JP2008207818A - 加熱処理食品長期保存用プラスチック容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的コストが安く、耐レトルト性を有し、製造から5ヶ月後においても内蔵された食品の色調の変化がみられない缶詰代替に使用も可能な熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする加熱処理食品長期保存用容器を提供する。
【解決手段】構成成分に耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層6を含み、酸素バリアー層7を有する容器本体1と、酸素バリアー層21並びにそれより内側面側に酸素吸収層23を含む蓋材とからなる加熱処理食品長期保存用容器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、加熱処理により殺菌された食品を長期間保存するための構成成分にプラスチックを含む容器に関する。特にいわゆる缶詰の缶の代替用に用いられるプラスチックを含む容器に関する。
缶詰は加熱処理食品長期保存用として長い間用いられてきている。しかし、近年、缶詰用の缶は、プラスチックに較べて比重が大きいので、重いし、大量に輸送する場合に輸送コストがかかる、缶のコストも高くなるので、缶詰の缶の代替用に用いられる主としてプラスチックを構成成分とする代替容器が望まれている。
加熱処理食品の保存用の包装材としては主としてプラスチックを構成成分とするものとしてはレトルトパウチなどが知られている。
これは、加熱殺菌処理に耐える程度の耐熱性と賞味期限までの酸素の透過を防止しでき、ヒートシール層を有するプラスチック容器が用いられている。
しかし、これらの賞味期限は内在食品によって異なるが1〜3ヶ月程度であり、缶詰の缶の代替用に用いられるには、より長期間にわたって酸素の透過による内在する食品への悪影響を防止しなければならない。一般に、缶詰においては例えば加熱処理食品の保存状態は、少なくとも製造から5ヶ月経過後に、開缶して、色調、香り、味などの変化がないかどうか人間による官能検査が行われている。香り、味などの変化がなくとも、酸素により色が黒ずむなどの色調の見た目の変化は品質の評価で比較的早い時期に感知されやすく、香り、味に較べて試験者の個性による評価のばらつきが比較的少ないので、客観的に評価しやすく、信頼性もその意味で大きいので、色調は品質評価の重要なファクターとなっている。
そこで、プラスチック容器を用いて缶詰代替に使用しようとすると、酸素バリアー性の優れたプラスチック素材を用いて密閉包装容器中に加熱処理された食品を保存しても、酸素の透過は完全には防止できず、例えば、缶詰食品を製造する場合と同様に、蒸したキハダマグロの冷凍品を解凍し、フレーク状小分けして、調味液と大豆油を加え、密閉包装して、115℃で70分加熱殺菌処理したいわゆるマグロフレーク油漬品内蔵のプラスチック容器レトルト処理食品をサンプルとして製造すると、製造から3ヶ月経過後は、色が黒ずんでしまうと言う問題がある。
近年、酸素吸収剤を内蔵するプラスチックフィルム素材が下記非特許文献1に提案されている。具体的には、容器外側から順にポリエチレンテレフタレートないしナイロン層/アルミ箔、無機物蒸着ポリエチレンテレフタレート層、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体層、又はMXD6からなるポリアミド層などからなる酸素バリア層/ポリエチレンないしポリプロピレンに酸素吸収剤が分散された酸素吸収層/ポリエチレンないしポリプロピレンからなるヒートシール層の構成を有する脱酸素包装が提案されている。
「食品包装」2006年2月号、株式会社日報アイ・ビー2006年2月1日発行、第59頁〜63頁
上記文献には、製造から5ヶ月経過後においても内蔵された食品の色調の変化がみられない缶詰代替容器に使用するのに、具体的にどのような構成とすると比較的安いコストでこれが実現できるかについて提案されていない。
本発明は、容器を形成する主たる構造形成素材として熱可塑性樹脂を含み、また、非特許文献1に提案されている酸素吸収剤を用い、それを特定部位に採用することにより、比較的コストが安く、耐レトルト性(加熱殺菌処理に耐える性質)を有し、製造から5ヶ月後においても内蔵された食品の色調の変化がみられない缶詰代替に使用も可能な加熱処理食品長期保存用容器を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明の加熱処理食品長期保存用容器は次のものである。
(1)構成成分に耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含み、酸素バリアー性を有する容器本体と、酸素バリアー層並びにそれより内側面側に酸素吸収層を含む蓋材とからなる加熱処理食品長期保存用容器。
(2)前記(1)項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、容器本体の酸素バリアー層が、MXD6からなるポリアミド及びエチレン−ビニルアルコール共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる層であり、
容器本体の耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層が、ポリプロピレンからなる層であり、
蓋体の酸素バリアー層が、アルミニウム膜、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、MXD6からなるポリアミド、及び、エチレン−ビニルアルコール共重合体、から選ばれた少なくとも1種からなる層であり、
蓋体の酸素吸収層が、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂中に、酸素吸収剤が分散されている酸素吸収層からなることが好ましい。
(3)また、前記(2)項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、蓋体の酸素吸収層において、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂がポリプロピレンであることが好ましい。
(4)また、前記(2)〜(3)項のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、蓋体が酸素吸収層の下に酸素透過性の熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を有することが好ましい。
(5)また、前記(4)項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、蓋体のヒートシール層がポリプロピレンからなるヒートシール層であることが好ましい。
(6)また、前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、蓋体が酸素バリアー層と酸素吸収層の間に更に熱可塑性樹脂補強層を有することが好ましい。
(7)また、前記(6)項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、熱可塑性樹脂補強層がポリアミドからなる層であることが好ましい。
(8)また、前記(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、容器本体が、その外側面から耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層としてのポリプロピレン層、MXD6からなるポリアミド及びエチレン−ビニルアルコール共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる酸素バリアー層、ポリプロピレンからなるヒートシール層兼耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含む層からなることが好ましい。
(9)また、前記(8)項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、容器本体を構成する各層間が接着層を介して積層されていることが好ましい。
(10)また、前記(1)〜(9)項のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、蓋体が上面からアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート層、MXD6からなるポリアミド層、エチレン−ビニルアルコール共重合体層から選ばれた酸素バリアー層と、その下にポリアミドからなる補強層と、その下に鉄系の酸素吸収剤が分散されているポリプロピレンからなる酸素吸収層を有し、更にその下にポリプロピレンからなるヒートシール層を有する蓋体であることが好ましい。
(11)また、前記(1)〜(9)項のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器においては、容器本体の酸素バリアー層の厚さが少なくとも10μm以上であり、容器本体の耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層の厚さが少なくとも100μm以上であり、蓋体の酸素バリアー層の厚さが少なくとも10μm以上であり、蓋体の酸素吸収層の厚さが少なくとも10μm以上であることが好ましい。
本発明の加熱処理食品長期保存用容器は、容器本体を耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含み、酸素バリアー性を有する素材で構成し、蓋材を酸素バリアー層並びにそれより内側面側に酸素吸収層を含む構成としたので、比較的安価に、しかも、食品を当該容器に密封する際に容器内に残った酸素や、容器本体の酸素バリアー層を通して、時間の経過と共に徐々に侵入してくる酸素を、前記蓋体の酸素吸収層により酸素を吸収するので、5ヶ月を経過しても内容食品の色調の悪化が見られず、1年後でも金属缶を用いた缶詰の場合とほぼ同等程度の食品保存能力を有し、しかも容器を構成する主要素材が熱可塑性樹脂(プラスチック)からなるので、コストが安く経済性に優れ、容器の減重量化ができ、食品内蔵品の輸送コストの低減が図れる加熱処理食品の長期間の保存が可能な容器を提供できる。
理解を容易にするため、本発明の好ましい一実施形態例の図面を参照しながら、本発明の加熱処理食品長期保存用容器について説明する。本発明は図示した実施形態例にのみ限定されるものではない。
図1は、加熱処理食品が内蔵された状態の本発明の加熱処理食品長期保存用容器の一実施形態例の断面の概略模式図である。
1が容器本体、2が蓋体、3が内蔵された加熱処理食品であり、容器本体1と蓋体2とは、4のヒートシール部においてヒートシールされている。図2は容器本体を構成する層を説明するための図1のA部分の拡大模式的断面図、図3は蓋体を構成する層を説明するための図1のB部分の拡大模式的断面図である。
まず、本発明の加熱処理食品長期保存用容器の容器本体から説明する。本発明の加熱処理食品長期保存用容器の容器本体は、構成成分に耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含み、酸素バリアー性を有する容器本体とすることが必要であり、容器本体にまで酸素吸収層を特に設ける必要がないので、製造コストを低減できる。
耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層としては、100℃〜140℃の加熱殺菌処理に耐える熱可塑性樹脂層であれば良く、特に限定するものではないが、コストの面、ヒートシール性も備えているという観点からは、ポリプロピレンからなる層が好ましい。
容器本体に酸素バリアー性を具備させるには、酸素バリアー性を有する層(酸素バリアー層)を更に設ける必要がある。
容器本体の酸素バリアー層としては、酸素バリアー性を有し、内容物が目視できる程度の透明性を有する熱可塑性樹脂層であればよいが、焼却時の環境汚染や、生体系に与える影響を考慮すると塩素原子などを構成元素として含まないものが好ましく、特にMXD6からなるポリアミド(メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合で得られるポリアミド)は、レトルト時の酸素バリアー性の低下が少なく好ましい。MXD6からなるポリアミドは、本発明の目的が達成できる範囲で、例えば30モル%以下の範囲で他のポリアミド形成性モノマーを共重合した共重合体を用いても良く、また、例えば30重量%以下の範囲で他のポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン12など)を混合した混合物であってもよい。エチレン−ビニルアルコール共重合体なども酸素バリアー層として用いることもできる。エチレン−ビニルアルコール共重合体としては、エチレンの共重合割合が、20モル%〜50モル%のものが酸素バリアー性などの観点から好ましい。
上記、図2の態様で示した容器本体の構成は、7が上述したような酸素バリアー層であり、6がポリプロピレンなどからなる耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層、8がポリプロピレンなどからなるヒートシール層であるが、ポリプロピレンの場合にはヒートシール層8も耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層としての機能も兼務できることになる。この図2に図示した態様は、耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層6が容器の外側になり、ヒートシール層8側が容器の内側になる。また、この図2に図示した態様は、耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層6と酸素バリアー層7の間、並びに酸素バリアー層7とヒートシール層8の間に接着層9、10を設けている。接着層を構成する材料は、熱可塑性樹脂層6、酸素バリアー層7、ヒートシール層8として用いる樹脂の種類によって選定すればよい。
各層の厚さは、耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層は、前述した温度の加熱殺菌処理に耐える程度以上の厚さとすればよく、容器の大きさ、内容物の重量によっても異なるので一概に規定できないが、100μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、経済面から2000μm以下が望ましい。特にヒートシール層が上述したようにポリプロピレンの場合には耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層としての機能も兼務できることから上記で示した耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層の厚さは、この場合にはヒートシール層も含めた合計量として計算してもよい。
酸素バリアー層の厚さは、用いる樹脂の種類によっても異なり、厚ければそれだけ酸素バリアー性が増大するが、10μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、経済面から200μm以下が望ましい。
ヒートシール層の厚さは、用いる樹脂の種類、どの程度のヒートシール強度とするかなどによって異なり、蓋体とヒートシールが可能であれば特に限定されないが、20μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、あまり厚くすると、酸素バリアー性の乏しい材料を用いた場合には、ヒートシール部分から酸素が透過してくる可能性も出てくるのと経済面から1000μm以下が望ましい。
接着層9、10の厚さは、接着層を構成する材料の種類、熱可塑性樹脂層6、酸素バリアー層7、ヒートシール層8として用いる樹脂の種類によって異なるので一概に規定するものではないが、5μm以上、100μm以下程度の範囲が好ましい。
接着層を構成する材料は、熱可塑性樹脂層6、酸素バリアー層7、ヒートシール層8として用いる樹脂の種類によって異なるのでこれらを接着できるものであれば良く、好ましくは、これらの層と共に共押出しでラミネートでき、加熱殺菌処理の熱に耐えることができればよい。熱可塑性樹脂層6とヒートシール層8ポリプロピレンで、酸素バリアー層7がMXD6からなるポリアミド、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体の場合には、マレイン酸変性ポリプロピレンなどが好適に使用される。市販品としては三井化学株式会社製“アドマー”や三菱化学株式会社製“モディック”などが挙げられる。
容器本体の製造法は、特に限定するものではないが、上記、必要層を共押出しにより積層シート状に押出した後、真空成形により所望の容器本体の形に成形するのが、コストの面で有利な製造方法である。
次に本発明の加熱処理食品長期保存用容器の蓋体について説明する。本発明の加熱処理食品長期保存用容器に用いられる蓋体は、酸素バリアー層並びにそれより内側面側に酸素吸収層を含む蓋材とすることが必要である。酸素バリアー層が蓋体の外側サイドに存在することにより、蓋体を通り抜けて外部雰囲気から酸素が内部に侵入することを防ぐことができる。そして、前記酸素バリアー層より内側面側に酸素吸収層を含む層を設けることにより、仮に蓋体の酸素バリアー層を通り抜けて酸素が容器内部に侵入しようとしても、酸素吸収層において侵入してきた酸素を吸収し、また、容器本体の酸素バリアー層を通り抜けて徐々に侵入してきた酸素や、食品を当該容器に密封する際に容器内に残った酸素も蓋体の酸素吸収層において酸素を吸収し、容器内部に充填されている食品への酸素による悪影響を防止することができる。
蓋体の酸素バリアー層としては、酸素バリアー性を有するものであれば良く、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート層、MXD6からなるポリアミド層、エチレン−ビニルアルコール共重合体層、などが好ましい例として挙げられるが、蓋体は通常容器本体の如く真空成形やプレス成形などをしなくてもよいし、内容物の視認は、容器本体側から可能であるので、内容物の視認性は要求されないためアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート層や、アルミニウム膜層なども使用できる。特に、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート層は、アルミニウム蒸着層があるので酸素バリアー性に優れ、コストも比較的安くでき好ましい。酸素バリアー層としてMXD6からなるポリアミド層やエチレン−ビニルアルコール共重合体層を用いる場合には、上述した容器本体のところで説明したと同様のものを用いることができる。
蓋体は酸素バリアー層より容器の内側面側となる位置に酸素吸収層を設ける。酸素吸収層としては、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂中に、酸素吸収剤が分散されている酸素吸収層とすることが好ましい。内側面側(うちがわめんがわ)とは、容器の外側面に対し内側、つまり、容器の収納空間側と言う意味である。
酸素を透過し得る熱可塑性樹脂としては、コストの安い樹脂としてポリプロピレンやポリエチレンが挙げられるが、耐レトルト性の観点からポリプロピレンを用いることが好ましい。
酸素吸収剤としては、公知の各種のものが挙げられる。アスコルビン酸、没食子酸、これらの塩や、トコフェロールなどその他の有機系酸素吸収剤も使用可能であるが、鉄粉、酸化第一鉄、鉄塩などの還元鉄などの鉄系酸素吸収剤、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸水素塩などの無機系の酸素吸収剤などが挙げられる。特に人体への安全性の観点からと、加熱殺菌処理の際や酸素吸収層を形成する際の樹脂とのブレンドの熱による分解などの影響が少ない点から鉄系酸素吸収剤を用いることが好ましい。鉄系酸素吸収剤入りのプラスチックフィルムの市販品としては、三菱ガス化学株式会社製の“オーマック”などが挙げられる。
酸素を透過し得る熱可塑性樹脂と酸素吸収剤との配合割合は、酸素吸収層の厚さ、樹脂の種類、酸素吸収剤の種類、目的とする食品保存期間、容器の容積、充填される食品の種類などにより異なるので一概に規定できないが、0.1〜0.5ml程度の酸素吸収能力を有する配合割合とすることが好ましい。
そして、酸素吸収層の下側(容器の内側サイド)には、ヒートシール層を設ける。ヒートシール層としては、ヒートシールの必要な部分のみにヒートシール層を設けることも考えられるが、ヒートシールの際の位置合わせなどの工程がより複雑になることを避けるため、通常、蓋体の最下面(容器の最内面側)全面にヒートシール層を設ける方がコストの点からも、シール不良の発生の防止の点からも好ましい。従って、蓋体の最下面全面にヒートシール層を設ける場合には、その上の酸素吸収層にまで容器内部に存在する酸素が透過できるよう、ヒートシール層としては酸素透過性で、加熱殺菌処理の熱などに耐える素材を用いることが好ましく、具体的には、コストの面からもポリプロピレンが好ましい。
尚、蓋体においては、食品内蔵容器を輸送や商品陳列などの各種取扱作業中にピンホールの発生や破損を防止する観点から、必要に応じ、酸素バリアー層と酸素吸収層との間に衝撃強度補強層を設けてもよい。衝撃強度補強層としては、特に限定するものではないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などの耐衝撃性の強い樹脂層が好ましい。
図3に示した蓋体2の実施形態例では、21が酸素バリアー層、22が衝撃強度補強層、23が酸素吸収層、24がヒートシール層である。酸素バリアー層21側が容器外側、ヒートシール層24側が容器内側となるように使用する。蓋体の製造法も特に限定するものではないが、各層は、共押出しにて積層するか、あるいは各層をドライラミネートにて積層する。特に積層する樹脂の種類が多種類になる場合が多いので、ドライラミネート法による積層が容易である。
蓋体の各構成層の厚さについては、蓋体の酸素バリアー層の厚さは、用いる素材の種類によっても異なり、厚ければそれだけ酸素バリアー性が増大するが、10μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、経済面から50μm以下が望ましい。
必要に応じ酸素バリアー層と酸素吸収層との間に設けられる衝撃強度補強層の厚さは、容器の大きさや、用いる素材の種類によっても異なり、厚ければそれだけ耐衝撃性は増大するが、10μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、経済面から30μm以下が望ましい。
酸素吸収層の厚さは、用いる酸素吸収剤の種類や、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂の種類、酸素吸収剤の熱可塑性樹脂への配合割合、目的とする食品保存期間、容器の容積、充填される食品の種類などにより異なるので一概に規定できないが、厚ければそれだけ酸素吸収能力は増大するので、10μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、経済面から30μm以下が望ましい。
蓋体のヒートシール層の厚さは、用いる樹脂の種類、どの程度のヒートシール強度とするかなどによって異なり、容器本体とヒートシールが可能であれば特に限定されないが、10μm以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、あまり厚くすると、酸素バリアー性の乏しい材料を用いた場合には、ヒートシール部分から酸素が透過してくる可能性も出てくるのと経済面から50μm以下が望ましい。
なお、容器本体と蓋体のヒートシールは、目的に応じて、より容易に容器を開けることができるように、容器本体あるいは蓋体のシール層のどちらか一方にいわゆるイージーオープンの樹脂層、例えば、ポリオレフィン系樹脂の東セロ株式会社製“CMDS"フィルムなどを設け、易開封性にしてもよい。特に限定するものではないが、蓋体のヒートシール層としてイージーオープンの樹脂層を設ける場合には、蓋体のヒートシール層の代わりに厚さ20〜50μm程度のイージーオープン用樹脂層を設け、容器本体の方にイージーオープン用樹脂層を設ける場合には、容器本体のヒートシール層の上に更に厚さ20〜50μm程度のイージーオープン用樹脂層を設けるのが好ましい。
実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
加熱処理食品長期保存用容器として、図1〜3で説明した容器を用いた。容器本体1としては、耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層6として厚さ430μmの無延伸のポリプロピレン層(無延伸と言っても、無延伸のシート状物から真空成形により図1に示したような形に成形されるので、延伸される部分も生じる。容器本体に関しては以下同様)、酸素バリアー層7として厚さ100μmの無延伸のMXD6からなるポリアミド層、ヒートシール層8として厚さ430μmの無延伸のポリプロピレン層、接着層9、10として厚さそれぞれ20μmの無延伸のマレイン酸変性ポリプロピレンを用い、3種類・5層の共押出しにより厚さ1mmのシートとし、これを160〜180℃の温度で真空成形し、高さ30mm、内径72mmで、容量100ccの容器本体を製造し、この容器本体に、蒸したキハダマグロの冷凍品を解凍し、フレーク状に小分けし、調味液と大豆油を加え、その80gを前記容器の空間の9割がこの食品で充填されるように食品を前記容器本体に充填した。
蓋体2として、酸素バリアー層21が厚さ12μmのアルミニウム蒸着延伸ポリエチレンテレフタレート層、衝撃強度補強層22として厚さ15μmの延伸ナイロン6の層、酸素吸収層23としては、鉄系酸素吸収剤を含む樹脂層がポリプロピレンからなる厚さ30μmの酸素吸収性フィルム(三菱ガス化学株式会社製の“オーマック”)からなる酸素吸収層、ヒートシール層24として厚さ40μmの無延伸のポリプロピレン層からなる蓋体を用意し、蓋体2と容器本体3を図1の符号4で示したヒートシール部において180℃、2.5秒でヒートシールし、食品が密封充填された容器とした。これを10個用意し、この10個の食品入り容器を115℃の0.15Mpaの熱水スプレーで70分間加熱殺菌処理した。
尚、比較のため同様の食品を同様にして缶詰にし、加熱殺菌処理も115℃の飽和蒸気で70分間加熱殺菌処理した缶詰を10個用意した。
その後、5ヶ月経過した時点で、それぞれ5個の加熱殺菌処理食品入り容器と缶詰を開き、内在食品のキハダマグロフレーク油漬食品を8人のパネラーで評価した。
本発明の容器を使用したキハダマグロフレーク油漬食品は、色調も良好で酸化により黒ずんだ様子はうかがえなかった。香りや味も缶詰品と変わりはなかった。
次に、12ヶ月経過した時点で、それぞれ残りの5個の加熱殺菌処理食品入り容器と缶詰を開き、上記と同様に評価した結果、色調、香り、味も缶詰品と変わりはなかった。
本発明の加熱処理食品長期保存用容器は、熱可塑性樹脂を主たる構成成分とした缶詰代替用の加熱処理食品長期保存用容器として好適に使用できる。よって、缶詰などに用いられてきた各種の加熱処理食品の長期保存用容器として、保存食品加工業などに有用に用いられる。
本発明の加熱処理食品が内蔵された状態の加熱処理食品長期保存用容器の一実施形態例の断面の概略模式図。 本発明の加熱処理食品長期保存用容器の容器本体を構成する層を説明するための図1のA部分の拡大模式的断面図。 本発明の加熱処理食品長期保存用容器の蓋体を構成する層を説明するための図1のB部分の拡大模式的断面図。
符号の説明
1 容器本体
2 蓋体
3 内蔵された加熱処理食品
4 ヒートシール部
6 耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層
7 酸素バリアー層
8 ヒートシール層
9、10 接着層
21 酸素バリアー層
22 衝撃強度補強層
23 酸素吸収層
24 ヒートシール層

Claims (11)

  1. 構成成分に耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含み、酸素バリアー性を有する容器本体と、酸素バリアー層並びにそれより内側面側に酸素吸収層を含む蓋材とからなる加熱処理食品長期保存用容器。
  2. 容器本体の酸素バリアー層が、MXD6からなるポリアミド及びエチレン−ビニルアルコール共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる層であり、
    容器本体の耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層が、ポリプロピレンからなる層であり、
    蓋体の酸素バリアー層が、アルミニウム膜、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、MXD6からなるポリアミド、及び、エチレン−ビニルアルコール共重合体、から選ばれた少なくとも1種からなる層であり、
    蓋体の酸素吸収層が、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂中に、酸素吸収剤が分散されている酸素吸収層からなる請求項1に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  3. 蓋体の酸素吸収層において、酸素を透過し得る熱可塑性樹脂がポリプロピレンである請求項2に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  4. 蓋体が酸素吸収層の下に酸素透過性の熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  5. 蓋体のヒートシール層がポリプロピレンからなるヒートシール層である請求項4に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  6. 蓋体が酸素バリアー層と酸素吸収層の間に更に熱可塑性樹脂補強層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  7. 熱可塑性樹脂補強層がポリアミドからなる層である請求項6に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  8. 容器本体が、その外側面から耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層としてのポリプロピレン層、MXD6からなるポリアミド及びエチレン−ビニルアルコール共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる酸素バリアー層、ポリプロピレンからなるヒートシール層兼耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層を含む層からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  9. 容器本体を構成する各層間が接着層を介して積層されている請求項8に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  10. 蓋体が上面からアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート層、MXD6からなるポリアミド層、エチレン−ビニルアルコール共重合体層から選ばれた酸素バリアー層と、その下にポリアミドからなる補強層と、その下に鉄系の酸素吸収剤が分散されているポリプロピレンからなる酸素吸収層を有し、更にその下にポリプロピレンからなるヒートシール層を有する蓋体である請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
  11. 容器本体の酸素バリアー層の厚さが少なくとも10μm以上であり、容器本体の耐レトルト性を有する熱可塑性樹脂層の厚さが少なくとも100μm以上であり、蓋体の酸素バリアー層の厚さが少なくとも10μm以上であり、蓋体の酸素吸収層の厚さが少なくとも10μm以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱処理食品長期保存用容器。
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