JP2008196346A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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芳夫 谷田
Shinji Kadoshima
信司 角島
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章夫 若崎
Yasuo Uosaki
靖夫 魚崎
Masahiko Shibahara
雅彦 芝原
Nobuo Sakate
宣夫 坂手
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Abstract

【課題】表面にクラックを有するCrめっき皮膜が形成された摺動面の、幅方向の端へ流体潤滑剤が抜けていく摺動部材において、良好な低摩擦の摺動特性が得られるようにする。
【解決手段】Crめっき皮膜のクラックは、平均クラック幅を0.1μm以上5.0μm以下とし、クラック密度を600本/cm以上1300本/cm以下とし、且つ摺動面3の幅方向の両端部と、該幅方向の中間部とでは、上記平均クラック幅及びクラック密度が互いに異なり、上記中間部では上記端部よりも平均クラック幅及びクラック密度を共に大きくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材及びその製造方法に関する。
ロータリーピストンエンジンの燃焼室を構成するローターハウジングにおいては、シール部材(アペックスシール)が摺動する長円形状の内周面(トロコイド面)に、その耐摩耗性向上のためにHv1000程度の硬さを有するCrめっき皮膜が形成されている。例えば、特許文献1には、上記トロコイド面にCrめっき皮膜を形成するとともに、逆電処理を行なうことによってCrめっき皮膜表面に幅0.1〜0.3μm程度の微細クラックを400〜1300本/cm形成することが記載されている。このような微細クラックを多数形成すると、潤滑油が摺動面に供給され易くなって油切れを生じ難くなるとともに、シールの摺動に伴ってCrめっき皮膜表面に生ずる摩擦熱がクラックに存する潤滑油に放散され易くなるため、局部的な異常昇温が防止される。
特開2006−219756号公報
ところで、図1に示すように、一般にはロータハウジング1の摺動面幅Wに対してアペックスシール2の当該摺動面幅方向の寸法は若干短くなっている。そのため、アペックスシール2とサイドハウジング13との間に隙間14ができ、アペックスシール2によって掻き引きずられる潤滑油が隙間14に抜けやすくなる。尚、図1において、15はアペックスシール2をロータハウジング1の摺動面3に押し当てるスプリングである。
このように流体潤滑剤の一部が摺動面の幅方向の少なくとも一方の端へ抜けていく摺動部材にあっては、摺動面幅方向の中間部では流体潤滑が比較的得られ易いものの、摺動面幅方向の端部では流体潤滑剤の抜けによって境界潤滑状態になり易い。従って、摺動面全体にわたって、微細クラックを均一に形成しても、局部的に潤滑特性が異なることから、良好な摺動特性を得ることは難しい。
そこで、本発明は、上述の如き流体潤滑剤の抜けを生ずる摺動部材において、良好な低摩擦の摺動特性が得られるようにすることを課題とする。
本発明は、このような課題を解決するために、摺動面幅方向の端部と中間部との潤滑特性の違いに着目し、クラック状態を当該中間部と端部とで異ならせた。
すなわち、本発明は、表面にクラックを有するCrめっき皮膜が形成された長円形状の摺動面を備え、該摺動面をシール部材が流体潤滑剤の存在下で周方向に摺動し、且つ該シール部材によって掻き引きずられる流体潤滑剤の一部が上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端へ抜けていくようになった摺動部材であって、
上記Crめっき皮膜のクラックは、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下であり、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下であり、
且つ上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端部と、該幅方向の中間部とでは、上記平均クラック幅及びクラック密度が互いに異なり、上記中間部は上記端部よりも平均クラック幅及びクラック密度が共に大きいことを特徴とする。
従って、摺動面の幅方向中間部では、クラック幅及びクラック密度が共に大きいものの、上限を平均クラック幅が5.0μm以下、クラック密度が1300本/cm以下となるように制限しているから、度を越した境界潤滑状態になることは避けられる。そうして、流体潤滑剤は摺動面の幅方向の端へ抜けるものの、摺動面の幅方向中間部のクラック幅及びクラック密度が共に大きいから、該中間部ではクラックによる流体潤滑剤の保持性が高くなり、全体として流体潤滑剤が不足気味になることが抑制される。一方、摺動面の幅方向端部では、クラック幅及びクラック密度が共に小さいから、流体潤滑になり易い反面、幅方向の端から流体潤滑剤の抜けを生じ易い。しかし、流体潤滑剤保持性が高い中間部から当該端部に流体潤滑剤が供給されるから、流体潤滑剤の抜けによって境界潤滑の程度がひどくなることが避けられる。
このように本発明によれば、摺動面幅方向の中間部と端部とでは相異なる平均クラック幅及びクラック密度となるようにしたから、摺動面の全体にわたって潤滑特性のバランスが良くなり、低摩擦の摺動特性を得る上で有利になる。
しかして、上述の如く摺動面の幅方向の端部では、平均クラック幅を小さくしクラック密度も小さくするものの、平均クラック幅が0.1μm未満になると、或いはクラック密度が600本/cm未満になると、流体潤滑剤の保持性が悪くなり、境界潤滑を招き易くなる。一方、摺動面の幅方向の中間部では、平均クラック幅を大きくしクラック密度も大きくするものの、平均クラック幅が5.0μmを超えると、或いはクラック密度が1300本/cmを超えると、当該クラックへの流体潤滑剤の逃げ量が大きくなり過ぎて、境界潤滑状態になり易くなってしまう。
好ましいのは、上記中間部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が3.0μm以上5.0μm以下で且つクラック密度が900本/cm以上1300本/cm以下であるように形成し、上記端部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が0.1μm以上1.0μm以下で且つクラック密度が600本/cm以上800本/cm以下であるように形成することである。
また、この出願の別の発明は、表面にクラックを有するCrめっき皮膜が形成された長円形状の摺動面を備え、該摺動面をシール部材が流体潤滑剤の存在下で周方向に摺動し、且つ該シール部材によって掻き引きずられる流体潤滑剤の一部が上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端へ抜けていくようになった摺動部材の製造方法であって、
摺動部材用ワークをめっき浴に入れ、該ワークの摺動面にCrめっき皮膜を形成する正電処理工程と、該Crめっき皮膜表面に、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下であり、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下であるクラックを形成する逆電処理工程とを備え、
上記逆電処理工程において、上記摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の少なくとも一方の端部よりも、電流密度が大きくなるようにすることを特徴とする。
すなわち、Crめっき皮膜表面に逆電処理によってクラックを形成する場合、その電流密度が大きくなるほど、クラック幅が大きくなり、また、クラック数も多くなる。従って、本発明に係る製造方法によれば、摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の端部よりも、平均クラック幅が大きく且つクラック密度が大きくなる(幅方向の端部では相対的に、平均クラック幅が小さく且つクラック密度が小さくなる。)。
この場合、逆電処理用電極として、上記摺動面幅方向の中間部が少なくとも一方の端部よりも上記ワークの摺動面に向かって突出したものを用いることにより、又は、逆電処理用電極と上記ワークの摺動面の幅方向における少なくとも一方の端部との間に遮蔽材を配置することにより、上記摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の少なくとも一方の端部よりも、電流密度が大きくなるようにすることができる。
以上のように摺動部材に係る発明によれば、摺動面のCrめっき皮膜のクラックは、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下であり、且つ摺動面の幅方向の中間部は少なくとも一方の端部よりも平均クラック幅及びクラック密度が大きいから、流体潤滑剤が摺動面の幅方向端へ抜けるものの、摺動面の全体にわたって潤滑特性のバランスが良くなり、低摩擦の摺動特性を得る上で有利になる。
また、摺動部材の製造方法に係る発明によれば、摺動部材用ワークをめっき浴に入れ、該ワークの摺動面にCrめっき皮膜を形成する正電処理工程と、該Crめっき皮膜表面にクラックを形成する逆電処理工程とを備え、この逆電処理工程において、上記摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の少なくとも一方の端部よりも、電流密度が大きくなるようにしたから、摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の端部よりも、平均クラック幅を大きく且つクラック密度を大きくすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図2は実施形態に係るロータリーピストンエンジンの概略図である。同図において、1は摺動部材としてのロータハウジング、2は内部流体(ガス)をシールする流体シール部材としてのアペックスシールである。ロータハウジング1の内周のトロコイド状になった摺動面(長円形状内周面)3を、出力軸を回転させるロータ5の各頂部に装着されたアペックスシール2が摺動するようになっている。このエンジンでは、吸気口6からオイルを含む燃料が空気と共に作動室7に吸入され、ロータ5の回転に伴って圧縮されつつ矢印8の方向に移動した燃料が点火プラグ9A,9Bにより着火されて膨張し、燃焼ガスの圧力によって出力軸に回転を与えた後、排気口10から排気される、という一連の行程が繰り返されることになる。
ロータハウジング1は、図3に示すように、トロコイド状摺動面3が形成された例えば高張力鋼板製のライナー11の背面に目立てが施され、このライナー11がアルミ合金に鋳ぐるまれるなどして製作される。そのライナー11の摺動面3は、アペックスシール2が摺動するため、高い耐熱性、耐摩耗性、低摩擦性が要求される。そのため、摺動面3にはCrめっき皮膜(Cr成分を有するめっき皮膜であり、CrMo合金めっき皮膜を含む。)が形成されており、このめっき皮膜には、該めっき皮膜表面に露出している微細クラックが形成されている。
平均クラック幅及びクラック密度(直線で単位長さ進むときに横切るクラック数)は、摺動面3の全体にわたって均一ではなく、幅方向の中間部では幅方向の両端部よりもクラック幅を大きく且つクラック数を多くしている。これは、図1に示すように、アペックスシール2とサイドハウジング13との間に隙間14ができ、アペックスシール2によって掻き引きずられる流体潤滑剤が当該隙間1に抜けることを考慮したものである。
但し、上記Crめっき皮膜のクラックは、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下であり、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下である。この場合、上記中間部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が3.0μm以上5.0μm以下で且つクラック密度が900本/cm以上1300本/cm以下であるように形成し、上記端部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が0.1μm以上1.0μm以下で且つクラック密度が600本/cm以上800本/cm以下であるように形成することが好適である。
<Crめっき皮膜形成>
Cr成分、硫酸及び触媒としての有機スルフォン酸を含み、さらに必要に応じてMo成分を含むメッキ浴にロータハウジング用ワークを入れて所定温度に予熱し、数分間の逆電処理によってワーク表面を洗浄した後、数分間のストライクメッキ処理(正電処理)及び所定時間の本メッキ処理(正電処理)を順に行なうことによって、Crめっき層を形成する。
Cr成分としては、無水クロム酸CrOが好ましい。Mo成分としては、モリブデン酸ナトリウムやモリブデン酸アンモニウムを採用することができる。有機スルフォン酸としては、HSORで表され、Rが、メチル基、エチル基等の炭素数10以下の脂肪族炭化水素基、パラ位置にメチル基を有するトルエン、不飽和炭化水素基を有するスチレンなど1つの芳香環に非環式炭化水素が結合した芳香族炭化水素基であることが好ましい。Rは他の芳香族炭化水素基であってもよいし、スルフォン酸基(HSO)は複数個あってもよい。具体的にはメタンスルフォン酸、メタン時スルフォン酸等が挙げられる。
メッキ浴は、例えば、無水クロム酸を240g/L以上280g/L以下、硫酸イオン量を2.5g/L以上3.3g/L以下、有機スルフォン酸量を10ml/L以上35ml/L以下、モリブデン酸ナトリウム量を50g/L以上65g/L以下とすればよい。メッキ浴温度は例えば50℃以上60℃以下に調整する。
洗浄用逆電処理の電流密度は、50A/dm以上60A/dm以下、ストライクメッキ処理の電流密度は40A/dm以上55A/dm以下、本メッキ処理の電流密度は30A/dm以上40A/dm以下とすればよい。
そうして、後述の逆電処理を行なうことにより、Crめっき皮膜に微細クラックを形成する。その際に、ロータハウジング1の摺動面3において部分的に逆電処理条件を変えることにより、該摺動面3の幅方向の中間部と端部とで平均クラック幅及びクラック密度を変える。
仕上げ研削加工はホーニング等により行ない、めっき層表面が例えばRa2.0μm以下となるようにすることが好ましい。
<逆電処理による微細クラックの形成>
−実施形態1−
図4に示すように、逆電処理用電極(陰極)16をロータハウジング用ワーク1Aの内周面3で囲まれた貫通孔中央部に配置する。電極16は、ワーク1Aの長円形状内周面に略対応する長円形状のものであるが、図5に示すように、ワーク1Aの摺動面3の幅方向の中間部に対応する部位16Aが両端部16Bよりもワーク1Aの摺動面3に向かって突出している。中間突出部16Aの幅はワーク1Aの摺動面幅の65/100以上85/100以下程度とすればよい。また、中間突出部16Aの突出量は、両端部16Bと摺動面3との距離の5/100以上10/100以下程度とすればよい。
従って、ワーク1Aと電極16との間に逆電用電圧をかけると、摺動面3の中間部では、両端部よりも逆電電流密度が大きくなる。その結果、当該中間部では、両端部よりも、クラック幅が大きくなり、クラック数も多くなる。
−実施形態2−
図6に示すように、逆電処理用電極16を実施形態1と同様に配置する。本実施形態の電極16には、図7に示すように、遮蔽材17が取付けられている。すなわち、遮蔽材17は、電極16の両側面各々に固定され、その周縁部17aがワーク1Aの摺動面3に向かって突出し且つ内側へ曲がって、電極16とワーク1Aの摺動面3の幅方向の両端部に対応する部位との間に配置されている。遮蔽材17による遮蔽範囲は、例えば、ワーク1Aの摺動面の両端から該摺動面幅の15/100以上35/100以下程度の部位が電極16に対して直接相対しないようにさせるものとすればよい。
従って、ワーク1Aと電極16との間に逆電用電圧をかけると、摺動面3の中間部では、両端部よりも逆電電流密度が大きくなる。その結果、当該中間部では、両端部よりも、クラック幅が大きくなり、クラック数も多くなる。
<摺動特性の評価>
表1のめっき浴組成及び表2のめっき条件を採用し、逆電電流密度を変化させて摺動面の幅方向中間部及び両端部の平均クラック幅及びクラック密度が相異なるCrめっき皮膜を有する実施例及び比較例の各テストピースを作成した。
Figure 2008196346
Figure 2008196346
そうして、各テストピースにホーニングに相当する加工を行なった後、図8及び図9に示す試験器を用いて摩擦係数を測定する実験を行なった。同図において、21は円板状のテストピース、22はチル鋳鉄製摺動片23を固定した円板状の回転支持台である。テストピース21の下面には周縁近傍を周回するCrめっき層24が環状に設けられている。テストピース21の中心部には該テストピース21を貫通するエア供給孔25が形成されている。テストピース21の周縁近傍にはCrめっき層24の部位で該テストピース21を貫通する潤滑油供給孔26が形成されている。回転支持台22には3個の摺動片23が周方向に120度の角度間隔をおいて固定され、各摺動片23の上端が支持台22より上方へ突出している。この3個の摺動片23にテストピース21が載せられている。
テストピース21の環状Crめっき層24では、摺動片23が摺動する摺動面の幅方向における中央側(摺動面幅の75/100の範囲)を「中間部」とし、その両側を「両端部」としている。また、テストピース21の摺動面の両側には、ロータリーピストンエンジンのサイドハウジングを模してリング状壁材27,28を固定し、摺動片23と壁材27,28との間に微小隙間ができるようにした。
摩擦試験は、エア供給孔25から2.5kg/cm2 の圧力でエアを供給し且つ潤滑油供給孔26から温度100℃の潤滑油を供給しながら行なった。潤滑油としては、0W−20のエンジンオイルを用いた。荷重を100N、摺動片23の周速を12.5m/sとした。試験結果を表3に示す。また、図10は実施例2の摩擦係数を「1」として他の実施例及び比較例の摩擦係数の相対値を求め(表3の右端欄)、これをグラフ化したものである。
Figure 2008196346
実施例1〜4はいずれも比較例1〜4に比べて摩擦係数が低くなった。特に実施例2の、中間部の平均クラック幅を5.0μm、クラック密度を1290本/cmとし、端部の平均クラック幅を0.8μm、クラック密度を700本/cmとしたケースが最も良い結果を示している。
比較例1は、中間部及び端部共に平均クラック幅及びクラック密度を大として油溜りを多くしたケースであるが、実施例2に比べて、摩擦係数が2倍近くになっている(表3の相対値及び図10の相対値のグラフ参照)。これは、クラックへの潤滑油の逃げ量が多くなって、摺動面前面にわたって境界潤滑状態(局所的な固体接触を生じ易い状態)になったためと考えられる。
比較例2は、中間部及び端部共に平均クラック幅及びクラック密度を小として油溜りを少なくしたケースであるが、実施例2に比べて、摩擦係数が2倍以上になっている。これは、平均クラック幅及びクラック密度を小とすると、流体潤滑状態になり易いが、本ケースでは、摺動面両側への潤滑油の抜けが大きくなって摺動面の潤滑油不足を来たし、局所的な摩擦増大により、摩擦係数が大きくなったものと考えられる。
比較例3は、中間部の平均クラック幅及びクラック密度を共に過大とし、端部の平均クラック幅及びクラック密度を共に過小としたケースであるが、摩擦係数が比較例1,2よりも大きくなっている。これは、中間部ではクラックへの潤滑油の逃げ量が多くなって境界潤滑状態になり、端部では摺動面両側への潤滑油の抜けが大きくなって潤滑油不足を来たし、摩擦係数が大きくなったものと考えられる。
比較例4は、比較例3とは逆に中間部の平均クラック幅及びクラック密度を共に過小とし、端部の平均クラック幅及びクラック密度を共に過大としたケースであるが、摩擦係数が比較例3よりもさらに大きくなっている。これは、中間部では流体潤滑状態になるものの、端部のクラックへの潤滑油の逃げ、並びに摺動面両側への潤滑油の抜けによって、中間部でも潤滑油が不足を来たし、また、端部では著しい境界潤滑状態になってしまったためと考えられる。
なお、本発明がロータリーピストンエンジンのロータハウジングに限らず、シール部材が摺動する油圧ポンプやコンプレッサのハウジング等にも適用することができることはもちろんである。
ロータリーピストンエンジンのアペックスシールとロータハウジングとの関係を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るロータリーピストンエンジンの概略正面図である。 同エンジンのロータハウジングの斜視図である。 実施形態1に係る逆電処理用電極の配置を示す正面図である。図である。 図4のA−A線での拡大断面図である。 実施形態2に係る逆電処理用電極の配置を示す正面図である。図である。 図6のB−B線での拡大断面図である。 摩擦試験器を一部断面にして示す正面図である。 同試験器の一部を拡大して示す断面図である。 実施例及び比較例の摩擦係数の相対値(実施例2を「1」とする相対値)を示すグラフ図である。
符号の説明
1 ロータハウジング(摺動部材)
1A ワーク
2 シール部材
3 摺動面
16 電極
16A 突出部
16B 端部
17 遮蔽材

Claims (4)

  1. 表面にクラックを有するCrめっき皮膜が形成された長円形状の摺動面を備え、該摺動面をシール部材が流体潤滑剤の存在下で周方向に摺動し、且つ該シール部材によって掻き引きずられる流体潤滑剤の一部が上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端へ抜けていくようになった摺動部材であって、
    上記Crめっき皮膜のクラックは、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下であり、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下であり、
    且つ上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端部と、該幅方向の中間部とでは、上記平均クラック幅及びクラック密度が互いに異なり、上記中間部は上記端部よりも平均クラック幅及びクラック密度が共に大きいことを特徴とする摺動部材。
  2. 請求項1において、
    上記中間部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が3.0μm以上5.0μm以下で且つクラック密度が900本/cm以上1300本/cm以下であるように形成され、
    上記端部のCrめっき皮膜は、平均クラック幅が0.1μm以上1.0μm以下で且つクラック密度が600本/cm以上800本/cm以下であるように形成されていることを特徴とする摺動部材。
  3. 表面にクラックを有するCrめっき皮膜が形成された長円形状の摺動面を備え、該摺動面をシール部材が流体潤滑剤の存在下で周方向に摺動し、且つ該シール部材によって掻き引きずられる流体潤滑剤の一部が上記摺動面の幅方向の少なくとも一方の端へ抜けていくようになった摺動部材の製造方法であって、
    摺動部材用ワークをめっき浴に入れ、該ワークの摺動面にCrめっき皮膜を形成する正電処理工程と、該Crめっき皮膜表面に、平均クラック幅が0.1μm以上5.0μm以下であり、クラック密度が600本/cm以上1300本/cm以下であるクラックを形成する逆電処理工程とを備え、
    上記逆電処理工程において、上記摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の少なくとも一方の端部よりも、電流密度が大きくなるようにすることを特徴とする摺動部材の製造方法。
  4. 請求項3において、
    上記逆電処理工程においては、逆電処理用電極として、上記摺動面幅方向の中間部が少なくとも一方の端部よりも上記ワークの摺動面に向かって突出したものを用いることにより、又は、逆電処理用電極と上記ワークの摺動面の幅方向における少なくとも一方の端部との間に遮蔽材を配置することにより、上記摺動面の幅方向の中間部では、該幅方向の少なくとも一方の端部よりも、電流密度が大きくなるようにすることを特徴とする摺動部材の製造方法。
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