JP2008192427A - 電極基板および光電変換素子 - Google Patents

電極基板および光電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2008192427A
JP2008192427A JP2007024604A JP2007024604A JP2008192427A JP 2008192427 A JP2008192427 A JP 2008192427A JP 2007024604 A JP2007024604 A JP 2007024604A JP 2007024604 A JP2007024604 A JP 2007024604A JP 2008192427 A JP2008192427 A JP 2008192427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrode substrate
metal wiring
photoelectric conversion
insulating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007024604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5208431B2 (ja
Inventor
Hiroshi Matsui
浩志 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2007024604A priority Critical patent/JP5208431B2/ja
Publication of JP2008192427A publication Critical patent/JP2008192427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5208431B2 publication Critical patent/JP5208431B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

【課題】電極基板の抵抗の低下を図ることができ、しかも、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる電極基板を提供する。
【解決手段】基材10上に、透明導電層11、金属配線層12、及び前記金属配線層を被覆する絶縁層14を順に重ねて配してなり、前記基材の熱膨張率をα、前記絶縁層の熱膨張率をβと定義した場合、前記βを前記αで除した値が0.5以上1.8以下であることを特徴とする電極基板1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池に代表される光電変換素子などに好適に用いられる電極基板に関するものであり、特に金属配線層と透明導電層とを有し、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる電極基板に関する。
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発されたものであり、光電変換効率が高く、製造コストが安いなどの利点をもち、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
色素増感太陽電池は、電極基板上に酸化物半導体微粒子からなる光増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜を有する作用極と、この作用極に対向して設けられた対極と、作用極と対極との間に電解液が充填されることにより形成された電解質層とを備えている。
この種の色素増感太陽電池は、太陽光などの入射光を吸収した光増感色素により酸化物半導体微粒子が増感され、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として機能する(例えば、特許文献1、非特許文献1など参照)。
上述のような色素増感太陽電池で用いられる透明電極基板としては、スズ添加酸化インジウム(ITO)やフッ素添加酸化スズ(FTO)などの透明導電膜を基板の表面に成膜したものが一般的である。しかしながら、ITOやFTOの比抵抗は、10−4[Ω・cm]オーダー程度と、銀や金などの金属の比抵抗に比べて、約100倍もの値を示すことから、特に大面積のセルとした場合に、光電変換効率の低下を招く一因となる。
透明電極基板の抵抗を下げる手法として、透明導電膜(ITO,FTOなど)の形成厚さを厚くすることが考えられるが、抵抗値が十分に下がるほどの厚さで膜形成すると、透明導電層による光吸収が大きくなってしまう。そのため、入射光の透過効率が著しく低下するので、やはり光電変換効率の低下が生じやすい。
この問題に対する解決策として、透明電極基板の表面に、開口率を著しく損なわない程度に金属配線を設けることにより、電極基板の抵抗の低下を図る検討がなされている(例えば、特許文献2を参照)。この場合、電解液による金属配線の腐食や、金属配線から電解液への漏電を防止するため、少なくとも金属配線の表面部分が、何らかの遮蔽層により保護されている必要がある。この遮蔽層は、回路基板を緻密に被覆でき、電解質層を構成する電解液などに対する耐薬品性に優れることが要求される。このような要求を満たす材質としては、絶縁樹脂やガラスなどが挙げられるが、酸化物半導体多孔膜を形成する際などに、基板が熱履歴を経る場合があるため、絶縁樹脂よりも耐熱性に優れるガラスを用いることが望ましい。
しかしながら、ガラスからなる遮蔽層は、変形に弱く、遮蔽層を形成する際や遮蔽層形成後の熱処理に伴う体積変化により容易に亀裂を生じやすい。遮蔽層に生じた亀裂が金属配線に達すると、金属配線から電解液への漏電や、電解液による金属配線の腐食により、セルの機能が損なわれる虞がある。
特開平01−220380号公報 特開2003−203681号公報 ミカエル・グレッツェル(M. Graetzel)ら、ネイチャー(Nature)誌、(英国)、1991年、第353号、p.737
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電極基板の抵抗の低下を図ることができ、しかも、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる電極基板および光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る電極基板は、基材上に、透明導電層、金属配線層、及び前記金属配線層を被覆する絶縁層を順に重ねて配してなり、前記基材の熱膨張率をα、前記絶縁層の熱膨張率をβと定義した場合、前記βを前記αで除した値が0.5以上1.8以下であることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る電極基板は、請求項1において、前記絶縁層が、低融点ガラスからなることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る電極基板は、請求項1又は2において、前記低融点ガラスが、鉛元素を含有しないことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る電極基板は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記基材が、高歪点ガラスからなることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る光電変換素子は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極基板を有することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る色素増感太陽電池は、請求項5に記載の光電変換素子からなることを特徴とする。
本発明に係る電極基板は、基材上に、透明導電層、金属配線層、及び前記金属配線層を被覆する絶縁層を順に重ねて配してなり、絶縁層の熱膨張率βを基材の熱膨張率αで除した値が0.5以上1.8以下の範囲を満たす構成を採用したことにより、電極基板の低抵抗化を図ることができるとともに、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電極基板の一例を示す模式的な断面図である。図1に示す電極基板1は、基材10の一方の面(以下、「表面」とも呼ぶ)上に、透明導電層11、金属配線層12、及び前記金属配線層を被覆する絶縁層14を順に重ねて配したものであり、基材10の熱膨張率をα、絶縁層14の熱膨張率をβと定義した場合、前記βを前記αで除した値が0.5以上1.8以下の範囲を満たす構成とされている。
基材10の材料としては、その熱膨張率αと絶縁層14の熱膨張率βとが、関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たし、かつ、光透過性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、用途上、光透過性ができるだけ高いことが好ましい。なお、関係式「0.8≦(β/α)≦1.5」を満たす構成がより好ましい。具体例としては、高歪点ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、硼珪酸ガラスなどを用いることができる。高歪点ガラスは、熱処理による変形が少なく、耐熱性に優れているため好ましい。例えば、熱膨張率が86×10−7のものを用いることができる。
透明導電層11は、基材10の表面上に、金属配線層12の形成領域より広い領域に亘って形成されている。透明導電層11は、1層(単層)または複数層(積層)とすることができる。透明導電層11の材料としては、光透過率や導電性などを考慮して用途に応じて選択できる。
また、透明導電層11の厚みは、0.05〜5μmとすることが望ましい。透明導電層11の厚みが0.05μm未満であると、厚みが0.05〜5μmの透明導電層11と比較してシート抵抗が大きくなり、光電変換効率の低下を招く虞が生じる。また、透明導電層11の厚みが5μmを越えると、光透過率が著しく低下して光電変換効率の低下を招くことから芳しくない。
透明導電層11としては、具体例には、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物からなる1層または複数層とすることができる。スズ添加酸化インジウム(ITO)は、フッ素添加酸化スズ(FTO)と比較して、光透過性および導電性に優れているが、耐熱性に劣る。また、フッ素添加酸化スズ(FTO)は、スズ添加酸化インジウム(ITO)と比較して、耐熱性に優れているが、光透過性および導電性に劣る。透明導電層11として、フッ素添加酸化スズ(FTO)とスズ添加酸化インジウム(ITO)との複合膜を用いた場合、両者の欠点が相殺され両者の長所を兼ね備えた優れた透明導電層11となる。
透明導電層11を形成する方法としては、透明導電層11の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。
金属配線層12は、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケル、チタンなどの金属を、配線として形成したものであり、透明導電層11に電気的に接続され、絶縁層14により絶縁被覆されている。金属配線層12の配線パターンは、特に限定されるものではなく、図2に示すように格子状にしたり、この他、縞状、短冊状、櫛型、又はこれらの組合せなどのパターンにしたりすることができる。
電極基板1の光透過性を著しく損ねないためには、例えば、各配線の幅を1000μm以下と、細くすることが望ましい。また、金属配線層12の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜50μmとすることが好ましい。
金属配線層12を形成する方法としては、例えば、導電粒子となる金属粉とガラス微粒子などの結合剤を配合してペースト状にし、これをスクリーン印刷法、メタルマスク法、インクジェット法などの印刷法を用いて所定のパターンを形成するように塗膜し、加熱、焼成によって導電粒子を融着させる方法が挙げられる。焼成温度としては、例えば、基材10がガラスである場合には600℃以下、より好ましくは550℃以下とすることが好ましい。この他、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、ディスペンス法などの形成方法を用いることもできる。
金属配線層12の表面は滑らかであることが好ましいが、これよりも、高い導電性を有することが優先され、多少の起伏や凹凸などの存在は差し支えない。
金属配線層12の比抵抗は、少なくとも9×10−5[Ω・cm]以下、より好ましくは、5×10−5[Ω・cm]以下であることが望ましい。
絶縁層14は、非晶質あるいは結晶性、更には複合系の低融点ガラス層からなる。絶縁層14は、PbO−P−SnFやPbO−SiO−Bなどの酸化鉛を含む低融点ガラス、あるいは、硼珪酸ビスマス塩系、硼酸ビスマス亜鉛系、アルミノリン酸塩系、リン酸亜鉛系、硼珪酸塩系などの非鉛系の低融点ガラスからなる低融点ガラス層を1層または複数層、金属配線層12が形成された領域の上に印刷法などによって成膜することにより、金属配線層を絶縁被覆するものである。絶縁層14は環境上または安全上、鉛を含まないものが特に好ましい。絶縁層14を複数層からなるものとする場合には、例えば、溶融温度の異なる2種以上の低融点ガラスで形成することができる。
本実施形態の電極基板1によれば、透明導電層11上に金属配線層12が設けられているので、電極基板1の抵抗の低下を図ることができる。また、本実施形態の電極基板1によれば、基材10の熱膨張率αと絶縁層14の熱膨張率βとが、関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たし、透明導電層11の厚みが0.05〜5μmであるのものとされているので、熱処理に伴う体積変化に起因する亀裂が生じにくく、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる。しかも、本実施形態の電極基板1は、絶縁層14が低融点ガラス層であるので、金属配線層12を緻密に被覆でき、電解質層を構成する電解液などに対する耐薬品性に優れたものとなる。
以下、本発明の電極基板の改変例を説明する。以下の改変例の電極基板において、図1と同一の符号を付したものは、図1に示す電極基板と同一または同様の構成によることを示し、重複する説明を省略することがある。
図3に示す電極基板が図1に示す電極基板と異なるところは、透明導電層11の上に遮蔽層13が設けられているところである。金属配線層12と比較すれば問題は小さいが、透明導電層11からの漏電も指摘されていることから、透明導電層11の上を覆うように遮蔽層13を設けることにより、より高い遮蔽効果を得ることができる。
遮蔽層13の材料としては、酸化還元種を含む電解液との電子移動反応速度が低く、かつ光透過性や光電子の移動能が高い化合物が選択され、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化スズ(SnO)などの酸化物半導体が例示される。
遮蔽層13は、透明導電層11への電子移動を妨げない程度に薄く形成されていることが必要であり、1〜1000nm程度の厚さとすることが好ましい。
遮蔽層13を形成する方法としては、特に限定はなく、例えば、目的化合物である酸化物半導体またはその前駆体をスパッタ法、蒸着法、CVD法などの乾式法(気相法)により製膜する方法が挙げられる。例えば金属などの前駆体を製膜した場合には、加熱処理または化学処理などにより酸化させることにより、遮蔽層13を得ることができる。湿式法の場合、目的化合物またはその前駆体を含有する液をスピンコート法、ディッピング法、ブレードコート法などの方法により塗布したのち、加熱処理や化学処理などにより目的の化合物に化学変化させることにより、遮蔽層13を得ることができる。前駆体としては、目的化合物の構成金属元素を有する塩類、錯体などが例示される。緻密な膜を得るためには、分散液よりも、溶液のほうが好ましい。遮蔽層13を形成する他の方法として、例えば、スプレー熱分解法を用い、透明導電層11を有する基材10を加熱した状態で、この基材10に向けて遮蔽層13の前駆体となる物質を噴霧して熱分解させ、目的とする酸化物半導体に変化させることにより、遮蔽層13を形成する方法を用いることもできる。
このようにして、透明導電層11を遮蔽するための遮蔽層13を設けることにより、透明導電層11からの漏電を抑制することができるので、より光電変換効率の高い光電変換素子を作製することができる。
次に、本発明の光電変換素子について説明する。
図4に、色素増感太陽電池を構成する光電変換素子の一例を示す。この光電変換素子6は、図1に示す電極基板1上に酸化物半導体多孔膜2を有する作用極3と、作用極3に対向して設けられた対極4とを備える。そして、作用極3と対極4との間には、電解液などの電解質などからなる電荷移送層5が形成されている。図4に示す光電変換素子6において、電極基板1の表面上には、増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜2が形成されており、電極基板1と酸化物半導体多孔膜2とにより、光電変換素子6の作用極3が構成される。
なお、図4において、電極基板1は、図1に示す構成の電極基板1を図示したが、特にこれに限定されるものではない。
酸化物半導体多孔膜2は、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などの1種または複数種を複合させた酸化物半導体微粒子からなる多孔質の薄膜である。酸化物半導体微粒子の平均粒径は、1〜1000nmの範囲内が好ましい。また、酸化物半導体多孔膜2の厚さは、0.5〜50μm程度が好ましい。
酸化物半導体多孔膜2を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布により塗布する方法が挙げられる。このほか、コロイド溶液中に電極基板1を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を電極基板1上に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
酸化物半導体多孔膜2に担持される増感色素は、特に制限されるものではなく、例えば、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子に含むルテニウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の含金属錯体をはじめ、クマリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの誘導体である有機色素などから、用途や酸化物半導体に適した励起挙動をとるものなどを、適宜選択して用いることができる。
電荷移送層5を電解質により構成する場合、例えば、酸化還元対を含む電解液を用いることができる。また、上記電解液を高分子ゲル化剤、低分子ゲル化剤、各種ナノ粒子、カーボンナノチューブなどの適当なゲル化剤によって擬似固体化したゲル状電解質を用いても良い。電解液の溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒や、イミダゾリウム系カチオンやピロリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオンとヨウ化物イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオン、ジシアノアミドアニオン、チオシアン酸アニオンなどからなる室温溶融塩から選択して用いることができる。
前記電解質に含有される酸化還元対としては、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ることができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。電解質には、必要に応じて4−tert−ブチルピリジン(TBP)、N−メチルベンズイミダゾール、グアニジニウム塩、または、その誘導体などの添加物を添加しても構わない。
対極4としては、例えば、導電性基板またはガラスなどの非導電性材料からなる基板上に、各種炭素系材料や、導電性高分子、金、白金などの金属材料、ITOやFTOなどの導電性酸化物半導体からなる電極を形成したものを用いることができる。
電極は、例えば、白金膜であれば、塩化白金酸を塗布して熱処理するなどの方法が例示できる。また、蒸着法やスパッタ法によって電極を形成してもよい。
本実施の形態の光電変換素子6によれば、電極基板1が透明導電層11に電気的に接続された金属配線層12を有しているので、電極基板1の抵抗の低下を図ることができ、セル特性を大幅に向上することができる。しかも、本実施形態の電極基板1によれば、基板10の熱膨張率をα、絶縁層14の熱膨張率をβと定義すると、関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たすものとされているので、熱処理に伴う体積変化に起因する亀裂が生じにくく、金属配線層12が電荷移送層5の電解液などから確実に遮蔽され、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することができる。
<実験例1>
本例では、以下の手順により、図1に示す電極基板を作製した。
まず、塩化スズ(IV)五水和物のエタノール溶液中にフッ化アンモニウムの飽和水溶液を加えて溶解し、FTO膜用原料液を作製した。
次いで、基材10の他方の面(以下、「裏面」とも呼ぶ)がヒータプレートに接するように設置して加熱しながら、スプレーノズルを用いてFTO膜用原料液を基材10の一方の面(以下、「表面」とも呼ぶ)上に噴霧してFTO膜(膜厚は0.05〜5μmの範囲で調整)を形成することにより、透明導電層11を得た。
ここで、基材10としては、高歪点ガラス(旭硝子社製:PD200、140mm角、厚さ2.8mm)を用いた。
次いで、FTO膜からなる透明導電層11上に、印刷用銀ペースト(焼結後の体積抵抗率が3×10−6[Ω・cm]のもの)をスクリーン印刷し、10分間のレベリング後、130℃にて乾燥し、さらに最高温度510℃にて焼成することにより、銀回路をなす金属配線層12を得た。
ここで、金属配線層12の回路幅(設計値)は300μm、膜厚は10μmとし、集電端子から格子状に延びる形状にて形成した。続いて、CCDカメラを用いて位置合わせを行いながら、金属配線層12と重ね合わせ、スクリーン印刷により低融点ガラスを印刷塗布した後、130℃にて乾燥し、さらに最高500℃にて焼成した。この作業を複数回繰り返し、配線保護の役割を担う絶縁層14を得て、実験例1の電極基板(以下、「試料1」とも呼ぶ)とした。
ここで、絶縁層14としては、低融点ガラスA(福田金属箔粉工業社製、硼酸鉛系)を用いた。
なお、絶縁層14の形成幅(設計値)は、金属配線層12の幅方向両側に片側あたり150μm余剰に形成された600μmとした。
<実験例2>
本例では、基材10として、高歪点ガラスに代えて耐熱ガラス(SCHOTT社製:TEMPAX8330、140mm角、厚さ1.1mm)を用いた点のみ実験例1と異なり、他の点は実験例1と同様とし、電極基板(以下、「試料2」とも呼ぶ)を作製した。
<実験例3>
本例では、絶縁層14としては、低融点ガラスB(福田金属箔粉工業社製、珪酸亜鉛りん系)を用いた点のみ実験例1と異なり、他の点は実験例1と同様とし、電極基板(以下、「試料3」とも呼ぶ)を作製した。
<実験例4>
本例では、基材10として、高歪点ガラスに代えて耐熱ガラス(SCHOTT社製:TEMPAX8330、140mm角、厚さ1.1mm)を用いた点のみ実験例3と異なり、他の点は実験例3と同様とし、電極基板(以下、「試料4」とも呼ぶ)を作製した。
<実験例5>
本例では、絶縁層14としては、低融点ガラスC(福田金属箔粉工業社製、硼酸ビスマス系)を用いた点のみ実験例1と異なり、他の点は実験例1と同様とし、電極基板(以下、「試料5」とも呼ぶ)を作製した。
<実験例6>
本例では、基材10として、高歪点ガラスに代えて耐熱ガラス(SCHOTT社製:TEMPAX8330、140mm角、厚さ1.1mm)を用いた点のみ実験例5と異なり、他の点は実験例5と同様とし、電極基板(以下、「試料6」とも呼ぶ)を作製した。
実験例1〜実験例6で用いた基材10と絶縁層14それぞれの材料および熱膨張率については、表1に纏めて示す。表1において、αは「基材の熱膨張率」を、βは「絶縁層の熱膨張率」を、○印は「損傷なし」を、×印は「損傷あり(Ag配線まで達する亀裂発生)」を、それぞれ表す。また、「β/α」欄から明らかなように、実験例1、3、5が本発明に係る関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たす事例であるのに対して、残りの実験例2、4、6はこの関係式から外れた事例である。
Figure 2008192427
各実験例により得た電極基板(試料1〜6)を光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、表1の「配線保護特性」欄に示すように、本発明に係る関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たす実験例1、3、5により得た電極基板(試料1、3、5)では、絶縁層14にAg層まで達するような亀裂はなく、配線保護層として好ましい、緻密な絶縁層14が形成されていることが確認された。これに対して、本発明に係る関係式から外れた事例である実験例2、4、6により得た電極基板(試料2、4、6)では、絶縁層14にAg層まで達するような亀裂が発生することが分かった。
<評価1:電極の耐食性>
対極となる、厚さ50μmの絶縁樹脂シートをスペーサーとして介在させた状態で、表面に白金層とFTO膜とからなる電極が形成されたガラス基板12を用意し、各実験例により作製した電極基板(試料1〜6)のそれぞれに、配線形成面が対極方向を向くようにして重ね合わせ、両基板間にヨウ素電解液を注入した後、しばらく放置する。
上記工程1の後、外観検査を行った。その結果、緻密な保護層が形成されている3つのサンプル(試料1、3、5)では外観の変化が見られなかったのに対し、保護層に亀裂が生じたサンプル(試料2、4、6)ではヨウ素電解液浸透に伴い、銀回路に腐食が発生し、また、ヨウ素電解液の退色が見られた。
<評価2:素子の特性>
各実験例により得た電極基板(試料1〜6)を用いて色素増感太陽電池(光電変換素子)を作製し、特性評価を行った。素子の作製法、測定条件は以下の通りである。
(1)基板上に銀回路をなす金属配線層12を形成後、TiOナノ粒子を含むペーストをスクリーン印刷にて塗布し、乾燥後、500℃で焼結した。
(2)次に、配線保護層として働く絶縁層14を形成し、これをルテニウムビピリジン錯体(N719色素)のアセトニトリル/t−ブタノール溶液中に一昼夜以上浸漬して色素担持し、光電極とした。
(3)対極としては、白金層をスパッタ形成したTi箔を用意した。
(4)不活性ガスを充填した循環精製型グローブボックス内にて、光電極上にヨウ素電解質を展開し、対極と向き合わせて、両者を重ね合わせた後、周辺を紫外線硬化樹脂で封止した。
上記構成(1)〜(4)により、各実験例の電極基板(試料1〜6)を用いた色素増感太陽電池を得た。
その際、ヨウ素電解質としては、以下のものを用いた。
電解質Aは、「メトキシアセトニトリル中に0.5Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム ヨウ化物と0.05Mのヨウ素とを溶解し、さらに、適量のヨウ化リチウムと4−t−ブチルピリジンを加えたもの」である。
電解質bは、「1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ヨウ化物とヨウ素とを10:1のモル比で混合し、これに適量のN−メチルベンズイミダゾールとチオシアン酸グアニジニウムを加え、さらに、これに4wt%のSiOナノ粒子を配合し、十分に混練して擬固体状としたもの」である。
色素増感太陽電池の発電特性は、AM1.5,100mW/cmの擬似太陽光を照射して測定した。表2は、各実験例により得た電極基板(試料1〜6)を用いてなる色素増感太陽電池(光電変換素子)の発電特性を纏めたものである。
Figure 2008192427
表2より、以下の点が明らかとなった。
(イ)保護層に亀裂が生じていた電極基板(試料2、4、6)を用いた電池では、測定時に既に銀配線の腐食がはじまっており、集電機能が損なわれていたため内部抵抗が上がり、低出力となる。
(ロ)これに対して、緻密な配線保護層が形成された電極基板(試料1、3、5)を用いた電池は、良好な光電変換特性をもつ。
表2には掲載しないが、(配線)保護層に(連通)亀裂が生じていた電極基板(試料2、4、6)を用いた電池では、その後も時間の経過とともに、出力低下する傾向が認められた。
以上の評価結果より、基材10の熱膨張率αと絶縁層14の熱膨張率βとが、関係式「0.5≦(β/α)≦1.8」を満たす電極基板は、金属配線から電解液への漏電や金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制し、良好な発電特性を有する光電変換素子をもたらすことが確認された。
本発明の電極基板の第1例を示す断面図である。 金属配線層の平面形状の一例を示す部分平面図である。 本発明の電極基板の第2例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の一実施形態例を示す断面図である。 電極基板の一部を拡大して示した金属配線層の幅方向の断面図であり、(a)は本発明の関係式を満たす場合、(b)は本発明の関係式を満たさない場合である。
符号の説明
1 電極基板、2 酸化物半導体多孔膜、3 作用極、4 対極、5 電荷移送層、6 光電変換素子、10 基材、11 透明導電層、12 金属配線層、13 遮蔽層、14 絶縁層、21 亀裂、31 腐食。

Claims (6)

  1. 基材上に、透明導電層、金属配線層、及び前記金属配線層を被覆する絶縁層を順に重ねて配してなり、
    前記基材の熱膨張率をα、前記絶縁層の熱膨張率をβと定義した場合、前記βを前記αで除した値が0.5以上1.8以下であることを特徴とする電極基板。
  2. 前記絶縁層が、低融点ガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
  3. 前記低融点ガラスが、鉛元素を含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極基板。
  4. 前記基材が、高歪点ガラスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極基板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極基板を有することを特徴とする光電変換素子。
  6. 請求項5に記載の光電変換素子からなることを特徴とする色素増感太陽電池。
JP2007024604A 2007-02-02 2007-02-02 電極基板の製造方法、光電変換素子の製造方法、色素増感太陽電池の製造方法 Active JP5208431B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007024604A JP5208431B2 (ja) 2007-02-02 2007-02-02 電極基板の製造方法、光電変換素子の製造方法、色素増感太陽電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007024604A JP5208431B2 (ja) 2007-02-02 2007-02-02 電極基板の製造方法、光電変換素子の製造方法、色素増感太陽電池の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008192427A true JP2008192427A (ja) 2008-08-21
JP5208431B2 JP5208431B2 (ja) 2013-06-12

Family

ID=39752329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007024604A Active JP5208431B2 (ja) 2007-02-02 2007-02-02 電極基板の製造方法、光電変換素子の製造方法、色素増感太陽電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5208431B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010023860A1 (ja) * 2008-08-29 2010-03-04 新日鐵化学株式会社 色素増感太陽電池およびその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000044277A (ja) * 1998-07-24 2000-02-15 Central Glass Co Ltd 表示装置の絶縁性被膜形成材および表示装置
JP2000164142A (ja) * 1998-11-30 2000-06-16 Central Glass Co Ltd 表示装置の絶縁性被膜形成材および表示装置
JP2000285974A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Toshiba Corp 光増感型太陽光発電素子
JP2005078857A (ja) * 2003-08-28 2005-03-24 Fujikura Ltd 電極基板、光電変換素子、並びに色素増感太陽電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000044277A (ja) * 1998-07-24 2000-02-15 Central Glass Co Ltd 表示装置の絶縁性被膜形成材および表示装置
JP2000164142A (ja) * 1998-11-30 2000-06-16 Central Glass Co Ltd 表示装置の絶縁性被膜形成材および表示装置
JP2000285974A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Toshiba Corp 光増感型太陽光発電素子
JP2005078857A (ja) * 2003-08-28 2005-03-24 Fujikura Ltd 電極基板、光電変換素子、並びに色素増感太陽電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010023860A1 (ja) * 2008-08-29 2010-03-04 新日鐵化学株式会社 色素増感太陽電池およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5208431B2 (ja) 2013-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5008841B2 (ja) 電極基板の製造方法、光電変換素子および色素増感太陽電池
JP5101038B2 (ja) 電極基板の製造方法、電極基板の評価方法
JP5184548B2 (ja) 光電変換素子用電極基板の製造方法、および光電変換素子の製造方法
JP4515061B2 (ja) 色素増感太陽電池の製造方法
JPWO2009069551A1 (ja) 光電変換素子用電極基板
WO2004032274A1 (ja) 電極基板、光電変換素子、導電性ガラス基板およびその製造方法、並びに色素増感太陽電池
JP2006236960A (ja) 色素増感太陽電池及びその製造方法
JP5144986B2 (ja) 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール
JP2004164970A (ja) 電極基板および光電変換素子
JP5465783B2 (ja) 色素増感太陽電池用電極及びその製造方法、並びに色素増感太陽電池
JP5284296B2 (ja) 色素増感太陽電池
JP5208431B2 (ja) 電極基板の製造方法、光電変換素子の製造方法、色素増感太陽電池の製造方法
JP5095148B2 (ja) 作用極用基板及び光電変換素子
JP5198490B2 (ja) 電極基板を有する光電変換素子
WO2013114733A1 (ja) 光電変換素子モジュール
WO2012117995A1 (ja) 光電変換素子および光電変換素子モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130220

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5208431

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250