JP2008190728A - 工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造およびこれに使用するプレキャスト耐火物ブロック - Google Patents

工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造およびこれに使用するプレキャスト耐火物ブロック Download PDF

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Abstract

【課題】断熱性向上のためにシリカ微粒子主材の断熱シートを使用した、不定形耐火物を含む内張り構造において、内張りの補修によっても断熱性を損なわない構造の提供。
【解決手段】ウェアライニング1の背面にパーマネントライニング2を設けると共に、ウェアライニング1を不定形耐火物とした工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造において、パーマネントライニング2としてプレキャスト耐火物ブロックを使用し、且つシリカ微粒子主材の微孔性成形体を合成樹脂でラミネート被覆したアルミニウム箔によって包囲密封してなる断熱シート4を、プレキャスト耐火物ブロック2に埋設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、補修時において不定形耐火物を補修材とする継ぎ足し施工が行われる、工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造と、この内張り構造に使用するプレキャスト耐火物ブロックに関する。
鉄鋼工業炉、非鉄金属工業炉、化学工業炉、焼却炉、窯業用炉等の工業窯炉またはその付帯設備における内張りとして、ウェアライニングとその背面に設けたパーマネントライニングよりなる多層の内張り構造が知られている。この多層の構造は、内張りの損耗が特に激しい溶融金属炉あるいは溶融金属樋に多く採用されている。
これらの工業窯炉またはその付帯設備において、鉄皮赤熱防止あるいは炉熱損失防止には、内張りの厚さを大きくし、その断熱性の向上を図ることが有効である。しかし、内張りの厚さが大きいと内容積が低減し、工業窯炉またはその付帯設備の能力が低下する。
そこで、内張りへの断熱性シートの介在が提案されている。例えば、パーマネントライニングの背面に対する断熱性シートの介在(特許文献1)、パーマネントライニングを炉壁の厚さ方向に二層とし、パーマネントライニングの層間への断熱性シートの介在(特許文献2)、さらにはウェアライニングとパーマネントライニングとの間への断熱性シートを介在(特許文献3)である。
ここで使用される断熱性シートは、その材質が断熱性に特化されていることで内張り材に比べて高断熱性を備えており、その分、薄肉である。その結果、実質的に内張りの厚さを増すことなく断熱性の向上を図ることができる。
前記断熱性シートとして、シリカ微粒子主材の微孔性成形体よりなる断熱性シートが知られている。ここでのシリカ微粒子の粒子径は、50nm以下である。このシリカ微粒子を主材とした配合物を加圧し、密度200〜600kg/m程度に成形して得られ、一定の耐熱性を備えると共に、その微孔性組織によって優れた断熱性を発揮する。
特開2000−226611号公報 特開平4−100672号公報 特開平9−234557号公報
工業窯炉またはその付帯設備の内張りは、煉瓦積みと不定形耐火物施工とに大別される。施工の容易性・迅速性・材料費の面から、近年は不定形耐火物施工が主流である。ウェアライニングとその背面に設けたパーマネントライニングよりなる多層の内張り構造において、ウェアライニングをこの不定形耐火物とした場合、内張りが損耗によって残り少なくなるとパーマネントライニングを残し、ウェアライニングに対し、不定形耐火物による補修材をもって継ぎ足し施工が行われる。
前記の多層の内張り構造においてその断熱性の向上を図るため、本発明者らは、シリカ微粒子主材の微孔性成形体よりなる断熱性シートの使用を試みた。しかし、期待するだけの断熱性の効果が得られなかった。
前述のとおり多層の内張り構造においては、内張りの損耗が進むと不定形耐火物による補修材をもってウェアライニングに対し継ぎ足し施工が行われる。シリカ微粒子主材の微孔性成形体よりなる断熱性シートは、前記継ぎ足し施工の際の施工水分と接触すると、シリカ微粒子の吸湿作用によって断熱性シートの微孔性組織が崩壊し、微孔が閉塞し、その断熱効果が損なわれる。
断熱性シートは耐食性・耐熱性において劣るため、一般にパーマネントライニングの背面に設けられるが、補修材としての不定形耐火物に多量に添加された施工水分がパーマネントライニングの目地、亀裂等を通過してパーマネントライニング背面に到達し、断熱性シートの微孔性組織を破壊する。
本発明は、シリカ微粒子主材の断熱シートを使用した、不定形耐火物を含む内張り構造において、内張りの補修によっても断熱性を損なわない構造の提供を課題とする。
本発明は、工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造であって、その特徴とするところは、ウェアライニングの背面にパーマネントライニングを設けると共に、前記ウェアライニングを不定形体耐火物とした工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造において、前記パーマネントライニングとしてプレキャスト耐火物ブロックを使用し、且つ合成樹脂をラミネート被覆したアルミニウム箔によってシリカ微粒子主材の微孔性成形体を包囲密封してなる断熱シートを、前記プレキャスト耐火物ブロックに埋設してなることにある。
シリカ微粒子主材の微孔性成形体よりなる断熱性シートにおいて、原料のシリカ微粒子の主成分であるSiOの結合組織は以下のとおりである。水分子がこのSiOの結合組織に取り込まれるその吸湿作用により、微孔性成形体組織が崩壊し、断熱性シートの断熱性が低下する。
Figure 2008190728
断熱性シートと水分との接触を避けるためには、断熱性シートに対する撥水剤の塗布、あるいは防水被膜による包囲が考えられる。しかし撥水剤の塗布は、内張り施工後に行われる炉の加熱乾燥、予熱あるいは炉稼動による高温を受けて容易に熱消失し、内張り補修時にはその効果が無い。防水被膜よる包囲は、例えば合成樹脂シートによる包囲が考えられるが、撥水剤の場合と同様、高温下で容易に熱消失し、その機能を発揮しない。
本発明は、以上の問題解決のために、まず、炉壁内張りのパーマネントライニングにプレキャスト耐火物ブロックを使用する。プレキャスト耐火物ブロックは予めブロック状に施工した耐火物である。炉壁に直接流し込みされる不定形耐火物と区別される。予め施工することでバラツキのない安定した品質が得られる。
プレキャスト耐火物ブロックあるいはこれをパーマネントライニングとして使用すること自体は既に知られている。本発明においては、パーマネントライニングにプレキャスト耐火物ブロックを使用した前記内張り構造において、合成樹脂をラミネート被覆したアルミニウム箔によってシリカ微粒子主材の微孔性成形体を包囲密封してなる断熱シートを、前記のプレキャスト耐火物ブロックに埋設する。
プレキャスト耐火物ブロックに対する断熱シートの埋設は、例えばプレキャスト耐火物ブロックの流し込み施工時に行う。その際、耐火物に添加される施工水が自ずと断熱シートに接触する。しかし、断熱シートは合成樹脂でラミネート被覆したアルミニウム箔をもって包囲密封されていることにより、施工水との直接の接触が防止される。
プレキャスト耐火物ブロックの材質は、粗粒、微粒に粒度調整された耐火性原料が主材である。流し込み施工の際は、施工組織の緻密化のために振動が付与される。耐火性原料は振動を受けると振動突起物となる。断熱シートの包囲が仮にアルミニウム箔のみとした場合、この振動突起物で包囲は破損あるいは穿孔を生じ、施工水を阻止する効果が無い。これに対し、本願発明ではアルミニウム箔が合成樹脂によるラミネート被覆で補強されており、こうした問題も無い。
プレキャスト耐火物ブロックは施工後、さらには内張りとして炉壁に組み込まれた後、通常、加熱乾燥される。その温度は300〜700℃程度である。断熱シートのアルミニウム箔のラミネート被覆がこの加熱乾燥時に熱消失する。また、プレキャスト耐火物ブロックの加熱乾燥後の冷却に伴って水蒸気からの水滴がプレキャスト耐火物ブロック内部に発生する。水滴は断熱シート本体の微孔性成形体の組織破壊の原因となる。しかし、ラミネート被覆は熱消失しても金属であるアルミニウム箔はこの加熱乾燥において残存し、断熱シート本体の微孔性成形体に対する前記水滴の接触を阻止することができる。
本発明の内張り構造は、プレキャスト耐火物ブロックをパーマネントライニングとして使用する。ウェアライニングの継ぎ足し施工に補修材として使用される不定形耐火物は、施工に必要な流動性および付着性を付与するために、相当量の施工水が添加される。ウェアライニングの継ぎ足し施工の際、この補修材の施工水が、ウェアライニングの亀裂あるいは損傷部分からパーマネントライニングに到達する。施工水の一部は、さらにパーマネントライニングの背面にも回り込む。
断熱シートを包囲するアルミニウム箔も、工業窯炉またはその付帯設備の繰り返しの稼動によって損傷あるいは酸化し、その密封機能が不十分になることが懸念される。しかし、断熱シートは、プレキャスト耐火物によって包囲されていることにより、ウェアライニングの継ぎ足し施工の際、補修材の施工水がパーマネントライニングに到達しても、その本体の微孔性成形体はプレキャスト耐火物中に埋設され、包囲されていることにより、施工水と接することもない。
これに対し、断熱シートを例えばパーマネントライニングの背面に設けた場合は、仮に合成樹脂でラミネート被覆したアルミニウム箔で包囲密封した断熱シートを使用したとしても、予備加熱あるいは使用時の高温によって熱消失あるいは損傷する。アルミニウム箔は合成樹脂と違って残存しやすいが、鉄皮とパーマネントライニング間の熱膨張差等の応力によって容易に損傷し、実質的な施工水阻止の効果は無い。
本発明は、断熱性向上のためにシリカ微粒子主材の断熱シートを使用した内張り構造において、断熱シートによる断熱性付与の効果をいかんなく発揮させることができる。
本発明で使用する断熱シートは、シリカ微粒子を主材とした微孔性成形体を本体とする。この微孔性成形体は市販品からも求めることができる。
微孔性成形体のシリカ微粒子の粒子径は50nm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜30nmである。この粒子径のシリカ微粒子は、例えば四塩化珪素を酸水素焔中で高温加水分解して得られる。また、フェロシリコンや金属シリコンを製造する際に発生する排ガスから捕集される非結晶の揮発シリカを使用することができる。
シリカ微粒子以外の組成としては、必要により添加する例えば熱線反射材、耐熱性繊維、結合剤等である。熱線反射材の具体例は酸化チタン、酸化ジルコニウム等である。耐熱性繊維の具体例はガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、鉱物繊維等である。結合剤の具体例は合成樹脂、糊料、粘土類等である。これらの熱線反射材、耐熱性繊維、結合剤等の配合量は、微孔性成形体の配合物に占める割合において、合計量で例えば30質量%以下が好ましい。
微孔性成形体は以上の配合物をシート状に加圧して得られる。断熱性付与のために成形体形成時の加圧力は、成形体の密度が200〜500kg/m程度になるように調整する。微孔性成形体の厚さは例えば1〜10mmとする。
微孔性成形体を包囲密封には、合成樹脂でラミネート被覆したアルミニウム箔を使用する。ラミネート被覆の方法は従来から種々知られており、特に限定されるものではない。アルミニウム箔の厚さは200μm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜100μmである。合成樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、ポリウレタン等である。被覆には、例えば接着剤を用いて合成樹脂フィルムを貼り合わせる。また、液状の合成樹脂をアルミニウム箔に塗布した後に硬化させる。また、融点の低い合成樹脂フィルムを介して合成樹脂フィルムを張り合わせた後、加熱して融点の低い合成樹脂フィルムを溶融して接着させる。アルミニウム箔に対する十分な補強のために、ラミネート被覆はアルミニウム箔の両面に施すことが好ましい。なお、このラミネート被覆のアルミニウム箔についても、市販品より求めることができる。
合成樹脂でラミネート被覆したアルミニウム箔で包囲密封後は、密封内部を減圧し、真空パックにすることが好ましい。真空パックにより、断熱シートが嵩張らす、また断熱シート取り扱い中にアルミニウム箔が破れ難い。
このラミネート被覆した断熱シートの寸法は、プレキャスト耐火物ブロックの厚さ等に合わせて適宜決定する。断熱シートの厚さは断熱性付与の面から、例えば1〜15mmが好ましい。また、プレキャスト耐火物ブロックの厚さに占める割合で好ましくは1〜30%、さらに好ましくは1〜15%である。断熱シートは多孔質組織であり、強度および耐食性に劣るため、プレキャスト耐火物ブロックの厚さに占める断熱シートの厚さが大き過ぎると、プレキャスト耐火物ブロックにパーマネントライニングとして必要な強度および耐食性が不足し、好ましくない。
プレキャスト耐火物ブロックの厚さ方向に断熱シートを複数枚重ねて埋設してもよい。これにより、比較的薄い断熱シートをもって断熱シート全体としての厚さを増すことができる。また、幅広のプレキャスト耐火物ブロックに対しては、その幅方向に間隔をもって複数埋設してもよい。
プレキャスト耐火物ブロックの材質とその製造方法は従来技術と特に変りない。粗粒、微粒に適宜粒度調整された耐火性原料にアルミナセメント等の結合剤、流動性付与のための分散剤、必要により添加される繊維類、硬化促進剤、硬化遅延剤、金属粉末、耐火性超微粉等を添加し、施工水を添加して混練後、型枠に流し込んで成形する。前記の耐火性原料には、耐火物廃材を使用してもよい。プレキャスト耐火物ブロック自体にも適度な断熱性を付与する場合は、その耐火性原料の粒度、原料種類等をもって調整する。
断熱シートのプレキャスト耐火物ブロックに対する埋設は、プレキャスト耐火物ブロックの流し込み施工の際に行うことができる。例えば混練後のプレキャスト耐火物の配合物を型枠内に一定の高さまで投入し、その上に断熱シートを敷き詰めた後、残りの配合物を投入する。次いで、振動を付与して型枠内の配合物全体の充填を図る。プレキャスト耐火物ブロックは成形後、養生し、型枠を外してさらに乾燥する。
プレキャスト耐火物ブロックはパーマネントライニングとして使用する。内張りの施工においては、鉄皮の内側にプレキャスト耐火物ブロックを配置させる。ウェアライニングの施工は、パーマネントライニングとしてのプレキャスト耐火物ブロックの内側にウェアライニングの厚さの相当する幅をとって型枠を設置し、プレキャスト耐火物と型枠との間に不定形耐火物を流し込み施工する。施工後は型枠を取外し、乾燥させる。
ウェアライニングに使用する不定形耐火物についても、その材質は特に限定されない。粗粒、微粒に適宜粒度調整された耐火性原料にアルミナセメント等の結合剤、流動性付与のための分散剤、必要により添加される繊維類、硬化促進剤、硬化遅延剤、金属粉末、耐火性超微粉等を添加し、施工水を添加して混練後、型枠に流し込む。前記の耐火性原料には、耐火物廃材を使用してもよい。流し込みの際には振動を付与して充填を図る。流し込み後は養生、乾燥を行う。
本発明は以上のように、不定形耐火物のウェアライニングの背面に、プレキャスト耐火物ブロックよりなるパーマネントライニングを設けた内張りの他に、さらに、ウェアライニングの背面に煉瓦積みよりなる準パーマネントライニングを設けた構造も対象となる。すなわち、ウェアライニングの背面に準パーマネントライニング、さらにその背面にパーマネントライニングを設けると共に、前記の準パーマネントライニングを煉瓦積み、ウェアライニングを不定形体耐火物とした工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造において、前記パーマネントライニングとしてプレキャスト耐火物ブロックを使用し、且つ合成樹脂をラミネート被覆したアルミニウム箔によってシリカ微粒子主材の微孔性成形体を包囲密封してなる断熱シートを、前記プレキャスト耐火物ブロックに埋設してなる内張り構造である。
煉瓦積みの準パーマネントライニングを設けたこの内張り構造では、不定形耐火物によるウェアライニングに対する継ぎ足し施工の際、補修材の不定形耐火物の施工水が煉瓦積みの煉瓦目地を通してパーマネントライニングに到達する。本発明では断熱シートがパーマネントライニングのプレキャスト耐火物ブロックに埋設されており、この内張り構造においても、補修材の不定形耐火物の施工水が断熱シートに接触することはなく、本発明の効果が発揮される。
ウェアライニング補修時の継ぎ足し施工の方法は、損耗後のウェアライニングの内面に、補修厚みに見合う間隔をもって型枠を設置し、ウェアライニング損耗面と型枠との間に補修材としての不定形耐火物を流し込む。施工後は型枠を取り外す。補修材となる不定形耐火物の材質は、前記したウェアライニングの不定形耐火物と同様のもので足りる。また、吹付け施工による継ぎ足しであってもよい。流し込み施工、吹付け施工いずれの場合も、補修材となる不定形耐火物には外掛けで5〜15質量%程度の施工水が添加され、混練後、施工される。
この内張りが施される工業窯炉とその付帯設備の具体例としては、鉄鋼工業炉、非鉄金属工業炉、化学工業炉、焼却炉、廃棄物溶融炉、窯業用炉、溶銑樋である。特に、鉄鋼工業炉においてウェアライニングの補修が繰り返される溶鋼取鍋、混銑車あるいは高炉出銑樋等への適用が好ましい。内張りの部位としては、側壁に限らず、底部も対象となる。また、これら工業窯炉とその付帯設備は、水冷盤等の冷却装置が備えられたものでもよい。
以下、模式図をもって本発明実施例とその比較例を示す。図はいすれも溶融金属容器内張りの要部縦断面である。
(実施例1)
図1の実施例1における内張り構造は、容器の内側から順に、ウェアライニングとしての不定形耐火物1、その背面に位置するパーマネントライニングとしてのプレキャスト耐火物ブロック2よりなる。不定形耐火物1はアルミナ−マグネシア質、プレキャスト耐火物ブロック2はアルミナ質である。プレキャスト耐火物ブロック2の背面には容器の外殻となる鉄皮3が位置する。
プレキャスト耐火物ブロック2には断熱シート4を埋設している。それぞれの厚さは、プレキャスト耐火物ブロック2が50mmに対し、断熱シート4が3mmである。断熱シート4は、シリカ微粒子主材の微孔性成形体を、ポリエチレンシートで両面をラミネート被覆した厚さ25μmのアルミニウム箔により、真空パックをもって包囲密封したものである。
この実施例では、プレキャスト耐火物ブロック2内において、断熱シート4の埋設位置はプレキャスト耐火物ブロック2の背面側に位置させている。パーマネントライニングは、ウェアライニングの溶損が進行した際、パーマネントライニングの存在で溶融金属漏れを防止する等の役割をもつ。すなわち、ウェアライニングのバックアップ材の一端を担っている。ここで断熱シート4の埋設位置をプレキャスト耐火物ブロック2の背面側に位置させたのは、内張りの損耗は容器の内面側から進行するので、耐食性に劣る断熱シート4を容器内面から可能な限り距離を持たせるためである。
断熱シート4は多孔質組織のために機械的強度に劣る。したがって断熱シート4の埋設位置ではプレキャスト耐火物ブロック2の強度が低下する。炉熱によって内張りが熱膨張応力を受け、プレキャスト耐火物ブロック2は長期の使用で熱膨張収縮が繰り返されると、断熱シート4の埋設位置の圧壊が懸念される。プレキャスト耐火物ブロック2内における断熱シート4は、ここでの実施例では上下方向に間隔を開けて複数配置したことにより、隣接する断熱シート4同士の間の耐火物組織が支柱となり、断熱シート4の埋設位置の圧壊を防止する効果がある。
同実施例では示していないが、断熱シート4に複数個の透孔を設けてもよい。プレキャスト耐火物ブロック2に埋設後にはこの透孔に耐火物が充填され、これが支柱となって断熱シート4の圧壊防止の効果がある。また、さらなる断熱性の向上を図るために、プレキャスト耐火物ブロック2の厚さ方向に断熱シート4を複数枚、埋設してもよい。その際、断熱シート4同士は密着させても良いし、間隔を空けて間に耐火物が充填されるようにしてもよい。
プレキャスト耐火物ブロック2は予め施工したものを内張りするため、溶融金属容器全体のパーマネントライニングとした一体物として得ることは容易ではない。そこで、内張りに対して高さ方向および周方向に複数分割された状態で予め施工し、これを内張り現場に搬送し、大きなものではクレーン等の冶具を使用して内張りの所定の場所に設置するのが好ましい。
ウェアライニングの不定形耐火物1は200mmの厚さとした。図には示していないが、以上に加えて、例えばシリカ質ファイバーよりなる断熱板を不定形耐火物1とプレキャスト耐火物ブロック2との間、あるいはプレキャスト耐火物ブロック2と鉄皮3との間に介在させてもよい。シリカ質ファイバーよりなる断熱板は本発明で使用する断熱シートに比べて断熱効果に劣るが、その使用で内張りの断熱性は一層向上する。
(実施例2)
図2の実施例2は、準パーマネントライニングを設けた内張りである。準パーマネントライニングを設けた以外は実施例1と特段の差はない。溶融金属容器の内側から順に、ウェアライニングとしての不定形耐火物1、その背面に位置する準パーマネントライニングとしての煉瓦積み5、パーマネントライニングとしてのプレキャスト耐火物ブロック2よりなる。プレキャスト耐火物ブロック2の背面には容器の外殻となる鉄皮3が位置する。
煉瓦積み5を設けることで、実施例1での不定形耐火物1の厚さを小さくした。同実施例での不定形耐火物1の厚さは150mm、煉瓦積み5の厚さは50mmとした。
煉瓦積み5における煉瓦材質は、ここでは焼成アルミナ−シリカ質煉瓦とした。これに限らず、アルミナ質、シリカ質、マグネシア質、炭素質、炭化ケイ素質等の焼成煉瓦あるいは不焼成煉瓦を使用することができる。煉瓦積み5の目地6には、必要によっては耐火モルタルを介在させる。
以上の実施例1、2において、それに使用したプレキャスト耐火物ブロック2は、その施工時おいて、断熱シート4はポリエチレンシートで両面をラミネート被覆したアルミニウム箔の包囲密封により、微孔性成形体が施工水と接触することもなくプレキャスト耐火物ブロック2に埋設することができた。
各実施例の内張りは溶融金属容器の使用によって損耗が進むと、ウェアライニングを除去あるいは残存部を残し、不定形耐火物による補修材をもって継ぎ足し施工を繰り返した。その補修の際、補修材の不定形耐火物の施工水が相当量、プレキャスト耐火物ブロック2と接触した。しかし、後日の内張りの解体後の観察から、プレキャスト耐火物ブロック2に埋設された断熱シート4は、継ぎ足し施工による施工水の影響を受けることなく、断熱性を保持していた。
その結果、各実施例の内張りは優れた断熱性を長期にわたって持続した。具体的には、5回の補修を繰り返した後の、鉄皮からの放散熱量は4008kcal/(m・Hr)であった。
(比較例)
図3は比較例である。プレキャスト耐火物ブロック2の背面に断熱シート4を設けた。プレキャスト耐火物ブロック2、不定形耐火物1の材質は実施例1と同じとした。断熱シート4は、これも実施例1と同様のものであり、シリカ微粒子主材の微孔性成形体を、ポリエチレンシートで両面をラミネート被覆した厚さ25μmのアルミニウム箔により、真空パックをもって包囲密封したものである。
同比較例の内張り構造は、内張りを補修するまでの間は十分な断熱性を発揮していたが、継ぎ足し施工によるウェアライニングの補修後は、断熱性が低下した。これは、継ぎ足し施工時において、補修材の不定形耐火物の施工水がプレキャスト耐火物ブロック2の目地を通って、プレキャスト耐火物ブロック2の背面に位置する断熱シート4に到達し、断熱シート4の微孔性成形体の組織を破壊したことによる。1回目の継ぎ足し施工後、鉄皮3からの放散熱量は5612kcal/(m・Hr)となり、断熱性が大きく低下し、鉄皮3にそれが原因した赤熱による変形がみられた。
本発明の実施例1における溶融金属容器内張りの要部縦断面である。 本発明の実施例2における溶融金属容器内張りの要部縦断面である。 比較例における溶融金属容器内張りの要部縦断面である。
符号の説明
1 不定形耐火物(ウェアライニング)
2 プレキャスト耐火物ブロック(パーマネントライニング)
3 鉄皮
4 断熱シート
5 煉瓦積み(準パーマネントライニング)
6 目地

Claims (5)

  1. ウェアライニングの背面にパーマネントライニングを設けると共に、前記ウェアライニングを不定形体耐火物とした工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造において、前記パーマネントライニングとしてプレキャスト耐火物ブロックを使用し、且つ合成樹脂をラミネート被覆したアルミニウム箔によってシリカ微粒子主材の微孔性成形体を包囲密封してなる断熱シートを、前記プレキャスト耐火物ブロックに埋設してなる工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造。
  2. ウェアライニングの背面に準パーマネントライニング、さらにその背面にパーマネントライニングを設けると共に、前記の準パーマネントライニングを煉瓦積み、ウェアライニングを不定形体耐火物とした工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造において、前記パーマネントライニングとしてプレキャスト耐火物ブロックを使用し、且つ合成樹脂をラミネート被覆したアルミニウム箔によってシリカ微粒子主材の微孔性成形体を包囲密封してなる断熱シートを、前記プレキャスト耐火物ブロックに埋設してなる工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造。
  3. プレキャスト耐火物ブロックに埋設した断熱シートが、プレキャスト耐火物ブロックの厚さ方向に対し、工業窯炉またはその付帯設備の内張りの背面側寄りに位置する請求項1または2記載の工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造。
  4. 断熱シートの厚さが、1〜15mmで且つプレキャスト耐火物ブロックの厚さに占める割合で1〜30%とした請求項1、2または3記載の工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造。
  5. 請求項1、2、3または4記載の工業窯炉またはその付帯設備の内張り構造に使用されるプレキャスト耐火物ブロック。
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