JP2008194035A - 高いヌクレアーゼ耐性と優れたrna干渉効果を発現可能な二本鎖rna - Google Patents

高いヌクレアーゼ耐性と優れたrna干渉効果を発現可能な二本鎖rna Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる新規な二本鎖RNAを提供することである。
【解決手段】 標的遺伝子の発現を抑制できる修飾型二本鎖RNAとして、下記の(i)〜(iii)の特徴を備えさせる:(i)前記センス鎖RNAが21〜27個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが23〜29個のヌクレオチドからなる、(ii)前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端がダングリングエンドを有している、及び(iii)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合している。
【選択図】なし

Description

本発明は、標的遺伝子の発現を効果的に抑制できる修飾型RNAに関する。より具体的には、本発明は、21〜27塩基からなるセンス鎖RNA(標的遺伝子中の標的配列に相補的な配列)及び該センス鎖RNAに相補的な配列を有する23〜29塩基からなるアンチセンス鎖RNAを有する二本鎖RNAであって、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる修飾型RNAに関する。
ガンやエイズなどの難病を効率的に治療する医薬の開発は、ライフサイエンス分野における大きな一つの課題である。この課題を克服できる可能性がある有力な方法の一つとして、特定の遺伝子にのみ作用する遺伝子医薬がある。この遺伝子医薬の中でも特に最近21塩基の短い2本鎖RNA (small interfering RNA:siRNA )を利用するRNA干渉(RNA interference:RNAi)法 が注目されている。このRNAi法は、1998年にFireらにより初めて報告された(非特許文献1参照)。Fireらの報告によると、機能阻害したい遺伝子の特定領域と相同な100塩基対程度の2本鎖RNAを細胞内へ導入させることにより、細胞質内でDicerの働きにより20〜25塩基対程度の2本鎖RNAへと分解され、その後複数のタンパク質とRNA/タンパク質複合体を形成し(この複合体をRICS:RNA-induced silencing complexと呼ぶ)、標的遺伝子から産出されたmRNAの相同部位と結合し強力に遺伝子発現を抑制するというものである。しかしながら哺乳細胞では、約30塩基対以上の長い2本鎖RNAを導入させると、ウィルス応答反応であるインターフェロン反応が誘導され結果的に細胞が死んでしまうという現象が報告され、哺乳動物細胞系ではRNAi法は適用し難いと考えられた。そこでTuschlらは、3’末端にダングリングエンド(オーバーハング)をもつ21塩基長の2本鎖RNAを化学的に合成し、哺乳動物細胞へ直接導入させることにより、インターフェロン応答を回避し配列特異的に高い遺伝子発現抑制能を示すことを報告した(非特許文献2参照)。また彼らは、2本鎖領域が19塩基対で、3’末端又は5’末端に様々な長さのダングリングエンド鎖をもつ短い2本鎖RNAを合成しRNA干渉効果を検討した。その結果、センス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ21塩基長のsiRNAは非常に高いRNA干渉効果が観測されたが、それ以外のあらゆるタイプの短い2 本鎖RNAにおいては顕著なRNA干渉効果が観測されなかった。この報告により、今日では21塩基長であり、センス鎖及びアンチセンス鎖の双方の3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ2本鎖RNAを用いたRNA干渉法が一般的となっている。ここでは21塩基長の短い2本鎖RNAを用いて標的遺伝子発現を阻害する方法を、RNAi法と区別してsiRNA法を呼ぶ。
このsiRNA法は合成RNAを用いるのでサンプル調整も比較的容易であり、取り扱い操作も簡便で、かつ、非常に強力な効果を示す為、ライフサイエンス分野のみならずバイオビジネス分野においても大きな注目を浴びている。
しかしながら、この優れたsiRNA法にも解決しなければならない問題点がある。上記したようにsiRNAはRNA分子から構成されており、細胞内および倍地中に含まれるヌクレアーゼの働きにより速やかに分解される。また2本鎖RNA領域は1本鎖RNAに比べ比較的高いヌクレアーゼ耐性を示すが、19塩基対からなる2本鎖RNAは殆ど従来のRNA干渉効果を示さない。そのため合成siRNAは、標的遺伝子配列をもつ細胞への導入後、2日〜4日間程度までは高い遺伝子発現抑制効果を示すが、その後はRNA干渉効果が急激に弱まり、7日程度でRNA干渉効果が殆ど無くなると報告されている。
最近、合成siRNAにおいて細胞導入性に優れ長時間高活性なRNA干渉効果を獲得するために、様々な化学修飾型siRNAが報告されている。例えば、エキソヌクレアーゼからの分解耐性を獲得する為に、siRNAの末端をアミノ基やチオール基、アベーシックなどに修飾したsiRNAが合成されている。しかしながら、末端を修飾した21塩基長のsiRNAのほとんどの場合で、RNA干渉効果が著しく減少すると既に報告されている。
また、細胞導入性や組織選択性を持たせる為にコレステロールや長鎖アルキル、糖鎖、ペプチドなどをsiRNAの末端に修飾したものが報告されている。コレステロールや長鎖アルキルを修飾したsiRNAは、細胞導入性が向上するだけではなく、in vivoにおいて肝臓への蓄積が観測されている。また、糖鎖やペプチドを修飾したsiRNAにおいても細胞導入性の向上が観測されている。しかしながら、いずれの場合においても修飾されていないsiRNAに比べ、同程度又は低いRNA干渉効果を観測しており、また、ヌクレアーゼ耐性も獲得していない。
また、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAでは、末端にダングリングエンドを有する構造が一般的に採用されているが、末端にダングリングエンドを有していない構造(即ち、平滑末端を有する構造)についても、RNA干渉効果の検討が行われている。しかしながら、単に、センス鎖RNAの3’末端側を平滑末端にするだけでは、RNA干渉効果の改善が殆ど認められない、或いはRNA干渉効果が低減することが示唆されている(非特許文献3参照)。
更に、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに、機能性分子(タンパク質、ペプチド、コレステロール等)を結合させておくことにより、RNA干渉効果に加えて、当該機能性分子に基づく有用効果も奏されることが期待される。しかしながら、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに、単に機能性分子を結合させると、RNA干渉効果の顕著な減弱化を招くことが分かっており、従来技術では、優れたRNA干渉効果と機能性分子に基づく有用効果とを兼ね備えた機能性分子修飾型RNAを構築できていないのが現状である。
以上のように、従来技術では、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに関して、優れたヌクレアーゼ耐性及びRNA干渉効果を備えさせるには、如何なる塩基長のRNA、如何なる構造のRNAを採用すればよいかについては解明されていないのが現状である。
Fire et. al, Nature, 391, 806-811 (1998) Tuschl et. al., EMBO Journal, 20, 6877-6888 (2001) J. T. Marques et. al., Nature Biotech., 24, 559-565 (2005)
本発明は、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる新規な二本鎖RNAを提供することを目的とする。更に、本発明は、優れたRNA干渉効果と機能性分子に基づく有用効果とを兼ね備えた機能性分子修飾型二本鎖RNAを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列を含むセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を含むアンチセンス鎖RNAを有し、標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAにおいて、下記(i)〜(iii)の特徴を全て具備させることによって、ヌクレアーゼ耐性が高く、一層優れたRNA干渉効果を奏するRNAを獲得できることを見出した。
(i)前記センス鎖RNAが21〜27個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが23〜29個のヌクレオチドからなる。
(ii)前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端がダングリングエンドを有している。
(iii)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合している。
本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる修飾型RNAを提供する。
項1. 標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAであって、前記センス鎖RNAが21〜27個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが23〜29個のヌクレオチドからなり、
前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端がダングリングエンドを有しており、且つ前記センス鎖RNAの3’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合していることを特徴とする、修飾型RNA。
項2. 前記センス鎖RNAが21個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなる、項1に記載の修飾型RNA。
項3. 前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが25個のヌクレオチドからなる、項1に記載の修飾型RNA。
項4. 前記センス鎖RNAが25個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが27個のヌクレオチドからなる、項1に記載の修飾型RNA。
項5. 前記センス鎖RNAの3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されている、項1乃至4のいずれかに記載の修飾型RNA。
項6. 前記センス鎖RNAの3’末端側から1番目のヌクレオチドにのみ1つの置換基が結合している、項1乃至5のいずれかに記載の修飾型RNA。
項7. 前記置換基が、アミノアルキル基、DNA、脂質を有する基、又はコレステロールを有する基である、項1乃至6のいずれかに記載の修飾型RNA。
項8. 前記置換基が、炭素数1〜40のアミノアルキル基、塩基長が5〜50のDNA、又は炭素数6〜50の脂肪酸を有する基である、項1乃至6のいずれかに記載の修飾型RNA。

項9. 前記脂質を有する基が、ラウリン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸、又はパルミチン酸を有する基である、項7に記載の脂質修飾2本鎖RNA。
本発明の修飾型RNAは、(i)前記センス鎖RNAが21〜27個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが23〜29個のヌクレオチドからなる、(ii)前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端がダングリングエンドを有している、及び(iii)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合している、という3つの特徴を全て充足するものである。本発明の修飾型RNAは、かかる構成を採用することによって、飛躍的なRNA干渉効果の向上が実現され、更には優れたヌクレアーゼ耐性をも備えることが可能になっている。従って、本発明の修飾型RNAは、例えば、ガンやエイズ等の疾病の治療に有効な遺伝子医薬として応用できる。
本発明の修飾型RNAは、21〜27個のヌクレオチドから構成され、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列であるセンス鎖RNAを含む。
ここで、標的遺伝子とは、RNA干渉効果によって遺伝子発現の抑制対象となる遺伝子である。本発明の修飾型RNAにおいて、標的対象遺伝子については、特に制限されず、該修飾型RNAの用途に基づいて適宜選択することができる。
標的遺伝子中の標的配列については、RNA干渉効果によって遺伝子発現を抑制可能な配列である限り特に制限されず、公知の方法で、具体的には、NCBIのBLASTサーチ等を用いて適宜決定することができる。例えば、標的遺伝子のコード領域(ORF)の開始コドンから50〜100塩基下流のエキソン部分にある塩基"AA"に続く19〜30塩基からなる領域であって、GC含有量が50%前後の領域を標的配列とすればよい。このような標的配列に対する相補鎖を採用することで、優れたRNA干渉効果を獲得することが、当業界で経験的に明らかにされている。また、例えば、上記標的配列は、IDT社(Integrated DNA Technologies, INC)のマニュアル(Dicer Substrate RNAi Design)に従って設定することが出来る。また最近では、(i)アンチセンス鎖RNAの5’末端がA/Uペアであり、(ii)センス鎖RNAの5’末端がG/Cペアであり、(iii)アンチセンス鎖RNAの5’末端側に5つ程度のA/Uペアがあり、且つ(vi)2本鎖中に9つ以上のG/Cペアが無い2本鎖RNAを設計することで高いRNA干渉効果をもつ2本鎖RNAをデザインできると報告されている(Ui-Tei et. al, Nucleic Acids Res., 32, 936-948 (2004))。
本発明の修飾型RNAにおけるセンス鎖RNAは、標的遺伝子中の上記標的配列に相補的な21〜27個のヌクレオチドからなる配列、即ち、上記標的配列に対する21〜27塩基長の相補鎖である。なお、ここでいうセンス鎖RNAのヌクレオチド数は、標的遺伝子中の上記標的配列に相補的な塩基配列を構成するヌクレオチドの数を意味し、センス鎖RNAが置換基としてDNAやPNA等の核酸を有する場合には、これらの置換基を構成するヌクレオチドの数を含まない。
本発明の修飾型RNAにより優れたRNA干渉効果を備えさせるという観点から、上記センス鎖RNAの構成ヌクレオチド数として、好ましくは21、23、27又は25、更に好ましくは21、23又は25が例示される。
また、上記センス鎖RNAを構成する全てのヌクレオチドがリボヌクレオチドにより構成されていてもよいが、デオキシリボヌクレオチドが含まれていてもよい。特に好適なセンス鎖RNAとして、前記センス鎖RNAの3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されているものが例示される。このような構成でセンス鎖にデオキシリボヌクレオチドを付与しておくことによって、Dicerプロセシングを受けることにより、高効率で2ntのダングリングエンドを3’末端に有する二本鎖RNA(siRNA)に変換させることができ、より優れたRNA干渉効果を奏させることが可能になる。
また、本発明の修飾型RNAの上記センス鎖RNAの3’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに、置換基が結合している。一方、本発明の修飾型RNAにおいて、上記センス鎖RNAの3’末端側以外の部位には、置換基は結合していない。即ち、上記センス鎖RNAの3’末端側以外の部分、及び後述するアンチセンス鎖RNA部分は置換基によって置換されておらず、ヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのみから構成される。このように、上記センス鎖RNAの3’末端側にのみ置換基が結合していることによって、格段に優れたRNA干渉効果を発現させることが可能になる。
ここで、置換基としては、特に制限されないが、その一例として、アミノ基;メルカプト基;ニトロ基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアミノアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のチオアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアミノアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のチオアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のモノもしくはジアルキルアミノ基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルキルチオ基;炭素数2〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のポリエチレンオキサイド基;炭素数3〜39(好ましくは3〜21、更に好ましくは3〜12)のポリプロピレンオキサイド基等を挙げることができる。これらの置換基を結合させることによって、RNA干渉効果を顕著に増強させることが可能になる。
更に、置換基は、上記のもの以外に、機能性分子を有する基であってもよい。このように、置換基が機能性分子を有する基である場合には、優れたRNA干渉効果と当該機能性分子に基づく有用効果を兼ね備えさせることができる。
ここで、機能性分子としては、糖、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA(tRNAを含む)、アプタマー、修飾ヌクレオチド、低分子有機・無機材料、コレステロール、デンドリマー、脂質、高分子材料等が例示される。
上記糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、グルコサミン、ガラクトサミン等の単糖、これらを任意に組み合わせたオリゴ糖又は多糖等が挙げられる。
上記タンパク質としては、生体内に存在するタンパク質、薬理作用を有するタンパク質、分子認識作用を有するタンパク質等を使用でき、該タンパク質の一例として、インポーチンbタンパク質、アビジン、抗体等を挙げることができる。
上記DNAとしては、具体的には、塩基長が5〜50のDNA、好ましくは塩基長が5〜25のDNAが例示される。
上記ペプチドとしては、例えば、R8、核局在化シグナルペプチド配列(HIV-1 TatやSV40T抗原等)、核外移行性シグナルペプチド(HIV-1 RevやMAPKK等)、細胞膜融合ペプチド等が挙げられる。
上記修飾ヌクレオチドとしては、例えば、ホスホロチオエート型、ボラノフォスフェート型DNA/RNA等のリン酸骨格を修飾したもの;2’−0Me修飾RNA、2’−F修飾RNA等の2’修飾ヌクレオチド;LNA(Locked Nucleic Acid)やENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged nucleic acids)等のヌクレオチドの糖分子を架橋した修飾ヌクレオチド;PNA(ペプチド核酸)、モリフォリノヌクレオチド等の基本骨格が異なる修飾ヌクレオチドなどが挙げられる。
上記低分子有機・無機材料としては、例えば、Cy3、Cy5等の蛍光物質;ビオチン;量子ドット;金微粒子等が挙げられる。
上記デンドリマーとしては、例えば、ポリアミドアミンデンドリマー等が挙げられる。
上記脂質としては、例えば、炭素数6〜50の脂肪酸、DOPE(1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)等が挙げられ、RNA干渉効果及びヌクレアーゼ耐性を飛躍的に向上せしめるためには、好ましくは、ラウリン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸が挙げられる。
上記高分子材料としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
ここで、機能性分子を有する基としては、機能性分子の残基そのものであってもよく、また、下記一般式(I)に示す基、即ち機能性分子の残基に二官能性リンカーの一方の官能基が結合した基であってもよい。つまり、前者の場合、機能性分子が、上記センス鎖RNAの所定の部位に直接結合しており、後者の場合、機能性分子が二官能性リンカーを介して上記センス鎖RNAの所定の部位に結合している。機能性分子を有する基として、好ましくは、後者の下記一般式(I)に示す基である。
ここで、二官能性リンカーとしては、官能基を2つ含むリンカーであれば特に制限されないが、例えば、N-スクシニミジル=3-(2-ピリジルジチオ)プロピナート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)−1−カルボキシペンチル]イミノジアセティクアシッド、N-(5-アミノペンチル)-イミノジアセテックアシッド等を使用できる。
上記のものの他に、上記二官能性リンカーとして、下記の構造のものを使用することもできる。
ここで、上記一般式(L-4)〜(L-21)、において、n1は、1〜40の整数、好ましくは2〜20の整数、更に好ましくは2〜12の整数を示す。
また、上記一般式(L-22)及び(L-23)、において、n2は、1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、更に好ましくは1〜6の整数を示す。
上記一般式(L-4)〜(L-23)に示すリンカーは、その右側又は左側のいずれに機能性分子が結合していてもよい。好ましくは、左側に機能性分子が結合しており、右側に上記センス鎖RNAの所定の部位が結合するように構成されているものである。
上記二官能性リンカーは、結合させる機能性分子の種類に応じて適宜選択して使用すればよい。例えば、上記機能性分子としてコレステロールを使用する場合、一般式(L-22)又は(L-23)のリンカー、特に一般式(L-22)のリンカーが好適に使用される。
なお、機能性分子が脂質の場合には、上記センス鎖RNAの3'末端側に上記アミノアルキル基を結合させ、更に当該アミノアルキル基のアミノ基と脂質のカルボキシル基とをアミド結合によって結合させることによって、脂質を有する基を上記センス鎖RNAの3'末端側に連結させることが望ましい。また、機能性分子がDNAの場合には、リンカーを使用することなく、直接、上記センス鎖RNAの3'末端側にDNAを結合させることが望ましい。
上記機能性分子を有する基の中でも、好ましくはDNA、コレステロールを有する基、脂質を有する基である。上記置換基としてDNAを採用すると、当該DNAと相補的な塩基配列を有するDNAやRNAを更にハイブリダイズさせて複合体を形成させることが可能になり、当該DNAに基づく更なる有用機能を本発明の修飾型RNAに備えさせることができる。また、上記置換基として、コレステロールを有する基、又は脂質を有する基を採用すると、遺伝子導入剤を使用しなくても本発明の修飾型RNAを細胞内に導入可能になるという利点を獲得できる。
上記置換基の好適なものとして、アミノアルキル基、チオアルキル基、及びコレステロールを有する基、脂質を有する基、特に好適なものとしてアミノアルキル基を例示することができる。例えば、上記置換基として、アミノアルキル基、及びチオアルキル基を採用すると、飛躍的にRNA干渉効果を向上させることができ、更にはリンカーを介して、又は介さず、膜透過性ペプチド、糖、タンパク質等の機能性分子を共有結合で結合させることができ、RNA分子に様々な機能性を付与できるという利点を獲得できる。更に、例えば、上記置換基として、コレステロールを含む基を採用すると、所望のRNA干渉効果を奏することに加え、遺伝子導入剤を使用しなくても本発明の修飾型RNAを細胞内に導入可能になるという利点を獲得できる。
上記センス鎖RNAにおいて、上記置換基の結合対象となるヌクレオチドは、上記センス鎖RNAの3’末端側から1〜6番目のヌクレオチドであれば特に制限されないが、好ましくは3’末端側から1〜4番目のヌクレオチド、更に好ましくは3’末端側から1及び/又は2番目のヌクレオチド、特に好ましくは3’末端(3’末端側から1番目)のヌクレオチドである。
また、上記置換基の結合部位については、特に限定されるものではないが、上記置換基が、上記センス鎖RNAの所定のヌクレオチドのリン酸部分の水酸基を構成する水素原子と置換されて結合していることが好ましい。
本発明の修飾型RNAに結合した上記置換基の数としては、特に制限されないが、例えば1〜3個、好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個が例示される。
上記センス鎖RNAの3’末端側のヌクレオチドへの置換基の結合は、使用する置換基の種類等に応じて、公知の化学合成法に従って実施される。
また、本発明の修飾型RNAは、上記のセンス鎖RNAに対して、センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端(ブランドエンド)となるように、アンチセンス鎖RNAがハイブリダイズすることにより、二本鎖を形成している。ここで、センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端となる構造とは、センス鎖RNAを構成するヌクレオチドの3’末端のみならず、アンチセンス鎖RNAを構成するヌクレオチドの5’末端もダングリングエンドを有していない構造を意味する。
当該アンチセンス鎖RNAは、23〜29個のヌクレオチドからなり、上記センス鎖RNAの3’末端側(即ち、アンチセンス鎖RNAの5’末端側)を平滑末端にした状態で、上記センス鎖RNAとハイブリダイズして二本鎖を形成可能であるRNAである。即ち、当該アンチセンス鎖RNAは、上記センス鎖RNAに対して相補的なヌクレオチド配列からなるRNAの3’末端側にダングリングエンドを構成する1〜8個のヌクレオチドが結合されてなる構造を有するものである。本発明の修飾型RNAにおいて、当該アンチセンス鎖の3’末端側に形成されるダングリングエンドは、好ましくは2〜4、更に好ましくは2個のヌクレオチドから構成される。
また、当該アンチセンス鎖RNAを構成するヌクレオチドには、上記センス鎖RNAの場合と同様に、デオキシリボヌクレオチドが含まれていてもよい。
本発明の修飾型RNAの好適な一態様として、(1)3’末端側に上記置換基を有する、21個のヌクレオチドからなるセンス鎖RNAと、23個のヌクレオチドからなるアンチセンス鎖RNAから構成されるもの(即ち、前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端が2個のヌクレオチドからなるダングリングエンドを有しているもの);(2)3’末端側に上記置換基を有する、23個のヌクレオチドからなるセンス鎖RNAと、25個のヌクレオチドからなるアンチセンス鎖RNAから構成されるもの(即ち、前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端が2個のヌクレオチドからなるダングリングエンドを有しているもの);及び(3)3’末端側に上記置換基を有する、25個のヌクレオチドからなるセンス鎖RNAと、27個のヌクレオチドからなるアンチセンス鎖RNAから構成されるもの(即ち、前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端が2個のヌクレオチドからなるダングリングエンドを有しているもの)が例示される。このような構造の修飾型RNAを採用することで、より一層有効にRNA干渉効果を発現させることが可能になる。
上記(1)〜(3)の態様の修飾型RNAは、前述するように、センス鎖RNA及び/又はアンチセンス鎖RNAを構成するヌクレオチドとして、デオキシリボヌクレオチドが含まれていてもよく、例えば、上記(1)〜(3)の態様において、センス鎖RNAの3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されていてもよい。中でも特に、上記(3)の態様において、センス鎖RNAの3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されているものが、特に優れたRNA干渉効果を奏し得るので好適である。また、上記(1)〜(3)の態様の修飾型RNAは、センス鎖の5’末端がリン酸化されていても良く、例えば、上記(1)〜(3)の態様においてセンス鎖の3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されている場合は、センス鎖の5’末端はリン酸化されている方が好ましい。中でも特に、上記(3)の態様のものが好適である。
本発明の修飾型RNAは、上記構造の置換基を有するセンス鎖RNA、及び上記構造のアンチセンス鎖RNAを合成し、これらのセンス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAを公知の方法に従ってハイブリダイズさせることにより、調製される。
本発明の修飾型RNAは、細胞内に導入されることにより使用される。本発明の修飾型RNAについては、従来siRNAとして使用されているRNAと同様の方法で、目的の細胞内に導入され使用される。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。これらの実施例は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。なお、以下、2本鎖RNAにおいて、ダングリングエンド(一本鎖領域)を持たない完全2本鎖RNA(センス鎖RNAの5’末端側及び3’末端側が共に平滑末端である2本鎖RNA)をDS (double strand) RNA;二本鎖RNAの両末端にダングリングエンド(オーバーハング)を持つ2本鎖RNAをSi RNA;センス鎖の3’末端側が平滑末端であり、アンチセンス鎖の3’末端にダングリングエンドを持つ2本鎖RNAをLO (Left Overhang) RNAと表記する。
実施例1 末端アミノ修飾2本鎖RNA−1
ウミシイタケルシフェラーゼと相同配列を持ち、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子発現を抑制できる27塩基長のアンチセンス鎖RNAオリゴヌクレオチドと、該アンチセンス鎖と相同配列をもち3’末端の2塩基がDNAである25塩基長のRNA-DNAキメラオリゴヌクレオチドからなる2本鎖RNA(以下、25D/27 dsRNAと表記する)を用いて、以下の実験を行った。なお、25D/27 dsRNAは、アンチセンス鎖の3’末端に2塩基のダングリングエンド(1本鎖領域)を持ち、センス鎖の3’末端は平滑末端であることを特徴としている。使用した25D/27 dsRNAの配列は、以下の通りである。なお、下記配列中のdN(N=A,G,C,T)はDNAであることを示す。また、pはリン酸(POH)を意味している。
27nt dsRNA センス鎖 :5’-pGGCCUUUCACUACUCCUACGAGCdAdC-3’
アンチセンス鎖:3’-GACCGGAAAGUGAUGAGGAUGCUCGUG-5’
また、比較として、通常RNA干渉反応で良く使用されている3’末端に2nt のダングリングエンドを含み、21 塩基長のRNAからなる21 siRNAを用い、同様の実験を行った。21 siRNAの配列を以下に示す。
21 siRNA センス鎖 :5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
アンチセンス鎖:3’-GACCGGAAAGUGAUGAGGAUG−5’
1.末端アミノ修飾25D/27 dsRNAの構造
25D/27 dsRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の5’末端又は3’末端をアミノ化した末端アミノ修飾25D/27 dsRNAを合成した。合成した末端アミノ修飾25D/27 dsRNAの構造を図1に示す。具体的な合成方法を以下に示す。まず、末端アミノ修飾RNAは、1本鎖の状態のRNA(林化成株式会社より購入;HPLC精製、MALDI-TOF MS解析済み)を用い、5’末端アミノ化は5’-Amino-Modifier C6 (Glen Research)、3’末端アミノ化は3’-Amino-Modifer C7 GPG (Glen Research)を用いて合成した。合成された末端アミノ修飾25D/27 dsRNAは、5’末端がアミノ化されたものには該末端(5’末端側から1番目のヌクレオチドのリン酸部分の水酸基部分)に−(CH2)6−NH2が結合されており、また3’末端がアミノ化されたものには該末端(3’末端側から1番目のヌクレオチドのリン酸部分の水酸基部分)に−(CH2)6−NH2が結合されている。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。また、universal buffer(林化成株式会社)中、同モルのセンス鎖およびアンチセンス鎖1本鎖RNAを混合し、92℃で2分間加熱した後、4℃まで徐々に温度を下げることで作成した。末端が修飾されていない25D/27 dsRNAを25D/27 RNA A;センス鎖の3’末端のみをアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA B;アンチセンス鎖の3’末端のみをアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA C;、センス鎖、アンチセンス鎖の両方の3’末端にアミノ基をもつ25D/27 dsRNAを25D/27 RNA D;アンチセンス鎖の5’末端のみをアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA E;センス鎖の3’末端およびアンチセンス鎖の5’末端をアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA F;センス鎖の5’末端のみをアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA G;センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の3’末端をアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA H;センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端をアミノ化した25D/27 dsRNAを25D/27 RNA Iとした。これらの末端修飾25D/27 dsRNAの内、25D/27 RNA Bが本発明の修飾型RNAに相当する。
2.末端アミノ修飾25D/27 dsRNAの分解酵素耐性
末端アミノ修飾25D/27 dsRNA(27B〜27I)のヌクレアーゼ耐性を検討した。実験は、最終濃度が2 μMになるよう調整した末端アミノ修飾25D/27 dsRNAを10%FBS(三光純薬株式会社)を含むRPMI-1640培地(インビトロジェン)中 (最終量110μl)、37℃でインキュベートし、0h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、12h、24h、48h後にそれぞれ10μl取り、2μlのローデングダイを含むサンプルチューブに添加した。分解反応を停止させる為、サンプル採取後すぐ液体窒素中にて凍結し、−20℃にて保存した。得られた産物を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation)でゲル解析を行った。また、比較として21塩基長の21 siRNAも同様に検討した。
結果を図2に示す。その結果、末端を修飾していない25D/27 dsRNA AはRNA干渉反応でよく用いられる3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ21塩基長のsiRNAに比べ、高い分解酵素耐性を保有していることが分かった。また、25D/27 dsRNAの末端をアミノ基で修飾した修飾型25D/27 dsRNAにおいても21 siRNAよりも高い分解酵素耐性を示した。特に、 25D/27 dsRNAのセンス鎖の3’末端をアミノ基で修飾した25D/27 dsRNA Bや25D/27 dsRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の3’末端をアミノ基で修飾した25D/27 dsRNA Dはその他の修飾型25D/27 dsRNAや未修飾25D/27 dsRNAに比べ高い分解酵素耐性を示し、この2つの修飾型 25D/27 dsRNAが血清を含む培地中においても優れた安定性を示すことが確認された。
3.末端アミノ修飾25D/27 dsRNAのDicerによるプロセシング
次に、それぞれのアミノ修飾25D/27dsRNAのDicerによるプロセシングを検討した。Dicerによる切断実験は、20mM Tris-HCl(pH 8.0), 15 mM NaCl, 2.5mM Mg2Cl溶液中、0.5 UのリコンビナントDicer(Gene Therapy Systems)と最終濃度2 μMになるよう調整したアミノ修飾25D/27 dsRNAをサンプルチューブに10 μl準備し、37℃に設定したインキュベーター中、12時間インキュベートした。その後、Dicerによる切断反応を停止させる為に、2μlのDicer Stop Solution (Gene Therapy Systems)を反応溶液に加え、更に2μlのローデングダイを加えた。得られた産物を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation)でゲル解析を行った。また、比較として3’末端に2塩基のダングリングエンドを持つ21塩基長のsiRNAも同時に泳動した。リコンビナントDicerによる25D/27 dsRNAのプロセシング結果を図3に示す。
その結果、修飾を施していない25D/27 dsRNA Aは、リコンビナントDicer存在下において21siRNAと同様の位置にバンドが確認され、Dicerの切断によって2塩基のダングリングエンドを含む21塩基長のsiRNAが生成していることが強く示唆された。また、25D/27 dsRNAのセンス鎖の3’末端をアミノ基で修飾した25D/27 dsRNA Bは、リコンビナントDicer存在下において21siRNAと同様の位置にバンドが確認され、25D/27 dsRNA A と同様に2塩基のダングリングエンドを含む21塩基長のsiRNAが生成していることが強く示唆された。一方、25D/27 dsRNAのアンチセンス鎖の3’末端にアミノ基をもつ25D/27 dsRNA Cやセンス鎖、アンチセンス鎖の両方の3’末端にアミノ基を持つ25D/27 dsRNA Dは、21siRNAまでプロセシングされたものとプロセシングを受けてないもの、また、Dicerによる21siRNAへのプロセンシングを全く受けていないことを示唆するゲル電気泳動バンドを得ており、修飾する位置がDicerによるプロセンシング効率に大きく影響することが今回明らかとなった。また、その他のアミノ化修飾25D/27 dsRNAにおいても上記と同様に、Dicerにより21塩基長のsiRNAへとプロセシングされるもの、一部しかプロセシングを受けないもの、また21塩基以外のsiRNAが生成されるもの等、アミノ修飾の位置等がプロセシング効率に大きく影響していることが明らかとなった。
4.末端アミノ修飾25D/27 dsRNAのRNA干渉効果
次に、それぞれの末端アミノ修飾25D/27 dsRNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。実験前に1x105 cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を96wellプレート上にそれぞれ100μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含ない新しい培地をウェルにそれぞれ80 μl加え、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを発現するベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)とLipofectamineTM 2000 (商品名、インビトロジェン)の複合溶液を10μlずつHeLa細胞が入ったそれぞれのウェルに加えた。ここで発現ベクターは1ウェルあたり0.02μgになるように、またLipofectamineTM 2000は1ウェルあたり0.2μlになるよう設定し、OptiMem(インビトロジェン)で必要量を調整した。また、複合体を形成させる為に、発現ベクターとLipofectamineTM 2000をOptiMemを用いて混合した後、室温で30分間インキュベートした。複合溶液を加えた後、細胞を5% CO2 存在下、37℃で4時間インキュベートした。その後、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝配列と相同的なアンチセンス配列を含む21 siRNAおよび25D/27 dsRNA、末端アミノ修飾25D/27 dsRNA を最終濃度が0nM, 0.2nM, 0.5nM, 1nM, 2nM, 5nM, 10nMになるようLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン) と複合体を形成させ、10μlの複合体溶液を発現ベクターを導入したHeLa細胞に加えた。ここで、1ウェルあたりの最終量は100 μlとなる。RNAとLipofectamineTM 2000の複合溶液は、1ウェルあたり5 μlのRNA水溶液と5 μlのLipofectamineTM 2000 (0.2μl) OptiMem溶液を混合し、30分間室温でインキュベートすることにより作成した。RNAを導入させた後、48時間インキュベートし、Dula-GloTMLuciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータ(MicroLumat LB96p: BERTHOLD)で測定し、ホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしてウミシイタケルシフェラーゼの発現抑制効果を算出した。
図4に、0.2 nM濃度のときの末端アミノ修飾25D/27 dsRNAのRNA干渉効果の結果を示す。その結果、25D/27 dsRNA Aは、21 siRNAよりも若干高いRNA干渉効果が観測され、効果的に目的遺伝子の発現を抑制していることが明らかとなった。、また、25D/27 dsRNAのセンス鎖の3’末端のみをアミノ化した25D/27dsRNA Bは、21siRNA や25D/27 dsRNA Aに比べ飛躍的に高いRNA干渉効果が観測され非常に高い遺伝子発現抑制能を持っていることが明らかとなった。一方、25D/27dsRNA B以外の末端アミノ修飾25D/27 dsRNAでは、25D/27 dsRNA Aと同程度又はこれに劣るRNA干渉効果しか示さなかった。
今回得られた結果から、細胞内でのDicerによる切断効率、その後の21siRNAの構造、RISCとの複合体形成効率、mRNA切断効率、さらには分解酵素耐性などがRNA干渉効果に大きく影響しており、25D/27 dsRNAのセンス鎖の3’末端のみに修飾を施すことにより飛躍的にRNA干渉効果が向上することが確認された。
5.末端アミノ修飾25D/27 dsRNAのRNA干渉効果の持続性
次に、末端アミノ修飾型25D/27 dsRNAのRNA干渉効果の持続性を検討した。RNA干渉効果の持続性を評価するために、50nMに調整した末端アミノ修飾型25D/27 dsRNAをそれぞれ7日間(168時間)、HeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)とインキュベートし、その後のRNA干渉効果を追跡した。遺伝子発現抑制実験で用いたターゲットはウミシイタケルシフェラーゼで、測定の48時間前にホタル及びウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子をもつベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)をLipofectamineTM 2000を用い細胞へ導入させた。また、末端アミノ修飾25D/27 dsRNAもLipofectamineTM 2000を用いて細胞内へ導入させておいて、2日おきに培地交換を行った。遺伝子発現抑制解析は、Dula-GloTMLuciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータで測定し、ホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしウミシイタケルシフェラーゼの発現抑制効果を算出した。ここで使用した発現ベクターやRNAの導入方法は前述と同様の方法でLipofectamineTM 2000と複合体を形成させ、それぞれ10 μlのサンプルを細胞に添加した。また、細胞溶液の最終容量は100 μlになるよう調整した。また、比較として21siRNAも同様に検討した。
得られた結果を図5に示す。その結果21siRNAは、細胞に添加後2日目には高いRNA干渉効果が観測されており、ウミシイタケルシフェラーゼの発現を80%以上抑制していたが、細胞添加後4日目にはRNA干渉効果が激減し、7日目には40%程度しか遺伝子発現を抑制することが出来なかった。これに対し、センス鎖の3’末端をアミノ基で修飾した25D/27 dsRNA Bは高いRNA干渉効果の持続性を示し、修飾型及び未修飾型のほとんどの25D/27 dsRNAで7日目においても80%程度の目的遺伝子の発現を抑制していた。一方、25D/27 dsRNA Eや25D/27 dsRNA Fにおいては優れたRNA干渉効果の持続性は観測されなかった。
実施例2 末端アミノ修飾2本鎖RNA−2
ウミシイタケルシフェラーゼと相同配列を持ち、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子発現を抑制できる2本鎖RNAとして、センス鎖の3’末端が平滑末端でアンチセンス鎖の3’末端にのみ2塩基のダングリングエンドを持つ2本鎖RNAをLO RNAとした。このLO RNAで、センス鎖に21塩基のRNAをアンチセンス鎖に23塩基のRNAを持ち、且つセンス鎖の3’末端が平滑末端でアンチセンス鎖の3’末端にのみ2塩基のダングリングエンドを持つLO 21A/23B RNAおよびLO 21A/23B RNAのセンス鎖の5’末端をアミノ化したLO 21AN5/23B RNA、LO 21A/23B RNAのセンス鎖3’末端をアミノ化したLO 21AN3/23B RNAをデザインした。同様に、センス鎖に23塩基のRNAを、アンチセンス鎖に25塩基のRNAを持ち、且つセンス鎖の3’末端が平滑末端でアンチセンス鎖の3’末端にのみ2塩基のダングリングエンドを持つLO 23A/25B RNA及びLO 23A/25B RNAのセンス鎖の5’末端をアミノ化したLO 23AN5/25B RNA、LO 23A/25B RNAのセンス鎖3’末端をアミノ化したLO 23AN3/25B RNAをデザインした。更に、センス鎖に25塩基のRNAをアンチセンス鎖に27塩基のRNAを持ち、且つセンス鎖の3’末端が平滑末端でアンチセンス鎖の3’末端にのみ2塩基のダングリングエンドを持つLO 25A/27B RNAおよびLO 25A/27B RNAのセンス鎖の5’末端をアミノ化したLO 25AN5/27B RNA、LO 25A/27B RNAのセンス鎖3’末端をアミノ化したLO 25AN3/27B RNAをデザインした。また、LO RNAのセンス鎖として、19及び21塩基のRNAの3’末端に2つのデオキシリボヌクレオチドを連結させたものを使用してLO 21DA/23B及びLO 23DA/25Bを調製し、この2本鎖RNAのセンス鎖の3’末端(3’末端のデオキシリボヌクレオチドの)をアミノ化したLO 21DAN3/23B 及び LO 23DAN3/25Bをそれぞれデザインした。また、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の3’末端に2塩基のダングリングエンドを持つ2本鎖 RNAをsi RNAとしてLO RNAと比較した。このsiRNAで、21塩基のRNAからなるsi21A/21B RNAおよびsi21A/21B RNAの5’末端をアミノ化したsi21AN5/21B RNA、si21A/21B RNAの3’末端をアミノ化したsi21AN3/21B RNAをデザインした。同様に、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の3’末端に2塩基のダングリングエンドを持ち、23塩基のRNAからなるsi23A/23B RNAおよびsi23A/23B RNAの5’末端をアミノ化したsi23AN5/23B RNA、si23A/23B RNAの3’末端をアミノ化したsi23AN3/23B RNAをデザインした。更に、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の3’末端に2塩基のダングリングエンドを持ち、25塩基のRNAからなるsi25A/25B RNAおよびsi25A/25B RNAの5’末端をアミノ化したsi25AN5/25B RNA、si25A/25B RNAの3’末端をアミノ化したsi25AN3/25B RNAをデザインした。また、使用したRNAの配列は、以下の通りである。なお、下記配列中のdN(N=A,G,C,T)はデオキシリボヌクレオチドであることを示す。また、pはリン酸(POH)を意味している。
<センス鎖>
21nt 21A:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
21DA:5’-pGGCCUUUCACUACUCCUACdGdA-3’
21AN5:5’NH2-(CH2)6-PO3-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
21AN3:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-PO3-(CH2)6-NH2 3’
21DAN3:5’-pGGCCUUUCACUACUCCUACdGdA-PO3-(CH2)6-NH2 3’
23nt 23A:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGC-3’
23DA:5’-pGGCCUUUCACUACUCCUACGAdGdC-3’
23AN5:5’-NH2-(CH2)6-PO3-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGC-3’
23AN3:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGC-PO3-(CH2)6-NH2 3’
23DAN3:5’-pGGCCUUUCACUACUCCUACGAdGdC-PO3-(CH2)6-NH2 3’
25nt 25A:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGCAC-3’
25AN5:5’NH2-(CH2)6-PO3-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGCAC-3’
25AN3:5’GGCCUUUCACUACUCCUACGAGCAC-PO3-(CH2)6-NH2 3’
<アンチセンス鎖>
23nt 23B:5’-UCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
25nt 25B:5’-GCUCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG -3’
27nt 27B:5’-GUGCUCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
1.末端アミノ修飾2本鎖RNAの構造
2 本鎖RNAのセンス鎖の5’末端及び3’末端をアミノ化した末端アミノ修飾2本鎖RNAを合成した。具体的な合成方法を以下に示す。まず、末端アミノ修飾RNAは、1本鎖の状態のRNA(林化成株式会社より購入;HPLC精製、MALDI-TOF MS解析済み)を用い、5’末端アミノ化は5’-Amino-Modifier C6 (Glen Research)、3’末端アミノ化は3’-Amino-Modifer C7 GPG (Glen Research)を用いて合成した。合成された末端アミノ修飾2本鎖RNAは、5’末端がアミノ化されたものには該末端(5’末端側から1番目のヌクレオチド)に−(CH2)6−NH2が結合されており、また3’末端がアミノ化されたものには該末端(3’末端側から1番目のヌクレオチド)に−(CH2)6−NH2が結合されている。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。また、universal buffer(林化成株式会社)中、同モルのセンス鎖およびアンチセンス鎖1本鎖RNAを混合し、92℃で2分間加熱した後、4℃まで徐々に温度を下げることで作成した。合成した各種2本鎖RNAは、20% ポリアクリルアミドゲルを用い、250Vの条件化で60分間電気泳動し、その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で2本鎖RNAを染色することによりsi RNA (センス鎖:21 nt 〜 25 nt)及びLO RNA(センス鎖:21 nt 〜 25 nt)を確認した。それぞれのsi RNAおよびLO RNAの構造を図6に示す。図6に示すLO RNAの内、LO 21AN3/23B RNA、LO 23AN3/25B RNA、LO 25AN3/27B RNA、LO 21AN3/23B RNA、及びLO 23AN3/25B RNAが本発明の修飾型RNAに相当する。
2.末端アミノ修飾2本鎖RNAの分解酵素耐性
未修飾 LO RNAおよび5’末端アミノ修飾、3’アミノ修飾LO RNAのヌクレアーゼ耐性を検討した。また、RNA干渉反応で一般に使用されている21塩基長のRNAからなり、センス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に2ntのダングリングエンドを持つ21A/21B siRNAも比較として同様の検討を行った。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。
結果を図7に示す。図7において「A」は未修飾のLO RNA、「B」はセンス鎖の5’末端をアミノ基で修飾した LO RNA、「C」はセンス鎖の3’末端をアミノ基で修飾したLO RNAの結果である。その結果、いずれの未修飾及び修飾型LO RNA (センス鎖:21nt 〜 25nt)において21A/21B siRNAよりも高い分解酵素耐性を示した。また、RNA長が違うLO RNAで比較したところ、RNA鎖長が長い方が分解酵素耐性が高いことが明らかとなった。また、未修飾と修飾RNA、さらには修飾位置の違いによる分解酵素耐性の違いを検討したところ、未修飾のLO RNAよりも修飾型LO RNAの方が分解酵素耐性が高いことが明らかとなり、更には、センス鎖の5’末端にアミノ基を修飾したLO RNAよりもセンス鎖の3’末端にアミノ基を修飾したLO RNAの方が高い分解酵素耐性を示した。これらの結果より、LO RNAがsiRNAよりも高い分解酵素耐性を示すこと、さらに、センス鎖の3’末端に修飾基を施すことにより高い分解酵素耐性を獲得できることが明らかとなった。
3.末端アミノ修飾2本鎖RNAのDicerによるプロセシング
次に、未修飾型及び修飾型 si RNA(センス鎖:21nt 〜 25 nt)及びLO RNA(センス鎖:21nt 〜 25 nt)のリコンビナントDicerによるプロセシングを検討した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。また、Dicer処理していない21塩基長の2本鎖RNAからなる21 siRNA (si21A/21B RNA)をコントロールとして用いた。
図8に結果を示す。図8において、「A」はsi RNA (センス鎖:21nt 〜 25nt)、「B」はLO RNA(センス鎖:21nt 〜 25nt)、「C」はセンス鎖に2個のデポキシリボヌクレオチドを含むLO RNA (センス鎖: 21nt 〜23nt)の結果である。なお、21 siRNA (si21A/21B RNA)はリコンビナントDicerによるプロセンシングで特に変化が観測されていないので図中では省略する。
si RNAにおいては、未修飾のsiRNAであるsi23A/23B RNA及びsi25A/25B RNAは、si23A/23B RNAにおいてプロセシングされていないRNAが観測されたものの、ほぼ全てのRNAにおいてDicerによる21塩基長のsiRNAへのプロセシングが確認された。
センス鎖の5’末端をアミノ基で修飾したsi23AN5/23B RNA及びsi25AN5/25B RNAでは、si25AN5/25B RNAはほぼ完全に21塩基長のsiRNAへのプロセシングが確認されたのに対し、si23AN5/25B RNAでは半分程度のRNAのプロセシングが確認された。また、センス鎖の3’末端をアミノ基で修飾したsi23AN3/23B RNA及びsi25AN3/25B RNAでは、Dicerによりプロセシングを受けていないことが確認された。
LO RNAにおいても、RNA鎖長、修飾基の有無、修飾基の位置の違いに応じて、Dicerによるプロセシングの違いが観測された。未修飾LO RNA(センス鎖: 21nt 〜 25nt)においては、RNA鎖長が短いLO 21A/23B RNAはDicerによるプロセシングを受け21塩基長のsiRNAへとなったもの、プロセンシングを受けずそのまま残ったもの等の2本鎖RNAが確認された。一方、RNA鎖長が長いLO 23A/25 RNAやLO 25A/27B RNAは、ほぼ全てのRNA分子でDicerにより21塩基長のsiRNAへとプロセシングされていることが確認された。センス鎖の3'末端に2個のデオキシリボヌクレオチドを含むLO RNAに関しては、LO 21DA/23BはDicerによるプロセシングをほとんど受けておらず、LO 23DA/25BはDicerにより21nt siRNAへプロセシングされていた。センス鎖の3’末端をアミノ化したものについても同様の結果であった。
センス鎖の5’末端をアミノ基で修飾したLO RNA (センス鎖:21nt 〜 25nt)は同様のRNA鎖長で未修飾のLO RNAに比べDicerによるプロセシングを受けにくいことが今回の結果より明らかになった。更に、センス鎖の3’末端をアミノ基で修飾したLO RNA(センス鎖:21nt 〜 25nt)は、同様にRNA鎖長をもつ未修飾LO RNAやセンス鎖の5’末端を修飾したLO RNAに比べDicerによるプロセシングを受けにくいことが今回の結果より確認された。
4.末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果
次に、それぞれの末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。
図9及び図10に、未修飾si RNA又は未修飾LO RNAを100%とし、それぞれのRNA鎖長に対応する5’アミノ修飾又は3’アミノ修飾siRNA及びLO RNA、並びにセンス鎖の3'末端に2個のデオキシリボヌクレオチドを含むLO RNAのRNA干渉効果の相対値を示す。図9はsiRNA、図10はLO RNAの結果である。
その結果、si RNA(センス鎖: 21nt 〜 25nt)は同様のRNA鎖長を持つ未修飾のsiRNAとセンス鎖の5’末端や3’末端をアミノ基で修飾した修飾型siRNAの間で大きなRNA干渉効果の差は観測されず、siRNAにおいては修飾基を付与してもRNA干渉効果は向上しないことが明らかになった。
一方、LO RNA(センス鎖: 21nt 〜 25nt)においては、同様のRNA鎖長をもつ未修飾型と修飾型2本鎖RNAでRNA干渉効果で大きな差が観測された。特に、センス鎖の3’末端のみにアミノ基を付加したLO RNA(センス鎖:21AN3, 23AN3, 25AN3)は未修飾LO RNA(センス鎖:21A, 23A,25A)やセンス鎖の5’末端のみにアミノ基を付加したLO RNA(センス鎖:21AN5, 23AN5, 25AN5)よりも非常に高いRNA干渉効果が観測され、効果的に目的遺伝子の発現を抑制していることが確認された。また、センス鎖の3'末端に2個のデオキシリボヌクレオチドを有し、且つアミノ基が導入されているLO RNAも、RNA干渉効果が向上していた。
これらの結果より、センス鎖の3’末端が平滑末端で、且つアンチセンス鎖の3’末端に2ntのダングリングエンドを持つ2本鎖RNAは、センス鎖の3’末端のみに修飾基を施すことによって、飛躍的に目的遺伝子発現抑制効果を向上させ得ることが明らかとなった。また、上記修飾型RNAのセンス鎖の3’末端にデオキシリボヌクレオチドが結合していても、遺伝子発現抑制効果が向上することが明らかとなった。
5.末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の持続性
次に、末端アミノ修飾2本鎖RNA(LO RNA)のRNA干渉効果の持続性を検討した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。
得られた結果を図11に示す。その結果21siRNAは、細胞に添加後2日目には高いRNA干渉効果が観測されており、ウミシイタケルシフェラーゼの発現を80%以上抑制していたが、細胞添加後4日目にはRNA干渉効果が激減し、7日目には40%程度しか遺伝子発現を抑制することが出来なかった。これに対し、LO RNAは高いRNA干渉効果の持続性を示した。特に、修飾型LO RNAは高いRNA干渉効果および持続性を示し、その中でもRNA鎖長が短い21A/23B型のLO RNAが優れたRNA干渉効果の持続性を示した。
実施例3 末端DNA修飾2本鎖RNA
ウミシイタケルシフェラーゼと相同配列を持ち、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子発現を抑制できる修飾型二本鎖RNAとして、25塩基長のセンス鎖RNAの3’末端に9塩基長のDNAを結合させたDNA修飾センス鎖RNA(センス鎖RNA-DNA)と27塩基長のアンチセンス鎖RNAとの2本鎖RNA(LO 25A-9D/27B RNA)を作成し、センス鎖が25塩基長、アンチセンス鎖が27塩基長のRNAからなる非修飾の二本鎖RNA(LO 25A/27B RNA)と比較した。使用したRNAおよびDNA-RNAキメラの配列は、以下の通りである。
<センス鎖>
25A:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGCAC-3’
25A-9D: 5’- CUGGCCUUUCACUACUCCUACGAGCAC - ttc gca cca -3’
<アンチセンス鎖>
27B:5’-GUGCUCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
1.5’末端DNA 修飾dsRNAの構造
所定の配列の25塩基長のセンス鎖RNA、25塩基長のセンス鎖RNAの3’末端に9塩基長のDNAを結合させたDNA修飾センス鎖RNA、及び27塩基長のアンチセンス鎖RNAを合成した(林化成株式会社より購入;HPLC精製、MALDI-TOF MS解析済み)。合成したセンス鎖RNA、DNA修飾センス鎖RNA、アンチセンス鎖は、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。また、universal buffer(林化成株式会社)中、同モルのセンス鎖又はDNA修飾センス鎖RNAと、アンチセンス鎖RNAを混合し、92℃で2分間加熱した後、4℃まで徐々に温度を下げることで作成した。合成した各種2本鎖RNAは、20% ポリアクリルアミドゲルを用い、250Vの条件化で60分間電気泳動し、その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で2本鎖RNAを染色することにより確認した。5’末端がDNAで修飾された2本鎖RNAを図12に示す。
2.末端DNA 修飾dsRNAのDicerによるプロセシング
次に、それぞれのDNA修飾2本鎖RNAのDicerによるプロセシングを検討した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。また、コントロールとしてDicer処理していない21塩基長の2本鎖RNAからなる21siRNAも同時に測定した。
図13に結果を示す。その結果、LO 25A-9D/27B RNAはリコンビナントDicer存在下において一部のRNAで21 siRNAと同様の位置にバンドが確認され、その以外にもいくつかのバンドが確認されおり、Dicerのプロセシングにより、21siRNA以外のRNAも生成されていることが明らかとなった。
3.末端DNA 修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果
次に、LO 25A-9D/27B RNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。比較としてLO 25A/27B RNAも同様の実験を行った。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。
図14に、0.2nM濃度のときの末端DNA修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の結果を示す。図14では、LO 25A/27B RNAを100%としたときの、LO 25A-9D/27B RNAのRNA干渉効果の相対値を示している。この結果、25nt 2本鎖RNAの末端をDNAで修飾したLO 25A-9D/27B RNA は、未修飾のLO 25A/27B RNAに比べ、遺伝子発現抑制能が高くRNA干渉効果が高いことが明らかとなった。この結果より、LO 25A/27B RNAのセンス鎖の3’末端にDNAを修飾してもRNA干渉効果の向上が観測され、アミノ基以外でも同様の効果を得ることが明らかとなった。
実施例4 3’末端脂質又はコレステロール修飾LO型2本鎖RNAのルシフェラーゼ遺伝子発現阻害効果
1. ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットとした3’末端脂質又はコレステロール修飾LO型2本鎖RNAの合成
1−1.ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットとした末端脂質修飾2本鎖RNAの合成
ルシフェラーゼ遺伝子の発現を抑制できるLO型2本鎖RNAのセンス鎖の3’末端に脂質を結合させた脂質修飾センス鎖RNAを合成した。当該脂質修飾センス鎖RNAにおいて、脂質は上記センス鎖RNAの3’末端に連結されているアミノアルキル基(3’-Amino-Modifer C7 GPG ; Glen Research)を介して共有結合で結合している。脂質修飾センス鎖RNAは、活性エステル基もつ脂質化合物(以下、活性エステル化脂質化合物と表記する)と3’末端をアミノ化修飾したセンス鎖RNAとを液相中で反応させることで合成した(反応式1)。
具体的な合成法を以下に示す。RNAの3’末端をアミノ化するために、RNA固相合成上で3’-Amino-Modifer C7 GPG (Glen Research)を用いて通常の方法(ホスホロアミダイト合成法)により3’末端アミノアルキル基修飾センス鎖RNAを合成した。なお、上記3’末端アミノアルキル基センス鎖RNAはHPLC精製、MALDI-TOF MS解析済みのものを林化成株式会社より購入できる。合成された3’末端アミノアルキル基センス鎖RNAは、該末端(3’末端側から1番目のヌクレオチドのリン酸部分の水酸基部分)に−(CH2)6−NH2が結合されている。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。このアミノアルキル基修飾1本鎖RNAと、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)に溶解した活性エステル化脂質化合物[Palmitic acid N-hydroxy succinimide easter(シグマ−アルドリッチ社)、とを、縮合反応条件下で混合して、脂質修飾センス鎖RNAを合成した。反応後、脂質修飾センス鎖RNAが含まれる反応液中の不要な試薬を取り除くため、反応液をHPLCで精製した。HPLC精製は、緩衝液としてA:100% 20mM TEAA(pH 7.0), B:70% CH3CN/20mM TEAA (pH 7.0)を用い、10% B緩衝液から100% B緩衝液を50分のリニアーグラジェントになるよう設定し精製を行った。また、精製用カラムはCAP CELL (4.6 x 150 mm, 5μm;SHISEIDO)を使用した。HPLCにおいて精製された脂質修飾センス鎖RNAは凍結乾燥し、精製水に溶解させた後、UVスペクトル解析により濃度及び合成収率を算出した。
以下に脂質修飾センス鎖RNAの構造モデル及び収率を示す。
合成した脂質修飾センス鎖RNAは、実施例2と同様のアンチセンスRNAと2本鎖を形成させ、脂質修飾LO型2本鎖RNAを得た。脂質修飾LO型2本鎖RNAの形成は、実施例1と同様の方法で行い、20% ポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した。脂質修飾2本鎖RNAの構造を図15に示す。図15において、dNはDNA(A,G,C,T)であることを示す。また、pはリン酸(POH)を意味している。
1−2.ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットとした末端コレステロール修飾2本鎖RNAの合成
実施例1において使用した25D/27 RNA Aを用いて、25D/27 RNA Aのセンス鎖の3’末端にコレステロールを有する基を結合させたコレステロール修飾25D/27 RNA(LO 25DA-chol/27B RNA)を合成した。なお、ここで使用した「コレステロールを有する基」とは、以下の式で示される基である。合成された、3’末端にコレステロールを有する基を結合させたセンス鎖RNAは、センス鎖RNAの3'末端(3’末端側から1番目のヌクレオチドのリン酸残基の水酸基部分)に以下の式で示される基が結合されている。
合成した末端コレステロール修飾25D/27 RNA(LO 25DA-chol/27B RNA)の構造を図15に示す。具体的な合成方法を以下に示す。まず、末端コレステロール修飾RNAは、1本鎖の状態のRNA(林化成株式会社より購入;HPLC精製、MALDI-TOF MS解析済み)を用い、3’-Cholesteryl-TEG-CPG(Glen Research)を用いて、DNA/RNA合成機で合成した。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。コレステロール修飾LO型2本鎖RNAの形成は、実施例1と同様の方法で行い、20% ポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した。コレステロール修飾LO型2本鎖RNAの構造を図15に示す。図15において、dNはDNA(A,G,C,T)であることを示す。また、pはリン酸(POH)を意味している。合成した末端コレステロール修飾25D/27 RNAはLO 25DA-chol/27B RNAとした。
2.脂質・コレステロール修飾LO型2本鎖RNAの分解酵素耐性
脂質及びコレステロール修飾LO型RNA(LO 25A-C16/27, LO 25DA-C16/RNA,LO25DA-Chol/27)のヌクレアーゼ耐性を検討した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。また実施例1で使用した21塩基長のsiRNAとの比較も行った。ゲル電気泳動の結果を図16に示す。
その結果、脂質及びコレステロール修飾LO型RNAは、21siRNAに比べ非常に高いヌクレアーゼ耐性を示し、48時間後においても2本鎖RNAは生存していた。この結果から、脂質修飾2本鎖RNAは一般に広く使用されている21siRNAに比べ格段に高い生体内安定性を保有しているという新たな知見が得られた。
3.ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットとした脂質又はコレステロール修飾LO型2本鎖RNA のDicerによるプロセシング
合成した脂質及びコレステロール修飾LO型2本鎖RNAのリコンビナントDicerによるプロセシングを検討した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。結果を図17に示す。
その結果、脂質・コレステロール修飾LO型2本鎖RNAにおいても、RNA鎖長、修飾基の有無、修飾基の位置の違いに応じて、Dicerによるプロセシングの違いが観測された。LO 21A-C16/23及びLO 21DA-C16/23BはDicer存在下においても21nt siRNAへのプロセシングが確認されず、反応後もそのままの構造が残った。LO 23DA-C16/25は、Dicer存在下において1部は21nt siRNAへとプロセシングされていたが、プロセンシングを受けずそのまま残ったものも確認された。LO 23A-C16/25、LO 25A-C16/27、LO 25DA-C16/27、LO 25DA-Chol/27は、ほぼ全てのRNA分子でDicerにより21塩基長のsiRNAへとプロセシングされていることが確認された。
4.脂質修飾LO型2本鎖RNAのルシフェラーゼ遺伝子発現抑制
次に、それぞれの末端脂質修飾LO型 2本鎖RNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。実験は、上記実施例1と同様の方法で実施した。
図18に、未修飾LO RNA(LO 25A/27B及びLO 25DA/27B) を100%とし、それぞれのRNA鎖長に対応する3’末端脂質修飾LO型2本鎖RNAのRNA干渉効果の相対値を示す。
その結果、3’末端に脂質を持つLO型 RNA(センス鎖: 21nt 〜 25nt)においては、同様のRNA鎖長をもつ未修飾LO型RNAに比べ高いRNA干渉効果を有することが明らかとなった。その効果は、センス鎖の3’末端に2個のデオキシリボヌクレオチドを有する脂質修飾LO型RNAも同様に、未修飾型に比べ飛躍的にRNA干渉効果が向上していた。
これらの結果より、センス鎖の3’末端が平滑末端で、且つアンチセンス鎖の3’末端に2ntのダングリングエンドを持つ2本鎖RNAであって、センス鎖の3’末端のみに脂質を施すことによって、飛躍的に目的遺伝子発現抑制効果を向上させ得ることが明らかとなった。また、上記修飾型RNAのセンス鎖の3’末端がデオキシリボヌクレオチドで構成されていても、遺伝子発現抑制効果が向上することが明らかとなった。
5.ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットとした脂質又はコレステロール修飾LO 2本鎖RNAのRNA干渉効果 (遺伝子導入剤なし)
次に、LipofectamineTM 2000等の遺伝子導入剤と使用せず、脂質・コレステロール修飾LO型2本鎖RNA単独で細胞内に導入し、かつ、RNA干渉効果を示すか検討した。
実験前に1x105cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を96wellプレート上にそれぞれ100μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含まない新しい培地をウェルにそれぞれ80μl加え、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを発現するベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)とLipofectamineTM 2000 (商品名、インビトロジェン)の複合溶液を10μlずつHeLa細胞が入ったそれぞれのウェルに加えた。ここで発現ベクターは1ウェルあたり0.02μgになるように、またLipofectamineTM 2000は1ウェルあたり0.2μlになるよう設定し、OptiMem(インビトロジェン)で必要量を調整した。また、複合体を形成させる為に、発現ベクターとLipofectamineTM 2000をOptiMemを用いて混合した後、室温で30分間インキュベートした。複合溶液を加えた後、細胞を5% CO2 存在下、37℃で4時間インキュベートした。その後、Lipofectamine TM 2000を培地から取り除く為、100 μlの培地でウェルをそれぞれ3回洗浄した。その後、90 μlの抗生物質を含む培地を細胞に加え、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝配列と相同的なアンチセンス配列を含む未修飾2本鎖RNAおよび脂質及びコレステロール修飾LO型2本鎖RNA型を最終濃度が0nM, 25nM, 50nM, 100nM, 200nM, 400nM, 600n, 800nMになるようにOptiMemで調整したサンプルを10μl細胞へ添加し、37℃で48時間インキュベートした。Dula-GloTMLuciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータ(MicroLumat LB96p: BERTHOLD)で測定した。また、比較として未修飾のLO 25DA/27B (25D/27 RNA A)も上記と同様の条件でRNA干渉効果検討した。RNA干渉効果はホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしウミシイタケルシフェラーゼの発現量を算出した。終濃度が50nM 〜400nMのときのLO 25DA/27B 及びLO 25DA-C16/27BのRNA干渉効果の結果を図19に、終濃度が50nM 〜800nMのときのLO 25DA/27B 及びLO 25DA-Chol/27BのRNA干渉効果の結果を図20に示す。その結果、パルミチン酸をセンス鎖の3’末端に修飾したLO 25DA-C16/27Bは、2本鎖RNAの濃度依存的にウミシイタケルシフェラーゼ発現を抑制しており、パルミチン酸を修飾することにより単独でも細胞内へ導入し、RNA干渉反応を起こしていることが明らかとなった。一方、未修飾のLO 25DA/27B (25D/27 RNA A)は高濃度領域においても十分な遺伝子発現抑制効果が確認されなかった。このことからも、パルミチン酸修飾LO型2本鎖RNAが、細胞内導入能が格段に優れており、遺伝子導入剤を使用しなくても優れた遺伝子発現抑制能を発揮していることが確認された。
また、コレステロールをセンス鎖の3’末端に修飾したLO 25DA-Chol/27Bにおいても2本鎖RNAの濃度依存的にウミシイタケルシフェラーゼ発現を抑制しており、コレステロールを修飾しても単独でも細胞内へ導入し、RNA干渉反応を起こしていることが明らかとなった。
6.脂質・コレステロール修飾2本鎖RNAの細胞導入性の検討
実験前に1x105 cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)、A549細胞(ヒト肺ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)、を24ウェルプレートにそれぞれ1ml撒き10 % ウシ胎児血清 (FBS:三光純薬株式会社製)及び抗生物質を含む培地中、5 % CO2存在下、37 ℃で培養した。ここで用いた抗生物質および培地は、HeLa細胞はMEM培地(インビトロジェン社)を、A549細胞はRPMI-1640(インビトロジェン社)を培地として用いた。蛍光ラベル化オリゴヌクレオチド導入前に、抗生物質を含まない培地(450μl)へ交換した。蛍光ラベル化オリゴヌクレオチドは、27nt アンチセンス鎖RNAの5’末端を6-FAMラベル化したものを使用し、未修飾の25nt センス鎖RNA及び3’末端をアミノアルキル、脂質、コレステロールで修飾した25ntセンス鎖RNAと2本鎖を形成させた。細胞導入実験は、蛍光ラベル化オリゴヌクレオチドとLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン社製)と複合体を形成させる為に、10μM の蛍光ラベル化オリゴヌクレオチド水溶液10μlとOptiMem溶液15μlの混合溶液25μlと、LipofectamineTM 2000 (インビトロジェン社製)溶液2μlとOptiMem溶液23μlの混合溶液25μlそれぞれ混ぜ合わせた50μlの混合溶液を室温で30分間インキュベートした。また、LipofectamineTM 2000 (インビトロジェン社製)を使用しない場合(図21中のC;‐LF2000)は、上記複合体形成条件中の2μlのLipofectamineTM 2000溶液をOptiMem溶液に代え、同様の操作でサンプルを調整した。調整した50μlの蛍光ラベル化オリゴヌクレオチド複合体は、上記で準備した450μlの細胞へ添加し(2本鎖RNAの終濃度:200 nM)、5 % CO2存在下、37 ℃で4時間インキュベートした。その後、細胞をPBS(-)又は培地で3回洗浄し、共焦点蛍光レーザー顕微鏡、及びフローサイトメトリーにて細胞導入を評価した。
共焦点蛍光レーザー顕微鏡は、Radiance 2000システム(Bio Rad社)を用い、アルゴンレーザーを用いて蛍光を観察した。フローサイトメトリーは、coulter EPICS XL cytometer(Beckman coulter) を用い、細胞10000カウントあたりの細胞導入性について測定した。フローサイトメトリー解析はXL EXPO32TM software (Beckman coulter) を用いた。
結果を図21に示す。図21中のC(-LF2000)はLipofectamineTM 2000を使用しなかった場合の結果であり、図21中のA,B(+LF2000)はLipofectamineTM 2000を導入剤として使用した場合の結果である。また、図21中、AはHeLa細胞、BはA549細胞に対して、LipofectamineTM 2000を導入剤として用いたときの各種2本鎖RNAの細胞導入性の結果である。また、図21CはHeLa細胞に対し市販の導入剤を使用しなかったときの各種2本鎖RNAの細胞導入性の結果である。
その結果、LipofectamineTM 2000存在下において未修飾LO型2本鎖RNA及びアミノアルキル基、脂質、又はコレステロールで修飾したLO型2本鎖RNAは、全ての細胞(HeLa細胞、A549細胞)への導入が確認された。特にパルミチン酸又はコレステロールをセンス鎖の3’末端に修飾したLO 25DA-C16/27B 及びLO 25DA-Chol/27Bは、未修飾LO型2本鎖RNA(LO 25DA/27B)及びアミノアルキル修飾LO型2本鎖RNA(LO 25DAN3/27B)に比べ、非常に高い細胞導入性が共焦点蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリーにおいて観測された。また、このパルミチン酸及びコレステロールで修飾したLO型2本鎖RNAは細胞内において積極的に細胞質へ局在化していることが共焦点蛍光顕微鏡観察により示唆された。また、LipofectamineTM 2000非存在下においてもパルミチン酸及びコレステロールで修飾したLO型2本鎖RNAは未修飾2本鎖RNAに比べ高い細胞導入性がフローサイトメトリー解析により確認された。特に、コレステロールを修飾したLO 25DA-Chol/27B で高い細胞導入性が確認された。この結果より、LO型の2本鎖RNAのセンス鎖の3’末端にパルミチン酸等の脂質やコレステロールを共有結合させることにより飛躍的に細胞導入性を向上させ、且つ細胞内において細胞質へ局在化させることが可能であるという知見が得られた。
実施例5 5’脂質修飾2本鎖RNAによるVEGF遺伝子発現阻害効果
1.VEGF遺伝子をターゲットとしたアミノアルキル又は脂質修飾LO型2本鎖RNAの合成
1−1.センス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAの配列
VEGF(vascular endothelial growth factor: 血管内皮成長因子)と相同配列を持ち、VEGFの遺伝子発現を抑制できる25塩基長のセンス鎖RNAと27塩基長のアンチセンス鎖RNAの2本鎖RNAをデザインした。これらの2本鎖RNAを用いて、以下の実験を行った。なお、25D/27 RNA (VEGF)は、アンチセンス鎖の3’末端に2塩基のダングリングエンド(1本鎖領域)を持ち、センス鎖の3’末端は平滑末端で、センス鎖の3’末端の2塩基がDNAであるLO型2本鎖RNAである。使用したRNAの配列は、以下の通りである。dNはDNA(A,G,C,T)であることを示す。LO型2本鎖RNAの合成は実施例1と同様の方法で行った。
25D/27 VEGF
センス鎖 25D:5’- UCCUACAGCACAACAAAUGUGAAdTdG-3’
アンチセンス鎖 27:3’- GAAGGAUGUCGUGUUGUUUACACUUAC-5’
1−2.VEGF遺伝子をターゲットとした脂質修飾2本鎖RNAの合成
VEGF遺伝子の発現を抑制できる上記2本鎖RNAのセンス鎖の3’末端にアミノアルキル基又は脂質を結合させた修飾型2本鎖RNAを合成した。当該脂質修飾2本鎖RNAにおいて、脂質は上記センス鎖RNAの5’末端に修飾されたアミノアルキル基を介して共有結合で結合している。アミノアルキル修飾1本鎖RNA(センス鎖)は実施例1と同様の方法で、脂質修飾1本鎖RNA(センス鎖)は実施例4と同様の方法で合成した。
以下に、合成したアミノアルキル又は脂質修飾センス鎖RNAの構造及び収率を示す。
合成したアミノアルキル又は脂質修飾センス鎖RNAは、アンチセンス鎖RNAと2本鎖を形成させることにより、アミノアルキル又は脂質修飾LO型2本鎖RNAを得た。2本鎖の形成は、実施例1と同様の方法で行い、20% ポリアクリルアミドゲル電気泳動により確認した。未修飾、アミノアルキル又は脂質修飾2本鎖RNAの構造を図22Aに示す。なお、VEGF遺伝子をターゲットとした脂質修飾RNAにおいても、実施例4とほぼ同様の溶出時間であった。
2.VEGF遺伝子をターゲットとしたアミノアルキル又は脂質2本鎖RNAのDicerによるプロセシング
合成した未修飾LO型2本鎖RNA、アミノアルキル又は脂質修飾LO型2本鎖RNAのリコンビナントDicerによるプロセシングを検討した。Dicerによる切断実験は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を図22Bに示す。
その結果、25D/27 VEGF、25DN3/27 VEGF、25DC16/27 VEGF はリコンビナントDicerの働きにより、未修飾21 siRNAと同様の位置にバンドが確認され、Dicerの切断によって2塩基のダングリングエンドを含む21塩基長のsiRNAが生成していることが強く示唆された。また、25DC16/27 VEGFは副産物を含まない21塩基長のsiRNAへのプロセシングが確認された。この結果より、VEGFをターゲットとしたLO型2本鎖RNAに関しても、センス鎖の3’末端を修飾することによりDicerのプロセシングの影響は少ないと考えられる。
3.脂質修飾2本鎖RNAのVEGF遺伝子発現抑制
末端を修飾していない25D/27 VEGF、センス鎖RNAの3’末端をアミノアルキル修飾した25DN3/27 VEGF、センス鎖RNAの3’末端を脂質修飾した25DC16/27 VEGF のVEGF遺伝子発現阻害効果をHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)、A549細胞(ヒト肺ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を用いて評価した。
実験は以下の操作で行った。実験前に1x105 cell/mlに調整したHeLa細胞、A549細胞を24wellプレート上にそれぞれ500μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含まない新しい培地をウェルにそれぞれ450 μl加えた。ここで、HeLa細胞はMEM培地、A549細胞はPRMI-1640培地を用いた。VEGFの遺伝配列と相同的なアンチセンス配列を含む未修飾又はアミノアルキル修飾、脂質修飾2本鎖RNA(25μl)とLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン)溶液(25μl)との複合体を形成させ、50μlの2本鎖RNA溶液を450μlの上記細胞に加えた。ここで、1ウェルあたりの最終量は500 μlとなる。RNAとLipofectamineTM 2000の複合溶液は、1ウェルあたり25 μlのRNA水溶液と25 μlのLipofectamineTM 2000 (2μl) OptiMem溶液を混合し、30分間室温でインキュベートすることにより作成した。RNAを導入させた後、37℃で48時間、5%CO2存在下インキュベートした。インキュベート後、細胞をPBS(-)で3回洗浄し、RNeasy Plus Mini Kit (キアゲン)で細胞中のTotal-RNAを抽出した。その後、VEGFのmRNA量を測定するためにRT-PCR反応を行った。RT-PCR反応用としてQiagen OneStep RT-PCR Kit (キアゲン)を用い行い、VEGF用PCRプライマーとして、5’-CCC TGA TGA GAT CGA GTA CAT CTT-3’及び5’-ACC GCC TCG GCT TGT CAC-3’ を用いた。またコントロールとしてGADPH遺伝子を同様の方法で測定した。GAPDH用プライマーとして5’-GGAAAGCTGTGGCGTGATG-3’及び5’-CTGTTGCTGTAGCCGTATTC-3’を用いた。RT-PCR反応は、50℃で30分間RT(Reverse Transcripratase)反応を行い、PCR反応として92℃で30秒間2本鎖解離反応、55℃で30秒間アニーリング反応、68℃で45秒間伸長反応を25回〜28回(使用する細胞により異なる)繰り返し行い、最後に68℃で10分間インキュベートし、4℃まで温度を下げ反応を終了した。RT-PCRに用いた試薬、Total-RNA、プライマー等はQiagen OneStep RT-PCR Kit (キアゲン)の反応条件に従い作成した。RT-PCR反応後、ローディングダイを2μl加え、2%アガロースゲルでVEGF及びGADPHのmRNAからのRT-PCR産物を確認した。遺伝子発現抑制効果の評価は、コントロール細胞(2本鎖RNAを導入していない細胞)のVEGF遺伝子発現量を100%としたときの、2本鎖RNA(未修飾、修飾を含む)を導入した細胞のVEGF発現量を測定することにより行った。また、各細胞間の発現量の誤差はコントロール遺伝子(GADPH)の遺伝子発現量で補正した。
図23に、VEGFをターゲットとし、2本鎖RNA濃度が200nMの際の未修飾2本鎖RNA及びアミノアルキル修飾、脂質修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の結果を示す。図23中、AはHeLa細胞、BはA549細胞に対する未修飾2本鎖RNA及びアミノアルキル修飾、脂質修飾2本鎖RNAのVEGF遺伝子発現抑制効果を示すグラフである。
この結果から、25D/27 VEGF のセンス鎖の3’末端にアミノアルキル基及び脂質をそれぞれ修飾した25DN3/27及び25DC16/27は、未修飾の2本鎖RNA(25D/27 VEGF)比べ非常に高いVEGF遺伝子発現抑制効果を保有していることが明らかとなった。特に、パルミチン酸を修飾した25DC16/27 VEGFは、25D/27 VEGF比べ格段に高い遺伝子発現抑制能を示し、パルミチン酸等の脂質を2本鎖RNAに修飾することによりRNA干渉効果を飛躍的に向上させ得ることが確認された。この結果より、今回使用したVEGFをターゲットとした2本鎖RNAは配列特異性高く標的遺伝子の発現を抑制していることが明らかとなり、また2本鎖RNAに脂質を結合させることによって細胞に対する副作用をも低減できることが示唆された。
実施例1で合成した末端アミノ修飾25D/27 dsRNAの構造を示す図である。 実施例1において、末端をアミノ修飾した25D/27 dsRNAのヌクレアーゼ耐性結果を示す図である。 実施例1において、末端をアミノ修飾した25D/27 dsRNAのDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例1において、末端をアミノ修飾した25D/27 dsRNAのRNA干渉効果の結果を示す図である。 実施例1において、末端をアミノ修飾した25D/27 dsRNAのRNA干渉効果の持続性を評価した結果を示す図である。 実施例2で合成した末端アミノ修飾2本鎖RNA の構造を示す図である。 実施例2において、末端アミノ修飾2本鎖RNA のヌクレアーゼ耐性結果を示す図である。 実施例2において、末端アミノ修飾2本鎖RNA のDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例2において、末端アミノ修飾2本鎖RNA(siRNA)のRNA干渉効果を評価した結果を示す図である。 実施例2において、末端アミノ修飾2本鎖RNA(LO RNA)のRNA干渉効果を評価した結果を示す図である。 実施例2において、末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の持続性を評価した結果を示す図である。 実施例3で合成した末端DNA修飾2本鎖RNA の構造を示す図である。 実施例3において、末端DNA修飾2本鎖RNA のDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例3において、末端DNA修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果を評価した結果を示す図である。 実施例4で合成した末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNA の構造を示す図である。 実施例4において、末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNA のヌクレアーゼ耐性結果を示す図である。 実施例4において、末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNA のDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例4において、末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNA(siRNA)のRNA干渉効果を評価した結果を示す図である。 実施例4において、末端脂質修飾2本鎖RNA(siRNA)のRNA干渉効果を遺伝子導入剤を用いず評価した結果を示す図である。 実施例4において、末端コレステロール修飾2本鎖RNA(siRNA)のRNA干渉効果を遺伝子導入剤を用いず評価した結果を示す図である。 実施例4において、LipofectamineTM 2000存在下で、末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNAのHeLa, A549細胞に対する細胞内導入性を評価した結果を示す図である。図中、FLには蛍光顕微鏡にて撮影した像、transは、上記FLと同一視野を位相差顕微鏡にて撮影した像、mergeは上記FLとtransを重ね合わせた像を示す。 実施例4において、LipofectamineTM 2000非存在下で、末端脂質及びコレステロール修飾2本鎖RNAのHeLa細胞に対する細胞内導入性を評価した結果を示す図である。図中、FLには蛍光顕微鏡にて撮影した像、transは、上記FLと同一視野を位相差顕微鏡にて撮影した像、mergeは上記FLとtransを重ね合わせた像を示す。 実施例5で合成した末端アミノアルキル及び脂質修飾2本鎖RNA の構造、及び、Dicerによるプロセシングの結果を示す図である。 実施例5で合成した末端アミノアルキル及び脂質修飾2本鎖RNA のVEGF遺伝子に対するRNA干渉効果の結果を示す図である。

Claims (9)

  1. 標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAであって、
    前記センス鎖RNAが21〜27個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが23〜29個のヌクレオチドからなり、
    前記センス鎖RNAの3’末端側が平滑末端であり、前記アンチセンス鎖の3’末端がダングリングエンドを有しており、
    且つ前記センス鎖RNAの3’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合していることを特徴とする、修飾型RNA。
  2. 前記センス鎖RNAが21個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなる、請求項1に記載の修飾型RNA。
  3. 前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが25個のヌクレオチドからなる、請求項1に記載の修飾型RNA。
  4. 前記センス鎖RNAが25個のヌクレオチドからなり、且つ前記アンチセンス鎖RNAが27個のヌクレオチドからなる、請求項1に記載の修飾型RNA。
  5. 前記センス鎖RNAの3’末端側から1及び2番目のヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチドにより構成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の修飾型RNA。
  6. 前記センス鎖RNAの3’末端側から1番目のヌクレオチドにのみ1つの置換基が結合している、請求項1乃至5のいずれかに記載の修飾型RNA。
  7. 前記置換基が、アミノアルキル基、DNA、脂質を有する基、又はコレステロールを有する基である、請求項1乃至6のいずれかに記載の修飾型RNA。
  8. 前記置換基が、炭素数1〜40のアミノアルキル基、塩基長が5〜50のDNA、又は炭素数6〜50の脂肪酸を有する基である、請求項1乃至6のいずれかに記載の修飾型RNA。
  9. 前記脂質を有する基が、ラウリン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸、又はパルミチン酸を有する基である、請求項7に記載の脂質修飾2本鎖RNA。
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