JP4930589B2 - 中継装置および出力制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は中継装置および出力制御方法に関し、特にネットワーク上のデータを中継する中継装置および出力制御方法に関する。
ネットワーク上の中継装置では、トラフィックの集中などによって輻輳が発生する。特に、無線ネットワークでは、リアルタイム系のストリーミングサービスが増えてきており、また、有線ネットワークに比較して伝送路が狭帯域であるため、輻輳が発生しやすい。無線ネットワークのシステムとしては、代表的なものに無線LAN(IEEE802.11)やセルラ(3GPP:3rd Generation Partnership Project)などが挙げられる。
図10は、無線LANのシステム構成例を示した図である。図に示すように無線LANは、メディアサーバ101、無線ネットワークゲートウェイ102、AP(Access Point)103、および無線端末104を含む。
メディアサーバ101には、例えば、無線端末104にリアルタイム系のストリーミングサービスを提供するためのビデオデータが格納されている。メディアサーバ101に格納されているデータは、無線ネットワークゲートウェイ102およびAP103を介して、無線端末104へ配信される。
図11は、セルラネットワークの構成例を示した図である。図に示すようにセルラネットワークは、メディアサーバ111、ゲートウェイ112、インターネット113、xGSN(serving/gateway General packet radio service Support Node)114、RNC(Radio Network Controller)115、基地局116、および無線端末117を含む。
メディアサーバ111には、例えば、無線端末117にリアルタイム系のストリーミングサービスを提供するためのビデオデータが格納されている。メディアサーバ111に格納されているデータは、ゲートウェイ112、インターネット113、xGSN114、RNC115、および基地局116を介して、無線端末117へ配信される。
マルチメディアサービス、特に、ビデオサービスにおいては、インターネットなどの配信によるネットワーク負荷や、膨大なビデオデータによるストレージへの圧迫が大きい。これらを回避する観点から、ビデオデータは、例えば、MPEG1,2に代表される圧縮符号化によって圧縮が行われる。3G向け携帯電話用符号化方式としては、H.263、さらには、QCIF(Quad Common Intermediate Format)レベルからHD(High Definition)レベルまで広帯域に圧縮レートを可変できるH.264が新たな符号化方式として提案され、MPEG−4規格part10であるAVC(Advanced Video Coding)と規格の統一化が行われ、H.264/AVCとして標準化されている。
メディアサーバから無線端末へ向けてストリーミングデータを配信する場合、無線ネットワークゲートウェイなどの中継装置がメディアサーバからのデータを中継し、無線端末へ向けてデータ送信を行う。無線ネットワークゲートウェイでは、無線品質の劣化などによって、無線区間でのデータ再送などが発生した場合、メディアサーバから受信したデータが送信待ちとなり、データ滞留が発生する。
また、複数の無線端末が同時期に無線ネットワークとの通信を要求した場合、輻輳が発生し、端末の利用できる無線リソース(例えば、時間)が制限され、無線ネットワークゲートウェイでデータ滞留が発生する。例えば、3GPPにおいて個別チャネルを利用する場合、中継装置は無線端末の同時アクセスの影響を受けないが、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の場合には、チャネルを共有するため、データ滞留の問題が発生する。また、無線LANでは、チャネルを共有することに加え半二重通信のためにストリーミングデータの送信方向と逆方向のデータ送信にも影響がおよぶ。
図12は、データの滞留を説明する図である。図のデータ121は、例えば、無線ネットワークゲートウェイなどの中継装置がメディアサーバから受信するデータを示す。データ122は、無線区間でのデータ送信状態を示す。データ123は、無線端末が受信するデータを示す。
中継装置は、データ121に示すように、メディアサーバから無線端末#0〜#2へ送信するデータを受信する。無線区間は、共有チャネルのため、送信データの競合が発生する。このため、中継装置の出力でデータ滞留が発生する。
図13は、ビデオデータの再生制約を説明する図である。図のデータ131は、メディアサーバである送信局が送信するデータを示す。データ132は、中継装置が送信局のデータ131を中継して無線端末に送信するデータを示す。なお、中継装置が無線端末に送信するデータ132は、送信局が送信したデータ131に対し、輻輳によって遅延が発生している。また、データ131〜133の斜線部分は参照ピクチャを示し、斜線のない部分は非参照ピクチャを示す。
データ133は、無線端末が適正に再生することができるデータのタイミングを示している。無線端末は、送信局の送信するデータ131を図中矢印A101に示す許容可能遅延量の範囲内で受信できれば、送信局のデータ131をリアルタイムで適正に再生することができる。
しかし、中継装置が中継して送信するデータ132は、図に示すように許容可能遅延量を超えて送信されている。従って、データ132は、図の矢印A102に示す時間分、再生時刻に間に合わず無線装置に受信されることになる。
なお、従来、一方のメディアデータの伝送における遅延変動に影響を与えない程度に、他方のメディアデータの伝送を制御する送信装置および送信プログラムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−140984号公報
このように、リアルタイム性が要求されるデータは、受信装置での再生時間に制約があり、所定時間内に到着しなかったデータは、受信装置で無意味なデータとして破棄される。特に、中継装置でデータ滞留するような状況が続いた場合には、ジッタディレイが大きくなり、受信装置において再生に寄与しなくなったデータを送り続ける事態が発生する。そのため、受信装置では、連続してデータ再生ができないという状態が発生するという問題点があった。
本発明は、バッファ量に応じて出力方式を変更可能とすることを目的とする。
また、別の側面では、受信装置での連続したデータ再生の不可状態を回避することができる中継装置および出力制御方法を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、図1に示すようなネットワーク2a,2b上のデータを中継する中継装置1において、データを一時格納するバッファ1bと、バッファ1bに一時格納されるデータの格納量に基づいて、データのバッファ1bへの出力方式を切替える(例えば、FIFO(First In First Out)方式とFILO(First In Last Out)方式との間で切替える)出力方式切替え手段1cと、を有することを特徴とする中継装置1が提供される。
このような中継装置1によれば、バッファ1bに一時格納されるデータ量に基づいて、バッファ1bのデータの出力方式を、例えば、FIFO方式とFILO方式とで切替える。
本発明によれば、バッファ量に応じて出力方式を変更可能とすることができる。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。
中継装置の概要を説明する図である。 本願発明の中継装置が適用されるネットワーク構成例を示した図である。 本願発明の中継装置が適用される別のネットワーク構成例を示した図である。 中継装置のバッファ機能を説明する図である。 データ破棄を説明する図である。 データ破棄を説明する別の例の図である。 中継装置の機能ブロック図である。 データを受信した際のバッファのデータ出力方式の切替え動作を示したフローチャートである。 データを送信した際のバッファのデータ出力方式の切替え動作を示したフローチャートである。 無線LANのシステム構成例を示した図である。 セルラネットワークの構成例を示した図である。 データの滞留を説明する図である。 ビデオデータの再生制約を説明する図である。
以下、本発明の原理を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、中継装置の概要を説明する図である。図に示す中継装置1は、例えば、ネットワーク2aに接続されているメディアサーバから、ストリーミングデータなどのリアルタイム系のデータを中継し、ネットワーク2bに接続される受信装置に送信する。ネットワーク2aは、例えば、有線のネットワークであり、ネットワーク2bは、例えば、無線のネットワークである。中継装置1は、受信手段1a、バッファ1b、出力方式切替え手段1c、および送信手段1dを有している。
受信手段1aは、ネットワーク2aからデータを受信する。
バッファ1bは、受信手段1aによって受信されたデータを一時格納する。
出力方式切替え手段1cは、バッファ1bに一時格納されるデータの格納量に基づいて、受信手段1aによって受信されたデータのバッファ1bへの出力方式を切替える(例えばFIFO方式とFILO方式とで切替える)。例えば、バッファ1bに一時格納されるデータがバッファ1bの所定のしきい値を下回っている場合、FIFO方式でデータをバッファ1bに格納するようにする。バッファ1bに一時格納されるデータがバッファ1bの所定のしきい値を超えた場合、FILO方式でデータをバッファ1bに格納するようにする。他にも、格納データ量が、しきい値以下であれば、最も古いデータから順に出力する制御を、しきい値より大きい場合は、最も古いデータよりも新しいデータ(最も古いデータの後に受信したデータ)を送信する制御を行うように切替えることができる。
送信手段1dは、バッファ1bからFIFO方式およびFILO方式で取り出されるデータをネットワーク2bに出力する。
ネットワーク2bのデータ輻輳状態によっては、受信装置に送信するデータがバッファ1bに滞留する場合がある。この場合において、FIFO方式のままでバッファ1bからデータを取り出すようにすると、受信装置側でデータ再生できない古いデータを送り続けることになり、受信装置で連続してデータ再生ができないという状態が発生する。
中継装置1では、例えば、バッファ1bに格納されるデータが所定のしきい値を超えると、データの出力方式をFILO方式に切替える。これにより、バッファ1bに一時格納される新しいデータが受信装置に送信されることになり、受信装置で連続してデータ再生ができないという状態を回避することができる。なお、バッファ1bに一時格納されている再生不可能な古いデータは、廃棄するようにする。
このように、中継装置1は、バッファ1bに一時格納されるデータ量に基づいて、バッファ1bのデータの出力方式をFIFO方式とFILO方式とで切替えるようにした。これにより、データを受信する受信装置での連続したデータ再生不可状態を回避することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本願発明の中継装置が適用されるネットワーク構成例を示した図である。図には、送信装置11、中継装置12、および受信装置13a〜13cが示してある。
送信装置11には、例えば、受信装置13a〜13cにリアルタイム系のストリーミングサービスを提供するためのビデオデータが格納されている。中継装置12は、送信装置11から送信されるデータを中継し、受信装置13a〜13cに送信する。
送信装置11と中継装置12の間の区間Bは、例えば、有線で結ばれている。中継装置12と受信装置13a〜13cの間の区間Aは、例えば、無線で結ばれている。中継装置12は、区間Aの伝送品質が変動し、送信可能な帯域が変動しても、連続したデータ再生のできない状態を回避し、また、その影響を一時的なものに抑えるようにしてデータを中継する。
図3は、本願発明の中継装置が適用される別のネットワーク構成例を示した図である。図には、送信装置21、中継装置22、AP23a〜23d、受信装置24a〜24dが示してある。
送信装置21には、例えば、受信装置24a〜24dにリアルタイム系のストリーミングサービスを提供するためのビデオデータが格納されている。中継装置22は、送信装置21から送信されるデータを中継し、AP23a〜23dに送信する。AP23a〜23dは、中継装置22から受信したデータを配下に存在している受信装置24a〜24dへ無線送信する。中継装置22は、AP23a〜23dと受信装置24a〜24d間の伝送品質が変動し、送信可能な帯域が変動しても、連続したデータ再生のできない状態を回避し、また、その影響を一時的なものに抑えるようにしてデータを中継する。
なお、図2,3に示した送信装置11,21は、例えば、メディアサーバである。中継装置12,22は、例えば、無線ネットワークゲートウェイ、ルータ、またはRNCなどの装置である。中継装置12,22は、有線のネットワーク内で、送信装置のリアルタイム系のデータを中継する部分に配置されればよく、図2,3の配置に限定されることはない。また、無線ネットワークゲートウェイ、ルータ、またはRNCなどに限定されることもない。
以下、中継装置12について詳細に説明する。中継装置22については、中継装置12と同じ機能を有するので、中継装置12についてのみ説明する。
図4は、中継装置のバッファ機能を説明する図である。図の(A)には、従来の中継装置のバッファ機能が示してあり、図の(B)には、中継装置12のバッファ機能が示してある。
図の(A)に示すように従来の中継装置では、FIFO方式で送信装置から送信されるリアルタイム系のデータを一時保持していた。これに対し、中継装置12は、バッファに一時保持するデータ量に基づいて、データ出力方式をFIFO方式およびFILO方式に切替える。
中継装置12では、図の(B)に示すように、データ出力方式をFIFO方式およびFILO方式に切替えるための2つのしきい値を有する。1つは下限しきい値、1つは下限しきい値より大きい値の上限しきい値である。また、中継装置12は、FIFO方式およびFILO方式の切替えを制御するための切替え制御フラグを有する。
まず、バッファに格納されるデータは、下限しきい値を下回っており、切替え制御フラグは、無効であるとする。データ出力方式は、FIFO方式であるとする。この状態において、バッファに格納されるデータが下限しきい値を超えても、中継装置12は、データ出力方式を変更せず、FIFO方式を維持する。また、切替え制御フラグも無効を維持する。
中継装置12は、バッファに格納されるデータが上限しきい値を超えると、データ出力方式をFILO方式に切替える。このとき、中継装置12は、切替え制御フラグを有効にする。
中継装置12は、データが上限しきい値を超える際に、切替え制御フラグが有効状態であれば、FILO方式を維持する。すなわち、中継装置12は、バッファに格納されるデータが下限しきい値を下回らずに再び上限しきい値を超えた場合には、FILO方式を維持する。
中継装置12は、バッファに格納されるデータが下限しきい値を下回った際、切替え制御フラグが有効である場合には、バッファに格納されている下限しきい値以下のデータを破棄し、切替え制御フラグを無効にする。すなわち、この場合、図の(B)の下限しきい値以下のデータは、破棄されることになる。
中継装置12は、バッファに格納されるデータが下限しきい値を下回った際、切替え制御フラグが無効である場合には、FIFO方式を維持する。すなわち、バッファのデータが下限しきい値を超えているが、上限しきい値を超えていない場合には、FIFO方式を維持する。
中継装置12の滞留データ量は、中継装置12の送信レートから決まり、データがバッファの上限しきい値を超えることは、データ送信に所定の遅延が発生したことを示す。従って、バッファの上限しきい値は、受信装置がデータ遅延を許容できなくなる(データ再生できなくなる)量以上のデータがバッファに格納されるように設定する。すなわち、中継装置12は、データが上限しきい値を超えた場合にバッファをFILO方式に切替え、受信装置でデータの再生が適正に行われるようにする。
下限しきい値は、データの破棄対象を示す。一度データが上限しきい値を超えた場合、つまり、所定のデータ遅延が発生した場合、下限しきい値以下のデータは、すでに受信装置での再生タイミングが超過しており、受信装置でも不要なデータと判断される。従って、下限しきい値は、受信装置で確実に破棄されるデータ量であるように設定する。すなわち、中継装置12は、下限しきい値以下の古いデータを破棄することによって、受信装置での連続したデータ再生不可状態を回避する。
このように、上限しきい値と下限しきい値とを設定するのは、中継装置のデータ送信処理におけるゆらぎの吸収を目的とするためである。例えば、バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を大きく超過した場合には、上限しきい値以下のデータは、全て受信装置での再生タイミングを過ぎて破棄してもかまわないデータとなるが、上限しきい値をわずかに上回った場合には、ある程度のデータは、未だ受信装置での再生タイミングに間に合う場合があるからである。すなわち、上限しきい値と下限しきい値とを同じ値とした場合(しきい値を1つとした場合)、データがこのしきい値をわずかに超えた場合でも、このしきい値以下のデータは全て破棄されることになるが、上限しきい値と下限しきい値と2つ設けた場合には、データが上限しきい値を超えても、下限しきい値以下のデータが破棄されるだけで、下限しきい値と上限しきい値の間のデータは、再生できる可能性があるデータとして、受信装置に送信される。そして、受信装置側で、そのデータが再生不可能なデータであれば破棄されることになる。
もちろん、下限しきい値と上限しきい値とを同一の値としてもかまない。ただし、この場合、前述したように下限しきい値と上限しきい値の間の再生できる可能性のあるデータは、受信装置に送信されなくなる。しかし、この場合でも、受信装置での連続するデータ再生不可状態は、回避することができる。
図5は、データ破棄を説明する図である。図には、中継装置12のバッファに一時格納されるデータ31が示してある。バッファに一時格納されるデータ31は、図中最下にあるデータ‘1’が最も古いデータであるとする。また、図には、中継装置12が受信装置に送信するタイミングを示したデータ32および受信装置が適正に再生することができるタイミングを示したデータ33が示してある。
中継装置12では、輻輳によりデータ遅延が発生しているとする。従って、データ32は、矢印A11に示すように遅延して受信装置に送信されるとする。
中継装置12は、バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えると、データ出力方式をFIFO方式からFILO方式に切替える。そして、中継装置12は、バッファに格納されるデータが下限しきい値を下回るまで、FILO方式でデータ格納を行う。
図の例では、バッファに一時格納されているデータ31は、上限しきい値を超えているので、中継装置12は、バッファに一時格納されるデータ31をFILO方式で受信装置に送信する。よって、データ32に示すように、バッファに格納されているデータ31を‘8’,‘7’,‘6’,…の順で送信することになる。なお、FIFO方式の場合であれば、データ31は、‘1’,‘2’,‘3’…の順で送信されることになる。
バッファに一時格納されているデータ31は、受信装置への送信によって減少していく。バッファに格納されているデータ31が下限しきい値を下回ると、中継装置12は、下限しきい値以下のデータ31を破棄する。つまり、中継装置12は、データ32のうち、‘4’〜‘1’のデータを破棄し、受信装置には送信しない(図中の網掛けのデータ)。
図中の矢印A12は、受信装置が適正にデータ再生することができる遅延許容量を示している。すなわち、受信装置は、中継装置12から送信されるデータ‘1’,‘2,’,…,‘8’を、少なくともデータ33に示すデータ‘1’,‘2,’,…,‘8’のタイミングより前に受信できた場合、データを適正に再生することができる。
すると、データ32に示すデータ‘8’は、データ33に示すデータ‘8’より前に受信装置に送信される。従って、データ‘8’は、受信装置で適正に再生することができる。データ32に示すデータ‘7’も、データ33に示すデータ‘7’より前に受信装置に送信される。従って、データ‘7’は、受信装置で適正に再生することができる。データ32に示すデータ‘6’も、データ33に示すデータ‘6’と同時刻に受信装置に送信される。従って、データ‘6’は、受信装置で適正に再生することができる。なお、実際は、無線送信には時間を要するがここでは無視している。
一方、データ32に示すデータ‘5’は、データ33に示すデータ‘5’より後に受信装置に送信される。従って、データ‘5’は、受信装置で適正に再生することができず、受信装置で破棄されることになる。データ‘4’〜‘1’については、中継装置12で破棄されるため、受信装置に送信されることはない。
図6は、データ破棄を説明する別の例の図である。図6は、図5に対し、バッファの上限しきい値を大きく超えてデータが格納された場合の例を示しており、動作は、図5と同じである。
図には、中継装置12のバッファに一時格納されるデータ41が示してある。バッファに一時格納されるデータ41は、図中最下にあるデータ‘1’が最も古いデータであるとする。また、図には、中継装置12が受信装置に送信するタイミングを示したデータ42および受信装置が適正に再生することができるタイミングを示したデータ43が示してある。
中継装置12では、輻輳によりデータ遅延が発生しているとする。従って、データ42は、矢印A21に示すように遅延して受信装置に送信されるとする。
中継装置12は、バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えると、データ出力方式をFIFO方式からFILO方式に切替える。そして、中継装置12は、バッファに格納されるデータが下限しきい値を下回るまで、FILO方式でデータ格納を行う。
図の例では、バッファに一時格納されているデータ41は、上限しきい値を超えているので、中継装置12は、バッファに一時格納されるデータ41をFILO方式で受信装置に送信する。よって、データ42に示すように、バッファに格納されているデータ41を‘11’,‘10’,‘9’,…の順で送信することになる。なお、FIFO方式の場合であれば、データ41は、‘1’,‘2’,‘3’…の順で送信されることになる。
バッファに一時格納されているデータ41は、受信装置への送信によって減少していく。バッファに格納されているデータ41が下限しきい値を下回ると、中継装置12は、下限しきい値以下のデータ41を破棄する。つまり、中継装置12は、データ42のうち、‘4’〜‘1’のデータ(データ‘3’〜‘1’は図示を省略している)を破棄し、受信装置には送信しない(図中の網掛けのデータ)。
図中の矢印A22は、受信装置が適正にデータ再生することができる遅延許容量を示している。すなわち、受信装置は、中継装置12から送信されるデータ‘1’,‘2,’,…,‘11’を、少なくともデータ43に示すデータ‘1’,‘2,’,…,‘11’のタイミングより前に受信できた場合、データを適正に再生することができる。
すると、データ42に示すデータ‘11’は、データ43に示すデータ‘11’より前に受信装置に送信される。従って、データ‘11’は、受信装置で適正に再生することができる。データ42に示すデータ‘10’も、データ43に示すデータ‘10’より前に受信装置に送信される。従って、データ‘10’は、受信装置で適正に再生することができる。以下同様に、データ42に示すデータ‘8’も、データ43に示すデータ‘8’より前に受信装置に送信される。従って、データ‘8’は、受信装置で適正に再生することができる。
一方、データ42に示すデータ‘7’は、データ43に示すデータ‘7’より後に受信装置に送信される。従って、データ‘7’は、受信装置で適正に再生することができず、受信装置で破棄されることになる。同様に、データ‘6’,‘5’も受信装置に送信されるが、受信装置で適正に再生することができず、受信装置で破棄されることになる。データ‘4’〜‘1’(図のデータ42には、データ‘4’しか示していない)については、中継装置12で破棄されるため、受信装置に送信されることはない。
従来の中継装置であれば、FIFO方式のままでデータを送信する。つまり、データ41は、‘1’,‘2’,…,‘11’の順で送信されることになる。この場合、データ‘1’,‘2’,…,‘11’は、受信装置での再生時間に間に合わず、受信装置で再生されることはない。そして、データ‘11’以降に続くデータも受信装置での再生時間に間に合わず、データ再生ができない状態が続くことになる。
これに対し、中継装置12は、バッファのデータの出力方式をFIFO方式からFILO方式に切替えてデータを送信し、下限しきい値以下の再生されない古いデータを破棄するようにする。これにより、受信装置のデータ再生ができない状態が続くことを防止することができる。
図7は、中継装置の機能ブロック図である。中継装置12は、受信部51、データ格納部52、滞留監視部53、しきい値設定部54、および送信部55を有している。
受信部51は、ネットワークから受信したデータをデータ格納部52に出力する。ネットワークから受信したデータは、例えば、メディアサーバなどから送信されたリアルタイム系のデータである。
データ格納部52は、受信部51から出力されるデータを一時格納し、送信部55へ出力する。データ格納部52は、バッファであり、受信部51から出力されるデータをFIFO方式およびFILO方式によって一時格納する。
データ格納部52は、滞留監視部53からの指示に基づいてFIFO方式とFILO方式とを切替える。また、データ格納部52は、しきい値設定部54から通知された値に基づいて、上限しきい値および下限しきい値を設定し、格納するデータが上限しきい値を上回った場合および下限しきい値を下回った場合にその旨を滞留監視部53に通知する。
滞留監視部53は、データ格納部52のデータ滞留状況を監視する。初期状態では、データ格納部52のデータ出力方式をFIFO方式に設定し、切替え制御フラグを無効に設定する。滞留監視部53は、データ格納部52から、一時格納しているデータが上限しきい値を超えた旨の通知を受信した場合、切替え制御フラグを有効に設定する。また、滞留監視部53は、データ格納部52に対し、データの出力方式をFIFO方式からFILO方式へ切替えるように通知する。
また、滞留監視部53は、データ格納部52から、一時格納しているデータが下限しきい値を下回った旨の通知を受信した場合、切替え制御フラグが有効であった場合には、データ格納部52にその旨を通知する。データ格納部52は、下限しきい値以下のデータを破棄することになる。また、滞留監視部53は、データ格納部52のバッファのデータ出力方式をFILO方式からFIFO方式に切替え、切替え制御フラグを無効にする。
しきい値設定部54は、設定されたセッションがマルチメディアストリームデータである場合、その送信レートに応じた上限しきい値および下限しきい値をデータ格納部52に通知する。例えば、しきい値設定部54は、テーブルを有し、図4で説明したようにして決められた上限しきい値および下限しきい値を送信レートごとに記憶している。送信装置は、RTCP(Real-time Transfer Control Protocol)によるRR(Receiver Report)によって、受信装置からフィードバック情報を受信し、これを解析して送信レートを変更することがあるからである。
送信部55は、データ格納部52から出力されるデータを受信装置に向け送信する。
図8は、データを受信した際のバッファのデータ出力方式の切替え動作を示したフローチャートである。中継装置12は、以下の手順に従ってバッファのデータの出力方式を切替える。
ステップS1において、中継装置12は、ネットワークからデータを受信する。
ステップS2において、中継装置12は、バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えたか否か判断する。バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えた場合、ステップS3へ進む。バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えていない場合、処理を終了する。
ステップS3において、中継装置12は、切替え制御フラグが有効であるか否か判断する。すなわち、中継装置12は、すでにバッファのデータが上限しきい値を超えているか否か判断する。切替え制御フラグが有効である場合、すなわち、バッファのデータが上限しきい値を超えていた場合、処理を終了する。切替え制御フラグが無効である場合、すなわち、バッファのデータが上限しきい値を超えていなかった場合、ステップS4へ進む。
ステップS4において、中継装置12は、データ出力方式をFIFO方式からFILO方式に切替える。
ステップS5において、中継装置12は、切替え制御フラグを有効にする。
図9は、データを送信した際のバッファのデータ出力方式の切替え動作を示したフローチャートである。中継装置12は、以下の手順に従ってバッファのデータの出力方式を切替える。
ステップS11において、中継装置12は、ネットワーク(受信装置)へデータを送信する。
ステップS12において、中継装置12は、バッファに一時格納されるデータが下限しきい値を下回ったか否か判断する。バッファに一時格納されるデータが下限しきい値を下回った場合、ステップS13へ進む。バッファに一時格納されるデータが下限しきい値を下回っていない場合、処理を終了する。
ステップS13において、中継装置12は、切替え制御フラグが有効であるか否か判断する。すなわち、中継装置12は、バッファのデータが上限しきい値を超えてから、下限しきい値を下回ったか否か判断する。切替え制御フラグが有効である場合、すなわち、バッファのデータが上限しきい値を超えてから下限しきい値を下回った場合、ステップS14へ進む。切替え制御フラグが無効である場合、すなわち、バッファのデータが上限しきい値を超えないで下限しきい値を下回った場合、処理を終了する。
ステップS14において、中継装置12は、データ出力方式をFILO方式からFIFO方式に切替える。
ステップS15において、中継装置12は、切替え制御フラグを無効にする。
このように、中継装置12は、バッファに一時格納されるデータが上限しきい値を超えた場合に、データの出力方式をFILO方式に切替え、その後、データが下限しきい値を下回った場合に、データの出力方式をFIFO方式に切替える。そして、下限しきい値以下のデータを破棄するようにした。これにより、データを受信する受信装置での連続したデータ再生不可状態を回避することができる。
また、下限しきい値以下の古いデータを破棄することにより、受信装置で再生可能なデータを、ドロップテイルにより破棄することを回避することができる。
また、下限しきい値と上限しきい値と2つのしきい値を設けたことにより、中継装置12のデータ送信処理におけるゆらぎを吸収することができる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
符号の説明
1 中継装置
1a 受信手段
1b バッファ
1c 出力方式切替え手段
1d 送信手段
2a,2b ネットワーク

Claims (4)

  1. ネットワーク上のデータを中継する中継装置において、
    前記データを一時格納するバッファと、
    前記バッファに一時格納される前記データの格納量が所定のしきい値を超える場合には、前記データの前記バッファから出力するデータの出力方式をFILO方式とし、前記バッファに一時格納される前記データの格納量が前記所定のしきい値を下回る場合には、前記出力方式をFIFO方式とする出力方式切替え手段と、
    を有することを特徴とする中継装置。
  2. 前記バッファには、下限しきい値と前記下限しきい値より大きい値の上限しきい値とが設けられており、
    前記出力方式切替え手段は、前記バッファに一時格納される前記データが前記上限しきい値を超えた場合、出力方式を前記FILO方式とし、前記バッファに一時記憶される前記データが前記下限しきい値を下回った場合、出力方式を前記FIFO方式とすることを特徴とする請求項1記載の中継装置。
  3. 前記出力方式切替え手段は、前記データが前記上限しきい値を超えた後に前記下限しきい値を下回った場合、前記下限しきい値以下の前記データを破棄することを特徴とする請求項2記載の中継装置。
  4. ネットワーク上のデータを中継する中継装置における出力制御方法において、
    バッファに格納されたデータの格納量が所定のしきい値を超える場合には、前記データの前記バッファから出力するデータの出力方式をFILO方式とし、前記バッファに一時格納された前記データの格納量が前記所定のしきい値を下回る場合には、前記出力方式をFIFO方式とする、
    ことを特徴とする中継装置における出力制御方法。
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