JP2008198573A - 被覆電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】 銅害防止効果が得られると同時に、長期耐熱性の低下を回避した被覆電線を提供する。
【解決手段】 導体11を被覆する内層12とこの内層12を被覆する外層13とを有する被覆電線であって、内層12は、銅害防止剤を含有する材料で形成され、外層13は、銅害防止剤を含有しない材料で形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 導体11を被覆する内層12とこの内層12を被覆する外層13とを有する被覆電線であって、内層12は、銅害防止剤を含有する材料で形成され、外層13は、銅害防止剤を含有しない材料で形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、二層の被覆層を有する被覆電線に関し、特に自動車用電線として好適な被覆電線に関する。
従来、電線の被覆材料には、機械的強度、電線押出加工性、柔軟性、着色性、経済性等が優れていることから、主としてポリ塩化ビニル(PVC)が使用されてきた。ところが、このPVCを焼却処理すると有害なハロゲンガスが発生するため、環境への負荷が問題となる。そこで、PVCに代えてハロゲンフリーの被覆材料が使用されるようになってきている。
従来のハロゲンフリーの被覆材料としては、ポリオレフィン系樹脂等が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、ポリオレフィン樹脂からなる内層及びポリアミド樹脂からなる外層により被覆された被覆電線が開示されている。この被覆電線によれば、燃焼時に有害なハロゲンガスが発生せず、しかも自動車用電線に要求される難燃性、耐摩耗性、柔軟性、引張特性、熱変形性、電線押出性、加工性等の諸特性を維持しながら、高温雰囲気においても形状を保持できるとされている。
特開2002−124133号公報
ところで、導体による被覆の劣化(銅害)を防止するため、被覆材料には一般に銅害防止剤が添加されている。例えば、上記特許文献1に記載の被覆電線においても、内層及び外層に金属不活性剤(銅害防止剤)を添加することが記載されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、銅害防止剤を添加した被覆材料を用いた被覆電線では、高温環境下に長時間置くと被覆が劣化する(すなわち、長期耐熱性が低下する)という問題があることがわかった。長期耐熱性が低下すると、被覆に割れ等が発生して絶縁性が損なわれてしまうおそれがある。
特に、ABSセンサケーブル等の自動車用電線の場合には、エンジンやブレーキディスク等からの放熱により熱源に曝される状態で使用されるため、高いレベルでの長期耐熱性が要求される。
しかし、本発明者らの検討によれば、銅害防止剤を添加した被覆材料を用いた被覆電線では、高温環境下に長時間置くと被覆が劣化する(すなわち、長期耐熱性が低下する)という問題があることがわかった。長期耐熱性が低下すると、被覆に割れ等が発生して絶縁性が損なわれてしまうおそれがある。
特に、ABSセンサケーブル等の自動車用電線の場合には、エンジンやブレーキディスク等からの放熱により熱源に曝される状態で使用されるため、高いレベルでの長期耐熱性が要求される。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、銅害防止と長期耐熱性とを両立した被覆電線を提供することを目的とする。
上記課題は、導体を被覆する内層とこの内層を被覆する外層とを有する被覆電線であって、前記内層は銅害防止剤を含有し、前記外層は銅害防止剤を含有しない被覆電線により解決することができる。
本発明によれば、銅害防止効果と長期耐熱性とを同時に確保した被覆電線を提供することができる。本発明の被覆電線は、高いレベルでの長期耐熱性が要求される自動車用電線として有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る被覆電線10を示すものであり、この被覆電線10は、導体11と、導体11を被覆する絶縁体(内層12及び外層13)とを備えている。
導体11は、細径に延伸された銅または銅合金などの線材が好適に用いられる。
図1は、本発明の実施形態に係る被覆電線10を示すものであり、この被覆電線10は、導体11と、導体11を被覆する絶縁体(内層12及び外層13)とを備えている。
導体11は、細径に延伸された銅または銅合金などの線材が好適に用いられる。
内層12及び外層13は、燃焼時に有害な塩素ガスを発生して環境汚染をもたらすことを防止するため、ハロゲンを含有しない樹脂(非ハロゲン系樹脂)で形成されていることが好ましい。また、柔軟性、機械強度、加工性等に優れる樹脂を用いることが好ましい。このような性質を持つ樹脂としては、ハロゲンフリー(HF)ポリオレフィンが挙げられる。HFポリオレフィンの具体例としては、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
内層12に使用する樹脂と外層13に使用する樹脂は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
内層12に使用する樹脂と外層13に使用する樹脂は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、内層12は銅害防止剤を含有しているが、外層13は銅害防止剤を含有していない。このように、被覆電線10の被覆を2層構造とし、内層12にのみ銅害防止剤を添加して、外層13には銅害防止剤を添加しないことにより、被覆電線10全体で銅害を防止すると同時に長期耐熱性を確保することができる。
すなわち、導体11に直接接触する内層12に銅害防止剤を添加することで、銅害による内層12の劣化を防止している。
一方、前記したように被覆樹脂に銅害防止剤を添加すると長期耐熱性が低下するという問題がある。この問題の対策として、周囲の温度環境の影響を受けやすい外層13に銅害防止剤を添加しないようにすることで、長期耐熱性の向上を図っている。なお、外層13は、内層12の外側に配置しており導体11と直接接触することがないので、銅害防止剤を含有していなくても直接的な銅害の影響は全くもしくは殆どない。
このように、銅害防止特性を内層12に付与し、長期耐熱性を外層13に付与することで、銅害を防止すると同時に長期耐熱性が確保された被覆電線10を得ることができる。
一方、前記したように被覆樹脂に銅害防止剤を添加すると長期耐熱性が低下するという問題がある。この問題の対策として、周囲の温度環境の影響を受けやすい外層13に銅害防止剤を添加しないようにすることで、長期耐熱性の向上を図っている。なお、外層13は、内層12の外側に配置しており導体11と直接接触することがないので、銅害防止剤を含有していなくても直接的な銅害の影響は全くもしくは殆どない。
このように、銅害防止特性を内層12に付与し、長期耐熱性を外層13に付与することで、銅害を防止すると同時に長期耐熱性が確保された被覆電線10を得ることができる。
内層12に使用する銅害防止剤としては、内層12を構成する樹脂に応じて適宜選択することができるが、例えば、アデカスタブCDAシリーズ(アデカ(株)社製品)等が挙げられる。
内層12における銅害防止剤の含有量としては、0.1〜5重量%の範囲内が好ましく、1〜2重量%がさらに好ましい。
内層12における銅害防止剤の含有量としては、0.1〜5重量%の範囲内が好ましく、1〜2重量%がさらに好ましい。
その他、内層12及び外層13は、着色剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を含有していてもよい。添加剤の配合量は、樹脂の種類や添加剤の種類に応じて適宜設定することができる。
内層12と外層13の厚さの比は、1:1〜1:3とすることが好ましい。厚みの比をこの範囲とすることで、必要な部分にのみ銅害防止剤を含ませることができるという利点がある。
また、被覆電線10の各構成要素のサイズを例示すると、導体11の断面積は0.2〜3mm2、内層の厚みは0.1mm〜0.5mm、外層の厚みは0.2〜1.5mm、被覆電線11の径は0.3〜2mmの範囲とすることができる。
また、被覆電線10の各構成要素のサイズを例示すると、導体11の断面積は0.2〜3mm2、内層の厚みは0.1mm〜0.5mm、外層の厚みは0.2〜1.5mm、被覆電線11の径は0.3〜2mmの範囲とすることができる。
被覆電線10を製造するには、導体11上に、銅害防止剤を添加した内層用樹脂組成物を用いて例えば押出成形により内層12を形成し、さらにその上に銅害防止剤を添加しない外層用樹脂組成物を同様に押出成形により外層13を形成することにより製造することができる。押出成形後、必要に応じて電子線を照射して内層12及び外層13を架橋させてもよい。導体11上に内層12及び外層13を押出成形する場合、タンデム方式により行ってもよいし、各々個別の製造ラインにより行ってもよい。
より具体的には、軟銅線上に、銅害防止剤(例えばアデカスタブCDA1)を添加した内層用樹脂(例えばPVCやPE)、及び銅害防止剤を添加しない外層用樹脂(例えばPVCやPE)を順に押出成形して、図1に示す被覆電線10と同様の構成の被覆電線を作製することができる。
本発明に係る被覆電線は、家庭用、自動車用等いずれの用途にも使用できるが、前記のように長期耐熱性に優れているため、特に自動車用として有用である。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
以下の実験例により、本発明に係る被覆電線の作用効果をより詳細に説明する。
(絶縁電線の老化試験)
断面積が0.5m2の中心導体を一層の絶縁体で被覆して絶縁電線を作製した。絶縁体としては、銅害防止剤(アデカスタブCDA1)を1重量%添加したPEを使用した(絶縁電線1)。また、銅害防止剤を添加していないPEを使用して同様に絶縁電線を作製した(絶縁電線2)。
これらの絶縁電線1及び2を用いて、180℃、190℃、又は200℃にて加熱老化させた後、自己径で巻き付け、絶縁体に割れ、亀裂等が発生しない時間を測定した。また、このデータから1万時間推定温度を算出した。
(絶縁電線の老化試験)
断面積が0.5m2の中心導体を一層の絶縁体で被覆して絶縁電線を作製した。絶縁体としては、銅害防止剤(アデカスタブCDA1)を1重量%添加したPEを使用した(絶縁電線1)。また、銅害防止剤を添加していないPEを使用して同様に絶縁電線を作製した(絶縁電線2)。
これらの絶縁電線1及び2を用いて、180℃、190℃、又は200℃にて加熱老化させた後、自己径で巻き付け、絶縁体に割れ、亀裂等が発生しない時間を測定した。また、このデータから1万時間推定温度を算出した。
(絶縁体のみの老化試験)
銅害防止剤(アデカスタブCDA1)を1重量%を添加したPE(絶縁体1)及び銅害防止剤を添加していないPE(絶縁体2)を170℃、190℃、又は200℃にて加熱老化させた後、引張試験を行い、伸び率100%となる時間を測定した。また、このデータから1万時間推定温度を算出した。
銅害防止剤(アデカスタブCDA1)を1重量%を添加したPE(絶縁体1)及び銅害防止剤を添加していないPE(絶縁体2)を170℃、190℃、又は200℃にて加熱老化させた後、引張試験を行い、伸び率100%となる時間を測定した。また、このデータから1万時間推定温度を算出した。
以上の結果を表1に示す。表1より、導体による絶縁体の劣化防止のためには銅害防止剤を添加することは必要であるが、伸び率の点からは添加しないほうがよいことがわかる。従って、本発明のように必要なところにのみ銅害防止剤を添加し、不要なところには銅害防止剤を添加しないことによって、銅害防止と加熱老化防止(すなわち、伸び率の向上)とを両立できる被覆電線が得られると考えられる。
10 被覆電線
11 導体
12 内層
13 外層
11 導体
12 内層
13 外層
Claims (1)
- 導体を被覆する内層とこの内層を被覆する外層とを有する被覆電線であって、前記内層は銅害防止剤を含有し、前記外層は銅害防止剤を含有しないことを特徴とする被覆電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007035384A JP2008198573A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 被覆電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007035384A JP2008198573A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 被覆電線 |
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JP2008198573A true JP2008198573A (ja) | 2008-08-28 |
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Family Applications (1)
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JP2007035384A Pending JP2008198573A (ja) | 2007-02-15 | 2007-02-15 | 被覆電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008198573A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012087184A (ja) * | 2010-10-18 | 2012-05-10 | Fujikura Ltd | 樹脂組成物、電線及びケーブル |
-
2007
- 2007-02-15 JP JP2007035384A patent/JP2008198573A/ja active Pending
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