JP2008197798A - プラント運転の時系列分析シートの表示方法およびプラント運転支援装置 - Google Patents

プラント運転の時系列分析シートの表示方法およびプラント運転支援装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プラントの異常状態に応じて運転員に適切な情報を与えると共に、運転員の技術向上を支援する。
【解決手段】プラント運転支援装置1は、プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを、運転員の入力操作又はプラントの状態を検知する検知手段からの状態入力に応じて作成し、記憶装置3に記憶された時系列分析シートの少なくとも一部を、運転員の入力操作又は検知手段からの状態入力に応じて取得する制御装置5と、時系列分析シートを表示する表示装置4とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化学プラント等の運転を支援する技術に係り、特にプラントの異常時の運転を支援すると共に、運転員の技術向上を支援する時系列分析シートの表示方法およびプラント運転支援装置に関するものである。
プラント運転は、従来、安全が重視され、プロセスの安全性確保に力が注がれてきた。例えば化学企業では、HAZOP(Hazard and Operability Study)の考え方を基にして、プラントの安全性評価や運転員の教育が行われている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。しかし、今日の国際的な競争においては、安全のみならず品質、納期、さらには環境への影響も配慮した高度なプラント運転が求められている。そのためには日々の業務(特に設備故障などのトラブル)を分析評価し、改善を行うことが重要である。また、高度なプラント運転のためには、経験の振り返りによる運転員の技術向上も重要である。
従来、プラント運転の基本操作を規定するものとしては、標準作業手順書(Standard Operational Procedure、以下SOPとする)がある。また、紙に印字したSOPの代わりとして、図9に示す画面200のように運転手順やプラントの運転状態を表示するプラント運転支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前述のとおり、近年はプラント運転が高度化してきており、プラントの異常時の判断や対応が極めて難しくなってきている。それにもかかわらず、異常時の作業についてSOPが用意されている企業は極めて少ないという問題がある。また、特許文献1に開示されたプラント運転支援装置も、定常時のプラント運転を対象にしたものであって、プラントの異常時に役立つものではなかった。
これに対して、プラントの異常状態の発生に際し、運転員に適切な情報を与えることができるプラント運転支援装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示されたプラント運転支援装置は、HAZOPと同様にプラントの安全性を考慮して、プラントの異常時の処置策を危険性シナリオとして図10の記憶装置300に記憶させておき、判定部301でプラントが正常か異常かを判断し、プラントの異常時には運転支援部302がプラントを正常状態に戻すために必要な処置策を記憶装置300から取り出して、警報出力部303に表示させるようにしたものである。
特開2003−140741号公報 特開平10−340121号公報 厚生労働省安全課,「化学プラントのセーフティ・アセスメント(指針と解説)」,中央労働災害防止協会,2001年 松岡俊介,「HAZOPSによるプラントの設計安全評価」,石油学会,1990年,Vol.13,No.6,p.456−462 高木伸夫,「化学プラントの安全性評価」,化学工学,1992年,Vol.56,No.10,p.735−741
以上のように、従来のSOPや特許文献1に開示されたプラント運転支援装置では、プラントの異常状態に対応できないという問題点があった。
また、特許文献2に開示されたプラント運転支援装置では、プラントの異常状態に応じてその処置策を運転員に与えることができるが、運転ノウハウを伝承する仕組みがなく、運転員の技術向上を支援するツールとして利用することが難しいという問題点があった。
従来、異常時対応を支えてきたのは、いろいろな問題を経験してきた熟練運転員である。異常時の対応は、経験を通して蓄積されたノウハウが重要な役割を果たす場面である。プラント運転で重要な知識のほとんどは非定常操作の代表的作業である異常時対応を通して得られる。プラントの異常には設備故障、人の誤操作によるものなどがあるが、化学プラントの故障の場合、設備から直接に故障信号が発信されるケースは限られており、大半はその影響がプロセス状態に現れ、流量、液面、圧力などの計測信号の異常警報で何らかの異常が発生したことが分かる。運転員はいろいろな手段で原因を探り、その処置をすることになる。しかし、異常現象から直ちに真の原因が分ることは稀で、ほとんどの場合、過去の類似現象の思い起こしや直近の保守などの非定常作業の有無の確認など、何らかの通常とは異なる条件を探すことになる。また、プロセスの現状把握から予測される事態進展のリスク判断に基づいた取るべき処置の決定は、経験豊富な他の運転員の協力・指示のもとで行っていることが多い。
製造業一般で使用されている業務分析手法は、作業の効率性向上を重視し作業内容や作業時間に着目したものであった。プロセス産業を中心とした従来のトラブル解析手法は、機器の故障や人間の行動に着目し分析するものであった。これら従来の分析手法では、人間の思考は考慮されていなかった。また、現場での実経験の機会が減っている現状では、熟練運転員の経験を追体験することによる技術の伝承も重要であるが、人間の思考面が抜け落ちていては、熟練運転員の経験を追体験することはできない。
特許文献2に開示されたプラント運転支援装置では、プラントの異常状態に応じてその処置策を運転員に与えることができるが、運転ノウハウを伝承する仕組みがなく、運転員の技術向上を支援するツールとして利用することは困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、プラントの異常状態に応じて運転員に適切な情報を与えることができるだけでなく、運転員の技術向上を支援するツールとしても利用することができる時系列分析シートの表示方法およびプラント運転支援装置を提供することを目的とする。
本発明のプラント運転の時系列分析シートの表示方法は、プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを、運転員の入力操作又はプラントの状態を検知する検知手段からの状態入力に応じて作成する作成手順と、記憶装置に記憶された前記時系列分析シートの少なくとも一部を、運転員の入力操作又は前記検知手段からの状態入力に応じて取得する取得手順と、前記取得した時系列分析シートを表示する表示手順とを、プラント運転支援装置として動作するコンピュータが記憶装置に記憶されたプログラムに従って実行するようにしたものである。
また、本発明のプラント運転の時系列分析シートの表示方法において、前記思考内容は、プラントの異常現象の発見、この異常現象の影響の予測、前記異常現象の原因の推測、前記異常現象に対して施す処置、処置した結果のプラントの状態という一連の流れ、及び運転員の仕事の難しさを示す前記標準的思考順序に従って記述されるものである。
また、本発明のプラント運転の時系列分析シートの表示方法において、前記取得手順は、運転員が入力したキーワードに対して、このキーワードを含む前記時系列分析シートを前記記憶装置から取得するようにしたものである。
また、本発明のプラント運転支援装置は、プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを、運転員の入力操作又はプラントの状態を検知する検知手段からの状態入力に応じて作成する作成手段と、前記作成された時系列分析シートを記憶する記憶装置と、この記憶装置に記憶された前記時系列分析シートの少なくとも一部を、運転員の入力操作又は前記検知手段からの状態入力に応じて取得する取得手段と、前記取得した時系列分析シートを表示する表示手段とを有するものである。
本発明によれば、プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを作成し、表示することにより、プラントの異常状態に応じてその処置策を運転員に与えるプラント運転支援装置、すなわち異常時対応の電子化されたSOPを実現することができる。また、本発明では、運転員の思考に着目し、プラント運転における運転員の標準的思考順序を時系列分析シートの作成指標として予め定めておき、この標準的思考順序をガイドとして時系列分析シートを作成することにより、従来の解析手法では表現できなかった人間の思考内容を表出化することができる。その結果、本発明では、運転員が時系列分析シートに入力することによって、運転員としてあるべき思考順序の習慣化が実現でき、また運転員が異常事例に対する思考と行動を振返ることによって、経験を正しい知識で見直し、正しいオペレーションを見出すことができる。また、本発明では、他の運転員が作成した時系列分析シートを見ることにより、プラントの状況とリスクの関連性を把握することができるので、トラブル事例の因果関係を説明する原理原則を習得することができ、他人の経験を追体験して運転ノウハウを収得することができる。さらに、本発明では、改善(再発防止)の視点の標準化・拡大化によって改善の促進(例えば検知手段の高度化や警報の再設計など)を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るプラント運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図1のプラント運転支援装置1は、キーボード等の入力装置2と、記憶装置3と、CRTや液晶ディスプレイパネル等の表示装置4と、プラント運転支援装置全体を制御する制御装置5と、センサ等からの入力を通じてプラント(不図示)の状態を入力する状態入力装置6とから構成される。センサ等と状態入力装置6は、プラントの状態を検知する検知手段を構成している。
図2は制御装置5の構成例を示すブロック図である。制御装置5は、後述する時系列分析シートを運転員の入力操作又は検知手段からの状態入力に応じて作成する作成手段50と、記憶装置3に記憶された時系列分析シートの少なくとも一部を運転員の入力操作又は検知手段からの状態入力に応じて取得する取得手段51と、取得手段51が取得した時系列分析シートを表示装置4に表示させる出力手段52とを有する。
図3は図1のプラント運転支援装置1で表示する時系列分析シートの構造を示す図である。図3において、10はプラントの異常現象の発生時刻、11は時系列に発生した各作業手順の識別番号、12は運転員の識別番号、13はプラントの異常現象に気づいた認知の経緯、14は認知の経緯13が自動的に記述されたか手動で記述されたかを示すオート/マニュアル識別子(以下、A/Mとする)、15はプラントの異常現象の危険性を示すリスク評価、16は危険の種類、17は危険の影響度と異常現象の発生頻度、18はプラントの異常現象の原因と影響の推測結果とその根拠、19は原因と影響の推測結果18が自動的に記述されたか手動で記述されたかを示すA/M、20はプラントの異常現象に対して施した処置を示す判断と操作とその根拠、21は判断と操作20が自動的に記述されたか手動で記述されたかを示すA/M、22は処置した結果を示すプラント状態、23は運転員の過誤に繋がる人的要因を示す仕事の難しさ、24は運転員の仕事の難しさの種類を示す分類、25は運転員の心理を示す心理的側面である。
本実施の形態では、運転ノウハウの抽出に必要な事実の捉え方の視点として、以下の3つの視点を意識しながら時系列分析シートに入力できるようにしている。
(1)思考の習慣化(現象の発見、影響予測、リスク判断、原因遡及、処置の一連の思考内容)。
(2)人的要因(処置作業の運転員にとっての難しさ)。
(3)改善(再発防止)の視点の拡大化(運転員への依存の程度、検知手段の高度化、警報の再設計の必要性)。
プラントの運転員は、時刻を意識した運転を行っており、自分自身の思考や行動を時系列で記憶している。このため、発明者は、異常時の運転員の思考や行動を記述し易くするために、図3に示す時系列分析シートを考案した。この時系列分析シートは、時刻に沿った運転員の行動の遷移とプラント状態の遷移を縦方向に記述し、ある時刻において運転員が何に気付きどう判断したかなどの運転員の思考の流れを横方向に記述するようになっている。
時系列分析シートには、主たる項目として、認知の経緯13と、リスク評価15と、原因と影響の推測結果18と、判断と操作20と、プラント状態22と、仕事の難しさ23の6つの項目がある。
認知の経緯13は、判断・操作をするきっかけとなったプラントの異常現象と、運転員がプラントの異常に気づいた理由と、運転員がプラントの異常に際して考えた内容と、運転員がプラントの異常に際して確認した事項と、運転員が誰かと相談した場合にはその相談内容を記述する項目である。なお、プラントの異常現象を図示しない検知手段によって自動的に認知し、制御装置5が認知の経緯13を自動的に記述した場合には、項目A/M14に「A」と入力され、運転員が記述した場合には、項目A/M14に「M」と入力される。
リスク評価15は、認知の経緯13に記述されたプラントの異常現象の危険性を記述する項目であり、危険の種類16と、危険の影響度(大きさ)と異常現象の発生頻度17とからなる。
図4にプラントの異常現象が引き起こす危険の種類と危険の影響度の1例を示す。プラントの異常現象の発生により、地球環境への影響が考えられる場合には危険の種類16として「E」が入力され、安全性への影響が考えられる場合には「S」が入力され、製品の納期への影響が考えられる場合には「D」(又はP)が入力され、製品の品質への影響が考えられる場合には「Q」が入力される。
また、図4に記載された影響度の判断基準に従って、「1」〜「4」のいずれかのレベルが危険の影響度(大きさ)17として入力される。
図5にプラントの異常現象の発生頻度の1例を示す。図5に記載された判断基準に従って、「A」〜「E」のいずれかの頻度がプラントの異常現象の発生頻度17として入力される。
原因と影響の推測結果18は、認知の経緯13に記述されたプラントの異常現象から運転員が推測した原因と、次に起こりそうなプラントの現象と、運転員が原因を絞り込んだ方法と、運転員が原因を推測するために誰かと相談した場合にはその相談内容を記述する項目である。なお、制御装置5が原因と影響の推測結果18を自動的に記述した場合には、項目A/M19に「A」と入力され、運転員が記述した場合には、項目A/M19に「M」と入力される。
判断と操作20は、原因と影響の推測結果18に記述された原因に対して運転員が確認した事項と、原因に対して運転員が施した処置と、運転員が何を基に確認事項と処置を決定したかを記述する項目である。なお、制御装置5が判断と操作20を自動的に記述した場合には、項目A/M21に「A」と入力され、運転員が記述した場合には、項目A/M21に「M」と入力される。
プラント状態22は、判断と操作20に記述された処置を施した後のプラントの状態を示す項目である。
仕事の難しさ23は、運転員の過誤に繋がる人的要因を示す項目であり、認知の経緯13に記述されたプラントの異常現象に対する運転員の仕事の難しさの種類を示す分類24と、プラントの異常現象に対する運転員の心理的負担(煩わしさなど)の具体的内容を示す心理的側面25とからなる。
図6に運転員の仕事の難しさの分類を示す。図6に記載された判断基準に従って、「G1」〜「G4」、「A1」〜「A4」、「P1」〜「P4」、「W1」〜「W4」のいずれかの分類番号が分類24として入力される。図6の分類は、GAP−W(参考文献「永田学,“人的信頼性向上に向けた改良保全の実現可能性の研究”,ヒューマンファクター,2006年,Vol.11,No.1,p.31−41」)を参考に作成したものである。
心理的側面25には、プラントの異常現象に直面したときの心理を運転員が具体的に記述する。人的要因の視点は、今後益々少人化が進み運転員負荷が増大する傾向があることから、トラブル事例の分析において重要性が増すと考えられる。
従来の業務分析手法では、品質面での運転指示・操作の記述や改善策に重点が置かれ、幅広い視点での分析がなされていない。これに対して、本実施の形態では、技術の伝承の視点から、認知の経緯13、リスク評価15、原因と影響の推測結果18、判断と操作20、プラント状態22及び仕事の難しさ23の6つ項目を設けることで、多くの運転ノウハウを抽出し、運転ノウハウを次々と世代を超えて伝承する仕組みを提供する。
プラントの運転グループ(職長と担当運転員)は、プラントのトラブル発生後に、プラント運転支援装置1の入力装置2を操作して、時系列分析シートの各項目を入力する。制御装置5の作成手段50は、運転員の入力操作(又は検知手段からの状態入力)に応じて時系列分析シートを作成し、作成した時系列分析シートを記憶装置3に記憶させる。
次に、時系列分析シートの具体例について説明する。図7は時系列分析シートの1例を示す図、図8は図7の時系列分析シートに対応するプラントの要部構成を示すブロック図である。図8において、POLは重合槽、ST1,ST2はストレーナ、DRYは乾燥機、SHIはシフター、P1,P2はそれぞれストレーナST1,ST2の出口の圧力計、F1は乾燥機DRYへの原料の供給流量を測定する流量計、Tinは乾燥機DRYの入口の温度計、Toutは乾燥機DRYの出口の温度計、P3はシフターSHIの出口の圧力計である。
図8に示すプラントは、乾燥工程の部分のみを示している。この乾燥工程は、重合槽POLで化合物を生成し、生成した原料をストレーナST1,ST2のいずれか一方で濾した後に乾燥機DRYで乾燥させ、乾燥させた原料をシフターSHIでふるいにかけるという工程である。
このような乾燥工程において、ある日の4時26分に以下のようなトラブルが発生した。まず、重合槽POLによる反応工程の停止後(4時26分)、追出しタンクフィードに切替え直後から、流量計F1において流量変動が大きくなった。そのため、ストレーナST1からストレーナST2に切替えたが、10分以内でストレーナST2が詰り、温度計Toutにおいて乾燥機出口の温度が上昇した。次に、ストレーナST1を掃除中に流量計F1の流量が0になったので、乾燥機出口温度の上昇を防止するために、温度計Tinにおける乾燥機入口温度を手動操作(MAN)でT1℃からT2℃に下げた。手動操作だったため、乾燥機入口温度が結果的にT3℃まで低下した(T1>T2>T3)。そのため、シフターSHIの金網目詰りでシフターオーバーが発生した。
図7に示した時系列分析シートは、以上のようなトラブルを基に作成されたものである。まず、手順1では、4時26分に運転員が原料の流量変動に気付いた(A/M14は「M」)。リスク評価15としては、製品の品質に影響が出ることが考えられるため、危険の種類16が「Q」と判断され、危険の影響度17が軽度の「4」、発生頻度17が「B」と判断された。運転員は、この流量変動をストレーナST1の詰まりと判断し(A/M19は「M」)、ストレーナST1からストレーナST2に切り替える操作を行い、ストレーナST1を掃除した(A/M21は「M」)。この手順1の作業では、ストレーナの詰まりが多く、手作業で掃除するため、仕事の難しさ23の分類24として、反復作業を示す「G2」と、時間に急かされることを示す「P1」と、肉体的負担が大きいことを示す「W3」が入力されている。
続いて、手順2では、ストレーナST2への切り替え直後は流量が安定していたが、4時30分に運転員が原料の流量が0になったことに気付いた(A/M14は「M」)。危険の種類16は上記と同様に「Q」と判断されたが、危険の影響度17はより影響度の大きい「3」と判断された。運転員は、流量が0になった原因をストレーナST2の詰まりと判断したが(A/M19は「M」)、ストレーナST1を掃除していたため、ストレーナST1に切り替えることができず、結果として乾燥機出口の温度がT4からT5へ急上昇した。この手順2の作業では、仕事の難しさ23の分類24として、反復作業を示す「G2」が入力されている。
次に、手順3では、乾燥機出口温度が上昇したため、4時31分頃に、運転員は乾燥機空気温度を手動操作でT1℃からT2℃に下げた(A/M21は「M」)。この手順3の作業では、仕事の難しさ23の分類24として、作業に対する知識や経験、技量が必要であることを示す「G1」と、時間に急かされることを示す「P1」が入力されている。
最後に、手順4では、シフターSHIの検知手段(不図示)からの通知により、シフターオーバの発生が検出された(A/M14は「A」)。危険の種類16は、上記と同様に「Q」と判断されたが、発生頻度17は、現象が数年に一回起こることを示す「C」と判断された。運転員は、乾燥機入口温度がT3℃まで低下したため、シフターSHIの金網の目詰りと判断し(A/M19は「M」)、装置を停止させて、シフターSHIの充填量を確認し、シフターSHIから製品サンプルを採取して、シフターSHIの金網を交換した。
以上が、乾燥工程のトラブルに応じて作成された時系列分析シートである。作成された時系列分析シートは、記憶装置3に記憶されているので、次のトラブルの発生時にはトラブルに該当する時系列分析シートを検索して、表示装置4に表示させることができる。検索の方法としては、運転員が入力装置2を操作して所望のキーワードを入力し、制御装置5の取得手段51が入力されたキーワードを含む時系列分析シートを記憶装置3から取得して、表示装置4に表示させてもよいし、検知手段によって自動的に検出されたプラントの異常現象に対応する時系列分析シートを取得手段51が自動的に検索して、表示装置4に表示させるようにしてもよい。
こうして、時系列分析を行うことで自然に異常時対応のSOP化が可能になり、プラントの異常状態に応じてその処置策を運転員に与えるツールとして、プラント運転支援装置1を利用することができる。
また、本実施の形態によれば、運転員の技術向上を支援するツールとして、プラント運転支援装置1を利用することができる。例えば運転員が技術グループメンバーとオペラビリテイ・スタデイの一形態であるPKY(プロセス危険予知)を行うとき、時系列分析シートを用いることが考えられる。こうすることによって以下の効果が期待できる。
(1)運転員が時系列分析シートに入力することによって、異常時の対応の訓練となる。
(2)運転員が異常事例に対する思考と行動を振返ることによって、経験を正しい知識で見直し、正しいオペレーションを見出すことができる。
(3)運転員がプラントの状況とリスクの関連性を把握することができ、運転員の状況判断力を向上させることができる。
(4)運転員に運転ノウハウを提供し、運転ノウハウを世代を超えて伝承することができる。
従来のHAZOPは、オペラビリティスタディの有力な一手法であるが、主に装置、機器の安全性評価を対象とした手法であり、人間の役割を明確に定義することが第一目的ではなかった。HAZOP分析では、人的作業の難しさについての評価が行いにくい。そのため、人とシステムの役割の設計には経験等による個人差が生まれていた。本実施の形態では、時系列分析シートを用いることにより、人とシステムの役割分担、人的作業の難しさが明確になる仕組みとなっており、経験による個人差が生まれにくい。
なお、本実施の形態におけるプラント運転支援装置1は、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このようなコンピュータを動作させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供される。CPUは、読み込んだプログラムを記憶装置に書き込み、このプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、化学プラント等の運転及び運転員の技術向上を支援する技術に適用することができる。
本発明の実施の形態に係るプラント運転支援装置の構成を示すブロック図である。 図1のプラント運転支援装置における制御装置の構成例を示すブロック図である。 図1のプラント運転支援装置で表示する時系列分析シートの構造を示す図である。 プラントの異常現象が引き起こす危険の種類と危険の影響度の1例を示す図である。 プラントの異常現象の発生頻度の1例を示す図である。 運転員の仕事の難しさの分類の1例を示す図である。 時系列分析シートの1例を示す図である。 図7の時系列分析シートに対応するプラントの要部構成を示すブロック図である。 従来のプラント運転支援装置の進捗状況画面を示す図である。 従来の他のプラント運転支援装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…プラント運転支援装置、2…入力装置、3…記憶装置、4…表示装置、5…制御装置、6…状態入力装置、50…作成手段、51…取得手段、52…出力手段。

Claims (6)

  1. プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを、運転員の入力操作又はプラントの状態を検知する検知手段からの状態入力に応じて作成する作成手順と、
    記憶装置に記憶された前記時系列分析シートの少なくとも一部を、運転員の入力操作又は前記検知手段からの状態入力に応じて取得する取得手順と、
    前記取得した時系列分析シートを表示する表示手順とを、
    プラント運転支援装置として動作するコンピュータが記憶装置に記憶されたプログラムに従って実行することを特徴とするプラント運転の時系列分析シートの表示方法。
  2. 請求項1記載のプラント運転の時系列分析シートの表示方法において、
    前記思考内容は、プラントの異常現象の発見、この異常現象の影響の予測、前記異常現象の原因の推測、前記異常現象に対して施す処置、処置した結果のプラントの状態という一連の流れ、及び運転員の仕事の難しさを示す前記標準的思考順序に従って記述されることを特徴とするプラント運転の時系列分析シートの表示方法。
  3. 請求項1記載のプラント運転の時系列分析シートの表示方法において、
    前記取得手順は、運転員が入力したキーワードに対して、このキーワードを含む前記時系列分析シートを前記記憶装置から取得することを特徴とするプラント運転の時系列分析シートの表示方法。
  4. プラント運転における運転員の標準的思考順序に従ってプラント異常時の運転員の一連の思考内容を第1の方向に沿って記述し、かつ時刻の経過に伴う運転員の思考及び行動の遷移とプラント状態の遷移を第2の方向に沿って記述した時系列分析シートを、運転員の入力操作又はプラントの状態を検知する検知手段からの状態入力に応じて作成する作成手段と、
    前記作成された時系列分析シートを記憶する記憶装置と、
    この記憶装置に記憶された前記時系列分析シートの少なくとも一部を、運転員の入力操作又は前記検知手段からの状態入力に応じて取得する取得手段と、
    前記取得した時系列分析シートを表示する表示手段とを有することを特徴とするプラント運転支援装置。
  5. 請求項4記載のプラント運転支援装置において、
    前記思考内容は、プラントの異常現象の発見、この異常現象の影響の予測、前記異常現象の原因の推測、前記異常現象に対して施す処置、処置した結果のプラントの状態という一連の流れ、及び運転員の仕事の難しさを示す前記標準的思考順序に従って記述されることを特徴とするプラント運転支援装置。
  6. 請求項4記載のプラント運転支援装置において、
    前記取得手段は、運転員が入力したキーワードに対して、このキーワードを含む前記時系列分析シートを前記記憶装置から取得することを特徴とするプラント運転支援装置。
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