以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態のストリーミングデータ伝送システムでは、ストリーミングデータを受信する端末が、基地局との距離を変更することにより、利用可能な帯域が変化する場合において、ストリーミングデータ伝送を継続する機能を提供する。
図1は、第1の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの構成の一例を示す図である。本発明のストリーミングデータ伝送システムは、無線ネットワークA(10)を提供する基地局A(1)、無線ネットワークB(20)を提供する基地局B(2)、ストリーミングデータを受信する端末(3)、ストリーミングデータを制御するコグニティブ制御ノード(4)、ネットワークリソースを監視するコグニティブ監視ノード(5)、ストリーミングデータのビットレートを変換するトランスコーダ(6)、ストリーミングデータを配信するビデオサーバ(7)、及び外部ネットワーク(40)と接続するためのゲートウェイとなるホームエージェント(8)とから構成する。ここで、無線ネットワークA(10)では、最大10Mbpsのデータ転送が可能であり、無線網ネットワークB(20)では最大800kbpsのデータ転送が可能であると仮定する。一方、コグニティブ制御ノード(4)、コグニティブ監視ノード(5)、トランスコーダ(6)、及びホームエージェント(8)は、一つの有線ネットワーク(30)に属している。また、無線ネットワークA(10)、無線ネットワークB(20)、及び有線ネットワーク(30)を合わせたネットワークをコグニティブネットワーク(50)とする。
本実施形態では、端末(3)が、無線ネットワークA(10)内の基地局A(10)付近において3Mbpsのストリーミングデータを受信開始し、その後、基地局A(10)から離れたため、端末(3)が利用可能な帯域が3.5Mbps、4Mbps、6Mbpsになる場合におけるストリーミングデータ伝送継続について示す。以下では、図2を用いて、図1のストリーミングデータ伝送システムの動作について詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態によるストリーミングデータ伝送システムの動作を示すシーケンス図である。
始めに、図3に示したユーザ要求テーブルをコグニティブ制御ノード(4)に登録しておく。特に、静的要求(201、202)については、その値をユーザ毎に登録しておく。具体的には、追加料金が無ければ(202)、品質劣化を許容(201)する設定を行った。なお、ストリーミングデータのユーザ識別には、IP(Internet Protocol)アドレスを用いる。動的要求データ(203)については、ユーザ端末からの情報を受信した段階で登録が行われる。
また、図5に示したネットワーク及びトランスコーダにおける利用可能なリソース量を示したテーブルをコグニティブ制御ノード(4)に登録しておく。本実施形態では、無線ネットワークA(10)が、無料のネットワーク(215)であり、対応可能な端末の移動速度として40km/h(216)であることを予め登録しておく。一方、無線ネットワークA(10)の空き帯域(213)は、無線ネットワークA(10)に送信している総量に応じて動的に変更する。また、図5の実ジッター量(214)に関しては、基地局A(1)からの観測データからの情報を基に動的に更新を行う。さらに、トランスコーダのリソース状態についても、コグニティブ制御ノードで管理を行う。即ち、本実施形態でのトランスコーダは、MPEG−4のデータ(217)に対して消費する帯域を16Mbpsから56kbpsまで変更(218)でき、1ストリームを処理するのに2%のCPU能力と20Mbyteのメモリを消費(219)することを予め登録しておく。一方、トランスコーダ(6)における空きCPUリソース(211)及び空きメモリ量(212)に関しては、トランスコーディング処理を開始、或いは停止する度に動的に更新を行う。
初期設定の完了後サービスが開始され、図2の端末(3)は、ビデオサーバ(7)が提供するストリーミングサービスから所望のビデオを受信するため、ストリーミング配信のリクエストを、ホームエージェント(8)経由でビデオサーバ(7)に対して送信する(ステップ101)。送信されたリクエストは、基地局A(1)が受信し、コグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ102)。コグニティブ制御ノード(4)は、受信したリクエストをホームエージェント(8)へ送信する(ステップ103)。ホームエージェント(8)は、受信したリクエストをビデオサーバ(7)へ送信する(ステップ104)。またホームエージェント(8)は、リクエスト中に含まれる端末(3)情報、及びアプリケーション要求情報をコグニティブ制御ノード(4)に送信する(ステップ105)。コグニティブ制御ノード(4)は、受信した端末(3)情報、及びアプリケーション要求データから図6及び図4に示した端末へ提供中の帯域情報テーブル及びアプリケーション要求テーブルをそれぞれ作成し、蓄積保持する。
図6は、コグニティブ制御ノード(4)による端末(3)の管理状況を示している。具体的には、端末(3)が無線ネットワークA(10)に接続されていること(231)、無線ネットワークA(10)にて端末(3)が利用可能な有効帯域10Mbps(232)、及び端末(3)へ提供している帯域3Mbps(233)を管理する。なお、端末(3)が利用可能な有効帯域(232)は、基地局A(1)との位置関係等により随時変化するため、基地局A(1)からの観測情報に応じて動的に更新する。
図4は、アプリケーション要求の具体的な内容を示している。アプリケーションからの要求は、標準要求と必須要求とから構成する。標準要求は、アプリケーションが本来の品質で提供可能な要求品質を示している。本実施例で用いたアプリケーションでは、標準要求として、MPEG−4ビデオ(241)であり、3Mbpsの帯域が必要(242)且つ20ms以内のジッターである必要(243)がある。一方、必須要求は、データを伝送するネットワークの帯域が不足している場合、或いは伝送品質(ジッター)が良くない場合であっても、アプリケーションを提供するための最低限の要求品質を示している。本実施例での最低限の要求は、56kbps以上の帯域(244)且つ30ms以内のジッター(245)である。
図2の基地局A(1)は、端末(3)からの電波強度から算出した利用可能な有効帯域、及びデータ伝送のジッター量を測定し、その値をコグニティブ監視ノード(5)へ送信する(ステップ106)。一方、端末(3)は、自端末の移動速度を計測し、その値を、基地局A(1)経由にてコグニティブ監視ノード(5)へ向けて送信する(ステップ107、108)。コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報、及び端末(3)の移動速度情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ109)。
コグニティブ制御ノード(4)は、コグニティブ監視ノード(5)から受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図6の有効帯域情報(232)を更新する。また、ジッター情報から、図5の実ジッター情報(214)を更新する。さらに、コグニティブ監視ノード(5)から受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。
コグニティブ制御ノード(4)は、上記のようにネットワークリソースの状態に変化が起きた場合、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施例では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は、端末の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、提供可能かどうかを判断する。具体的には、図5から無線ネットワークA(10)へ、10Mbpsのデータ伝送が可能(213)であり、また図6から端末(3)への有効帯域が10Mbpsであるから、端末(3)へ標準要求である3Mbpsの帯域が提供可能である。また、ジッター値にも問題がないので、コグニティブ制御ノード(4)は、要求のあったアプリケーションであるストリーミングデータに対して、標準として要求されているリソースを提供することを決定する。具体的には、図6の提供帯域(233)に示すように、3Mbpsの帯域を提供することを登録する。また、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)へ伝送するデータ量を3Mbpsまで許容するようコグニティブ制御ノード(4)に設定する(ステップ110)。なお、ステップ110のより具体的な処理動作は、図8に示したフローチャート図のステップ256からステップ271の処理動作に相当するが、図8を用いて後述する。
ビデオサーバ(7)は、ホームエージェント(8)からリクエストのあったビデオデータを、ホームエージェント(8)へ向けてストリーミング配信する(ステップ111)。ホームエージェント(8)は、受信したストリーミングデータをコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ112)。コグニティブ制御ノードは、受信したストリーミングデータを基地局A(1)へ送信する(ステップ113)。基地局A(1)は、受信したストリーミングデータを端末(3)へ送信する(ステップ114)。端末(3)は、受信したストリーミングデータの再生を行う。
基地局A(1)は、所定時間後(例えば1秒後)に端末(3)が利用可能な有効帯域、及びジッター量を測定し、その値をコグニティブ監視ノード(5)へ送信する(ステップ115)。本実施形態では、端末(3)が基地局A(1)から離れたため有効帯域が3.5Mbpsであり、ジッターが20msである。また、端末(3)は、所定時間毎(例えば1秒毎)に自端末の移動速度を計測し、その値を、基地局A(1)経由にてコグニティブ監視ノード(5)へ向けて送信する(ステップ116、117)。なお、本実施例では、移動速度は4km/hのままである。
コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)に対する有効帯域情報、ジッター情報、及び端末(3)の移動速度情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ118)。
また、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図6の有効帯域情報(232)を更新する。具体的には、10Mbpsから3.5Mbpsに変更する。また、ジッター情報から、図5の実ジッター情報(214)を更新する。さらに、受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。
さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、ネットワークリソースの状態に変化が起きたため、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施形態では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は端末(3)の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、無線ネットワークA(10)が提供可能かどうかを判断する。ここでは、空き帯域が減少を始め、近い将来要求された3Mbpsの帯域を提供できないと予測する場合を説明する。コグニティブ制御ノード(4)は、要求帯域を提供できないと判断した場合(ステップ119)、受信しているストリーミングデータの帯域を変更できないか確認する。即ち、コグニティブ制御ノード(4)は、図5に示したトランスコーダのリソース状況を確認し、新たなストリームデータをトランスコーダが処理できるか否かを判断し、処理できる場合は、トランスコーダに対して、新たなストリーミングデータのトランスコーディングを実施するよう設定を行う(ステップ120)。具体的には、受信している3Mbpsのストリーミングデータを、2Mbpsのストリーミングデータに変換するよう設定を行う。なお変換後の具体的な帯域設定は、端末(3)が利用可能な有効帯域(232)の変化から所定時間後(例えば1秒後)の有効帯域を予測し、その値と無線ネットワークA(10)が提供できる帯域の小さい方の帯域以下になるように設定する。特に、端末(3)が利用可能な有効帯域(232)の変化から所定時間後(例えば1秒後)の有効帯域を予測する方法としては、基地局からの端末の距離と有効帯域の関係グラフ、及び端末の移動速度を考慮して所定時間後(例えば1秒後)の有効帯域を予測する。
但しここで、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)への送信データ量は、これまで受信してきているデータの帯域である3Mbpsまでデータ転送を許容する設定のままとする。これは、トランスコーダへストリーミングデータを転送し変換を行う処理を行うが、処理の実行は映像フレーム内での圧縮データから開始するため、それ以前のストリーミングデータはトランスコーディングされずにトランスコーダから再度受信するためである。
続いて、コグニティブ制御ノード(4)は、トランスコーディングを実施するため、受信するストリーミングデータをトランスコーダへ転送するためのルーティング設定を行う(ステップ121)。なお、ステップ119からステップ121のより具体的な処理動作は、図8に示したフローチャート図のステップ256からステップ271の処理動作に相当するが、図8を用いて後述する。
その後、ビデオサーバから送信されたストリーミングデータを受信すると、その受信データをトランスコーダ(6)に転送する(ステップ122、123、124)。
トランスコーダ(6)は、受信したストリーミングデータをトランスコーディングしてコグニティブ制御ノードに返信する(ステップ125、126)。また、トランスコーディングを開始した段階で、トランスコーディング開始通知、及びトランスコーディング開始後のトランスコーダ(6)のリソース状態をコグニティブ制御ノード(4)に送信する(ステップ127)。
コグニティブ制御ノード(4)は、トランスコーダから受信したトランスコーディング後のストリーミングデータを、基地局A(1)へ向けて送信する(ステップ128)。また、コグニティブ制御ノード(4)は、トランスコーダ(6)からトランスコーディング開始通知を受信すると、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)への送信データ量をトランスコーディング後の帯域である2Mbpsに設定する。
基地局A(1)は、受信したストリーミングデータを端末(3)へと送信する(ステップ129)。端末(3)は、受信したストリーミングデータの再生を行う。
基地局A(1)は、さらに所定時間後(例えば1秒後)に端末(3)が利用可能な有効帯域、及びジッター量を測定し、その値をコグニティブ監視ノード(5)へ送信する(ステップ130)。本実施例では、有効帯域が4Mbpsであり、ジッターが20msである。また、端末(3)は、所定時間毎(例えば1秒毎)に自端末の移動速度を計測し、その値を、基地局A(1)経由にてコグニティブ監視ノード(5)へ向けて送信する(ステップ131、132)。なお、本実施形態では、移動速度は4km/hのままである。
コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)が利用可能な有効帯域情報、ジッター情報、及び端末(3)の移動速度情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ133)。
また、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図6の有効帯域情報(232)を更新する。具体的には、3.5Mbpsから4Mbpsに変更する。また、ジッター情報から、図5の実ジッター情報(214)を更新する。さらに、受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。
さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、ネットワークリソースの状態に変化が起きたため、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施例では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は端末(3)の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、無線ネットワークA(10)が提供可能かどうかを判断する。ここでは、有効帯域が増加を始めたため、アプリケーションに提供する帯域を増加させる場合を説明する。コグニティブ制御ノード(4)は、提供帯域を増加すべきと判断した場合(ステップ134)、トランスコーダ(6)に対してトランスコーディング後の使用帯域を増加させる設定を行う(ステップ135)。具体的には、受信データの2Mbpsのストリーミングデータへの変換を、2.5Mbpsのストリーミングデータへの変換にするよう設定を行う。但しここで、コグニティブ制御ノード(4)は、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)への送信データ量を、トランスコーディング後の帯域である2.5Mbpsまでデータ転送を許容するよう設定を変更する。なお、ステップ134からステップ135のより具体的な処理動作は、図8に示したフローチャート図のステップ256からステップ271の処理動作に相当するが、図8を用いて後述する。
続いて、コグニティブ制御ノード(4)は、ビデオサーバから送信されたストリーミングデータを受信すると、その受信データをトランスコーダ(6)に転送する(ステップ136、137、138)。
トランスコーダ(6)は、受信したストリーミングデータをトランスコーディングしてコグニティブ制御ノードに返信する(ステップ139、140)。
コグニティブ制御ノード(4)は、トランスコーダから受信したトランスコーディング後のストリーミングデータを、基地局A(1)へ向けて送信する(ステップ142)。
基地局A(1)は、受信したストリーミングデータを端末(3)へと送信する(ステップ143)。端末(3)は、受信したストリーミングデータの再生を行う。
基地局A(1)は、さらに所定時間後(例えば1秒後)に端末(3)が利用可能な有効帯域、及びジッター量を測定し、その値をコグニティブ監視ノード(5)へ送信する(ステップ144)。本実施例では、利用可能帯域が6Mbpsであり、ジッターが20msである。また、端末(3)は、所定時間毎(例えば1秒毎)に自端末の移動速度を計測し、その値を、基地局A(1)経由にてコグニティブ監視ノード(5)へ向けて送信する(ステップ145、146)。なお、本実施例では、移動速度は4km/hのままである。
コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)が利用可能な有効帯域情報、ジッター情報、及び端末(3)の移動速度情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ147)。
また、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報に基づいて図6の有効帯域情報(232)を更新する。具体的には、4Mbpsから6Mbpsに変更する。また、ジッター情報から、図5の実ジッター情報(214)を更新する。また、受信した端末(3)の移動速度情報に基づいて、図3の端末速度情報(203)を更新する。
さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、ネットワークリソースの状態に変化が起きたため、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施形態では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は端末(3)の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、無線ネットワークA(10)が提供可能かどうかを判断する。ここでは、有効帯域が増加し、アプリケーションが標準に要求する帯域を提供可能な場合を説明する。コグニティブ制御ノード(4)は、アプリケーションが標準で要求する帯域を提供できると判断した場合(ステップ148)、トランスコーダへのストリーミングデータ転送を停止するためのルーティング設定を行う(ステップ149)。その後、トランスコーダ(6)に対して、トランスコーディングを停止するよう設定を行う(ステップ150)。なお、ステップ148からステップ150のより具体的な処理動作は、図8に示したフローチャート図のステップ256からステップ271の処理動作に相当するが、図8を用いて後述する。
トランスコーダ(6)は、トランスコーディング停止後のリソース状態をコグニティブ制御ノード(4)へ通知する(ステップ151)。
ビデオサーバ(7)から配信されたストリーミングデータは、ホームエージェント(8)を経由し、またトランスコーディングされることなくコグニティブ制御ノード(4)、及び基地局A(1)を経由し、端末(3)へと配信される(ステップ152、153、154、155)。端末(3)は、受信したストリーミングデータの再生を行う。
以上が、第1の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの動作シーケンスである。続いて、図7及び図8を用いて、コグニティブ制御ノード(4)の動作を詳細に説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態のコグニティブ制御ノード(4)のブロック図である。図7に示すように、コグニティブ制御ノード(4)は、バス(47)によって接続した、CPU部(41)と、プログラム実行時にデータを蓄積保持するメインメモリ(42)と、コグニティブ制御ノードで実行するプログラムを蓄積保持したプログラム蓄積部(43)と、設定を行うための入力I/F(44)と、CPU部に接続したスイッチ部(45)と、宛先と出力部の関係を蓄積保持した宛先テーブル(46)と、スイッチ部(45)に接続し外部からデータを受信するための入力部(411、412、413、414、415)と、外部へデータを送信するための出力部(421、422、423、424、425)とを備える。
図8は、本発明の第1の実施形態のコグニティブ制御ノード(4)のCPU部の処理動作を示すフローチャートである。コグニティブ制御ノード(4)は、始めにプログラム蓄積部(43)に蓄積保持した処理プログラムをCPU部(41)にロードし、コグニティブ制御ノード処理を開始する(ステップ250)。
コグニティブ制御ノード処理を開始すると、データを受信したか否かを判断する(ステップ251)。
ステップ251の判断において、データを受信していないと判断した場合は、引き続きデータを受信したか否かを監視する。
ステップ251の判断においてデータを受信したと判断した場合、続いて受信したデータが自宛てのデータか否かを判断する(ステップ252)。
ステップ252の判断において、自宛てのデータでないと判断した場合、続いてトランスコーディングすべきデータか否かを判断する。即ち、宛先テーブル(46)を参照し、トランスコーダへの転送が登録されているか否かを判断する(ステップ253)。
ステップ253の判断において、トランスコーディング処理を実行するデータでないと判断した場合は、データの宛先に従い適切な出力部よりデータの転送を行う(ステップ254)。
ステップ253の判断において、トランスコーディング処理を実行するデータであると判断した場合は、トランスコーダへデータを転送する(ステップ255)。
ステップ252の判断において、自宛てのデータであると判断した場合、続いて新規アプリケーションフローの登録データか否かを判断する(ステップ256)。
ステップ256の判断において、新規アプリケーションフローの登録データではないと判断した場合、受信したデータが、観測したデータであるか否か、即ち端末への有効帯域情報、或いは端末の移動速度情報か否かを判断する(ステップ257)。
ステップ257の判断において、観測したデータでないと判断した場合、トランスコーダからのデータか否かを判断する(ステップ258)。
ステップ258の判断において、トランスコーダからのデータでないと判断した場合は、受信したデータを廃棄する(ステップ259)。
ステップ258の判断において、トランスコーダからのデータであると判断した場合は、コグニティブ制御ノードのリソース制御に利用する。具体的には、受信するデータは、トランスコーディング開始情報、或いはトランスコーディング開始後のトランスコーダのリソース状態情報、或いはトランスコーディング停止後のトランスコーダのリソース状態情報の何れかである。そのため、受信したデータが、トランスコーディング開始情報である場合は、その通知をトリガーとして、端末へ提供する帯域をトランスコーディング後のデータ帯域に設定更新する。また、受信したデータが、トランスコーディング開始後のトランスコーダのリソース状態情報、或いは、トランスコーディング停止後のトランスコーダのリソース状態情報である場合は、図5に示したトランスコーダリソースの空きCPU量、及び空きメモリのデータを更新する(ステップ260)。
ステップ257の判断において、観測したデータであると判断した場合、受信データは、端末(3)の移動速度情報、或いは端末(3)へ提供可能な有効帯域情報の何れかとなる。受信したデータが、端末(3)の移動速度情報である場合、図3に示した端末速度(203)データを更新する。一方、受信したデータが、端末(3)へ提供可能な有効帯域情報である場合は、図6の有効帯域(232)データを更新する(ステップ261)。
ステップ256の判断において、新規アプリケーションフローの登録データであると判断した場合、受信した端末(3)情報、及びアプリケーション要求データから図6及び図4に示した端末へ提供中の帯域情報テーブル及びアプリケーション要求テーブルをそれぞれ作成し、蓄積保持する(262)。続いて、図5及び図6に示したリソースが、図3に示したユーザ要求を満たせるか否かを判断する(ステップ263)。
ステップ263の判断において、ユーザ要求を満たせないと判断した場合は、これまでの設定を変更せずにベストエフォート伝送としてアプリケーションを継続し、端末(3)に対してユーザ要求を満たすことが出来ないことを通知する(ステップ264)。
ステップ263の判断において、ユーザ要求を満たせると判断した場合は、続いて図5及び図6に示したリソースが、図4に示したアプリケーションの標準要求を満たせるか否かを判断する(ステップ265)。
ステップ265の判断において、アプリケーションの標準要求を満たせると判断した場合は、続いて、アプリーションの標準設定を満たすようリソース提供の設定を行う(ステップ266)。
ステップ265の判断において、アプリケーションの標準要求を満たせないと判断した場合は、続いてトランスコーダが利用可能か否かを判断する(ステップ267)。
ステップ267の判断において、トランスコーダが利用可能でないと判断した場合は、これまでの設定を変更せずにベストエフォート伝送としてアプリケーションを継続し、端末(3)に対してアプリケーション要求を満たすことが出来ないことを通知する(ステップ268)。
ステップ267の判断において、トランスコーダが利用可能であると判断した場合は、続いて、ネットワークリソースがアプリケーションの必須要求を満たすことが出来るか否かを判断する(ステップ269)。具体的には、トランスコーダを用いて消費する帯域を削減すれば、図5及び図6に示した提供可能なリソースでアプリケーションが継続可能か否かを判断する。
ステップ269の判断において、ネットワークリソースが、アプリケーションの必須要求を満たすことが出来ないと判断した場合は、アプリケーションが要求している必須帯域でトランスコーディングする設定を行う(ステップ270)。続いて、コグニティブ制御ノードは、アプリケーションの必須要求を満たすことが出来ないことを、端末(3)に対して通知する(ステップ268)。
ステップ269の判断において、アプリケーションの必須要求を満たすことが出来ると判断した場合は、ネットワークが提供出来る最大の帯域でトランスコーディングする設定、及びストリーミングデータをトランスコーダへ転送するための設定を行い、アプリケーションの標準要求を満たすことが出来ないが、ユーザ要求とアプリケーションの必須要求を満たしたサービスを継続中であることを、ユーザ端末(3)に通知する(ステップ271)。
以上がコグニティブ制御ノードの詳細な処理動作である。続いて、図9及び図10を用いて、トランスコーダの処理動作を説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態のトランスコーダのブロック図である。図9に示すように、トランスコーダ(6)は、データを受信する入力部(61)と、入力データのプロトコルを処理するプロトコル処理部A(62)と、トランスコーディングの設定を行うトランスコード制御部(63)と、映像フレームデータを検出する映像フレーム検出部(64)と、トランスコーディングを実行するトランスコード処理部(65)と、トランスコーダのリソースを監視するリソース監視部(66)と、送信データのプロトコルを処理するプロトコル処理部B(67)と、送信データを出力する出力部(68)とを備える。続いて、図10を用いてトランスコーダ(6)の動作を詳細に説明する。
図10は、トランスコーダ(6)の処理動作を示すフローチャートである。トランスコーダの処理を開始(ステップ300)すると、始めに、入力部(61)を介してデータを受信したか否かを判断する(ステップ301)。
ステップ301の判断において、データを受信していないと判断した場合は、引き続きデータを受信したか否かの監視を継続する。
ステップ301の判断において、データを受信したと判断した場合は、受信データ解析のため、プロトコル処理部A(62)に受信データを転送する(ステップ302)。続いて、プロトコル処理部A(62)は、受信したデータが、トランスコーダ設定用のデータか否かを判断する(ステップ303)。
ステップ303の判断において、トランスコーダ設定用のデータであると判断した場合は、受信データをトランスコード制御部(63)へ転送する(ステップ304)。トランスコード制御部(63)は、受信データを基にトランスコード処理部(65)に設定を行う(ステップ305)。例えば、3Mbpsのストリームを2Mbpsにトランスコーディングするための設定を行う。
また、トランスコード制御部(63)は、リソース監視部(66)に対して、トランスコード処理部の設定変更に伴うトランスコーダ全体のリソース状況を、コグニティブ制御ノード(4)に配信するよう通知を行う(ステップ306)。リソース監視部(66)は、トランスコーダ(6)のCPUリソースとメモリリソースの状況を測定し、プロトコル処理部B(67)でコグニティブ制御ノード(4)へ送信するためのプロトコル処理を行い、出力部(68)を介してコグニティブ制御ノード(4)へ向けて測定データを送信する(ステップ307)。
ステップ303の判断において、トランスコーダ設定用のデータでないと判断した場合は、トランスコーディングするデータか否かを判断する(ステップ308)。
ステップ308の判断において、トランスコーディングするデータでないと判断した場合は、受信したデータを廃棄する(ステップ309)。
ステップ308の判断において、トランスコーディングするデータであると判断した場合は、受信データを端末(3)へ伝送するためのヘッダー情報を蓄積保持し(ステップ310)、処理すべきストリーミングデータとそのデータを識別するためのフロー識別子情報を映像フレーム検出部(64)に転送する(ステップ311)。続いて、受信した処理すべきストリーミングデータが、既にトランスコーディング開始しているデータか否かを、トランスコーディング開始済みストリーミングリストを参照して判断する(ステップ312)。
ステップ312の判断において、トランスコーディング開始済みストリーミングデータでないと判断した場合は、受信したデータがフレーム内圧縮データ(フレーム間圧縮データでない)であるか否かを判断する(ステップ313)。
ステップ313の判断において、受信したデータがフレーム内圧縮データでないと判断した場合は、受信データ及びフロー識別子をプロトコル処理部B(67)へ転送し(ステップ314)、フロー識別子から受信データを端末(3)へ伝送するためのヘッダー情報を復元し、またデータを送信するためのプロトコル処理を行い、出力部(68)を介し端末(3)へ向けて送信する(ステップ315)。
ステップ313の判断において、受信したデータがフレーム内圧縮データであると判断した場合は、トランスコーディング開始済みストリーミングリストに登録し、受信データをトランスコード処理部(65)へ転送する(ステップ316)。また、トランスコード処理部(65)は、受信したデータのトランスコーディングを実施する(ステップ317)。
ステップ312の判断において、映像フレーム検出部(64)がトランスコーディング開始済みストリーミングデータであると判断した場合は、受信したデータ及びフロー識別子をトランスコード処理部へ転送し、トランスコーディングを行う(ステップ317)。また、トランスコード処理部は、トランスコーディング後のストリーミングデータとフロー識別子をプロトコル処理部へ転送し、プロトコル処理部B(67)は、トランスコーディング後のストリーミングデータを端末(3)へ伝送するためのプロトコル処理を行い、出力部(68)を介して端末(3)へ向けて送信する(ステップ318)。
以上が、トランスコーダの詳細な処理動作である。続いて、図11及び図12を用いて、コグニティブ監視ノード(5)の動作を詳細に説明する。
図11は、本発明の第1の実施形態のコグニティブ監視ノード(5)のブロック図である。図11に示すように、コグニティブ監視ノード(5)は、バス(57)によって接続した、CPU部(51)と、プログラム実行時にデータを蓄積保持するメインメモリ(52)と、コグニティブ監視ノードで実行するプログラムを蓄積保持したプログラム蓄積部(53)と、監視データを蓄積保持するディスクメモリ(54)と、設定を行うための入力I/F(55)と、宛先と出力部の関係を蓄積保持した宛先テーブル(56)と、CPU部に接続したスイッチ部(58)と、スイッチ部(58)に接続し外部からデータを受信するための入力部(431、432、433)と、外部へデータを送信するための出力部(441、442、443)とを備える。
図12は、本発明の第1の実施形態におけるコグニティブ監視ノード(5)の処理動作を示すフローチャートである。コグニティブ監視ノード(5)は、始めにプログラム蓄積部(53)に蓄積保持した処理プログラムをCPU部(51)にロードし、コグニティブ監視ノードの処理を開始する(ステップ330)。コグニティブ監視ノード(5)処理を開始すると、データを受信したか否かを判断する(ステップ331)。
ステップ331の判断において、データを受信したと判断した場合は、受信したデータが無線ネットワークA(10)内における端末(3)への有効帯域情報であるか否かを判断する(ステップ332)。
ステップ332の判断において、受信したデータが、無線ネットワークA(10)内における端末(3)への有効帯域情報であると判断した場合は、その値をディスクメモリ(54)内に蓄積保持する(ステップ333)。
ステップ332の判断において、受信したデータが、無線ネットワークA(10)内における端末(3)への有効帯域情報でないと判断した場合は、続いて受信したデータが、端末(3)の移動速度情報か否かを判断する(ステップ334)。
ステップ334の判断において、受信したデータが端末(3)の移動速度情報であると判断した場合は、その値をディスクメモリ(54)内に蓄積保持する(ステップ335)。
ステップ334の判断において、受信したデータが端末(3)の移動速度情報でないと判断した場合は、受信したデータを廃棄し(ステップ336)、再度データを受信したか否かの監視を行う。
ステップ331の判断において、データを受信していないと判断した場合は、続いて監視したデータをコグニティブ制御ノード(4)へ送信するタイミングか否かを判断する(ステップ337)。なお本実施例では、1秒間隔毎に監視データを送信する。
ステップ337の判断において、監視したデータをコグニティブ制御ノード(4)へ送信するタイミングであると判断した場合は、ディスクメモリに蓄積保持した監視データを、宛先テーブル(56)に従い、コグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ338)。
ステップ337の判断において、監視したデータをコグニティブ制御ノード(4)へ送信するタイミングでないと判断した場合は、引き続きデータを受信したか否かを確認する(ステップ331)。
以上が、コグニティブ監視ノードの詳細な処理動作である。続いて、図13及び図14を用いて、基地局A(1)の動作を説明する。なお、基地局B(2)の動作は、利用する周波数帯が異なることを除けば、基本的に、基地局A(1)の動作と同一である。
図13は、本発明の第1の実施形態における基地局A(1)のブロック図である。図13に示すように、基地局A(1)は、バス(17)によって接続した、CPU部(11)と、プログラム実行時にデータを蓄積保持するメインメモリ(12)と、基地局A(1)で実行するプログラムを蓄積保持したプログラム蓄積部(13)と、測定データを蓄積保持するディスクメモリ(14)と、設定を行うための入力I/F(15)と、宛先と出力部の関係を蓄積保持した宛先テーブル(16)と、CPU部に接続したスイッチ部(18)と、スイッチ部(18)に接続し外部からデータを受信するための入力部(451、452、453)と、外部へデータを送信するための出力部(461、462、463)とを備える。
図14は、本発明の第1の実施形態における基地局A(1)の処理動作を示すフローチャートである。基地局A(1)は、始めにプログラム蓄積部(13)に蓄積保持した処理プログラムをCPU部(11)にロードし、基地局A(1)の処理を開始する(ステップ350)。基地局A(1)処理を開始すると、データを受信したか否かを判断する(ステップ351)。
ステップ351の判断において、データを受信したと判断した場合は、続いて受信したデータが端末(3)からか否かを判断する(ステップ352)。
ステップ352の判断において、受信したデータが端末(3)からであると判断した場合は、受信したデータを伝送した電波の強度から、端末(3)への有効帯域を算出し、ディスクメモリに蓄積保持する(ステップ353)。なお、予め電波強度と有効帯域の関係をディスクメモリに蓄積保持しておく。また、受信データをコグニティブ制御ノード(4)へ転送するため、宛先テーブルを確認し、適切な出力部を介して送信する(ステップ354)。
ステップ352の判断において、受信したデータが端末(3)からでないと判断した場合は、続いてコグニティブ制御ノード(4)からのデータか否かを判断する(ステップ355)。
ステップ355の判断において、受信したデータがコグニティブ制御ノード(4)からであると判断した場合は、これまで受信し続けているデータとの関係からジッター量を測定し、ディスクメモリ(14)に蓄積保持する(ステップ356)。また、受信したデータを端末(3)へ転送するため、宛先テーブル(16)を確認し、適切な出力部を介して送信する(ステップ357)。
ステップ355の判断において、受信したデータがコグニティブ制御ノード(4)からでないと判断した場合は、受信したデータを廃棄(ステップ358)して、また新たなデータを受信したか否かの監視を継続する。
ステップ351の判断において、データを受信していない判断した場合は、続いて、測定データを送信するタイミングになっているか否かを判断する(ステップ359)。
ステップ359の判断において、測定データを送信するタイミングになっていないと判断した場合は、また新たなデータを受信したか否かの監視を継続する(ステップ351)。
ステップ359の判断において、測定データを送信するタイミングになっていると判断した場合は、ディスクメモリ(14)に蓄積保持した測定データを、コグニティブ監視ノード(5)へ伝送するため、宛先テーブル(16)を確認し、適切な出力部を介して送信する(ステップ360)。
以上が、第1の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの詳細な構成と動作説明である。
なお、本実施形態では、ストリーミングデータをトランスコーディングする装置を、コグニティブ制御ノードと別の装置として構成したが、トランスコーディングする機能をコグニティブ制御ノードの機能として構成してもよい。
また、本実施例では、ストリーミングデータをトランスコーディングするためのルーティングテーブルを設定した段階から、コグニティブ制御ノードからトランスコーダへストリーミングデータを転送開始したが、コグニティブ制御ノード内に映像フレーム内圧縮データを検出する機能を備え、フレーム内圧縮データからトランスコーダへ転送する構成としてもよい。
上記第1の実施形態によれば、第1に、ユーザ要求及びアプリケーションの必須要求を満たすようにストリーミングデータ配信サービスを継続することができる。
上記第1の実施形態によれば、第2に、トランスコーディングを行う際、映像フレーム内で圧縮符号化されたデータからトランスコーディングを実行するため、映像再生に乱れの少ないトランスコーディングを実現することができる。
上記第1の実施形態によれば、第3に、ネットワークにおいて、トランスコーディング後の帯域を予約する場合、トランスコーディング開始時の遅延を原因に発生するパケット廃棄を防止することができる。
上記第1の実施形態によれば、第4に、ユーザ要求、或いはアプリケーション要求を満たすことが出来ない場合、その旨、端末に通知するため、ユーザは、どんな問題が発生しているかを認識することが出来る。
上記第1の実施例によれば、第5に、ネットワークリソースに変化が起きる度に、ネットワークリソースが、ユーザ要求及びアプリケーション要求を満たすことができるか否かを確認するため、遅延の少ないリソース制御が可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態のストリーミングデータ伝送システムでは、ストリーミングデータを受信する端末が、異なるネットワークに移動することにより、利用可能な帯域が変化する場合において、ストリーミングデータ伝送を継続する機能を提供する。
第2の実施例においても、図1に示したストリーミングデータ伝送システムの構成を用いる。本実施例では、端末(3)が無線ネットワークA(10)の領域から、無線ネットワークB(20)のみの領域に移動する場合について、ストリーミングデータ伝送を継続する機能について説明する。以下では、図15、図16、図17を用いて第2の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの動作について説明する。
図15は、第2の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの動作を示すシーケンス図である。なお、図15において、図2と重複して記載されている番号の処理に関しては、同一の処理であるため、詳細な動作の説明に関しては省略する。図16は、コグニティブ制御ノード(4)が蓄積保持する、複数のネットワークリソース及びトランスコーダリソースの状況を示している。図16が図5と異なる点は、無線ネットワークB(20)のリソース状況を保持している点である。図17は、コグニティブ制御ノード(4)が蓄積保持する、端末(3)に関するリソース状況を示している。図17が図6と異なる点は、無線ネットワークB(20)が端末(3)へ提供可能なリソースを示している点である。
始めに、無線ネットワークA(10)内にいる端末が、ビデオサーバ(7)に対してストリーミングデータを要求してから、基地局A(1)が端末の移動速度をコグニティブ監視ノード(5)に通知するまでの処理(ステップ101〜108)は、図2で説明した処理と同一である。
基地局A(1)同様、基地局B(2)も端末(3)と通信し、無線ネットワークB(20)内での端末(3)への有効帯域を測定し、コグニティブ監視ノード(5)に通知する(ステップ501)。
コグニティブ監視ノード(5)は、無線ネットワークA(10)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報、端末(3)の移動速度情報、及びネットワークB(20)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ502)。
コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークA(10)の有効帯域情報(232)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークA(10)の実ジッター情報(214)を更新する。また、受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークB(20)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークB(20)の有効帯域情報(237)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークB(20)の実ジッター情報(221)を更新する。
そして、コグニティブ制御ノード(4)は、上記のようにネットワークリソースの状態に変化が起きた場合、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施例では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は、端末の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、提供可能かどうかを判断する。具体的には、図16から無線ネットワークA(10)へ、10Mbpsのデータ伝送が可能(213)であり、また図17から端末(3)への有効帯域が10Mbpsであるから、端末(3)へ標準要求である3Mbpsの帯域が提供可能である。また、ジッター値にも問題がないので、コグニティブ制御ノード(4)は、要求のあったアプリケーションであるストリーミングデータに対して、標準として要求されているリソースを提供することを決定する。具体的には、図17の無線ネットワークA(10)における提供帯域(233)に示すように、3Mbpsの帯域を提供することを登録する。また、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)へ伝送するデータ量を3Mbpsまで許容するようコグニティブ制御ノード(4)に設定する(ステップ503)。なお本実施形態の場合、無線ネットワークB(20)では、アプリケーションが要求する標準のリソースを提供できないが、無線ネットワークA(10)では、アプリケーションが要求する標準のリソースを提供できるため、無線ネットワークA(10)を用いて、ストリーミングデータを端末(3)へ伝送する。
ビデオサーバ(7)がストリーミングデータを送信しはじめてから、基地局A(1)が端末の移動速度をコグニティブ監視ノード(5)に通知するまでの処理(ステップ111〜117)は、図2で説明した処理と同一である。なお、本実施例では、端末(3)が基地局A(1)から離れたため無線ネットワークA(10)における端末(3)への有効帯域が3.5Mbpsであり、ジッターが20msである。
基地局B(2)は、基地局A(1)同様、1秒毎に無線ネットワークB(20)内での端末(3)への有効帯域を測定し、コグニティブ監視ノード(5)に通知する(ステップ504)。本実施例では、無線ネットワークB(20)における端末(3)への有効帯域は800kbps(220)であり、ジッターが10ms(221)である。
コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報、端末(3)の移動速度情報、及びネットワークB(20)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ505)。
コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークA(10)の有効帯域情報(232)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークA(10)の実ジッター情報(214)を更新する。また、受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークB(20)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークB(20)の有効帯域情報(237)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークB(20)の実ジッター情報(216)を更新する。
また、コグニティブ制御ノード(4)は、上記のようにネットワークリソースの状態に変化が起きた場合、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施例では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)は、端末の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、提供可能かどうかを判断する。ここでは、空き帯域が減少を始め、近い将来要求された3Mbpsの帯域を提供できないと予測する場合を説明する。コグニティブ制御ノード(4)は、要求帯域を提供できないと判断した場合(ステップ506)、受信しているストリーミングデータの帯域を変更できないか確認する。即ち、コグニティブ制御ノード(4)は、図16に示したトランスコーダのリソース状況を確認し、新たなストリームデータをトランスコーダが処理できるか否かを判断し、処理できる場合は、トランスコーダに対して、新たなストリーミングデータのトランスコーディングを実施するよう設定を行う(ステップ120)。具体的には、受信している3Mbpsのストリーミングデータを、1Mbpsのストリーミングデータに変換するよう設定を行う。但しここで、コグニティブ制御ノード(4)は、コグニティブ制御ノード(4)から基地局A(1)への送信データ量は、これまで受信してきているデータの帯域である3Mbpsまでデータ転送を許容する設定のままとする。これは、トランスコーダへストリーミングデータを転送し変換を行う処理を行うが、処理の実行は映像フレーム内での圧縮データから開始するため、それ以前のストリーミングデータはトランスコーディングされずにトランスコーダから再度受信するためである。
上記処理に続いて、ストリーミングデータをトランスコーダへ転送するためのルーティング設定から、基地局A(1)が端末の移動速度をコグニティブ監視ノード(5)に通知するまでの処理(ステップ120〜132)は、図2で説明した処理と同一である。なお、本実施例では、端末(3)が基地局A(1)からさらに離れたため無線ネットワークA(10)における端末(3)への有効帯域が1.5Mbpsであり、ジッターが20msである。
基地局B(2)は、基地局A(1)同様、1秒毎に無線ネットワークB(20)内での端末(3)への有効帯域を測定し、コグニティブ監視ノード(5)に通知する(ステップ507)。本実施形態では、無線ネットワークB(20)における端末(3)への有効帯域は800kbps(237)であり、ジッターが10ms(221)である。
コグニティブ監視ノード(5)は、受信した無線ネットワークA(10)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報、端末(3)の移動速度情報、及びネットワークB(20)における端末(3)への有効帯域情報、ジッター情報をコグニティブ制御ノード(4)へ送信する(ステップ508)。
コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークA(10)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークA(10)の有効帯域情報(232)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークA(10)の実ジッター情報(214)を更新する。また、受信した端末(3)の移動速度情報から、図3の端末速度情報(203)を更新する。さらに、コグニティブ制御ノード(4)は、受信した無線ネットワークB(20)の端末(3)への有効帯域情報から図17の無線ネットワークB(20)の有効帯域情報(237)を更新し、ジッター情報から図16の無線ネットワークB(20)の実ジッター情報(216)を更新する。
また、コグニティブ制御ノード(4)は、上記のようにネットワークリソースの状態に変化が起きた場合、ユーザの動的要求、即ち端末移動速度を許容できるか否か判断する。本実施形態では、端末の移動速度は4km/hであり、無線ネットワークA(10)及び無線ネットワークB(20)は、端末の移動に対応できる。続いて、アプリケーションが標準として要求するリソースを、提供可能かどうかを判断する。ここでは、空き帯域がさらに減少を始め、無線ネットワークA(10)が、現在提供中の1Mbpsの帯域を提供できないと予測する場合を説明する。
コグニティブ制御ノード(4)は、無線ネットワークA(10)では、提供中の帯域を近い将来提供できなく、無線ネットワークB(20)を利用した方がより広帯域なりソースを提供できる(236)と判断した場合(ステップ509)、トランスコーダに対して更に低レートへのトランスコーディングを設定する(ステップ510)とともに、ストリーミングデータが、無線ネットワークB(20)を介して端末(3)へ届くよう、コグニティブ制御ノード(4)の宛先テーブルを変更する(ステップ511)。なお本実施形態では、受信ストリームを512kbpsのストリーミングデータにトランスコーディングする設定を行った。これにより、図示されてはいないが、図17の無線ネットワークBの提供帯域値(238)として512kbpsが入り、無線ネットワークAの提供帯域値(233)は0となる。
続いて、ビデオサーバ(7)がストリーミングデータを送信しはじめてから、トランスコーディング後にコグニティブ制御ノード(4)へ伝送するまでの処理(ステップ136〜140)は、図2で説明した処理と同一である。
トランスコーディング後のストリーミングデータを受信したコグニティブ制御ノード(4)は、宛先テーブル(16)に従い、基地局B(2)に受信しているストリーミングデータを転送する(ステップ512)。
基地局B(2)は、受信したストリーミングデータを、無線ネットワークB(20)を介して端末(3)へ伝送する(ステップ513)。
以上が、第2の実施形態におけるストリーミングデータ伝送システムの詳細な構成と動作説明である。
上記実施形態によれば、品質の異なるネットワーク間において、ユーザ要求及びアプリケーションの必須要求を満たすように、ストリーミングデータ配信サービスを継続することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態におけるコグニティブ制御ノード(4)の処理動作における変形例である。第1及び第2の実施形態におけるコグニティブ制御ノード(4)では、リソースに変化がある度に、ネットワークリソースとトランスコーダリソースが、ユーザ要求及びアプリケーション要求を満たすか否かを判断したが、本実施形態では、コグニティブ制御ノード(4)は、所定の間隔毎に、ネットワークリソースとトランスコーダリソースが、ユーザ要求及びアプリケーション要求を満たすか否かを判断する。以下、図18に示したコグニティブ制御ノード(4)のフローチャートを用いて、その処理動作を説明する。
図18内に記載した番号において、図8と重複する番号を持つ個別処理は、図8で説明した処理と同一である。
図18に示したコグニティブ制御ノード(4)が処理を開始(ステップ250)すると、端末(3)へ提供するリソースの割り当てタイミングであるか否かを判断する(ステップ280)。
ステップ280の判断において、リソース割り当てタイミングでないと判断した場合は、続いてデータを受信したか否かを判断する(ステップ251)。
ステップ251からステップ262までは、図8に記載した個別の処理と同一である。但し、ステップ251の判断においてデータを受信していないと判断した場合、及びステップ254、255、259、260、261、262の処理後は、ステップ280に戻って、端末(3)へ提供するリソースの割り当てタイミングであるか否かを判断する。
ステップ280の判断において、リソース割り当てタイミングであると判断した場合は、続いてネットワーク及びトランスコーダリソースがユーザ要求を満たすことが可能か否かを判断する(ステップ263)。
ステップ263からステップ271までは、図8に記載した個別の処理と同一である。但し、ステップ264、268、271、266の処理後は、ステップ280に戻って、端末(3)へ提供するリソースの割り当てタイミングであるか否かを判断する。
以上が、第1及び第2の実施形態におけるコグニティブ制御ノード(4)の処理動作における変形動作例である。
上記実施形態によれば、コグニティブ制御ノード側に設定した間隔で、リソース制御を実施できるため、頻繁なリソース変化による処理負荷を軽減することができる。