JP2008196378A - ガソリンエンジンの制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターボチャージャを備え、運転領域に応じて、予混合圧縮着火と火花着火との一方を実施するガソリンエンジンにおいて、予混合圧縮着火を実施する運転状態で空燃比を変化させた場合、排気ガス温度が変化するのに伴い吸入空気の過給圧が変化し、失火あるいはノッキングを生じることがある。
【解決手段】吸気を過給する排気タービン式過給装置を備え、運転領域に応じて、予混合圧縮着火と火花着火との一方を実施するガソリンエンジンにおいて、予混合圧縮着火を実施するに際してピストンが排気上死点近傍に位置する所定期間は排気弁と吸気弁とを閉じるガソリンエンジンの制御方法であって、所望される出力を推定し、推定した出力に応じて排気弁及び吸気弁が開いている期間を変更し、空燃比をほぼ一定値に保って予混合圧縮着火を実施する。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気タービン式過給装置(以下、ターボチャージャと称する)を備え、予混合圧縮着火(HCCI)と火花着火(SI)とを運転状態に応じて実施するガソリンエンジンの制御方法に関するものである。
従来、運転状態に応じて火花着火と予混合圧縮着火との一方を実施するガソリンエンジンが知られている。さらに、このようなガソリンエンジンにおいて、タービンとタービンにより駆動されて回転するコンプレッサとを備えるターボチャージャを備えるものが知られている。(例えば特許文献1)。この特許文献1では、負荷が上昇した場合に空燃比をリッチにして、排気弁の開時期を進角させることにより、排気エネルギを増大して過給圧を上昇させている。このように、過給圧を上昇させることにより、過給される吸入空気量を増やして、リッチ化に伴う圧力上昇率の増大により生じる可能性のあるノッキングを回避して予混合圧縮着火を成立させている。
特開2003−106178号公報
ところで、ターボチャージャにより過給する場合、排気ガス量や排気ガス温度などの排気ガスのエネルギによって、吸気の過給圧が変化する。つまり、例えば空燃比が低く、つまりリッチになり、排気ガス温度が高くなると、タービンへの排気ガスのエネルギが高くなり、吸入空気は過過給になりやすくなる。一方、これとは逆に、例えば空燃比が高く、つまりリーンになると、排気ガス温度が低いために排気ガスのエネルギが低いと、吸入空気は過給不足になりやすい。
このため、上述の特許文献1のもののように、負荷に応じて空燃比を変化させると、少なくとも排気ガス温度が変化し、過給圧が変化する。その結果、予混合圧縮着火を成立させることや、負荷を制御することが困難であったり、失火あるいはノッキングが発生する可能性がある。
そこで本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
すなわち、本発明のガソリンエンジンの制御方法は、吸気を過給する排気タービン式過給装置を備え、運転領域に応じて、予混合圧縮着火と火花着火との一方を実施するガソリンエンジンにおいて、予混合圧縮着火を実施するに際してピストンが排気上死点近傍に位置する所定期間は排気弁と吸気弁とを閉じるガソリンエンジンの制御方法であって、所望される出力を推定し、推定した出力に応じて排気弁及び吸気弁が開いている期間を変更し、空燃比をほぼ一定値に保って予混合圧縮着火を実施することを特徴とする。
このような構成によれば、推定した出力に応じて排気弁及び吸気弁が開いている期間を変更し、空燃比をほぼ一定に保って予混合圧縮着火を実施する。したがって、所望された出力に応じた吸入空気量を確保することができるとともに内部に残留する既燃ガス量を調整することができ、よって混合気温度を適正に保つことが可能になる。そして、空燃比の変化により変化する排気ガス温度の変動を抑えることが可能になる。しかも、排気タービン式過給装置を備えたガソリンエンジンにおいて、負荷が変化する場合であっても確実に予混合圧縮着火を実施することが可能になる。
本発明は、以上説明したような構成であり、出力に応じた吸入空気量を確保することができるとともに内部に残留する既燃ガス量を調整することができ、よって混合気温度を適正に保つことができる。そして、空燃比の変化により変化する排気ガス温度の変動を抑えることで、排気タービン式過給装置を備えたガソリンエンジンにおいて、負荷が変化する場合であっても確実に予混合圧縮着火を実施することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態のガソリンエンジン100は、ターボチャージャ50を備えるとともに、可変バルブタイミング機構30を装備しているエンジンで、予混合圧縮着火を実施するために、圧縮比を通常の火花着火のみを実施するエンジンに比べて高くしてある。そしてこのような圧縮比の設定以外は、可変バルブタイミング機構30を備える通常の火花着火式のエンジンと同じである。
具体的には、図1に1気筒の構成を概略的に示したガソリンエンジン100は、自動車用の3気筒のもので、その吸気系1には、ターボチャージャ50を構成するコンプレッサ51が接続され、コンプレッサ51の下流には、図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が設けてある。そしてそのスロットルバルブ2の下流側にはサージタンク3が設けられる。サージタンク3に供給されたコンプレッサ51により過給された吸入空気は、吸気ポート10及び吸気バルブ37を介してシリンダ38内に吸入される。サージタンク3に連通する吸気系1の吸気マニホルド4のシリンダヘッド側の端部近傍には、さらにインジェクタ5が設けてあり、このインジェクタ5を、電子制御装置6により制御するようにしている。また、排気系20には、燃焼室から排気バルブ36を介して排出された排気ガスにより駆動される、ターボチャージャ50を構成するタービン52が接続され、その下流に、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ21が取り付けられ、さらにその下流に、図示しないマフラに至るまでの位置に三元触媒(図示しない)が取り付けられている。なお、この実施形態のスロットルバルブ2は、後述するアクセルセンサ16から出力される開度信号dに基づいて、その時の運転状態に応じてその開度を電気的に制御される型式のもので、アクセルペダルが操作されることにより、その操作に対応して必ずしも開度が変更されるものではない。
可変バルブタイミング機構30は、例えば作動オイルにより作動する機械式のもので、電子制御装置6と協働して、排気弁36と吸気弁37とのそれぞれの開閉時期を独立して制御できるものである。すなわち、電子制御装置6が出力する信号により、作動オイルが制御されて作動するものである可変バルブタイミング機構30は、排気弁36及び吸気弁37を全開にする作動中心を、ピストン39が最上位置となる排気上死点に対して進角及び遅角するとともに、排気弁36及び吸気弁37の開弁期間を制御するものである。可変バルブタイミング機構30は、火花着火の際には排気弁36と吸気弁37との開弁期間が重なり合うように排気弁36と吸気弁37とを制御し、予混合圧縮着火の際には、排気行程から吸気行程に移行する間に、ピストン39が排気上死点近傍に位置する所定期間、排気弁36と吸気弁37とを閉じるように制御する。以下の説明において、前述の所定期間を負のオーバーラップ期間と称する。
負のオーバーラップ期間は、ガソリンエンジン100の負荷が低いほど長く、負荷が増加するにしたがって短くなるように設定する。この負のオーバーラップ期間は、排気弁36の閉弁時期から排気上死点までのクランク角度と、排気上死点から吸気弁37の開時期までのクランク角度とを、ほぼ等しくして設定するものである。
可変バルブタイミング機構30とともにガソリンエンジン100の運転を制御する電子制御装置6は、中央演算装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。その入力インターフェース9には、サージタンク3内の圧力(吸気管圧力)を検出するための吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号a、エンジン回転数NEを検出するための回転数センサ14から出力される回転数信号b、クランクセンサ41から出力されるクランク角度信号m、タイミングセンサ42から出力される吸気カム信号n、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ16から出力される開度信号d、上記したO2 センサ21から出力される電圧信号h等が入力される。一方、出力インターフェース11からは、インジェクタ5に対して燃料噴射信号fたる駆動パルスINJが、また火花着火の実施に際してスパークプラグ18に対して点火信号gが出力されるようになっている。
電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aと回転数センサ14から出力される回転数信号bとを主な情報とし、ガソリンエンジン100の運転状態に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間すなわち基本噴射量を補正してインジェクタ開成時間である最終噴射時間すなわち燃料噴射量を決定し、その決定された時間によりインジェクタ5を制御して、ガソリンエンジン100の運転状態に応じた燃料噴射量をインジェクタ5から吸気系1に噴射するためのプログラムが内蔵してある。また電子制御装置6には、エンジン回転数及び負荷(吸気管圧力)により規定される運転状態により火花着火と予混合圧縮着火とを切り替えて、予混合圧縮着火における排気弁36と吸気弁37との開閉時期を制御するプログラムが内蔵してある。
予混合圧縮着火を実施する際の排気弁36と吸気弁37との開閉期間の制御は、所望される出力を推定し、推定した出力に応じて排気弁36及び吸気弁37が開いている期間を変更し、空燃比をほぼ一定に保って予混合圧縮着火を実施するものである。空燃比をほぼ一定に保つとは、空燃比を、例えば18〜30、好ましくは20〜24の範囲に維持するものを含むものであり、必ずしもほぼ一定値に維持することのみを指すものではない。このように、空燃比をほぼ一定値に保つことにより、排気ガス温度の変動をほぼ最小限、言い換えれば排気ガス温度をほぼ一定に抑えることができる。この結果、タービン52の入力エネルギもほぼ変動しなくなり、最終的に過給圧の変動が抑制される。
このようにして空燃比をほぼ一定に制御している状態において、まず、アクセルセンサ16から出力される開度信号dに基づいて、運転者が所望(要求)する出力を推定する(ステップS1)。予混合圧縮着火を実施する運転状態において、高い出力を運転者が要求している場合は、アクセルペダルを深く踏み込むことになり、低い出力を要求している場合は、その踏み込み量は小さくなる。この結果、スロットル開度は踏み込み量に応じて大きくなり、これに応じてアクセルセンサ16から出力される開度信号dが変化し、その開度信号dの値により要求された出力を推定する。
次に、推定した出力に基づいて、排気弁36及び吸気弁37が開いている期間つまり開弁期間を設定する(ステップS2)。この実施形態にあっては、排気弁36の開時期を固定するとともに、その閉時期を可変にしている。同様にして、吸気弁37の開時期を可変にして、その閉時期を固定にしている。したがって、排気弁36の開弁期間は、その閉時期を進角あるいは遅角することにより調整する。同様にして、吸気弁37の開弁期間は、その開時期を進角あるいは遅角することにより調整する。このように、排気弁36及び吸気弁37の開弁期間を相互に関係を保持して独立して設定することにより、上述の負のオーバーラップ期間は変化する。
排気弁36及び吸気弁37の開弁期間制御において、推定した出力が高くなるほど、吸気弁37の開弁期間を長くする。この結果、過給される吸入空気量が増加する。したがって、空燃比が一定値となるように燃料噴射量を開弁期間に基づいて決定し、ガソリンエンジン100の実際の出力が、所望された出力に対応するものとなるようにガソリンエンジン100の運転を制御する。
このような吸気弁37の開弁期間の制御に対して、排気弁36の開弁期間の制御は、空燃比をほぼ一定にして、排気弁36の開弁期間を短くするものである。つまり、上述のように吸気弁37の開弁期間を長くすると、負のオーバーラップ期間を少なくなる。したがって吸入空気量が増加し、シリンダ38内の温度つまり混合気温度が低下する。このような温度要因つまりシリンダ38内の温度変化によりノッキングを抑制することができる。一方、吸入空気量の増加(空気要因)、つまりタービン回転数が上昇することで、混合気温度の低下を補償することができ、着火性を向上させることができるものである。
排気弁36の開弁期間を制御することで着火性が向上するため、吸気弁36の開弁期間を長くした場合に、上述した高い空燃比において、混合気に着火することを可能にするものである。この場合に、予混合圧縮着火を実施している運転状態において空燃比を一定にしているので、その運転状態の間、混合気が燃焼して生じる排気ガスの温度はほぼ一定となる。これにより、排気ガス温度の変動がほとんどなく、タービン52の入力エネルギが変化しないので過給圧の変動を低減することができる。
このように、空燃比をほぼ一定に制御した運転状態において、排気弁36及び吸気弁37の開弁期間を所望された出力に応じて制御することにより、ターボチャージャ50に対する排気ガスの影響を排除して、つまり排気ガス温度の変化に伴って過給圧が急激に変化することを抑制して、過給動作による過給圧が緩やかに変化する状態が保たれるので、予混合圧縮着火の実施中に着火性が変動することを抑制することができる。そして、排気弁36及び吸気弁37の開弁期間を要求出力に合わせて設定することにより、吸入空気をターボチャージャ50により過給していても、失火やノッキングの発生を抑制して、要求出力、言い換えれば種々の負荷の運転状態において予混合圧縮着火を実施することができる。
また、空燃比を高くして所望の出力に応じてつまり広範囲な負荷の領域で予混合圧縮着火を実施できるので、燃費を大幅に改善することができる。
なお、上述の実施形態においては、機械式の可変バルブタイミング機構を説明したが、例えば駆動コイル(電磁石)とコイルスプリングのような付勢手段とを組み合わせて、排気弁及び吸気弁をそれぞれ独立して所望の開弁及び閉弁時期に開閉し得る電磁式のものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の実施形態におけるガソリンエンジンの概略構成を示す構成説明図。 同実施形態の制御手順を示すフローチャート。
符号の説明
6…電子制御装置
7…中央演算処理装置
8…記憶装置
9…入力インターフェース
11…出力インターフェース
39…ピストン
50…ターボチャージャ

Claims (1)

  1. 吸気を過給する排気タービン式過給装置を備え、運転領域に応じて、予混合圧縮着火と火花着火との一方を実施するガソリンエンジンにおいて、予混合圧縮着火を実施するに際してピストンが排気上死点近傍に位置する所定期間は排気弁と吸気弁とを閉じるガソリンエンジンの制御方法であって、
    所望される出力を推定し、
    推定した出力に応じて排気弁及び吸気弁が開いている期間を変更し、
    空燃比をほぼ一定値に保って予混合圧縮着火を実施するガソリンエンジンの制御方法。
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