JP2008194737A - パッケージ封止用のろう材及びパッケージ部品 - Google Patents

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光 山下
Kenichi Miyazaki
兼一 宮崎
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義徳 堀内
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Abstract

【課題】パッケージ封止用のろう材において、封止時にパッケージ内部の素子にダメージを与えることのない適度な融点範囲を有するろう材を提供する。
【解決手段】Au−Ge−Si三元系合金からなり、これらの元素の重量濃度が、三元系状態図におけるA点(Au:95.9%、Ge:4%、Si:0.1%)、B点(Au:79.9%、Ge:20%、Si:0.1%)、C点(Au:98.4%、Ge:0.1%、Si:1.5%)、D点(Au:93.9%、Ge:0.1%、Si:6%)を頂点とする多角形の領域内にあり、融点約350〜360℃を示すパッケージ封止用のろう材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子部品パッケージの気密封止で使用されるろう材及びパッケージ部品に関する。詳しくは、封止時にパッケージ内部の素子にダメージを与えることなく、且つ、基板への実装時等において再溶融することのない、適正範囲の融点を有するろう材を提供する。
携帯電話等の各種電子機器で使用されるSAWフィルタ、水晶振動子のような電子部品は、内部の素子を保護する観点から、セラミック等のパッケージ内に気密封止されている。このパッケージを封止する際のろう材として、従来からAu−Snろう材が用いられており、特に、共晶組成であるAu−20wt%Snろう材が使用されている(特許文献1)。このAu−Snろう材の融点は、280℃前後と比較的低いことから、パッケージ封止時において効率的な封止作業を可能とするという利点がある。
特開2001−150182号公報
しかし、Au−Snろう材は、パッケージ封止作業の際には好ましい特性を有するが、その後になされる電子部品基板への実装工程での熱により再溶融するおそれがあり、パッケージの封止部分の剥離やリークが生じることがある。また、基板実装時に再溶融の問題が生じなくとも、電子機器を補修するとき、基板を加熱して故障した部品を回収する際、その熱により故障していない他の部品の封止を破り破損させてしまうおそれもある。
以上のような、ろう材の再溶融は、ろう材の融点が低いことから生じる問題である。そこで、上記問題を考慮したろう材として、Au−Geろう材、例えばAu−12.5%Geろう材の適用が知られている(特許文献2)。このAu−Geろう材の融点は、360℃を超えるものであり、かかる比較的高融点のろう材であれば、封止後の再溶融のおそれは少なくなる。
特開平7−151943号公報
しかしながら、Au−Geろう材を用いたパッケージ封止においては、その融点を考慮すれば、封止温度を400℃以上としなければならない。かかる高温雰囲気で封止を行うと、パッケージ内部の素子の熱的ダメージが大きくなり、場合により破損するおそれがある。
以上のように、従来のパッケージ封止用のろう材においては、封止時にパッケージ内部の素子にダメージを与えることなく、それでいて基板への実装及び補修時に再溶融することがない、適度な融点を有するものが求められていた。そこで、本発明は、このような背景の下にされたものであり。パッケージ封止用のろう材において、上記のような問題を生じさせることのない融点範囲、具体的には約350〜360℃の融点を有するものを提供する。
本発明者等は、上記課題を解決すべく検討を行い、Au、Ge、Siを含む三元系合金からなり、所定の組成範囲を有するものを見出し本発明に想到した。
即ち、本発明は、Au−Ge−Si三元系合金からなり、これらの元素の重量濃度が、三元系状態図におけるA点(Au:95.9%、Ge:4%、Si:0.1%)、B点(Au:79.9%、Ge:20%、Si:0.1%)、C点(Au:98.4%、Ge:0.1%、Si:1.5%)、D点(Au:93.9%、Ge:0.1%、Si:6%)を頂点とする多角形の領域内にあるパッケージ封止用のろう材である。
本発明に係る材料の組成を示す三元系状態図を図1に示す。本発明で三元系合金を適用するのは、Ge、Siの2つの元素をAuに同時添加することで、従来のAu二元系合金(Au−Sn、Au−Ge)よりも効果的に融点を低下させることができるからである。そして、Ge、Siの添加量を上記領域内の範囲にすることでその融点を好適な範囲内に収めることができる。また、本発明では、Ge、Siの合計添加量を20重量%未満に制限する。融点を調整する手法として合金に添加する元素の含有率を上昇させることも考えられるが、その場合、加工性に影響を及ぼすおそれがある。本発明における添加元素であるGe、Siは、少ない添加量で融点を制御することができ、その上で加工性を確保している。
そして、本発明においてより好ましい組成は、上記範囲内においてGeが1〜12重量%、Siが0.4〜4重量%となる領域の組成である。具体的には、図2の三元系状態図において、A点(Au:89.6%、Ge:10%、Si:0.4%)、B点(Au:87.6%、Ge:12%、Si:0.4%)、C点(Au:97%、Ge:1%、Si:2%)、D点(Au:95%、Ge:1%、Si:4%)を頂点とする多角形の領域内の組成である。かかる組成とすることで、融点を適正範囲内としつつ、加工性がより良好な材料とすることができる。
本発明に係る合金の製造においては、特段の困難性はなく、通常の合金(Au合金)と同様に溶解鋳造法により製造可能である。また、パッケージ部材へ適用するろう材は、通常、圧延加工、打ち抜き加工等を経て窓枠形状の薄板へ加工されるが、本発明に係る合金は、加工性が良好であり、任意の形状、寸法に加工可能である。
気密封止のためのパッケージ部材として、蓋体となるキャップ(リッド)及び素子を収容するベースがあるが、いずれかに本発明に係る合金からなるろう材を備えたものが好ましい。ろう材をパッケージ部材に固定する際には、ろう材を部材に載置して、加熱雰囲気でろう材を溶融・凝固させて融着する。尚、パッケージ部品の材質は、キャップについては、コバール(Fe−Ni−Co系合金)、42アロイ(Fe−Ni系合金)が一般に使用されており、ベースについてはセラミック製のものが使用されている。また、ろう材を融着させる際には、ろう材の濡れ性を改善する等の目的から、融着面に予め、Niメッキ及び/又はAuメッキがなされる。本発明に係るろう材は、これらメッキ層を予め備えたパッケージ部材に対しても融着させることができる。
そして、本発明に係るろう材、パッケージ部材を用いたパッケージの気密封止方法としては、ろう材が加熱される封止温度が360℃以上400℃未満、好ましくは、380℃以下となるようにしてパッケージ部材を接合することが好ましい。
以上説明したように、本発明に係るろう材用は、融点の範囲が約350〜360℃の範囲にあり、パッケージ封止のためのろう材として好適なものである。本発明に係るろう材は加工性も良好であり、小型化・薄型化が要求されるパッケージ用のろう材にも加工可能である。そして、本発明に係るろう材を備えたパッケージは、内部の素子にダメージを与えることなく封止可能であり、基板取り付け後の補修に際しても容易に再溶融することはない。
以下、本発明の実施形態及び比較例について説明する。本実施形態では各種組成のAu−Ge−Si合金からなるろう材を製造して、それぞれの特性を検討し、更に、SAW素子パッケージの気密封止試験を行った。製造した合金試料は、図3の三元系状態図中のライン上の数点の組成の合金である。試料の製造においては、所定の組成となるように秤量した各金属を溶解・鋳造し、圧延加工、打ち抜き加工を行い、枠状(外枠:3.4mm□、内枠:3.1mm□、厚さ0.03mm)のろう材とした。
製造した各ろう材について、まず、加工過程における加工性及び融点を評価した。加工性の評価は、加工後のろう材について、割れ、亀裂の発生の有無を実体顕微鏡(10倍)で観察して評価した。融点については示差熱分析により測定した。
気密封止試験では、まず、Niメッキ(3μm)、Auメッキ(0.03μm)がなされたコバール製のキャップ(3.5mm□、厚さ0.1mm)にろう材を載置した後、窒素雰囲気、400℃で1分間加熱してろう材を融着し、ろう材付きキャップを製造した。そして、内部にSAW素子を搭載したベース部材(外枠:3.7mm□、内枠:3.3mm□、高さ1mm)に、ろう材付きキャップを載置し、窒素雰囲気で2分間加熱して、気密封止を行った。パッケージの気密封止の際の封止温度は、380℃及び400℃の2種の温度で行った。
そして、各ろう材の封止特性を評価するため、気密封止後のSAW素子パッケージについて、リーク不良率及び故障率の測定を行った。リーク不良率は、グロスリーク試験装置(差圧式)により測定した。また、故障率は、封止前後のSAW素子パッケージについて、信号を加えたときの電気特性の劣化の有無を測定した。この際、素子を通過させる信号電力は1Wとし、かつ信号周波数を弾性表面振動の2次モードの共振点付近に設定した。また、測定時の温度は80℃の恒温とした。そして、封止前後の挿入損失が1dB以上あるものを故障品と判定し、製造したパッケージ毎(各ろう材組成について、1000個製造)の故障率を算出した。これらの検討内容について、その結果を表1に示す。
Figure 2008194737
表1からわかるように、Au−Ge−Si三元系ろう材(No.2〜No.11)においては、融点がほぼ350〜360℃の範囲にあり、また、加工性も良好であった。これに対し、Au−Ge二元系ろう材(No.1)は、融点が360℃以上であり、また、加工性にも問題が残った。Au−Si二元系ろう材(No.12)も融点が360℃を超えていた。
また、パッケージの気密封止後の評価結果についてみると、封止温度380℃としたとき、Au−Ge二元系ろう材及びAu−Si二元系ろう材による封止は、リーク不良率は5%を超え、十分な気密封止ができないことがわかる。このリーク不良率は、封止温度を400℃とすることで1%程度に改善されるが、この場合、封止温度上昇による半導体素子のダメージにより故障率が5%程度となってしまう。これに対し、Au−Ge−Si三元系ろう材を適用する場合、封止温度が380℃であっても、リーク不良率は1%未満と良好な封止ができることがわかる。もっとも、三元系ろう材を用いても、封止温度を400℃とすることで故障率は上昇することから、良好な封止とするためには、三元系ろう材を用い封止温度を400℃未満とすることが好ましい。
本発明に係る材料の組成を示すAu−Ge−Si三元系状態図。 本発明に係る材料の好ましい組成を示すAu−Ge−Si三元系状態図。 本実施形態で製造した試料の組成を示す図。

Claims (3)

  1. Au−Ge−Si三元系合金からなり、これらの元素の重量濃度が、三元系状態図におけるA点(Au:95.9%、Ge:4%、Si:0.1%)、B点(Au:79.9%、Ge:20%、Si:0.1%)、C点(Au:98.4%、Ge:0.1%、Si:1.5%)、D点(Au:93.9%、Ge:0.1%、Si:6%)を頂点とする多角形の領域内にあるパッケージ封止用のろう材。
  2. Au、Ge、Siの重量濃度が、三元系状態図におけるA点(Au:89.6%、Ge:10%、Si:0.4%)、B点(Au:87.6%、Ge:12%、Si:0.4%)、C点(Au:97%、Ge:1%、Si:2%)、D点(Au:95%、Ge:1%、Si:4%)を頂点とする多角形の領域内にある請求項1記載のパッケージ封止用のろう材。
  3. 請求項1又は請求項2記載のパッケージ封止用のろう材を備える気密封止用のパッケージ部品。
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