JP2008195613A - マイクロ微粒子製剤および医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期リリースを減らし、長期間に渡ってシスプラチン(CDDP)のリリースを維持して、がん細胞への抗がん効果を高めるとともに、副作用を軽減し、患者の延命効果を高めることの可能なマイクロ微粒子製剤およびこのマイクロ微粒子製剤を含んだ医薬組成物を提供すること。
【解決手段】マイクロ微粒子製剤は、二重らせんDNAにインターカレートしているシスプラチンを含有する。このマイクロ微粒子製剤は、シスプラチンを安定して保持し、徐放性にすぐれているため、毒性の強いシスプラチンを用いても、副作用を抑えながら長期間に渡って優れた抗がん作用を発揮できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、医薬品を封入したマイクロ微粒子製剤およびこのマイクロ微粒子製剤を含んだ医薬組成物に関する。
従来、シスプラチン(Cisplatin、cis-dichlorodiammineplatinum(II)、CDDP)は、精巣腫瘍、膀胱がん、卵巣がん、子宮頸がん、および腎盂尿管腫瘍などの悪性腫瘍の治療に広く使用されてきた。一方で、シスプラチンは、抗がん剤としての効果はあるものの、神経毒性や腎毒性などの副作用も強いため、シスプラチンの投与には制限があった。抗がん効果を保ちつつ副作用を減らすためには、腫瘍部位にだけ薬物を選択的に到達させ、高濃度を保持させることが重要であり、静脈内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与などが実施されている。
しかし、溶液中のシスプラチンは急速に大循環内へ吸収されターゲット部位にて高濃度を保持することができなかった。
そこで、リポソームや高分子ミセル、あるいはマイクロ微粒子などのドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用してターゲット部位に高濃度のシスプラチンを保持させる試みがなされており、生分解性高分子を用いたシスプラチンのカプセル化についての研究が多く行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、溶液中のシスプラチンは急速に大循環内へ吸収されターゲット部位にて高濃度を保持することができなかった。
そこで、リポソームや高分子ミセル、あるいはマイクロ微粒子などのドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用してターゲット部位に高濃度のシスプラチンを保持させる試みがなされており、生分解性高分子を用いたシスプラチンのカプセル化についての研究が多く行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のポリマーコート組成物技術や、特許文献2に記載のリポソーム製剤では、初期リリースが多いため、一定濃度で持続的にリリースされないこという問題があった。
そこで、本発明の目的は、初期リリースを減らし、長期間に渡って医薬品のリリースを維持して、患部への治療効果を高めることができるマイクロ微粒子製剤およびこのマイクロ微粒子製剤を含んだ医薬組成物を提供することにある。
そこで、本発明の目的は、初期リリースを減らし、長期間に渡って医薬品のリリースを維持して、患部への治療効果を高めることができるマイクロ微粒子製剤およびこのマイクロ微粒子製剤を含んだ医薬組成物を提供することにある。
本発明のマイクロ微粒子製剤は、二重らせんDNAを含有するマイクロ微粒子製剤であって、前記二重らせんDNAに医薬品がインターカレートしていることを特徴とする。
ここで、二重らせんDNAの構造は、一般に、右巻きらせん型を有する2本のポリヌクレオチド鎖からなっている。また、2本のポリヌクレオチド鎖の糖−リン酸骨格は、構造的相補性を有する平面的な塩基同士がらせんの軸に対して垂直にらせんの中央部に向かって突出し合い水素結合で結合している。該DNAの2本鎖の塩基対と塩基対の間には、B型構造の場合、幅約1.1nm、高さ約0.34nmの隙間があり、平面構造を有する小分子はこの隙間に入り込むことが可能であって、これをインターカレーション(インターカレート)と呼ぶ。この現象は小分子の電荷や疎水性により促進される場合がある。
また、本発明における二重らせんDNAの原料としては、例えば、魚類の白子を好適に用いることができる。魚類の白子の核はDNAを多く含み、また従来は廃棄されていた物質であることから、二重らせんDNAを安価に大量生産するための原料として適している。該魚類としては例えば鮭(サケ)、鰊、鱒、鱈等を挙げることができ、これらの白子から皮、筋、血管等を除去した後、油分を除き精製することによって本発明の二重らせんDNAを得ることができる。
ここで、二重らせんDNAの構造は、一般に、右巻きらせん型を有する2本のポリヌクレオチド鎖からなっている。また、2本のポリヌクレオチド鎖の糖−リン酸骨格は、構造的相補性を有する平面的な塩基同士がらせんの軸に対して垂直にらせんの中央部に向かって突出し合い水素結合で結合している。該DNAの2本鎖の塩基対と塩基対の間には、B型構造の場合、幅約1.1nm、高さ約0.34nmの隙間があり、平面構造を有する小分子はこの隙間に入り込むことが可能であって、これをインターカレーション(インターカレート)と呼ぶ。この現象は小分子の電荷や疎水性により促進される場合がある。
また、本発明における二重らせんDNAの原料としては、例えば、魚類の白子を好適に用いることができる。魚類の白子の核はDNAを多く含み、また従来は廃棄されていた物質であることから、二重らせんDNAを安価に大量生産するための原料として適している。該魚類としては例えば鮭(サケ)、鰊、鱒、鱈等を挙げることができ、これらの白子から皮、筋、血管等を除去した後、油分を除き精製することによって本発明の二重らせんDNAを得ることができる。
このような本発明のマイクロ微粒子製剤によれば、二重らせんDNAにインターカレートしている医薬品を含有しているので、徐放効果に優れており、例えば、毒性の強い医薬品をゆっくりと患部に送り込むことが可能となる。
特に、二重らせんDNAが標的細胞指向性のリガンドで誘導化されていると、特定の患部を選択的に治癒できるのでより好ましい。
特に、二重らせんDNAが標的細胞指向性のリガンドで誘導化されていると、特定の患部を選択的に治癒できるのでより好ましい。
本発明のマイクロ微粒子製剤は、医薬品として抗がん剤に適用することが好ましく、具体的には、シスプラチン、カルボプラチン、オルマプラチン、オキザリプラチンおよびロバプラチンからなる群より選ばれる少なくとも一つの白金化合物に好ましく適用することができる。特に抗がん剤として毒性が極めて強いシスプラチン(以下、「CDDP」ともいう)に適用すると、副作用を最小限に抑えつつ、長期間に渡ってがん細胞を攻撃できるため特に好ましい。
このような二重らせんDNAとしては、生分解性で毒性のない天然高分子であるサケDNAを用いることが好ましい。
本発明のマイクロ微粒子製剤は、容易に注射可能な製剤とでき、医療の現場に提供することより抗がん剤投与による副作用を軽減できることことに伴って、がんの末期患者の苦痛を和らげることができ、また医療費の抑制にも貢献できる。
また、本発明のマイクロ微粒子製剤は、薬学的に許容される担体に担持されることで、腫瘍を治療するための医薬組成物としても好適に使用できる。
このような二重らせんDNAとしては、生分解性で毒性のない天然高分子であるサケDNAを用いることが好ましい。
本発明のマイクロ微粒子製剤は、容易に注射可能な製剤とでき、医療の現場に提供することより抗がん剤投与による副作用を軽減できることことに伴って、がんの末期患者の苦痛を和らげることができ、また医療費の抑制にも貢献できる。
また、本発明のマイクロ微粒子製剤は、薬学的に許容される担体に担持されることで、腫瘍を治療するための医薬組成物としても好適に使用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例の内容に何ら限定されるものではない。
〔製造例〕
(1)抽出、精製による二重らせんDNAの調製方法
魚(サケ)の白子を水洗し苛性ソーダで処理後、プロテアーゼ処理し、エタノールで固液分離して、二重らせんDNAを得た。
(2)CDDPを含有するマイクロ微粒子の製造方法
CDDPを含有するマイクロ微粒子は、O/Oエマルジョンを用いた液中乾燥法により製造した。具体的には、以下のようにして行った。
二重らせんDNA(分子量100万以上)500mgを蒸留水50mlに溶かし、N,N-ジメチルホルムアミド(和光純薬製)を溶媒にした1質量%CDDP溶液5mlに加えて攪拌した。次に、このCDDP-DNA混合溶液を28℃のソルビタンモノオレエート(span80)含有流動パラフィンに加え、攪拌しながら10分間隔で2℃ずつ40℃度まで温度を上げ48時間反応させた。このパラフィン溶液を1000rpmにて10分間遠心分離し、マイクロ微粒子を採取した。マイクロ微粒子は、n-ヘキサンで5回、最後に2-プロピルアルコールで1回洗浄し、凍結乾燥した。
〔製造例〕
(1)抽出、精製による二重らせんDNAの調製方法
魚(サケ)の白子を水洗し苛性ソーダで処理後、プロテアーゼ処理し、エタノールで固液分離して、二重らせんDNAを得た。
(2)CDDPを含有するマイクロ微粒子の製造方法
CDDPを含有するマイクロ微粒子は、O/Oエマルジョンを用いた液中乾燥法により製造した。具体的には、以下のようにして行った。
二重らせんDNA(分子量100万以上)500mgを蒸留水50mlに溶かし、N,N-ジメチルホルムアミド(和光純薬製)を溶媒にした1質量%CDDP溶液5mlに加えて攪拌した。次に、このCDDP-DNA混合溶液を28℃のソルビタンモノオレエート(span80)含有流動パラフィンに加え、攪拌しながら10分間隔で2℃ずつ40℃度まで温度を上げ48時間反応させた。このパラフィン溶液を1000rpmにて10分間遠心分離し、マイクロ微粒子を採取した。マイクロ微粒子は、n-ヘキサンで5回、最後に2-プロピルアルコールで1回洗浄し、凍結乾燥した。
前記した(1)により調製された二重らせんDNAは、白くて水溶性である物質であったが、CDDPを含有させることにより、液中乾燥法で得られたマイクロ微粒子は黄色くて不溶性の物質となった(以後、このマイクロ微粒子を、CDDP-DNA MSと表記することがある。)。これはDNAの二重らせん構造にCDDPがインターカレートされることにより化学結合し、架橋が起こったことを示唆する。従って、CDDPはマイクロ微粒子の中に安定的に取り込まれたと考えられる。図1に走査型電子顕微鏡によるマイクロ微粒子の形態構造を示した。CDDP-DNA MSは、凹凸のない滑らかな表面を持つ球であり、その平均直径は15〜25μmであった。また、このようなマイクロ微粒子の調製方法で得られた生成物はさらさらとした粉末であった。
(3)CDDP-DNA MS中のCDDP含有量の測定
得られたマイクロ微粒子中のCDDPの含有量を調べるため、DNA分解酵素を含んだnuclease−tris-HClバッファ溶液(3unit/ml、シグマ)10mlに10mgのマイクロ微粒子を入れ、攪拌しながら完全に溶かした。また、CDDP10mgをtris-HClバッファ溶液10mlに溶かし、0.5〜2μg/mlの濃度の溶液を標準液とした。CDDP含有量は原子吸光分析装置(Hitachi Model Z-8000)を用いて1個のサンプルにつき3回ずつ測定した。 原子吸光分析は次のような条件で行った。
Pt lamp: l=265.9nm
Slit width: 1.9A
carrier gas:argon(1 l/min)
measurement mode: BGC
amount of infusion: 10μl
その結果、CDDP-DNA MS中のCDDP含有量は4質量%(理論値:9質量%)であり、取り込み効率は45%であった。
得られたマイクロ微粒子中のCDDPの含有量を調べるため、DNA分解酵素を含んだnuclease−tris-HClバッファ溶液(3unit/ml、シグマ)10mlに10mgのマイクロ微粒子を入れ、攪拌しながら完全に溶かした。また、CDDP10mgをtris-HClバッファ溶液10mlに溶かし、0.5〜2μg/mlの濃度の溶液を標準液とした。CDDP含有量は原子吸光分析装置(Hitachi Model Z-8000)を用いて1個のサンプルにつき3回ずつ測定した。 原子吸光分析は次のような条件で行った。
Pt lamp: l=265.9nm
Slit width: 1.9A
carrier gas:argon(1 l/min)
measurement mode: BGC
amount of infusion: 10μl
その結果、CDDP-DNA MS中のCDDP含有量は4質量%(理論値:9質量%)であり、取り込み効率は45%であった。
〔実施例1:In vitro リリース試験〕
CDDP-DNA MS(10mg)を0.01質量%のTween 80が含まれているtris-HClバッファ溶液 (pH 7.4)10mlに入れ振蕩しながら37℃にて2時間、1日間、3日間、5日間、7日間インキュベーションした。各時点でバッファ溶液5mlを取り出し、原子吸光分析装置を用いて265.95nmにおける吸光度を測定し溶液中のPt量を測った。測定は独立に3回行った
図2にCDDP -DNA MSからリリースされたCDDP量を示した。CDDPリリース試験はDNA分解酵素なしの環境下で行い、7日間CDDP-DNA MSからリリースされたCDDP含有量を測定した結果、リリースされたCDDPは取り込まれた量の8%であったことを確認した。また、多量の初期リリースが見られないことから、CDDPの徐放性が確認された。これは酵素なしの環境下ではDNAの分解が遅くなり、DNAとCDDPの複合体からCDDPのリリースが抑えられたためと考えられる。マイクロ微粒子からの多量の初期リリースとは、該微粒子表面の周りにある薬物が拡散により放出されることであり、本発明のマイクロ微粒子には多量の初期リリースがないことからCDDPがDNAとの安定的な結合をしていることが理解できる。
CDDP-DNA MS(10mg)を0.01質量%のTween 80が含まれているtris-HClバッファ溶液 (pH 7.4)10mlに入れ振蕩しながら37℃にて2時間、1日間、3日間、5日間、7日間インキュベーションした。各時点でバッファ溶液5mlを取り出し、原子吸光分析装置を用いて265.95nmにおける吸光度を測定し溶液中のPt量を測った。測定は独立に3回行った
図2にCDDP -DNA MSからリリースされたCDDP量を示した。CDDPリリース試験はDNA分解酵素なしの環境下で行い、7日間CDDP-DNA MSからリリースされたCDDP含有量を測定した結果、リリースされたCDDPは取り込まれた量の8%であったことを確認した。また、多量の初期リリースが見られないことから、CDDPの徐放性が確認された。これは酵素なしの環境下ではDNAの分解が遅くなり、DNAとCDDPの複合体からCDDPのリリースが抑えられたためと考えられる。マイクロ微粒子からの多量の初期リリースとは、該微粒子表面の周りにある薬物が拡散により放出されることであり、本発明のマイクロ微粒子には多量の初期リリースがないことからCDDPがDNAとの安定的な結合をしていることが理解できる。
〔実施例2:In vitro 細胞毒性試験〕
マウス由来結腸がん細胞(colon-26)を用いてマイクロ微粒子のがん細胞に対する毒性を調べた。具体的には、以下のようにして行った。
colon-26細胞を96well-plateに1´104の濃度に播種し24時間培養後、CDDP単体(Free CDDP:1μg/ml、5μg/ml、10μg/ml)、DNA単体(5mg/ml)およびCDDP-DNA MS(CDDP-MS:1mg/ml、10mg/ml)を処理し48時間培養した。細胞毒性は細胞内の酵素により、テトラゾリウムのホルマザン置換量を測るCCK-8 キット(Dojindo、日本熊本県)を用いて450nmの吸光度を測定した。
図3に、処理48時間後Colon-26結腸がん細胞に対するCDDP単体とCDDP-DNA MSの細胞増殖抑制効果を示した。
Colon-26結腸がん細胞に対しては、単独DNA処理においても若干細胞増殖が抑えられたが、繊維芽細胞L-929に対する毒性試験では細胞増殖に影響はなかったことで毒性による影響ではないと考えられる。
10μg/mlのCDDP単体処理群では約50%の細胞増殖抑制効果があることが示された。CDDP-DNA MSはそれぞれ1mg/mlと10mg/mlの濃度で処理され、コントロール(基準サンプル)に比較して有意に細胞増殖を抑えたが、処理濃度による差は有意ではなかった。CDDP-DNA MSからリリースされたCDDPは細胞増殖抑制に対する活性を保つことが明確になった。
マウス由来結腸がん細胞(colon-26)を用いてマイクロ微粒子のがん細胞に対する毒性を調べた。具体的には、以下のようにして行った。
colon-26細胞を96well-plateに1´104の濃度に播種し24時間培養後、CDDP単体(Free CDDP:1μg/ml、5μg/ml、10μg/ml)、DNA単体(5mg/ml)およびCDDP-DNA MS(CDDP-MS:1mg/ml、10mg/ml)を処理し48時間培養した。細胞毒性は細胞内の酵素により、テトラゾリウムのホルマザン置換量を測るCCK-8 キット(Dojindo、日本熊本県)を用いて450nmの吸光度を測定した。
図3に、処理48時間後Colon-26結腸がん細胞に対するCDDP単体とCDDP-DNA MSの細胞増殖抑制効果を示した。
Colon-26結腸がん細胞に対しては、単独DNA処理においても若干細胞増殖が抑えられたが、繊維芽細胞L-929に対する毒性試験では細胞増殖に影響はなかったことで毒性による影響ではないと考えられる。
10μg/mlのCDDP単体処理群では約50%の細胞増殖抑制効果があることが示された。CDDP-DNA MSはそれぞれ1mg/mlと10mg/mlの濃度で処理され、コントロール(基準サンプル)に比較して有意に細胞増殖を抑えたが、処理濃度による差は有意ではなかった。CDDP-DNA MSからリリースされたCDDPは細胞増殖抑制に対する活性を保つことが明確になった。
〔実施例3:In vivo毒性試験〕
実験動物として、6週齢のBALB/c雄性マウス(体重25g、日本清水実験材料)を恒温恒湿環境下(温度:24±2℃、湿度55±10%)で飼育し、5匹ずつコントロール群とCDDP-DNA MS群およびCDDP単体群に群分けを行った。期間中、水および餌は自由に摂取させた。CDDP-DNA MS、CDDP単体およびDNA単体を0.01質量%のTween80の生理食塩水に浮遊しそれぞれの溶液を調整した。
コントロールは生理食塩水とした。CDDP単体群は5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgの濃度で、CDDP-DNA MS群は含有されているCDDPの濃度が20mg/kg、40mg/kgになるようにして一回の腹腔内投与を行った。その後、状態観察及び生死の確認を行うとともに、体重を測定した。また投与30日後マウスを犠牲死させ、心臓から採血し血液学的検査、血液生化学検査を行った。さらに、解剖後、臓器を肉眼観察した。
実験動物として、6週齢のBALB/c雄性マウス(体重25g、日本清水実験材料)を恒温恒湿環境下(温度:24±2℃、湿度55±10%)で飼育し、5匹ずつコントロール群とCDDP-DNA MS群およびCDDP単体群に群分けを行った。期間中、水および餌は自由に摂取させた。CDDP-DNA MS、CDDP単体およびDNA単体を0.01質量%のTween80の生理食塩水に浮遊しそれぞれの溶液を調整した。
コントロールは生理食塩水とした。CDDP単体群は5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgの濃度で、CDDP-DNA MS群は含有されているCDDPの濃度が20mg/kg、40mg/kgになるようにして一回の腹腔内投与を行った。その後、状態観察及び生死の確認を行うとともに、体重を測定した。また投与30日後マウスを犠牲死させ、心臓から採血し血液学的検査、血液生化学検査を行った。さらに、解剖後、臓器を肉眼観察した。
図4にCDDP単体とCDDP-DNA MSの腹腔内投与後、20日間時間経過によるマウスの体重変化を示した。全てのCDDP単体処理群では投与翌日から体重減少が見られ、4日目または5日目に最大体重減少が観察され、20mg/kgのCDDP単体処理群では20%の体重減少があった。最低体重が見られた投与後5日目以降から次第に体重が増加し、15日目にはコントロールに近づいていった。一方、CDDP-DNA MS処理群では、急激な体重変化が見られずコントロールの体重変化パターンと類似であった。これらにより、CDDP単体の1回投与による毒性は投与初期に体重減少で現れたが、CDDP-DNA MS処理による毒性はなかったと考えられる。さらに、薬物投与20日目にマウスを犠牲死させ、血液学的検査、血液生化学検査を行った結果を図5〜図8に示した。白血球の数(図5)はCDDP単体処理群では減少する傾向が見られたが、CDDP-DNA MS処理群ではコントロールとの差がなかった。ヘモグロビン値(図6)ではCDDP-DNA MS処理群とCDDP単体処理群との有意な差がなかった。血小板の数(図7)にもCDDP単体処理群ではコントロールと比較し有意な減少が見られたが、CDDP-DNA MS処理群は大きな変化がなかった。血液学的検査により、CDDP単体による毒性は投与30日後においても現れていることがわかる。図8には、CDDPの代表的な副作用である腎臓毒性を調べるため、血液尿素窒素を測定した結果を示した。CDDP-DNA MS処理群では若干増加しているが、全て処理群には有意な差がなかった。
以上の結果より、CDDP-DNA MS投与はCDDP単体投与より、毒性が極めて少ないことが理解できる。
以上の結果より、CDDP-DNA MS投与はCDDP単体投与より、毒性が極めて少ないことが理解できる。
〔実施例4:In vivo 抗がん治療試験〕
実験動物として、6週齢のBALB/c雄性マウス(体重25g、日本清水実験材料)を選び、がん移植当日の体重をもとに層別連続無作為化法により7匹ずつコントロール群とCDDP-DNA MS群及びCDDP単体を投与する治療群に群分けを行った。この試験では毒性試験と同様の薬物処理を行った。具体的には以下の通りである。
マウス由来結腸がん(Colon-26adenocarcinoma)細胞(1´106)をマウスの腹腔内に移植し、担がんマウスを作成した。がん移植6日後、薬物(CDDP単体とCDDP-DNA MS)を腹腔内投与し、その日から体重の変化と生存可否を調べた。結果を図9にマウスの生存曲線として示した。
実験動物として、6週齢のBALB/c雄性マウス(体重25g、日本清水実験材料)を選び、がん移植当日の体重をもとに層別連続無作為化法により7匹ずつコントロール群とCDDP-DNA MS群及びCDDP単体を投与する治療群に群分けを行った。この試験では毒性試験と同様の薬物処理を行った。具体的には以下の通りである。
マウス由来結腸がん(Colon-26adenocarcinoma)細胞(1´106)をマウスの腹腔内に移植し、担がんマウスを作成した。がん移植6日後、薬物(CDDP単体とCDDP-DNA MS)を腹腔内投与し、その日から体重の変化と生存可否を調べた。結果を図9にマウスの生存曲線として示した。
薬物投与後、CDDP単体処理群ではCDDPの毒性による体重減少と外見変化が起きた。20mg/kgのCDDP単体処理群では投与5日目に最低体重が見られつつ、処理群の半分が死亡した。これはCDDPの毒性による死と考えられる。
一方、CDDP-DNA MS処理群では体重減少と外見的変化が見られなかった。CDDP単体処理群ではCDDP投与後、毛のつやがなくなるという変化があった。がん形成による外観的変化は接種30日後から見られ、CDDP単体処理群では40日以降からがんにより死亡するマウスが発生した。CDDP単体5mg/kg、10mg/kg処理群では濃度による抗がん効果の差は有意でなかった。一方、CDDP-DNA MS処理群では外見的にも腫瘍形成が明らかに抑えられており、延命にもコントロールとCDDP単体処理群に比べ有意な差が出た。
これらの結果より、CDDP-DNA MS投与による抗がん効果が優れていることが理解される。
一方、CDDP-DNA MS処理群では体重減少と外見的変化が見られなかった。CDDP単体処理群ではCDDP投与後、毛のつやがなくなるという変化があった。がん形成による外観的変化は接種30日後から見られ、CDDP単体処理群では40日以降からがんにより死亡するマウスが発生した。CDDP単体5mg/kg、10mg/kg処理群では濃度による抗がん効果の差は有意でなかった。一方、CDDP-DNA MS処理群では外見的にも腫瘍形成が明らかに抑えられており、延命にもコントロールとCDDP単体処理群に比べ有意な差が出た。
これらの結果より、CDDP-DNA MS投与による抗がん効果が優れていることが理解される。
本発明のマイクロ微粒子製剤は、シスプラチン(CDDP)等の抗がん剤を含んだ徐放性医薬組成物として利用できる。
Claims (4)
- 二重らせんDNAを含有するマイクロ微粒子製剤であって、
前記二重らせんDNAに医薬品がインターカレートしていることを特徴とするマイクロ微粒子製剤。 - 請求項1に記載のマイクロ微粒子製剤において、
前記医薬品が抗がん剤であることを特徴とするマイクロ微粒子製剤。 - 請求項2に記載のマイクロ微粒子製剤において、
前記抗がん剤がシスプラチン、カルボプラチン、オルマプラチン、オキザリプラチンおよびロバプラチンからなる群より選ばれる少なくとも一つの白金化合物であることを特徴とするマイクロ微粒子製剤。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のマイクロ微粒子製剤と、
薬学的に許容される担体とを含む、腫瘍を治療するための医薬組成物。
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JP2006341244A JP2008195613A (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | マイクロ微粒子製剤および医薬組成物 |
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- 2006-12-19 JP JP2006341244A patent/JP2008195613A/ja not_active Withdrawn
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