JP2008190477A - エンジンの空燃比制御装置及びハイブリッド車の制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置及びハイブリッド車の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒が新品状態にあろうと触媒が劣化状態にあろうといずれの場合にもエンジン始動時のNOx排出量を低減し得るエンジンの空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒(3)と、触媒上流に設置したフロント空燃比センサ(4)と、このフロント空燃比センサ(4)の出力に基づいて触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段(6)とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定する触媒状態判定手段(6)と、この判定結果により、触媒の各状態に合わせて、エンジン始動時の空燃比制御を行うエンジン始動時空燃比制御手段(6)とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明はエンジン(内燃機関)の空燃比制御装置及びハイブリッド車の制御装置、特にエンジン始動時やエンジン再始動時におけるNOx対策に関するものである。
排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えるエンジンの空燃比制御装置がある(特許文献1参照)。
特開2006−2579号公報
ところで、ハイブリッド車は、エンジンとモータとを駆動源とし、走行中に所定の条件が成立したときエンジンを停止し、他の所定の条件が成立したときエンジンを再始動させるものであるが、上記特許文献1に記載のエンジンをこのハイブリッド車用のエンジンとして適用したとき、エンジン停止後のエンジン再始動時にNOx対策として触媒の酸素ストレージ量を中立状態にするようにエンジンの空燃比制御を行う必要がある。エンジン停止後のエンジン再始動時にNOx対策が必要となる理由は、NOxの浄化のためには触媒により酸素を奪うこと(還元)であるが、エンジン再始動時の燃料噴射開始前のエンジン空回しによって触媒に吸入空気中の酸素が多量に吸着され、飽和状態に近い酸素を吸着している触媒ではNOxから酸素を奪う余地がなくなり、つまりNOxを還元できなくなり、還元されないNOxがそのまま触媒下流に排出されてしまうためである。従って、一回のエンジン再始動時のNOx排出量は少なくても、エンジン停止とエンジン再始動とが頻繁に繰り返される条件では、無視できないほどNOx排出量が多くなってしまう。
そこで本発明者が、今回、エンジン再始動時のNOx排出量の特性を解析してみたところ、触媒が新品状態にあるのかそれとも触媒が劣化状態にあるのかによって触媒の酸素ストレージ量が変化するため、エンジン再始動時のNOx対策としての空燃比制御への要求が、触媒が新品状態にあるのかそれとも触媒3が劣化状態にあるのかによって異なることが新たに判明した。
そこで本発明は、触媒が新品状態にあろうと触媒が劣化状態にあろうといずれの場合にもエンジン始動時のNOx排出量を低減し得るエンジンの空燃比制御装置及びハイブリッド車の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、エンジン始動時の空燃比制御を行うように構成する。
また、本発明は、エンジンとモータとを駆動源とし、走行中に所定の条件が成立したときエンジンを停止し、他の所定の条件が成立したときエンジンを再始動させるハイブリッド車において、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、前記エンジン再始動時の空燃比制御を行うように構成する。
本発明によれば、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、エンジン始動時の空燃比制御を行うので、触媒が新品状態にある場合と触媒が劣化状態にある場合の両方でエンジン始動時のNOx排出量を低減することができる。
ハイブリッド車では、運転条件によってはエンジン停止とエンジン再始動とが頻繁に繰り返されることがある。これに対応して本発明によれば、エンジンとモータとを駆動源とし、走行中に所定の条件が成立したときエンジンを停止し、他の所定の条件が成立したときエンジンを再始動させるハイブリッド車において、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、前記エンジン再始動時の空燃比制御を行うので、触媒が新品状態にある場合と触媒が劣化状態にある場合の両方とも、特にエンジン再始動が頻繁に行われる条件で、エンジン再始動時のNOx排出量を大きく低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はハイブリッド車に適用される本発明のエンジンの空燃比制御装置の概略構成を示している。エンジン1の排気管2には触媒3が設けられ、その上流にはリニアな特性のフロント空燃比センサ4、下流にはリア空燃比センサ5が設置され、これらセンサ出力に基づいてエンジン1に供給する燃料の空燃比を制御するコントローラ6が備えられる。
エンジン1の吸気管7にはスロットル弁8と、スロットル弁8により調整された吸入空気量を測定するエアフローメータ9が設けられる。
上記の触媒3はいわゆる三元触媒であって、触媒雰囲気が理論空燃比のときにNOx、HC、COを最大効率で浄化する。触媒3は触媒担体にセリア等の酸素ストレージ材で被覆されており、流入する排気の空燃比に応じて酸素を保持したり、放出したりする機能(酸素ストレージ機能)を有している。
上記のフロント空燃比センサ4は排気中の酸素濃度に応じたリニアな出力特性をもち、上記のリア空燃比センサ5はストイキの付近で2値的に切換わる特性をもっている。
また、エンジン1には冷却水の温度を検出する温度センサ10が取付けられ、エンジン1の運転状態と共に触媒3の活性化状態などを判定するため等に用いられる。
コントローラ6はマイクロプロセッサ、ROM、RAM、I/Oインターフェースなどで構成され、エアフローメータ9と、フロント空燃比センサ4の出力に基づいて触媒3の酸素ストレージ量を演算し、このストレージ量が目標値となるように空燃比をフィードバック制御する。
触媒3の酸素ストレージ量の演算は、触媒上流の排気空燃比とそのときの吸入空気量から推定する。まず、触媒上流の排気空燃比から換算して排気中の酸素の過剰または不足する割合である酸素過剰率を求める。酸素過剰率はストイキ(理論空燃比)のときをゼロとして、リーン側で正、リッチ側で負の値となる。
酸素過剰率とそのときの吸入空気量とから触媒3に吸収される酸素量または放出される酸素量が分かり、これを積算していくことで触媒3の酸素ストレージ量を推定できる。予め触媒3の最大酸素ストレージ量を実験等により確認しておき、例えばその半分の保持量を目標値として設定し、酸素ストレージ量がこの目標値と一致するように空燃比を制御するのである。
演算した酸素ストレージ量が目標値よりも少ないときは、目標空燃比をリーン側にして保持量を増やし、逆に目標値よりも多いときはリッチ側にして酸素ストレージ量を減らし、これらにより目標値に一致させる。
ただし、空燃比の目標値としては、エンジンの運転要求からも制御され、基本的にはストイキとなるようにフィードバック制御されるので、目標ストレージ量からのずれ分を修正するにしても、その修正量については運転性を悪化させない範囲に、ストイキに対しての修正幅が制限される。
また、演算誤差により、演算された酸素ストレージ量と実際の酸素ストレージ量との間にずれを生じるが、リア空燃比センサ5の検出する酸素濃度に基づいて、例えばエンジンの燃料カット時などに、燃料カットに移行してから所定のタイミングで演算した酸素ストレージ量のリセットを行い、ずれを修正する。
さて、図1に示したエンジン1と、図示しないモータとを駆動源とする実施形態のハイブリッド車では、車が停止したときや低い車速からの減速時にはエンジン1を自動的に停止して無駄になるエネルギーを削減する。発進時には、トルク特性の有利なモータで走行を開始し、そのご速やかにエンジン1を起動する。極く低い車速などのエンジン1にとって低効率の運転域では、エンジン1への燃料供給をカットしてエンジン1の駆動を停止する。つまり、モータのみで走行することになる。
実施形態のハイブリッド車ではこうした走行を行わせるようにしているため、エンジン停止後のエンジン再始動時にNOx対策として触媒3の酸素ストレージ量を中立状態(図5、図6の最下段参照)にするようにエンジンの空燃比制御を行う必要がある。エンジン停止後のエンジン再始動時にNOx対策が必要となる理由は、次の通りである。すなわち、NOxの浄化のためには触媒3により酸素を奪うこと(還元)であるが、エンジン再始動時の燃料噴射開始前のエンジン空回しによって触媒3に吸入空気中の酸素が多量に吸着され、飽和状態に近いほどの酸素を吸着している触媒3ではNOxから酸素を奪う余地がなくなり、つまりNOxを還元できなくなり、還元されないNOxがそのまま触媒3下流に排出される。この場合に、1回のエンジン再始動時のNOx排出量は小さくても、ハイブリッド車においてエンジン停止とエンジン再始動とが頻繁に繰り返される運転条件ともなると、その小さなNOx排出量にエンジン再始動の回数を掛けた量となり、NOx排出量が大きくなってしまうのである。
そこで今回、本発明者が実際の効果を確認する実験を行ってみたところ、触媒3が新品状態にあるのかそれとも触媒3が劣化状態にあるのかによって触媒3の酸素ストレージ量が変化するため、エンジン再始動時のNOx対策としての空燃比制御への要求が、触媒3が新品状態にあるのかそれとも触媒3が劣化状態にあるのかによって異なることが新たに判明した。
これについて図2〜図4を参照して説明すると、まず図2はエンジン再始動時に燃料供給を行うことなくエンジンを空回しした回転数(以下「エンジン空転回数」という。)と触媒3へ酸素吸着量の関係を示している。触媒3の新品時には図2実線で示したようにエンジン空転回数[rev]が大きくなるほど触媒3を多くの空気(酸素)が流れるため触媒3への酸素吸着量が増えてゆき飽和状態になると一定値に落ち着くのに対して、触媒3の劣化時には触媒3の酸素ストレージ能力が低くなるため、図2破線で示したようにエンジン空転回数を大きくして触媒3に多くの空気を流しても触媒3への酸素吸着量は低い値にとどまったままで触媒3への酸素吸着量が増えてゆくことがないことがわかる。
次に、図3は等始動時燃料増量率でのエンジン空転回数に対するNOx排出量(NOxの感度)の特性を示している。ここで、エンジン再始動に際しては所定のエンジン空回しの後の燃料噴射開始タイミングより、燃料供給量をステップ的に与えるのではなく、燃料供給量を徐々に増量して所定値に達するようにしており、そのときの燃料増量の傾きが始動時燃料増量率である。従って、始動時燃料増量率が大きくなるほど燃料増量の傾きが大きくなり、燃料噴射開始後に空燃比が早期にストイキを超えたリッチへと向かうことになる。これに対して、始動時燃料増量率が小さいと燃料増量の傾きが小さいため、燃料噴射開始後に空燃比がリッチに向かうのが遅れることとなる。図3は燃料噴射開始タイミングからの燃料増量の傾きを同じにしたときの特性であり、触媒3の新品時には図3実線で示したようにエンジン空転回数が増えるほどNOx排出量が増えていく。
これに対して、触媒3の劣化時には図3破線で示したようにエンジン空転回数が大きくなれば触媒3に流れる空気量が増えるものの、劣化した触媒3では酸素が実際には吸着されないので、空転回数を大きくしてもNOx排出量が増えないし、エンジン空転回数が大きくなるほど却ってNOx排出量が減っていることがわかる。エンジン空転回数が大きな領域でNOx排出量が減る理由は、エンジン空転回数を大きくすると、吸入負圧(スロットル弁8下流の吸気管圧力)が発達するため壁流燃料から吸気ポートやシリンダ内に蒸発してくる燃料分が多くなってシリンダ内の空燃比がリッチになり、これによってNOxの還元が可能となりNOx排出量が低下するためであると考えられる。しかしながら、触媒3の新品時にはエンジン空転回数が大きくなれば吸入空気量が増え、空気中の酸素を触媒3が吸着するため、NOx排出量が増加する。
このように、等始動時燃料増量率でも触媒3の新品時と触媒3の劣化時とでエンジン空転回数に対するNOx排出量の特性が大きく相違している。
次に、図4は始動時燃料増量率を変化させたときにNOx排出量がどうなるかのをまとめて示した特性である。図4実線に示したように、触媒3の新品時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが有る場合よりも、触媒3の新品時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが無い場合のほうがNOx排出量が小さくなる。また、図4破線に示したように、触媒3の劣化時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが無い場合のNOx排出量は、触媒3の新品時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが無い場合のNOx排出量と、触媒3の新品時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが有る場合のNOx排出量との間にあり、触媒3の劣化時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが有る場合になると、触媒3の新品時で燃料噴射開始前にエンジンの空回しが無い場合よりもNOx排出量が小さくなっている。
まとめると、図4より次のことがわかる。
〈1〉触媒新品時にはできるだけ燃料噴射開始前のエンジン空転回数を小さくしたほうが、つまりできるだけ燃料噴射開始前にエンジンを空回しさせないほうがNOx排出量が少なくなる。また、触媒新品時でエンジン空回し無しの場合に目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率を図示の所定値Aとしたとき、触媒新品時の始動時燃料増量率としては、できるだけこの所定値Aに近づけて設定することで、触媒新品時の目標NOx排出量を得つつ無駄な燃料消費を抑制できる。
〈2〉触媒劣化時には、触媒新品時と相違して、燃料噴射開始前にエンジンを空回ししないようにするよりもエンジンを空回りさせるほうがNOx排出量が少なくなる。また、触媒劣化時でエンジン空回し有りの場合に目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率を図示の所定値Bとしたとき、触媒劣化時の始動時燃料増量率としては、できるだけこの所定値Bに近づけて設定することで、触媒劣化時の目標NOx排出量を得つつ無駄な燃料消費を抑制できる。なお、所定値Bは所定値Aよりも小さくて済むことがわかる。
このように、触媒3が新品状態にあるか触媒3が劣化状態にあるかによってエンジン空転回数と始動時燃料増量率とを異ならせる必要があることがわかる。
そこで本発明は、エンジン再始動時のNOx排出量を抑制しつつ燃料消費も改善するため、触媒3が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、その判定結果に合わせたエンジン再始動時の空燃比制御を行うこととする。
これをさらに図5、図6を参照して説明すると、診断触媒診断パラメータ、エンジン停止フラグ、点火信号、燃料噴射信号、目標当量比、エンジン回転速度、酸素ストレージ量がどのように変化するのかを、図5はエンジン運転中について、図6はエンジン停止後のエンジン再始動時について示している。
図5に示したようにエンジン運転中(例えばt0からt1までの区間)に触媒診断により触媒3が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、診断パラメータを計算する。ここでは、診断パラメータの計算に代えて、触媒劣化フラグを設定する。すなわち、触媒診断が終了するt1のタイミングで触媒3が新品状態にあるときには触媒劣化フラグ=0、触媒3が劣化状態にあるときには触媒劣化フラグ=1とし、この触媒劣化フラグの値をエンジン停止後も消失しないように不揮発性メモリに保存しておく。
一方、図6に示したように、エンジン停止フラグが1よりゼロに切換わるエンジン再始動時(t3のタイミング)に、不揮発性メモリに記憶されている触媒劣化フラグの値をみて触媒3が新品状態にあるときには、t3での燃焼噴射開始からの目標当量比TFBYAの傾き(つまり始動時燃料増量率)を大きくし(図6第5段目の実線参照)、これに対してエンジン再始動時に触媒劣化フラグの値をみて触媒3が劣化状態にあるときにはt3での燃焼噴射開始からの目標当量比TFBYAの傾き(つまり始動時燃料増量率)を小さくする(図6第5段目の破線参照)。
なお、図6では、t3でエンジン停止を解除すると共に、即座に燃料噴射信号と点火信号をONにして燃料噴射と点火と開始するようにしており(図6第2段目、第3段目、第4段目参照)、燃料噴射開始前のエンジン空転期間を省略して示していないが、エンジン再始動時に触媒劣化フラグの値をみて触媒3が新品状態にあるときには、燃料噴射開始前のエンジン空転回数を少なくし、触媒3に流れる吸入空気量(従って酸素量)を減らす。
これに対して、エンジン再始動時に触媒劣化フラグの値をみて触媒3が劣化状態にあるときには、燃料噴射開始前のエンジン空転回数を、触媒3が新品状態にあるときよりも大きくする。
次に、図5、図6に示した制御内容を以下のフローチャートに従って詳しく説明する。
図7は燃料噴射許可フラグを設定するためのもので、Ref信号(クランク角の基準位置信号)の入力毎に実行する。4気筒エンジンで具体的に述べると、720°のクランク角区間に各気筒用の4つのRef信号が90°の間隔で発生するので、各気筒用のRef信号が入力する毎に実行する。
ステップ1ではエンジン停止フラグをみる。実施形態のハイブリッド車では車が停止したときや低い車速からの減速時にはエンジンを自動的に停止して無駄になるエネルギーを削減する。発進時には、トルク特性の有利なモータで走行を開始、そのご速やかにエンジンを起動する。極く低い車速などのエンジンにとって低効率の運転域では、エンジンへの燃料供給をカットしてエンジンの駆動を停止する。つまり、モータのみで走行することになる。実施形態のこうしたハイブリッド車における走行を行わせるため、エンジンを停止させる条件と、エンジンの再始動を許可する条件とが予め定められており、上記のエンジン停止フラグは、エンジンの再始動を許可する条件が非成立のとき1であり、エンジンの再始動を許可する条件が成立したときゼロとなるフラグである。
エンジン停止フラグ=1であるときにはエンジンの再始動が許可されていないので、そのまま今回の処理を終了する。エンジン停止フラグ=0であるときにはエンジンの再始動が許可されていると判断してステップ2に進み、前回のエンジン停止フラグをみる。前回にエンジン停止フラグ=1であったとき、つまり今回初めてエンジン停止フラグが1よりゼロに切換えられたとき(今回初めてエンジンの再始動が許可された、つまりエンジン再始動時)にはステップ2よりステップ3に進み、エンジン空転回数カウンタを起動する(カウンタ値CNT=0)。このエンジン空転回数カウンタはエンジン1のクランキングを開始してからのエンジン空転回数を計測するためのものである。
本発明では、この空転回数カウンタ値CNTが、後述する所定回数(N1、N2)以上となったときに、燃料噴射を許可する構成であるので、エンジン空転回数カウンタを起動した当初はエンジン空転回数カウンタ値CNTが所定回数未満にあるので、ステップ4で燃料噴射許可フラグ=0(燃料噴射禁止)とする。
次回には今回、前回ともエンジン停止フラグ=0となる(続けてエンジンの再始動が許可されている)。このときには、ステップ1、2よりステップ5に進み、エンジン空転回数カウンタ値CNTをRef信号の入力の1つおきに1だけインクリメントする。これは、Ref信号はエンジン1回転(クランク角で360°)当たりに2つ発生するので、Ref信号の入力の1つおきに1だけインクリメントすることで、カウンタ値CNTが燃料噴射開始前にエンジンが空回る回数を表すことになるためである。
ステップ6では不揮発性メモリに記憶されている触媒劣化フラグの値をみる。触媒3が劣化しているか否かは、公知の方法により判定し、その結果を不揮発性メモリに記憶させておけばよい。そして、触媒劣化フラグはその判定結果に従い、触媒3に劣化が生じていないときにゼロとなり、触媒3に劣化が生じたときに1となるフラグである。
触媒劣化フラグ=0であるとき(触媒新品時)にはステップ7に進み、ステップ5でインクリメント済みのエンジン空転回数カウンタ値CNTと第1所定回数N1とを比較する。第1所定回転数N1は触媒新品時のエンジン空転回数を定める値である。触媒新品時には、図3で前述のようにエンジン空転回数が増えるほどNOx排出量が増えるので、第1所定回数N1としては、触媒新品時の目標NOx排出量が得られるように小さな値(例えばゼロに近い値)を設定(予め適合)しておく。エンジン空転回数カウンタ値CNTが第1所定回数N1未満であるときにはステップ4に進み、ステップ4の操作を実行する。ステップ5でのエンジン空転回数カウンタ値CNTのインクリメントを繰り返すと、やがてステップ5でのエンジン空転回数カウンタ値CNTが第1所定回数N1以上となる。このときにはステップ7よりステップ8に進んで燃料噴射許可フラグ=1とする。この後は、ステップ1、2、5、6、7、8と流れ、ステップ8の操作が繰り返されることになり、燃料噴射許可フラグ=1が継続される。
一方、ステップ6で触媒劣化フラグ=1であるとき(触媒劣化時)にはステップ9に進み、ステップ5でインクリメント済みのエンジン空転回数カウンタ値CNTと第2所定回数N2とを比較する。第2所定回数N2は触媒劣化時のエンジン空転回数を定める値である。触媒劣化時には図3で前述のようにエンジン空転回数が大きくなってもNOx排出量が増えることがなく却って減少するので、第2所定回数N2としては第1所定回数N1より大きな値を設定しておく。また、第1所定回数N1と同様に、触媒劣化時の目標NOx排出量が得られるように第2所定回数N2としての値を設定(予め適合)しておく。
エンジン空転回数カウンタ値CNTが第2所定回数N2未満であるときにはステップ4に進み、ステップ4の操作を実行する。ステップ5でのエンジン空転回数カウンタ値CNTのインクリメントを繰り返すと、やがてステップ5でのエンジン空転回数カウンタ値CNTが第2所定回数N2以上となる。このときにはステップ9よりステップ8に進んで燃料噴射許可フラグ=1とする。この後は、ステップ1、2、5、6、9、8と流れ、ステップ8での操作が繰り返されることになり、燃料噴射許可フラグ=1が継続される。
図示しないフローでは、このようにして設定される燃料噴射許可フラグがゼロのとき燃料噴射と点火を禁止し、燃料噴射許可フラグがゼロより1へと切換えられたタイミングより燃料噴射を開始し、点火を実行する。
図8(A)、図8(B)は始動時目標当量比を演算するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ11では燃料噴射許可フラグ(図7のフローにより設定済み)をみる。燃料噴射許可フラグ=0であるときには燃料噴射が禁止されているので、そのまま今回の処理を終了する。燃料噴射許可フラグ=1であるときにはステップ12に進み、前回の燃料噴射許可フラグをみる。前回に燃料噴射許可フラグ=0であったとき、つまり今回初めて燃料噴射許可フラグがゼロより1に切換えられたとき(燃料噴射開始時)にはステップ12よりステップ13に進み、目標当量比TFBYAに初期値を入れる。初期値としては、例えばゼロ以上1.0未満の値を予め適合して設定しておく。簡単にはゼロでよい。
次回には今回、前回とも燃料噴射許可フラグ=1となる。このときには、ステップ11、12よりステップ14に進み、図7のステップ6と同様に、不揮発性メモリに記憶されている触媒劣化フラグの値をみる。触媒劣化フラグ=0であるとき(触媒新品時)にはステップ15〜24に進み、触媒劣化フラグ=1(触媒劣化時)であるときには図8(B)のステップ25〜34に進む。ステップ15〜24は触媒新品時の始動時目標当量比を演算する部分、ステップ25〜34は触媒劣化時の始動時目標当量比を演算する部分である。ここでは、先に触媒新品時の始動時目標当量比の演算を説明し、触媒劣化時の始動時目標当量比の演算を後で説明する。
ここで、始動時目標当量比とは、図6第5段目に示したように、触媒新品時にあっては燃料噴射開始タイミングであるt3からt5までの目標当量比のこと、触媒劣化時にあっては燃料噴射開始タイミングであるt3からt7までの目標当量比のこと、つまり目標当量比が1.0に落ち着くまでの目標当量比のことである。ただし、目標当量比TFBYAは従来より用いられているエンジン制御パラメータであるため、ここでも、従来より用いられている目標当量比とは別に始動時目標当量比を導入することはせず、始動時目標当量比も従来より用いられている目標当量比TFBYAに含めて扱うこととする。
ステップ15では、前回の目標当量比に第1所定値ΔTF1を加算した値を今回の目標当量比TFBYAとして、つまり次式により目標当量比TFBYAを第1所定値ΔTF1だけ増加する。
TFBYA=TFBYAn-1+ΔTF1 …(1)
ただし、TFBYAn-1:TFBYAの前回値、
ここで、第1所定値ΔTF1は触媒新品時の燃料噴射開始からの目標当量比の増加速度(触媒新品時の始動時燃料増量率)を定めている。ここで、第1所定値ΔTF1を大きくするほど、目標当量比TFBYAが1.0を超えて始動リッチ目標値RICH1に到達するまでの時間が早くなる、つまり空燃比がリッチになるまでの時間が短くなる。触媒新品時に燃料噴射開始からの空燃比を早期にリッチにする必要があるのは、触媒新品時に燃料噴射開始からの空燃比がリーンである期間が長引くほど触媒3へ酸素吸着量を増やすことになり、NOx排出量が増加してしまうためである。このため、第1所定値ΔTF1としては、触媒新品時の目標NOx排出量が得られるように設定する。
ステップ16では到達フラグ1(始動時にゼロに初期設定)をみる。到達フラグ1は後述するように目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1以上になったときに1にセットされるフラグである。今は到達フラグ1=0であるとしてステップ17に進み、ステップ15で得ている目標当量比TFBYAと触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1を比較する。ここで触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1としては、1.0より大きな値が設定されている。また、後述する触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2よりも大きな値が設定されている。このように、触媒新品時の始動リッチ目標値を触媒劣化時の始動リッチ目標値より大きくするのは、燃料噴射開始からの空燃比を早期にリッチにしたいためである。
ステップ17に進んできた当初は目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1に満たないので、そのまま今回の処理を終了する。次回以降も再始動許可フラグ=1であればステップ11、12、14、15、16、17と流れ、ステップ15の操作が繰り返される。これにより、目標当量比TFBYAが演算周期(10ms)当たり第1所定値ΔTF1ずつ大きくなってゆく。やがて、目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1以上になったときにはステップ17よりステップ18に進んで目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1以上になった、つまり目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1に到達したことを表すため到達フラグ1=1とし、ステップ19で目標当量比TFBYAを触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1に制限し、ステップ20でタイマを起動する(タイマ値tm1=0)。このタイマは、目標当量比TFBYAが触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1以上になってからの経過時間を計測するためのものである。
ステップ18での到達フラグ1=1により次回にはステップ16よりステップ21に進むことになり、タイマ値tm1を演算周期だけインクリメントし、ステップ22でこのインクリメント後のタイマ値tm1と第1所定時間Δt1を比較する。第1所定時間Δt1は目標当量比TFBYAを触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1に維持する時間を定めるものである。ステップ22に進んできた当初はタイマ値tm1が第1所定時間Δt1未満であるので、そのまま今回の処理を終了する。ステップ21でのタイマ値tm1のインクリメントを繰り返すことによりタイマ値tm1が増加していきやがて第1所定時間Δt1以上になるとステップ22よりステップ23に進み目標当量比TFBYAを1とする(触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1より1へとステップ的に切換える)。このように、目標当量比TFBYAが始動リッチ目標値RICH1に到達したからといって即座に1へと切換えるのではなく、第1所定時間Δt1待って1へと切換えるようにしているのは、燃料噴射開始からの空燃比を確実にリッチにしたいためである。
ステップ24では次回のエンジン再始動時に備えるため到達フラグ1=0とする。このあとは図示していないが、目標当量比TFBYAが1.0に保持される、つまり空燃比がストイキ(理論空燃比)に保持される。
一方、ステップ14で触媒劣化フラグ=1であるときには図8(B)のステップ25に進む。
ステップ25では、前回の目標当量比に第2所定値ΔTF2を加算した値を今回の目標当量比TFBYAとして、つまり次式により目標当量比TFBYAを第2所定値ΔTF2だけ増加する。
TFBYA=TFBYAn-1+ΔTF2 …(2)
ただし、TFBYAn-1:TFBYAの前回値、
ここで、第2所定値ΔTF2は触媒劣化時の燃料噴射開始からの目標当量比の増加速度(触媒劣化時の始動時燃料増量率)を定めている。ここで、第2所定値ΔTF2は上記第1所定値ΔTF1よりも小さな値である。触媒劣化時に第2所定値ΔTF2が小さくてもよい理由、つまり燃料噴射開始からの空燃比を早期にリッチにしなくてもよい理由は、触媒劣化時には燃料噴射開始からの空燃比がリーンである期間が長引いても触媒3へ酸素吸着量を増やすことにならず、NOx排出量が増加することがないためである。ただし、この場合にも、第2所定値ΔTF2としては、触媒劣化時の目標NOx排出量が得られるように設定することはいうまでもない。
ステップ26では到達フラグ2(始動時にゼロに初期設定)をみる。到達フラグ2は後述するように目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2以上になったときに1にセットされるフラグである。今は到達フラグ2=0であるとしてステップ27に進み、ステップ25で得ている目標当量比TFBYAと触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2を比較する。ここで触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2としては、1.0より大きな値が設定されている。ただし、触媒新品時の始動リッチ目標値RICH1より小さくて良い。
ステップ27に進んできた当初は目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2に満たないので、そのまま今回の処理を終了する。次回以降も再始動許可フラグ=1であればステップ11、12、14、25、26、27と流れ、ステップ25の操作が繰り返される。これにより、目標当量比TFBYAが演算周期(10ms)当たり第2所定値ΔTF2ずつ大きくなってゆく。やがて、目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2以上になったときにはステップ27よりステップ28に進んで目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2以上になった、つまり目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2に到達したことを表すため到達フラグ2=1とし、ステップ29で目標当量比TFBYAを触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2に制限し、ステップ30でタイマを起動する(タイマ値tm2=0)。このタイマは、目標当量比TFBYAが触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2以上になってからの経過時間を計測するためのものである。
ステップ28での到達フラグ2=1により次回にはステップ26よりステップ31に進むことになり、タイマ値tm2を演算周期だけインクリメントし、ステップ32でこのインクリメント後のタイマ値tm2と第2所定時間Δt2を比較する。第2所定時間Δt2は目標当量比TFBYAを触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2に維持する時間を定めるものである。この第2所定時間Δt2は、上記第1所定時間Δt1と同様でよい。ステップ32に進んできた当初はタイマ値tm2が第2所定時間Δt2未満であるので、そのまま今回の処理を終了する。ステップ31でのタイマ値tm2のインクリメントを繰り返すことによりタイマ値tm2が増加していきやがて第2所定時間Δt2以上になるとステップ32よりステップ33に進み目標当量比TFBYAを1とする(触媒劣化時の始動リッチ目標値RICH2より1へとステップ的に切換える)。このように、目標当量比TFBYAが始動リッチ目標値RICH2に到達したからといって即座に1へと切換えるのではなく、第2所定時間Δt2待って1へと切換えるようにしているのは、燃料噴射開始からの空燃比を確実にリッチにしたいためである。
ステップ34では次回の再始動時に備えるため到達フラグ2=0とする。このあとは図示していないが、目標当量比TFBYAが1.0に保持される、つまり空燃比がストイキに保持される。
次に、フロント空燃比センサ4の出力に基づいて酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御について説明する。この空燃比制御については特開2006−2579号公報に詳しいのであるが、この空燃比制御そのものに本発明の特徴部分はないので、図9〜図13を参照して概説する。
図9は酸素ストレージ量HCSCを演算(推定)するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
まずステップ41では冷却水温等の条件により触媒3が活性化しているかどうかをみる。触媒3が活性化していなければ、触媒3の酸素ストレージ能力が働かないので、そのまま今回の処理を終了する。
触媒3が活性化していればステップ42に進み、フロント空燃比センサ4の出力を実空燃比AFrに変換する。これは例えばフロント空燃比センサ4の出力と空燃比との関係を表すテーブルを予め作成しておき、このテーブルを検索することにより実空燃比を求めるようにすればよい。
ステップ44ではこのようして求めた実空燃比AFrから、排気中の過不足酸素濃度FO2を所定のテーブルを検索することにより求める。
ここで、排気中の過不足酸素濃度FO2は、図10に示すように、ストイキでの値を基準のゼロとしてそのときの空燃比を酸素濃度に換算した値である。従って、例えば空燃比がリーンのときは、ストイキの酸素濃度よりも過剰となるので、FO2はプラスの値となり、また空燃比がリッチのときはストイキの酸素濃度よりも不足するので、マイナスの値となる。
ステップ45ではこの過不足酸素濃度FO2に基づいて酸素ストレージ量HOSCを演算する。この酸素ストレージ量HOSCの演算については図11、図12(図9のステップ45のサブルーチン)のフローにより説明する。
触媒3の酸素ストレージ特性は、触媒3の貴金属に高速で吸収/放出される特性と、触媒3のセリアなどの酸素ストレージ材に低速で吸収/放出される特性に分かれる。したがって酸素ストレージ量をこの特性に合わせて高速成分と低速成分に分けて演算することにより、触媒3の特性に応じた実際のストレージ量を正確に演算できる。
図11は酸素ストレージ量の高速成分を演算するための、図12は同じく低速成分を演算するためのものである。
図11において、ステップ51では演算周期当たりの酸素過不足量O2INを次式により演算する。
O2IN=a×FO2×Q×t …(3)
ただし、a:定数(単位換算のための値)、
Q:排気流量(吸入空気流量で代用する)、
t:図11の演算周期(例えば10ms)、
ステップ52では酸素過不足量O2INの値に基づき高速成分の酸素を吸収する状態にあるのかあるいは高速成分の酸素を放出する状態にあるかをみる。触媒3に流入する排気の空燃比がリーンであって酸素過不足量O2INがゼロより大きい場合には高速成分の酸素を吸収する状態にあると判断してステップ53に進み、次式により高速成分を演算する。
HO2(new)=HO2(old)+O2IN …(4)
ただし、HO2(new):高速成分の今回値、
HO2(old):高速成分の前回値、
一方、酸素過不足量O2INがゼロ以下の値で、高速成分の酸素を放出する状態にあると判断した場合にはステップ52よりステップ54に進み次式により高速成分を演算する。
HO2(new)=HO2(old)+O2IN×A …(5)
ただし、HO2(new):高速成分の今回値、
HO2(old):高速成分の前回値、
A:高速成分の酸素放出率、
このようにして高速成分今回値HO2(new)を演算したら、ステップ55、56でその値が高速成分の最大値HO2MAXを超えていないか、あるいは最小値HO2MIN(=0)以下になっていないかをみる。そして、高速成分今回値HO2(new)が最大値HO2MAX以上になっている場合にはステップ55よりステップ57に進み高速成分として吸収されずに溢れ出るオーバフロー分(過剰量)OVERFLOWを次式により演算し、さらに、高速成分今回値HO2(new)を最大値HO2MAXに制限する。
OVERFLOW= HO2(new)−HO2MAX …(6)
高速成分今回値HO2(new)が最小値HO2MIN以下になっている場合にはステップ56よりステップ58に進み、高速成分として吸収されずに溢れ出るオーバフロー分(不足量)OVERFLOWを次式により演算し、さらに、高速成分今回値HO2(new)を最小値HO2MINに制限する。
OVERFLOW=HO2(new)−HO2MIN …(7)
なお、ここでは最小値HO2MINとして0を与えているから、高速成分の酸素をすべて放出した状態で不足する酸素量が負のオーバフロー分として算出される。
一方、高速成分今回値HO2(new)が最大値HO2MAXと最小値HO2MINの間にあるときには、触媒3に流入した排気の酸素過不足量O2INは全て高速成分の酸素として吸収されるので、このときにはステップ59に進んでオーバフロー分OVERFLOWにゼロを設定する。
ステップ60、61ではリア空燃比センサ出力がストイキよりリーンへと変化したか否か、またはリア空燃比センサ出力がストイキよりリッチへと変化したか否かをみる。リア空燃比センサ出力がストイキよりリーンへと変化したときにはステップ60よりステップ61に進んで高速成分今回値HO2(new)を最大値HO2MAXに、またリア空燃比センサ出力がストイキよりリッチへと変化したときにはステップ60、62よりステップ63に進んで高速成分今回値HO2(new)を最小値HO2MINにセットする。このようにリア空燃比センサ出力がストイキよりリーンへと変化したときに高速成分今回値HO2(new)を最大値HO2MAXにセットし、またリア空燃比センサ出力がストイキよりリッチへと変化したときに高速成分今回値HO2(new)を最小値HO2MINにセットするのは、演算上の酸素ストレージ量である高速成分今回値HO2(new)を実際の酸素ストレージ量に合わせるためである。
さて、高速成分今回値HO2(new)が最大値HO2MAX以上あるいは最小値HO2MIN以下となって高速成分の酸素とならずに溢れ出たオーバフロー分OVERFLOWは、低速成分の酸素として吸収あるいは放出される。図12は酸素ストレージ量の低速成分を演算するためのサブルーチンで、このサブルーチンでは高速成分の酸素とならずに溢れ出たオーバフロー分OVERFLOWに基づき低速成分を演算する。
図12においてステップ71では低速成分を次式により演算する。
LO2(new)= LO2(old)+OVERFLOW×B …(8)
ただし、LO2(new):低速成分の今回値、
LO2(old):低速成分の前回値、
B:低速成分の酸素吸収放出率、
ここで、低速成分の酸素吸収放出率Bとしては1以下の正の値を設定するが、実際には吸収と放出とで異なる特性を有し、また実際の吸収放出率は触媒温度TCAT、低速成分等の影響を受けるので、吸収率と放出率とをそれぞれ分離して設定するようにしてもよい。その場合、オーバフロー分OVERFLOWが正であるとき酸素が過剰であり、このときの酸素吸収率Bとしては、例えば触媒温度TCATが高いほど、また低速成分LO2が小さいほど大きな値を設定する。また、オーバフロー分OVERFLOWが負であるとき酸素が不足しており、このときの酸素放出率Bとしては、例えば触媒温度TCATが高いほど、また低速成分が大きいほど大きな値を設定する。
ステップ72、73では、高速成分の演算時と同様に、演算された低速成分今回値LO2(new)がその最大値LO2MAXを超えていないか、あるいは最小値LO2MIN(=0)以下になっていないかをみる。最大値LO2MAXを超えている場合にはステップ72よりステップ74に進み低速成分今回値LO2(new)から溢れる酸素過不足量O2OUTを次式により演算し低速成分今回値LO2(new)を最大値LO2MAXに制限する。
O2OUT= LO2(new)−LO2MAX …(9)
酸素過不足量O2OUTはそのまま触媒3の下流に流出する酸素である。
一方、最小値LO2MIN以下になっている場合にはステップ73よりステップ75へと進み低速成分今回値LO2(new)を最小値LO2MINに制限する。
このようにして触媒3の酸素ストレージ量を演算している。
図13は空燃比フィードバック補正係数αを演算するためのもので、各気筒のRef信号(クランク角の基準位置信号)の入力毎に実行する。これは、Ref信号に同期して燃料噴射が行われ、この燃料噴射により排気中の空燃比が変化するので、これに合わせたものである。
ステップ81では空燃比フィードバック制御条件の成立時であるか否かをみる。空燃比フィードバック制御条件の成立時は従来と同じで、例えばフロント空燃比センサ4が活性化していること等が成立したとき、空燃比フィードバック制御条件の成立時となる。また、燃料カット時やエンジン高負荷時は空燃比フィードバック制御条件の非成立時である。空燃比フィードバック制御条件の成立時でないときにはステップ82に進んで空燃比フィードバック補正係数α=1.0として今回の処理を終了する。
空燃比フィードバック制御条件の成立時であるときにはステップ81よりステップ83に進み、図11のフローで得られている高速成分今回値HO2(new)、図9のステップ43で得られている実空燃比AFrを読み込み、ステップ84で高速成分今回値HO2(new)を酸素ストレージ量HOSCに移す。酸素ストレージ量HOSCについて図11、図12では高速成分と低速成分に分けて演算する場合で説明したが、ここでは簡単のため高速成分今回値HO2(new)を酸素ストレージ量HOSCとしている。
ステップ85では酸素ストレージ量HOSCの目標酸素ストレージ量からの偏差HOSCSを次式により演算する。
HOSCS=HOSC−目標酸素ストレージ量 …(10)
ここで、(10)式の目標酸素ストレージ量としては最大酸素ストレージ量の1/2を設定しておく。
ステップ86ではこの偏差HOSCSに基づいて次式により目標酸素ストレージ量FO2tを演算する。
FO2t=Gp×HOSCS …(11)
ただし、Gp:比例ゲイン(適合値)、
ここで、(11)式の比例ゲインGpは目標空燃比への応答を高めたい要求がある場合に対応するため導入している。従って、目標空燃比への応答を高める必要がないときにはGp=1.0とすればよい。
ステップ87ではこの目標酸素ストレージ量FO2tを次式により目標空燃比AFtへと変換する。
AFt=14.7+14.7×FO2t/Q …(12)
ただし、Q:排気流量(吸入空気流量で代用する)、
ここで、(12)式右辺第2項は目標酸素ストレージ量FO2tを空燃比に換算した値で、(12)式は理論空燃比(14.7)よりこの空燃比換算分だけシフトさせた値を目標空燃比として設定するものである。例えば、酸素ストレージ量HOSCが目標値より大きい(偏差HOSCSが正)ときには目標酸素ストレージ量FO2tが正の値となり、(12)式によれば目標空燃比AFtが14.7よりも大きくなる(ストイキよりもリーン側)。すなわち、酸素ストレージ量HOSCが目標値より大きいときには目標値へと戻すため目標空燃比をストイキよりもリーン側へと移行させる。この逆に、酸素ストレージ量HOSCが目標値より小さい(偏差HOSCSが負)ときには目標酸素ストレージ量FO2tが負の値となり、(12)式によれば目標空燃比AFtが14.7よりも小さくなる(ストイキよりもリッチ側)。すなわち、酸素ストレージ量HOSCが目標値より小さいときには目標値へと戻すため目標空燃比をストイキよりもリッチ側へと移行させる。
ここでの空燃比制御はフィードバック制御であるため、ステップ88ではフロント空燃比センサ4により検出される実空燃比AFrの、この目標空燃比AFtからの偏差dAFを次式により演算する。
dAF=AFr−AFt …(13)
ステップ89ではこの空燃比偏差dAFに基づいて次式により空燃比フィードバック補正係数αを演算する。
α=dAF×PGain+ΣdAF×IGain+ΔdAF×DGain
…(14)
ただし、PGain:比例ゲイン(正の値)、
IGain:積分ゲイン(正の値)、
DGain:微分ゲイン(正の値)、
(14)式右辺の第1項、第2項、第3項はそれぞれ比例分、積分分、微分分で、(14)式はこれらの和を空燃比のフィードバック補正量とするものである。
図示しない燃料噴射量演算ルーチンではこのようにして演算した空燃比フィードバック補正係数αを用いて次式によりシーケンシャル噴射時の燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
Ti=Tp×TFBYA×α×2+Ts …(15)
ただし、Tp:基本噴射パルス幅、
TFBYA:目標当量比、
Ts:無効噴射パルス幅、
そして、所定の噴射タイミングとなったときこの燃料噴射パルス幅Tiの分だけ各気筒に設けた燃料インジェクタが開かれ、燃料噴射が行われる。
空燃比フィードバック制御条件の成立時(このときTFBYA=1.0)において、例えば実空燃比AFrが目標空燃比AFtより大きい(空燃比偏差dAFが正)ときには空燃比フィードバック補正係数αが1.0を超える値となり、この1.0を超える値のαによりストイキの混合気の得られる燃料量よりも増量されて排気中の空燃比がストイキへと戻される。この逆に、実空燃比AFrが目標空燃比AFtより小さい(空燃比偏差dAFが負)ときには空燃比フィードバック補正係数αが1.0より小さな正の値となり、この1.0より小さな正の値のαによりストイキの混合気の得られる燃料量よりも減量されて排気中の空燃比がストイキへと戻される。つまり、空燃比フィードバック制御条件の成立時おいてはフロント空燃比センサ4により検出される実空燃比AFrが、目標空燃比AFtと一致するように燃料制御が行われる。この場合に、上記(14)式右辺のフィードバックゲイン(PGain、IGain、DGain)を大きくし過ぎると、実空燃比AFrが目標空燃比AFtを行き過ぎる、いわゆるオーバーシュートを生じるので、フィードバックゲインはあまり大きくすることができず、従って空燃比フィードバック制御を行うとき、目標空燃比AFtに対して実空燃比AFrは応答遅れを持って追従してゆく。
これで、フロント空燃比センサ4の出力に基づいて酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御についての概説を終える。
さて、実施形態のハイブリッド車では、エンジン再始動時に所定回数のエンジン空転を行った後の燃料噴射開始から、上記(15)式の目標当量比TFBYAとして、図8(A)、図8(B)で演算した目標当量比TFBYA(始動時目標当量比)が用いられることとなる。
ここで、本実施形態の作用効果を図6を再び参照して説明する。
図6第5段目に実線で示したように、触媒新品時にはエンジン再始動時に第1所定回数N1のエンジン空転を行った後の燃料噴射開始タイミング(t3)から、目標当量比TFBYAは、触媒新品時のリッチ目標値RICH1に向かって急激に大きくなり、t4で触媒新品時のリッチ目標値RICH1に到達した後、この触媒新品時のリッチ目標値RICH1に維持され、第1所定時間t1が経過したt5のタイミングて1.0へとステップ的に切換えられる。このような燃料噴射開始からの目標当量比TFBYAの急激な増加により空燃比がリーンより一気にリッチに向かうので、図6最下段に実線で示したように、触媒3の酸素ストレージ量は、中立状態を離れて小さくなるのがt5のタイミングで収まり、t5からは大きくなってt6のタイミングで中立状態に戻っている。
一方、図6第5段目に破線で示したように、触媒劣化時にはエンジン再始動時に第2所定回数N2のエンジン空転を行った後の燃料噴射開始タイミング(t3)から、目標当量比TFBYAは、触媒劣化時のリッチ目標値RICH2に向かって、触媒新品時よりもゆっくり大きくなり、t6で触媒劣化時のリッチ目標値RICH2に到達した後、この触媒劣化時のリッチ目標値RICH2に維持され、第2所定時間t2が経過したt7のタイミングて1.0へとステップ的に切換えられる。このような燃料噴射開始からの目標当量比TFBYAのゆっくりとした増加により空燃比がゆるやかにリッチに向かうので、図6最下段に破線で示したように、触媒3の酸素ストレージ量は、中立状態を離れて小さくなるのがt7のタイミングで収まり、t7からは大きくなってt8のタイミングで中立状態に戻っている。
このように、本実施形態によれば、エンジン再始動時に燃料噴射開始からの目標当量比TFBYAの傾き、つまり始動時燃料増量率を触媒新品時と触媒劣化時とで相違させるので、触媒新品時と触媒劣化時との両方に適切なエンジン再始動時の空燃比制御を行うことができ、触媒新品時と触媒劣化時との両方で触媒3の酸素ストレージ量を速やかに中立状態に戻すことができている。
特に、実施形態のハイブリッド車において、運転条件によってはエンジン停止とエンジン再始動とが頻繁に繰り返されることがある。これに対応して本実施形態(請求項6に記載の発明)によれば、エンジン1とモータとを駆動源とし、走行中に所定の条件が成立したときエンジン1を停止し、他の所定の条件が成立したときエンジン1を再始動させるハイブリッド車において、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒3と、触媒3上流に設置したフロント空燃比センサ4と、このフロント空燃比センサ4の出力に基づいて触媒3の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、触媒3が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定し、この判定結果により、触媒3の各状態に合わせて、エンジン再始動時の空燃比制御を行うので(図8(A)のステップ14〜24、図8(B)のステップ25〜34参照)、触媒3が新品状態にある場合と触媒3が劣化状態にある場合の両方とも、特にエンジン再始動が頻繁に行われる条件で、エンジン再始動時のNOx排出量を大きく低減することができる。
本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、エンジン始動時に燃料噴射を開始する前のエンジン空転回数(N1、N2)を、触媒3の各状態に合わせて設定するので(図7のステップ7、9参照)、触媒3が新品状態にある場合と触媒3が劣化状態にある場合の両方でエンジン始動時のエンジン空転回数(N1、N2)を適切に与えることができる。
本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、第1所定回数N1として、触媒新品時の目標NOx排出量が得られるようにゼロに近い値を設定(予め適合)し、第2所定回数N2としては触媒劣化時の目標NOx排出量が得られるように値を設定(予め適合)しておくと共に、第1所定回数N1より大きな値を設定する、つまり燃料噴射を開始する前のエンジン空転回数を、触媒3が新品状態にあるときにはゼロに近い値を設定し、触媒3が劣化状態になると、新品状態の場合より大きな値に設定している。触媒3が劣化状態になると、触媒3のストレージ能力が低下して触媒3に酸素が吸着されることがないので、燃料噴射を開始する前にエンジン空回しを続けてもNOx排出量が増えることがなく、これにより触媒3が劣化状態でのエンジン空回しを許容できる。
本実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、エンジン始動時の空燃比制御は、エンジン始動時に燃料噴射開始から目標当量比TFBYAを徐々に大きくする制御(燃料量を徐々に大きくする燃料増量率の制御)であり、このエンジン始動時の目標当量比の増加速度ΔTF1、ΔTF2(燃料増量率)を、触媒3の各状態に合わせて変更するので(図8(A)のステップ14、15、図8(A)のステップ14、図8(B)のステップ25参照)、触媒3が新品状態にある場合と触媒3が劣化状態にある場合の両方でエンジン始動時に酸素ストレージ量を素早く中立状態に戻すことができる。
本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、触媒新品時の目標当量比の増加速度を定めている第1所定値ΔTF1として、触媒劣化時の目標当量比の増加速度を定めている第2所定値ΔTF2よりも大きな値を設定している、つまりエンジン始動時の燃料増量率を、触媒3が新品状態にあるときにはそのときに目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率(所定値A)に近づけて設定し、触媒3が劣化状態になったときにはそのときに目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率(所定値B)に近づけて設定するので(図4参照)、触媒3が新品状態にある場合と触媒3が劣化状態にある場合の両方で、第1所定値ΔTF1、第2所定値ΔTF2(エンジン始動時の燃料増量率)を適切に与えることができる。
実施形態では、ハイブリッド車用のエンジンに本発明の空燃比制御装置を適用した場合で説明したが、これに限られるものでなく、通常のガソリン車や、エンジンの自動停止再始動を行うガソリン車に対しても本発明の空燃比制御装置を適用できる。
請求項1に記載の空燃比制御手段の機能は図9、図11、図13のフローにより、触媒状態判定手段の機能は図8(A)のステップ16により、エンジン始動時空燃比制御手段の機能は図8(A)のステップ14〜24、図8(B)のステップ25〜34によりそれぞれ果たされている。
ハイブリッド車に適用される本発明の一実施形態のエンジンの空燃比制御装置の概略構成図。 エンジン空転回数と触媒へ酸素吸着量との関係を表す特性図。 等始動時燃料増量率でのエンジン空転回数に対するNOx排出量の特性図。 始動時燃料増量率に対するNOx排出量の特性図。 エンジン運転中の各値の変化を示す波形図。 エンジン停止後のエンジン再始動時の各値の変化を示す波形図。 燃料噴射許可フラグの設定を説明するためのフローチャート。 始動時目標当量比の演算を説明するためのフローチャート。 始動時目標当量比の演算を説明するためのフローチャート。 酸素ストレージ量の演算を説明するためのフローチャート。 フロント空燃比センサにより検出される空燃比と過不足酸素量の関係を示す特性図。 酸素ストレージ量の高速成分の演算を説明するためのフローチャート。 酸素ストレージ量の低速成分の演算を説明するためのフローチャート。 空燃比フィードバック補正係数の演算を説明するためのフローチャート。
符号の説明
1 エンジン
3 触媒
4 フロント空燃比センサ
5 リア酸素センサ
6 コントローラ

Claims (6)

  1. 排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、
    前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、
    このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段と
    を備えるエンジンの空燃比制御装置において、
    前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定する触媒状態判定手段と、
    この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、エンジン始動時の空燃比制御を行うエンジン始動時空燃比制御手段と
    を備えることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. エンジン始動時に燃料噴射を開始する前のエンジン空転回数を、前記触媒の各状態に合わせて設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  3. 前記燃料噴射を開始する前のエンジン空転回数を、前記触媒が新品状態にあるときにはゼロに近い値を設定し、前記触媒が劣化状態になると、新品状態の場合より大きな値に設定することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  4. 前記エンジン始動時の空燃比制御は、エンジン始動時に燃料量を徐々に大きくする燃料増量率の制御であり、このエンジン始動時の燃料増量率を、前記触媒の各状態に合わせて変更することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  5. 前記エンジン始動時の燃料増量率を、前記触媒が新品状態にあるときにはそのときに目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率に近づけて設定し、前記触媒が劣化状態になったときにはそのときに目標NOx排出量を満たすための始動時燃料増量率に近づけて設定することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  6. エンジンとモータとを駆動源とし、走行中に所定の条件が成立したときエンジンを停止し、他の所定の条件が成立したときエンジンを再始動させるハイブリッド車において、
    排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力のある触媒と、
    前記触媒上流に設置したフロント空燃比センサと、
    このフロント空燃比センサの出力に基づいて前記触媒の酸素ストレージ量を推定し、この酸素ストレージ量推定値が目標値と一致するように空燃比を制御する空燃比制御手段と、
    前記触媒が新品状態にあるのかそれとも劣化状態にあるのかを判定する触媒状態判定手段と、
    この判定結果により、前記触媒の各状態に合わせて、前記エンジン再始動時の空燃比制御を行うエンジン再始動時空燃比制御手段と
    を備えることを特徴とするハイブリッド車の制御装置。
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