JP2008212586A - 歯科補綴物維持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 歯根に立設されたアンカーピンと、内部に収容されたあらかじめズレを付与して巻回されたコイルスプリングにより、アンカーピンを弾性支持する、歯冠内に埋設された筒状容器とで、歯冠を支台歯上に維持させる維持機構と、歯根に設置された支持部と、支持部と係合可能な歯冠側の支持受け部とで構成された支持構造とを有し、歯冠を歯根上に保持する際に、コイルスプリングでアンカーピンを挟持して定着し、この定着時に生ずるコイルスプリングの抵抗力で、歯冠内の筒状容器を支台歯上のアンカーピンで維持し、咀嚼時等に加えられる圧力に対して、コイルスプリングの変形によって歯根に対する側方緩圧、垂直緩圧作用が果たされる。
【選択図】 図1
Description
図3(a)は、根面板11上に立設された雄構成要素10の一部としてのアンカーピン14と、このアンカーピン14に取付可能な雌構成要素20としての円筒形容器21が嵌合支持された状態を示している。円筒形容器21は、歯科補綴物2としての歯冠6の底面の所定位置に、歯科補綴物2を確実に保持する維持体として、即時重合レジン5で周囲が固められて堅固に固着されている。このとき、図3(a)に示したように、円筒形容器21の開孔25から突出したアンカーピン14の先端の周囲には、その先端形状に倣ったポケット状の空隙27が充填芯部としての即時重合レジン5との間に形成されている。この空隙27は、後述するように、補綴物としての歯冠6の垂直方向あるいは側方の緩圧作用を奏するためのクリアランスとして機能する。この空隙27を形成するには、雄構成要素側の根面板11と雌構成要素としての円筒形容器21(維持体)の底部との間にスペーサー(図示せず)を介在させておき、その状態でアンカーピン14に雌構成要素2として維持体が、固化する前の即時重合レジン5で周囲が覆われた状態で歯冠6を、円筒形容器21にアンカーピン14を挿通させるように被せて固定し、即時重合レジン硬化後ラウンドバーを用い空隙27を削除、拡大し確保する。また、即時重合レジン5の固化後、スペーサー(図示せず)を取り除くことにより、所定の空隙28を円筒形容器21の底部側に形成する。この空隙28は、補綴物としての歯冠6の沈下に対応する緩衝空隙の役割、将来的に歯冠6の挙上を図るために、段階的に円筒形容器21の底部と根面板11との間にスペーサー(図示せず)を介在させる際の挙上用のスペースとしての役割を有する。
図3(a)は補綴物の維持および支持状態を示した断面図である。図3(a)には補綴物の維持装置と支持構造30とが示されている。補綴物の支持構造30としては、内冠としての支持構造30の底部外周面テーパー11aに形成されたテーパ部に相対する外冠テーパ面が外冠内周囲に形成されている。これにより、補綴物の安定支持を図ることができる。そして、根面板11に形成された低位支点35によって補綴物としての歯冠6への荷重を支持するようになっている。
図4は、一実施例として、大臼歯に本発明の補綴物維持装置1を装着した構成を示した歯冠6の装着前の支台歯3と歯冠6(補綴物)とを示した斜視図(図4(a))と、歯冠6の装着時における断面構造を模式的に示した状態を示した(図4(b))を示した断面図である。
図5(a)において、鋭角に尖った歯冠6内には、図4(a)に示した大臼歯と同様の構成からなる、本発明の補綴物維持装置1と支持構造30の支持ピン31とが設けられている。歯冠6にはセラミックス、硬質レジンあるいは歯科用金属が使用されている。被覆金属8を荷重負担部とし公知の金属が歯冠材を支持し、被覆金属8内は即時重合レジン5で充填されている。この被覆金属8の舌側面下端には、舌側受溝8aが形成され、その近傍には支持ピン31が突設されている。これに対し、同図(a)に示したように、支台歯3の根面板11には、上面端部の対応位置に、舌側側受溝8a内に収容される舌側支持壁11bが、舌側支持壁11bの近傍には、この舌側支持壁11bとともに低位支点35として機能するピン支持孔32が形成されている。さらに、支台歯3の中心付近に位置するように、アンカーピン14が、その下端が根面板11に鑞着され立設されている。一方、このアンカーピン14が収容される補綴物維持装置1の円筒形容器21が図5(a),(b)に示したように、空隙28を底面に設けた状態で即時重合レジン5内に埋設されている。
図6(a)において、6本の歯冠41は連結により一体化が図られており、両端の歯冠41a,41bには、下顎の所定範囲の歯肉42上に密着するように型どりされた義歯床40がビス43により取り付けられている。さらに義歯床40上に配列された歯冠ブリッジ41のうち、小臼歯41dと、1本あけた位置の大臼歯41cの歯冠6の即時重合レジン5には、雌構成要素20としての円筒形容器21が取り付けられている。そしてその隣の歯冠41e,41fには低位支点としての支持構造30の支持ピン31が補綴物2の下面に形成されている。これに対し、同図(a)に示したように、義歯床40が密着する下顎歯肉42側には2本の歯根4,4が残存しており、これら2本の歯根4,4間を連結するように、金属バー45が架け渡されている。この金属バー45を連結した歯根4上には2箇所に支持構造30のピン支持孔32が形成され、支持構造に連結された金属バー45上に2本のアンカーピン14,14が立設されている。本実施例では、ピン支持孔32は公知の歯科用金属が用いられ、金属バー45にはコバルトクロム合金が用いられ、この金属バー45上にコバルトクロム合金のアンカーピン14が鑞着等により、所定の位置、高さを保持して固定されている。
[設置基準に基づく維持装置及び支持構造の活用]
上述した各歯科補綴物の維持装置と支持構造を用いた場合、従来の歯科補綴物としての機能に加えて、以下のような活用法が見込まれる。
(1)咬合時の補綴物に対する緩圧作用を考慮した活用
(2)歯牙の支持力低下を考慮した活用
(3)支台歯の数、支台歯の位置を考慮可能な柔軟性をもった活用
(4)維持装置及び支持構造の設置、配置を考慮した活用
本発明によれば、本発明を上述のように活用することにより、以下の効果を得ることができる。
(1)歯科補綴物を可撤性補綴物とし、緩圧機能により支台歯が受ける咬合圧を歯牙個々による直接分担から、複数支点での支持分散させることが可能となる。
(2)垂直緩圧装置の緩衝空隙、自在設定機能を活用し、支持力低下した支台歯、歯冠外装置、咬合挙上が可能となる。
(3)側方緩圧装置としての機能は、天然歯の動きに類似した緩圧機能を有し、歯冠に作用する側方圧を緩和することができる。この効果は、インプラントの上部構造に応用したり、歯槽膿漏により歯牙を支持する組織の吸収が顕著となったような場合の固定装置等に活用することが可能となる。
(4)維持装置及び支持構造の支点を、低位支点とし、維持装置を各歯牙の平断面中央に形成する際、支点を歯牙の近・遠心側の舌側及び機能咬頭寄りに形成することで支台歯への荷重を和らげながら補綴物の支持安定を図ることができる。なお、大臼歯では歯牙の中央に低位支点を確保し、非機能側及び欠損部の咬合圧による沈下に同調する側方緩圧が支台歯への負担を軽減可能な構造とすることができる。
(5)多数歯欠損のため、離れた支台歯間に金属バーを活用し、各歯冠を連結、維持を歯冠外維持として確保することが可能であり、その際、大臼歯以外の支台歯にも歯牙の中央に低位支点を確保し、支持構造とすることができる。また、その際、維持装置は、補綴物全体のバランスを考慮し、個数、位置設定を適宜設定することが好ましい。
3 支台歯(歯牙)
4 歯根
10 雄構成要素
11 根面板
14 アンカーピン
20 雌構成要素
21 円筒形容器
23 コイルスプリング
27 クリアランススペース
28 緩衛空隙
30 支持構造
31 支持ピン
32 ピン支持孔
35 低位支点
40 義歯床
41 歯冠
48 スペーサー
Claims (8)
- 歯科可撤性補綴物を、雄構成要素と、該雄構成要素を内部に挿入可能であって、内部に収容された弾性体により前記雄構成要素を弾性支持する雌構成要素とで歯根側に維持させる維持機構と、前記歯根に設置された支持部と、該支持部と係合可能な可撤性補綴物側の支持受け部とで構成された支持構造とで前記歯科可撤性補綴物を前記歯根上に保持するようにしたことを特徴とする歯科補綴物維持装置。
- 前記雄構成要素は歯根内に設けられたアンカーピンであり、前記雌構成要素は、前記可撤性補綴物の歯冠内に埋設された筒状容器内に収容された、あらかじめズレを付与して巻回されたコイル状弾性体であり、該コイル状弾性体に前記アンカーピンが挟持されるように定着され、この定着時に生ずる抵抗力で前記筒状容器が前記アンカーピンに維持され、前記コイル状弾性体の変形に応じて、前記歯根に対して側方緩圧、垂直緩圧が果たされることを特徴とする請求項1に記載の歯科補綴物維持装置。
- 前記雄構成要素は前記支持構造間の架設部材上に立設されたアンカーピンであり、前記雌構成要素は、前記可撤性補綴物の歯冠内に埋設された筒状容器内に収容された、あらかじめズレを付与して巻回されたコイル状弾性体であり、該コイル状弾性体に前記アンカーピンが挟持されるように定着され、この定着時に生ずる抵抗力で前記筒状容器が前記アンカーピンに維持され、前記コイル状弾性体の変形に応じて、前記歯根に対して側方緩圧、垂直緩圧が果たされることを特徴とする請求項1に記載の歯科補綴物維持装置。
- 前記雄構成要素は前記可撤性補綴物の歯冠内に設けられたアンカーピンであり、前記雌構成要素は、前記歯根内に埋設された筒状容器内に収容された、あらかじめズレを付与して巻回されたコイル状弾性体であり、該コイル状弾性体に前記アンカーピンが挟持されるように定着され、この定着時に生ずる抵抗力で前記筒状容器が前記アンカーピンに維持され、前記コイル状弾性体の変形に応じて、前記歯根に対して側方緩圧、垂直緩圧が果たされることを特徴とする請求項1に記載の歯科補綴物維持装置。
- 前記雄構成要素は前記可撤性補綴物の歯冠内に設けられたアンカーピンであり、前記雌構成要素は、前記支持構造間の架設部材内に埋設された筒状容器内に収容された、あらかじめズレを付与して巻回されたコイル状弾性体であり、該コイル状弾性体に前記アンカーピンが挟持されるように定着され、この定着時に生ずる抵抗力で前記筒状容器が前記アンカーピンに維持され、前記コイル状弾性体の変形に応じて、前記歯根に対して側方緩圧、垂直緩圧が果たされることを特徴とする請求項1に記載の歯科補綴物維持装置。
- 前記コイル状弾性体は、形状記憶金属に初期ズレを付与して巻回され、前記筒状容器内に収容されたコイルスプリングであり、該初期ズレが前記アンカーピンの挿入定着により整列変形した際に、前記抵抗力が付与されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の歯科補綴物維持装置。
- 前記支持構造は、ピン状突起と、該ピン状突起を収容可能な凹所とからなることを特徴とする請求項1に記載の歯科補綴物維持装置。
- 低位咬合発生時に、前記雄構成要素にスペーサーを装着し、前記歯科可撤性補綴物を所定量だけ全体挙上し、顎位を中心位に誘導させて中心位咬合状態に改善することを特徴とする請求項1記載の歯科補綴物維持装置。
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