JP2008192628A - 交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動電圧(放電電圧)を増加させることなく、且つ、放電遅れ時間を増大させることのない交流駆動型プラズマ表示装置を提供する。
【解決手段】交流駆動型プラズマ表示装置は、第1基板11上に形成された複数の第1電極12、及び、第1基板11と第1電極12の上に形成された誘電体層14とを備えた第1パネル10、並びに、第2パネル20が、それらの外周部で接合されて成り、誘電体層14はSiOXから構成され、SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は3.0×1020Bonds/cm3以上である。
【選択図】 図1
【解決手段】交流駆動型プラズマ表示装置は、第1基板11上に形成された複数の第1電極12、及び、第1基板11と第1電極12の上に形成された誘電体層14とを備えた第1パネル10、並びに、第2パネル20が、それらの外周部で接合されて成り、誘電体層14はSiOXから構成され、SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は3.0×1020Bonds/cm3以上である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、交流駆動型プラズマ表示装置及びその製造方法に関する。
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP:プラズマ・ディスプレイ)を例示することができる。中でも、プラズマ表示装置は、大画面化や広視野角化が比較的容易であること、温度、磁気、振動等の環境要因に対する耐性に優れること、長寿命であること等の長所を有し、家庭用の壁掛けテレビの他、公共用の大型情報端末機器への適用が期待されている。
プラズマ表示装置は、希ガスから成る放電ガスを放電空間内に封入した放電セルに電圧を印加して、放電ガス中でのグロー放電に基づき発生した真空紫外線で放電セル内の蛍光体層を励起することによって発光を得る表示装置である。つまり、個々の放電セルは蛍光灯に類似した原理で駆動され、放電セルが、通常、数十万個のオーダーで集合して1つの表示画面が構成されている。プラズマ表示装置は、放電セルへの電圧の印加方式によって直流駆動型(DC型)と交流駆動型(AC型)とに大別され、それぞれ一長一短を有する。交流駆動型プラズマ表示装置(以下、単に、プラズマ表示装置と呼ぶ)は、表示画面内で個々の放電セルを仕切る役割を果たす隔壁を例えばストライプ状に形成すればよいので、高精細化に適している。しかも、放電のための電極の表面が誘電体材料から成る誘電体層で覆われているので、かかる電極が磨耗し難く、長寿命であるといった長所を有する。
プラズマ表示装置の一例として、例えば、特開平5−307935号公報や特開平9−160525号公報に、所謂3電極型プラズマ表示装置が示されている。
この3電極型プラズマ表示装置の一部分の模式的な分解斜視図を図1に示す。このプラズマ表示装置においては、一対の放電維持電極12の間で放電が生じる。図1に示すプラズマ表示装置は、ガラス基板から成り、フロントパネルに相当する第1パネル10と、同じくガラス基板から成り、リアパネルに相当する第2パネル20とがそれらの外周部でフリット・ガラス(図示せず)を用いて接合されて成る。第2パネル20上の蛍光体層25の発光は、例えば、第1パネル10を通して観察される。
図1に示すように、第1パネル10は、透明な第1基板11と、第1基板11上にストライプ状に設けられ、例えばITOといった透明導電材料から成る複数の一対の放電維持電極12(幅:80〜280μm程度)と、放電維持電極12のインピーダンスを低下させるために放電維持電極12上に設けられ、放電維持電極12よりも電気抵抗率の低い材料から成るバス電極13と、バス電極13及び放電維持電極12上を含む第1基板11上に形成された誘電体層14と、誘電体層14上に形成されたMgOから成る保護膜15から構成されている。一対の放電維持電極12の間の放電ギャップGは、好ましくは5×10-6m〜1.5×10-4m、特に好ましくは5×10-5m未満である。
一方、第2パネル20は、第2基板21と、第2基板21上にストライプ状に設けられた複数のアドレス電極(データ電極とも呼ばれる)22と、アドレス電極22上を含む第2基板21上に形成された誘電体材料層23と、誘電体材料層23上であって隣り合うアドレス電極22の間の領域にアドレス電極22と平行に延びる絶縁性の隔壁24と、誘電体材料層23上から隔壁24の側壁面上に亙って設けられた蛍光体層25とから構成されている。蛍光体層25は、プラズマ表示装置においてカラー表示を行う場合、赤色蛍光体層25R、緑色蛍光体層25G、及び青色蛍光体層25Bから構成されており、これらの各色の蛍光体層25R,25G,25Bが所定の順序に従って設けられている。図1は一部分解斜視図であり、実際には第2パネル20側の隔壁24の頂部が第1パネル10側の保護膜15に当接している。そして、隣り合う隔壁24と蛍光体層25と保護膜15とによって囲まれた放電空間内には、例えばNe(ネオン)とXe(キセノン)の混合ガスから成る放電ガスが封入されている。
放電維持電極12の射影像が延びる方向とアドレス電極22の射影像が延びる方向とは直交しており、一対の放電維持電極12と、3原色を発光する蛍光体層25R,25G,25Bの1組とが重複する領域が1画素(1ピクセル)に相当する。グロー放電が一対の放電維持電極12間で生じることから、このタイプのプラズマ表示装置は「面放電型」と称される。そして、一対の放電維持電極12と、2つの隔壁24の間に位置するアドレス電極22とが重複する領域が、放電セルに相当し、且つ、サブ・ピクセルに相当する。即ち、1つの放電セル(1サブ・ピクセル)は、1つの蛍光体層25と、一対の放電維持電極12と、1つのアドレス電極22とによって構成されている。
プラズマ表示装置の駆動においては、一対の放電維持電極12間に電圧を印加する直前に、例えば、放電セルの放電開始電圧よりも低いパルス電圧をアドレス電極22に印加することで、誘電体層14に電荷を蓄積し(表示を行う放電セルの選択)、見掛け上の放電開始電圧を低下させる。そして、一対の放電維持電極12の間で開始された放電は、放電開始電圧よりも低い電圧にて維持され得る。放電セルにおいては、放電ガス中でのグロー放電に基づき発生した真空紫外線の照射によって励起された蛍光体層25が、蛍光体材料の種類に応じた特有の発光色を呈する。尚、封入された放電ガスの種類に応じた波長を有する真空紫外線が発生する。
このようなプラズマ表示装置が市場に出回り始めているが、より低い消費電力が望まれており、そのために、プラズマ表示装置には高発光効率化が求められている。放電ガスのXeガスの分圧を増加させることによって発光効率の向上は可能であるものの、Xeガスの分圧を増加させると、駆動電圧(放電電圧)の増加や、放電遅れ時間の増大といった問題が生じる。
ところで、高Xe分圧のプラズマ表示装置にあっては、上述したとおり、第1基板11における放電維持電極12上に誘電体層14が形成されており、誘電体層14は、通常、例えば、PbOを主成分とする低融点ガラスペーストをスクリーン印刷し、焼成することによって形成されている。そして、この低融点ガラスペーストから成る誘電体層14が、駆動電圧の増加や放電遅れ時間の増大の原因の1つとなっている。
駆動電圧を低下させるためには、誘電体層14を薄くすればよい。しかしながら、低融点ガラスペーストから成る誘電体層14を薄くした場合、駆動電圧は下がるものの、プラズマ表示装置における輝度の経時変化が大きくなるという問題が生じる。更には、低融点ガラスペーストから構成された誘電体層14は比誘電率が高く、キャパシタンス量が大きいために、電流が多く流れ、プラズマ表示装置の消費電流を増加させる原因となる。
SiOXから成る誘電体層14を化学的気相成長法(CVD法)にて形成する方法も検討されている。CVD法にて得られたSiOXから成る誘電体層14は、その比誘電率が4前後と低く、キャパシタンス量が小さいため、流れる電流が少なく、プラズマ表示装置の消費電流の低下を図ることができる。また、SiOXは緻密な膜であるため、誘電体層14の膜厚を薄くすることができ、駆動電圧の増加を回避することができる。しかしながら、一般的なSiOXから成る誘電体層14にあっては、放電遅れ時間増大の問題が解決されていない。
従って、本発明の目的は、駆動電圧(放電電圧)を増加させることなく、且つ、放電遅れ時間を増大させることなく、高効率化、低消費電力化を実現し得る交流駆動型プラズマ表示装置、及び、その製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の交流駆動型プラズマ表示装置は、
第1基板上に形成された複数の第1電極、及び、第1基板と第1電極の上に形成された誘電体層とを備えた第1パネル、並びに、第2パネルが、それらの外周部で接合されて成る交流駆動型プラズマ表示装置であって、
誘電体層はSiOXから構成され、
SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上であることを特徴とする。
第1基板上に形成された複数の第1電極、及び、第1基板と第1電極の上に形成された誘電体層とを備えた第1パネル、並びに、第2パネルが、それらの外周部で接合されて成る交流駆動型プラズマ表示装置であって、
誘電体層はSiOXから構成され、
SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明の交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法は、
第1基板上に形成された複数の第1電極、及び、第1基板と第1電極の上に形成された誘電体層とを備えた第1パネル、並びに、第2パネルが、それらの外周部で接合されて成り、
誘電体層はSiOXから構成され、
SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上である交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法であって、
誘電体層を、化学的気相成長法又は物理的気相成長法で形成することを特徴とする。
第1基板上に形成された複数の第1電極、及び、第1基板と第1電極の上に形成された誘電体層とを備えた第1パネル、並びに、第2パネルが、それらの外周部で接合されて成り、
誘電体層はSiOXから構成され、
SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上である交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法であって、
誘電体層を、化学的気相成長法又は物理的気相成長法で形成することを特徴とする。
本発明の交流駆動型プラズマ表示装置あるいはその製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、SiOXにおけるXの値として、1.0≦X≦2.0を例示することができる。
本発明において、誘電体層を多層構成とすることもできる。この場合には、多層構成の誘電体層の最表面層がSiOXから構成され、この最表面層中に含まれるH2Oの結合密度が3.0×1020Bonds/cm3以上であることが要求される。多層構成の誘電体層の下層は、例えば、PbOを主成分とする低融点ガラスペーストや、H2Oの結合密度の値に制限を受けないSiOY(例えば、1.0≦Y≦2.0であり、H2Oの結合密度が3.0×1020Bonds/cm3未満のSiOY)、酸化アルミニウム、窒素化合物から構成することができる。ここで、窒素化合物として、SiNx、SiOxNyを挙げることができる。誘電体層の下層は、これらの材料から選択された1種類の材料から成る単層構造(単層下層構造)とすることもできるし、これらの材料から選択された複数種類の材料から成る多層構造(積層下層構造)とすることもできる。
本発明において、誘電体層の厚さは、5×10-5m以下、好ましくは3×10-5m以下であることが望ましい。ここで、誘電体層の厚さとは、第1基板上に形成された複数の第1電極上における誘電体層の平均厚さを意味する。誘電体層を単層構成とする場合の誘電体層の厚さの下限値として、1.0×10-6mを挙げることができる。一方、誘電体層を多層構成とする場合、多層構成の誘電体層のSiOXから構成された最表面層の厚さの下限値として、1.0×10-8mを挙げることができる。
本発明において、必須ではないものの、誘電体層の表面には保護膜が形成されていることが好ましい。保護膜を形成することで、イオンや電子と第1電極との直接接触を防止することができる結果、第1電極の磨耗を防ぐことができる。保護膜は、この他にも、放電に必要な2次電子を放出する機能を有する。保護膜を構成する材料として、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)を例示することができるが、中でも酸化マグネシウムは、2次電子放出比が高い上に、化学的に安定であり、スパッタリング率が低く、蛍光体層の発光波長における光透過率が高く、放電開始電圧が低い等の特色を有する好適な材料である。尚、保護膜を、これらの材料から成る群から選択された少なくとも2種類の材料から構成された積層膜構造としてもよい。
誘電体層を、物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、若しくは、化学的気相成長法(CVD法)に基づき形成するが、PVD法として、より具体的には、
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法
(b)プラズマ蒸着法
(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法
(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法
(e)レーザーアブレーション法
を挙げることができる。
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法
(b)プラズマ蒸着法
(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法
(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法
(e)レーザーアブレーション法
を挙げることができる。
また、CVD法として、常圧CVD法(APCVD法)、減圧CVD法(LPCVD法)、低温CVD法、高温CVD法、プラズマCVD法(PCVD法,PECVD法)、ECRプラズマCVD法、光CVD法を例示することができる。一般に、CVD法による誘電体層の形成の方が、PVD法による誘電体層の形成よりも、SiOX中に含まれるH2Oの結合密度の量の制御を行い易い。
誘電体層の形成方法として、その他、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、塗布法(スプレーコーティング法を含む)、転写法、ゾル−ゲル法を挙げることができる。
本発明において、SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、Pliskinの式を用いることで求めることができる。即ち、先ず、以下の式(1)に基づき、SiOX中のH2O含有率W(単位:重量%)を求める。尚、式(1)中、「−14」及び「89」は係数である。
W=−14・I3650+89・I3330β (1)
ここで、
I3650:3650cm-1における吸収強度(μm-1)
I3330:3330cm-1における吸収強度(μm-1)
である。
I3650:3650cm-1における吸収強度(μm-1)
I3330:3330cm-1における吸収強度(μm-1)
である。
次に、以下の式(2)に基づき、結合密度を求める。尚、式(2)中、「7.35×1020」は係数である。
H2O(Bonds/cm3)=W×7.35×1020 (2)
本発明の交流駆動型プラズマ表示装置にあっては、第2基板上に形成された一対の隔壁と蛍光体層(例えば、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層及び青色蛍光体層のいずれか1つの蛍光体層)、並びに、一対の隔壁によって囲まれた領域内を占める第1電極と第2電極によって1つの放電セルが構成される。そして、かかる放電セル内、より具体的には、隔壁によって囲まれた放電空間内に放電ガスが封入されており、蛍光体層は、放電空間内の放電ガス中で生じた交流グロー放電に基づき発生した真空紫外線に照射されて発光する。
上述の各種態様を含む本発明においては、第1電極として一対の放電維持電極の一方を第1パネルに形成し、第2電極として他方を第2パネルに形成する構成とすることができる。このような構成の交流駆動型プラズマ表示装置を、便宜上、2電極型と呼ぶ。この場合、一方の放電維持電極の射影像は第1の方向に延び、他方の放電維持電極の射影像は、第1の方向とは異なる第2の方向に延び、一対の放電維持電極が対面するごとく対向して配置されている。第1の方向と第2の方向とは、交流駆動型プラズマ表示装置の構造の簡素化の観点から略直交していることが好ましいが、必ずしも直交している必要はない。
あるいは又、第1電極として一対の放電維持電極を第1パネルに形成し、第2電極として所謂アドレス電極を第2パネルに形成する構成とすることもできる。このような構成の交流駆動型プラズマ表示装置を、便宜上、3電極型と呼ぶ。この場合、一対の放電維持電極の射影像は互いに平行に第1の方向に延び、アドレス電極の射影像は第2の方向に延び、一対の放電維持電極とアドレス電極とが対面するごとく対向して配置されている構成とすることができるが、かかる構成に限定するものではない。第1の方向と第2の方向とは、交流駆動型プラズマ表示装置の構造の簡素化の観点から略直交していることが好ましいが、必ずしも直交している必要はない。
3電極型の交流駆動型プラズマ表示装置において、一対の放電維持電極の間の距離は、所定の放電電圧において必要なグロー放電が生じる限りにおいて本質的には任意であり、1×10-4m程度であってもよいが、5×10-5m未満、好ましくは5.0×10-5m未満であることが望ましい。
また、本発明において、第1電極として第1パネルに一対の放電維持電極を設ける場合、一対の放電維持電極の対向する縁部の間の放電ギャップの形状を直線状としてもよいし、一対の放電維持電極の対向する縁部の間の放電ギャップの形状を、放電維持電極の幅方向に屈曲したパターン若しくは湾曲したパターンとすることもでき、これによって、放電に寄与する放電維持電極の部分の面積の増加を図ることができる。一対の放電維持電極は、隣接する放電セルに亙りストライプ状に形成されていてもよいし、各放電セル毎に一対の短冊状に形成されていてもよい。後者の場合、後述するバス電極から放電維持電極に電圧が印加される。そして、後者の場合、第1電極を各放電セル毎に分離して形成するので、輝度を低下させずに、無効電流を減らし、消費電流の一層の低減を図ることができる。
例えば、3電極型の交流駆動型プラズマ表示装置を例にとり、以下、本発明の交流駆動型プラズマ表示装置の説明を行うが、2電極型の交流駆動型プラズマ表示装置にあっては、必要に応じて、以下の説明における第2電極に相当する「アドレス電極」を「他方の放電維持電極」と読み替えればよい。
第1電極に相当する放電維持電極を構成する導電性材料は、交流駆動型プラズマ表示装置が透過型であるか、反射型であるかによって異なる。透過型の交流駆動型プラズマ表示装置では、蛍光体層の発光は第2基板を通して観察されるので、放電維持電極を構成する導電性材料に関して透明/不透明の別は問わないが、アドレス電極を第2基板上に設けるので、アドレス電極は透明である必要がある。一方、反射型の交流駆動型プラズマ表示装置では、蛍光体層の発光は第1基板を通して観察されるので、アドレス電極を構成する導電性材料に関して透明/不透明の別は問わないが、放電維持電極を構成する導電性材料は透明である必要がある。ここで述べる透明/不透明とは、蛍光体材料に固有の発光波長(可視光域)における導電性材料の光透過性に基づく。即ち、蛍光体層から射出される光に対して透明であれば、放電維持電極やアドレス電極を構成する導電性材料は透明であると云える。不透明な導電性材料として、Ni、Al、Au、Ag、Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、Ba、LaB6、Ca0.2La0.8CrO3等の材料を単独又は適宜組み合わせて用いることができる。透明な導電性材料として、ITO(インジウム・錫酸化物)やSnO2を挙げることができる。放電維持電極やアドレス電極は、スパッタリング法や、蒸着法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、メッキ法、リフトオフ法等によって形成することができる。
放電維持電極に加えて、放電維持電極全体のインピーダンスを低下させるために、放電維持電極に接して、放電維持電極よりも電気抵抗率の低い材料から成るバス電極が設けられている構成とすることもできる。バス電極は、典型的には、金属材料、例えば、Ag、Au、Al、Ni、Cu、Mo、Cr、Cr/Cu/Cr積層膜から構成することができる。かかる金属材料から成るバス電極は、反射型の交流駆動型プラズマ表示装置においては、蛍光体層から放射されて第1基板を通過する可視光の透過光量を低下させ、表示画面の輝度を低下させる要因となり得るので、放電維持電極全体に要求される電気抵抗値が得られる範囲内で出来る限り細く形成することが好ましい。バス電極は、スパッタリング法や、蒸着法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、メッキ法、リフトオフ法等によって形成することができる。
本発明において、第1パネルを構成する第1基板及び第2パネルを構成する第2基板の構成材料として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)を例示することができる。第1基板と第2基板の構成材料は、同じであっても異なっていてもよいが、熱膨張係数は同じであることが望ましい。
蛍光体層は、例えば、赤色を発光する蛍光体材料、緑色を発光する蛍光体材料及び青色を発光する蛍光体材料から成る群から選択された蛍光体材料から構成され、アドレス電極の上方に設けられている。交流駆動型プラズマ表示装置がカラー表示の場合、具体的には、例えば、赤色を発光する蛍光体材料から構成された蛍光体層(赤色蛍光体層)がアドレス電極の上方に設けられ、緑色を発光する蛍光体材料から構成された蛍光体層(緑色蛍光体層)が別のアドレス電極の上方に設けられ、青色を発光する蛍光体材料から構成された蛍光体層(青色蛍光体層)が更に別のアドレス電極の上方に設けられており、これらの3原色を発光する蛍光体層が1組となり、所定の順序に従って設けられている。そして、一対の放電維持電極とこれらの3原色を発光する1組の蛍光体層が重複する領域が、1画素(1ピクセルであり、3つのサブ・ピクセルから構成される)に相当する。赤色蛍光体層、緑色蛍光体層及び青色蛍光体層は、ストライプ状に形成されていてもよいし、格子状に形成されていてもよい。更には、放電維持電極とアドレス電極とが重複する領域にのみ、蛍光体層を形成してもよい。
蛍光体層を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から、量子効率が高く、真空紫外線に対する飽和が少ない蛍光体材料を適宜選択して用いることができる。カラー表示を想定した場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。真空紫外線の照射により赤色に発光する蛍光体材料として、(Y2O3:Eu)、(YBO3Eu)、(YVO4:Eu)、(Y0.96P0.60V0.40O4:Eu0.04)、[(Y,Gd)BO3:Eu]、(GdBO3:Eu)、(ScBO3:Eu)、(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)を例示することができる。真空紫外線の照射により緑色に発光する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、(BaAl12O19:Mn)、(BaMg2Al16O27:Mn)、(MgGa2O4:Mn)、(YBO3:Tb)、(LuBO3:Tb)、(Sr4Si3O8Cl4:Eu)を例示することができる。真空紫外線の照射により青色に発光する蛍光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.85V0.15O4、(BaMgAl14O23:Eu)、(Sr2P2O7:Eu)、(Sr2P2O7:Sn)を例示することができる。蛍光体層の形成方法として、厚膜印刷法、蛍光体粒子をスプレーする方法、蛍光体層の形成予定部位に予め粘着性物質を付けておき、蛍光体粒子を付着させる方法、感光性の蛍光体ペーストを使用し、露光及び現像によって蛍光体層をパターニングする方法、全面に蛍光体層を形成した後に不要部をサンドブラスト法により除去する方法を挙げることができる。
蛍光体層はアドレス電極の上に直接形成されていてもよいし、アドレス電極上から隔壁の側壁面上に亙って形成されていてもよい。あるいは又、蛍光体層は、アドレス電極上に設けられた誘電体材料層上に形成されていてもよいし、アドレス電極上に設けられた誘電体材料層上から隔壁の側壁面上に亙って形成されていてもよい。更には、蛍光体層は、隔壁の側壁面上にのみ形成されていてもよい。誘電体材料層の構成材料として、PbOを主成分とする低融点ガラスや、酸化ケイ素を挙げることができ、スクリーン印刷法やスパッタリング法、真空蒸着法等に基づき形成することができる。場合によっては、蛍光体層や隔壁の表面に、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)等から成る第2の保護膜を形成してもよい。
第2基板には、アドレス電極と平行に延びる隔壁(リブ)が形成されていることが好ましい。あるいは、アドレス電極と平行に延びる第1隔壁と、放電維持電極と平行に延びる第2隔壁とから構成されている構成[即ち、格子状(ワッフル状)の隔壁(リブ)が形成されている構成]とすることもできる。あるいは又、隔壁(リブ)はミアンダ構造を有していてもよい。誘電体材料層が第2基板及びアドレス電極上に形成されている場合には、隔壁は誘電体材料層上に形成されている場合もある。隔壁の構成材料として、従来公知の絶縁材料を使用することができ、例えば広く用いられている低融点ガラスにアルミナ等の金属酸化物を混合した材料を用いることができる。隔壁の高さは50〜200μm程度である。
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口部が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口部を通過させ、第2基板上若しくは誘電体材料層上(以下、これらを総称して、第2基板等上と呼ぶ)に隔壁形成用材料層を形成した後、かかる隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、第2基板等上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口部に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口部に埋め込まれた隔壁形成用材料層が残り、隔壁となる。感光法とは、第2基板等上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成を行う方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を第2基板等上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を黒くすることにより、所謂ブラック・マトリックスを形成し、表示画面の高コントラスト化を図ることができる。隔壁を黒くする方法として、黒色に着色されたカラーレジスト材料を用いて隔壁を形成する方法を例示することができる。
本発明においては、放電空間に封入された希ガスの圧力は、1×102Pa乃至5×105Pa、好ましくは1×103Pa乃至4×105Paとすることが望ましい。一対の放電維持電極の間の距離を5×10-5m未満とする場合には、希ガスの圧力を1×102Pa以上3×105Pa以下、好ましくは1×103Pa以上2×105Pa以下、更に好ましくは1×104Pa以上1×105Pa以下とすることが望ましく、このような圧力範囲とすることによって、希ガス中での陰極グローに主に基づき発生した真空紫外線に照射されて蛍光体層が発光するし、このような圧力範囲内では、圧力が高いほど交流駆動型プラズマ表示装置を構成する各種部材のスパッタリング率が低減する結果、交流駆動型プラズマ表示装置を長寿命化することができる。
ここで、放電空間に封入される希ガスには、以下の(1)〜(4)が要求される。希ガスとして、He(共鳴線の波長=58.4nm)、Ne(同74.4nm)、Ar(同107nm)、Kr(同124nm)、Xe(同147nm)を単独で用いるか、又は混合して用いることが可能であるが、ペニング効果による放電開始電圧の低下が期待できる混合ガスも有用である。かかる混合ガスとしては、Ne−Ar混合ガス、He−Xe混合ガス、Ne−Xe混合ガス、He−Kr混合ガス、Ne−Kr混合ガス、Xe−Kr混合ガスを挙げることができる。特に、希ガスの中でも最も長い共鳴線波長を有するXeは、分子線の波長172nmにも強い真空紫外線を放射するので、好適な希ガスである。
(1)交流駆動型プラズマ表示装置の長寿命化の観点から、化学的に安定であり、且つ、ガス圧力を高く設定し得ること
(2)表示画面の高輝度化の観点から、真空紫外線の放射強度が大きいこと
(3)真空紫外線から可視光線へのエネルギー変換効率を高める観点から、放射される真空紫外線の波長が長いこと
(4)消費電力低減の観点から、放電開始電圧の低いこと
(2)表示画面の高輝度化の観点から、真空紫外線の放射強度が大きいこと
(3)真空紫外線から可視光線へのエネルギー変換効率を高める観点から、放射される真空紫外線の波長が長いこと
(4)消費電力低減の観点から、放電開始電圧の低いこと
本発明によれば、従来の交流駆動型プラズマ表示装置と比較して、たとえ高Xe分圧にしたとしても、誘電体層を構成するSiOX中に含まれるH2Oの結合密度が3.0×1020Bonds/cm3以上であるが故に、誘電体層中のH2Oが放電を助ける結果、放電遅れ時間の短縮化を図ることができる。しかも、しかも、誘電体層をSiOXから構成することで誘電体層を薄くすることができるので、交流駆動型プラズマ表示装置の駆動電圧(放電開始電圧及び放電維持電圧)の低下を達成できる。以上の結果として、放電安定性が向上し、交流駆動型プラズマ表示装置の信頼性が高くなり、より高精細な表示を行う交流駆動型プラズマ表示装置を得ることが可能となる。また、誘電体層をSiOXから構成するが故に、誘電体層のキャパシタンス量の低減を図ることができる結果、誘電体層に流れる電流が減少し、高効率化、即ち、交流駆動型プラズマ表示装置の消費電力の低減、を達成することが可能となる。
しかも、本発明の交流駆動型プラズマ表示装置においては、均一、均質な誘電体層を設けることによって、イオンや電子と第1電極との直接接触を防止することができる結果、第1電極の磨耗を防ぐことができる。尚、誘電体層は、壁電荷を蓄積する機能だけでなく、過剰な放電電流を制限する抵抗体としての機能、放電状態を維持するメモリ機能を有する。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
[実施例1]
実施例1は、本発明の交流駆動型プラズマ表示装置(以下、プラズマ表示装置と略称する)、及び、その製造方法に関する。
実施例1は、本発明の交流駆動型プラズマ表示装置(以下、プラズマ表示装置と略称する)、及び、その製造方法に関する。
実施例1のプラズマ表示装置は、3電極型のプラズマ表示装置であり、第1基板11上に形成された複数の第1電極12、及び、第1基板11と第1電極12の上に形成された誘電体層14とを備えた第1パネル10、並びに、第2パネル20が、それらの外周部で接合されて成る。ここで、実施例1におけるプラズマ表示装置の模式的な分解斜視図は、図1に示したと同様であり、このプラズマ表示装置の構成、構造は、「背景技術」において説明したプラズマ表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略し、以下、「背景技術」において説明したプラズマ表示装置との相違点を説明する。
実施例1のプラズマ表示装置にあっては、誘電体層14はSiOX(Xの実測値は約1.9)の単層から構成されており、CVD法に基づき形成されている。そして、SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上である。
以下、実施例1のプラズマ表示装置の製造方法を説明する。
第1パネル10は、以下の方法で作製することができる。即ち、先ず、高歪点ガラスやソーダガラスから成る第1基板11の全面に例えばスパッタリング法によりITO層を形成し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術によりITO層をストライプ状にパターニングすることによって、第1電極に相当する一対の放電維持電極12を、複数、形成した。放電維持電極12は第1の方向に延びている。次に、全面に例えば蒸着法によりクロム膜やアルミニウム膜、銅膜等を形成し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術によりクロム膜やアルミニウム膜、銅膜等をパターニングすることによって、各放電維持電極12の縁部に沿ってバス電極13を形成した。一対の放電維持電極12の間の間隔(図1に示す放電ギャップG)を4×10-5m(40μm)とした。
その後、全面にSiOXから成る誘電体層14を、表1に示す条件のCVD法にて形成した。放電維持電極12上における誘電体層14の平均厚さを14μmとした。
次いで、誘電体層14の上に、電子ビーム蒸着法により厚さ0.6μmの酸化マグネシウム(MgO)から成る保護膜15を形成した。以上の工程により第1パネル10を完成することができる。
第2パネル20は以下の方法で作製することができる。即ち、先ず、高歪点ガラスやソーダガラスから成る第2基板21上に例えばスクリーン印刷法により銀ペーストをストライプ状に印刷し、焼成を行うことによって、アドレス電極22を形成する。アドレス電極22は、第1の方向と直交する第2の方向に延びている。次に、PbOを主成分とする低融点ガラスペースト層をスクリーン印刷法により全面に形成し、この低融点ガラスペースト層を焼成することによって誘電体材料層23を形成する。その後、隣り合うアドレス電極22の間の領域の上方の誘電体材料層23上に、例えばスクリーン印刷法により低融点ガラスペーストを印刷し、焼成(約560°C程度で約2時間の焼成)を行うことによって、隔壁24を形成する。隔壁24の平均高さを130μmとした。次に、3原色の蛍光体スラリーを順次印刷し、焼成(約510°C程度で約10分の焼成)を行うことによって、隔壁24の間の誘電体材料層23上から隔壁24の側壁面上に亙って、蛍光体層25R,25G,25Bを形成する。以上の工程により第2パネル20を完成することができる。
次に、プラズマ表示装置の組み立てを行う。即ち、先ず、例えばフリットディスペンスを用いて、第2パネル20の外周部にフリット・ガラス層(シール層)を形成する。次に、第1パネル10と第2パネル20とを貼り合わせ、焼成してフリット・ガラス層を硬化させる。その後、第1パネル10と第2パネル20との間に形成された空間を排気した後、例えば放電ガス(圧力3×104PaのXe100%ガス)を封入し、かかる空間を封止し、プラズマ表示装置を完成させる。
こうして得られたプラズマ表示装置の放電開始電圧及び放電維持電圧、並びに、放電遅れ時間の指標である放電確率99.99%時間を測定した。測定結果を表1に示す。
また、実施例1における誘電体層14を形成したと同じ条件で、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、先に説明した式(1)及び式(2)により求めた。その結果を、表1に示す。バックグランド測定は、表面に何も形成していないシリコン半導体基板を測定することで求めた。尚、透過型FT−IR測定装置として、BIO−RAD社 FTS−575Cを使用した。
更には、実施例1における誘電体層14を形成したと同じ条件で、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜のドライエッチング速度及びウエットエッチング速度を測定した。ドライエッチングにおいては、1000sccmのNF3ガスを使用し、マイクロ波パワーを3kWとした。一方、ウエットエッチングにおいては、NH4F:HF=6:1のエッチング液を使用した。尚、比較例1及び実施例5においてもドライエッチング速度の測定を行い、比較例1においてもウエットエッチング速度の測定を行った。測定結果を表1及び表2に示す。
[実施例2〜実施例4、比較例1及び比較例2]
SiOXから成る誘電体層14を、実施例1と同様にして、但し、表1に示す条件のCVD法にて形成した。又、実施例1と同様にして、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、先に説明した式(1)及び式(2)により求めた。
SiOXから成る誘電体層14を、実施例1と同様にして、但し、表1に示す条件のCVD法にて形成した。又、実施例1と同様にして、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、先に説明した式(1)及び式(2)により求めた。
こうして得られたプラズマ表示装置の放電開始電圧と放電維持電圧、放電確率を測定した。測定結果を表1に示す。また、SiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度の測定結果を表1に示す。
[実施例5、比較例3]
SiOXから成る誘電体層14を、実施例1と同様にして、但し、表2に示す条件のPVD法(具体的には、スパッタリング法)にて形成した。又、実施例1と同様にして、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、先に説明した式(1)及び式(2)により求めた。
SiOXから成る誘電体層14を、実施例1と同様にして、但し、表2に示す条件のPVD法(具体的には、スパッタリング法)にて形成した。又、実施例1と同様にして、厚さ14μmのSiOX膜をシリコン半導体基板上に形成し、このSiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)に基づき、先に説明した式(1)及び式(2)により求めた。
こうして得られたプラズマ表示装置の放電開始電圧と放電維持電圧、放電確率を測定した。測定結果を表2に示す。また、SiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度の測定結果を表2に示す。
表1及び表2の結果から、SiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度の値が3.0×1020Bonds/cm3以上であれば、放電開始電圧及び放電維持電圧の低下、放電遅れ時間の指標である放電確率99.99%時間の短縮化を図ることができることが判る。また、実施例1、実施例5と比較例1とにおけるSiOX膜のエッチング速度の比較から、SiOX膜中に含まれるH2Oの結合密度の値が高い程、エッチング速度が早くなる、即ち、緻密な膜ではなくなる傾向があることが判る。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明したプラズマ表示装置の構造や構成、使用した材料、寸法、製造方法等は例示であり、適宜変更することができるし、実施例における誘電体層の形成方法は例示であり、適宜変更することができる。
蛍光体層の発光が第2基板を通して観察される透過型のプラズマ表示装置に本発明を適用することができる。透過型のプラズマ表示装置においては、蛍光体層の発光は第2基板を通して観察されるので、放電維持電極を構成する導電性材料に関して透明/不透明の別は問わないが、アドレス電極を第2の基板上に設けるので、アドレス電極を透明とすることが、表示の明るさの点で有利である。
また、実施例においては、平行に延びる一対の放電維持電極からプラズマ表示装置を構成したが、その代わりに、一対のバス電極が第1の方向に延び、一対のバス電極の間で、一方のバス電極から一方の放電維持電極が他方のバス電極の手前まで、第2の方向に延び、他方のバス電極から他方の放電維持電極が一方のバス電極の手前まで、第2の方向に延びる構造とすることもできる。あるいは又、一対の放電維持電極の内、第1の方向に延びる一方の放電維持電極を第1基板に設け、他方の放電維持電極をアドレス電極と平行に、隔壁24の側壁上部に形成する構造としてもよい。あるいは又、本発明の交流駆動型プラズマ表示装置を2電極型のプラズマ表示装置としてもよい。あるいは又、アドレス電極を第1基板に形成してもよい。このような構造の交流駆動型プラズマ表示装置は、例えば、第1の方向に延びる一対の放電維持電極、及び、一対の放電維持電極の一方の近傍に、一対の放電維持電極の一方に沿って設けられたアドレス電極(但し、一対の放電維持電極の一方に沿ったアドレス電極の長さを放電セルの第1の方向に沿った長さ以内とする)から構成することができる。尚、放電維持電極と短絡しないように、絶縁層を介して第2の方向に延びるアドレス電極用配線を設け、かかるアドレス電極用配線とアドレス電極とを電気的に接続し、あるいは又、アドレス電極用配線からアドレス電極が延在する構造とする。
また、実施例においては、一対の放電維持電極の対向する縁部の間の放電ギャップの形状を直線状としたが、一対の放電維持電極の対向する縁部の間の放電ギャップの形状を、放電維持電極の幅方向に屈曲したパターン若しくは湾曲したパターン(例えば、「く」の字の組合せ、「S」字の組合せや弧の組合せ等、任意の曲線の組合せ)とすることもできる。このような構成にすることによって、一対の放電維持電極の対向する縁部の長さを長くすることができ、放電効率の向上を期することができる。このような構造を有する二対の放電維持電極の模式的な部分的平面図を、図2の(A)、(B)、(C)に示す。
実施例においては、アドレス電極22と略平行に延びる隔壁(リブ)24をストライプ状に形成したが、隔壁(リブ)24はミアンダ構造、格子状(ワッフル状)、あるいは、その他の構造を有していてもよい。尚、隔壁24を黒くすることにより、所謂ブラック・マトリックスとしても機能させることで、表示画面の高コントラスト化を図ることができる。
本発明のプラズマ表示装置の交流グロー放電動作の一例を説明する。先ず、例えば、全ての一方の放電維持電極12(コモン側放電維持電極)に、放電開始電圧Vbdよりも高いパルス電圧を短時間印加する。これによってグロー放電が生じ、双方の放電維持電極12の近傍の誘電体層14の表面に誘電分極に起因して壁電荷が発生し、壁電荷が蓄積し、見掛けの放電開始電圧が低下する。その後、アドレス電極22に電圧を印加しながら、表示をさせない放電セルに含まれる一方の放電維持電極12(スキャン側放電維持電極)に電圧を印加することによって、アドレス電極22と一方の放電維持電極12(スキャン側放電維持電極)との間にグロー放電を生じさせ、蓄積された壁電荷を消去する。この消去放電を各アドレス電極22において順次実行する。一方、表示をさせる放電セルに含まれる一方の放電維持電極(スキャン側放電維持電極)には電圧を印加しない。これによって、壁電荷の蓄積を維持する。その後、全ての一対の放電維持電極12間に所定のパルス電圧を印加することによって、壁電荷が蓄積されていた放電セルにおいては一対の放電維持電極12の間でグロー放電が開始し、放電セルにおいては、放電空間内における放電ガス中でのグロー放電に基づき発生した真空紫外線の照射によって励起された蛍光体層が、蛍光体材料の種類に応じた特有の発光色を呈する。尚、一方の放電維持電極と他方の放電維持電極に印加される放電維持電圧の位相は半周期ずれており、放電維持電極の極性は交流の周波数に応じて反転する。
あるいは又、本発明のプラズマ表示装置の交流グロー放電動作を、以下のとおりとすることもできる。先ず、全画素を初期化するために全画素に対して消去放電を行い、次いで、放電動作を行う。放電動作は、初期放電によって誘電体層の表面に壁電荷を発生させるアドレス期間と、グロー放電を維持する放電維持期間とに分けて行われる。アドレス期間では、選択された一方の放電維持電極と選択されたアドレス電極に、放電開始電圧Vbdよりも低いパルス電圧を短時間印加する。パルス電圧が印加された一方の放電維持電極とアドレス電極との重複領域が表示画素として選択され、この重複領域において誘電体層の表面に誘電分極に起因して壁電荷が発生し、壁電荷が蓄積される。続く放電維持期間では、対になった放電維持電極にVbdよりも低い放電維持電圧Vsusを印加する。壁電荷が誘起する壁電圧Vwと放電維持電圧Vsusとの和が放電開始電圧Vbdよりも大きくなれば(即ち、Vw+Vsus>Vbd)、グロー放電が開始される。一方の放電維持電極と他方の放電維持電極に印加される放電維持電圧Vsusの位相は半周期ずれており、放電維持電極の極性は交流の周波数に応じて反転する。
10・・・第1パネル、11・・・第1基板、12・・・放電維持電極(第1電極)、13・・・バス電極、14・・・誘電体層、15・・・保護膜、20・・・第2パネル、21・・・第2基板、22・・・アドレス電極(第2電極)、23・・・誘電体材料層、24・・・隔壁、25,25R,25G,25B・・・蛍光体層、G・・・放電ギャップ
Claims (2)
- 第1基板上に形成された複数の第1電極、及び、第1基板と第1電極の上に形成された誘電体層とを備えた第1パネル、並びに、第2パネルが、それらの外周部で接合されて成り、
誘電体層はSiOXから構成され、
SiOX中に含まれるH2Oの結合密度は、3.0×1020Bonds/cm3以上である交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法であって、
誘電体層を、プロセスガスとして酸素ガスを使用すること無く物理的気相成長法で形成することを特徴とする交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法。 - プロセスガスとして、N2を使用することを特徴とする請求項1に記載の交流駆動型プラズマ表示装置の製造方法。
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