JP2008206004A - ミキサ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回路規模の拡大を抑制しつつ、低ノイズで高線形性を示すミキサ回路を提供する。
【解決手段】 入力される高周波電圧を高周波電流に変換するトランスコンダクタ部11と、入力される低周波のローカル信号に基づいてトランスコンダクタ部11から出力される前記高周波電流に対して周波数変換を行い変換電流を生成するミキサコア部12と、ミキサコア部12から出力される前記変換電流を外部に出力する出力部13と、を備えてなり、トランスコンダクタ部11に対して所定の第1電流を供給するために、トランスコンダクタ部11と前記ミキサコア部12の接続ノードに接続されるトランスコンダクタ用定電流源I1及びI2と、ミキサコア部12に対して所定の第2電流を供給するために、ミキサコア部12と出力部13の接続ノードに接続されるミキサコア用定電流源I3及びI4と、を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ミキサ回路に関する。
従来の無線通信用もしくは放送用の受信器では、アンテナで受信される高周波信号(以下、「RF信号」と記載)を低周波信号へ変換するために、半導体集積回路で形成されたギルバートセル型ミキサ回路が用いられている。
図5は、従来型のギルバートセル型ミキサ回路の代表的な構成を示す図である。このミキサ回路50は、トランスコンダクタ部11、ミキサコア部12、及び出力部51を備えて構成される。
トランスコンダクタ部11は、差動対(RF用トランジスタ差動対)を形成する2つのRF用トランジスタM1及びM2を備え、両トランジスタのゲート端子には、夫々変換対象となる高周波電圧RFin_p、及びRFin_mが入力される。両信号RFin_p及びRFin_mは、互いに位相が反転する信号であり、以下では、信号RFin_pを正位相信号、RFin_mを逆位相信号と記載する。図5では、正位相信号RFin_pがRF用トランジスタM1のゲート端子に、逆位相信号RFin_mがRF用トランジスタM2のゲート端子に夫々入力されている。又、両トランジスタM1及びM2は、互いのソース端子が接続されると共に、この接続ノードが接地されている。そして、両トランジスタのドレイン端子から出力される差動増幅信号がミキサコア部12を構成するトランジスタ差動対(LO用トランジスタ差動対)に与えられる。尚、図5では、両ソース端子の接続ノードが直接接地される構成であるが、定電流源或いは抵抗を介して接地されるものとしても良い。
ミキサコア部12は、2組の差動対(LO用トランジスタ差動対)を構成する4つのLO用トランジスタSW1〜SW4で構成される。図5では、LO用トランジスタSW1及びSW2が一の差動対(以下、「第1LO用トランジスタ差動対」と記載)を構成し、トランジスタSW3及びSW4が別の差動対(以下、「第2LO用トランジスタ差動対」と記載)を構成している。
第1LO用トランジスタ差動対を構成する2つのトランジスタSW1及びSW2は、両ソース端子が接続されており、この接続ノードがRF用トランジスタM1のドレイン端子と接続されている。同様に、第2LO用トランジスタ差動対を構成する2つのトランジスタSW3及びSW4についても、両ソース端子が接続されており、この接続ノードはRF用トランジスタM2のドレイン端子と接続されている。
又、LO用トランジスタSW1及びSW4のゲート端子には、正位相の低周波信号(以下、「ローカル信号」と記載)LOが印加され、LO用トランジスタSW2及びSW3には、逆位相のローカル信号nLOが印加される。そして、LO用トランジスタSW1及びSW3の両ドレイン端子、並びにLO用トランジスタSW2及びSW4の両ドレイン端子が夫々接続されている。そして、これらの接続ノード(以下、「出力用接続ノード」と記載)が出力部51に接続されている。ミキサコア部12では、トランスコンダクタ部11に入力される高周波電圧に基づく高周波電流IRFと入力されるローカル信号LO或いはnLOとが混合されることで、周波数変換が施された変換電流が生成され、当該変換電流が、出力用接続ノードを介してミキサコア部12から出力部51に対して差動入力される構成である。尚、出力部51は、一端に電源電圧Vccが印加される負荷抵抗R1及びR2を備えており、ミキサコア部12からの出力信号が出力端子OM及びOPから出力される。
尚、図5では、出力部51が備える各負荷抵抗R1及びR2に電源電圧Vccが接続され、トランスコンダクタ部11が備えるトランジスタM1及びM2のソース端子が接地される構成としたため、ミキサ回路50内では、出力部51側からトランスコンダクタ部11側に向かって電流が流れる構成である。即ち、変換対象となる高周波電圧がトランスコンダクタ部11に入力されると、当該高周波電圧が変換されて得られる高周波電流がミキサコア部12からトランスコンダクタ部11に対して導かれる。そして、この高周波電流とローカル信号LO或いはnLOとが混合されて得られる変換電流が出力部51からミキサコア部12に対して導かれ、更にこの変換電流が、出力端子OM及びOPから出力される構成である。
ここで、ミキサ回路50内で発生される入力換算ノイズninは以下の数1のように表される。
Figure 2008206004
尚、上記数1において、kはボルツマン定数〔J/K〕、Tはミキサ回路50内の温度〔K〕、IRFはトランジスタM1(またはM2)に流れる電流〔A〕、αはトランジスタM1(又はM2)の単体ゲイン(トランスコンダクタンスをgmとするとα=gm/IRF)、γRFはトランジスタM1(又はM2)及びトランジスタSW1(又はSW2、SW3、SW4)のノイズ係数、VLOはローカル信号LO或いはnLOの振幅、Rは負荷抵抗R1及びR2の抵抗値を夫々示す。
上記数1より、トランジスタM1(又はM2)に流れる電流IRFを大きくすることでninの値を小さくすることができ、ノイズを低減することができる(低ノイズ化が可能)。
一方、この電流IRFを大きくすることで上記ノイズだけでなく、歪み(非線形性)を低減することもできるが、電流IRFを大きくすることによる歪みの低減効果には一定の限界があることが分かっている。
図6は、トランジスタM1又はM2に流れる電流IRFに対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を示すグラフである。図6(a)は、電流IRF〔A〕を横軸に表し、入力換算ノイズ〔dBμ〕を縦軸に表した場合の両者の関係をグラフにしたものである。又、図6(b)は、電流IRF〔A〕を横軸に表し、3次入力インターセプトポイント(Third Order Input Intercept Point:IIP3)〔dBμ〕を縦軸に表した場合の両者の関係をグラフにしたものである。一般にミキサ回路において、入力電力を増加させると、出力電力はそれに比例して増加する。このとき、入力を横軸、出力を縦軸にdBでプロットすると、1次成分は傾き1の直線になる。一方、3次の高調波による歪みを表すIM3(Third Order Inter Modulation:3次相互変調歪み)という出力も現れ、これは入力に対し3乗比例するので、傾き3の直線になる。これら両者の直線を延長した交点を入力3次相互変調歪みインターセプトポイントと呼び、その交点の入力電力が前記IIP3に相当する。このIIP3が高いほど歪みレベルが低い(線形性が高い)ことを表している。
図6(a)を参照すれば、トランジスタM1又はM2を流れる電流IRFの上昇に伴ってノイズレベルが低下していることが分かる。又、図6(b)を参照すれば、電流IRFの上昇に伴ってIIP3が大きくなっており、歪みレベルが低下していることが分かる。しかし、一方で、電流IRFを上昇させてもある閾値を超えるとIIP3の値が殆ど上昇せず、頭打ちになっていることが分かる。このことは、電流IRFを上昇させることで歪みレベルを低減させるには一定の限界があることを示唆するものと言える。
又、電流IRFを上昇させることは、ミキサコア部12に流れる電流が増大することを意味する。このためには、ミキサコア部12を構成するLO用トランジスタSW1〜SW4のサイズを大きくする必要がある。この結果、ミキサコア部12の占有面積が増大し、ミキサ回路50全体の回路規模が大きくなってしまうという問題がある。
上記の問題を解決するために、従来よりトランスコンダクタ部11に対して供給する電流を増大させるための定電流源を備えるミキサ回路が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)
特開平4−129407号公報 特開2000−059147号公報 米国特許第6639447号明細書
図7は、上記特許文献1〜3に開示されている従来構成のミキサ回路を示す回路ブロック図である。図7に示されるミキサ回路50aは、図5に示されるミキサ回路50に加えて、定電流源(以下、「トランスコンダクタ用定電流源」と記載)I1及びI2を備える構成である。
トランスコンダクタ用定電流源I1の出力は、RF用トランジスタM1のドレイン端子に接続され、定電流源I1から所定の定電流がRF用トランジスタM1に供給される。同様に、トランスコンダクタ用定電流源I2の出力は、RF用トランジスタM2のドレイン端子に接続され、定電流源I2から所定の定電流がRF用トランジスタM2に供給される。
ここで、トランジスタM1のドレイン端子に供給される電流量IRFに対するトランスコンダクタ用定電流源I1からの電流量の割合(以下、「電流注入係数」と記載)をbinjとすると、ミキサ回路50a内で発生される入力換算ノイズninは以下の数2のように表される。
Figure 2008206004
上記数2より、binjの値を大きくするとノイズninの大きさを削減することができることが分かる。又、負荷抵抗R1に流れる電流をIrと記載すると、Ir=IRF×(1−binj)より、binjの値が大きくなるほどミキサコア部12に流れる電流Irは減少する。これによりミキサコア部12を構成するLO用トランジスタSW1〜SW4のサイズを小さくすることができる。
従って、図7の構成によれば、ノイズレベル及び歪みレベルを一定程度抑制可能な電流IRFを決定した上で、更に上記binjの値を大きくすることで、占有面積の拡大を抑制しながらミキサ回路から発生されるノイズを更に削減することができる。
しかしながら、図7の構成のように、トランスコンダクタ用定電流源I1及びI2から電流供給を行うことにより、ミキサ回路の歪み性能が劣化するという問題が発生する。図8は、図7の構成における電流注入係数に対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を示すグラフである。尚、図8では、(a)及び(b)の何れの場合も、RF用トランジスタM1を流れる電流IRF=4.5mAとしている。図8(a)は、電流注入係数binjを横軸に表し、入力換算ノイズ〔dBμ〕を縦軸に表した場合の両者の関係をグラフにしたものである。又、図8(b)は、電流注入係数binjを横軸に表し、IIP3〔dBμ〕を縦軸に表した場合の両者の関係をグラフにしたものである。
図8(a)によれば、binjを大きくするに連れて入力換算ノイズは低減されていることが分かる。binjを大きくすることは、RF用トランジスタM1に流れる電流の内、トランスコンダクタ用定電流源I1から供給される電流の寄与率を増加させることを意味する。言い換えれば、RF用トランジスタM1に流れる電流IRFを所定の値に定めた状態において、トランスコンダクタ用定電流源I1から供給される電流量を上昇させることでノイズレベルを削減することができることが示されている。
しかし、binjを大きくするとミキサコア部12に流れる電流が小さくなって、ミキサコア部12を構成するトランジスタSW1〜4の動作が通常状態からはずれるためミキサコア部12による歪が発生してしまう現象が起こる。その結果を図8(b)に示す。図8(b)によれば、binjを大きくするに連れてIIP3の値が低下(線形性が低下)し、歪みレベルが上昇していることが分かる。従って、図8(a)及び(b)の結果を踏まえれば、RF用トランジスタM1に流れる電流IRFを所定の値に定めた状態において、トランスコンダクタ用定電流源I1から供給される電流量を上昇させた場合、ノイズレベルの削減効果は奏されるものの、歪みレベルは劣化傾向を示すこととなる。
本発明は、上記の問題点に鑑み、回路規模の拡大を抑制しつつ、低ノイズで高線形性を示すミキサ回路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るミキサ回路は、入力される高周波電圧を高周波電流に変換するトランスコンダクタ部と、入力される低周波のローカル信号に基づいて前記トランスコンダクタ部から出力される前記高周波電流に対して周波数変換を行い変換電流を生成するミキサコア部と、前記ミキサコア部から出力される前記変換電流を外部に出力する出力部と、を備えるミキサ回路であって、前記トランスコンダクタ部に対して所定の第1電流を供給するために、前記トランスコンダクタ部と前記ミキサコア部の接続ノードに接続されるトランスコンダクタ用定電流源と、前記ミキサコア部に対して所定の第2電流を供給するために、前記ミキサコア部と前記出力部の接続ノードに接続されるミキサコア用定電流源と、を備えることを第1の特徴とする。
本発明に係るミキサ回路の上記第1の特徴構成によれば、トランスコンダクタ用定電流源から一定の電流がトランスコンダクタ部に供給されることで低ノイズ効果を奏すると共に、ミキサコア用定電流源から一定の電流がミキサコア部に供給される。このため、ミキサコア部12を構成するトランジスタSW1〜4が通常動作するために必要な電流が流れるので歪が発生しない。トランスコンダクタ部とミキサコア部に供給される電流を夫々調整することによって、出力信号のノイズレベル及び歪みレベルの低下が実現可能となる。
又、本発明に係るミキサ回路は、上記第1の特徴構成に加えて、前記トランスコンダクタ用定電流源又は前記ミキサコア用定電流源の少なくとも何れか一方が、出力する電流量を制御可能に構成されていることを第2の特徴とする。
本発明に係るミキサ回路の上記第2の特徴構成によれば、消費電流特性を劣化させることなく、低ノイズ且つ低歪みの信号出力が可能となるような条件を充足するように電流源の電流量を調整することができる。
又、本発明に係るミキサ回路は、上記第1又は第2の特徴構成に加えて、正逆両位相の前記高周波電圧が夫々に入力されるRF用トランジスタ差動対で構成される前記トランスコンダクタ部と、前記正逆両位相の前記ローカル電圧が夫々に入力されるLO用トランジスタ差動対を2組備える前記ミキサコア部とを備えるギルバートセル型のミキサ回路であり、前記LO用トランジスタ差動対を構成する各LO用トランジスタの出力端子と、他のLO用トランジスタ差動対を構成するLO用トランジスタの内の位相の異なる前記ローカル電圧が入力されるLO用トランジスタの出力端子と、が接続されることで2つの出力用接続ノードを有すると共に、各前記出力用接続ノードから出力される前記変換電流を夫々正位相出力信号及び逆位相出力信号として前記出力部に与え、前記RF用トランジスタ差動対の夫々の出力端子に前記トランスコンダクタ用定電流源からの前記第1電流が供給され、各前記出力用接続ノードに前記ミキサコア用定電流源からの前記第2電流が供給されることを第3の特徴とする。
又、本発明に係るミキサ回路は、上記第3の特徴構成に加えて、前記出力部が、各ソース端子が電源電圧に接続される第1〜第4PMOSトランジスタを備え、前記第1PMOSトランジスタのゲート端子、前記第2PMOSトランジスタのゲート端子及びドレイン端子が互いに接続されることで第1カレントミラー回路を構成し、前記第4PMOSトランジスタのゲート端子、前記第3PMOSトランジスタのゲート端子及びドレイン端子が互いに接続されることで第2カレントミラー回路を構成し、前記出力用接続ノードを介して前記ミキサコア部から前記第2PMOSトランジスタのドレイン端子に入力される前記変換電流が、前記第1カレントミラー回路を介して前記第1PMOSトランジスタのドレイン端子から出力され、前記出力用接続ノードを介して前記ミキサコア部から前記第3PMOSトランジスタのドレイン端子に入力される前記変換電流が、第2カレントミラー回路を介して前記第4PMOSトランジスタのドレイン端子から出力されることを第4の特徴とする。
本発明に係るミキサ回路の上記第4の特徴構成によれば、ミキサコア部と出力部の共通点がミキサ回路の出力と独立されることによって、ミキサコア部からの信号が電流として出力部へ伝達され、歪を低減することができる。
本発明の構成によれば、回路規模の拡大を抑制しつつ、低ノイズで高線形性を示すミキサ回路の実現が図られる。
以下において、本発明に係るミキサ回路(以下、適宜「本発明回路」と称する)の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明回路の概略構成を示すブロック図である。図1に示される本発明回路1は、図7に示される従来構成のミキサ回路50aと比較して、ミキサコア部12に対して所定の定電流を供給するための定電流源22(以下、「ミキサコア用定電流源」と記載)を更に備える点が異なる。尚、図1では、図7におけるトランスコンダクタ用定電流源I1及びI2を「トランスコンダクタ用定電流源21」と総称している。又、図7における出力部51に代えて出力部13を備える構成である。尚、図5並びに図7と同一の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本発明回路1は、トランスコンダクタ部11、ミキサコア部12、及び出力部13、トランスコンダクタ部11に対して所定の定電流を供給するトランスコンダクタ用定電流源21、並びに、ミキサコア部12に対して所定の定電流を供給するためのミキサコア用定電流源22を備える。トランスコンダクタ部11の出力とミキサコア部12の入力が接続され、この接続ノードとトランスコンダクタ用定電流源21が接続されることでトランスコンダクタ部11に対して所定の定電流が供給される。そして、ミキサコア部12の出力と出力部13の入力が接続され、この接続ノード(出力用接続ノード)とミキサコア用定電流源22が接続されることでミキサコア部12に対して所定の定電流が供給される。
図2は、図1に示される本発明回路1の具体的な一回路構成例であり、図5並びに図7と同様、本発明回路1がギルバートセル型ミキサ回路で構成される場合を図示している。
図2に示されるように、本発明回路1は、LO用トランジスタSW1とのドレイン端子とLO用トランジスタSW3のドレイン端子の接続ノードにミキサコア用定電流源I3が接続されており、LO用トランジスタSW2のドレイン端子とLO用トランジスタSW4のドレイン端子の接続ノードにミキサコア用定電流源I4が接続されている。
又、出力部13は、それぞれのソース端子が電源電圧Vccに接続される4つのトランジスタMa、Mb、Mc、Mdを備える。第1トランジスタMaと第2トランジスタMb、並びに第3トランジスタMcと第4トランジスタMdは、夫々がカレントミラー回路を構成しており、このカレントミラー回路を介してミキサコア部12からの差動入力を外部に出力させる。即ち、第1トランジスタMaと第2トランジスタMbの両ゲート端子、並びに第2トランジスタMbのドレイン端子は互いに接続されており、同様に、第3トランジスタMcと第4トランジスタMdの両ゲート端子、並びに第3トランジスタMbのドレイン端子は互いに接続されている。
ミキサコア用定電流源I3が接続されている側の出力用接続ノードを逆位相側、ミキサコア用定電流源I4が接続されている側の出力用接続ノードを正位相側とすると、逆位相側の出力用接続ノードには第2トランジスタMbのドレイン端子が接続され、正位相側の出力用接続ノードには第3トランジスタMcのドレイン端子が接続されている。
このように構成されるとき、トランスコンダクタ部11に入力される高周波電圧に基づいて高周波電流が生成され、この高周波電流に対してミキサコア部12において周波数変換が施された変換電流が生成され、この変換電流が第1トランジスタMaのドレイン端子、及び第4トランジスタMdのドレイン端子より出力される。
尚、トランジスタM1のドレイン端子に供給される電流量IRFに対するミキサコア用定電流源I3から供給の電流量の割合を示す第2電流注入をbinj2とすると、図2の構成における本発明回路1内で発生される入力換算ノイズninを上記数2に倣って記載すると以下の数3のように表される。数3において、γBBはトランジスタMa(又はMb、Mc、Md)のノイズ係数を表している。
Figure 2008206004
上記数3においても、上述した数2と同様、電流注入係数binj或いはbinj2を大きくすることでノイズninを小さくすることが可能であることが分かる。
図3は、図2に示される本発明回路の構成における電流注入係数binjに対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を示すグラフである。尚、図3では、本発明回路の構成における電流注入係数binjに対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を実線で表記し、これに併せて、従来構成のミキサ回路における電流注入係数binjに対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を破線で表記している。
又、ここでいう電流注入係数binjは、図8の場合と同様、トランジスタM1(又はM2)のドレイン端子に供給される電流量IRFに対するトランスコンダクタ用定電流源I1(又はI2)からの電流量の割合を示すものとする。そして、縦軸及び横軸の取り方は図8と同様とし、又、(a)及び(b)の何れの場合も、図8と同様にRF用トランジスタM1を流れる電流IRF=4.5mAとしている。
図3(a)によれば、本発明回路2の構成において検出されるノイズレベルは、従来構成(図7)において検出されるノイズレベルと同程度になることが分かる。一方、図3(b)によれば、従来構成と比べて本発明回路2の方が電流注入係数binjを増加させた場合のIIP3の値の低下が小さい。言い換えれば、従来構成と比べて本発明回路2の構成の方が、電流注入係数binjを大きくした場合の歪みレベルの劣化度合いが抑制されていることが分かる。これは、出力用接続ノードに対してミキサコア用定電流源I3或いはI4からの直流電流を注入することによって、ミキサコア部12を構成するトランジスタSW1〜4が通常動作するために必要な電流が流れて、歪みレベルを低下させることが可能となる。
これにより、トランスコンダクタ用定電流源I1及びI2から供給される電流注入係数(第1電流注入係数)binj、及びミキサコア用定電流源I3及びI4から供給される電流注入係数(第2電流注入係数)binj2を夫々適切な値に調整することにより、低ノイズで低歪みのミキサが実現される。以下の表1において、発明者が設計した実回路による本発明回路の特性データの数値例を従来構成のミキサ回路の数値例と併せて記載する。尚、下記の表1では、比較のために従来構成のミキサ回路も出力部13(カレントミラー回路)を備える構成であるとした。
Figure 2008206004
上記表1によれば、従来構成と比較して消費電流特性及び低ノイズ特性を維持したまま歪性能を示すIIP3の値が改善されていることが分かる。
図4は、図2に示される本発明回路2の更に具体的な回路構成の一例である。図4では、トランスコンダクタ用定電流源I1及びI2、並びにミキサコア用定電流源I3及びI4を何れも印加されるゲート電圧Vb_injによって電流量の制御が可能なPMOSトランジスタによって構成している。尚、各定電流源I1〜I4を構成する各PMOSトランジスタのゲート端子に印加されるゲート電圧Vb_injは、I1及びI2とI3及びI4との間で異なる値であって、適宜調整可能に構成されているものとして構わない。
尚、図2或いは図4では、何れもMOSトランジスタで構成されるものとしたが、バイポーラトランジスタで構成されるものとしても構わない。又、接続の極性を反転させることによりP型とN型を反転させる構成としても構わない。更に、図5或いは図7のように出力部51を備える構成としても構わない。
本発明回路の概略構成を示すブロック図 本発明回路の具体的な構成例 本発明回路の構成における電流注入係数binjに対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を示すグラフ 本発明回路の具体的な回路構成例 従来のミキサ回路の代表的な構成を示す図 従来のミキサ回路のシミュレーション結果を示すグラフ 従来のミキサ回路の構成を示す図 従来のミキサ回路の構成における電流注入係数に対するノイズレベル及び歪みレベルの関係を示すグラフ
符号の説明
1: 本発明に係るミキサ回路
11: トランスコンダクタ部
12: ミキサコア部
13: 出力部
21: トランスコンダクタ用定電流源
22: ミキサコア用定電流源
50、50a: 従来構成のミキサ回路
51: 出力部
I1、I2: トランスコンダクタ用定電流源
I3、I4: ミキサコア用定電流源
LO、nLO: ローカル信号
M1、M2: RF用トランジスタ
Ma、Mb、Mc、Md: (出力用)トランジスタ
OM、OP: 出力端子
R1、R2: 負荷抵抗
RFin_m、RFin_p: 高周波信号
SW1〜SW4: LO用トランジスタ

Claims (4)

  1. 入力される高周波電圧を高周波電流に変換するトランスコンダクタ部と、
    入力される低周波のローカル信号に基づいて前記トランスコンダクタ部から出力される前記高周波電流に対して周波数変換を行い変換電流を生成するミキサコア部と、
    前記ミキサコア部から出力される前記変換電流を外部に出力する出力部と、を備えるミキサ回路であって、
    前記トランスコンダクタ部に対して所定の第1電流を供給するために、前記トランスコンダクタ部と前記ミキサコア部の接続ノードに接続されるトランスコンダクタ用定電流源と、
    前記ミキサコア部に対して所定の第2電流を供給するために、前記ミキサコア部と前記出力部の接続ノードに接続されるミキサコア用定電流源と、を備えることを特徴とするミキサ回路。
  2. 前記トランスコンダクタ用定電流源又は前記ミキサコア用定電流源の少なくとも何れか一方が、出力する電流量を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のミキサ回路。
  3. 正逆両位相の前記高周波電圧が夫々に入力されるRF用トランジスタ差動対で構成される前記トランスコンダクタ部と、前記正逆両位相の前記ローカル電圧が夫々に入力されるLO用トランジスタ差動対を2組備える前記ミキサコア部とを備えるギルバートセル型のミキサ回路であり、
    前記LO用トランジスタ差動対を構成する各LO用トランジスタの出力端子と、他のLO用トランジスタ差動対を構成するLO用トランジスタの内の位相の異なる前記ローカル電圧が入力されるLO用トランジスタの出力端子と、が接続されることで2つの出力用接続ノードを有すると共に、各前記出力用接続ノードから出力される前記変換電流を夫々正位相出力信号及び逆位相出力信号として前記出力部に与え、
    前記RF用トランジスタ差動対の夫々の出力端子に前記トランスコンダクタ用定電流源からの前記第1電流が供給され、
    各前記出力用接続ノードに前記ミキサコア用定電流源からの前記第2電流が供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミキサ回路。
  4. 前記出力部が、各ソース端子が電源電圧に接続される第1〜第4PMOSトランジスタを備え、
    前記第1PMOSトランジスタのゲート端子、前記第2PMOSトランジスタのゲート端子及びドレイン端子が互いに接続されることで第1カレントミラー回路を構成し、
    前記第4PMOSトランジスタのゲート端子、前記第3PMOSトランジスタのゲート端子及びドレイン端子が互いに接続されることで第2カレントミラー回路を構成し、
    前記出力用接続ノードを介して前記ミキサコア部から前記第2PMOSトランジスタのドレイン端子に入力される前記変換電流が、前記第1カレントミラー回路を介して前記第1PMOSトランジスタのドレイン端子から出力され、
    前記出力用接続ノードを介して前記ミキサコア部から前記第3PMOSトランジスタのドレイン端子に入力される前記変換電流が、第2カレントミラー回路を介して前記第4PMOSトランジスタのドレイン端子から出力されることを特徴とする請求項3に記載のミキサ回路。
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