JP2008208875A - 軸方向バックラッシ測定用補助装置、軸方向バックラッシ測定装置及び軸方向バックラッシ測定方法 - Google Patents

軸方向バックラッシ測定用補助装置、軸方向バックラッシ測定装置及び軸方向バックラッシ測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸方向バックラッシを高精度に測定することが可能な軸方向バックラッシ測定用補助装置、軸方向バックラッシ測定装置及び軸方向バックラッシ測定方法。
【解決手段】スプリング12cによる付勢ピン12bからの規定の付勢力の下で、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2のサンシャフト18の姿勢は軸方向において安定した位置に落ち着き、軸直交方向においても安定した中心位置に落ち着く。この状態で外力ガイド部14を介して外力を与えると、サンシャフト18の姿勢は安定した状態でバックラッシ分の軸方向移動を生じる。てこ式ダイヤルゲージ30により、外力の有無による移動前後でのサンシャフト18の軸方向変位を測定することで、高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の軸方向バックラッシを測定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、それぞれのネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定用補助装置、軸方向バックラッシ測定装置及び軸方向バックラッシ測定方法に関する。
各種のアクチュエータに用いられる回転−直動変換機構として、サンシャフト、プラネタリシャフト及びナットを組み合わせた遊星差動ネジ型回転−直動変換機構が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平10−196757号公報(第3頁、図1)
このような遊星差動ネジ型回転−直動変換機構においては、プラネタリシャフトのネジ部に対して異なる進み角のネジ部(サンシャフトあるいはナット)を噛み合わせることにより回転−直動変換を行っている。
この遊星差動ネジ型回転−直動変換機構を用いて高精度な回転−直動変換を実行するためには、ネジ部同士の噛合部の軸方向バックラッシを正確に測定して、制御上のパラメータに反映させる必要がある。
しかし遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、ネジピッチの異なる噛合部を含んだ複雑な噛合部を形成しているため、単に軸方向のガタ量を測定しても、測定毎のばらつきが大きく、高精度に測定することが困難であった。
本発明は、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸方向バックラッシを高精度に測定することが可能な軸方向バックラッシ測定用補助装置、軸方向バックラッシ測定装置及び軸方向バックラッシ測定方法を目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置は、ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定用補助装置であって、前記ナットを固定するナット固定手段と、前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えるシャフト付勢手段と、前記サンシャフトの軸回転を阻止して軸方向移動のみ許す軸方向移動ガイド手段と、外力を前記シャフト付勢手段による付勢方向とは逆方向に前記サンシャフトに付与されるようガイドする外力ガイド手段とを備えたことを特徴とする。
測定対象である遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のサンシャフトは、軸回転を阻止し軸方向移動のみ許す軸方向移動ガイド手段にガイドされているので、サンシャフトの軸が回転して移動したり傾くことはない。このようなサンシャフトに対してシャフト付勢手段からは軸方向に規定の付勢力が与えられている。このことによりナット固定手段にてナットが固定された遊星差動ネジ型回転−直動変換機構内において、サンシャフトは安定した軸力を全てのプラネタリシャフトに与え、更にこのプラネタリシャフトを介してナットに対して与えることになる。
このためシャフト付勢手段による規定の付勢力の下で、サンシャフトの姿勢は、軸方向において安定した位置に落ち着き、更に軸直交方向においても安定した中心位置に落ち着く。
このような状態で外力ガイド手段を介して外力を与えると、外力はシャフト付勢手段による付勢方向とは逆方向にサンシャフトに付与されて、サンシャフトは安定した姿勢でバックラッシ分の移動を生じる。したがってこのように補助された状態で、外力有無でのサンシャフトの軸方向変位差を測定することで、高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項2に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、前記サンシャフト、前記プラネタリシャフト及び前記ナットに各々ギヤ部を設け、該ギヤ部同士を噛み合わせていることを特徴とする。
このようにネジ噛合部以外にギヤ噛合部を設けている遊星差動ネジ型回転−直動変換機構であっても、前記請求項1にて説明したごとく、高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項3に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1又は2において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、前記ナットの外周に電動モータ用のロータが取り付けられてステータ内に配置されていることにより電動モータが構成され、該電動モータへの給電制御により前記ナットを回転駆動して前記サンシャフトによる軸方向出力を行うことを特徴とする。
このようにナットが電動モータとして構成されて、サンシャフトにより軸方向に出力することで各種の駆動を実行する遊星差動ネジ型回転−直動変換機構において、高精度に軸方向バックラッシが測定できる。この軸方向バックラッシの測定値を電動モータに対する給電制御に適用することにより、高精度な駆動制御が実現できる。
請求項4に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項3において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、内燃機関のバルブ特性を軸方向移動により調節するコントロールシャフトの軸方向駆動に用いられるものであることを特徴とする。
このように内燃機関のバルブ特性を調節するコントロールシャフトの軸方向駆動に用いられる遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のバックラッシを測定するための軸方向バックラッシ測定補助装置であっても良い。このことにより高精度に測定されたバックラッシの値を用いることができるので、バルブ特性制御が高精度にでき、内燃機関の高精度な制御が可能となる。
請求項5に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、スプリングであることを特徴とする。
このようにスプリングをシャフト付勢手段として用いることにより、軸方向の規定の付勢力を、サンシャフトに対して容易にかつ安定的に与えることができる。
請求項6に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、流体ピストンであることを特徴とする。
このように流体、例えば空気やオイルを作動流体とするピストンをシャフト付勢手段として用いることにより、軸方向の規定の付勢力をサンシャフトに対して安定的に与えるようにしても良い。
請求項7に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、規定の付勢力を与えられている当接ピンを設けて、前記サンシャフトの端部に形成された軸直交方向の端面に前記当接ピンの先端当接部にて当接することにより前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えると共に、前記先端当接部は球面を形成していることを特徴とする。
軸方向に規定の付勢力を与える先端当接部は球面を形成しているため、当接ピンはサンシャフトに対して軸方向を傾けるような力を与えることがない。このためシャフト付勢手段による規定の付勢力の下で、サンシャフトの姿勢は、軸方向において、より効果的に安定した位置に落ち着き、このことによりサンシャフトの姿勢は、軸直交方向においても安定した中心位置に効果的に落ち着くことになる。
したがって高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項8に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、規定の付勢力を与えられている係止部を設けて、前記サンシャフトの一カ所に前記係止部にて係止することにより前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えることを特徴とする。
このようにシャフト付勢手段は係止部にてサンシャフトに係止できるようにすれば、単に押す方向に付勢力を与えることのみでなく、引く方向にも付勢力を与えることができる。したがって測定用補助装置としての設計自由度や適用自由度が高まり、多種類の遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対して軸方向バックラッシの高精度な測定ができるように補助できる。
請求項9に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項8において、前記外力ガイド手段は前記サンシャフトの端部に形成された軸直交方向の端面から軸方向に前記外力が付与されるようガイドすると共に、前記係止部が係止する前記サンシャフトの部分は、前記外力が付与される前記端部近傍に設定されていることを特徴とする。
このように係止部が係止するサンシャフトの部分に対しては、外力ガイド手段が外力を付与している端部近傍に設定することができる。このようにできるので、測定補助装置としての設計自由度や適用自由度が高まり、多種類の遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対して軸方向バックラッシの高精度な測定ができるように補助できる。
請求項10に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項1〜9のいずれかにおいて、前記外力ガイド手段は、前記外力の入力部材と前記外力を前記サンシャフトに付与する出力部材とを設け、前記入力部材と前記出力部材との間にスプリングを設けたことを特徴とする。
このように外力を直接サンシャフトに与えるのではなく、スプリングを介して外力をサンシャフトに与えることにより、外力が不安定であっても、より安定化した状態でサンシャフトに与えることができる。このことにより外力付与時にサンシャフトの姿勢が安定し、サンシャフトが遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸からずれることがない。こうして、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対して、より高精度な軸方向バックラッシの測定ができるように補助することができる。
請求項11に記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置では、請求項10において、前記出力部材は、前記サンシャフトの端面に形成された軸直交方向の端面から軸方向に先端当接部にて当接することにより前記サンシャフトに対して前記シャフト付勢手段による付勢方向とは逆方向に前記外力を与えると共に、前記先端当接部は球面を形成していることを特徴とする。
このように出力部材の先端当接部は球面を形成しているため、出力部材はサンシャフトに対して軸方向を傾けるような力を与えることがない。このため外力ガイド手段はサンシャフトに対して、軸方向において、より効果的に安定した外力を与えることができ、サンシャフトの姿勢が安定化する。したがって、より高精度に軸方向バックラッシを測定することができるように補助することができる。
請求項12に記載の軸方向バックラッシ測定装置は、ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定装置であって、請求項1〜11のいずれかに記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置と、前記サンシャフトの軸方向変位を測定するシャフト移動測定手段とを備えたことを特徴とする。
測定対象である遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のサンシャフトは、軸方向バックラッシ測定用補助装置の構成により、前述のごとく高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸方向バックラッシを測定することができるように姿勢が安定化する。
したがってこのような状態で、シャフト移動測定手段にて、外力の有無でのサンシャフトの軸方向変位を高精度に測定することができるので、高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項13に記載の軸方向バックラッシ測定装置では、請求項12において、前記シャフト移動測定手段は、前記外力が前記サンシャフトに付与されることで前記シャフト付勢手段による付勢力に抗して移動した前記サンシャフトの軸方向変位と移動前での軸方向変位との変位差を測定できる構成であることを特徴とする。
このような変位差が測定できることにより、高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項14に記載の軸方向バックラッシ測定装置では、請求項12又は13において、前記シャフト移動測定手段は、てこ式ダイヤルゲージであることを特徴とする。
このように、てこ式ダイヤルゲージをシャフト移動測定手段として用いることにより、容易に高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項15に記載の軸方向バックラッシ測定装置では、請求項12又は13において、前記シャフト移動測定手段は、デジマチックインジケータであることを特徴とする。
このように、デジマチックインジケータをシャフト移動測定手段として用いることにより、容易に高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
請求項16に記載の軸方向バックラッシ測定方法は、ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定方法であって、前記ナットを固定した状態、前記サンシャフトの軸回転を阻止して軸方向移動のみ許した状態、及び前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えた状態を予め設定し、前記付勢力の方向とは逆方向に前記サンシャフトに外力を付与することで、該外力付与時と非付与時とでの前記サンシャフトの軸方向での変位差をバックラッシとして測定することを特徴とする。
測定対象である遊星差動ネジ型回転−直動変換機構のサンシャフトは、ナットが固定され、サンシャフトは軸回転が阻止されて軸方向移動のみ許されているので、サンシャフトの軸が回転して移動したり傾くことはない。このようなサンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力が与えられた状態とされている。このことにより安定した軸力を、サンシャフトはプラネタリシャフトに与え、更にこのプラネタリシャフトを介してナットに対しても与えていることになる。
このような規定の付勢力の下では、サンシャフトの姿勢は軸方向において安定した位置に落ち着き、更に軸直交方向においても安定した中心位置に落ち着く。
このような状態で付勢力方向とは逆方向にサンシャフトに外力を付与することにより、サンシャフトは安定した姿勢にてバックラッシ分の移動を生じる。この外力付与時と非付与時とで外力方向の変位差を測定することで、容易に高精度な軸方向バックラッシを得ることができる。
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の軸方向バックラッシ測定用補助装置4の概略構成を表す縦断面図である。この軸方向バックラッシ測定用補助装置4は、ベース部6、ホルダー部8、軸方向移動ガイド部10、付勢力発生部12及び外力ガイド部14を主要構成として備えている。尚、この遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2は内燃機関のバルブ特性、ここではバルブ作用角を調節するためのコントロールシャフトを軸方向に移動させて、高精度にバルブ特性を調節するために用いられるものである。
ベース部6は遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2のナット16を収納状態で載置して、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2全体の軸位置を決定する円筒状の収納凹部6aを備えている。この収納凹部6aの下側に形成された径の小さい円筒状空間6bには付勢力発生部12が取り付けられている。付勢力発生部12は、円筒状空間6b内にて収納凹部6aと同軸に固定されたシリンダ部12a、シリンダ部12a内に摺動可能に配置されピストン状の付勢ピン12b、及び付勢ピン12bを遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2側に付勢する圧縮状のスプリング12cを備えている。
付勢ピン12bの先端当接部12dは半球形状に球面が形成されている。この球面部分で遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2に設けられているサンシャフト18の下端面18gに当接し、スプリング12cの付勢力によりサンシャフト18を持ち上げている。サンシャフト18の下端面18gは、サンシャフト18に対して軸直交方向の端面として形成されている。
付勢ピン12bの下部にはリング状に溝12eが形成されている。遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2を軸方向バックラッシ測定用補助装置4にセットする際に、この溝12eに、図示したごとく貫通孔6cを貫通してストッパー12fの先端を挿入する。このことにより、付勢ピン12bが必要以上に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2を持ち上げないようにできるので、セット作業性が向上する。測定時には、ストッパー12fの先端を溝12eから排除することによりスプリング12cの付勢力に影響しないようにする。
ベース部6の上部には収納凹部6aの外周に同軸の雄ネジ部6dが形成されている。この雄ネジ部6dには円筒状のホルダー部8の下端内側に形成されている雌ネジ部8aが螺入される。このことによりホルダー部8の上端に設けられたリング状の押圧板8bが、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2のナット16の先端側にある段差面16dを押圧する。このことによりナット16は、収納凹部6a内に収納された状態にて、ベース部6とホルダー部8との間で圧締されることになり、ナット16の姿勢は完全に固定される。
ベース部6の上部には、ホルダー部8を内側にして、円筒状の軸方向移動ガイド部10がボルト締めにて取り付けられている。この軸方向移動ガイド部10の上端側に形成されている先端部10aの中心部には、スプライト孔部10bが形成されている。このスプライト孔部10bは、サンシャフト18に形成されているストレートスプライン部18dと噛合することにより、サンシャフト18の回転を阻止して軸方向移動のみを許している。尚、ストレートスプライン部18dは、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2が内燃機関に組み込まれて用いられる際にサンシャフト18の回転を阻止して軸方向移動のみを許すために形成されているものである。軸方向バックラッシ測定用補助装置4はこのストレートスプライン部18dを利用して、軸方向バックラッシ測定時においてサンシャフト18が軸方向のみ移動して回転しないようにしている。
軸方向移動ガイド部10の上部には外力ガイド部14が一体に取り付けられている。この外力ガイド部14は、基台14a、シリンダ部14b、外力ピン14c、スリーブ14d、外力仲介スプリング14e、及び外力受部14fを備えている。
基台14aは、軸方向移動ガイド部10の先端部10aにて中心から離れた周縁部に取り付けられ、シリンダ部14b、外力ピン14c、スリーブ14d、外力仲介スプリング14e、及び外力受部14fを、直接・間接に支持している。この基台14aに直接支持されたシリンダ部14bは、内部にピストン状の外力ピン14c(出力部材に相当)を摺動可能に配置している。シリンダ部14bに連続して設けられたスリーブ14d内には外力仲介スプリング14eが配置されて、外力受部14f(入力部材に相当)から受ける外力を仲介して外力ピン14cに伝達している。
次に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の外観構成を図2の斜視図に、内部構成を図3の破断斜視図に示す。遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2は、ナット16、サンシャフト18及びナット16とサンシャフト18との間に配置された複数のプラネタリシャフト20を主体として構成されている。
図1ではナット16の外側にアンギュラベアリングと電動モータのロータの構成22を取り付けた状態で示しているが、図2にては破線に示すごとくであり、図3ではアンギュラベアリングと電動モータのロータの構成22をナット16から取り外した状態で示している。
サンシャフト18は、平歯ギヤ部18a,18b、ネジ部18c及びストレートスプライン部18dを備えている。更にサンシャフト18の基端側、すなわち平歯ギヤ部18a側の端部にはサンシャフト18の軸方向移動量(ストローク量)を検出するためのコア18eが形成されており、ナット16を一方側で閉塞しているキャップ24内に形成されたコイル26と共に変位センサを構成している。ネジ部18cは、ここでは4条からなる右ネジである。
ナット16は内周面に平歯ギヤ部16a,16b及びネジ部16cを備えている。ネジ部16cは、ここでは5条からなる左ネジである。
プラネタリシャフト20は、複数本、例えば9本が、ナット16及びサンシャフト18と軸方向を同一にして、ナット16とサンシャフト18との間に等位相間隔に配置されている。各プラネタリシャフト20は、平歯ギヤ部20a,20b及びネジ部20cを備えている。
図3に示したごとく、プラネタリシャフト20とナット16との噛み合い状態は、プラネタリシャフト20の平歯ギヤ部20a,20bはナット16側の平歯ギヤ部16a,16bに、ネジ部20cはネジ部16cに噛み合わされている。
噛み合っているナット16のネジ部16cとプラネタリシャフト20のネジ部20cとは、ピッチ円径の比とネジ条数の比とが同じく「5:1」である。したがってプラネタリシャフト20がナット16の内周面にて転動してもナット16とプラネタリシャフト20との間で軸方向での相対的移動は生じない。
プラネタリシャフト20とサンシャフト18との噛み合い状態は、プラネタリシャフト20の平歯ギヤ部20a,20bはサンシャフト18側の平歯ギヤ部18a,18bに、プラネタリシャフト20のネジ部20cはサンシャフト18のネジ部18cに噛み合わされている。尚、サンシャフト18のストレートスプライン部18dは、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2が用いられる内燃機関にケーシングを介して固定される際に、そのケーシングの開口部分に形成されているストレートスプライン部に噛み合わされる。したがってサンシャフト18は、ストレートスプライン部18dにてケーシングのストレートスプライン部に対して摺動することで軸方向移動は許されるが、軸回転は阻止されることになる。
プラネタリシャフト20のネジ部20cと、サンシャフト18のネジ部18cとは、ピッチ円径の比とネジ条数の比とが異なる。すなわちピッチ円径の比は「1:3」であるが、プラネタリシャフト20のネジ部20cのネジ条数は1条であり、サンシャフト18のネジ部18cのネジ条数は4条であるので、ネジ条数の比は「1:4」である。このためプラネタリシャフト20が、ナット16の回転により、サンシャフト18の周囲に転動すると、軸回転が規制されているサンシャフト18は、ナット16とプラネタリシャフト20とに対して軸方向での相対的移動を生じる。すなわち差動を生じる。
このように遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2が構成されているため、外部の制御回路にて、構成22に対向して遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の周囲に配置されたステータに対する通電制御を実行してナット16を回転させることができる。この時、ネジ部16c,20c,18c同士を噛み合わせたネジ噛合部の機能により上述したごとくの差動が生じてサンシャフト18が軸方向に移動する。したがって内燃機関の可変動弁機構に適用した場合、変位センサのコイル26により検出されるサンシャフト18の変位が目標位置(目標ストローク量)を示すようにナット16の回転量を調節する。このことで可変動弁機構側のコントロールシャフトの軸方向位置を制御でき、吸気バルブのバルブリフト量を所望の状態に調節できる。
この制御上で基本データとして用いられるサンシャフト18の軸方向バックラッシは、前記軸方向バックラッシ測定用補助装置4を用いて次のように測定される。
まず、図1に示したごとく、キャップ24を取り付ける前の遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2を、ナット16部分にて、軸方向バックラッシ測定用補助装置4のベース部6に形成された収納凹部6aに嵌め込んで、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2を、ベース部6に配置する。
次にベース部6の雄ネジ部6dにホルダー部8の雌ネジ部8aを螺入させ、押圧板8bにてナット16の段差面16dを押圧し、ベース部6とホルダー部8との間でナット16を圧締して、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の上下方向位置を決定すると共に、ナット16を回転しないようにする。
次に軸方向移動ガイド部10の先端部10aにあるスプライト孔部10bにサンシャフト18のストレートスプライン部18dを挿通させて、軸方向移動ガイド部10をベース部6に対してボルト締めして固定する。このことによりサンシャフト18は軸回転が阻止されて、軸方向移動のみが許されることになる。
この時に付勢ピン12bを上方に付勢しているスプリング12cの付勢力は十分に強い。具体的には、スプリング12cに対して上方から加えられた付勢ピン12b、サンシャフト18、全てのプラネタリシャフト20、外力ピン14c、外力仲介スプリング14e、及び外力受部14fの合計の重量を十分に持ち上げることができる付勢力が、図1の配置状態にてスプリング12cに生じている。
このことによりサンシャフト18には、上方に強く持ち上げられる力が付勢ピン12bの先端当接部12dから与えられている。サンシャフト18は、軸方向移動ガイド部10のスプライト孔部10bにより回転が阻止されているので、サンシャフト18が与えられている軸方向の付勢力は、ネジ部18cから全てのプラネタリシャフト20に形成されたネジ部20cにそのまま均一に付与される。このことにより全てのプラネタリシャフト20が均一な力で持ち上げられて、その力は全て、ナット16のネジ部16cに均一に与えられる。この軸方向の力を受けたナット16は、前述したごとく段差面16dにてホルダー部8の押圧板8bにより押さえつけられているので、ナット16は上方に持ち上げられることはない。
このような状態では、ナット16からプラネタリシャフト20を介してサンシャフト18に至るまでのネジ部16c,18c,20cの噛み合わせにおけるバックラッシは、サンシャフト18において上限の位置にある。
この状態にて図1に示したごとく、てこ式ダイヤルゲージ30の測定子30aを、外力ピン14cが接触しているサンシャフト18の上端面18fに接触させて保持し、ここを基準点とする。尚、この上端面18fはサンシャフト18の軸直交方向に形成された端面である。
次に外力ガイド部14の外力受部14fに上方から外力、例えば作業者の腕力や、液圧や気圧による流体ピストンの出力を加えて、外力受部14fを下方に押し下げる。
ここで外力仲介スプリング14eは、付勢力用のスプリング12cよりも、ばね定数が大きい。このため外力仲介スプリング14eのわずかな短縮にて、付勢力用のスプリング12cを十分に縮めることができる。
したがって外力受部14fに対して外力を下向きに付与することにより、外力ピン14cはシリンダ部14bにて軸方向にガイドされて、サンシャフト18をバックラッシ分、軸方向下方に押し下げることができる。
この押し下げ量の下限値を、てこ式ダイヤルゲージ30の測定子30aの値を測定し、押し下げ前との変位差を軸方向バックラッシとして測定する。
測定手順としては、上述した手順とは逆に、外力にてサンシャフト18をバックラッシ分、軸方向下方に押し下げた状態を基点として、外力を除去することにより、元の状態に持ち上がったサンシャフト18の位置との変位差を軸方向バックラッシとして測定しても良い。
上述した構成において、請求項との関係は、ベース部6及びホルダー部8の組み合わせがナット固定手段に、付勢力発生部12がシャフト付勢手段に、軸方向移動ガイド部10が軸方向移動ガイド手段に、外力ガイド部14が外力ガイド手段に、てこ式ダイヤルゲージ30がシャフト移動測定手段に相当する。尚、軸方向バックラッシ測定用補助装置4と式ダイヤルゲージ30との組み合わせが、軸方向バックラッシ測定装置に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2のサンシャフト18は、軸回転を阻止し軸方向移動のみ許す軸方向移動ガイド部10にガイドされているので、サンシャフト18の軸が回転して移動したり傾くことはない。このようなサンシャフト18に対して付勢力発生部12からは軸方向に、付勢力用のスプリング12cにて規定の付勢力が与えられている。したがってベース部6とホルダー部8とによりナット16の姿勢が固定された遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2にて、サンシャフト18は、安定した軸力を全てのプラネタリシャフト20に均一に与えることができ、更にこのプラネタリシャフト20を介してナット16に対して均一に与えることができる。
このため付勢ピン12bからの規定の付勢力の下で、サンシャフト18の姿勢は軸方向において安定した位置に落ち着き、更に軸直交方向においても安定した中心位置に落ち着く。
このような状態で外力ガイド部14を介して外力を与えると、外力は付勢力発生部12による付勢方向とは逆方向にサンシャフト18に付与されて、サンシャフト18の姿勢は安定した状態でバックラッシ分の軸方向移動を生じる。
このように軸方向バックラッシ測定用補助装置4にて補助された状態で、てこ式ダイヤルゲージ30により、外力の有無による移動前後でのサンシャフト18の軸方向変位を測定することで、高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の軸方向バックラッシを測定することができる。
(ロ).高精度に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の軸方向バックラッシが測定できることから、この軸方向バックラッシの測定値を、ナット16にロータを設けることで形成された電動モータに対する給電制御に適用することにより、高精度な駆動制御が実現できる。
そしてこのように駆動制御される遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2が内燃機関のバルブ特性を調節するコントロールシャフトの軸方向駆動に用いられることで、内燃機関の高精度な制御が可能となる。
(ハ).軸方向に規定の付勢力を与える付勢ピン12bの先端当接部12dは球面を形成しているため、付勢ピン12bはサンシャフト18に対して軸方向を傾けるような力を与えることがない。このため付勢力用のスプリング12cによる規定の付勢力の下で、サンシャフト18の姿勢は、軸方向において、より効果的に安定した位置に落ち着き、軸直交方向においても安定した中心位置に効果的に落ち着くことになる。したがって、軸方向バックラッシ測定用補助装置4は、より高精度に軸方向バックラッシの測定ができるように補助することができる。
(ニ).外力を直接サンシャフト18に与えるのではなく、外力仲介スプリング14eを介して外力をサンシャフト18に与えることにより、外力が不安定であっても、より安定化した状態でサンシャフト18に与えることができる。したがって外力付与時にサンシャフト18が遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2の軸からずれることがない。
更に外力ピン14cの先端当接部は球面を形成しているため、外力ピン14cはサンシャフト18に対して軸方向を傾けるような力を与えることがない。このため外力ガイド部14はサンシャフト18に対しては軸方向においてより効果的に安定した外力を与えることができる。
これらのことにより軸方向バックラッシ測定用補助装置4は、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構2に対して、より高精度な軸方向バックラッシの測定ができるように補助することができる。
(ホ).バックラッシの測定は、てこ式ダイヤルゲージを用いることにより、容易に高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
(ヘ).前述した手順により外力付与時と非付与時とでのサンシャフト18の軸方向での変位差をバックラッシとして測定しているため、容易に高精度な軸方向バックラッシを得ることができる。
(ト).サンシャフト18に対する付勢力付与は、スプリング12cを用いているため、軸方向の規定の付勢力を、サンシャフト18に対して容易にかつ安定的に与えることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態の軸方向バックラッシ測定装置104を図4の水平断面図に示す。図4は作業台100上に配置された軸方向バックラッシ測定装置104の断面状態を示す平面図である。
軸方向バックラッシ測定装置104は、ベース部106、ホルダー部108、プレロード用プレート110、スプリング112、外力ガイド部114及びデジマチックインジケータ115を主要構成として備えている。尚、この軸方向バックラッシ測定装置104の測定対象である遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102は前記実施の形態1における遊星差動ネジ型回転−直動変換機構と基本的には同一の構成である。したがってナット116、サンシャフト118及びプラネタリシャフト120の構成及び機能は前記実施の形態1にて述べたごとくである。ただしサンシャフト118の先端には軸直交方向にピン孔119(後述する図5)が形成されている。又、図4の例では、キャップ124を既に取り付けた遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102が測定対象として軸方向バックラッシ測定装置104内に配置されている。
軸方向バックラッシ測定装置104のベース部106は作業台100に固定されて、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102のナット116を収納状態できる円筒状の収納凹部106aを、軸を水平方向に配置した状態で備えている。この収納凹部106aにより遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102の軸位置が水平状態で固定される。この収納凹部106aの内周面には突条106bが形成されており、図4の左側から挿入された遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102は、ナット16の一部、ここではアンギュラベアリングと電動モータのロータの構成122が当接して、これ以上の挿入は阻止される。
遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102の挿入後に収納凹部106a内には更に円筒状に形成されたホルダー部108が挿入される。このホルダー部108の先端部はナット116の一部、ここでは周方向に形成された突条116eに当接している。このホルダー部108の底部108aにはトグルクランプ装置101が当接し、ホルダー部108に突条116eを押圧してナット116を固定するための締結力を付与している。
トグルクランプ装置101には、トグルクランプ101a及び押し付けロッド101bが設けられ、トグルクランプ101aが作業台100に固定された基部101cと一体に形成されている。このトグルクランプ101aに螺合された押し付けロッド101bを回転させることにより、押し付けロッド101bの先端をホルダー部108の底部108aに当接したり離したりすることができる。したがって押し付けロッド101bの回転による押圧力をホルダー部108の底部108aに与えることにより、前述したごとくナット116を、ベース部106との間で締結する締結力をホルダー部108に与えることができる。尚、押し付けロッド101bはホルダー部108と一体に形成して、ホルダー部108も押し付けロッド101bと同時に回転させることにより、ナット116の締結・解放ができるようにしても良い。
ベース部106には、収納凹部106aの軸方向に沿って収納凹部106aの両側にガイド用ロッド109が配置されている。この2本のガイド用ロッド109にはプレロード用プレート110が摺動可能に取り付けられている。プレロード用プレート110は、図5に示すごとく、中央に遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102のサンシャフト118を挿入させて先端を貫通させる貫通孔110a、両側にガイド用ロッド109にガイドさせるための貫通孔110bを備えている。更に貫通孔110aに直交するピン孔110cが形成されている。この構成により、サンシャフト118の先端側を、貫通孔110aに挿入して、サンシャフト118のピン孔119とプレロード用プレート110のピン孔110cとにピン111を挿入することで、図6に示すごとくサンシャフト118を、プレロード用プレート110にて係止することができる。
プレロード用プレート110は、その両側が、収納凹部106aの軸に沿って配置されているガイド用ロッド109に支持状態でガイドされている。したがってプレロード用プレート110は収納凹部106aの軸方向、すなわち収納された遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102の軸方向にのみ移動可能であり、軸周りの回転は阻止されている。このためサンシャフト118についても軸周りの回転が阻止された状態で、軸方向にのみ移動が許される。
更にガイド用ロッド109に挿通されて圧縮状のスプリング112が、ベース部106とプレロード用プレート110との間に配置されている。このスプリング112により発生する付勢力がサンシャフト118に対して軸方向の付勢力として与えられる。
プレロード用プレート110に対向して、ベース部106に支持された外力ガイド部114が設けられている。この外力ガイド部114は、ベース部106と一体に形成されている基台114a、シリンダ部114b、外力ピン114c、外力用プレート114d、外力仲介スプリング114e、及び外力受部114fを備えている。
基台114aには把持部114gが固定されており、この把持部114gにてガイド用ロッド109の一部が把持されることで、ベース部106と共に、ガイド用ロッド109を強固に支持している。シリンダ部114b内には外力ピン114c(出力部材に相当)が収納凹部106aの軸方向に摺動可能に配置されている。この外力ピン114cの基端部は外力用プレート114dに固定されることで、外力ピン114cは外力用プレート114dと一体に移動するように構成されている。外力用プレート114dは、ガイド用ロッド109に挿通状態で配置された外力仲介スプリング114eを介して外力受部114f(入力部材に相当)から外力を受ける。外力受部114fはガイド用ロッド109にて収納凹部106aの軸方向に移動可能に支持されている。このため外力受部114fに付与した外力は、外力仲介スプリング114e及び外力用プレート114dを介して、外力ピン114cに伝達される。外力ピン114cの先端は球面を形成しており、この球面にて図7に示すごとくサンシャフト118の先端面118fに当接する。尚、この先端面118fはサンシャフト118の軸直交方向に形成された端面である。
外力ピン114cには更に測定器、ここではデジマチックインジケータ115の測定子115aが接続されている。
このように構成された軸方向バックラッシ測定装置104による遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102の軸方向バックラッシ測定は次のようにして行われる。
まず図4に示したごとくベース部106の収納凹部106aに、遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102(キャップ124の有無は問わない)を挿入する。
次に収納凹部106aにホルダー部108を挿入してベース部106との間でナット116を挟持する。そしてトグルクランプ装置101の押し付けロッド101bを回転させて、ホルダー部108をナット116側に前進させる。このことでナット116をベース部106とホルダー部108との間で締結する。このことにより遊星差動ネジ型回転−直動変換機構102のナット116は回転しないように固定される。
次にサンシャフト118の先端をプレロード用プレート110の貫通孔110aに挿入した状態で、プレロード用プレート110のピン孔110cとサンシャフト118のピン孔119とにピン111を挿入して、サンシャフト118とプレロード用プレート110とを一体化する。このことによりサンシャフト118は軸回転が阻止されて、軸方向移動のみが許されることになる。
この時、軸方向において、サンシャフト118をナット116から引き出す側へ、プレロード用プレート110をスプリング112が付勢するが、このスプリング112の付勢力は十分に強い。したがってサンシャフト118は図4の右側に強く引き出される力がピン111から与えられるが、サンシャフト118はプレロード用プレート110により回転が阻止されている。このためサンシャフト118が与えられている軸方向の付勢力は、前記実施の形態1にて説明したごとく、サンシャフト118のネジ部にて全てのプラネタリシャフト120のネジ部にそのまま均一に付与される。このことにより全てのプラネタリシャフト120が均一な力で図示右側への付勢力が与えられて、その力は全てナット116のネジ部に均一に与えられる。この軸方向の力を受けたナット116は、前述したごとく収納凹部106a内で固定されているのでナット116は軸方向に移動することはない。
このような状態では、ナット116からプラネタリシャフト120を介してサンシャフト118に至るまでのネジ部の螺合部分における軸方向バックラッシは、サンシャフト118において最も図示右側の位置にある。
この状態にて図4に示したごとく、デジマチックインジケータ115の測定子115aにて検出され位置を基準点とする。
次に外力ガイド部114の外力受部114fに図1の右側から外力、例えば作業者の腕力や、液圧や気圧による流体ピストンの出力を加えて、外力受部114fを図示左側に押す。
ここで外力仲介スプリング114eは、付勢力用のスプリング112よりばね定数が大きい。このため外力仲介スプリング114eを介してサンシャフト118に与えられる力は、外力仲介スプリング114eについてはわずかな短縮にて、付勢力用のスプリング112を十分に縮めることができる。
したがって外力受部114fに対して外力を付与することにより、外力ピン114cはサンシャフト118を、軸方向バックラッシ分、図示左側に移動させることができる。
この移動量を、デジマチックインジケータ115にて測定することでと、サンシャフト118の移動前との変位差が得られ、これを軸方向バックラッシとして得られる。
上述した構成において、請求項との関係は、ベース部106及びホルダー部108の組み合わせがナット固定手段に、付勢力用のスプリング112、プレロード用プレート110及びピン111がシャフト付勢手段に相当する。プレロード用プレート110及びピン111が係止部に相当する。ガイド用ロッド109、プレロード用プレート110及びピン111が軸方向移動ガイド手段に、外力ガイド部114が外力ガイド手段に、デジマチックインジケータ115がシャフト移動測定手段に相当する。尚、軸方向バックラッシ測定装置104の内で、デジマチックインジケータ115を除いた構成が、軸方向バックラッシ測定用補助装置に相当する。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).このように前記実施の形態1とは異なり、サンシャフト118をナット116から引き出す方向に付勢力をサンシャフト118に与える構成においても、前記実施の形態1の(イ)、(ロ).(ニ)、(ヘ)、(ト)の効果を生じる。
(ロ).軸方向に規定の付勢力を与えるピン111は、サンシャフト118のピン孔119に挿入されて、引き出す方向に力を118に与えているので、ピン111はサンシャフト118に対して軸方向を傾けるような力を、与えない又は与えにくい。このため付勢力用のスプリング112による規定の付勢力の下で、サンシャフト118の姿勢は、軸方向において、より効果的に安定した位置に落ち着き、このことによりサンシャフト118の姿勢は軸直交方向においても安定した中心位置に効果的に落ち着くことになる。したがって、より高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
しかも、ピン孔119とは反対側のサンシャフト118の端部に対しては何ら付勢力が与えられることはないので、図4に示したごとく、キャップ124などにて覆われていたり、あるいは端部形状が軸直交方向の端面でなくても、サンシャフト118に対して与えられる付勢力が軸方向に対して傾くおそれはない。
ピン111の挿入によって、プレロード用プレート110に対するサンシャフト118の係止が行われ、このことにより、サンシャフト118の軸回転の阻止と付勢力の付与とが同時に行われるため、測定作業性も十分に高い。
(ハ).バックラッシの測定は、デジマチックインジケータ115を用いることにより、容易に高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
しかもサンシャフト118は先端近傍のピン孔119に軸直交方向に貫通させたピン111にて係止され、プレロード用プレート110についても軸直交方向の両側に配置されたガイド用ロッド109にて摺動可能に支持されている。更にデジマチックインジケータ115は外力ピン114cの後方に配置されて、サンシャフト118の軸方向移動に連動する外力ピン114cの軸方向移動を測定している。このことから、サンシャフト118の先端面118fの軸方向から、デジマチックインジケータ115によりサンシャフト118の軸方向位置を測定できる。したがって、より高精度に軸方向バックラッシを測定することができる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1において、図1に示した外力ガイド部14及びてこ式ダイヤルゲージ30の代わりに、図4に示したごとく、前記実施の形態2に用いた外力ガイド部114とデジマチックインジケータ115との組み合わせを用いても良い。逆に、前記実施の形態2において、外力ガイド部114とデジマチックインジケータ115の代わりに、前記実施の形態1に用いた外力ガイド部14とてこ式ダイヤルゲージ30との組み合わせを用いても良い。
(b).前記実施の形態1では軸方向バックラッシ測定用補助装置4を、軸方向が縦(重力方向)となるように配置して用いたが、横(水平方向)に配置して用いても良い。前記実施の形態2では軸方向バックラッシ測定装置104を軸方向が横(水平方向)となるように配置して用いたが、縦(重力方向)に配置して用いても良い。
(c).前記各実施の形態において、シャフト付勢手段としてはスプリングを用いたが、これ以外に液圧(オイル圧等)や気圧(空気圧等)などの作動流体を用いた流体ピストンを適用しても良い。これ以外に、電動機などの電気的な手段により一定の付勢力を与えるものでも良い。
(d).前記各実施の形態において、外力受部14f,114fに対して腕力や液圧や気圧による流体ピストンの出力を付与する構成以外に、電動機などの電気的な手段により一定の外力を与える構成でも良い。
実施の形態1の軸方向バックラッシ測定用補助装置の縦断面図。 遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の外観を示す斜視図。 遊星差動ネジ型回転−直動変換機構の内部構成を示す破断斜視図。 実施の形態2の軸方向バックラッシ測定装置の縦断面図。 実施の形態2におけるサンシャフトの係止手順の説明図。 実施の形態2におけるサンシャフトの係止状態の斜視図。 実施の形態2における外力ピンの接触状態説明図。
符号の説明
2…遊星差動ネジ型回転−直動変換機構、4…軸方向バックラッシ測定用補助装置、6…ベース部、6a…収納凹部、6b…円筒状空間、6c…貫通孔、6d…雄ネジ部、8…ホルダー部、8a…雌ネジ部、8b…押圧板、10…軸方向移動ガイド部、10a…先端部、10b…スプライト孔部、12…付勢力発生部、12a…シリンダ部、12b…付勢ピン、12c…スプリング、12d…先端当接部、12e…溝、12f…ストッパー、14…外力ガイド部、14a…基台、14b…シリンダ部、14c…外力ピン、14d…スリーブ、14e…外力仲介スプリング、14f…外力受部、16…ナット、16a,16b…平歯ギヤ部、16c…ネジ部、16d…段差面、18…サンシャフト、18a,18b…平歯ギヤ部、18c…ネジ部、18d…ストレートスプライン部、18e…コア、18f…上端面、18g…下端面、20…プラネタリシャフト、20a,20b…平歯ギヤ部、20c…ネジ部、22…アンギュラベアリングと電動モータのロータの構成、24…キャップ、26…コイル、30…てこ式ダイヤルゲージ、30a…測定子、100…作業台、101…トグルクランプ装置、101a…トグルクランプ、101b…押し付けロッド、101c…基部、102…遊星差動ネジ型回転−直動変換機構、104…軸方向バックラッシ測定装置、106…ベース部、106a…収納凹部、106b…突条、108…ホルダー部、108a…底部、109…ガイド用ロッド、110…プレロード用プレート、110a,110b…貫通孔、110c…ピン孔、111…ピン、112…スプリング、114…外力ガイド部、114a…基台、114b…シリンダ部、114c…外力ピン、114d…外力用プレート、114e…外力仲介スプリング、114f…外力受部、114g…把持部、115…デジマチックインジケータ、115a…測定子、116…ナット、116e…突条、118…サンシャフト、118f…先端面、119…ピン孔、120…プラネタリシャフト、122…アンギュラベアリングと電動モータのロータの構成、124…キャップ。

Claims (16)

  1. ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定用補助装置であって、
    前記ナットを固定するナット固定手段と、
    前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えるシャフト付勢手段と、
    前記サンシャフトの軸回転を阻止して軸方向移動のみ許す軸方向移動ガイド手段と、
    外力を前記シャフト付勢手段による付勢方向とは逆方向に前記サンシャフトに付与されるようガイドする外力ガイド手段と、
    を備えたことを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  2. 請求項1において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、前記サンシャフト、前記プラネタリシャフト及び前記ナットに各々ギヤ部を設け、該ギヤ部同士を噛み合わせていることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  3. 請求項1又は2において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、前記ナットの外周に電動モータ用のロータが取り付けられてステータ内に配置されていることにより電動モータが構成され、該電動モータへの給電制御により前記ナットを回転駆動して前記サンシャフトによる軸方向出力を行うことを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  4. 請求項3において、前記遊星差動ネジ型回転−直動変換機構は、内燃機関のバルブ特性を軸方向移動により調節するコントロールシャフトの軸方向駆動に用いられるものであることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、スプリングであることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  6. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、流体ピストンであることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、規定の付勢力を与えられている当接ピンを設けて、前記サンシャフトの端部に形成された軸直交方向の端面に前記当接ピンの先端当接部にて当接することにより前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えると共に、前記先端当接部は球面を形成していることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  8. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シャフト付勢手段は、規定の付勢力を与えられている係止部を設けて、前記サンシャフトの一カ所に前記係止部にて係止することにより前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  9. 請求項8において、前記外力ガイド手段は前記サンシャフトの端部に形成された軸直交方向の端面から軸方向に前記外力が付与されるようガイドすると共に、前記係止部が係止する前記サンシャフトの部分は、前記外力が付与される前記端部近傍に設定されていることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記外力ガイド手段は、前記外力の入力部材と前記外力を前記サンシャフトに付与する出力部材とを設け、前記入力部材と前記出力部材との間にスプリングを設けたことを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  11. 請求項10において、前記出力部材は、前記サンシャフトの端面に形成された軸直交方向の端面から軸方向に先端当接部にて当接することにより前記サンシャフトに対して前記シャフト付勢手段による付勢方向とは逆方向に前記外力を与えると共に、前記先端当接部は球面を形成していることを特徴とする軸方向バックラッシ測定用補助装置。
  12. ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定装置であって、
    請求項1〜11のいずれかに記載の軸方向バックラッシ測定用補助装置と、
    前記サンシャフトの軸方向変位を測定するシャフト移動測定手段と、
    を備えたことを特徴とする軸方向バックラッシ測定装置。
  13. 請求項12において、前記シャフト移動測定手段は、前記外力が前記サンシャフトに付与されることで前記シャフト付勢手段による付勢力に抗して移動した前記サンシャフトの軸方向変位と移動前での軸方向変位との変位差を測定できる構成であることを特徴とする軸方向バックラッシ測定装置。
  14. 請求項12又は13において、前記シャフト移動測定手段は、てこ式ダイヤルゲージであることを特徴とする軸方向バックラッシ測定装置。
  15. 請求項12又は13において、前記シャフト移動測定手段は、デジマチックインジケータであることを特徴とする軸方向バックラッシ測定装置。
  16. ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置し、ナット、サンシャフト及びプラネタリシャフトにそれぞれ形成されているネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転−直動変換を行う遊星差動ネジ型回転−直動変換機構に対する軸方向バックラッシ測定方法であって、
    前記ナットを固定した状態、前記サンシャフトの軸回転を阻止して軸方向移動のみ許した状態、及び前記サンシャフトに対して軸方向に規定の付勢力を与えた状態を予め設定し、前記付勢力の方向とは逆方向に前記サンシャフトに外力を付与することで、該外力付与時と非付与時とでの前記サンシャフトの軸方向での変位差をバックラッシとして測定することを特徴とする軸方向バックラッシ測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011237252A (ja) * 2010-05-10 2011-11-24 Isuzu Motors Ltd スプライン嵌合部品の軸方向バックラッシ測定装置
CN112902810A (zh) * 2021-01-20 2021-06-04 湖北三环汽车方向机有限公司 一种盖类零件窄槽同轴度检测装置

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