JP2008197053A - 生体試料用の流路形成チップ及び生体試料用の流路形成チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射温度計のように測定対象物に応じて放射効率を補正することがなく、また、熱電対や白金測温抵抗体等のように高周波及び高電圧の影響を受けることがなく、高精度で温度の測定が可能な生体試料用の流路形成チップ、及び当該流路形成チップの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】生体試料を流動させるための流路が表面に設けられた板状の基板と、前記流路内の前記生体試料に接触可能な反射膜と、前記反射膜に装着された蛍光体と、前記蛍光体に励起光を照射する光源と、前記励起光による前記蛍光体の発光強度の減衰特性から前記生体試料の温度を測定する測温部と、前記蛍光体に前記光源及び前記測温部を連結する光ファイバと、を有する蛍光式温度測定部材と、を備え、前記蛍光体は、前記光ファイバの端部と前記反射膜との間に介在している流路形成チップ。
【選択図】図1(a)
【解決手段】生体試料を流動させるための流路が表面に設けられた板状の基板と、前記流路内の前記生体試料に接触可能な反射膜と、前記反射膜に装着された蛍光体と、前記蛍光体に励起光を照射する光源と、前記励起光による前記蛍光体の発光強度の減衰特性から前記生体試料の温度を測定する測温部と、前記蛍光体に前記光源及び前記測温部を連結する光ファイバと、を有する蛍光式温度測定部材と、を備え、前記蛍光体は、前記光ファイバの端部と前記反射膜との間に介在している流路形成チップ。
【選択図】図1(a)
Description
本発明は、生体試料の温度を測定するための手段を備える生体試料用の流路形成チップ、その流路形成チップの製造方法に関する。
近年、DNA、RNA、細胞といった種々の生体試料等に対する生化学的な分析操作は、流路形成チップを利用している。この流路形成チップはガラス、ポリマーからなる薄板状基板からなり、半導体集積回路に用いられる微細加工技術等を利用して、その基板表面に微細な流路が形成されている。そして、生体試料等の測定対象物を測定、分離等するために、流路形成チップの流路の両端に高電圧を印加することで形成された電気浸透流が利用される(電気泳動法)(例えば、特許文献1参照。)。
生化学的な分析操作を高い精度で行うためには、生体試料の温度管理を高精度で行うことが重要である。従来より、流路形成チップに用いられる温度測定手段としては、被測定物が放射する赤外線を検出する放射温度計(例えば、特許文献2参照。)や、2種類の異なる金属で閉回路を形成し、2箇所の接合点で温度差により生じる起電力(電圧)に基づき温度を測定する熱電対や、温度の変化を抵抗値若しくは定電流信号として取り出し、信号変換器により温度に換算して利用する白金測温抵抗体などが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−283173
特開2003−049832
特開平10−307065
ここで、生体試料の測定、分離等を高精度で行うためには、生体試料、もしくはその周囲の環境の温度を正確に測定し制御することが必要である。
ところが、測定対象物の材質や表面状態により赤外線の放射量に差異が生じる放射温度計を流路形成チップに適用した場合には、測定対象物の放射率を考慮して(すなわち放射量を補正して)、測定対象物の温度を算出する必要があり、その放射率を得るには手間がかかる。さらに、測定対象物以外から放射される赤外線をも区別されることなく放射量として測定してしまい、正確な温度測定が困難である。また、赤外線の波長サイズによっては、非常に高い温度分解能が要求され、正確な温度測定をするにはコストが嵩む恐れがある。
ところが、測定対象物の材質や表面状態により赤外線の放射量に差異が生じる放射温度計を流路形成チップに適用した場合には、測定対象物の放射率を考慮して(すなわち放射量を補正して)、測定対象物の温度を算出する必要があり、その放射率を得るには手間がかかる。さらに、測定対象物以外から放射される赤外線をも区別されることなく放射量として測定してしまい、正確な温度測定が困難である。また、赤外線の波長サイズによっては、非常に高い温度分解能が要求され、正確な温度測定をするにはコストが嵩む恐れがある。
また、熱電対や白金測温抵抗体などの温度測定手段を、流路形成チップに適用した場合には、電気浸透流を形成するために高周波の高電圧を印加する場合があるので、電気的な信号に基づいて温度を測定する温度測定手段では、信号ノイズが生じる場合があり、高い精度で温度を測定することが難しい。
そこで、本発明は、放射温度計のように測定対象物に応じて放射効率を補正することがなく、また、熱電対や白金測温抵抗体等のように高周波及び高電圧の影響を受けることがなく、高精度で温度の測定が可能な生体試料用の流路形成チップ、及び当該流路形成チップの製造方法を提供することを目的とする。
発明者等が鋭意検討した結果、蛍光体式測温手段は、高周波で高電圧の環境下で使用しても、信号ノイズの影響を受けることが相対的に小さいので、安定して高精度で温度測定ができるということを知得した。なお、蛍光式温度測定手段は、生体試料に接触した蛍光体を、パルス状の励起光を照射することにより発光させ、蛍光体の発光強度の時間に関する減衰曲線が温度に応じて変化するという物理的原理を応用したものである。
上記課題を解決するための本発明の流路形成チップの第1の態様は、生体試料を流動させるための流路が表面に設けられた板状の基板と、前記流路内の前記生体試料に接触可能な反射膜と、前記反射膜に装着された蛍光体と、前記蛍光体に励起光を照射する光源と、前記励起光による前記蛍光体の発光強度の減衰特性から前記生体試料の温度を測定する測温部と、前記蛍光体に前記光源及び前記測温部を連結する光ファイバと、を有する蛍光式温度測定部材と、を備え、前記蛍光体は、前記光ファイバの端部と前記反射膜との間に介在している。
また、本発明の流路形成チップの第2の態様によれば、反射膜は、熱伝導体である。
さらに、本発明の流路形成チップの第3の態様によれば、前記反射膜は、反射率が相対的に高い、金属膜もしくは誘電体多層膜である。
さらに、本発明の流路形成チップの第3の態様によれば、前記反射膜は、反射率が相対的に高い、金属膜もしくは誘電体多層膜である。
本発明の流路形成チップの第4の態様によれば、前記蛍光式温度測定部材が、複数配置されている。
本発明の流路形成チップの第5の態様によれば、前記光ファイバの一端部には、前記反射膜および前記蛍光体を覆うようにキャップが装着されている。
本発明の流路形成チップの第5の態様によれば、前記光ファイバの一端部には、前記反射膜および前記蛍光体を覆うようにキャップが装着されている。
さらに、本発明の流路形成チップの第6の態様によれば、前記流路の一端部と他端部それぞれに、前記生体試料を流動させるための電極が形成されている。
本発明の流路形成チップの第7の態様によれば、前記流路内で移動可能に配された検出媒体を備え、前記流路の途中には、前記検出媒体の移動を拘束する検出部が設けられている。
本発明の流路形成チップの第7の態様によれば、前記流路内で移動可能に配された検出媒体を備え、前記流路の途中には、前記検出媒体の移動を拘束する検出部が設けられている。
上記課題を解決するための本発明の生体試料用の流路形成チップの製造方法の第1の態様は、板状の基材と、蛍光式温度測定部材に連結可能な光ファイバと、を用意し、前記基板の表面の所定位置に前記光ファイバを固定し、前記基板の前記光ファイバが固定された面に光感応性樹脂を積層し、所定の流路パターンを有するマスクを介して前記光感応性樹脂に紫外線を照射し、前記光感応性樹脂を現像し、前記所定の流路パターンを有する流路を形成し、前記光ファイバの一端部は、前記流路を移動する前記生体試料に接するように前記流路に面するように配置される。
さらに、本発明の生体試料用の流路形成チップの製造方法の第2の態様によれば、前記流路の一端部と他端部それぞれ前記光感応性樹脂はポジ型又はネガ型である。
また、本発明の生体試料用の流路形成チップの製造方法の第3の態様によれば、前記基板に固定される前記光ファイバは複数である。
また、本発明の生体試料用の流路形成チップの製造方法の第3の態様によれば、前記基板に固定される前記光ファイバは複数である。
本発明によれば、蛍光式温度測定手段を用い、生体試料に接触する蛍光体にパルス上の励起光を照射することによる蛍光物質の光強度の減衰曲線を測定することにより、生体試料を測定するので、放射温度計と異なり放射効率を補正する必要もない。また、蛍光式温度測定手段は、高周波で高電圧の影響が非常に小さい。結果として、生体試料の温度を高精度で測定できる生体試料用の流路形成チップ、及び当該流路形成チップの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の生体試料用の流路形成チップを適用した実施形態について図面を参照しつつ説明する。各図面中、同一要素は同一符号で示してある。
(実施形態1)
本発明の実施形態1である流路形成チップについて、図1、2を参照しつつ説明する。図1(a)は、流路形成チップの斜視図である。図1(b)は図1(a)の流路形成チップの平面図である。図2は、蛍光性温度測定手段の構成図である。図2は、蛍光式温度測定部材の構成を模式的に示す図である。尚、図1(a)、(b)は、構成を理解を容易にするため光ファイバが露出した状態で示している。同様に、図1(b)から後述のCCDカメラ23を割愛した。
本発明の実施形態1である流路形成チップについて、図1、2を参照しつつ説明する。図1(a)は、流路形成チップの斜視図である。図1(b)は図1(a)の流路形成チップの平面図である。図2は、蛍光性温度測定手段の構成図である。図2は、蛍光式温度測定部材の構成を模式的に示す図である。尚、図1(a)、(b)は、構成を理解を容易にするため光ファイバが露出した状態で示している。同様に、図1(b)から後述のCCDカメラ23を割愛した。
本実施形態の生体試料を検査するための流路形成チップ1は、DNAや細胞等の生体試料25を流動させるための流路5が表面に設けられた板状の基板3と、蛍光式温度測定部材13と、を備える。なお、基板3には、流路5と交差する方向に延びる生体試料を導入するための生体試料導入流路39を設けているが、本発明の必須構成要件ではない。
蛍光式温度測定部材13は、流路5内の生体試料25の温度を伝達可能な熱伝導体である反射膜31と、反射膜31に装着された蛍光体27と、蛍光体27に励起光を照射する光源9と、励起光による蛍光体27の発光強度の減衰時間から生体試料の温度を測定する測温部19と、反射膜31と光源9及び測温部19とを連結する光ファイバ7と、を有する。さらに、蛍光体27は、光ファイバ7の一端部7bと反射膜31との間に介在している。すなわち、蛍光体27は、光ファイバ7の一端部7bと反射膜31とに挟まれた構成である。なお、光源9としては、青色LED等の公知の発光手段を用いるこができる。
さらに、光ファイバ7の一端部7bには、反射膜31および蛍光体27を覆うように、断面が略U字状のキャップ33が装着されている。キャップ33は、流路5の一方の壁面5aの一部を構成している。従って、生体試料25の温度は、キャップ33、反射膜31を介して蛍光体27に伝達される。
なお、反射膜31及び蛍光体27が生体試料に直接接すると、生体試料の種類によっては、反射膜、蛍光体、生体試料の変質等を起こす場合がある。キャップ33は、このような好ましくない影響を防止するために使用している部材であり、本発明の必須構成要素ではない。また、キャップ33は、生体試料25に直接接する部材であるので、生体試料25の温度変化を忠実に反映するような熱伝達率の高い部材を使用することが望ましい。
また、光ファイバ7の一端部7bの垂直方向上方には、基板3を向いたCCDカメラである撮像装置23が配置され、流路形成チップ1を使用する者が流路5を移動する生体試料25を観察できる構成となっている。
さらに、図2を参照して蛍光式温度測定部材13について説明する。本実施形態の蛍光式温度測定部材13は、上記したように、反射膜31、蛍光体27、光源9、測温部19、光ファイバ7に加え、ビームスプリッタ29と、フィルタ35とを備える。ビームスプリッタ29は、光源9からの励起光を90度反射させて光ファイバ7に導波し、また、光ファイバ7を出射した蛍光体27からの光線53を透過させる部材である。また、フィルタ35は、蛍光体27からの光線53のうち、所定波長の光を透過させる部材である。
また、測温部19は、光検出部15と温度検出部17とを有する。光検出部15は、フィルタ35を透過した光を電荷に変換する光電変換部材であり、温度検出部17は、光検出部15で得られた電荷に基づいて算定された蛍光体の発光強度の減衰特性と、予め格納されている蛍光輝度の減衰特性とを比較して、温度を測定する部材である。
上記構成の蛍光式温度測定部材13において、光源9から照射される励起光51は、図2中の上下方向上方に進行する。さらに、ビームスプリッタ29により励起光51を90度反射させ光ファイバ7内の端部7aへ導入する。光ファイバ7内を進行する励起光51は、光ファイバ蛍光体27に到達し蛍光体27が発光する。蛍光体27から放出される放出光53は、直接光ファイバ7の端部7a側に進行する光線と、反射膜31で反射し光ファイバ7内を端部7a側に進行する光線から構成される。放出光53は、光ファイバ7の端部7aから出射し、ビームスピリッタ29、フィルタ35を透過し測温部19内に入射する。上述のように測温部19において蛍光体の発光強度の減衰に基づき生体試料の温度が計測される。
次に、光ファイバに蛍光体及び反射膜を形成する工程について図3を参照して説明する。図3(a)〜(c)は、測温部19に連結される測温光ファイバ7を作製する工程を示す横断面図である。図3(a)に示されるように、最初に、光ファイバ7の端面7bに蛍光体27を作製する。蛍光体の作製は、例えば、蛍光体(微粒子)を樹脂に混入した材料を成膜したり、蛍光フィルムを貼り付けることにより行われる。次に、蛍光体27の端面に反射率の高い、金属膜(Au、Pt、Al、等)または誘電体多層膜(TiO2(n=2.4)/SiO2(n=1.46)による多層膜等)などの反射膜31を真空蒸着等により形成する(図3(b)参照)。最後に、光ファイバ7の端面7b、蛍光体27、反射膜31を覆うようにキャップ33を装着する。
さらに、流路形成チップの作製方法について図4を参照しつつ説明する。図4(a)〜(d)は、流路形成チップ1を作製する工程を示す横断面図である。
さらに、流路形成チップの作製方法について図4を参照しつつ説明する。図4(a)〜(d)は、流路形成チップ1を作製する工程を示す横断面図である。
まず、板状のガラス基材3aを用意する。次に、図4(a)に示されるようにガラス基材3aの上面の所定位置に光ファイバ7(図3参照。)を接着剤等により固定する。さらに、ガラス基材3aの上面に、光ファイバ7を覆い、かつ、流路の流路壁を構成する流路構成部材3bを所定厚さで積層する。流路構成部材3bの材料としては、PMMA(ポリメチルメタクリレート:poly(methylmethacrylate))、PDMS(ポリディメチルシロキサン:poly(dimethylsiloxane))、ポリカーボネート、レジスト類などを主とした感光剤を含む部材である。このように、基板3は、それぞれ材質の異なるガラス基材3aと流路構成部材3bから構成したが、基材と流路構成部材とを同じ材料としてもよいことは言うまでもない。なお、図1においては、構成の明瞭化のため、基材と流路構成部材とを同一の部材である基板として説明した。
次に、流路構成部材が感光性材料から形成されている場合、流路パターンが形成されたマスク37を介して、流路構成部材3bに紫外線を照射し露光を行う(図3(c)参照)。次は、露光された部分(ポジ型)または露光されなかった部分(ネガ型)を現像除去することにより流路5が形成される。もちろん、第1実施形態同様にポジ型の光感応性樹脂を用いてもよいことは言うでもない。なお、流路構成部材に感光性材料を用いない場合には、流路パターンを有する鋳型に樹脂材料を流し込み、樹脂材料を固化させた後、鋳型より引き剥がして流路を有する流路構成部材を得る。
上記構成の流路形成チップの使用方法について説明する。流路5、生体試料導入路39の全体に緩衝液を満たす。その後、生体試料導入路39の両端に電圧を印加し、生体試料導入路39の一端から生体試料であるDNAを導入すると、DNAで生体試料導入路が均一にみたされる。次に、印加電圧を切り替え、流路5に電圧をかけると、流路5と試料導入路39の交差部に存在する一定量のDNAが流路5へと移送される。
その一定量のDNAが流路5内を移動し、光ファイバ7のキャップ33の近傍を通過する際、光源9からのパルス状の励起光51を照射する。励起光51に励起された蛍光体27が発した放射光53は、ビームスプリッタ29、フィルタ35を経由して測温部19に到達する。そして、測温部19により、DNAの温度が算出される。
このように、電界によって生体試料を移動させる場合のように、高電圧、高周波が負荷される環境であっても、生体試料の測温を高精度でかつ簡易な構成において行うことができる。
なお、上記説明において、測温対象物はDNAであるが、RNA、タンパク質、ミトコンドリア等の細胞内器官、単一の細胞等でも本発明の蛍光式温度測定部材を有する流路形成チップを利用できることは言うまでもない。
上記実施形態では、単一の蛍光式光ファイバを流路形成チップに設ける構成としたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、流路5に沿って、光ファイバを複数設置する構成とすることができる。この構成によれば、流路内を移動する生体試料の温度分布を検出することが可能となる。
(実施形態2)
本発明の蛍光式温度測定部材を備える流路形成チップの第2の実施形態について図5、6を参照しつつ説明する。本実施形態の流路形成チップは、生体試料中の所定の検出物を捕集するために使用される例である。図5は、流路形成チップ101の平面図である。図6は、図5の線VI−VIに沿った流路形成チップの断面図である。図7は、検出部の拡大図である。
本発明の蛍光式温度測定部材を備える流路形成チップの第2の実施形態について図5、6を参照しつつ説明する。本実施形態の流路形成チップは、生体試料中の所定の検出物を捕集するために使用される例である。図5は、流路形成チップ101の平面図である。図6は、図5の線VI−VIに沿った流路形成チップの断面図である。図7は、検出部の拡大図である。
流路形成チップ101は、略矩形状の板状部材であり、ガラス製の基材111の表面に、膜状電極116が積層され、さらに、膜状電極116の上に光感応性樹脂層112が積層される。
膜状電極116は、外部電極に接続され、流路形成チップ101に投入される生体試料を移動させるため電界が形成される。なお、図5中において、膜状電極116がハッチングで示されている。また、破線のハッチングは、光感応性樹脂層112の下側に延在することを示し、実線のハッチングは、露出していることを示す。
本実施形態では、膜状電極116として、上側にPtを、下側にTiを配置する2層構造とした。Tiにより、基材111との密着性を向上させることができ、Ptを用いることで、生体試料が接触することによる電解腐食を防止するためである。
なお、膜状電極116の露出する表面については、Au、Ag等の相対的に標準電極電位が高い材料とすることが電解腐食の観点から望ましい。
光感応性樹脂層112の表面には、流路パターンを有するマスクを介して紫外光を照射し、現像液で未硬化部分を溶解、除去すること(ネガ型)で、所定深さの凹溝102が形成される。なお、凹溝102は、4つであり、それぞれ同一形状、同一寸法である。
光感応性樹脂層112の表面には、流路パターンを有するマスクを介して紫外光を照射し、現像液で未硬化部分を溶解、除去すること(ネガ型)で、所定深さの凹溝102が形成される。なお、凹溝102は、4つであり、それぞれ同一形状、同一寸法である。
凹溝102は、生体試料投入槽131、廃液槽132、及び流路105から構成されている。また、凹溝102は、図5において上下対称である。すなわち、一対の略三角形状の溝を連結した形状である。図中において上側の略三角形状の部分が、試料投入槽131となり、連結部が流路105となる。また、流路105の延在方向のほぼ中央部には、検出部134が形成されている。
試料投入槽131及び廃液槽132は、生体試料を投入又は回収するためのものである。膜状電極116が試料投入槽131及び廃液槽132に延在し、それぞれ外部からの陽極または陰極が接続されている。よって、陽極電極に電圧を印加すると、電気浸透流が発生し、流路105内を、生体試料が試料投入槽131から廃液槽132、もしくは廃液槽132から試料投入槽131へと流れる。
流路105のほぼ中央部には、検出部134及び検出媒体であるシリカビーズ135が配置されている。流路幅及び流路深さは、生体試料に含まれる検出対象物質及びシリカビーズ135が通過できるようにシリカビーズの直径より大きく寸法付けられ、検出部134の流路幅及び流路深さはシリカビーズ135の直径より小さく寸法付けられている。よって、シリカビーズ135は、検出部134に引っ掛かる構成である。なお、流路105の、検出部134を除いた部分においても、シリカビーズが2個同時に通過できないように寸法づけされている。
シリカビーズ135は、例えばSiO2(シリカ)を主成分とする材料からなり、その表面に無数の細孔が設けられた球形状である。このシリカビーズ135の細孔に目的とする分子を吸着する。さらに、検出対象物を特定するために、タンパク分子等に反応する酵素等をプローブとして細孔に装着してもよい。
さらに、図3に示した光ファイバ7と同様の光ファイバ107の一端部が各検出部134の近傍で流路105に面して配置されている。なお、各流路105には、それぞれ光ファイバ107が設けられている。また、光ファイバ107の他端部は、流路形成チップ101の外部で蛍光式温度測定部材113の本体部114に連結されている。本体部114は、図2に示した構成と同様の、光検出部、温度検出部、光源、ビームスピリッタ、フィルタを備えている。
上記構成の蛍光式温度測定部材113を備える流路形成チップ101の動作は以下のようになされる。例えばDNA断片を試料投入槽131に投入する。膜状電極116の試料投入槽131側を陽極、廃液槽132側を陰極とし電圧を印加すると、試料投入槽131側から廃液槽132側への電気浸透流が形成される。DNA断片が試料投入槽131から廃液槽132方向へ移動する。DNA断片は検出部134を通過する際に所定のDNAがシリカビーズ135に吸着される。
上記検出作業の温度管理は、以下のように行われ、光ファイバ107を介して光源から励起光を照射し、蛍光体に到達する。そして蛍光式温度測定部材113の本体114において蛍光体からの放射光の光強度の減衰曲線を検出して検出部134近傍の温度を計測することができる。このように、温度測定は、実施形態1の構成と同様の方法で行われ、検出作業における温度管理を高精度で行うことができる。
なお、電気浸透流の流れ方向を廃液槽132側から試料投入槽131側へとしてもよいことは言うまでもない。但し、その場合には、シリカビーズを検出部において廃液槽側で引っ掛かるように配置することが必要である。
蛍光式光ファイバを各流路に一つづつ配置したが、流路に沿って複数配置したり、試料投入槽や廃液槽に設けてもよいことは言うまでもない。
蛍光式光ファイバを各流路に一つづつ配置したが、流路に沿って複数配置したり、試料投入槽や廃液槽に設けてもよいことは言うまでもない。
上記実施形態1、2では、表面に流路が露出した流路形成チップを用いたが、薄板状の部材を流路形成チップの流路が形成されている表面に貼付し、薄板状の部材に、生体試料を投入するための流路に連通する穴を設けた構成の部材としてもよいことは言うまでもない。
なお、上記実施形態1、2の流路形成チップにおいて、電気浸透流を用いて生体試料を流路で移動させる構成としたが、流路の両端に電圧をかけて、負電荷を帯びている生体試料を移動させる構成であってもよい。
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
1 生体試料用の流路形成チップ
3 基板
5 流路
7 光ファイバ
9 光源
13 蛍光式温度測定手段
14 測温装置本体
15 光検出部
17 温度検出部
23 CCDカメラ
25 生体試料
27 蛍光体
31 反射膜
3 基板
5 流路
7 光ファイバ
9 光源
13 蛍光式温度測定手段
14 測温装置本体
15 光検出部
17 温度検出部
23 CCDカメラ
25 生体試料
27 蛍光体
31 反射膜
Claims (10)
- 生体試料用の流路形成チップであって、
生体試料を流動させるための流路が表面に設けられた板状の基板と、
前記流路内の前記生体試料に接触可能な反射膜と、前記反射膜に装着された蛍光体と、前記蛍光体に励起光を照射する光源と、前記励起光による前記蛍光体の発光強度の減衰特性から前記生体試料の温度を測定する測温部と、前記蛍光体に前記光源及び前記測温部を連結する光ファイバと、を有する蛍光式温度測定部材と、を備え、
前記蛍光体は、前記光ファイバの端部と前記反射膜との間に介在している流路形成チップ。 - 反射膜は、熱伝導体である請求項1に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- 前記反射膜は、反射率が相対的に高い、金属膜もしくは誘電体多層膜である請求項1又は2に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- 前記蛍光式温度測定部材が、複数配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- 前記光ファイバの一端部には、前記反射膜および前記蛍光体を覆うようにキャップが装着されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- 前記流路の一端部と他端部それぞれに、前記生体試料を流動させるための電極が形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- さらに、前記流路内で移動可能に配された検出媒体を備え、前記流路の途中には、前記検出媒体の移動を拘束する検出部が設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の生体試料用の流路形成チップ。
- 生体試料用の流路形成チップの製造方法であって、
板状の基材と、蛍光式温度測定部材に連結可能な光ファイバと、を用意し、
前記基板の表面の所定位置に前記光ファイバを固定し、
前記基板の前記光ファイバが固定された面に光感応性樹脂を積層し、
所定の流路パターンを有するマスクを介して前記光感応性樹脂に紫外線を照射し、
前記光感応性樹脂を現像し、前記所定の流路パターンを有する流路を形成し、
前記光ファイバの一端部は、前記流路を移動する前記生体試料に接するように前記流路に面するように配置される流路形成チップの製造方法。 - 前記光感応性樹脂はポジ型又はネガ型である請求項8に記載の流路形成チップの製造方法。
- 前記基板に固定される前記光ファイバは複数である請求項8又は9に記載の流路形成チップの製造方法。
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JP2010081898A (ja) * | 2008-10-01 | 2010-04-15 | Canon Inc | 遺伝子検査装置 |
JP2011513743A (ja) * | 2008-03-03 | 2011-04-28 | ロディア オペレーションズ | 物理的転移及び/又は化学的転移の少なくとも一つのパラメーターを決定するための方法及び装置 |
-
2007
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