JP2008209542A - レジスト剥離方法およびレジスト剥離装置 - Google Patents

レジスト剥離方法およびレジスト剥離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することのできるレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置を提供する。
【解決手段】基板Wが処理チャンバー11にローディングされると、プレート14に吸着保持された基板Wは基板加熱用ヒータ19からの発熱により加熱処理される。このとき、コントローラは基板Wの温度が300℃以上で、かつ450℃以下の温度範囲となるように基板加熱用ヒータ19を駆動制御する。基板Wの加熱によりレジストにポッピング現象が生じると、表面硬化層の内側(下層側)に位置する未硬化層のポッピングによる衝撃で表面硬化層に亀裂が生じ、未硬化層が灰化される。続いて、加熱処理後に高圧流体を用いたレジスト除去を行うことで、基板表面からレジストが表面硬化層ごと剥離される。
【選択図】図2

Description

この発明は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置に関する。処理の対象となる基板には、例えば半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」という)が含まれる。
半導体製造プロセスでは、基板上にエッチング加工される酸化膜や配線材料などの被加工膜を形成し、被加工膜上に所定のパターンに露光、現像されたレジストを用いてドライエッチング等によって被加工膜をパターニングすることが行われている。このため、パターン形成後には、不要となるレジストを基板の表面から剥離するための洗浄工程が必須工程となる。ここで、ドライエッチング等が行われた基板では、レジスト表面が硬化してレジストに表面硬化層が形成されている。
そこで、表面硬化層を有するレジストを基板表面から剥離するために次のようなレジスト剥離方法が提案されている。例えば特許文献1記載のレジスト剥離方法では、レーザー光をレジスト表面に照射することによって、表面硬化層を全面的に或いは部分的にアブレーションで除去している。そして、表面硬化層の除去後にその内部のレジストをアッシングにより、または超臨界流体を用いて除去している。また、特許文献2記載のレジスト剥離方法では、ヘリコン波モードの高密度プラズマにより表面硬化層(変質部)をアッシングした後に、ICP(Inductively Coupled Plasma)モードのプラズマにより未変質部をアッシングしている。
特開2004−157424号公報(図1〜図4) 特開平8−69896号公報(図1)
ところが、上記特許文献1,2記載のレジスト剥離方法では、表面硬化層が形成されたレジストを十分に除去することが実際には困難であったり、レジストで覆われていない部分(例えばレジストから露呈した被加工膜)にダメージを与えたり、種々の問題が発生していた。そのため、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することのできるレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置が望まれていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することのできるレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置を提供することを目的とする。
近年、低誘電率層間絶縁膜(Low−k膜)などの吸湿性の高い膜を被加工膜として基板に形成する場合が多くなってきている。そして、このような吸湿性の高い膜を有する基板に対して、基板表面上の不要となったレジストを剥離するためにウェット洗浄を施した場合には、次のような問題が発生することがあった。すなわち、基板に対してウェット洗浄を施した場合には、被加工膜が水分を吸着し、膜特性が劣化してしまうことがあった。
そこで、基板を高圧容器などの反応槽内に設置し、低粘性、高拡散性の性質を持つ超臨界流体などの高圧流体を基板の表面に接触させて該基板からレジストを剥離することが提案されている。このような高圧流体を用いてレジストを基板表面から剥離することで、被加工膜の水分の吸着を回避することができ、膜特性が劣化するのを防止することができる。
しかしながら、被加工膜をパターニングする過程においてドライエッチング等が行われた基板ではレジストに表面硬化層が形成されており、高圧流体を用いたレジスト剥離処理のみでは、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から十分に剥離することができなかった。
そこで、本願にかかるレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離する観点から、次のように構成されている。
この発明は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離方法であって、上記目的を達成するため、レジストが形成された基板をレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱工程と、加熱工程を受けた基板の表面に対して高圧流体を用いてレジストを除去するレジスト除去工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明では、基板が加熱され基板表面上のレジストにポッピング(突沸)現象を生じさせることができる。このポッピング現象が生じると、表面硬化層には、その内側(表面硬化層を除くレジストの内部部分)に位置する未硬化のレジスト層(以下「未硬化層」という)のポッピングによる衝撃で亀裂が生じ、露出した未硬化層が灰化される。すなわち、基板をレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱することにより表面硬化層を破壊し、未硬化層のほとんど除去することができる。そのため、加熱工程を受けた基板の表面に対して高圧流体を用いて処理を行うことにより、基板表面からレジストを亀裂が生じた表面硬化層ごと剥離することができる。以上のように、高圧流体を用いたレジスト除去前にレジストにポッピング現象を生じさせることにより、単に高圧流体を用いた処理のみでは剥離することができなかった、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することができる。
また、この発明にかかるレジスト剥離装置の第1態様は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離装置であって、上記目的を達成するため、レジストを有する基板を収容するための処理チャンバーを有する高圧容器と、処理チャンバーに高圧流体を供給する流体供給手段と、処理チャンバー内で基板をレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱手段と、流体供給手段および加熱手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、レジストが形成された基板を加熱することによって生じるレジストのポッピング現象と同時あるいはその後に、高圧流体を用いてレジストを除去することを特徴としている。
この構成によれば、基板を加熱することによって生じるレジストのポッピング現象と高圧流体を用いたレジスト除去とが処理チャンバー内で同時に、あるいは基板を加熱することによって生じるレジストのポッピング現象の後に高圧流体を用いたレジスト除去が処理チャンバー内で実行される。したがって、単一の処理チャンバー内で表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することができる。
また、この発明にかかるレジスト剥離装置の第2態様は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離装置であって、上記目的を達成するため、レジストが形成された基板をレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱処理部と、加熱処理部により加熱処理された基板を収容するための処理チャンバーを有する高圧容器と、処理チャンバーに高圧流体を供給する流体供給手段とを有し、処理チャンバー内で基板の表面に対して高圧流体を用いてレジストを除去する高圧処理部と、加熱処理部から高圧処理部に基板を搬送する搬送部とを備えたことを特徴としている。
この構成によれば、加熱処理部により基板をレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱処理が実行された後、基板が高圧処理部に搬送され、高圧処理部により高圧流体を用いてレジストを除去する高圧処理が実行される。したがって、加熱処理と高圧流体を用いた高圧処理とをそれぞれ専門的に実行しながら表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することができる。
また、本発明において、用いられる高圧流体としては、安全性、価格、超臨界状態にするのが容易、といった点で、二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素以外には、水、アンモニア、亜酸化窒素、エタノール等も使用可能である。高圧流体を用いるのは、拡散係数が高く、溶解した汚染物質を媒体中に分散することができるためであり、その高圧流体を超臨界流体にした場合には、気体と液体の中間の性質を有するようになり、拡散係数は気体に近づき、微細なパターン部分にもよく浸透することができる。また、高圧流体の密度は、液体に近く、気体に比べて遥かに大量の助剤を含むことができる。
ここで、本発明における「高圧流体」とは、1MPa以上の圧力の流体である。好ましく用いることのできる高圧流体は、高密度、高溶解性、低粘度、高拡散性の性質が認められる流体であり、さらに好ましいものは超臨界状態または亜臨界状態の流体である。二酸化炭素を超臨界流体とするには31.1℃、7.4MPa以上とすればよい。この点からみれば、本発明では、高圧二酸化炭素として8〜30MPaの超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。また、温度については、40〜150゜Cが好ましく、60〜90゜Cで処理を行うことがより好ましい。さらに、超臨界二酸化炭素を用いてレジストにポッピング現象を生じさせるには、温度を300℃以上にすることが好ましい。
以上のように、この発明によれば、高圧流体を用いたレジスト除去前に基板を加熱処理してレジストにポッピング現象を生じさせている。このため、レジストの表面硬化層にはレジスト内部の未硬化層のポッピングによる衝撃で亀裂が生じ、露出した未硬化層が灰化される。これにより、加熱処理後に高圧流体を用いたレジスト除去を行うことで、基板表面からレジストを表面硬化層ごと剥離することができる。したがって、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から良好に剥離することができる。
<第1実施形態>
図1は本発明にかかるレジスト剥離方法の第1実施形態を実施可能なレジスト剥離装置を示す図である。図2は図1のレジスト剥離装置に装備された洗浄ユニットの構成を示す断面図である。図3は図1のレジスト剥離装置を制御するための電気的構成を示すブロック図である。このレジスト剥離装置100は、高圧容器1の内部に形成される処理チャンバー11に超臨界二酸化炭素(以下「SCCO2」と称する)またはSCCO2と薬液との混合物を処理流体として導入し、その処理チャンバー11において保持されている略円形の半導体ウエハなどの基板の表面からレジストを剥離する装置である。以下、その構成および動作について詳細に説明する。
このレジスト剥離装置100は、大きく分けて3つのユニット、(1)処理流体を調製して処理チャンバー11に供給する処理流体供給ユニットAと、(2)高圧容器1を有し、高圧容器1の処理チャンバー11内で処理流体により基板に付着するレジストを剥離して基板を洗浄する洗浄ユニットBと、(3)洗浄処理に使用された二酸化炭素などを回収して貯留する貯留ユニットCを備えている。
これらのユニットのうち、処理流体供給ユニットAには、本発明の「高圧流体」としてSCCO2を高圧容器1に向けて圧送する高圧流体供給部2(本発明の「流体供給手段」に相当)と、レジストを剥離除去させるのに好適な第1、第2薬液をそれぞれ供給するための薬液供給部3,4とが設けられている。
この高圧流体供給部2は、高圧流体貯留タンク21と高圧ポンプ22を備えている。上記のように高圧流体としてSCCO2を用いる場合、高圧流体貯留タンク21には、通常、液化二酸化炭素が貯留されている。また、加速度抵抗を含めた配管圧損が大きい場合には、過冷却器(図示省略)で予め流体を冷却して、高圧ポンプ22内でのガス化を防止してもよい。そして、該流体を、高圧ポンプ22で加圧すれば高圧液化二酸化炭素を得ることができる。また、高圧ポンプ22の出口側は第1ヒータ23、高圧弁24および第2ヒータ25を介挿してなる高圧配管26により高圧容器1に接続されている。そして、装置全体を制御するコントローラ10(本発明の「制御手段」に相当)からの開閉指令に応じて高圧弁24を開成することで、高圧ポンプ22で加圧された高圧液化二酸化炭素を第1ヒータ23により加熱して高圧流体としてSCCO2を得るとともに、このSCCO2を高圧容器1に直接的に圧送する。なお、高圧弁24と第2ヒータ25との間で高圧配管26は分岐しており、分岐配管31が薬液供給部3の薬液貯留タンク32と接続される一方で、分岐配管41が薬液供給部4の薬液貯留タンク42と接続されている。
そして、薬液供給部3から第1薬液が分岐配管31を介して高圧配管26に送り込まれると、これによってSCCO2に第1薬液が混合される。また、薬液供給部4から第2薬液が分岐配管41を介して高圧配管26に送り込まれると、これによってSCCO2に第2薬液が混合される。さらに、第1薬液および第2薬液がそれぞれ分岐配管31、41を介して高圧配管26に送り込まれると、SCCO2に第1薬液と第2薬液とが混合される。このように、この実施形態では、第1薬液および第2薬液の少なくとも一方がSCCO2に混合されてレジストを剥離除去するための処理流体が調製される。なお、処理流体は第2ヒータ25により所望のプロセス温度に制御される。このように第2ヒータ25は高圧容器1の直前位置で処理流体の温度を精密に制御する機能を有している。
薬液供給部3は、上記したようにレジストを剥離除去するための第1薬液を供給するものであり、第1薬液を貯留する薬液貯留タンク32を備えている。この薬液貯留タンク32は分岐配管31により高圧配管26と接続されている。また、この分岐配管31には、送給ポンプ33および高圧弁34が介挿されている。このため、コントローラ10からの開閉指令にしたがって高圧弁34の開閉動作を制御することで、薬液貯留タンク32内の第1薬液が高圧配管26に送り込まれて第1処理流体(SCCO2+第1薬液)が調製される。そして、第1処理流体が高圧容器1の処理チャンバー11に供給される。
この実施形態では、第1薬液として、アミン化合物と、フッ化水素と、炭酸エステルと、極性有機溶媒とを含有した第1剥離用組成物を用いている。なお、第1剥離用組成物に、さらに水を含有させてもよい。フッ化水素の濃度は0.001〜0.05重量%が好ましいが、より好ましくは、フッ化水素の濃度を0.01〜0.03重量%に設定してもよい。
また、アミン化合物としては、第3級アミンを用いることができ、例えばN,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N'−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノールを用いることができる。これらは単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
また、炭酸エステルとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルを挙げることができる。これらは単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。これらの炭酸エステルもレジスト等の剥離を促進する上で好適に作用する。
また、極性有機溶媒としては、アルコール、ニトリル、ケトン等、高圧流体とアミン化合物の溶解性が高いものが好ましい。これらの極性有機溶媒を含有することで、[HF ]に対し、レジスト剥離に大きく寄与する化学種である[F]の存在比を高くすることができ、これによってレジスト等の剥離を促進させることができる。
ここで、極性有機溶媒のうち、アルコールを例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。
ニトリルを例示すると、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、アジポニトリル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。
ケトンを例示すると、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、薬液供給部4は、上記したようにレジストを剥離除去するための第2薬液を供給するものであり、第2薬液を貯留する薬液貯留タンク42を備えている。この薬液貯留タンク42は分岐配管41により高圧配管26と接続されている。また、この分岐配管41には、送給ポンプ43および高圧弁44が介挿されている。このため、コントローラ10からの開閉指令にしたがって高圧弁44の開閉動作を制御することで、薬液貯留タンク42内の第2薬液が高圧配管26に送り込まれて第2処理流体(SCCO2+第2薬液)が調製される。そして、第2処理流体が高圧容器1の処理チャンバー11に供給される。
この実施形態では、第2薬液として、メタノールを含有した第2剥離用組成物を用いている。なお、第2剥離用組成物として、メタノールに加えて純水(DIW)をさらに含有させたものを用いてもよい。この場合、薬液貯留タンク42にメタノールおよび純水を含有した第2剥離用組成物を貯留してもよく、あるいはメタノールを貯留した薬液貯留タンク42とは別に純水貯留タンクを備え、各タンクからメタノールおよび純水を同時に供給して分岐配管41で混合して第2剥離用組成物を生成するようにしてもよい。
洗浄ユニットBでは、高圧容器1が高圧配管12により貯留ユニットCの貯留部5と連通されている。また、この高圧配管12には圧力調整弁13が介挿されている。このため、圧力調整弁13を開くと、高圧容器1内の処理流体などが貯留部5に排出される一方、圧力調整弁13を閉じると、高圧容器1に処理流体を閉じ込めることができる。また、圧力調整弁13の開閉制御により処理チャンバー11内の圧力を調整することも可能である。
貯留ユニットCの貯留部5としては、例えば気液分離容器等を設ければ良く、気液分離容器を用いてSCCO2を気体部分と液体部分とに分離し、別々の経路を通して廃棄する。あるいは、各成分を回収(および必要により精製)して再利用してもよい。なお、気液分離容器により分離された気体成分と液体成分は、別々の経路を通して系外へ排出してもよい。
次に、洗浄ユニットBの構成について図2を参照しつつ説明する。洗浄ユニットBに装備された高圧容器1は、その内部(処理チャンバー11)を密閉可能となっている。高圧容器1の処理チャンバー11内には、基板Wの裏面(レジストが形成されている表面と反対側の面)を吸着保持して、基板Wを加熱するためのプレート14(本発明の「ホットプレート」に相当)が配置されている。プレート14は、例えば基板Wよりも大径な円板状に形成され、ほぼ水平に配置されている。このプレート14は上面が基板Wを吸着する吸着面をなし、この上面に基板Wの裏面を吸着させて、基板Wをその表面が上方に向いたフェースアップの水平姿勢で保持することができる。すなわち、プレート14の上面には、複数の吸着孔15が形成されている。各吸着孔15には、プレート14の内部に形成された吸着路16の分岐した先端が接続されている。吸着路16の基端には、真空ポンプなどの真空源(図示せず)を含む保持吸引機構17から延びる吸引管18が接続されている。これにより、プレート14の上面に基板Wの裏面が接触した状態で保持吸引機構17が駆動されると、吸着路16内の空気が吸引管18に吸い出されて基板Wの裏面がプレート14の上面に吸い付けられる。また、プレート14の内部には、基板Wを加熱するための基板加熱用ヒータ19が備えられている。プレート14の上面に基板Wの裏面を吸着させて、基板加熱用ヒータ19を駆動することにより、基板Wを加熱することができる。
次に、上記のように構成されたレジスト剥離装置100によるレジスト剥離処理について図4ないし図6を参照しつつ説明する。図4は本発明にかかるレジスト剥離方法の第1実施形態を示すフローチャートである。図5はレジスト除去処理の手順を示すフローチャートである。図6はレジスト剥離処理の動作を説明するための模式図である。この装置の初期状態では、すべての弁13,24,34,44は閉じられるとともに、ポンプ22,33,43も停止状態にある。
そして、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構により被処理体たる基板Wが1枚、処理チャンバー11にローディングされ、プレート14に受け渡されると(ステップS1)、処理チャンバー11を閉じて処理準備を完了する(ステップS2)。このとき、基板加熱用ヒータ19は既にON(駆動状態)にされている。このため、プレート14に吸着保持された基板Wは、基板加熱用ヒータ19からの発熱により加熱処理される(ステップS3;加熱工程)。このとき、コントローラ10は基板Wの温度が300℃以上で、かつ450℃以下の温度範囲となるように基板加熱用ヒータ19を駆動制御する。
ここで、加熱処理前の基板W、つまり処理チャンバー11にローディングされた基板Wの表面には、図6(a)に示すように種々の被加工層が形成されている。すなわち、基板Wの表面には、例えば被加工膜として所定のパターンにパターンニングされたLow−k膜91および酸化膜92が形成されている。さらに、被加工膜上には、これら被加工膜をドライエッチング等によって所定のパターンにパターンニングするためにマスクとして使用された使用済のレジスト93が付着している。なお、被加工膜はドライエッチングされることによりパターンニングされるが、このときレジスト表面が硬化してレジスト93には表面硬化層93aが形成されている。したがって、レジスト剥離処理においては、Low−k膜91を含む被加工層にダメージを与えることなく、表面硬化層93aが形成されたレジスト93のみを基板Wの表面から剥離することが求められる。
そこで、この実施形態では、Low−k膜の耐熱温度を考慮して上記のように基板Wの加熱温度の上限を450℃としている。その一方で、基板表面上のレジストにポッピング現象を発生させるために基板Wの加熱温度の下限を300℃としている。そして、基板Wの加熱によりレジストにポッピング現象が生じると、表面硬化層の内側(下層側)に位置する未硬化のレジスト(未硬化層)93bのポッピングによる衝撃で表面硬化層93aに亀裂が生じる(図6(b))。これにより、表面硬化層93aに覆われていた未硬化層93bが露出し、未硬化層93bが灰化される。すなわち、基板Wをレジストのポッピング現象が生じる温度に加熱処理することにより表面硬化層93aが破壊され、未硬化層93bのほとんどを除去することができる(図6(c))。なお、ポッピングにより破壊されたレジストの破片が周囲に飛散するが、このレジストの破片は後述のレジスト除去処理において処理チャンバー11外に処理流体とともに排出される。このように、この実施形態では基板加熱用ヒータ19が本発明の「加熱手段」として機能している。
基板Wの加熱処理が終了すると、それに続いてレジスト除去処理が実行される(ステップS4;レジスト除去工程)。すなわち、高圧弁24を開いてSCCO2を高圧流体供給部2から処理チャンバー11に圧送可能な状態にした後、高圧ポンプ22を作動させて処理チャンバー11へのSCCO2の圧送を開始する(ステップS41)。これによりSCCO2が処理チャンバー11に圧送されていき、処理チャンバー11内の圧力が徐々に上昇していく。このとき、圧力調整弁13をコントローラ10からの開閉指令に応じて開閉制御することで処理チャンバー11内の圧力が一定、例えば20MPa程度に保たれる。なお、この開閉制御による圧力調整は後で説明する減圧処理が完了するまで継続される。さらに処理チャンバー11の温度調整が必要な場合は高圧容器1の近傍に設けた加熱器(図示省略)により、表面処理に適した温度に設定する。ここで、SCCO2の温度および圧力については、次にように設定することができる。すなわち、二酸化炭素を超臨界流体とするには31゜C、7.4MPa以上とすればよい。この点からみれば、8〜30MPaのSCCO2を用いることが好ましい。また、温度については、40〜150゜Cが好ましく、60〜90゜Cで処理を行うことがより好ましい。
次いで、送給ポンプ33を稼動させる。これによって、レジストおよびレジスト残渣を剥離除去するための第1薬液(第1剥離用組成物)が薬液貯留タンク32から分岐配管31を介して高圧配管26に送り込まれ、SCCO2への第1薬液の混合により第1処理流体が調製される(ステップS42)。このとき、高圧弁34の開閉動作を制御することで、第1薬液の混合量を調整することができる。なお、第1薬液の送給前に一定時間だけSCCO2のみを処理チャンバー11に供給し続けることにより、SCCO2単体によるレジストの剥離除去を行うようにしてもよい。
第1薬液送給の開始により第1洗浄工程が始まるが、このときSCCO2や第1薬液(洗浄成分)の送給は連続的に行う。こうして第1処理流体(SCCO2+第1薬液)が処理チャンバー11に供給されて基板Wの表面に第1剥離用組成物が接触し、基板Wに付着しているレジスト、レジスト残渣などの不要物質が剥離除去される。具体的には、加熱処理を受けた基板Wには、主に亀裂が生じた表面硬化層93aが被加工膜上に残留しているだけであることからこれら表面硬化層93aを含む不要物質を処理流体により比較的容易に剥離除去することができる(図6(d))。また、不要物質を随伴させた第1処理流体は高圧配管12を通じて貯留ユニットCの貯留部5へ送られる。したがって、加熱処理においてポッピングによりレジストの破片が飛散しても、飛散したレジストの破片などの不要物質が基板Wに残留付着するのを防止することができる。
そして、第1洗浄工程が完了する(ステップS43でYES)と、高圧弁34を閉じ、さらに送給ポンプ33を停止する。これによって、第1薬液の送給を停止する(ステップS44)。続いて、送給ポンプ43を稼動させる。これによって、レジストおよびレジスト残渣を剥離除去するための第2薬液(第2剥離用組成物)が薬液貯留タンク42から分岐配管41を介して高圧配管26に送り込まれる。この間、SCCO2の圧送についてはそのまま継続されており、SCCO2への第2薬液の混合により第2処理流体(SCCO2+第2薬液)が調製される(ステップS45)。このとき、高圧弁44の開閉動作を制御することで、第2薬液の混合量を調整することができる。
そして、第2洗浄工程が完了する(ステップS46でYES)と、高圧弁44を閉じ、さらに送給ポンプ43を停止する。これによって、第2薬液の送給を停止する(ステップS47)。しかしながら、SCCO2の圧送についてはそのまま継続され、SCCO2のみが処理チャンバー11に供給されてSCCO2によるリンス工程が実行される。なお、この実施形態では、SCCO2のみによるリンス工程を実行しているが、SCCO2のみによるリンス工程を省略し、メタノールを含有した第2薬液とSCCO2とを混合した第2処理流体による第2洗浄工程をリンス工程として兼用するように構成してもよい。
このリンス工程が完了する(ステップS48でYES)と、高圧ポンプ22を停止してSCCO2の圧送を停止する(ステップS49)。そして、圧力調整弁13の開閉を制御することで処理チャンバー11内を常圧に戻す(ステップS5;乾燥工程)。この減圧過程において、処理チャンバー11内に残留するSCCO2はほとんど瞬時に気体になって蒸発するので、基板表面にシミ等が発生するなどの不具合を発生させることなく、基板Wを乾燥させることができる。しかも、近年、基板表面に微細パターンが形成されることが多く、乾燥処理の際に微細パターンが破壊されるという問題がクローズアップされているが、超臨界の減圧乾燥を用いることで上記問題を解消することができる。
そして、処理チャンバー11が常圧に戻ると、処理チャンバー11を開き(ステップS6)、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構によりレジスト剥離処理済みの基板をアンロードする(ステップS7)。こうして、一連のレジスト剥離処理、つまり、加熱工程+レジスト除去工程+乾燥工程が完了する。そして、次の未処理基板が搬送されてくると、上記動作が繰り返されていく。
以上のように、この実施形態によれば、高圧流体(SCCO2)を用いたレジスト除去処理の実行前に基板Wを加熱処理してレジストにポッピング現象を生じさせている。このため、レジストの表面硬化層にはレジスト内部の未硬化層のポッピングによる衝撃で亀裂が生じ、露出した未硬化層が灰化される。さらに、加熱処理後に高圧流体を用いたレジスト除去を行うことで、基板表面からレジストを表面硬化層ごと剥離することができる。したがって、単に高圧流体を用いることのみでは剥離することができなかった表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。しかも、レジスト除去処理において、アミン化合物とフッ化水素と炭酸エステルと極性有機溶媒とを含有する第1剥離用組成物を第1薬液としてSCCO2に混合させた第1処理流体を基板Wに接触させ、続いてメタノールを含有する第2剥離用組成物を第2薬液としてSCCO2に混合させた第2処理流体を基板Wに接触させて、レジスト等を基板Wから剥離除去しているため、基板Wに付着しているレジストまたはレジスト残渣を良好に剥離することができる。
また、この実施形態によれば、加熱工程とレジスト除去工程とを同一の処理チャンバー内でこの順序で連続して実行しているので、単一の処理チャンバー内で表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。さらに、処理チャンバー内でポッピング現象を発生させているので、未硬化レジストの飛散範囲が処理チャンバー内に限定される。しかも、ポッピングの後に処理チャンバー内で高圧処理が行われるので、未硬化レジストをすべて処理チャンバーから排出することができる。
また、この実施形態によれば、300℃以上で、かつ450℃以下の温度範囲で基板Wを加熱処理しているので、被加工膜にLow−k膜が形成されていても、Low−k膜に熱的ダメージを与えるのを防止しながら、レジストにポッピング現象を発生させることができる。そして、加熱処理後に高圧流体を用いたレジスト除去処理を実行しているので、Low−k膜の膜特性が劣化するのを防止しながら表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。すなわち、基板Wに対してウェット洗浄を施すことなく、レジスト剥離処理を実行しているので水分の吸着によるLow−k膜の膜特性の劣化を防止しながら基板表面からレジストのみを選択的に剥離除去することができる。このような観点から、この実施形態によれば、被加工膜として吸湿性の高い膜が基板表面に形成されている場合であっても、被加工膜の膜特性の劣化を防止しながら基板表面からレジストを表面硬化層ごと剥離することが可能となっている。
<第2実施形態>
図7は本発明にかかるレジスト剥離方法の第2実施形態を示すフローチャートである。この第2実施形態にかかるレジスト剥離方法が第1実施形態と大きく相違する点は、加熱工程において、基板加熱用ヒータ19を用いて基板Wを加熱することに代えて、第2ヒータ25を用いて処理チャンバー11に供給される高圧流体(SCCO2)の温度を上昇させ、それによって基板Wを加熱している点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同様である。
この実施形態では、第1実施形態と同様に、基板Wが処理チャンバー11にローディングされ(ステップS1)、処理チャンバー11を閉じて処理準備を完了する(ステップS2)。それに続いて、以下のようにして基板Wの加熱処理を実行する。すなわち、高圧弁24を開いた後、高圧ポンプ22を作動させて処理チャンバー11へのSCCO2の圧送を開始する(ステップS31)。これによりSCCO2が処理チャンバー11に圧送されていき、処理チャンバー11内の圧力が徐々に上昇していく。また、コントローラ10からの動作指令に応じて第2ヒータ25を作動させ、処理チャンバー11に供給されるSCCO2の温度調整を開始する(ステップS32)。具体的には、処理チャンバー11に供給されるSCCO2の温度をレジストのポッピング現象が生じる温度(300℃以上)にまで上昇させる。これにより、基板Wが加熱され、未硬化層のポッピングによる衝撃で表面硬化層に亀裂が生じ、未硬化層が灰化される。また、処理チャンバー11に供給されるSCCO2の温度を450℃以下に調整することにより、被加工膜にLow−k膜が形成されていても、Low−k膜に熱的ダメージを与えるのを防止することができる。なお、ポッピングにより飛散したレジストの破片は、SCCO2とともに高圧配管12を通じて貯留ユニットCの貯留部5へ送られる。したがって、ポッピングによりレジストの破片が飛散しても、飛散したレジストの破片などの不要物質が基板Wに残留付着するのを防止することができる。
そして、レジストのポッピングが完了する(ステップS33でYES)と、それ以降、第1実施形態と同様にしてレジスト除去処理等を行う。なお、レジスト除去処理においては、第1実施形態と同様にして、処理チャンバー11に供給される処理流体の温度を40〜150゜Cに、好ましくは60〜90゜Cに調整して処理を行ってもよい。
以上のように、この実施形態によれば、処理流体によるレジスト除去処理の実行前に基板Wを加熱処理してレジストにポッピング現象を生じさせているので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、加熱工程とレジスト除去工程とを同一の処理チャンバー内でこの順序で連続して実行しているので、単一の処理チャンバー内で表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。また、第1実施形態と同様に処理チャンバー内でポッピング現象を発生させているので、未硬化レジストの飛散範囲が処理チャンバー内に限定される。しかも、ポッピングの後に処理チャンバー内で高圧処理が行われるので、未硬化レジストをすべて処理チャンバーから排出することができる。さらに、第2ヒータ25により基板Wを加熱処理しているので、基板加熱用ヒータ19が不要となる。
<第3実施形態>
図8は本発明にかかるレジスト剥離方法の第3実施形態を示すフローチャートである。この第3実施形態にかかるレジスト剥離方法が第2実施形態と大きく相違する点は、加熱工程とレジスト除去工程とを処理チャンバー11内で同時に実行している点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第2実施形態と同様である。
この実施形態では、基板Wが処理チャンバー11にローディングされ(ステップS1)、処理チャンバー11を閉じて処理準備を完了する(ステップS2)と、加熱除去同時処理(ステップS8)が実行される。
図9は加熱除去同時処理の手順を示すフローチャートである。処理チャンバー11へのSCCO2の圧送を開始した後(ステップS80)、第2ヒータ25による温度調整を開始する(ステップS81)。また、送給ポンプ33を稼動させ、第1薬液(第1剥離用組成物)を薬液貯留タンク32から高圧配管26に送り込む(ステップS82)。これにより、第1処理流体(SCCO2+第1薬液)が調製されるとともに、第1処理流体の温度がレジストのポッピング現象が生じる温度にまで上昇し、このように温度調整された第1処理流体が処理チャンバー11に供給される。その結果、基板Wの加熱処理と、第1処理流体(SCCO2+第1薬液)による第1洗浄工程が同時に実行される。つまり、レジストのポッピング現象の発生と、第1処理流体の基板表面への接触によるレジスト除去が同時に進行する。
そして、第1洗浄工程が完了する(ステップS83でYES)と、第1薬液の送給を停止する(ステップS84)。続いて、第2薬液の送給が開始され、第2処理流体(SCCO2+第2薬液)による第2洗浄工程が実行される(ステップS85)。なお、基板Wの加熱処理は、第2洗浄工程が完了するまで実行される。第2洗浄工程が完了する(ステップS86でYES)と、第2薬液の送給が停止され(ステップS87)、SCCO2のみによるリンス工程が実行される。こうしてリンス工程が完了する(ステップS88でYES)と、SCCO2の圧送を停止する(ステップS89)。
以上のように、この実施形態によれば、基板Wの加熱処理と、処理流体(SCCO2+薬液)による高圧処理とを同一の処理チャンバー11内で同時に実行しているので、表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離しながら、装置のスループットを向上させることができる。また、処理チャンバー内でポッピング現象を発生させ、処理チャンバー内で高圧処理が行われるので、飛散したレジストをすべて処理チャンバーから排出することができる。
<第4実施形態>
図10は本発明にかかるレジスト剥離方法の第4実施形態を実施可能なレジスト剥離装置を示す模式図である。このレジスト剥離装置では、高圧流体を用いて基板Wに高圧処理を施す高圧処理部100Aと基板Wに加熱処理を施す加熱処理部200との間に、基板Wを搬送するための基板搬送部300が配置されている。高圧処理部100Aの構成は基本的に図1に示すレジスト剥離装置100と同様であるが、加熱処理部200を高圧処理部100Aと別個に設けていることから高圧容器1内のプレート14に設けられた基板加熱用ヒータ19を不要とすることができる。また、基板搬送部300は、未処理の基板Wを加熱処理部200に搬送するとともに、加熱処理部200で加熱処理を受けた基板Wを高圧処理部100Aに搬送する。
図11は図10のレジスト剥離装置に装備された加熱処理部の構成を示す断面図である。加熱処理部200は、基板Wを加熱するためのプレート205(本発明の「ホットプレート」に相当)と、プレート205に保持された基板Wの表面付近の空間を包囲するための包囲部材206とを備えている。プレート205は、例えば基板Wよりも大径な円板状に形成され、ほぼ水平に配置されている。このプレート205は上面が基板Wを吸着する吸着面をなし、この上面に基板Wの裏面を吸着させて、基板Wをその表面が上方に向いたフェースアップの水平姿勢で保持することができる。すなわち、プレート205の上面には、複数の吸着孔207が形成されている。各吸着孔207には、プレート205の内部に形成された吸着路208の分岐した先端が接続されている。吸着路208の基端には、真空ポンプなどの真空源(図示せず)を含む保持吸引機構209から延びる吸引管210が接続されている。これにより、プレート205の上面に基板Wの裏面が接触した状態で保持吸引機構209が駆動されると、吸着路208内の空気が吸引管210に吸い出されて基板Wの裏面がプレート205の上面に吸い付けられる。また、プレート205の内部には、基板Wを加熱するための基板加熱用ヒータ211が備えられている。プレート205の上面に基板Wの裏面を吸着させて、基板加熱用ヒータ211を駆動することにより、基板Wを加熱することができる。
包囲部材206は、平面視で基板Wよりも少し大きな径を有する円形状に形成され、その中心軸線をプレート205に保持された基板Wの中心を通る鉛直軸線と一致させて、プレート205の上方に昇降可能に設けられている。この包囲部材206は、プレート205に保持された基板Wの表面に対向配置される対向部212と、この対向部212の周縁から下方に向けて延びる周面部213とを一体的に備えている。包囲部材206の下面は、開放されており、プレート205に保持された基板Wの表面全域に対向可能な吸気口214をなしている。
対向部212の中央部には、排気口215が貫通して形成されている。また、対向部212の中央部には上方に向けて延びる筒状の支持軸216が結合されている。この支持軸216の内部は排気口215と連通している。そして、支持軸216には負圧源(図示せず)を含む減圧吸引機構217から延びる吸気管218が接続されている。
また、支持軸216にはモータなどの駆動源(図示せず)を含む昇降駆動機構219が結合されている。この昇降駆動機構219により、支持軸216を上下動させることができ、包囲部材206をプレート205に近接する近接位置(図11に実線で示す位置)とプレート205の上方に退避する退避位置(図11に破線で示す位置)との間で昇降させることができる。
次に、上記のように構成されたレジスト剥離装置によるレジスト剥離処理について図12を参照しつつ説明する。図12は本発明にかかるレジスト剥離方法の第4実施形態を示すフローチャートである。加熱処理部200において処理を受ける基板Wは、基板搬送部300により加熱処理部200に搬入され、プレート205に受け渡される(ステップS11)。このとき、包囲部材206はプレート205の上方の退避位置に退避している。また、基板加熱用ヒータ211は既にON(駆動状態)にされている。
基板Wがプレート205に保持されると、昇降駆動機構219が駆動されて包囲部材206が退避位置から近接位置に移動される。包囲部材206が近接位置に配置された状態では、吸気口214とプレート205に保持された基板Wの表面とが上下方向に所定間隔(例えば2〜5mm)を隔てて近接し、基板Wの表面上の空間が包囲部材206により包囲される。また、基板Wの周縁と包囲部材206の対向部212の下端縁との間に僅かな隙間が形成され、包囲部材206に包囲された空間(基板Wの表面上の空間)は、その僅かな隙間を介して外部と連通する。
次いで、減圧吸引機構217が駆動されて包囲部材206に包囲された空間内の雰囲気が吸気管218に吸い出される。これにより、包囲部材206に包囲された空間に基板Wの周縁と包囲部材206の対向部212の下端縁との間の隙間から空気が吸い込まれ、その隙間から排気口215に向かう気流が形成される。このとき、基板Wの周縁と包囲部材206の対向部212の下端縁との間の隙間からの空気の流入量は、排気口215からの排気量よりも少なく、包囲部材206に包囲された空間は、その外部の空間よりも気圧が低い減圧状態となる。
この状態でプレート205に吸着保持された基板Wは、基板加熱用ヒータ211からの発熱により加熱処理される(ステップS12;加熱工程)。このとき、コントローラ10は基板Wの温度が300℃以上で、かつ450℃以下の温度範囲となるように基板加熱用ヒータ211を駆動制御する。これにより、未硬化層のポッピングによる衝撃で表面硬化層に亀裂が生じ、表面硬化層が破壊される。また、未硬化層が灰化され、未硬化層のほとんどが基板表面から除去される。このとき、ポッピングにより破壊されたレジストの破片が周囲に飛散するが、このレジストの破片は包囲部材206に包囲された空間に形成される気流にのって、包囲部材206の排気口215から排出される。これにより、基板Wの加熱時に生じるレジストの破片などが基板Wに残留付着するのを防止することができる。このように、この実施形態では基板加熱用ヒータ211が本発明の「加熱手段」として機能している。
基板Wの加熱処理が所定時間にわたって続けられると、基板加熱用ヒータ211がオフにされる。そして、減圧吸引機構217が駆動されたまま、昇降駆動機構219が駆動されて包囲部材206が近接位置から退避位置へと戻される。減圧吸引機構217が駆動されているので、基板Wの表面付近の雰囲気中(包囲部材206に包囲された空間内)にレジストの破片が残っていても、包囲部材6が退避位置へ移動する間に、そのレジストの破片を排気口215から吸引して排出することができる。そのため、基板Wの加熱終了後においても、レジストの破片が基板Wを取り囲む空間に分散することを防止することができる。
こうして加熱処理を受けた基板Wは、基板搬送部300により加熱処理部200から搬出されて高圧処理部100Aに搬入される(ステップS13)。すなわち、加熱処理を受けた基板Wは処理チャンバー11にローディングされる。その後、処理チャンバー11が閉じられ(ステップS14)、レジスト除去処理(ステップS15)および減圧乾燥処理(ステップS16)が実行される。なお、ステップS13〜S18の動作は第1実施形態におけるステップS1、S2およびステップS4〜S7(図4)の動作と同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上のように、この実施形態によれば、高圧流体を用いたレジスト除去処理の実行前に基板Wを加熱処理してレジストにポッピング現象を生じさせているので、単に高圧流体を用いることのみでは剥離することができなかった表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。
また、この実施形態によれば、加熱処理部200により基板Wの加熱処理を実行した後、基板搬送部300により加熱処理を受けた基板Wを高圧処理部100Aに搬送して高圧処理部100Aにより高圧流体を用いたレジスト除去処理を実行している。したがって、加熱処理と高圧流体を用いた高圧処理とをそれぞれ専門的に実行しながら表面硬化層が形成されたレジストを基板Wの表面から良好に剥離することができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉方式のレジスト剥離方法に対して本発明を適用しているが、複数枚の基板Wを同時に処理する、いわゆるバッチ方式のレジスト剥離方法に対しても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、被処理体たる基板Wをプレート14,205に直接載置して加熱処理を行っているが、プレート14,205の直上位置で基板Wを保持した状態で加熱処理を行うようにしてもよい。例えばプロキシミティピン上に基板Wを支持してプレート14,205から微小距離だけ基板Wを離間させた状態で加熱処理させるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、プレート14,205に基板加熱用ヒータ19,211が内蔵され、基板加熱用ヒータ19,211により基板Wを加熱しているが、基板Wを加熱させるための構成はこれに限定されない。例えば、プレート14,205に保持された基板Wの表面に対向する位置に赤外線ランプヒータを配置して、この赤外線ランプヒータにより基板Wを取り囲む雰囲気の温度をポッピング現象が生じる温度に上昇させるようにしてもよい。この場合、基板加熱用ヒータ19,211はプレート14,205に内蔵されてもよいし、省略されてもよい。
本発明は、表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離処理を施すレジスト剥離方法およびレジスト剥離装置に適用することができる。
本発明にかかるレジスト剥離方法の第1実施形態を実施可能なレジスト剥離装置を示す図である。 図1のレジスト剥離装置に装備された洗浄ユニットの構成を示す断面図である。 図1のレジスト剥離装置を制御するための電気的構成を示すブロック図である。 本発明にかかるレジスト剥離方法の第1実施形態を示すフローチャートである。 レジスト除去処理の手順を示すフローチャートである。 レジスト剥離処理の動作を説明するための模式図である。 本発明にかかるレジスト剥離方法の第2実施形態を示すフローチャートである。 本発明にかかるレジスト剥離方法の第3実施形態を示すフローチャートである。 加熱除去同時処理の手順を示すフローチャートである。 本発明にかかるレジスト剥離方法の第4実施形態を実施可能なレジスト剥離装置を示す模式図である。 図10のレジスト剥離装置に装備された加熱処理部の構成を示す断面図である。 本発明にかかるレジスト剥離方法の第4実施形態を示すフローチャートである。
符号の説明
1…高圧容器
2…高圧流体供給部(流体供給手段)
10…コントローラ(制御手段)
11…処理チャンバー
14…プレート(ホットプレート)
19…基板加熱用ヒータ(加熱手段)
93…レジスト
93a…表面硬化層
100A…高圧処理部
200…加熱処理部
205…プレート(ホットプレート)
211…基板加熱用ヒータ(加熱手段)
300…基板搬送部(搬送部)
W…基板

Claims (10)

  1. 表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離方法であって、
    前記レジストが形成された基板を前記レジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程を受けた基板の表面に対して高圧流体を用いて前記レジストを除去するレジスト除去工程と
    を備えたことを特徴とするレジスト剥離方法。
  2. 前記加熱工程は前記基板をホットプレート上または直上位置に保持して加熱する工程である請求項1記載のレジスト剥離方法。
  3. 前記加熱工程は、前記基板を取り囲む雰囲気の温度を前記ポッピング現象が生じる温度に上昇させる工程である請求項1記載のレジスト剥離方法。
  4. 前記レジスト除去工程は、剥離用組成物と高圧流体とを混合させた処理流体を、前記基板を収容する処理チャンバーに供給して前記基板の表面に接触させる工程である請求項1ないし3のいずれかに記載のレジスト剥離方法。
  5. 前記加熱工程は処理チャンバー内で前記基板を加熱する工程であり、
    前記加熱工程および前記レジスト除去工程は同一の処理チャンバー内でこの順序で連続して実行される請求項4記載のレジスト剥離方法。
  6. 剥離用組成物と高圧流体とを混合させた、処理流体の温度を前記ポッピング現象が生じる温度以上に上昇させた後、前記基板を収容する処理チャンバーに該処理流体を供給して前記基板の表面に接触させることによって、前記加熱工程と前記レジスト除去工程とを前記処理チャンバー内で同時に実行する請求項1記載のレジスト剥離方法。
  7. 前記レジスト除去工程後に、前記処理チャンバーを減圧して前記基板を乾燥させる乾燥工程をさらに備える請求項4ないし6のいずれかに記載のレジスト剥離方法。
  8. 前記レジストは前記基板に形成された被加工膜をパターニングするために用いられる請求項1ないし7のいずれかに記載のレジスト剥離方法であって、
    前記加熱工程は、300゜C以上で、かつ450゜C以下の温度範囲で前記基板を加熱する工程であるレジスト剥離方法。
  9. 表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離装置であって、
    前記レジストを有する基板を収容するための処理チャンバーを有する高圧容器と、
    前記処理チャンバーに高圧流体を供給する流体供給手段と、
    前記処理チャンバー内で前記基板を前記レジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱手段と、
    前記流体供給手段および前記加熱手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記レジストが形成された基板を加熱することによって生じる前記レジストのポッピング現象と同時あるいはその後に、前記高圧流体を用いて前記レジストを除去することを特徴とするレジスト剥離装置。
  10. 表面硬化層が形成されたレジストを基板の表面から剥離するレジスト剥離装置であって、
    前記レジストが形成された基板を前記レジストのポッピング現象が生じる温度に加熱する加熱処理部と、
    前記加熱処理部により加熱処理された基板を収容するための処理チャンバーを有する高圧容器と、前記処理チャンバーに高圧流体を供給する流体供給手段とを有し、前記処理チャンバー内で前記基板の表面に対して前記高圧流体を用いて前記レジストを除去する高圧処理部と、
    前記加熱処理部から前記高圧処理部に基板を搬送する搬送部と
    を備えたことを特徴とするレジスト剥離装置。
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