以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。以下では、コータをエンボス加工装置と兼用させる場合を第1発明とし、輪転式印刷機をエンボス加工装置と兼用する場合を第2発明とし、第1発明の実施の形態1,2,3、第2発明の実施の形態1,2,3の順で説明する。
〔第1発明の実施の形態1〕
図1にエンボス加工装置と兼用されるコータの一例(第1発明の実施の形態1)の要部のブロック図を示す。同図において、100はコータ制御装置、200は印刷機制御装置、300はチャンバーコータの制御装置である。
コータは、例えば輪転式印刷機の最終印刷ユニットの後ろに設けられており、図3に示すように、圧胴40、コータ胴41、コータ着けローラ42、チャンバーコータ43などを備えている(例えば、特許文献2参照)。コータ胴41は圧胴40に対向して設けられており、コータ着けローラ42はコータ胴41に対向して設けられており、チャンバーコータ43はコータ着けローラ42に接して設けられている。コータ胴41にはコーティング用の版44がコーティング用の転写体として装着されている。なお、全面コーティングを行う際には、コーティング用の版44に代えて、単なるブランケットをコーティング用の転写体として使用することもある。
このコータにおいて、後述するコーティング時には、コータ胴41が圧胴40に対して胴入れ状態とされ、コータ胴41と圧胴40との間隔hがコーティング用の間隔hcとされる。また、コータ着けローラ42がコータ胴41に対して着状態とされ、チャンバーコータ43へのニスの供給が行われる。
また、後述するエンボス加工時には、図4に示すように、コータ胴41が圧胴40に対して胴入れ状態とされ、コータ胴41と圧胴40との間隔hがエンボス加工用の間隔heとされる。また、コータ着けローラ42がコータ胴41に対して脱状態とされ、チャンバーコータ43へのニスの供給が停止される。
なお、エンボス加工を行う場合、オペレータは、コーティング用の版44に代えて、エンボス加工用の版45をコータ胴41に装着する。エンボス加工用の版45は薄いので、エンボス加工用の版45とコータ胴41との間にはエンボス加工用の版下46を介装する。
このようなコータにおいて、チャンバコータ43へのニスの供給を制御する装置としてチャンバコータの制御装置300が設けられ、コータ全体の動作を制御する装置としてコータ制御装置100(100A)が設けられている。
コータ制御装置100Aは、CPU1、RAM2,ROM3、コーティング/エンボス切替スイッチ4、入力装置5、表示器6、出力装置7、紙の種類設定器8、紙厚設定器9、エンボス用の版の種類設定器10、エンボス用の版厚設定器11、エンボス用の版下の種類設定器12、エンボス用の版下厚設定器13、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ用のロータリエンコーダ17、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19、入出力インタフェース20−1〜20−5及びメモリMを備えている。図2にメモリMの構成を示す。メモリMにおける各メモリの役割については後述する。
CPU1は、入出力インタフェース20−1〜20−5を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM2やメモリMにアクセスしながら、ROM3に格納されたプログラムに従って動作する。ROM3には、本実施の形態特有のプログラムとして、コーティングとエンボス加工との切り替えを制御するコーティング/エンボス切替プログラムが格納されている。
以下、図5〜図12に分割して示すフローチャートに従って、コーティング/エンボス切替プログラムによってコータ制御装置100AのCPU1が実行する処理動作について説明する。
オペレータは、コータとエンボス加工装置との兼用化を図るにあたって、コーティングやエンボス加工を行う紙の種類及び厚さ(紙厚)、使用するエンボス用の版の種類及び厚さ(版厚)、使用するエンボス用の版下の種類及び板厚(版下厚)を設定器8〜13より入力する。
CPU1は、設定器8より紙の種類が入力されると(図5:ステップ101のYES)、その紙の種類をメモリM1に格納する(ステップ102)。設定器9より紙厚が入力されると(ステップ103のYES)、その紙厚をメモリM2に格納する(ステップ104)。設定器10よりエンボス用の版の種類が入力されると(ステップ105のYES)、そのエンボス用の版の種類をメモリM3に格納する(ステップ106)。設定器11よりエンボス用の版厚が入力されると(ステップ107のYES)、そのエンボス用の版厚をメモリM4に格納する(ステップ108)。設定器12よりエンボス用の版下の種類が入力されると(ステップ109のYES)、そのエンボス用の版下の種類をメモリM5に格納する(ステップ110)。設定器13よりエンボス用の版下厚が入力されると(ステップ111のYES)、そのエンボス用の版下厚をメモリM6に格納する(ステップ112)。
〔コーティング〕
コーティングの作業を行う場合、オペレータは、コータ胴41にコーティング用の版44を装着する(図3参照)。また、コーティング/エンボス切替スイッチ4をコーティング側に切り替える。
このような状態で、コータ制御装置100Aへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(ステップ113のYES)、CPU1は、コーティング/エンボス切替スイッチ4の設定を読み取る(図6:ステップ114)。そして、コーティング/エンボス切替スイッチ4がコーティング側に切り替えられていることを確認し(ステップ115のYES)、メモリM7からコーティング時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(ステップ116)。
そして、メモリM1から紙の種類を読み出し(ステップ117)、メモリM2から紙厚を読み出し(ステップ118)、ステップ116で読み出したコーティング時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ117,118で読み出した紙の種類及び紙厚より、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcを求め、メモリM8に格納する(ステップ119)。
そして、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ着信号を出力し(ステップ120)、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19を作動させて、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して着状態とする。また、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給開始信号を送り(ステップ121)、チャンバーコータ43へのニスの供給を開始する。
また、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcをメモリM8から読み出し(ステップ122)、この読み出したコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ123)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16よりカウント値を読み込み、この読み込んだカウント値をメモリM10に現在のカウント値として格納すると共に(ステップ124)、メモリM9に格納されているコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を目標カウント値として読み出し(ステップ125)、現在のカウント値と目標カウント値とを比較する(図7:ステップ126)。
ここで、現在のカウント値が目標カウント値よりも小さい場合には(ステップ127のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも大きいと判断し、回転方向記憶用メモリM11に「0」を上書きしたうえ(ステップ128)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に正転指令を送る(ステップ129)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、現在のカウント値が目標カウント値よりも大きい場合には(ステップ127のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも小さいと判断し、回転方向記憶用メモリM11に「1」を上書きしたうえ(ステップ130)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に逆転指令を送る(ステップ131)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16のカウント値(現在のカウント値)を読み取り(ステップ132)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較する(ステップ133,134)。そして、現在のカウント値が目標カウント値となれば(ステップ134のYES)、回転方向記憶用メモリM11の値を読み出し(ステップ135)、回転方向記憶用メモリM11の値が「0」であれば(図8:ステップ136のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への正転指令の出力を停止し(ステップ137)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。回転方向記憶用メモリM11の値が「1」であれば(ステップ136のNO)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への逆転指令の出力を停止し(ステップ138)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcとなる。なお、ステップ126において、現在のカウント値が目標カウント値と一致していれば、ステップ127へは進まずに、直ちにステップ139の処理へと進む。
ステップ139において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴40、コータ胴41及びコータ着ローラ42は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)に、コーティング用の版44に供給されるチャンバコータ43からのニスが塗布される。
〔コーティングの作業終了〕
印刷及びコーティングが終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ139のYES)、CPU1は、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給停止信号を送り(ステップ140)、チャンバーコータ43へのニスの供給を停止する。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を出力し(ステップ141)、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19を作動させて、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。
そして、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に逆転指令を送り(ステップ142)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15を逆転させ、コータ胴と圧胴間の間隔hを拡げる。
このコータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の逆転中、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16の現在のカウント値を読み取り(ステップ143)、メモリM12から読み出されるコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較し(ステップ144,145)、現在のカウント値が脱位置検出用のカウント値となれば(ステップ145のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への逆転指令の出力を停止し(ステップ146)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。
これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのコーティングの作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、コーティング用の版44に代えて、エンボス加工用の版45をコータ胴41に装着する(図4参照)。エンボス加工用の版45とコータ胴41との間にはエンボス加工用の版下46を介装する。また、コーティング/エンボス切替スイッチ4をエンボス側に切り替える。
このような状態で、コータ制御装置100Aへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図5:ステップ113のYES)、CPU1は、コーティング/エンボス切替スイッチ4の設定を読み取る(図6:ステップ114)。そして、コーティング/エンボス切替スイッチ4がエンボス側に切り替えられていることを確認し(ステップ115のNO)、メモリM13からエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(図9:ステップ147)。
そして、メモリM1から紙の種類を読み出し(ステップ148)、メモリM2から紙厚を読み出し(ステップ149)、ステップ147で読み出したエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ148,149で読み出した紙の種類及び紙厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の基準間隔hrを求め、メモリM14に格納する(ステップ150)。
次に、メモリM15からエンボス用の版の種類及び版厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを読み出し(ステップ151)、メモリM3からエンボス用の版の種類を読み出し(ステップ152)、メモリM4からエンボス用の版厚を読み出し(ステップ153)、ステップ151で読み出したエンボス用の版の種類及び版厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを用いて、ステップ152,153で読み出したエンボス用の版の種類及び版厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1を求め、メモリM16に格納する(ステップ154)。
また、メモリM17からエンボス用の版下の種類及び版下厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを読み出し(ステップ155)、メモリM5からエンボス用の版下の種類を読み出し(ステップ156)、メモリM6からエンボス用の版下厚を読み出し(ステップ157)、ステップ155で読み出したエンボス用の版下の種類及び版下厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを用いて、ステップ156,157で読み出したエンボス用の版下の種類及び版下厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を求め、メモリM18に格納する(ステップ158)。
そして、ステップ150で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の基準間隔hrより、ステップ154で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1及びステップ158で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を減算し、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔he(he=hr−α1−α2)を求め、メモリM19に格納する(図10:ステップ159)。
そして、CPU1は、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給停止信号を送り(ステップ160)、チャンバーコータ43へのニスの供給を停止する。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を出力し(ステップ161)、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19を作動させて、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。
また、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heをメモリM19から読み出し(ステップ162)、この読み出したエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ163)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16より現在のカウント値を読み込み(ステップ164)、メモリM9に格納されているコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を目標カウント値として読み出し(ステップ165)、現在のカウント値と目標カウント値とを比較する(図11:ステップ166)。
ここで、現在のカウント値が目標カウント値よりも小さい場合には(ステップ167のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも大きいと判断し、回転方向記憶用メモリM11に「0」を上書きしたうえ(ステップ168)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に正転指令を送る(ステップ169)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、現在のカウント値が目標カウント値よりも大きい場合には(ステップ167のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも小さいと判断し、回転方向記憶用メモリM11に「1」を上書きしたうえ(ステップ170)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に逆転指令を送る(ステップ171)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16の現在のカウント値を読み取り(ステップ172)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較する(ステップ173,174)。そして、現在のカウント値が目標カウント値となれば(ステップ174のYES)、回転方向記憶用メモリM11の値を読み出し(ステップ175)、回転方向記憶用メモリM11の値が「0」であれば(図12:ステップ176のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への正転指令の出力を停止し(ステップ177)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。回転方向記憶用メモリM11の値が「1」であれば(ステップ176のNO)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への逆転指令の出力を停止し(ステップ178)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heとなる。なお、ステップ166において、現在のカウント値が目標カウント値と一致していれば、ステップ167へは進まずに、直ちにステップ179の処理へと進む。
ステップ179において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴40及びコータ胴41は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版45を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ179のYES)、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14に逆転指令を送り(ステップ180)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15を逆転させ、コータ胴と圧胴間の間隔hを拡げる。
このコータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の逆転中、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ16の現在のカウント値を読み取り(ステップ181)、メモリM12から読み出されるコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較し(ステップ182,183)、現在のカウント値が脱位置検出用のカウント値となれば(ステップ183のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ14への逆転指令の出力を停止し(ステップ184)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ15の回転を停止する。
これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔第1発明の実施の形態2〕
図13にエンボス加工装置と兼用されるコータの別の例(第1発明の実施の形態2)の要部のブロック図を示す。同図において、100はコータ制御装置、200は印刷機制御装置、400は上位コンピュータである。
コータは、例えば輪転式印刷機の最終印刷ユニットの後ろに設けられており、図15に示すように、圧胴40、コータ胴41、コータ着けロータ42、コータ着けローラ42へニスを供給するニス舟を用いたニス供給部50などを備えている(例えば、特許文献3,4参照)。
コータ胴41は圧胴40に対向して設けられており、コータ着けローラ42はコータ胴41に対向して設けられている。ニス供給部50は、ニス舟49と、このニス舟49に溜められたニス内にその周面が浸されるコータ元ローラ48と、コータ着けローラ42とコータ元ローラ48との間に位置するコータ調量ローラ47などから構成されている。コータ胴41にはコーティング用の版44がコーティング用の転写体として装着されている。なお、全面コーティングを行う際には、コーティング用の版44に代えて、単なるブランケットをコーティング用の転写体として使用することもある。
このコータにおいて、後述するコーティング時には、コータ胴41が圧胴40に対して胴入れ状態とされ、コータ胴41と圧胴40との間隔hがコーティング用の間隔hcとされる。また、コータ着けローラ42がコータ胴41に対して着状態とされ、ニス舟49がコータ元ローラ48に対して着状態とされ、コータ調量ローラ47がコータ着けローラ42及びコータ元ローラ48に対して着状態とされる。
また、後述するエンボス加工時には、図16に示すように、コータ胴41が圧胴40に対して胴入れ状態とされ、コータ胴41と圧胴40との間隔hがエンボス加工用の間隔heとされる。また、コータ着けローラ42がコータ胴41に対して脱状態とされ、ニス舟49がコータ元ローラ48に対して脱状態とされ、コータ調量ローラ47がコータ着けローラ42及びコータ元ローラ48に対して脱状態とされる。
なお、エンボス加工を行う場合、オペレータは、コーティング用の版44に代えて、エンボス加工用の版45をコータ胴41に装着する。エンボス加工用の版45は薄いので、エンボス加工用の版45とコータ胴41との間にはエンボス加工用の版下46を介装する。
コータ制御装置100Bは、CPU1、RAM2,ROM3、キャリブレーションスイッチ21、入力装置5、表示器6、出力装置7、紙の種類設定器8、紙厚設定器9、エンボス用の版の種類設定器10、エンボス用の版厚設定器11、エンボス用の版下の種類設定器12、エンボス用の版下厚設定器13、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ(アップ/ダウンカウンタ)24、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ25、ニス舟着脱用エアシリンダ用バルブ26、ニス舟着脱用エアシリンダ27、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ28、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ29、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19、コータローラ群(コータ着けローラ42,コータ調量ローラ47,コータ元ローラ48)駆動用電磁クラッチ30、入出力インタフェース31−1〜31−6及びメモリMを備えている。図14にメモリMの構成を示す。メモリMにおける各メモリの役割については後述する。
尚、コータ胴と圧胴間の間隔の現在位置検出用カウンタ24はアップ/ダウンカウンタであり、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23に正転パルスが1パルス出力される毎にカウント値を1だけ加算し、逆転パルスが1パルス出力される毎にカウント値を1だけ減算するようになっている。また、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ25は、図示せぬフレームに固定され、コータ胴と圧胴間の間隔が通常移動範囲より拡いた予め決められた間隔になったことを直接検出するようになっている。
CPU1は、入出力インタフェース31−1〜31−6を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM2やメモリMにアクセスしながら、ROM3に格納されたプログラムに従って動作する。ROM3には、本実施の形態特有のプログラムとして、コーティングとエンボス加工との切り替えを制御するコーティング/エンボス切替プログラムが格納されている。
以下、図17〜図25に分割して示すフローチャートに従って、コーティング/エンボス切替プログラムによってコータ制御装置100BのCPU1が実行する処理動作について説明する。
オペレータは、コータとエンボス加工装置との兼用化を図るにあたって、コーティングやエンボス加工を行う紙(印刷後の紙)の種類及び厚さ(紙厚)、使用するエンボス用の版の種類及び厚さ(版厚)、使用するエンボス用の版下の種類及び板厚(版下厚)を設定器8〜13より入力する。
CPU1は、設定器8より紙の種類が入力されると(図17:ステップ201のYES)、その紙の種類をメモリM1に格納する(ステップ202)。設定器9より紙厚が入力されると(ステップ203のYES)、その紙厚をメモリM2に格納する(ステップ204)。設定器10よりエンボス用の版の種類が入力されると(ステップ205のYES)、そのエンボス用の版の種類をメモリM3に格納する(ステップ206)。設定器11よりエンボス用の版厚が入力されると(ステップ207のYES)、そのエンボス用の版厚をメモリM4に格納する(ステップ208)。設定器12よりエンボス用の版下の種類が入力されると(ステップ209のYES)、そのエンボス用の版下の種類をメモリM5に格納する(ステップ210)。設定器13よりエンボス用の版下厚が入力されると(ステップ211のYES)、そのエンボス用の版下厚をメモリM6に格納する(ステップ212)。
また、CPU1は、上位コンピュータ400よりコーティング/エンボス選択信号(コーティングの作業を行うのかエンボス加工の作業を行うのかを指示する信号)が送信されてくると(ステップ213のYES)、そのコーティング/エンボス選択信号によって指示される作業情報(コーティング/エンボス加工の種別)をメモリM20に格納する(ステップ214)。また、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴入れ信号の入力の有無をステップ215において確認する。
〔コーティング〕
コーティングの作業を行う場合、オペレータは、コータ胴41にコーティング用の版44を装着する(図15参照)。この場合、上位コンピュータ400からは、コーティングの作業を指示するコーティング/エンボス選択信号が送信されてくる。
このような状態で、コータ制御装置100Bへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(ステップ215のYES)、CPU1は、メモリM20に格納されている作業情報を読み取る(図19:ステップ221)。そして、この作業情報からコーティングの作業が指示されていることを確認し(ステップ222のYES)、メモリM7からコーティング時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(ステップ223)。
そして、メモリM1から紙の種類を読み出し(ステップ224)、メモリM2から紙厚を読み出し(ステップ225)、ステップ223で読み出したコーティング時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ224,225で読み出した紙の種類及び紙厚より、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcを求め、メモリM8に格納する(ステップ226)。
そして、ニス舟着脱用エアシリンダ用バルブ26へ着信号を出力し(ステップ227)、ニス舟着脱用エアシリンダ27を作動させて、ニス舟49をコータ元ローラ48に対して着状態とする。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ着信号を出力し(ステップ228)、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ19を作動させて、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して着状態とする。また、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ28へ着信号を送り(ステップ229)、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ29を作動させて、コータ調量ローラ47をコータ着けローラ42及びコータ元ローラ48に対して着状態とする。また、コータローラ群駆動用電磁クラッチ30に着信号を送り(ステップ230)、コータ着けローラ42,コータ調量ローラ47,コータ元ローラ48の回転を開始させる。
また、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcをメモリM8から読み出し(ステップ231)、この読み出したコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ232)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24より現在のカウント値を読み込み(ステップ233)、目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM21に格納する(ステップ234)。
ここで、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM>0であれば(図20:ステップ236のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも大きいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ237)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令を送る(ステップ238)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM<0であれば(ステップ236のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも小さいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ239)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ240)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24のカウント値(現在のカウント値)を読み取り(ステップ241)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較し(ステップ242,243)、現在のカウント値が目標カウント値となったことを確認し(ステップ243のYES)、ステップ244(図21)の処理へと進む。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcとなる。なお、ステップ235において、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMが零であれば、ステップ236へは進まずに、直ちにステップ244の処理へと進む。
ステップ244において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴40、コータ胴41、コータ着ローラ42、コータ調量ローラ47及びコータ元ローラ48は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)にコーティング用の版44に供給されるニス舟49からのニスが塗布される。。
〔コーティングの作業終了〕
印刷及びコーティングが終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ244のYES)、CPU1は、コータローラ群駆動用電磁クラッチ30へ脱信号を送り(ステップ245)、コータ着けローラ42,コータ調量ローラ47,コータ元ローラ48の回転を停止する。また、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ28へ脱信号を送り(ステップ246)、コータ調量ローラ47をコータ着けローラ42及びコータ元ローラ48に対して脱状態とする。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を送り(ステップ247)、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。また、ニス舟着脱用エアシリンダ用バルブ26へ脱信号を送り(ステップ248)、ニス舟49をコータ元ローラ48に対して脱状態とする。
そして、CPU1は、メモリM12よりコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値を読み出し(ステップ249)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ250)、脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ251)、この移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ252)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ253)。
これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。このコータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23の逆転中、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ244)、メモリM12から読み出されるコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較し(ステップ255,256)、現在のカウント値が脱位置検出用のカウント値となったことを確認し(ステップ256のYES)、ステップ201(図17)の処理へ戻る。
これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのコーティングの作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、コーティング用の版44に代えて、エンボス加工用の版45をコータ胴41に装着する(図16参照)。エンボス加工用の版45とコータ胴41との間にはエンボス加工用の版下46を介装する。この場合、上位コンピュータ400からは、エンボス加工の作業を指示するコーティング/エンボス選択信号が送信されてくる。
このような状態で、コータ制御装置100Bへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図17:ステップ215のYES)、CPU1は、メモリM20に格納されている作業情報を読み取る(図19:ステップ221)。そして、この作業情報からエンボス加工の作業が指示されていることを確認し(ステップ222のNO)、メモリM13からエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(図22:ステップ257)。
そして、メモリM1から紙の種類を読み出し(ステップ258)、メモリM2から紙厚を読み出し(ステップ259)、ステップ257で読み出したコーティング時の紙の種類及び紙厚−コータ胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ258,259で読み出した紙の種類及び紙厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の基準間隔hrを求め、メモリM14に格納する(ステップ260)。
次に、メモリM15からエンボス用の版の種類及び版厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを読み出し(ステップ261)、メモリM3からエンボス用の版の種類を読み出し(ステップ262)、メモリM4からエンボス用の版厚を読み出し(ステップ263)、ステップ261で読み出したエンボス用の版の種類及び版厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを用いて、ステップ262,263で読み出したエンボス用の版の種類及び版厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1を求め、メモリM16に格納する(ステップ264)。
また、メモリM17からエンボス用の版下の種類及び版下厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを読み出し(ステップ265)、メモリM5からエンボス用の版下の種類を読み出し(ステップ266)、メモリM6からエンボス用の版下厚を読み出し(ステップ267)、ステップ265で読み出したエンボス用の版下の種類及び版下厚−コータ胴と圧胴間の間隔補正量変換用テーブルを用いて、ステップ266,267で読み出したエンボス用の版下の種類及び版下厚より、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を求め、メモリM18に格納する(ステップ268)。
そして、ステップ260で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の基準間隔hrより、ステップ264で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1及びステップ268で求めたエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を減算し、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔he(he=hr−α1−α2)を求め、メモリM19に格納する(図23:ステップ269)。
そして、CPU1は、コータローラ群駆動用電磁クラッチ30へ脱信号を送り(ステップ270)、コータ着けローラ42,コータ調量ローラ47,コータ元ローラ48の回転を停止する。また、コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ28へ脱信号を送り(ステップ271)、コータ調量ローラ47をコータ着けローラ42及びコータ元ローラ48に対して脱状態とする。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を送り(ステップ272)、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。また、ニス舟着脱用エアシリンダ用バルブ26へ脱信号を送り(ステップ273)、ニス舟49をコータ元ローラ48に対して脱状態とする。
また、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heをメモリM19から読み出し(ステップ274)、この読み出したエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ275)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24より現在のカウント値を読み込み(ステップ276)、目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM21に格納する(ステップ277)。
ここで、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM>0であれば(図24:ステップ279のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも大きいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ280)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令を送る(ステップ281)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM<0であれば(図24:ステップ279のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも小さいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ282)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ283)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ284)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較する(ステップ285,286)。そして、現在のカウント値が目標カウント値となったことを確認し(ステップ286のYES)、ステップ287(図25)の処理へと進む。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heとなる。なお、ステップ278において、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMが零であれば、ステップ279へは進まずに、直ちにステップ287の処理へと進む。
ステップ287において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴40及びコータ胴41は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版45を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ287のYES)、CPU1は、メモリM12よりコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値を読み出し(ステップ288)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ289)、脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ290)、この移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ291)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ292)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
このコータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23の逆転中、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ293)、メモリM12から読み出されるコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較し(ステップ294,295)、現在のカウント値が脱位置検出用のカウント値となったことを確認し(ステップ295のYES)、ステップ201(図17)の処理へ戻る。
これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔キャリブレーション〕
この第1発明の実施の形態2では、コータ胴と圧胴間の間隔hをステッピングモータ23で調整するようにしており、ステッピングモータ23が脱調などを起こす虞れがある。そこで、この実施の形態では、キャリブレーションスイッチ21を設け、キャリブレーションスイッチ21をオンとすることによって、必要に応じてステッピングモータ23のキャリブレーションを行うことができるようにしている。例えば、仕事始めなどに、キャリブレーションスイッチ21をオンとして、キャリブレーションを行う。
キャリブレーションスイッチ21がオンとされると(図18:ステップ216のYES)、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を送り(ステップ217)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23のキャリブレーション位置検出センサ25の状態を確認する(ステップ218)。
この動作を繰り返し行い、キャリブレーション位置検出センサ25がオンとなれば(ステップ218のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24へリセット信号を出力し(ステップ219)、現在値検出用カウンタ24のカウント値を零にする。そして、現在値検出用カウンタ24へのリセット信号の出力を停止し(ステップ220)、現在値検出用カウンタ24の零からのカウント動作を再開させる。
〔第1発明の実施の形態3〕
図26にエンボス加工装置と兼用されるコータの別の例(第1発明の実施の形態3)の要部のブロック図を示す。
この第1発明の実施の形態3では、コーティング用の間隔hc及びエンボス加工用の間隔heを、最初は予め定められた初期値として設定した後、オペレータによるティーチングによって適切な値に調整する。このために、コータ制御装置100(100C)に、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32と、調整完了スイッチ33と、アップボタン34と、ダウンボタン35と、内部カウンタ36を設けている。尚、内部カウンタ36は、CPU1を動作させる為のクロックパルスをカウントし、動作状態時、動作開始からの経過時間を測定するようになっている。
なお、この第1発明の実施の形態3において、コータは、第1発明の実施の形態1の図3の構成と同様に、圧胴40とコータ胴41とコータ着けロータ42とチャンバーコータ43などを備えている。また、この第1発明の実施の形態3において、コータ胴41と圧胴40との間隔hは、第1発明の実施の形態2と同様に、ステッピングモータ23で調整される。
図27にコータ制御装置100CにおけるメモリMの構成を示す。この実施の形態において、メモリM8にはコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcの初期値が予め格納されており、メモリM19にはエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heの初期値が予め格納されている。また、メモリM23には、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバへの出力指令の待機時間TAが予め格納されている。
以下、コータ制御装置100CにおけるCPU1が実行する処理動作について、図28〜図35に分割して示すフローチャートに従って説明する。
〔コーティング〕
コーティングの作業を行う場合、オペレータは、コータ胴41にコーティング用の版44を装着する(図3参照)。また、コーティング/エンボス切替スイッチ4をコーティング側に切り替える。
このような状態で、コータ制御装置100Cへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図28:ステップ306のYES)、CPU1は、コーティング/エンボス切替スイッチ4の設定を読み取る(ステップ307)。そして、コーティング/エンボス切替スイッチ4がコーティング側に切り替えられていることを確認して(ステップ308のYES)、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ着信号を出力し(ステップ309)、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して着状態とする。また、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給開始信号を送り(ステップ310)、チャンバーコータ43へのニスの供給を開始する。
また、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcの初期値をメモリM8から読み出し(ステップ311)、この読み出したコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ312)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24より現在のカウント値を読み込み(ステップ313)、目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM21に格納する(図29:ステップ314)。
ここで、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM>0であれば(ステップ316のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも大きいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ317)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令を送る(ステップ318)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMが零ではなく(ステップ315のNO)、ΔM<0であれば(ステップ316のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcよりも小さいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ319)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ320)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ321)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較する(ステップ322,323)。そして、現在のカウント値が目標カウント値となったことを確認し(ステップ323のYES)、ステップ324(図30)の処理へと進む。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするコーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcとなる。なお、ステップ315において、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMが零であれば、ステップ316へは進まずに、直ちにステップ324の処理へと進む。
ステップ324において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。また、ステップ335(図31)において、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32の状態を確認する。この確認中、圧胴40、コータ胴41及びコータ着ローラ42は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)にコーティング用の版44に供給されるチャンバーコータ43からのニスが塗布され、後段の排紙装置へと送られて行く。
〔コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcのティーチング〕
オペレータは、ニスが塗布された紙を抜き出し、ニスの塗布状態をチェックする。これにより、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hcを調整すべきと判断すれば、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32をオンとし、アップボタン34やダウンボタン35を操作する。
CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32がオンとされた状態で(図31:ステップ335のYES)、アップボタン34がオンとされると(ステップ337のYES)、内部カウンタ36へリセット信号及びイネーブル信号を出力し(ステップ338)、続いてリセット信号の出力を停止する(ステップ339)。これにより、内部カウンタ36の零からのカウントが開始され、アップボタン34がオンとされている時間が内部カウンタ36のカウント値として計測される。なお、アップボタン34がオフとされると(ステップ340のYES)、ダウンボタン35がオフとされていることを確認のうえ(ステップ345のNO)、ステップ336へ戻り、調整完了スイッチ33やアップボタン34,ダウンボタン35のオンに備える。
CPU1は、このアップボタン34がオンとされている時間の計測中、メモリM23から出力指令の待機時間TAを読み出し(ステップ341)、また内部カウント36のカウント値を読み出し(ステップ342)、内部カウンタ36のカウント値が待機時間TAを上回った時点で(ステップ343のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令を出力する(ステップ344)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分狭まる。
一方、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令を出力すると、ステップ338へ戻って内部カウンタへリセット信号及びイネーブル信号を送り、内部カウンタ36の零からのカウントを再開させる(ステップ339)。これにより、アップボタン34がオンとされている間、待機時間TAが経過する毎に、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令が出力され、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分ずつ正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分ずつ狭まって行く。
CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32がオンとされた状態で(ステップ335のYES)、ダウンボタン35がオンとされると(ステップ345のYES)、内部カウンタ36へリセット信号及びイネーブル信号を出力し(ステップ346)、続いてリセット信号の出力を停止する(ステップ347)。これにより、内部カウンタ36の零からのカウントが開始され、ダウンボタン35がオンとされている時間が内部カウンタ36のカウント値として計測される。なお、ダウンボタン35がオフとされると(ステップ348のYES)、アップボタン34およびダウンボタン35がオフとされていることを確認のうえ(ステップ337及びステップ345のNO)、ステップ336へ戻り、調整完了スイッチ33やアップボタン34,ダウンボタン35のオンに備える。
CPU1は、このダウンボタン35がオンとされている時間の計測中、メモリM23から出力指令の待機時間TAを読み出し(ステップ349)、また内部カウント36のカウント値を読み出し(ステップ350)、内部カウンタ36のカウント値が待機時間TAを上回った時点で(ステップ351のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を出力する(ステップ352)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分拡がる。
一方、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を出力すると、ステップ346へ戻って内部カウンタへリセット信号及びイネーブル信号を送り(ステップ346)、内部カウンタ36の零からのカウントを再開させる(ステップ347)。これにより、ダウンボタン35がオンとされている間、待機時間TAが経過する毎に、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令が出力され、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分ずつ逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分ずつ拡がって行く。
オペレータは、このようにしてコータ胴と圧胴間の間隔hcの手動調整を行った後、調整完了スイッチ33をオンとする。すると、CPU1は、この調整完了スイッチ33のオンを確認し(ステップ336のYES)、その時のコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の値を読み込み(ステップ353)、このコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の値より調整後のコータ胴と圧胴間の間隔hcを求め、コーティング時のコータ胴と圧胴間の間隔hcのティーチング値としてメモリM8に上書きし(ステップ354)、ステップ324(図30)の処理へと戻る。
〔コーティングの作業終了〕
印刷及びコーティングが終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(図30:ステップ324のYES)、CPU1は、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給停止信号を送り(ステップ325)、チャンバーコータ43へのニスの供給を停止する。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を送り(ステップ326)、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。
そして、メモリM12よりコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値を読み出し(ステップ327)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ328)、脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ329)、この移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ330)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ331)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ332)、メモリM12に格納されているコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較する(ステップ333,334)。そして、現在のカウント値がコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値となったことを確認し(ステップ334のYES)、ステップ301(図28)の処理へと戻る。これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのコーティングの作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、コーティング用の版44に代えて、エンボス加工用の版45をコータ胴41に装着する(図4参照)。エンボス加工用の版45とコータ胴41との間にはエンボス加工用の版下46を介装する。また、コーティング/エンボス切替スイッチ4をエンボス側に切り替える。
このような状態で、コータ制御装置100Cへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図28:ステップ306のYES)、CPU1は、コーティング/エンボス切替スイッチ4の設定を読み取る(ステップ307)。そして、コーティング/エンボス切替スイッチ4がエンボス側に切り替えられていることを確認し(ステップ308のNO)、チャンバーコータの制御装置300へニスの供給停止信号を送り(図32:ステップ355)、チャンバーコータ43へのニスの供給を停止する。また、コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ18へ脱信号を出力し(ステップ356)、コータ着けローラ42をコータ胴41に対して脱状態とする。
また、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heの初期値をメモリM19から読み出し(ステップ357)、この読み出したエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heより目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM9に格納する(ステップ358)。そして、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24より現在のカウント値を読み込み(ステップ359)、目標とするコータ胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM21に格納する(ステップ360)。
ここで、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM>0であれば(図33:ステップ362のYES)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも大きいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ363)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令を送る(ステップ364)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが狭まって行く。
これに対し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMがΔM<0であれば(ステップ362のNO)、現在のコータ胴と圧胴間の間隔hが目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heよりも小さいと判断し、移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ365)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ366)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ367)、メモリM9に格納されている目標カウント値と比較する(ステップ368,369)。そして、現在のカウント値が目標カウント値となったことを確認し(ステップ369のYES)、ステップ370(図34)の処理へと進む。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔hが、目標とするエンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heとなる。なお、ステップ361において、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMが零であれば、ステップ362へは進まずに、直ちにステップ370の処理へと進む。
ステップ370において、CPU1は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。また、ステップ379(図35)において、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32の状態を確認する。この確認中、圧胴40及びコータ胴41は回転を続ける。これにより、コータ胴41と圧胴40との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版45を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heのティーチング〕
オペレータは、エンボス加工が施された紙を抜き出し、エンボス加工の状態をチェックする。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔heを調整すべきと判断すれば、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32をオンとし、アップボタン34やダウンボタン35を操作する。
CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32がオンとされた状態で(図35:ステップ379のYES)、アップボタン34がオンとされると(ステップ381のYES)、内部カウンタ36へリセット信号及びイネーブル信号を出力し(ステップ382)、続いてリセット信号の出力を停止する(ステップ383)。これにより、内部カウンタ36の零からのカウントが開始され、アップボタン34がオンとされている時間が内部カウンタ36のカウント値として計測される。なお、アップボタン34がオフとされると(ステップ384のYES)、ダウンボタン35がオフとされていることを確認のうえ(ステップ389のNO)、ステップ380へ戻り、調整完了スイッチ33やアップボタン34,ダウンボタン35のオンに備える。
CPU1は、このアップボタン34がオンとされている時間の計測中、メモリM23から出力指令の待機時間TAを読み出し(ステップ385)、また内部カウント36のカウント値を読み出し(ステップ386)、内部カウンタ36のカウント値が待機時間TAを上回った時点で(ステップ387のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令を出力する(ステップ388)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分狭まる。
一方、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令を出力すると、ステップ382へ戻って内部カウンタへリセット信号及びイネーブル信号を送り、内部カウンタ36の零からのカウントを再開させる(ステップ383)。これにより、アップボタン34がオンとされている間、待機時間TAが経過する毎に、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の正転パルス出力指令が出力され、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分ずつ正転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分ずつ狭まって行く。
CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ32がオンとされた状態で(ステップ379のYES)、ダウンボタン35がオンとされると(ステップ389のYES)、内部カウンタ36へリセット信号及びイネーブル信号を出力し(ステップ390)、続いてリセット信号の出力を停止する(ステップ391)。これにより、内部カウンタ36の零からのカウントが開始され、ダウンボタン35がオンとされている時間が内部カウンタ36のカウント値として計測される。なお、ダウンボタン35がオフとされると(ステップ392のYES)、アップボタン34およびダウンボタン35がオフとされていることを確認のうえ(ステップ381及びステップ389のNO)、ステップ380へ戻り、調整完了スイッチ33やアップボタン34,ダウンボタン35のオンに備える。
CPU1は、このダウンボタン35がオンとされている時間の計測中、メモリM23から出力指令の待機時間TAを読み出し(ステップ393)、また内部カウント36のカウント値を読み出し(ステップ394)、内部カウンタ36のカウント値が待機時間TAを上回った時点で(ステップ395のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を出力する(ステップ396)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分拡がる。
一方、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を出力すると、ステップ390へ戻って内部カウンタへリセット信号及びイネーブル信号を送り、内部カウンタ36の零からのカウントを再開させる(ステップ391)。これにより、ダウンボタン35がオンとされている間、メモリM23から読み出される待機時間TAが経過する毎に、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令が出力され、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が1パルス分ずつ逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが1パルス分ずつ拡がって行く。
オペレータは、このようにしてコータ胴と圧胴間の間隔heの手動調整を行った後、調整完了スイッチ33をオンとする。すると、CPU1は、この調整完了スイッチ33のオンを確認し(ステップ380のYES)、その時のコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の値を読み込み(ステップ397)、このコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の値より調整後のコータ胴と圧胴間の間隔heを求め、エンボス加工時のコータ胴と圧胴間の間隔heのティーチング値としてメモリM19に上書きし(ステップ398)、ステップ370(図34)の処理へと戻る。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(図34:ステップ370のYES)、CPU1は、メモリM12よりコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値を読み出し(ステップ371)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ372)、脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ373)、この移動量ΔMの絶対値を求め(ステップ374)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に移動量ΔMの絶対値分の逆転パルス出力指令を送る(ステップ375)。これにより、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23が逆転し、コータ胴と圧胴間の間隔hが拡がって行く。
CPU1は、刻々と変化するコータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24の現在のカウント値を読み取り(ステップ376)、メモリM12に格納されているコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値と比較する(ステップ377,378)。そして、現在のカウント値がコータ胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値となったことを確認し(ステップ378のYES)、ステップ301(図28)の処理へと戻る。これにより、コータ胴41が圧胴40に対して脱状態となり、コータを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔キャリブレーション〕
キャリブレーションスイッチ21がオンとされると(図28:ステップ301のYES)、CPU1は、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ22に1パルス分の逆転パルス出力指令を送り(ステップ302)、コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ23のキャリブレーション位置検出センサ25の状態を確認する(ステップ303)。
この動作を繰り返し行い、キャリブレーション位置検出センサ25がオンとなれば(ステップ303のYES)、コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ24へリセット信号を出力し(ステップ304)、現在値検出用カウンタ24のカウント値を零にする。そして、現在値検出用カウンタ24へのリセット信号の出力を停止し(ステップ305)、現在値検出用カウンタ24の零からのカウント動作を再開させる。
〔第2発明の実施の形態1〕
図36にエンボス加工装置と兼用される輪転式印刷機の一例(第2発明の実施の形態1)の要部のブロック図を示す。同図において、500(500A)は印刷ユニット制御装置、200は印刷機制御装置である。
輪転式印刷機は、複数の印刷ユニットを備えており、印刷ユニットは図38に示すように、圧胴85、ゴム胴86、版胴87、インキ着けローラ88、水舟を用いた給水装置92、インキ移しローラ93などを備えている(例えば、特許文献5〜8参照)。ゴム胴86は圧胴85に対向して設けられ、版胴87はゴム胴86に対向して設けられ、インキ着けローラ88は版胴87に対向して設けられている。
給水装置92は、水舟89と、この水舟89に溜められた水内にその周面が浸される給水元ローラ90と、給水元ローラ90と版胴87との間に位置する給水着けローラ91などから構成されている。インキ移しローラ93は、その呼出し動作によって、図示せぬインキツボに蓄えられているインキをインキローラ群を介してインキ着けローラ88へと供給する。版胴87には刷版94が装着されており、ゴム胴86にはブランケット95が装着されている。
なお、以下の説明において、「ゴム胴と圧胴間の隙間調整機構」については特許文献5に、「インキ移しローラの呼出し停止機構」については引用文献6に、「インキ着けローラの着脱機構」については引用文献7に、「給水着けローラの着脱機構及び給水元ローラの駆動機構」については引用文献8に開示されているので、ここでの詳しい説明は省略する。
この印刷ユニットにおいて、印刷時には、ゴム胴86が圧胴85及び版胴87に対して胴入れ状態とされ、ゴム胴86と圧胴85との間隔hが印刷用の間隔hpとされる。また、インキ着けローラ88が版胴87に対して着状態とされ、給水着けローラ91が版胴87及び給水元ローラ90に対して着状態とされ、インキ移しローラ93が呼出し動作の状態とされる。
また、エンボス加工時には、図39に示すように、ゴム胴86が圧胴85及び版胴87に対して胴入れ状態とされ、ゴム胴86と圧胴85との間隔hがエンボス加工用の間隔heとされる。また、インキ着けローラ88が版胴87に対して脱状態とされ、給水着けローラ91が版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とされ、インキ移しローラ93の呼出し動作が停止される。
なお、エンボス加工を行う場合、オペレータは、ゴム胴86に装着されているブランケット95に代えて、エンボス加工用の版96をゴム胴86に装着する。エンボス加工用の版96は薄いので、エンボス加工用の版96とゴム胴86との間にはエンボス加工用の版下97を介装する。尚、エンボス加工用の版96と版下97の厚さの合計値はブランケット95の厚さの合計値より小さく、かつ、版胴87から刷版94を取り外すので、ゴム胴86の胴入れ状態において、ゴム胴86と版胴87とが、非接触状態になる。
印刷ユニット制御装置500Aは、CPU51、RAM52,ROM53、印刷/エンボス切替スイッチ54、入力装置55、表示器56、出力装置57、紙の種類設定器58、紙厚設定器59、エンボス用の版の種類設定器60、エンボス用の版厚設定器61、エンボス用の版下の種類設定器62、エンボス用の版下厚設定器63、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ64、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ65、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ66、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ用のロータリエンコーダ67、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68、呼出し停止用エアシリンダ69、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ71、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72、給水着けローラ着脱用エアシリンダ73、入出力インタフェース74−1〜74−5及びメモリMを備えている。図37にメモリMの構成を示す。メモリMにおける各メモリの役割については後述する。
CPU51は、入出力インタフェース74−1〜74−5を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM52やメモリMにアクセスしながら、ROM53に格納されたプログラムに従って動作する。ROM53には、本実施の形態特有のプログラムとして、印刷とエンボス加工との切り替えを制御する印刷/エンボス切替プログラムが格納されている。
以下、図40〜図47に分割して示すフローチャートに従って、印刷/エンボス切替プログラムによって印刷ユニット制御装置500AのCPU51が実行する処理動作について説明する。
オペレータは、印刷とエンボス加工装置との兼用化を図るにあたって、印刷やエンボス加工を行う紙の種類及び厚さ(紙厚)、使用するエンボス用の版の種類及び厚さ(版厚)、使用するエンボス用の版下の種類及び板厚(版下厚)を設定器58〜63より入力する。入力された紙の種類及び紙厚はメモリM51及びM52に、エンボス加工用の版の種類及び版厚はメモリM53及びM54に、エンボス加工用の版下の種類及び版下厚はメモリM55及びM56に格納される(図40:ステップ401〜412)。
〔印刷〕
印刷の作業を行う場合、オペレータは、ゴム胴86にブランケット95を装着し、版胴87に刷版94を装着する(図38参照)。また、印刷/エンボス切替スイッチ54を印刷側に切り替える。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Aへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(ステップ413のYES)、CPU51は、印刷/エンボス切替スイッチ54の設定を読み取る(図41:ステップ414)。そして、印刷/エンボス切替スイッチ54が印刷側に切り替えられていることを確認し(ステップ415のYES)、メモリM57から印刷時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(ステップ416)。
次に、メモリM51から紙の種類を読み出し(ステップ417)、メモリM52から紙厚を読み出し(ステップ418)、ステップ416で読み出した印刷時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ417,418で読み出した紙の種類及び紙厚より、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpを求め、メモリM58に格納する(ステップ419)。
そして、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作信号を出力し(ステップ420)、呼出し停止用エアシリンダ69を作動させて、インキ移しローラ93を呼出し動作状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ着信号を出力し(ステップ421)、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ71を作動させて、インキ着けローラ88を版胴87に対して着状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転指令を送り(ステップ422)、給水元ローラ90の回転を開始させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ着信号を出力し(ステップ423)、給水着けローラ着脱用エアシリンダ73を作動させて、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して着状態とする。
また、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpをメモリM58から読み出し(ステップ424)、この読み出した印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ425)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ66より現在のカウント値を読み込み(ステップ426)、メモリM59に格納されているゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を目標カウント値として読み出し(ステップ427)、現在のカウント値と目標カウント値とを比較する(図42:ステップ428)。
以下、第1発明の実施の形態1と同様にして(ステップ126(図7)〜ステップ139(図8))、現在のカウント値と目標カウント値とが等しくなるようにゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ65を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とする印刷時の印刷用の間隔hpに合わせ込む(ステップ428(図42)〜441(図43))。
その後、ステップ441において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87、インキ着けローラ88、給水着けローラ91,給水元ローラ90は回転を続け、インキ移しローラ93は呼出し動作を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙に、ブランケット95に供給される刷版94からの印刷用のインキが転写される。
〔印刷の作業終了〕
印刷が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ441のYES)、CPU51は、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ442)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(ステップ443)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ444)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ445)、給水元ローラ90の回転を停止させる。
以下、第1発明の実施の形態1と同様にして(ステップ142〜146(図8))、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ64に逆転指令を送り、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする(ステップ446〜450)。これにより、印刷ユニットを用いての印刷の作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、版胴87から刷版94を取り外すと共に、ブランケット95に代えて、エンボス加工用の版96をゴム胴86に装着する(図39参照)。エンボス加工用の版96とゴム胴86との間にはエンボス加工用の版下97を介装する。また、印刷/エンボス切替スイッチ54をエンボス側に切り替える。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Aへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図40:ステップ413のYES)、CPU51は、印刷/エンボス切替スイッチ54の設定を読み取る(図41:ステップ414)。そして、印刷/エンボス切替スイッチ54がエンボス側に切り替えられていることを確認し(ステップ415のNO)、メモリM63からエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(図44:ステップ451)。
そして、メモリM51から紙の種類を読み出し(ステップ452)、メモリM52から紙厚を読み出し(ステップ453)、ステップ451で読み出したエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の基準間隔hrを求め(ステップ454)、この基準間隔hrよりステップ455〜458によって求められるエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1と、ステップ459〜462によって求められるエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を減算し、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heを求める(図45:ステップ463)。
そして、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(ステップ464)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ465)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ466)、給水元ローラ90の回転を停止させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ467)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。
そして、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heをメモリM69から読み出し(ステップ468)、この読み出したエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ469)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ66より現在のカウント値を読み込み(ステップ470)、メモリM59に格納されているゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を目標カウント値として読み出し(ステップ471)、現在のカウント値と目標カウント値とを比較する(図46:ステップ472)。
以下、第1発明の実施の形態1と同様にして(ステップ166(図11)〜ステップ179(図12))、現在のカウント値と目標カウント値とが等しくなるようにゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ65を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とするエンボス加工時の間隔heに合わせ込む(ステップ472(図46)〜ステップ485(図47))。
その後、ステップ485において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87は回転を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版96を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ485のYES)、CPU51は、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ64に逆転指令を送り(ステップ486)、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする(ステップ486〜490)。これにより、印刷ユニットを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔第2発明の実施の形態2〕
図48にエンボス加工装置と兼用される輪転式印刷機の別の例(第2発明の実施の形態2)の要部のブロック図を示す。同図において、500(500B)は印刷ユニット制御装置、200は印刷機制御装置、400は上位コンピュータである。この実施の形態では、第1発明の実施の形態2と同様、上位コンピュータ400から印刷ユニット制御装置500Bへ、印刷/エンボス選択信号(印刷の作業を行うのかエンボス加工の作業を行うのかを指示する信号)が送られてくる。また、第1発明の実施の形態2と同様、ゴム胴86と圧胴85との間隔hをステッピングモータで調整する。
この実施の形態において、印刷ユニット制御装置500Bは、CPU51、RAM52,ROM53、キャリブレーションスイッチ74、入力装置55、表示器56、出力装置57、紙の種類設定器58、紙厚設定器59、エンボス用の版の種類設定器60、エンボス用の版厚設定器61、エンボス用の版下の種類設定器62、エンボス用の版下厚設定器63、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ(アップ/ダウンカウンタ)77、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ78、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68、呼出し停止用エアシリンダ69、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ71、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72、給水着けローラ着脱用エアシリンダ73、入出力インタフェース79−1〜79−6及びメモリMを備えている。図49にメモリMの構成を示す。
CPU51は、入出力インタフェース79−1〜79−6を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM52やメモリMにアクセスしながら、ROM53に格納されたプログラムに従って動作する。ROM53には、本実施の形態特有のプログラムとして、印刷とエンボス加工との切り替えを制御する印刷/エンボス切替プログラムが格納されている。
以下、図50〜図58に分割して示すフローチャートに従って、印刷/エンボス切替プログラムによって印刷ユニット制御装置500BのCPU51が実行する処理動作について説明する。
オペレータは、印刷とエンボス加工装置との兼用化を図るにあたって、印刷やエンボス加工を行う紙の種類及び厚さ(紙厚)、使用するエンボス用の版の種類及び厚さ(版厚)、使用するエンボス用の版下の種類及び板厚(版下厚)を設定器58〜63より入力する。入力された紙の種類及び紙厚はメモリM51及びM52に、エンボス加工用の版の種類及び版厚はメモリM53及びM54に、エンボス加工用の版下の種類及び版下厚はメモリM55及びM56に格納される(図50:ステップ501〜512)。
また、CPU51は、上位コンピュータ400より印刷/エンボス選択信号(印刷の作業を行うのかエンボス加工の作業を行うのかを指示する信号)が送信されてくると(ステップ513のYES)、その印刷/エンボス選択信号によって指示される作業情報(印刷/エンボス加工の種別)をメモリM70に格納する(ステップ514)。また、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴入れ信号の入力の有無をステップ515において確認する。
〔印刷〕
印刷の作業を行う場合、オペレータは、ゴム胴86にブランケット95を装着し、版胴87に刷版94を装着する(図38参照)。この場合、上位コンピュータ400からは、印刷の作業を指示する印刷/エンボス選択信号が送信されてくる。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Bへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(ステップ515のYES)、CPU51は、メモリM70に格納されている作業情報を読み取る(図52:ステップ521)。そして、この作業情報から印刷作業が指示されていることを確認し(ステップ522のYES)、メモリM57から印刷時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(ステップ523)。
次に、メモリM51から紙の種類を読み出し(ステップ524)、メモリM52から紙厚を読み出し(ステップ525)、ステップ523で読み出した印刷時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、ステップ524,525で読み出した紙の種類及び紙厚より、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpを求め、メモリM58に格納する(ステップ526)。
そして、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作信号を出力し(ステップ527)、インキ移しローラ93を呼出し動作状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ着信号を出力し(ステップ528)、インキ着けローラ88を版胴87に対して着状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転指令を送り(ステップ529)、給水元ローラ90の回転を開始させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ着信号を出力し(ステップ530)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して着状態とする。
また、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpをメモリM58から読み出し(ステップ531)、この読み出した印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ532)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77より現在のカウント値を読み込み(ステップ533)、目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM71に格納する(ステップ534)。
以下、第1発明の実施の形態2と同様にして(ステップ235(図20)〜ステップ244(図21))、移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令或いは逆転パルス出力指令をゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75へ出力し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とする印刷時の印刷用の間隔hpに合わせ込む(ステップ535(図53)〜543(図53))。
その後、ステップ544において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87、インキ着けローラ88、給水着けローラ91,給水元ローラ90は回転を続け、インキ移しローラ93は呼出し動作を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙に、ブランケット95に供給される刷版94からの印刷用のインキが転写される。
〔印刷の作業終了〕
印刷が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ544のYES)、CPU51は、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ545)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(ステップ546)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ547)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ548)、給水元ローラ90の回転を停止させる。
以下、第1発明の実施の形態2と同様にして(ステップ249〜256(図21))、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値をメモリM62から読み出し(ステップ549)、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算してゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ550,551)、このゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMの絶対値分だけゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を逆転させ(ステップ552〜556)、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする。これにより、印刷ユニットを用いての印刷の作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、版胴87から刷版94を取り外すと共に、ブランケット95に代えて、エンボス加工用の版96をゴム胴86に装着する(図39参照)。エンボス加工用の版96とゴム胴86との間にはエンボス加工用の版下97を介装する。この場合、上位コンピュータ400からは、エンボス加工の作業を指示する印刷/エンボス選択信号が送信されてくる。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Bへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図50:ステップ515のYES)、CPU51は、メモリM70に格納されている作業情報を読み取る(図52:ステップ521)。そして、この作業情報からエンボス加工が指示されていることを確認し(ステップ522のNO)、メモリM63からエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを読み出す(図55:ステップ557)。
そして、メモリM51から紙の種類を読み出し(ステップ558)、メモリM52から紙厚を読み出し(ステップ559)、ステップ557で読み出したエンボス加工時の紙の種類及び紙厚−ゴム胴と圧胴間の間隔変換用テーブルを用いて、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の基準間隔hrを求め(ステップ560)、この基準間隔hrよりステップ561〜564によって求められるエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔の第1の補正量α1と、ステップ565〜568によって求められるエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔の第2の補正量α2を減算し、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heを求める(図56:ステップ569)。
そして、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(ステップ570)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ571)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ572)、給水元ローラ90の回転を停止させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ573)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。
そして、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heをメモリM69から読み出し(ステップ574)、この読み出したエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ575)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77より現在のカウント値を読み込み(ステップ576)、目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM71に格納する(ステップ577)。
以下、第1発明の実施の形態2と同様にして(ステップ278(図24)〜ステップ287(図25))、移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令或いは逆転パルス出力指令をゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75へ出力し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とするエンボス加工時の間隔heに合わせ込む(ステップ578(図57)〜ステップ586(図57))。
その後、ステップ587において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87は回転を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版96を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(ステップ587のYES)、CPU51は、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値をメモリM62から読み出し(ステップ588)、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算してゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ589,590)、このゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMの絶対値分だけゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を逆転させ(ステップ591〜595)、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする。これにより、印刷ユニットを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔キャリブレーション〕
キャリブレーションスイッチ74がオンとされると(図51:ステップ516のYES)、CPU51は、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75に1パルス分の逆転パルス出力指令を送り(ステップ517)、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76のキャリブレーション位置検出センサ78の状態を確認する(ステップ518)。
この動作を繰り返し行い、キャリブレーション位置検出センサ78がオンとなれば(ステップ518のYES)、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77へリセット信号を出力し(ステップ519)、現在値検出用カウンタ77のカウント値を零にする。そして、現在値検出用カウンタ77へのリセット信号の出力を停止し(ステップ520)、現在値検出用カウンタ77の零からのカウント動作を再開させる。
〔第2発明の実施の形態3〕
図59にエンボス加工装置と兼用される輪転式印刷機の別の例(第2発明の実施の形態3)の要部のブロック図を示す。同図において、500(500C)は印刷ユニット制御装置、200は印刷機制御装置である。この実施の形態では、第1発明の実施の形態3と同様、印刷用の間隔hp及びエンボス加工用の間隔heを、最初は予め定められた初期値として設定した後、オペレータによるティーチングによって適切な値に変更する。
この実施の形態において、印刷ユニット制御装置500Cは、CPU51、RAM52,ROM53、キャリブレーションスイッチ74、印刷/エンボス切替スイッチ54、ゴム胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ79、調整完了スイッチ80、アップボタン81、ダウンボタン82、入力装置55、表示器56、出力装置57、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ(アップ/ダウンカウンタ)77、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ78、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68、呼出し停止用エアシリンダ69、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ71、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72、給水着けローラ着脱用エアシリンダ73、内部カウンタ83、入出力インタフェース84−1〜84−6及びメモリMを備えている。図60にメモリMの構成を示す。
CPU51は、入出力インタフェース84−1〜84−6を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM52やメモリMにアクセスしながら、ROM53に格納されたプログラムに従って動作する。ROM53には、本実施の形態特有のプログラムとして、印刷とエンボス加工との切り替えを制御する印刷/エンボス切替プログラムが格納されている。
以下、図61〜図68に分割して示すフローチャートに従って、印刷/エンボス切替プログラムによって印刷ユニット制御装置500CのCPU51が実行する処理動作について説明する。
〔印刷〕
印刷の作業を行う場合、オペレータは、ゴム胴86にブランケット95を装着し、版胴87に刷版94を装着する(図38参照)。また、印刷/エンボス切替スイッチ54を印刷側に切り替える。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Cへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図61:ステップ606のYES)、CPU51は、印刷/エンボス切替スイッチ54の設定を読み取る(ステップ607)。そして、印刷/エンボス切替スイッチ54が印刷側に切り替えられていることを確認して(ステップ608のYES)、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作信号を出力し(ステップ609)インキ移しローラ93を呼出し動作状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ着信号を出力し(ステップ610)、インキ着けローラ88を版胴87に対して着状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転指令を送り(ステップ611)、給水元ローラ90の回転を開始させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ着信号を出力し(ステップ612)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して着状態とする。
また、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpをメモリM58から読み出し(ステップ613)、この読み出した印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ614)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77より現在のカウント値を読み込み(ステップ615)、目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM71に格納する(図62:ステップ616)。
以下、第1発明の実施の形態3と同様にして(ステップ315(図29)〜ステップ324(図30))、移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令或いは逆転パルス出力指令をゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75へ出力し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とする印刷時の印刷用の間隔hpに合わせ込む(ステップ617(図62)〜ステップ625(図62))。
その後、ステップ626において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87、インキ着けローラ88、給水着けローラ91,給水元ローラ90は回転を続け、インキ移しローラ93は呼出し動作を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙に、ブランケット95に供給される刷版94からの印刷用のインキが転写される。
〔印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpのティーチング〕
オペレータは、印刷された紙を抜き出し、印刷の状態をチェックする。これにより、現在のゴム胴と圧胴間の間隔hpを調整すべきと判断すれば、ゴム胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ79をオンとし、アップボタン81やダウンボタン82を操作する。これにより、第1発明の実施の形態3のステップ335〜354(図31)と同様にして、印刷時のゴム胴と圧胴間の間隔hpのティーチングを行う(図64:ステップ639〜658)。
〔印刷の作業終了〕
印刷が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(図63:ステップ626のYES)、CPU51は、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ627)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(ステップ628)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ629)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ630)、給水元ローラ90の回転を停止させる。
以下、第1発明の実施の形態3と同様にして(ステップ327〜334(図30))、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値をメモリM62から読み出し(ステップ631)、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算してゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ632,633)、このゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMの絶対値分だけゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を逆転させ(ステップ634〜638)、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする。これにより、印刷ユニットを用いての印刷の作業が終了する。
〔エンボス加工〕
エンボス加工の作業を行う場合、オペレータは、版胴87から刷版94を取り外すと共に、ブランケット95に代えて、エンボス加工用の版96をゴム胴86に装着する(図39参照)。エンボス加工用の版96とゴム胴86との間にはエンボス加工用の版下97を介装する。また、印刷/エンボス切替スイッチ54をエンボス側に切り替える。
このような状態で、印刷ユニット制御装置500Cへ印刷機制御装置200から胴入れ信号が入力されると(図61:ステップ606のYES)、CPU51は、印刷/エンボス切替スイッチ54の設定を読み取る(ステップ607)。そして、印刷/エンボス切替スイッチ54がエンボス側に切り替えられていることを確認し(ステップ608のNO)、呼出し停止用エアシリンダ用バルブ68へ呼出し動作停止信号を出力し(図65:ステップ659)、インキ移しローラ93の呼出し動作を停止状態とする。また、インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ70へ脱信号を出力し(ステップ660)、インキ着けローラ88を版胴87に対して脱状態とする。また、印刷機制御装置200へ給水元ローラへの回転停止指令を送り(ステップ661)、給水元ローラ90の回転を停止させる。また、給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ72へ脱信号を出力し(ステップ662)、給水着けローラ91を版胴87及び給水元ローラ90に対して脱状態とする。
そして、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heをメモリM69から読み出し(ステップ663)、この読み出したエンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heより目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値を演算し、メモリM59に格納する(ステップ664)。そして、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77より現在のカウント値を読み込み(ステップ665)、目標とするゴム胴と圧胴間の間隔検出用のカウント値より現在のカウント値を減算し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め、メモリM71に格納する(ステップ666)。
以下、第1発明の実施の形態3と同様にして(ステップ361(図33)〜ステップ370(図34))、移動量ΔMの絶対値分の正転パルス出力指令或いは逆転パルス出力指令をゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75へ出力し、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を回転させ、ゴム胴と圧胴間の間隔hを目標とするエンボス加工時の間隔heに合わせ込む(ステップ667(図66)〜ステップ675(図66))。
その後、ステップ676において、CPU51は、印刷機制御装置200からの胴抜き信号の入力の有無を確認する。この確認中、圧胴85、ゴム胴86、版胴87は回転を続ける。これにより、ゴム胴86と圧胴85との間を通過する紙(印刷後の紙)に、エンボス加工用の版96を型版とするエンボス加工が行われる。
〔エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heのティーチング〕
オペレータは、エンボス加工が施された紙を抜き出し、エンボス加工の状態をチェックする。これにより、現在のゴム胴と圧胴間の間隔heを調整すべきと判断すれば、ゴム胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ79をオンとし、アップボタン81やダウンボタン62を操作する。これにより、第1発明の実施の形態3のステップ379〜398(図35)と同様にして、エンボス加工時のゴム胴と圧胴間の間隔heのティーチングを行う(図68:ステップ685〜704)。
〔エンボス加工の作業終了〕
印刷及びエンボス加工が終了し、印刷機制御装置200から胴抜き信号が与えられると(図67:ステップ676のYES)、CPU51は、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値をメモリM62から読み出し(ステップ677)、ゴム胴と圧胴間の脱位置検出用のカウント値より現在のカウント値を減算してゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMを求め(ステップ678,679)、このゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータの移動量ΔMの絶対値分だけゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76を逆転させ(ステップ680〜684)、ゴム胴86を圧胴85及び版胴87に対して脱状態とする。これにより、印刷ユニットを用いての印刷後の紙へのエンボス加工の作業が終了する。
〔キャリブレーション〕
キャリブレーションスイッチ74がオンとされると(図61:ステップ601のYES)、CPU51は、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ75に1パルス分の逆転パルス出力指令を送り(ステップ602)、ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ76のキャリブレーション位置検出センサ78の状態を確認する(ステップ603)。
この動作を繰り返し行い、キャリブレーション位置検出センサ78がオンとなれば(ステップ603のYES)、ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ77へリセット信号を出力し(ステップ604)、現在値検出用カウンタ77のカウント値を零にする。そして、現在値検出用カウンタ77へのリセット信号の出力を停止し(ステップ605)、現在値検出用カウンタ77の零からのカウント動作を再開させる。
1…CPU、2…RAM、3…ROM、4…コーティング/エンボス切替スイッチ、5…入力装置、6…表示器、7…出力装置、8…紙の種類設定器、9…紙厚設定器、10…エンボス用の版の種類設定器、11…エンボス用の版厚設定器、12…エンボス用の版下の種類設定器、13…エンボス用の版下厚設定器、14…コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ、15…コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ、16…コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ、17…コータ胴と圧胴間の間隔調整用モータ用のロータリエンコーダ、18…コータ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ、19…コータ着けローラ着脱用エアシリンダ、21…キャリブレーションスイッチ、22…コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ、23…コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ、24…コータ胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ(アップ/ダウンカウンタ)、25…コータ胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ、26…ニス舟着脱用エアシリンダ用バルブ、27…ニス舟着脱用エアシリンダ、28…コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ、29…コータ調量ローラ着脱用エアシリンダ、30…コータローラ群駆動用電磁クラッチ、32…コータ胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ、33…調整完了スイッチ、34…アップボタン、35…ダウンボタン、36…内部カウンタ、40…圧胴、41…コータ胴、42…コータ着けローラ、43…チャンバーコータ、44…コーティング用の版、45…エンボス加工用の版、46…エンボス加工用の版下、47…コータ調量ロータ、48…コータ元ローラ、49…ニス舟、50…ニス供給部、51…CPU、52…RAM、53…ROM、54…印刷/エンボス切替スイッチ、55…入力装置、56…表示器、57…出力装置、58…紙の種類設定器、59…紙厚設定器、60…エンボス用の版の種類設定器、61…エンボス用の版厚設定器、62…エンボス用の版下の種類設定器、63…エンボス用の版下厚設定器、64…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータドライバ、65…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ、66…ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ、67…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用モータ用のロータリエンコーダ、68…呼出し停止用エアシリンダ用バルブ、69…呼出し停止用エアシリンダ、70…インキ着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ、71…インキ着けローラ着脱用エアシリンダ、72…給水着けローラ着脱用エアシリンダ用バルブ、73…給水着けローラ着脱用エアシリンダ、75…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータドライバ、76…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータ、77…ゴム胴と圧胴間の間隔の現在値検出用カウンタ(アップ/ダウンカウンタ)、78…ゴム胴と圧胴間の間隔調整用ステッピングモータのキャリブレーション位置検出センサ、79ゴム胴と圧胴間の間隔調整選択スイッチ、80…調整完了スイッチ、81…アップボタン、82…ダウンボタン、83…内部カウンタ、85…圧胴、86…ゴム胴、87…版胴、88…インキ着けローラ、89…水舟、90…給水元ローラ、91…給水着けローラ、92…給水装置、93…インキ移しローラ、94…刷版、95…ブランケット、96…エンボス加工用の版、97…エンボス加工用の版下、M(M1〜M23、M51〜M73)…メモリ、100(100A、100B、100C)…コータ制御装置、200…印刷機制御装置、300…チャンバーコータの制御装置、400…上位コンピュータ、500(500A、500B、500C)…印刷ユニット制御装置。