特に自動車の乗り心地に優れたタイヤ用の滑り止めネットを提供するものである。
特許文献1には、自動車タイヤ用の滑り止めネットに関するもので、特に耐磨耗性の強い繊維、例えばアラミド繊維等で滑り止めネットを構成することにより、雪道や氷結した道路において滑り止め効果に優れたものが得られることが開示されているが、特にゴム等で被覆した滑り止めネットにおいては、自動車走行中の乗り心地が悪いという課題があった。
特開平07−156622号
本発明は、かかる課題を改善したタイヤ用の滑り止めネットを提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、繊維芯材にゴムや樹脂を被覆したタイヤ用の滑り止めネットであって、繊維芯材を構成する糸が、繰り返し単位の95モル%以上が下記式(1)で示されるポリケトンで構成される繊維(以下、ポリケトン繊維という。)フィラメント糸であることを特徴とするタイヤ用の滑り止めネット、である。
Figure 2008213705
本発明は、特に自動車の乗り心地に優れたタイヤ用の滑り止めネットを提供するものである。
本発明について以下に具体的に説明する。
本発明のポリケトン繊維を構成するポリケトンは、繰り返し単位の95モル%以上、好ましくは98モル%以上、特に99.6モル%以上が、上記式(1)で示されるものであり、5モル%未満の範囲で、上記式(1)以外の繰り返し単位、例えば、下記式(2)に示すもの等を含有していても良い。
Figure 2008213705
但し式中、Rは、エチレン以外の炭素数1〜30の有機基であり、例えば、プロピレン、ブチレン、1−フェニルエチレン等の基であり、Rの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Rは二種以上であってもよく、例えば、プロピレン基と1−フェニルエチレン基が混在していてもよい。
ポリケトンの固有粘度[η]は、好ましくは1dl/g以上、より好ましくは2dl/g以上、特に好ましくは4dl/g以上であり、好ましくは20dl/g以下、より好ましくは15dl/g以下、特に好ましくは10dl/g以下である。
尚、固有粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 2008213705
式中のt及びTは、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子(株)社製)及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間である。Cは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール100ml中のポリケトンの質量(g)である。
ポリケトンには必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含んでいてもよい。
次に、ポリケトン繊維の好ましい特性としては、引張強度は5cN/dtex以上、より好ましくは10cN/dtex以上、特に好ましくは15cN/dtex以上であって、30cN/dtex以下であり、引張伸度は3%以上、より好ましくは3.5%以上、特に好ましくは4%以上であって、8%以下、より好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下であり、引張弾性率は100cN/dtex以上、より好ましくは200cN/dtex以上、特に好ましくは300cN/dtex以上であって、1000cN/dtex以下である。
ポリケトン繊維の形態は、フィラメント糸であり、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、扁平型(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
糸条の形態としては、モノフィラメント糸よりもマルチフィラメント糸が好ましく、又、マルチフィラメント原糸が最適であるが、マルチフィラメント糸であれば、混繊糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸等の嵩高加工糸でもよい。又、マルチフィラメント糸を用いた複合糸でもよく、精紡での複合であるサイロフィル、コアヤーンをはじめ、交撚糸、カバリング糸、複合仮撚糸(伸度差仮撚を含む)、2フィード空気流体噴射加工糸であってもよく、希望に応じて適宜選定すればよい。
好ましい単糸繊度は、マルチフィラメント糸の場合は0.01〜10dtex、より好ましくは0.1〜3dtex、特に好ましくは0.5〜3dtexの範囲であり、モノフィラメント糸の場合は、10〜100000dtexである。又、好ましい総繊度は10〜100000dtex、より好ましくは30〜50000dtexの範囲である。
本発明は、かかるポリケトン繊維フィラメント糸を用いてタイヤ滑り止めネットを構成したものである。
本発明ではタイヤ用の滑り止めネットを構成する繊維の内、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に90質量%以上をポリケトン繊維で占めていることが好ましく、必要に応じて、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、特に10質量%以下の範囲内において、従来、滑り止めネットに使用されていた各種繊維、例えば、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維等の汎用合繊、アラミド繊維(パラ系、メタ系)、ポリビニルアルコール繊維、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、超高分子量ポリオレフィン繊維等の高強力繊維と引き揃え、混繊、交撚、カバリング、複合嵩高加工等の公知の複合手段により糸条段階で複合してもよく、又、ネットを製網するに際して混用しても良い。
ポリケトン繊維フィラメント糸は無撚糸又は実質的に無撚糸の形態で、或いは撚り糸、組紐(編紐)の形態で供する。撚り糸の形態としては、単糸撚り糸使いであっても、又、双糸撚り糸使いであっても、或いは3子撚り糸使いなどであっても構わないが、特に好ましい撚構成としては、下撚と上撚の撚方向を異方向とした所謂、諸撚り糸であることが好ましい。撚り糸の撚係数(K)は下記の式で表されるが、撚係数(K)としては1,000〜5,000の範囲が好ましい。
撚係数(K)=原糸の繊度(dtex)1/2×撚数(t/m)
必要に応じて撚り止めセットしてもよい。
又、組紐(編紐)とは、マルチフィラメント糸の3本以上の複数本を合糸したものを用いて組物機(編物機)にかけ組み上げて得られる。一例としては、4本組物(編物)、8本組物、16本組物などであり、例えばその4本組物は、合糸を4本準備し、右側又は左側の糸を交互に真中に配置させて組み上げていくものであり、この組上方法(編組方法)としては、丸打ち、角打ち、平打ちなどがあり、これらを組み合わせて製紐して組紐や編紐に形成する。本発明の組紐は、これらの組紐や編紐を対象とするものであり、両者を総称して組紐と称している。
本発明では、かかるポリケトン繊維フィラメント糸を繊維芯材に用いて、ゴムや樹脂を被覆することによりタイヤ用の滑り止めネットを得るものである。
具体的な製造法としては、例えば、繊維芯材の周りに未加硫ゴムを被覆してなる線条体を、ネットパターン形状の成形溝(凹溝)を有する予備成形型の成形溝に配設(嵌め込みながら張り廻らして配設)し、線条体の交差部をプレスして線条体同志を未加硫ゴムの粘着力で接着して予備成形し、これを予備成形型から取り出して予備成形ネット体を得る。次いで、得られた予備成形ネット体を、ネットパターン形状の成形溝を設けた加硫プレス型の成形溝内に嵌め込んで加硫熱プレスすることによりタイヤ滑り止めネットを得る方法が挙げられる。
尚、予備成形ネット体を加硫熱プレスする際に、予備成形ネット体の屈曲部がその内側へ向けて引き込まれて偏ってしまうことを回避するために、予備成形ネット体の屈曲部の内側に、偏位を防止するために、未加硫ゴム配合体を肉付けしたり、偏位を防止する未加硫ゴム配合体(例えば、繊維芯材の周りの未加硫ゴム配合物よりも高い可塑度を有するものや加硫速度の速いもの、一部架橋された未加硫ゴム配合物)を配置してもよい。屈曲部が偏位すると、偏位した屈曲部が金具によって摺擦されて切れたり、走行中の屈曲運動により繊維芯材とゴムとの接着のはずれが生じて、繊維芯材の破断から走行不能となる恐れがある。
又、例えば屋外で強い紫外線を受けることによってポリケトン繊維の引張強度等の低下が懸念される時は、繊維又はネットの形態で紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の一種又は二種以上の組み合わせがある。)及び/又は紫外線遮蔽剤(例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム等の微粒子があり、平均粒径は0.01〜0.6μmが好ましい。)を含有させてもよい。含有させる方法としては、例えば、繊維又はネットに紫外線吸収剤及び/又は紫外線遮蔽剤を含有した樹脂やフィルムを付与又は被覆する方法があり、紫外線吸収剤及び/又は紫外線遮蔽剤の含有量は、樹脂やフィルムの質量に対して0.001〜10質量%が好ましい。
以下に本発明を実施例などに基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
(1)引張強度、引張伸度、引張弾性率
JIS−L−1013に準じて測定する。
サンプル長:20cm、引張速度:20cm/分で測定し、20回測定した時の平均値を求める。
(2)乗り心地評価
滑り止めネットを2500cc四輪駆動車(タイヤ;215R15)の右後輪のみに装着し、ドライなアスファルト路面を、乗車人員2人、速度40km/時で定速走行させて、右後部座席の乗り心地を評価した。
○;乗り心地に優れている
△;乗り心地は普通
×;乗り心地が悪い
[実施例1]
1670dtex/1250fのポリケトン繊維(旭化成せんい(株)社製;商標サイバロン;引張強度18cN/dtex、引張伸度5%、引張弾性率350cN/dtex)5本を合糸してストランドとし、Z方向に77T/mの下撚し、次いで、この撚糸ストランド3本を合糸してS方向に45T/mの上撚して1.5mm直径の糸条(総繊度25050dtex)を得た。
この糸条を繊維芯材に用いて、常法によりゴム被覆したタイヤ用の滑り止めネットを作製した。
得られたタイヤ用の滑り止めネットの乗り心地評価は○と優れたものであった。
[比較例1]
実施例1において、ポリケトン繊維に代えて1670dtex/964fのパラ系アラミド繊維マルチフィラメント糸(引張強度20cN/dtex、引張伸度4.5%、引張弾性率500cN/dtex)を用いた以外は、実施例1同様に作製したタイヤ用の滑り止めネットの乗り心地評価は△と実施例1に対比して劣ったものであった。
本発明は、特に自動車の乗り心地に優れたタイヤ用の滑り止めネットを提供するものである。

Claims (1)

  1. 繊維芯材にゴムや樹脂を被覆したタイヤ用の滑り止めネットであって、該繊維芯材を構成する糸が、繰り返し単位の95モル%以上が下記式(1)で示されるポリケトンで構成される繊維フィラメント糸であることを特徴とするタイヤ用の滑り止めネット。
    Figure 2008213705
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