JP2008209738A - 電子写真感光体の製造方法、及び電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、及び電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真用感光体の最表面層の耐摩耗性の向上、摩擦係数の低減化を図る。
【解決手段】導電性支持体上に、感光層を有する電子写真感光体1の製造工程において、感光体の最表面層の塗工工程において、塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対し、波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定して感光体の最表面層の形成状態の評価を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真感光体に関するものである。
従来から、電子写真感光体の感光層あるいは最表面層形成方法の一つとして、スプレー塗工法が知られている。
この方法において、電子写真感光体のような円筒状物にスプレー塗工法を行う場合、一般に被塗工物を回転させながら、ノズルから塗工液を被塗工物に向けて噴霧した後、被塗工物に付着させて塗工液膜を形成し、これを加熱乾燥するか、あるいは紫外線照射等によって硬化する。
スプレー塗工により均一塗膜を形成するためには、噴霧した塗工液の液滴を、いかに被塗工物に均一に付着させるかが重要であり、従来においても、各種技術の提案がなされている。
例えば、下記特許文献1においては、スプレースキャンによる重層スプレー塗布を行う間に、1スキャン終了毎に間欠的に乾燥期間を介入させることにより、良好な塗布効率を得、厚膜塗布を可能とした技術が開示されている。
下記特許文献2においては、連続周回する基体表面に、所定の角度で感光体塗料をスプレーすることにより、良好な塗布効率を得、生産性の高い均一な膜厚を有する電子写真感光体を作製する技術が開示されている。
下記特許文献3においては、連続周回する導電性感光体基体に、少なくとも1本のスプレーガンを用いて重層スプレー塗布を行うことにより,効率的な厚膜塗布を行い、高生産性で均一膜厚を形成する技術が開示されている。
下記特許文献4においては、感光層が電荷発生材料の1種ごとに独立したスプレー装置を有する塗布装置によって複数の電荷発生材料をスプレー塗布されるようになされ、これにより短波長域から長波長域まで広い範囲に安定した電子写真特性を実現する技術が開示されている。
下記特許文献5においては、塗工ブース内の温度及び絶対湿度を特定して電気特性(疲労特性)の低下を防止し、均一な塗膜を確保して良好な画像を形成できる電子写真感光体を作製する技術が開示されている。
下記特許文献6においては、導電性基体を回転させながら塗布液の種類毎に一定間隔で配置したスプレーノズルを導電性基体の回転軸に平行に移動させることにより、効率よく導電性基体の表面に塗布液を積層塗布する技術が開示されている。
下記特許文献7においては、導電性基体に対向するように配置した、連続する溝形状のスプレー噴射口より感光体塗布液をスプレー塗布することにより、均一な感光膜を短時間で製造する技術が開示されている。
下記特許文献8においては、感光体用基材を水平に保持して回転させた状態で塗布液を順次塗布積層し、基材の外径精度、表面平滑度を高め、下地材層、感光層を形成することにより、一連の工程を精度良く、かつ能率的に行う技術が開示されている。
下記特許文献9においては、塗布装置を円筒状基材の外周面から所定距離離間して環状をなすスプレー塗布ヘッドを有する環状スプレー塗布装置を用いて、外周面に塗布層を形成し、塗布ムラや膜厚変動がなく周囲への汚染を防止し効率を向上させる技術が開示されている。
下記特許文献10においては、感光層の1層は、エア圧力を特定以下である低圧エアスプレーを用いたスプレー塗布によって形成することにより、膜厚の均一性を良好にしている技術が開示されている。
しかしながら、上記いずれの従来技術においても、スプレー塗工を行っている際の塗膜ムラあるいは付着ムラについては検出しておらず、塗膜形成後に膜厚計等で形成した膜厚を測定して塗膜の評価を行うに留まっていた。
また、スプレー塗工を行う際には、ノズルに液カス等が付着することを防止することも重要である。
例えば、下記特許文献11においては、スプレーガンのノズル先端に付着・乾燥した塗液カスがスプレー塗工時に脱落し、被塗工物に付着して発生する塗工欠陥を防止し、被塗工物上に均一な塗膜を安定して形成できる電子写真装置の部品用スプレー塗布装置についての技術が開示されている。
下記特許文献12には、スプレー塗布方式により電子写真感光体を製造する際、スプレーガンの先端部分を塗布液によって汚さず、被塗布体上に均一な感光層を安定して形成できるスプレー塗布技術について開示されている。
下記特許文献13には、基体上に、溶解度パラメ−タ(SP値)がA、B(ただし、A≦Bである)である2種類の有機溶剤を含む塗工液を、スプレーガンで塗工して感光体を製造する方法であって、塗工後のスプレーガンのノズル先端を、(A−0.3)〜(A+B)/2の範囲のSP値を持つ有機溶剤、及び(A+B)/2〜(B+0.3)のSP値を持つ有機溶剤を用いて洗浄する感光体の製造方法が開示されている。
また、スプレーノズルの目詰まりを防止する方法に関するものとしては、壁や車両側板等の被描画面に絵や文字等の画像を描画する塗装ノズルの目詰まり防止を目的とする技術が知られている。これは、塗装インクを噴射させて絵や文字等の画像を描画する塗装ノズルの先端部に、前記塗装インクの乾燥防止剤を噴霧状に吹き付ける手段を採用し、上記乾燥防止剤の作用により、ノズル先端部の残留インクを湿潤化し、乾燥固化が減速し、更には乾燥防止剤の噴出力により残留インクを直接除去したりして塗装ノズルの目詰まりの防止が図られるというものである。
しかしながら、上述した各従来技術においては、スプレーガン先端部分に対する異物の付着を低減化はできるが、スプレー塗工を行っている際の塗膜ムラあるいは付着ムラは検出できず、塗膜形成後に膜厚計等で形成した膜厚を測定しないとスプレーで形成した塗膜の均一性を評価できないという問題があった。
また、電子写真感光体の製造技術ではないが、下記特許文献14には、塗装ブース内に並設された複数のスプレーガンに取り付けられた複数のピックアップマイクロフォンの音波信号を取り込み、スプレーガンの詰まり状態を検出する技術が開示されている。しかしながら、この技術においては、スプレーガンの詰まり状態は検出できるが、被塗工面における付着ムラの発生や、複数のスプレーガンで同時にスプレー塗工を行った場合に発生する付着ムラは検出できないという問題がある。
また、下記特許文献15には、スプレーガンの塗料入口に塗料供給管路を接続してなる塗装用スプレーガンのノズル状態検出装置であって、塗料供給管路における塗料入口直前部に取り付けられた塗料圧力センサと、この圧力センサの検出結果をケーブルにて伝達される塗料圧力表示装置とを有している塗装用スプレーガンのノズル状態検出装置についての開示がなされている。しかしながら、この技術においても、スプレーガンのノズルの状態は検出できるが、被塗工面における付着ムラの発生や、複数のスプレーガンで同時にスプレー塗工を行った場合に発生する付着ムラは検出できないという問題がある。
ところでスプレー塗工を行う際には、塗工中の気流や排気にも注意が必要である。下記特許文献16においては、スプレー塗工ブース内で被塗工物を回転させながらスプレーガンで塗工を行い塗膜を形成する電子写真感光体の製造装置であって、ブース内に被塗工物の表面を除塵する機能を有する除塵手段と、塗工ブース内のエアーを排気する排気手段を有し、除塵手段は、スプレーガン又はエアーノズルであり、被塗工物の塗工直前に、回転させた被塗工物の表面を除塵する機能を有する電子写真感光体の製造装置についての開示がなされている。しかしながら、この技術も被塗工面における付着ムラの発生や、複数のスプレーガンで同時にスプレー塗工を行った場合に発生する付着ムラを検出することができないという問題を有している。
また、下記特許文献17においては、塗装設備のガン先洗浄装置に関する技術であって、塗装作業の能率低下や設備スペースの増大を招来することなくガン先を洗浄するガン先洗浄装置についての開示がなされている。
また、下記特許文献18には、例えばエアレススプレーガンのノズルチップの詰りを防止するようにしたスプレー塗装装置であって、塗料供給路の前方に設けられたノズル部材を回転可能にし、ノズル部材を90度回転させた際、ノズル部材のノズル通路が塗料循環路に連通するようにするものであって、塗装時は塗料供給路とノズル通路を連通させ、塗装待機時は塗料循環路に連通させて、常にノズル部材のノズル通路に塗料を流し、ノズル通路での塗料の詰りを防止するという技術が開示されている。この際、ノズル通路のノズルチップ側(吹き付け先端側)から塗料を送り込み逆流作用によって洗浄効果を高めることも記載されている。
下記特許文献19には、スロットスプレーガン装置に関するものであり、スプレー塗布材がスロットノズル孔やエアー噴出口の先端部に付着堆積するのを防止し、いつまでもきれいなウエブ状の塗布が行えるスロットスプレーガン装置が開示されており、更に長時間の連続使用等により、スプレー塗布材がスロットノズル孔やエア噴出口の先端部に付着堆積する現象が発生し分解清掃を余儀なくされた場合であっても、分解清掃に当たって付着物を容易に取り除くことができる、スロットスプレーガン装置についての開示がなされている。この装置は、スロットスプレーガン装置のスプレー塗布材を噴出するスロットノズルの先端部と、エアー吹き出し口の先端部に撥水離型性のコーティング加工が施されているものである。
また、下記特許文献20には、スプレーガン先端に液カスが付着しても頻繁な清掃を必要とせず連続して塗膜を形成できるスプレー塗工装置についての開示がなされている。
また、下記特許文献21には、スプレーガンのノズル内に円筒状またはパイプ状樹脂ガイドを挿入し固定することにより、ノズル内部の顔料の堆積、固化を防止した構成が開示されている。
また、下記特許文献22には、電子写真感光体用塗料組成物を吐出ノズルから吐出し塗布する方法について、乾燥および凝集等の吐出ノズルの目詰まりを生じず、安定して吐出でき、導電性基体上に均一な厚さで塗布できる電子写真感光体用塗料組成物についての開示がなされている。
下記特許文献23には、スプレー塗工法による塗膜の均一性を向上させ、感光層、特に電荷輸送層の塗膜ムラを抑える電子写真感光体の製造方法として、好適な感光層形成用塗工液の液微粒子粒径分布についての開示がなされている。
下記特許文献24には、塗膜形成後、スプレーガンを塗膜形成領域外に移動し、スプレーガンの先端にノズルとエアー噴出孔を覆う液キヤツプを当接させ、エアー配管から洗浄液を導入し、ノズル先端の内外面を洗浄することにより、ノズル先端に対する微粒子の付着を防止する技術についての開示がなされている。
また、下記特許文献25には、複数の噴霧手段により塗料を噴霧して、円筒体または円筒体により支持されたシ−トもしくはベルト上に塗膜を形成する技術であって、隣接する2つの噴霧手段の中間に塗料噴霧の吐出方向と同方向に気体を吐出する手段が設けられている方法についての技術が開示されている。
また、下記特許文献26には、塗工液を液給路からノズル部材へ送り込み、ノズル通路の先端から被塗装物へ吹き付けるスプレー塗工装置において、液給路やノズル通路に洗浄液の供給口を開設することにより、簡単かつ確実にノズル通路等を洗浄可能とし、均一な塗膜を形成可能とする技術についての開示がなされている。しかしながら、これにおいても被塗工面における付着ムラの発生や、複数のスプレーガンで同時にスプレー塗工を行った場合に発生する付着ムラは検出できないという問題を有していた。
また、下記特許文献27には、導電性支持体上に感光層、保護層を具備する電子写真感光体であって、2つのスプレーヘツドを使用して、塗工溶媒に可溶な材料のみを含む保護層形成用塗工液と、塗工溶媒に不溶な無機化合物を含む保護層形成用塗工液との二種類の塗工液を同時に吐出して塗工製膜して形成する技術についての開示がなされている。
下記特許文献28には、塗工ブース内に、回転可能な基体保持手段、基体保持手段よりも上方に位置するスプレーガン、基体保持手段の長手方向の両側にエアーノズルを設けることにより、良好な感光体塗膜を形成することが可能な塗工装置についての開示がなされている。
下記特許文献29には、スプレーガンのつまりを防止し、かつサブμmから数μm程度の薄く均一な分散層が形成できる電子写真感光体をスプレー塗布する技術が開示されている。
下記特許文献30には、スプレー塗工ブース内で円筒状乃至エンドレスベルト状導電性支持体を周旋し、この導電性支持体上に感光体形成層をスプレー塗工により形成する技術についての開示がなされている。
しかしながら、上記いずれの従来技術においても、塗工中に塗膜ムラあるいは付着ムラの発生を検出する方法は示されておらず、塗工後に膜厚を測定して評価することしか考慮されていなかった。
また、スプレー塗工ではスプレーノズルに送る塗工液の送液が安定していることも重要である。
例えば、下記特許文献31においては、スプレーノズルと円筒管との間の距離を可変に制御する距離制御部と、円筒管に対するスプレ−ノズルの角度を可変に制御する角度制御部を有することにより、スプレーノズルに接続された液送チユ−ブが動かず、これにより、液送チューブ内の圧力変動や振動の発生を防止可能とした技術についての開示がなされている。
特許文献32においては、表面保護層の1秒あたりの形成体積量が開示されている。
特許文献33には、1μm以下の膜を形成するのに必要なスプレー塗布回数として好ましい回数を求める方法についての開示がなされている。
特許文献34には、電子写真感光層の1層塗工当たり2回以上のオシレートでスプレー塗工により形成する有機電子写真感光体の製造方法であり、オシレートとオシレートの間に予備乾燥時間を設けることが開示されている。
特許文献35には、塗布ムラを回避した均一な被覆層を形成する電子写真用部材の製造方法についての開示がなされている。
しかしながら、上記いずれの従来技術においても、塗工中に塗膜ムラあるいは付着ムラの発生を検出する方法は示されていなかった。
スプレー塗工を行うに際しては、噴霧パターンも重要な要素であり、下記特許文献36に、スプレーノズルの塗液噴霧パターンについての開示がなされている。
しかしながら、やはり、この技術においても、塗工中に塗膜ムラあるいは付着ムラの発生を検出する方法は示されていない。
上述したように、スプレー塗工において均一な塗膜を形成するためには、種々の要因に注意を払うことが必要であるが、特に、塗工中における塗膜状態を評価する方法については、従来実施されていなかった。
塗膜状態の評価方法としては、例えば、特許文献37に、光学的に膜厚を測定する方法が開示されているが、製造中の電子写真感光体の全面を迅速に評価することは困難であった。
また、下記特許文献38には、光透過性塗布膜上への光透過性物質の付着の有無を容易に判定する表面状態測定方法及び表面状態測定装置として、光透過性塗布膜表面における垂直分光表面反射率を求めて、該光透過性塗布膜上の光透過性物質の有無を測定する表面状態測定方法、すなわち所望波長領域のスペクトル光を放射する光源からの光を共焦点光学系における集束光学系を介して集光し、該集光光束を前記光透過性塗布膜に入射させ、集光光束の合焦点位置を光透過性塗布膜表面とした状態で、該光透過性塗布膜表面からの反射光を、前記集束光学系を介して共焦点光学系に戻して、検出光伝送用ファイバにより分光手段に導いて分光し、得られた分光スペクトル強度に基づき垂直分光表面反射率を算出して、物質固有の垂直分光表面反射率から光透過性物質の存在を測定する表面状態測定方法が開示されている。しかし、最表面層のスプレー塗工を行う場合に測定を行うこととする場合には、広い面積を迅速に測定しなければならないが、この技術は必ずしも適切なものではない。
特開昭62−86367号公報 特開昭62−89061号公報 特開昭62−89062号公報 特開平03−269538号公報 特開平05−27455号公報 特開平05−181290号公報 特開平05−204172号公報 特開平10−69103号公報 特開平10−99771号公報 特開平11−253872号公報 特開2006−259053号公報 特開2006−227179号公報 特開2006−227124号公報 特開昭59−216050号公報 特開平06−31216号公報 特開2006−65149号公報 特開平06−165958号公報 特開平07−31907号公報 特開平11−290749号公報 特開2005−315963号公報 特開2005−288375号公報 特開2005−250052号公報 特開2003−241404号公報 特開2003−211064号公報 特開2004−102041号公報 特開2004−81952号公報 特開2003−262969号公報 特開2003−255571号公報 特開2003−15330号公報 特開2003−156862号公報 特開2003−122035号公報 特開2003−98695号公報 特開2003−98699号公報 特開2003−91082号公報 特開2003−21958号公報 特開2000−221707号公報 特開2003−287409号公報 特開2006−250640号公報
上述した従来技術に示されているように、スプレー塗工ではムラの無い均一な塗膜を形成することは重要であるが、スプレー塗工で得た塗膜の均質性を評価するための適切な評価方法については、未だ解決すべき課題を有している。
特に、電子写真写真感光体のように、耐磨耗性の向上、あるいは、摩擦係数の低減等を目的として、最表面に厚さ2〜5μmの塗膜をスプレー塗工で形成する場合においては、最表面層が、極めて高い膜厚均一性を有していることが要求される。
スプレー塗工で膜厚2〜5μmの膜を形成する場合、塗工液の分散状態、塗工液のスプレーノズルへの供給状態、スプレーノズルの詰まり、あるいは汚れ、スプレーノズルの向き、あるいは角度、スプレー液滴噴射圧、噴霧角度等の多くの因子の影響を受けるが、所望の膜が形成されているかを塗工中で評価したり、確認することは困難であった。
そこで本発明においては、電子写真感光体の最表面に、耐磨耗性に優れ、摩擦係数の低い最表面層をスプレー塗工で確実に形成するべく、スプレー塗工による塗膜形成状態を把握可能にし、スプレー塗工条件の変動や不適切を迅速に検知するようにした電子写真感光体の製造方法、及びこの方法を適用して作製した電子写真感光体を提供することとした。
請求項1の発明においては、導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、前記感光体の最表面層の形成において、塗工液を単数あるいは複数のスプレーノズルを用いてスプレー塗工する工程と、その後、加熱、乾燥する工程とを有し、前記スプレー塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して、波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態の評価を行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項2の発明においては、前記感光体の最表面層を形成する塗工液が、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体、あるいは、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉体の、少なくともいずれかを含有していることを特徴とする請求項1の電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項3の発明においては、前記感光体の最表面層を形成する塗工液が、酸化チタン粉体、二酸化珪素粉体、あるいは酸化アルミニウム粉体の、少なくともいずれかを含有していることを特徴とする請求項1の電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項4の発明においては、導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、前記感光体の最表面層を形成する工程においては、塗工液を単数あるいは複数のスプレーノズルを用いてスプレー塗工する工程と、その後、紫外線、あるいは電子線を照射して硬化を行う工程とを有し、前記スプレー塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して、波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態を測定することを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項5の発明においては、前記紫外光あるいは近紫外光の照射を、酸素を15体積%以上含有する雰囲気中で行うことを特徴とする請求項4の電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項6の発明においては、導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、前記感光体の最表面層を形成する工程においては、圧電パルスを用いた吐出ヘッドにより塗工する工程と、その後、加熱、乾燥する工程とを有し、前記塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して、波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態の評価を行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項7の発明においては、導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、前記感光体の最表面層を形成する工程において、圧電パルスを用いた吐出ヘッドにより塗工する工程と、その後、紫外線、あるいは電子線を照射して硬化を行う工程とを有し、前記塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して、波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態の評価を行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を提供する。
請求項8の発明においては、前記請求項1乃至7のいずれか一項の電子写真感光体の製造方法を用いて作製したことを特徴とする電子写真感光体を提供する。
本発明によれば、スプレー塗工中、あるいは複数の塗工工程ごとに、紫外光を照射して、スプレーノズルから噴霧された保護層塗工液が最表面層を塗工している状態を撮影し、撮影した画像を解析して、評価を行い、スプレー塗工ムラを検出したので、スプレー塗工条件の調整が容易になり、塗工ムラを効果的に回避でき、優れた耐久性、耐摩耗性を有する電子写真感光体を作製することができるようになった。
本発明においては、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法を提供する。
感光体の最表面を形成する際には、最表面層形成用塗工液を1つあるいは複数のスプレーノズルによってスプレー塗工するものとし、これを加熱乾燥して形成する。
スプレー塗工時、あるいはスプレー塗工後の塗工液の付着状態を250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、製造中の電子写真感光体が発する蛍光の状態を測定することにより、電子写真感光体の最表面層の形成状態を測定する。
電子写真感光体の感光層には電荷輸送材料を使用するが、これは紫外光を受けると、蛍光を出す特徴を有している。
最表面層塗工液をスプレー塗工するとき、最表面層塗工液の液滴がスプレーノズルから飛翔して、電子写真感光体表面に付着するが、これは紫外光を吸収する働きがある。従って、最表面層塗工液の液滴が付着した部分においては紫外光が吸収され、電子写真感光体層まで届かないか、あるいは届いてもその光量は減少する。そのため、電子写真間感光体の最表面層塗工液が付着した部分は、蛍光を出さなかったり、あるいは蛍光を出してもその光量が少なくなったりする。そこでこのような状態を観察すると、最表面層塗工液が付着した部分とそうでない部分との蛍光の量に明確な差が有ることがわかる。例えば、最表面層塗工液の液滴の大きさは、蛍光の無い、あるいは蛍光の弱い部分の大きさそのものである。また、蛍光の無い、あるいは蛍光の弱い部分は点状に分布するが、その分布は最表面層塗工液の付着状態を示すことになるので、最表面層塗工液の付着に偏りや、集中があった場合、それを検出することができる。
また、蛍光の無い、あるいは蛍光の弱い部分の点状の分布の広がりは、最表面層塗工液の付着状態の広がりそのものを示すので、最表面層塗工液の付着の広がりを知ることができる。
照射する紫外光の波長は250nm以上420nm以下であればどの波長でもよい。
また照射紫外光の強度は、電子写真感光体に紫外光を照射して、最表面層塗工液が付着した部分とそうでない部分との蛍光の量に差が認められる光であれば、適宜光量を選定できる。
紫外光光源としては、薄層クロマトグラフィーの観察に使用する紫外線ランプや、紫外LEDが好適である。
スプレー塗工の途中に紫外光を照射しても良く、あるいは複数回のスプレー塗工を行う場合は各スプレー塗工の完了毎に行っても良い。
紫外線の照射時間は、蛍光を出さない、あるいは蛍光の弱い部分の分布を認識できれば良く、通常は2〜5秒で充分足りる。
蛍光の波長は500nmから700nmの間に有り、従って蛍光を観察するとき、紫外光を吸収する光学フィルターを通して観察すると、蛍光のみを明瞭に観察することができる。
本発明においては、最表面層塗工液が塗布されていない部分は蛍光を発し、最表面層塗工液が塗布された部分は蛍光が無いか、あるいは弱くなる。この状態を各種公知の方法で数値化して評価することができる。
例えば、紫外光を照射しながら、2次元CCDカメラで撮影し、これをパーソナルコンピューターに取り込んだ後、各種画像処理ソフトによって、蛍光の有る部分と蛍光の無いあるいは弱い部分とを2値化する。
次に、2次元CCDカメラで撮影した部分を等間隔の方眼状に分割し、それぞれの方眼における蛍光の有る部分と、蛍光の無いあるいは弱い部分の比を比較することにより、スプレー塗工ムラを求めることができる。
画像処理ソフトウェアとしては、カナダのMatrox社製Matrox Imaging Library、米国National Institutes of Health の米国Scion Corporation製のScion Image等が使用可能である。また、画像処理はVisual BasicやVisual C++等で作製したソフトウェアで行うことも可能である。
本発明によれば、スプレー塗工時の塗工液滴の付着状態や分布を、塗工を行いながら観察するので、塗工ムラの発生等を迅速に知ることができ、塗工条件の調整結果を即座に設定に反映することができ、均一な塗膜形成が可能になる。
なお、最表面層塗工液に電荷輸送材料を含有していても、紫外光を照射して行う蛍光の観察にはまったく影響はない。これは、硬化前あるいは乾燥前に最表面層塗工液は、たとえ電荷輸送材料を含んでいる場合でも、紫外光を遮断する効果、あるいは紫外光を減衰させる効果が有るためである。
ここで、電荷輸送材料は、電荷輸送機能を有する高分子化合物であっても同様に実施可能である。
本発明において、最表面層を形成するのに使用する塗工液としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体、あるいはポリテトラフルオロエチレン樹脂粉体のいずれか、あるいは両方を含有するものを適用できる。
感光体の最表面層を形成するための塗工液として、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体、あるいは、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉体のいずれか、あるいは両方を含有したものであっても、塗工液は紫外光を吸収する性質を有し、本発明を実施可能である。
感光体の最表面層を形成する塗工液としては、酸化チタン粉体、二酸化珪素粉体、あるいは、酸化アルミニウム粉体の少なくとも一つを含有したものを適用できる。
上記材料を含有しても、塗工液は紫外光を吸収する性質を有し、本発明を実施可能である。
本発明においては、感光体の最表面層が、紫外線、あるいは電子線を照射することにより硬化される材料によって形成されたものであってもよい。
本発明方法における、電子写真感光体の最表面層の形成状態を測定するための紫外光あるいは近紫外光の照射は、酸素を15体積%以上含有する雰囲気中で行うことが好ましい。
塗膜状態を検出するための紫外光あるいは近紫外光の照射を、酸素を15体積%以上含有する雰囲気中で行うことにより、光照射中の塗膜の硬化を防止できる。すなわちこの条件により光照射を行うことにより、塗工液の付着状態観察を正確に行うことができる。
なお、酸素の濃度は、15体積%以上有れば良く、更には18%以上22%以下が好適である。
酸素濃度が15体積%未満の場合、スプレー塗工状況の観察のために照射する紫外光によって、塗膜が硬化してしまう場合がある。特に酸素濃度が10体積%以下であると、硬化する場合が多いことが確認された。
上述した本発明の電子写真感光体の製造方法においては、スプレー塗工に代えて、圧電パルスを利用してヘッド部から塗工液を吐出させる方式を適用してもよい。
上述した本発明方法により製造された電子写真感光体は、スプレー塗工あるいは、圧電パルスによる塗工液を吐出させる塗工において、塗工液滴が被塗工物に付着している状態、すなわち、付着した液滴の大きさ、液滴が付着して広がった大きさ、液滴のばらつきが観測されており、塗工液の付着ムラや塗工スジの発生をすみやかに検出され、これによって成膜条件の適宜調整が行われているので、極めて膜厚均一性を高い、良質の膜が形成されていることが確かめられた。
以下、本発明について具体的に図を参照して説明する。
図1及び図2に本発明方法に適用する塗工装置10、及び塗膜観察装置20の一例の概略斜視図を示す。
これらにおいては、電子写真感光体の最表面層をスプレー塗工により形成し、塗工状況を、塗膜観察装置から紫外光を照射して電子写真感光体の発する蛍光を観察して、スプレー塗工状態をモニタリングして評価するようになされている。
図1及び図2中の符号1は、塗工装置によって最表面層が成膜される電子写真感光体を示し、符号2a、2bは、その回転機構であり、電子写真感光体1の両端を保持して回転させるようになされている。
また、図1においては一個のスプレーノズル3を具備しており、図2においては二個のスプレーノズル8を具備している。
なお、図1及び図2において、スプレーノズルに塗工液を供給する液配管、スプレーノズルへ圧縮空気を供給する配管が記載を省略した。
図1及び図2中の符号4は、スプレーノズルを電子写真感光体1の軸方向に平行に移動する為の軸であり、電子写真感光体1を回転させながら、スプレーノズルを移動させて、最表面層塗工液をスプレー塗工するようになされている。
符号5は紫外光光源、符号6は蛍光観察用カメラを示している。
蛍光観察用カメラ6としては、CCDカメラ等が好適に使用できる。
紫外光光源5と蛍光観察用カメラ6は移動軸7によって移動可能な構成となっている。
図1、図2に示す装置においては、スプレー塗工を行いながら、紫外光源5から紫外光を照射し、電子写真感光体1の出す蛍光を観察するようになされている。
また、この装置においては、スプレー塗工中や、複数段階の塗工ごと、あるいは、スプレー噴射停止後のいずれにおいても、蛍光観察を行うことができる。
図1、図2に示す装置を用いれば、例えば、塗工液の送液配管に気泡が混入したりして、スプレー噴射が一旦途切れたり、あるいはスプレーノズルに塗工液の固化物が付着し、スプレー噴射の広がりに偏りが出たような場合においても、紫外光を照射し、電子写真感光体1の出す蛍光を観察することにより、速やかに塗工の異常を検知することができ、適切な処置を行うことにより、良質な成膜状態を維持することができる。
なお、図においては、紫外光源5と蛍光観察用カメラ6が、電子写真感光体1の軸方向に移動する構成を示しているが、本発明はこの構成例に限定されるものではなく、固定型としてもよい。
次に、具体的なサンプルを作製し、本発明について説明する。
なお、以下において「部」は全て重量部である。
〔実施例1〕
先ず、電子写真感光体の各塗工層を塗工するための下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液、及び保護層塗工液を、それぞれ調製した。
<下引き層塗工液の組成>
下記に示す各材料をボールミルで分散し、下引き層塗工液を調製した。
アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製):6部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製):4部
酸化チタン:40部
メチルエチルケトン:50部
<電荷発生層塗工液の作製>
下記材料をボールミルで分散し、電荷発生層塗工液を作製した。
下記式(1)に示すビスアゾ顔料:2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製):0.5部
シクロヘキサノン:200部
メチルエチルケトン:80部
Y型チタニルフタロシアニン:1.5部
Figure 2008209738
<電荷輸送層塗工液>
下記材料を溶解後、平均孔径1μmのコットンフィルターで濾過して電荷輸送層塗工液を作製した。
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
下記式(2)に示す電荷輸送物質:7部
テトラヒドロフラン:100部
1%シリコーンオイル
(KF50−100CS、信越化学工業製)のテトラヒドロフラン溶液:1部
Figure 2008209738
<実施例1で使用した保護層塗工液の作製>
酸化アルミナ粉末(平均粒径 約0.2μm):15部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):40部
前記式(2)に示す電荷輸送物:30部
テトラヒドロフラン:2000部
シクロヘキサノン:600部
<電子写真感光体の作製>
外径30mm、肉厚0.9mm、長さ340mmのアルミニウム管を洗浄し、乾燥した後、浸漬塗工によって、上記において作製した下引き層塗工液を塗工し、120℃で30分間の乾燥処理を行い、厚さ3μmの下引き層を形成した。
次に、上記において作製した電荷発生層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、その後105℃で10分間乾燥処理を行うことにより、厚さ約0.8μmの電荷発生層を形成した。
次に、上記において作製した電荷輸送層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、その後120℃で20分間乾燥処理を行うことにより、厚さ約28μmの電荷輸送層を形成した。
その後、図1に示す装置に取り付け、保護層塗工液によるスプレー塗工を実施する。この実施例1においては、保護層が感光体の最表面層になる。
このとき、紫外光源として日亜化学工業株式会社製の紫外LED(NSHU550A)とその点灯回路を用意した。この紫外LEDのピーク波長は380nm、光出力は順電流を20mAのとき、2000μWであり、これを4個使用した。また、紫外LED点灯回路は、各紫外LED点灯時の順電流が20mAとなるようにした。
そして、スプレーノズルから噴霧されている保護層塗工液が、最表面層を形成している工程中にこの紫外LEDより、波長約380nmの紫外光を照射し、その付着の様子をCCDカメラで撮影した。紫外LEDとスプレー噴霧の距離は10cmとした。
この様にして撮影した画像をVisual C++で作成した画像処理ソフトウェアで処理すると、スプレー塗工ムラを検出できるので、スプレー噴射角度、噴射圧力等のスプレー塗工条件を調節し、さらに同様の画像処理を行うことにより、スプレー塗工ムラを生じない条件を検出し、設定するようにした。これにより確実に塗工ムラのない成膜を行うことができた。
〔実施例2〕
下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液は、上記実施例1と同様のものを作製した。
最表面層塗工液として、下記に示す材料を溶解したものを調製した。
<実施例2で使用した最表面層塗工液>
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:10部
下記式(3)に示す1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:10部
光重合開始剤:1部
テトラヒドロフラン:100部
尚、上に示した最表面層塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)を用いた。この分子量は296、官能基数は3官能であり、分子量/官能基数=99となる。
また、光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を用いた。
Figure 2008209738
<電子写真感光体の作製>
外径30mm、肉厚0.9mm、長さ340mmのアルミニウム管を洗浄し、乾燥した後、浸漬塗工によって、上述した実施例1と同様の下引き層塗工液を塗工し、120℃で30分間乾燥処理を行い厚さ3μmの下引き層を形成した。
次に、上述した実施例1で作製した電荷発生層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、その後105℃で10分間乾燥して、厚さ約0.8μmの電荷発生層を形成した。
次に上述した実施例1で作製した電荷輸送層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、その後120℃で20分間乾燥して、厚さ約28μmの電荷輸送層を形成した。
上述のようにして作製した電子写真感光体を図1に示す装置に取り付け、上記実施例2の最表面層塗工液をスプレー塗工した。その後、下記の条件により光照射を行った。
メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:200mW/cm2、照射時間:20秒。
更に、130℃で20分の乾燥処理を行い、4μmの最表面層が形成された電子写真感光体が得られた。
スプレー塗工時に、紫外光源として実施例1と同じ紫外光源を用意し、スプレーノズルから噴霧されている保護層塗工液が、最表面層を形成している工程中に紫外LEDより、波長約380nmの紫外光を照射し、その付着の様子をCCDカメラで撮影した。紫外LEDとスプレー噴霧の距離は10cmとした。
撮影画像をVisual C++で作成した画像処理ソフトウェアで処理すると、スプレー塗工ムラを検出できるので、スプレー噴射角度、噴射圧力等のスプレー塗工条件を調節し、さらに同様の画像処理を行うことにより、スプレー塗工ムラを生じない条件を検出し、設定するようにした。これにより確実に塗工ムラのない成膜を行うことができた。
〔実施例3〕
下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液は、上記実施例1と同じものを使用した。
最表面層塗工液は、下記方法で調製した。
<最表面層塗工液>
上記式(2)に示す化合物(電荷輸送材料)を50重量部、上記実施例1で使用したビスフェノールZポリカーボネート樹脂を75重量部、テトラヒドロフラン1800重量部に溶解させてバインダー樹脂塗料とした。
また、ポリプッ化ビニリデン粒子(カイナーK301F:三菱油化製)20重量部を前述のビスフェノールZポリカーボネート樹脂40重量部とテトラヒドロフラン1000重量部からなる溶液中に加え、界面活性剤(GF−300:東亜合成化学製)1重量部とともにボールミル装置で分散して、得られたポリプッ化ビニリデン粉体分散液を作製した。
上記ポリプッ化ビニリデン粉体分散液と、上記において作製したバインダー樹脂液とを混合し、十分に攪拌して、実施例3の最表面層塗工液として調製した。
<電子写真感光体の作製>
外径30mm、肉厚0.9mm、長さ340mmのアルミニウム管を洗浄し、乾燥した後、浸漬塗工によって、先に調製した下引き層塗工液を塗工し、120℃で30分間乾燥して厚さ3μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、105℃で10分間乾燥して、厚さ約0.8μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、120℃で20分間乾燥して、厚さ約28μmの電荷輸送層を形成した。
上述のようにして作製した電子写真感光体を、図1に示す装置に取り付け、本実施例の最表面層塗工液をスプレー塗工し、その後130℃で20分乾燥を加え、膜厚4μmの最表面層を形成した。
このとき、紫外光源として実施例1と同じ紫外光源を用意し、紫外光を照射しながら、スプレーノズルから噴霧された保護層塗工液が最表面層を塗工している最中の電子写真感光体に付着している様子をCCDカメラで撮影した。この時の、紫外LEDとスプレー噴霧の距離は10cmとした。
撮影した画像をVisual C++で作成した画像処理ソフトウェアで処理し、スプレー塗工ムラを検出した。これによりスプレー噴射角度や圧力等のスプレー塗工条件を調整して、塗工ムラの発生が効果的に回避できた。
〔実施例4〕
下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液としては、上記実施例1と同様のものを使用した。
実施例4の最表面層塗工液は、下記方法で調製した。
<実施例4の最表面層塗工液>
上記式(2)に示す化合物(電荷輸送材料)50重量部、上記実施例1で使用したビスフェノールZポリカーボネート樹脂75重量部を、テトラヒドロフラン1800重量部に溶解させ、バインダー樹脂塗料を調製した。
また、ポリテトラフルオロエチレン粒子(ルブロンL−5:ダイキン工業製)20重量部を、前記ビスフェノールZポリカーボネート樹脂40重量部とテトラヒドロフラン1000重量部からなる溶液中に加え、更には界面活性剤(GF−300:東亜合成化学製)1重量部を加えてボールミル装置で分散処理し、得られたポリプッ化ビニリデン粉体分散液を作製した。
このポリプッ化ビニリデン粉体分散液と、先に作製したバインダー樹脂液と混合し、十分に攪拌して、この例における最表面層塗工液を作製した。
<電子写真感光体の作製>
外径30mm、肉厚0.9mm、長さ340mmのアルミニウム管を洗浄し、乾燥した後、浸漬塗工によって、上記において作製した下引き層塗工液を塗工し、120℃で30分間乾燥して、厚さ3μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、105℃で10分間乾燥処理を行い、厚さ約0.8μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送層塗工液を浸漬塗工装置の塗工槽に入れ、浸漬塗工を行い、120℃で20分間乾燥処理を行い、厚さ約28μmの電荷輸送層を形成した。
上述のようにして作製した電子写真感光体を、図2に示す装置に取り付け、最表面層塗工液をスプレー塗工し、その後130℃で20分の乾燥処理を行い、膜厚4μmの最表面層を形成した。
図2においてはスプレーノズルは2個であり、スプレー噴射を行った際の噴霧パターンの約30%が重なり合うような構成とした。
このとき、紫外光源として実施例1と同じ紫外光源を用意し、紫外光を照射しながら、スプレーノズルから噴霧された保護層塗工液が最表面層を塗工している最中の電子写真感光体に付着している様子をCCDカメラで撮影した。この時の、紫外LEDとスプレー噴霧の距離は10cmとした。
撮影画像をVisual C++で作成した画像処理ソフトウェアで処理すると、スプレー塗工ムラを検出できるので、スプレー噴射角度、噴射圧力等のスプレー塗工条件を調節し、さらに同様の画像処理を行うことにより、スプレー塗工ムラを生じない条件を検出し、設定するようにした。これにより確実に塗工ムラのない成膜を行うことができた。
本発明方法に使用するスプレー塗工装置と塗膜観察装置を示す。 本発明方法に使用するスプレー塗工装置と塗膜観察装置の他の一例を示す。
符号の説明
1 電子写真感光体
2a,2b 回転機構
3 スプレーノズル
4 軸
5 紫外線光源
6 蛍光観察用カメラ
7 移動軸
8 スプレーノズル
10 塗工装置
20 塗膜観察装置

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記電子写真感光体の最表面層を形成する工程においては、
    前記最表面形成用の塗工液を、単数あるいは複数のノズルによってスプレー塗工する工程と、加熱、乾燥する工程とを有し、
    前記スプレー塗工中、あるいは複数段階の塗工毎に、塗膜に対して波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することにより、前記感光体の最表面層の形成状態の評価を行うことを特徴とする特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記感光体の最表面層を形成する塗工液が、ポリフッ化ビニリデン樹脂粉体、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉体の、少なくともいずれかを含有していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記感光体の最表面層を形成する塗工液が、酸化チタン粉体、二酸化珪素粉体、酸化アルミニウム粉体の、少なくともいずれかを含有していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 導電性支持体上に、少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記感光体の最表面層を形成する工程においては、
    塗工液を単数あるいは複数のスプレーノズルを用いてスプレー塗工する工程と、その後、紫外線、あるいは電子線を照射して硬化を行う工程とを有し、
    前記スプレー塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態を評価することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記紫外光あるいは近紫外光の照射を、酸素を15体積%以上含有する雰囲気中で行うことを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記感光体の最表面層を形成する工程においては、
    圧電パルスを用いた吐出ヘッドにより塗工する工程と、その後、加熱、乾燥する工程とを有し、
    前記塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態を評価することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  7. 導電性支持体上に、少なくとも、感光層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記感光体の最表面層を形成する工程においては、
    圧電パルスを用いた吐出ヘッドにより塗工する工程と、その後、紫外線、あるいは電子線を照射して硬化を行う工程とを有し、
    前記塗工中、あるいは複数段階の塗工ごとに、塗膜に対して波長250nm以上420nm以下の紫外光あるいは近紫外光を照射して、発光する蛍光状態を測定することによって、前記感光体の最表面層の形成状態を評価することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記請求項1乃至7のいずれか一項の電子写真感光体の製造方法を用いて作製したことを特徴とする電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015219352A (ja) * 2014-05-16 2015-12-07 シャープ株式会社 電子写真感光体、その製造検査方法および電子写真感光体を備えた画像形成装置
JP2016148766A (ja) * 2015-02-12 2016-08-18 シャープ株式会社 電子写真感光体、その検査方法および電子写真感光体を備えた画像形成装置

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