JP2008197399A - 偏光顕微鏡,偏光顕微鏡用ユニット - Google Patents

偏光顕微鏡,偏光顕微鏡用ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は,偏光顕微鏡において,主に対物レンズの偏光変換作用により発生する背景雑音光を低減させることができる偏光顕微鏡,及び偏光顕微鏡用ユニットを提供することを目的とする
【解決手段】 上記の課題は光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),対物レンズ(4),及び光補正素子(5)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,前記第1の偏光子(2)は,透過軸方向が一様な偏光子であり,前記光補正素子(5)は,対物レンズの射出瞳面より後方に位置し,前記光補正素子(5)は,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備する偏光顕微鏡により解決される。
【選択図】 図1

Description

本発明は,偏光顕微鏡,及び偏光顕微鏡用ユニットなどに関する。より詳しく説明すると,本発明は,観察試料の前後に透過軸方位の直交する偏光子を配置することにより,観察試料による偏光変換作用を受けなかった光を遮断することで,例えば透明な観察試料の微小な構造異方性を高いコントラストで観察することができる偏光顕微鏡などに関する。
偏光子は,入射光のうち透過軸に沿った偏光成分のみを透過させる作用を有する素子である。偏光子は,偏光状態を測定する用途や,偏光を利用した顕微鏡,サングラスなどに広く用いられている(たとえば,特許3486355号公報(下記特許文献1)を参照)。通常の偏光子は,直線で示される一方向の透過軸とこれに直交する一方向の遮断軸を有する。
また,偏光顕微鏡は,バイオサイエンス,工業計測,理学計測に常用される重要な光学技術・光学製品である。微細で通常透明な生体構造を観察するために,試料を光が通過する際の偏光状態変化が有用である:試料を直線偏光ビームで照射した時,試料の複屈折性または試料と外部媒質の界面におけるリターダンスにより直交方向偏光成分が発生する。
偏光顕微鏡が観測する対象の直交成分は,通常微弱である。顕微鏡内部で発生する偏光変換は背景雑音光となるので極力抑圧しなければならない。また,より微弱な信号を観察する為にも,背景雑音光の低減は重要である。
偏光顕微鏡においては観察試料がない場合,観察像が完全に暗くなることが望ましい。しかしながら,顕微鏡内にはそれと矛盾する効果があり,空間分解能を高め試料から発生する光を効率よく集めようとすると矛盾が顕著になる。
試料を高い空間分解能で観察する目的には,対物レンズのNA(開口数)を大きくすることが必要である。この場合,光線がレンズに大きな角をなして入射あるいは出射することが不可避である。そのような光学系の内部で偏光の変換が生ずる。
図7は,偏光変換を示す図である。図7(a)は電界の振動方向が紙面に垂直なs波を示し,図7(b)は電界の振動が紙面に平行なp波を示す。図7に示されるように,入射面(界面に垂直な面=紙面)に垂直な電界振動成分からなるs偏光と,入射面に平行な電界振動成分からなるp偏光とで反射率,透過率が異なるため,両方の重ね合わせで構成される波は一般に偏光変換をうける。
図8は,p偏光,s偏光の比が1対1である直線偏光が,屈折率1.5の媒質に空気から入射したときの偏光変換とそれによる直交偏光の発生量を示すグラフである。ただし図中の反射防止膜とは屈折率ルート1.5=1.225, 厚さ0.204波長の膜を指す。図8に示されるように,反射防止膜のないときは約30度,ある時は約60度を超える入射角に対しては−30dB以上の偏光変換が生ずることがわかる。
図9は,従来の偏光補償を用いた偏光顕微鏡の概略構成図である。図9に示されるように,上記の偏光変換を補償するような素子の挿入箇所として,通常対物レンズの射出瞳面近傍が一般的である。一方,通常は対物レンズの射出瞳面は,対物レンズ群の内部に位置するため,補償素子の挿入が極めて困難であった。
特許3486355号公報
本発明は,偏光顕微鏡において,主に対物レンズの偏光変換作用により発生する背景雑音光を低減させることができる偏光顕微鏡,及び偏光顕微鏡用ユニットを提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は,基本的には,光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),対物レンズ(4),及び光補正素子(5)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,前記第1の偏光子(2)は,透過軸方向が一様な偏光子であり,前記光補正素子(5)は,対物レンズの射出瞳面より後方に位置し,前記光補正素子(5)は,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備する偏光顕微鏡に関する。
1/4波長板(11),及び1/2波長板(12)が,対物レンズによる偏光のずれを補正するので背景雑音光を低減させることができる。
特に,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となるものは,対物レンズによる偏光のずれを適切に補正する。
本発明の第2の側面は,対物レンズからの偏光を補正するための偏光顕微鏡用ユニットであって,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備し,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となる,偏光顕微鏡用ユニットである。
本発明によれば,偏光顕微鏡において,主に対物レンズの偏光変換作用により発生する背景雑音光を低減させることができる偏光顕微鏡,及び偏光顕微鏡用ユニットを提供することができる。
以下,図面を用いて,本発明を具体的に説明する。図1は,本発明の偏光顕微鏡の例を示す概略図である。図1(及び図3)に示されるように,本発明の偏光顕微鏡は, 光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),対物レンズ(4),及び光補正素子(5)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,前記第1の偏光子(2)は,透過軸方向が一様な偏光子であり,前記光補正素子(5)は,対物レンズの射出瞳面より後方に位置し,前記光補正素子(5)は,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備する偏光顕微鏡である。図中符号1aは,拡散板の拡散面を示す。符号21は光源を示し,符号22はコレクタレンズを示し,符号23は視野絞りを示し,符号24はコンデンサ絞りを示し,符号25はコンデンサレンズを示し,符号26は射出瞳を示し,符号27は焦点を示し,符号28は像面を示す。なお,第2の偏光子(13)はなくても構わない。
光源(21)からの光は,拡散板の拡散面(1a)で拡散される。そして,それらの光はコレクタレンズ(22)で集光され,視野絞りで絞られる。コレクタレンズ(22)を経た光は,第1の偏光子(2)は透過軸が一様であり,第1の偏光子(2)により偏光が施される。第1の偏光子(2)を経た光は,コンデンサ絞り(24)により,絞られコンデンサレンズ(25)で集光される。コンデンサレンズ(25)で集光された光が,試料(3)に照射される。試料(3)に照射された光は,対物レンズ(4)を経て,光補正素子(5)へと到達する。光補正素子(5)では,対物レンズによる偏光歪みが補正され,偏光歪みが補正された像が,得られることとなる。そして,偏光歪みが補正された像が受光素子などで受光されるので,偏光歪みが補正された像が得られることとなる。
本発明における好ましい態様は,前記光源面(1)が,拡散面(1a)である。すなわち,本明細書において,「光源面」とは実物としての光源の面であり,実効的な光源面とはその面における光の統計的な性質がインコヒーレント光源から出た光と同等であることを意味する。光源面は,例えばインコヒーレント光源から出た光を空間伝搬させ続いて散乱性の板を通して再ランダム化するその面であっても良い。再ランダム化された光が偏光子を通ったあと全方向に放射された波が再度結像されたとき,共役面では干渉して定まった偏光状態を作り出す。
本発明における好ましい態様は,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なる1/4波長板であり,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なる1/2波長板である,上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。このように,主軸角が一様でない波長板を用いることで,対物レンズによる偏光の歪みを適切に補償できることとなる。
本発明における好ましい態様は,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となる,上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。1/4波長板が,対物レンズによる偏光歪みを補正し,1/2波長板が偏光方向を補正するので,対物レンズによる偏光の歪みを適切に補償できることとなる。
本発明における好ましい態様は,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,自己クローニング法により製造されたものであり,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となり,自己クローニング法により製造されたものである,上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。
通常の波長板は,主軸方向が一様である。一方,本発明の好ましい態様のように,対物レンズによる偏光のずれを効果的に補正するためには,波長板の各所で,偏光のずれを適切に補正できるように,主軸が異なることが望ましい。そのような偏光がなだらかに変化するような波長板であっても,自己クローニング法によれば容易に製造できる。すなわち,主軸が適切なものとなるように2次表面においてパターンを製造し,その後自己クローニング法により結晶を成長させればよい。
本発明における好ましい態様は,前記1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13),又は,前記1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)は,一体となり光補正素子(5)を構成する,上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。このように光補正素子(5)が一体として成型されるので,容易に運搬することができ,光学系の中に入れることができる。
本発明における好ましい態様は,前記光補正素子(5)は,前記対物レンズ(4)の焦点から,対物レンズの像面までの空間に位置する上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。すなわち,本発明においては,結像した後に,上記の偏光のずれを補正するものであってもよい。
本発明における好ましい態様は,前記光補正素子(5)は,前記対物レンズ(4)の対物レンズの射出瞳面から,対物レンズの焦点までの空間に位置する上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。すなわち,本発明においては,結像する前に,上記の偏光のずれを補正するものであってもよい。
前記1/4波長板(11),1/2波長板(12)の両方又はいずれかは,光源面(1)と共役な面であって,第1の偏光子(2)と対物レンズ(4)との間にあっても構わない。このような場合であっても,対物レンズによる偏光のずれを適切に補正できる。具体的な位置は,第2の偏光子(2)とコンデンサレンズ(25)との間があげられ,第2の偏光子(2)とコンデンサ絞り(24)との間であってもよい。すなわち,光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),及び対物レンズ(4)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,対物レンズ(4)による偏光歪を補正するための光補正素子(5)を具備し, 前記光補正素子(5)は,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備し,前記1/4波長板(11),1/2波長板(12)の両方又はいずれかは,光源面(1)と共役な面であって,第1の偏光子(2)と対物レンズ(4)との間に設けられる偏光顕微鏡であってもよい。以下,本発明の原理を説明する。
顕微鏡は内部にいくつもレンズを持っていることから,
光源そのものの像が結ばれる面が内部に複数個所できるのが一般的である。たとえば,光源をフィラメント(豆電球)として,拡散板が無いものとする。すると,光源の像が得られる面に紙などを入れて投射された光を見ると,フィラメントの光源の像(らせん状の光る線)が形作られる。このような面を,光源に共役な面とよぶ。一方,通常の顕微鏡使用者は,上記のような光源の像を見たいわけではなく,観察試料の像を得たい。観察試料の像を結ぶ面は,大雑把には観察試料より後段にあるレンズの数だけあることになる。そのどこかにカメラなどを配置すれば試料の像を得ることができる。このような面を,一般に像面とよぶ。次に,光源の位置を対物レンズに近づけたり遠ざけたりした場合に起きることを考える。観察者は常に像面にカメラを配置していると想定する。すると,常に観察試料の像は見えているが,光源の共役面と像面とが一致するような光源の位置になったときには,光源のフィラメントと観察試料の像の両方が重なった像が得られる。そこから光源の位置をシフトさせてゆくと,光源の像はぼけてゆき,いずれ一様な光に照らされた観察試料のきれいな像が見えてくる。当然この状態が通常望まれる配置となる。つまり光源に共役な面と像面とのズレが最大の構成となる。このように,光源にムラがあっても光源自体の像が完全にぼけてしまうような照明をケーラー照明と呼び,広く利用されている。
ケーラー照明では,光源に共役な面は対物レンズの射出瞳面に一致する。本来ケーラー照明は光源の像を観察像に重ねたくないときに有効な照明法である。しかしながら,もしも一様な光源であれば,この配置にこだわる必然性はなくなる。また,像面に光源の共役面を一致させる程光源の位置をずらさなくても,光補正素子を挿入すべき面は十分に便利な位置までずれる。その場合,多少の光源のムラも観察像にそのまま反映されるわけでない。つまり,それなりに一様な光源であれば,光源の位置を自由に変えることが可能にな
り,これによって光源に共役な面,つまり補正素子をなるべくその近傍に入れたい面は,
対物レンズの射出瞳面から逃がすことが容易になる。
顕微鏡には互いに対をなす面「共役面」があり,前方面における光強度の空間分布が後方面上で(拡大縮小,180度回転を別として)再現される。その2面を互いに共役な面という。例えば図9のいわゆるケーラー照明では,光源面・コンデンサ絞り面・射出瞳面が互いに共役であり,また視野絞り面・物体面・像面が互いに共役である。共役な二つの面をU,Vとすると,U,Vはほかにも無数に存在する。
本発明者らは周回方向偏光,放射型偏光の顕微鏡内伝搬の解析を行い次の結論を導いた。すなわち,Uの一小部分で偏光状態を直線偏光または楕円偏光に任意に規定したとき,その部分がV上に像を結ぶ小部分では一般に変換を受け,別の直線偏光または楕円偏光に定まる。光源がコヒーレントであってもインコヒーレントであっても偏光状態の変換はランダムでなく光学系により定まる規則に従う。
その知見により,次の偏光変換補正法が可能になる。光源面をUに選ぶ。Uから出た光を直線偏光子で直線偏光化する。対物レンズなどを通ってV上で複雑な偏光状態分布をもつ光ビームが得られる。Vの上の場所ごとに主軸方向と楕円率が徐々に変化する偏光状態分布得られるので,例えば主軸方向が場所により徐々に変化する1/4波長板により偏光状態分布を方向が空間的に分布している直線偏光分布に変換し,同じく場所ごとに主軸方向が徐々に変化する1/2波長板で主軸方向が一様な直線偏光に補正することができる。例えば図4に示す偏光状態分布を補正する構造を求める。楕円の軸の最大傾き10度,最大楕円率角20度として図5のような主軸角分布が得られる。このように主軸角が場所ごとに変化する波長板は従来の作製方法では得られないが,発明者らが先に開発している自己クローニングによるフォトニック結晶では概念を図6に示すような構造によって工業的に作製が可能となっている。
なお,光源面とは実物としての光源の面であり,実効的な光源面とはその面における光の統計的な性質がインコヒーレント光源から出た光と同等であることを指す。例えばインコヒーレント光源から出た光を空間伝搬させ続いて散乱性の板を通して再ランダム化するその面であっても良い。再ランダム化された光が偏光子を通ったあと全方向に放射された波が再度結像されたとき,共役面では干渉して定まった偏光状態を作り出す。顕微鏡内には無数の共役面対が可能であるから,1/4波長板,1/2波長板による補正板を設ける位置には選択の自由がある。利用目的に沿って最も有利な位置に補正板をおき,それと共役な位置に来るよう光源面を設置するのが適切である。
本発明を用いると,偏光顕微鏡において,高倍率対物レンズなどの偏光変換作用による背景雑音光を抑制することが可能になり,高い解像度で例えば透明な観察試料の微小な構造異方性を観察することを可能になる。
また,前記効果を実現する為の補正素子の挿入位置を,従来の対物レンズ射出瞳面近傍に拘束されること無く,容易に着脱可することを可能にする。
以下,図面に従って,本発明を詳細に説明する。図1は光源の後段に拡散板を配置し,対物レンズ射出瞳面以降の拡散板との共役面に補正素子群及び偏光子を配置した例である。
コンデンサレンズ及びその前段には偏光変換作用が無視できないほどの高倍率のレンズが用いられないのが一般的であるので,偏光子の位置は物体面と拡散板の間であればどこでも良い。
図2は,高倍率対物レンズにより発生する偏光変換作用の空間分布を模式的に示す図である。図2に示されるように,光軸中心に対して入射光の偏光方向とこれに直行する方向へは偏光変換されない。一方で入射光に45度傾いた方向で最も大きく偏光変換が発生し,主軸方位の傾きと直線偏光から楕円偏光への変換とが同時に発生する。
このような空間分布の偏光を元の一様な直線偏光に補正することが偏光補正素子の機能であり,以下に前段にλ/4波長板からなる補正板,後段にλ/2波長板からなる補正板の順に配置された場合の補正手順を説明する。
図3は,光補正素子の例を示す図である。図3に示されるように,光補正素子(5)は,たとえば,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するものがあげられる。これらの素子の順序はこれと異なってもよい。図4は,それぞれの軸と偏光の様子を示す概念図である。図4(a)は,楕円偏光と1/4波長板の軸方向を示し,図4(b)は補正されて得られた直線偏光と1/2波長板の軸方向を示す図である。図4(c)は補正された光の軸を示す。図4に示されるように,λ/4波長板の軸を入射する楕円偏光の主軸方位と一致させることにより,入射光は直線偏光に変換される。更に図4(b)に示すように,λ/2波長板に入射する直線偏光は,λ/2波長板の主軸方位を目標とする偏光方位と入射光の偏光方位の中間の角度に設定することにより,目的とする方位の直線偏光を得ることができる。
以上のような処理を,角空間位置毎に行うことで,対物レンズなどによって生じた偏光変換を補正することが出来る。ただし,前記の処理を実現する為には,λ/4波長板やλ/2波長板の主軸方位を,例えば図5に示すような任意の空間分布に配置できることが好ましい。図5は,波長板の軸を示す概念図である。このような波長板は通常の水晶波長板などでは実現不可能であるが,自己クローニング法を用いたフォトニック結晶波長板であれば容易に実現できる。たとえば図6に示すようになだらかに方位の変化する凹凸溝を有するフォトニック結晶波長板は,前記の機能を実現する。図6は,波長板の例を示す概念図である。
更にこのような光補正素子の挿入位置として,対物レンズの射出瞳位置を選択することは必ずしも必要ではなく,光源面と共役な位置であればよい。具体的には,1/4波長板(11),1/2波長板(12),又は1/4波長板(11)及び1/2波長板(12)の中間位置,波長板と第2の偏光子の間の領域が,光源面と共役となるようにすればよい。
本発明の好ましい態様は,前記1/4波長板(11),及び1/2波長板(12)の両方が,光源面(1)と共役な面に設けられる,上記いずれかに記載の偏光顕微鏡である。たとえば,フォトニック結晶波長板を用いた場合,いずれの波長板素子もガラス基板上の薄膜で構成される。よって,2枚の波長板を向かい合わせに張り合わせることで,2枚の波長板を同一面上に配置することができる。
本発明の好ましい上記とは別の態様は,光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),対物レンズ(4),及び光補正素子(5)が,この順に配置された偏光顕微鏡において, 前記第1の偏光子(2)は,透過軸方向が一様な偏光子であり,前記光補正素子(5)は,対物レンズの射出瞳面より後方に位置し,前記光補正素子(5)は光源面(1)に共役な面近傍に配置され,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備する偏光顕微鏡である。この偏光顕微鏡においても,上記した各種の構成を適宜採用できる。光補正素子(5)が位置する「光源面(1)に共役な面近傍」とは,光源面(1)に共役な面から,多少ずれていても良い位置という意味である。すなわち,本発明では「光源面(1)に共役な面」に位置するとは,厳密な意味で光源面(1)に共役な面に位置するのみならず,光学的に許容される範囲内で多少のずれが生じていても良い。
本発明の第2の側面は,対物レンズからの偏光を補正するための偏光顕微鏡用ユニットであって,1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備し,前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なり,その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となる,偏光顕微鏡用ユニットに関する。
すなわち,本発明の光補正素子(5)は,対物レンズの特性を把握することで製造できるので,対物レンズによる偏光のずれを補正するためのユニットとして有効に利用されうる。
本発明の偏光顕微鏡は,顕微鏡などの光学機器の分野で利用されうる。
図1は,本発明の偏光顕微鏡の例を示す概略図である。 図2は,高倍率対物レンズにより発生する偏光変換作用の空間分布を模式的に示す図である。 図3は,光補正素子の例を示す図である。 図4は,それぞれの軸と偏光の様子を示す概念図である。図4(a)は,楕円偏光と1/4波長板の軸方向を示し,図4(b)は補正されて得られた直線偏光と1/2波長板の軸方向を示す図である。図4(c)は補正された光の軸を示す。 図5は,波長板の軸を示す概念図である。 図6は,波長板の例を示す概念図である。 図7は,偏光変換を示す図である。図7(a)は電界の振動方向が紙面に垂直なs波を示し,図7(b)は電界の振動が紙面に平行なp波を示す。 図8は,p偏光,s偏光の比が1対1である直線偏光が,屈折率1.5の媒質に空気から入射したときの偏光変換とそれによる直交偏光の発生量を示すグラフである。 図9は,従来の偏光補償を用いた偏光顕微鏡の概略構成図である。
符号の説明
1 光源面
1a 拡散面
2 第1の偏光子
3 試料
4 対物レンズ
5 光補正素子
11 1/4波長板
12 1/2波長板
13 第2の偏光子
21 光源
22 コレクタレンズ
23 視野絞り
24 コンデンサ絞り
25 コンデンサレンズ
26 射出瞳
27 焦点
28 像面

Claims (11)

  1. 光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),対物レンズ(4),及び光補正素子(5)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,
    前記第1の偏光子(2)は,透過軸方向が一様な偏光子であり,
    前記光補正素子(5)は,対物レンズの射出瞳面より後方に位置し,

    前記光補正素子(5)は,
    1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,
    1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備する
    偏光顕微鏡。
  2. 前記光源面(1)が,拡散面(1a)である,
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  3. 前記1/4波長板(11)は,主軸角が場所ごとに異なる1/4波長板であり,
    前記1/2波長板(12)は,主軸角が場所ごとに異なる1/2波長板である,
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  4. 前記1/4波長板(11)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,

    前記1/2波長板(12)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となる,

    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  5. 前記1/4波長板(11)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,
    自己クローニング法により製造されたものであり,

    前記1/2波長板(12)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となり,
    自己クローニング法により製造されたものである,

    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  6. 前記1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13),
    又は,
    前記1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)は,
    一体となり光補正素子(5)を構成する,
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  7. 前記光補正素子(5)は,
    前記対物レンズ(4)の焦点から,対物レンズの像面までの空間に位置する
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  8. 前記光補正素子(5)は,
    前記対物レンズ(4)の対物レンズの射出瞳面から,対物レンズの焦点までの空間に位置する
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  9. 前記1/4波長板(11),及び1/2波長板(12)の両方が,光源面(1)と共役な面に設けられる,
    請求項1に記載の偏光顕微鏡。
  10. 光源面(1),第1の偏光子(2),試料(3),及び対物レンズ(4)が,この順に配置された偏光顕微鏡において,
    対物レンズ(4)による偏光歪を補正するための光補正素子(5)を具備し,
    前記光補正素子(5)は,
    1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,
    1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備し,
    前記1/4波長板(11),1/2波長板(12)の両方又はいずれかは,
    光源面(1)と共役な面であって,第1の偏光子(2)と対物レンズ(4)との間に設けられる
    偏光顕微鏡。
  11. 対物レンズからの偏光を補正するための偏光顕微鏡用ユニットであって,
    1/4波長板(11),1/2波長板(12)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備するか,
    1/2波長板(12),1/4波長板(11)及び第2の偏光子(13)をこの順で具備し,
    前記1/4波長板(11)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を前記対物レンズからの入射光の楕円偏光の主軸方向と一致し,
    前記1/2波長板(12)は,
    主軸角が場所ごとに異なり,
    その主軸方向を得ようとする偏光方向と,入射光の偏光の主軸方向との中間となる,
    偏光顕微鏡用ユニット。


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