JP2008189279A - 車高制御システム - Google Patents

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幹彦 本間
Ikuhide Iyoda
郁秀 伊与田
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秀樹 大橋
Masaki Kanetani
正基 金谷
Kotaro Okimura
浩太郎 沖村
Shuji Hasegawa
修史 長谷川
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Abstract

【課題】蓄圧用アキュムレータの保持圧を低くすることなく、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることを回避する。
【解決手段】アキュムレータ圧が温度上昇に起因して設定値以上増加して、設定圧より高くなった場合には、蓄圧用アキュムレータが開放され、アキュムレータ圧が低くされる。一方、蓄圧用アキュムレータ本体の板厚を厚くする等すれば、蓄圧用アキュムレータの耐圧強度を大きくすることができるが、重量が大きくなったり、コストが高くなったりする。また、保持圧を低くすれば、温度が上昇しても、大きな力が加えられることを回避することができるが、アップ制御に要する時間が長くなる。それに対して、アキュムレータ圧が設定圧より高くなった場合に、アキュムレータ圧が低くされるようにすれば、保持圧を低くすることなく、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることを回避することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、車高制御システムに関するものであり、特に、蓄圧用アキュムレータの圧力の制御に関するものである。
特許文献1には、蓄圧用アキュムレータを備えた車高制御システムが記載されている。この車高制御システムは、(1)車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた液圧アクチュエータと、(2)(a)低圧源と、(b)作動液を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む液圧源と、(3)その液圧源から前記液圧アクチュエータへの作動液の流入、前記液圧アクチュエータから前記液圧源への作動液の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置とを含むものである。
特開2005−88766号公報
特許文献1に記載の車高制御システムには蓄圧用アキュムレータが設けられているが、例えば、蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度が上昇すると、蓄圧用アキュムレータの圧力が高くなる。蓄圧用アキュムレータの本体等に加えられる力が大きくなり、蓄圧用アキュムレータの寿命に影響を及ぼす。それに対して、蓄圧用アキュムレータを耐圧強度が大きいものとすれば、重量が大きくなったり、コストが高くなったり等する。また、蓄圧用アキュムレータに収容される流体の圧力自体を低くすれば、温度が上昇しても、加えられる力自体を小さくすることができるが、車高を大きくする車高制御に長時間を要し、望ましくない。そこで、本発明の課題は、車高制御システムに含まれる蓄圧用アキュムレータにおいて、収容される流体の圧力を低くすることなく、かつ、重量増加、コストアップ等を回避しつつ、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることを回避することである。
課題を解決するための手段および効果
請求項1に記載の車高制御システムは、(1)車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、(2)(a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む流体源と、(3)その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体圧アクチュエータから前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、(4)前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出入がない状態で、その蓄圧用アキュムレータの流体の圧力であるアキュムレータ圧が予め定められた設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が予め定められた設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くするアキュムレータ圧低減装置とを含むものとされる。
流体源は、低圧源と、流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含み、その流体源から流体圧アクチュエータへの流体の流入、流体圧アクチュエータから流体源への流体の流出が制御されることによって車高が制御される。低圧源は、流体が液体(オイル)である場合には、低圧タンク、リザーバタンクとされることが多いが、エア(気体)である場合には大気とされることもある。流体源は、流体を低圧源から汲み上げて加圧し、流体圧アクチュエータや蓄圧用アキュムレータに供給可能なポンプ装置を含むものとすることができる。
請求項1に記載の車高制御システムにおいては、流体源が異常であることに起因して、蓄圧用アキュムレータの圧力が設定圧より高くなったり、設定値以上増加したりした場合にも蓄圧用アキュムレータの圧力が低くされるようにすることができるが、不可欠ではない。流体源が正常であっても、蓄圧用アキュムレータの圧力が設定圧より高くなったり、設定値以上増加したりすることがあり、その場合にも、蓄圧用アキュムレータの圧力が低くされるのである。なお、蓄圧用アキュムレータの圧力は、厳密に言えば、蓄圧用アキュムレータに収容された流体(流体圧アクチュエータに供給される流体であり、以下、作動流体と称する)の圧力である。作動流体の圧力は、蓄圧用アキュムレータの仕切り部材を介して反対側の容積室に収容された封入用の気体の圧力と同じであると考えることができる。反対側の容積室にスプリングが設けられる場合には、そのスプリングの弾性力に対応する。
蓄圧用アキュムレータの圧力が設定圧より高くなり、蓄圧用アキュムレータ本体に加えられる力が大きくなると、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなる。蓄圧用アキュムレータ本体の板厚を厚くしたり、材料を強度が大きな材料としたり、溶接部の強度を大きくしたりすることによって、蓄圧用アキュムレータ本体の耐圧強度を大きくすれば、大きな力が加えられても寿命への影響を小さくすることができる。しかし、板厚を厚くすると重量が大きくなったり、大形になったりする。また、板厚を厚くしたり、強度の大きな材料としたり、溶接部の強度を大きくしたりすれば、蓄圧用アキュムレータのコストが高くなる。
蓄圧用アキュムレータの圧力が設定値以上増加した場合にも、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることがある。例えば、アキュムレータ圧の変化の設定値が通常作動時には生じない大きさであり、加えられる力が通常作動時には生じないほど大きく変化した場合には、金属疲労が生じ、蓄圧用アキュムレータ本体の寿命が短くなる。また、アキュムレータ圧の変化が非常に大きい場合には、それによって、アキュムレータ圧が設定値より高くなる可能性が高くなる。
また、蓄圧用アキュムレータがピストン式のものである場合において、仕切り部材としてのピストンに天然ゴム等によって製造されたOリング等のシール部材が、間に凹部を介して、2重に設けられることがある。仕切り部材の仕切り機能を高め、容積室の気密性を高めるためである。この場合に、凹部内の圧力は大気圧に保たれることが多い。そのため、容積室の流体の圧力が高くなると、容積室と凹部との間の圧力差が大きくなり、シール部材には、前後の圧力差に応じた大きな力が加えられることになる。シール部材は、蓄圧用アキュムレータ本体の内周面に強く押し付けられ、固着状態となる。そして、固着状態からピストンが移動させられると、シール部材が摩耗(固着摩耗)し易くなる。シール部材が摩耗すると、容積室の気密性が低下し、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなる。特に、ピストンの移動回数が少なく、シール部材が蓄圧用アキュムレータ本体の内周面に長時間固着させられた状態にあった後に、ピストンが移動させられる場合には、シール部材と蓄圧用アキュムレータの内周面との間の油膜が形成されていない状態で摺動させられることになり、摩耗が一層促進される。Oリングを製造するゴムの材質を摩耗し難い材質とすることも考えられるが、その場合には、コストが高くなる。
一方、蓄圧用アキュムレータに収容される流体の圧力(保持圧)自体を低くすれば、その後、流体の圧力が高くなって、加えられる力が大きくなっても、その力の大きさ自体を小さくすることができるため、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることを回避することができる。しかし、車高を高くする車高制御が行われる場合には、流体圧アクチュエータに蓄圧用アキュムレータから流体が供給されるが、供給される流体の流量が小さくなると、車高制御に要する時間が長くなり、望ましくない。
そこで、本発明に係る車高制御システムにおけるように、蓄圧用アキュムレータの流体の圧力が設定圧より高くなった場合と設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、圧力が低くされるようにすれば、車高制御における要求を満たし、かつ、蓄圧用アキュムレータの重量増加、大形化、コストアップを回避しつつ、寿命が短くなることを回避し、蓄圧用アキュムレータの信頼性の低下を抑制することができる。
また、蓄圧用アキュムレータの圧力の大小、圧力の変化の大小とは関係なく、例えば、予め定められた設定時間毎にアキュムレータ圧が低くされるようにすることも考えられる。しかし、その場合には、蓄圧用アキュムレータの作動回数が多くなり、かえって寿命が短くなることがある。それに対して、本発明に係る車高制御システムにおけるように、蓄圧用アキュムレータに加えられる力が大きくなった場合等、圧力を低くする必要性が高い場合に限って圧力が低くされるようにすれば、蓄圧用アキュムレータの作動回数を少なくすることが可能となり、寿命が短くすることを良好に回避することができるのである。
なお、アキュムレータ圧低減装置は、蓄圧用アキュムレータから流体を流出させることにより圧力を低くする装置としたり、蓄圧用アキュムレータを冷却することによって圧力を低くする装置としたりすること等ができる。
請求項16に記載の車高制御システムは、(1)車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、(2)(a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む流体源と、(3)その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、(4)前記蓄圧用アキュムレータの過熱を防止する過熱防止装置とを含むものとされる。
蓄圧用アキュムレータの過熱を防止すれば、蓄圧用アキュムレータに加えられる力が大きくなることを防止したり、加えられる力の変化が大きくなることを防止したりすることができ、蓄圧用アキュムレータの寿命が短くなることを回避することができる。
例えば、蓄圧用アキュムレータの近傍に冷却装置を設ければ、蓄圧用アキュムレータの温度を低くして、アキュムレータ圧を低くすることができる。また、蓄圧用アキュムレータにフィンを設ければ、車両の走行速度が停止状態であると見なされる速度以上である場合の空冷効果を大きくすることができ、低速走行中における蓄圧用アキュムレータの過熱を防止することができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、
(a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含み流体源と、
その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、
前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出入がない状態で、その蓄圧用アキュムレータの流体の圧力であるアキュムレータ圧が予め定められた設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が予め定められた設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くするアキュムレータ圧低減装置と
を含むことを特徴とする車高制御システム(請求項1)。
(2)前記アキュムレータ圧低減装置が、前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度上昇に起因して、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くする温度上昇時アキュムレータ圧低減部を含む(1)項に記載の車高制御システム(請求項2)。
(3)前記アキュムレータ圧低減装置が、(a)前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容された時点における前記アキュムレータ圧と、前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容されている状態における流体の温度上昇値とに基づいて、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなったことを取得するアキュムレータ圧取得部と、(b)前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容されている状態における流体の温度上昇値に基づいて前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加したことを取得するアキュムレータ圧増加取得部との少なくとも一方を含む(1)項または(2)項に記載の車高制御システム(請求項3)。
アキュムレータ圧が設定圧より高くなったことは、蓄圧用アキュムレータに作動流体が収容された時点における圧力と、その後の、温度上昇値とに基づいて取得することができ、アキュムレータ圧が設定値以上増加したことは、温度上昇値に基づいて取得することができる。蓄圧用アキュムレータに流体が収容された時点におけるアキュムレータ圧とは、最も近い過去の、アキュムレータ圧が取得された時点における圧力である。流体が収容された時点におけるアキュムレータ圧は、その都度、検出されるようにすることができるが、検出されなくても、予め定められた大きさに決まっていることもある。
蓄圧用アキュムレータが、仕切り部材の両側の容積室の一方に作動流体が収容され、他方に気体が封入されているガス式の蓄圧用アキュムレータである場合には、温度上昇に伴って封入されている気体の容積が大きくなったり、圧力が大きくなったりする。それに対して、例えば、蓄圧用アキュムレータにおける作動流体の流出・流入がない状態にあり、容積室の容積変化が全く許容されないか、許容される容積変化がわずかである場合には、温度上昇に伴って、気体の圧力が増加する。封入気体については、気体の状態方程式が成立するため、容積変化が許容されないか許容される容積変化がわずかである場合において、温度の上昇値がわかれば、圧力の増加値を取得することができる。
なお、蓄圧用アキュムレータにおいて、作動流体の温度と封入気体の温度とは同じであるとみなすことができる。
また、作動流体は、液体であっても気体であってもよい。
さらに、温度上昇値は、実際に検出された検出値としても、推定値としてもよい。
(4)前記蓄圧用アキュムレータが、車両の外気に接し、かつ、車両の駆動源の作動に伴って発せられる熱によって加熱される位置に設けられ、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記車両の走行速度が設定速度以下である状態が、設定時間以上続いた場合に、前記流体の温度が予め定められた設定温度以上増加したと推定する温度上昇推定部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
(5)前記蓄圧用アキュムレータが、車両の外気に接する位置に設けられ、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記蓄圧用アキュムレータに前記流体が収容された状態において、前記車両の走行速度が設定速度以下である状態が、設定時間以上続いた場合に、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方であるとして、前記アキュムレータ圧を低くする停止中等アキュムレータ圧低減部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
(6)前記蓄圧用アキュムレータが、車両の外気に接し、かつ、車両の駆動源の作動に伴って発せられる熱によって加熱される位置に設けられ、前記停止中等アキュムレータ圧低減部が、さらに、前記駆動源の作動状態が設定時間以上続いた場合に、前記アキュムレータ圧を低くする停止中等駆動源作動時アキュムレータ圧低減部を含む(5)項に記載の車高制御システム(請求項4)。
蓄圧用アキュムレータが車両の駆動源の熱によって加熱される位置に設けられている場合には、駆動源の作動に伴って加熱される。しかし、外気に接する位置に設けられているため、車両の走行速度が設定速度より大きい場合には、空冷効果により、駆動源の熱を冷やすことが可能となり、蓄圧用アキュムレータの温度上昇が抑制される。
したがって、本項に記載の車高制御システムにおいては、駆動源の作動状態において、車両の走行速度が設定速度以下である状態が、設定時間以上続いた場合に、蓄圧用アキュムレータの流体の温度が設定温度以上上昇したと推定される。アキュムレータ圧が設定値以上増加したと推定されたり、アキュムレータ圧が設定圧より高くなったと推定されたりする。蓄圧用アキュムレータに流体が収容された時点の圧力が予めわかっている場合には、アキュムレータ圧が設定圧より高くなったと推定することができる。
設定速度は、車両が停止状態であるとみなし得る速度としたり、停止状態であるとみなし得る速度より大きい低速走行状態であるとみなし得る速度としたりすることができる。いずれにしても、充分な空冷効果が期待できない速度とすることができる。
また、設定時間は、車両の走行速度が設定速度以下の状態が設定時間以上続くと、温度が設定温度以上上昇したと推定し得る時間であり、温度上昇判定時間と称することができる。温度上昇判定時間は、予め定められた時間としたり、車両の走行速度が大きい場合は小さい場合より長い時間としたりすることができる。さらに、外気温度を考慮して決めることもできる。例えば、現時点の外気温度が蓄圧用アキュムレータに流体が収容された時点の外気温度に対して高い場合は低い場合より、温度上昇判定時間を短くするのである。
(7)前記アキュムレータ圧低減装置が、(a)前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度を検出する温度検出装置と、(b)その温度検出装置によって検出された温度が予め定められた設定温度以上上昇した場合に、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方であるとして、前記アキュムレータ圧を低くする検出温度上昇時アキュムレータ圧低減部とを含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車高制御システム(請求項5)。
温度検出装置は、蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度を直接検出するものとしたり、外気温度を検出するものとしたり、蓄圧用アキュムレータの本体の温度を検出したりするものとすることができる。外気温度、蓄圧用アキュムレータ本体の温度に基づけば、流体の温度を推定することができる。
(8)前記アキュムレータ圧低減装置が、前記車高制御装置によって車高制御が行われていない状態において、前記車両の走行速度が設定速度以下である状態が、設定時間以上続いた場合に、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より大きくなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方であるとして、前記アキュムレータ圧を低くする非車高制御中アキュムレータ圧低減部を含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
アキュムレータ圧低減装置が、例えば、冷却装置等を含むものである場合には、車高制御が実行されていても実行されていなくても、アキュムレータ圧を低くすることができる。それに対して、アキュムレータ圧低減装置が、蓄圧用アキュムレータから流体を流出させることによってアキュムレータ圧を低くするものである場合には、それによって、車高制御に影響を及ぼす。そのため、この場合には、車高制御とアキュムレータ圧低減制御との調整を図ることが望ましい。
車高を高くする車高制御が行われ、蓄圧用アキュムレータに収容された作動流体が利用された場合には、アキュムレータ圧低減装置によってアキュムレータ圧を低くしなくても、アキュムレータ圧は低くなる。
車高を低くする車高制御が行われている場合に、蓄圧用アキュムレータから作動流体が流出させられることは、車高制御に要する時間が長くなり、望ましくない。
これらの事情から、車高制御中には、アキュムレータ圧低減装置によってアキュムレータ圧が低くされないようにすることが望ましい。車高制御がアキュムレータ圧低減制御より優先して行われることが望ましいのである。
それに対して、車高を低くする車高制御中に、蓄圧用アキュムレータから流体が流出させられても、車高が低くなる速度は遅くなるが、そのことより、アキュムレータ圧を低くすることの要求の方が強い場合には、車高を低くする車高制御中であっても、蓄圧用アキュムレータが開放されるようにすることも可能である。
(9)前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁を含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記蓄圧用アキュムレータが前記流出入阻止状態とされた状態において、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くする制御弁状態対応アキュムレータ圧低減部を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車高制御システム(請求項6)。
蓄圧用アキュムレータに作動流体が収容されている状態においてはアキュムレータ制御弁によって流出入阻止状態とされるのが普通である。
アキュムレータ制御弁は、電磁開閉弁としたり、方向切換弁としたりすること等ができる。いずれにしても、少なくとも、流出入許容状態と流出入阻止状態とに制御可能なものである。
(10)前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁を含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記アキュムレータ制御弁により、前記蓄圧用アキュムレータを流出入阻止状態から流出入許容状態とすることにより、前記蓄圧用アキュムレータから流体を流出させる蓄圧用アキュムレータ開放部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車高制御システム(請求項7)。
アキュムレータ制御弁によって流出入許容状態とされれば、蓄圧用アキュムレータから流体が流出させられ、アキュムレータ圧を低くすることができる。
(11)前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータ開放部によって前記アキュムレータ制御弁によって流出入許容状態とされた場合に、前記蓄圧用アキュムレータを前記流体圧アクチュエータから遮断して前記低圧源に連通させる低圧源連通機構を含む(10)項に記載の車高制御システム(請求項8)。
アキュムレータ制御弁によって流出入許容状態とされた場合に、蓄圧用アキュムレータが流体圧アクチュエータに連通させられると、それによって、車高変化に影響を及ぼす。それに対して、流体圧アクチュエータから遮断して、低圧源に連通させられるようにすれば、車高変化への影響を及ぼすことなく、アキュムレータ圧を低くすることができる。
(12) 前記蓄圧用アキュムレータ開放部が、前記アキュムレータ制御弁を、流出許容時間の間、前記流出入許容状態となるように保つ制御弁保持部を含む(10)項または(11)項に記載の車高制御システム。
アキュムレータ制御弁によって流出許容時間の間、流出入許容状態に保たれれば、アキュムレータ圧を低くすることができる。
なお、アキュムレータ制御弁によって、流出入許容状態と流出入阻止状態とに交互に切り換えられるようにすることもできる。また、アキュムレータ制御弁が、流出入許容状態において、その開度が制御可能とされている場合には、その開度を制御することもできる。
(13)前記制御弁保持部が、(a)前記アキュムレータ圧を取得するアキュムレータ圧取得部と、(b)前記蓄圧用アキュムレータが、前記流出入阻止状態から前記流出入許容状態に切り換えられる時点において前記アキュムレータ圧取得部によって取得されたアキュムレータ圧が高い場合は低い場合より前記流出許容時間を長くする流出許容時間決定部とを含む(12)項に記載の車高制御システム(請求項9)。
流出入阻止状態から流出入許容状態に切り換えられた時点における蓄圧用アキュムレータの圧力が低い場合は高い場合より、アキュムレータ圧を予め定められた保持圧まで低くする場合の時間は短くなる。したがって、アキュムレータ圧が低い場合は高い場合より流出許容時間を短くするのである。
一方、アキュムレータ圧に関係なく、流出許容時間を一定の値に設定する場合には、アキュムレータ圧を確実に低くするために、流出許容時間は、アキュムレータ圧が高くても、保持圧以下になる時間に設定されるのが普通である。それに対して、アキュムレータ圧に基づいて流出許容時間が設定されるようにすれば、開放後のアキュムレータ圧が低くなり過ぎることを回避し、保持圧に近づけることができる。
また、アキュムレータ圧に基づいて、アキュムレータ制御弁のデューティ制御比を決めたり、開度を決めたりすることもできる。
なお、アキュムレータ圧取得装置は、蓄圧用アキュムレータの圧力を直接検出するものであっても、車両の状態に基づいて推定するものであってもよい。
(14)前記流体源が、(a)前記低圧源から流体を汲み上げて、前記蓄圧用アキュムレータに供給可能なポンプを含むポンプ装置と、(b)前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁とを含む(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
ポンプ装置は、例えば、ポンプとポンプモータとを含むものとすることができ、ポンプモータの駆動によりポンプが作動させられる。蓄圧用アキュムレータには、ポンプから流体が供給されるため、ポンプの非作動状態においては、蓄圧用アキュムレータの圧力が高くなることはない。
流出入許容状態において、ポンプの作動によって蓄圧用アキュムレータに流体が供給され、アキュムレータ圧が保持圧まで増加させられた後に、流出入阻止状態とされる。その後、蓄圧用アキュムレータの圧力は保持される。
(15)前記流体源が、さらに、(c)前記ポンプと前記アキュムレータ制御弁との間に設けられた流体圧検出装置と、(d)前記ポンプの非作動状態において前記ポンプの吐出側を前記低圧源に連通させ、前記ポンプの作動状態において、前記ポンプの吐出圧により、前記ポンプの吐出側と前記低圧源とを連通させる状態から遮断する状態に切り換える低圧源遮断弁とを含む(14)項に記載の車高制御システム。
(16)前記アキュムレータ圧低減装置が、前記ポンプを作動状態とするとともに前記アキュムレータ制御弁により蓄圧用アキュムレータを前記流出入許容状態として、前記流体圧検出装置によって液圧を検出し、その検出された流体圧に基づいて前記アキュムレータ圧を取得するポンプ作動時アキュムレータ圧取得部を含む(15)項に記載の車高制御システム(請求項10)。
ポンプを作動状態とすれば、ポンプの吐出側と低圧源とが遮断される。また、アキュムレータ制御弁によって流出入阻止状態とされれば、蓄圧用アキュムレータとポンプの吐出側とが連通させられるため、ポンプの吐出側の流体圧検出装置によって検出された流体圧に基づいてアキュムレータ圧を取得することができる。アキュムレータ圧はポンプの吐出側の流体圧と同じ大きさであるとしたり、ポンプの吐出側の流体圧とポンプの吐出側と蓄圧用アキュムレータとの間の流体通路の流路抵抗等とに基づいて取得される大きさであるとしたりすること等ができる。
本項に記載の車高制御システムにおいては、蓄圧用アキュムレータの流出入阻止状態においてはアキュムレータ圧を取得することができないし、ポンプの非作動状態においてもアキュムレータ圧を取得することができない。すなわち、蓄圧用アキュムレータに流体が収容された状態で流出入阻止状態とされている場合には、アキュムレータ圧を取得することができない。この状態において、温度が高くなって、アキュムレータ圧が高くなっても、そのことが認識されず、アキュムレータ圧が過大になるおそれがある。それに対して、ポンプを作動状態として、流出入許容状態とすることによって、アキュムレータ圧が取得されれば、アキュムレータ圧が設定圧より高くなったことや、アキュムレータ圧が設定値以上増加したことを適宜取得することができる。
なお、低圧源遮断弁が、パイロット式のものではなく、ソレノイドを備えた電磁制御弁である場合には、ポンプを作動状態としなくても、ソレノイドへの供給電流の制御により、蓄圧用アキュムレータを低圧源から遮断した状態で、アキュムレータ圧を適宜取得することができる。
(17)前記車高制御装置が、前記流体源と前記流体圧アクチュエータとの間に設けられた車高制御弁を含み、当該車高制御システムが、前記車高制御装置によって、制御対象輪についての車高を高くする車高制御において前記車高制御弁が閉状態に切り換えられた後に、前記流体源を制御することにより、前記アキュムレータ圧を予め定められた設定範囲内の大きさに制御する車高制御終了後アキュムレータ圧制御装置を含む(1)項ないし(16)項に記載の車高制御システム。
車高を高くする車高制御において、蓄圧用アキュムレータに収容された流体が使用された場合には、その後、流体を供給し、収容しておくことが望ましい。
車高を高くする車高制御においては、ポンプが作動させられるとともに流出入許容状態に切り換えられる。そして、実際の車高が目標車高で決まる制御終了車高値に達すると、車高制御弁が閉状態されるのであるが、その後、ポンプが連続して作動させられ、アキュムレータ圧が設定範囲内の大きさになると(例えば、保持圧に達すると)、アキュムレータ制御弁により流出入阻止状態とされて、ポンプが非作動状態とされる。
また、車高制御の途中に、流出入阻止状態に切り換えられ、その後、ポンプから流体圧アクチュエータに流体が供給され、制御終了車高値に達すると車高制御弁が閉状態とされる。車高制御弁が閉状態とされた後、流出入許容状態とされて、ポンプから蓄圧用アキュムレータに流体が供給され、アキュムレータ圧が保持圧に達すると流出入阻止状態とされて、ポンプが非作動状態とされるようにすることもできる。後者の態様においては、前者の態様における場合より、実車高が目標車高に達するまでに要する時間を短くすることができる。
(18)当該車高制御システムが、前記車高制御装置による車高制御が行われていない間に、前記アキュムレータ制御弁により前記蓄圧用アキュムレータを前記流出入許容状態とするとともにポンプ装置を制御することによって、前記アキュムレータ圧を予め定められた設定範囲内の大きさとし、その後、前記流出入阻止状態に保持するアキュムレータ圧制御装置を含む(14)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の車高制御システム(請求項11)。
(19)前記アキュムレータ圧制御装置が、前記アキュムレータ圧低減装置によってアキュムレータ圧が一旦低くされた後、前記アキュムレータ圧を前記設定範囲内の大きさに増加させる低減後アキュムレータ圧増加部を含む(18)項に記載の車高制御システム(請求項12)。
車高制御が行われない間、蓄圧用アキュムレータに設定範囲内の圧力の流体が収容されていれば、車高を高くする車高制御において、速やかに、実際の車高を目標車高に近づけることができ、車高制御に要する時間を短くすることができる。
(20)前記蓄圧用アキュムレータが、仕切り部材と、その仕切り部材により仕切られた2つの容積室とを含むとともに、前記2つの容積室のうちの一方に前記流体としての作動流体が収容され、他方に気体が封入された気体式蓄圧用アキュムレータである(1)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の車高制御システム(請求項13)。
本項に記載の車高制御システムに含まれる蓄圧用アキュムレータはガス式のものである。仕切り部材はプラダとしたり、ベローズとしたり、ピストンとしたりすることができる。ピストン式の蓄圧用アキュムレータとした場合に、シール部材は、1つであっても、2つ以上であってもよい。シール部材を2つの容積室の間に、複数個設ければ、容積室の気密性を向上させ、仕切り機能を向上させることができる。
(21)前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁を含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記アキュムレータ制御弁によって前記流出入阻止状態に切り換えられた時点におけるアキュムレータ圧と、前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度の変化とに基づいて、前記アキュムレータ圧を推定するアキュムレータ圧推定装置を含む(1)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の車高制御システム。
(22)車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、
(a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む流体源と、
その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、
前記蓄圧用アキュムレータの過熱を防止する過熱防止装置と
を含むことを特徴とする車高制御システム(請求項14)。
本項に記載の車高制御システムには、上記(1)項ないし(21)項のいずれかに記載の特徴を採用することができる。
(23)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータと、
その蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁と、
そのアキュムレータ制御弁によって前記流出入阻止状態に切り換えられた時点におけるアキュムレータ圧と、前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度の変化とに基づいて、前記アキュムレータ圧を推定するアキュムレータ圧推定装置と
を含むアキュムレータ圧取得装置。
本項に記載のアキュムレータ圧取得装置は、車高制御システムに限らず、ブレーキ制御システム等蓄圧用アキュムレータを備えたシステムに広く適用することができる。
本項に記載のアキュムレータ圧取得装置には、(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の特徴を適用することができる。
(24)車両の駆動源の熱の影響を受けるとともに外気に接する位置に設けられ、流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータと、
その蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁と、
そのアキュムレータ制御弁により、前記蓄圧用アキュムレータが前記流出入阻止状態とされた状態における前記車両の状態に基づいて、前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度が予め定められた設定温度以上上昇したことを取得する温度上昇取得装置と
を含む流体源。
車両の状態には、駆動源の状態、車両の走行速度、車両の環境温度等が該当する。
本項に記載の流体源には、(1)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を適用することができる。
本発明の一実施例である車高制御システムについて、以下、図面に基づいて説明する。
本車高調整装置において、図1に示すように、車輪4を保持する車輪保持装置6と車体8との間に懸架シリンダ10が、サスペンションスプリング10sとともに設けられる。懸架シリンダ10は流体としての作動液により作動させられる。懸架シリンダ10は、前後左右の各車輪毎に設けられるが、図面には、1つの車輪について記載する。
懸架シリンダ10は、ハウジング11と、ハウジング11の内部に相対移動可能に嵌合されたピストン12と、ピストンロッド14とを含み、ピストンロッド14が車体8に、ハウジング11が車輪保持装置6に、それぞれ上下方向に相対移動不能に連結される。ピストン12には、そのピストン12により仕切られた2つの液室16,18を連通させる絞り機能を有する連通路20が設けられる。絞り機能により、ピストン12のハウジング11に対する相対移動速度(絞りを流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。懸架シリンダ10はショックアブソーバとして機能する。
また、図1に示すように、車体8にはバウンド側のストッパ24Bが設けられ(厳密には、サスペンションスプリングのスプリングリテーナに設けられる)、懸架シリンダ10内のピストンロッド14にはリバウンド側のストッパ26Rが設けられる。懸架シリンダ10のハウジング11の上端面28がストッパ24Bに当接することにより、バウンド側の接近限度が規定され、ハウジング11の内側の上面30にストッパ26Rが当接することにより、リバウンド側の接近限度(車体8と車輪4との離間限度)が規定される。
懸架シリンダ10の液室18には、個別通路42が接続される。
個別通路42には、懸架シリンダ10に対応して、互いに並列に3つのアキュムレータ44,45,46が接続される。また、懸架シリンダ10(個別通路42)とアキュムレータ44との間には、ばね定数切換弁48が設けられる。
これらアキュムレータ44、45は、いずれもばねとしての機能を有するものであり、例えば、ハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含み、その仕切部材の一方の容積変化室に個別通路42が連通させられ、他方の容積変化室に弾性体が設けられたものであり、一方の容積変化室の容積の増加に起因して他方の容積変化室の容積が減少し、それによって弾性力を発生させるものとすることができる。アキュムレータ44,26は、ベローズ式のものとしたり、ブラダ式のものとしたり、ピストン式のものとしたりすること等ができる。弾性体は、気体としたり、スプリングとしたりすることができる。
本実施例においては、アキュムレータ44の方がアキュムレータ46よりばね定数が小さいものとされており、以下、アキュムレータ44を低圧アキュムレータと称し、アキュムレータ46を高圧アキュムレータと称する。
アキュムレータ46は、リリーフ用アキュムレータであり、懸架シリンダ10に最も近い位置に設けられる。リリーフ用アキュムレータが懸架シリンダ10に最も近い位置に設けられることにより、個別通路42の脈動を抑制し、懸架シリンダ10が安定して作動可能とすることができる。
ばね定数切換弁48の開状態においては、懸架シリンダ10にアキュムレータ44,46が連通させられ、ばね定数が小さい状態となる。ばね定数切換弁48の閉状態においては、アキュムレータ44が懸架シリンダ10から遮断され、ばね定数が大きい状態となる。本実施例においては、旋回中、制動あるいは駆動中にばね定数が大きい状態とされ、直進定速走行中にばね定数が小さい状態とされる。
個別通路42には、可変絞り50が設けられる。前述のように、車輪保持装置6の車体8に対する相対的な上下動により液室18において作動液が流入・流出させられるが、この場合に、可変絞り50によって個別通路42の流路面積が制御されることにより、懸架シリンダ10において発生させられる減衰力が制御される。本実施例においては、可変絞り50等により減衰力調整機構が構成される。
本サスペンション装置には作動液給排装置52が設けられる。作動液給排装置52は、高圧源56、低圧源58としてのリザーバタンク、車高制御弁60等を含む。
高圧源56は、ポンプ61とポンプモータ62とを備えたポンプ装置64、蓄圧用アキュムレータ66等を含む。ポンプ装置64,蓄圧用アキュムレータ66等は制御通路68に設けられる。ポンプ61によってリザーバ58の作動液が汲み上げられて吐出される。ポンプ61から吐出された作動液は懸架シリンダ10に供給されたり、蓄圧用アキュムレータ66に供給されたりする。蓄圧用アキュムレータ66に供給された作動液は、加圧した状態で蓄えられる。蓄圧用アキュムレータ66は常閉の電磁開閉弁であるアキュムレータ制御弁70を介して制御通路68に接続される。アキュムレータ制御弁70の開状態がおいて蓄圧用アキュムレータ66における作動液の流出・流入を許容する流出入許容状態に対応し、アキュムレータ制御弁70の閉状態が作動液の流出・流出を阻止する流出入阻止状態に対応する。
制御通路68には液圧センサ72が設けられる。液圧センサ72によれば、ポンプ61の吐出圧やアキュムレータ圧を検出することができる。
制御通路68のポンプ61の吐出側には、逆止弁74,脈動減衰用(消音用)アキュムレータ76が設けられる。また、ポンプ61の高圧側と低圧側とを接続する流出通路84が設けられ、流出通路84に流出制御弁86が設けられる。流出制御弁86は、ポンプ61の吐出圧をパイロット圧として機械的に開閉させられるパイロット式開閉弁であり、ポンプ61が作動状態にあり、作動液が吐出される間、閉状態とされ、ポンプ61が非作動状態にある間、開状態とされる。
蓄圧用アキュムレータ66は、ピストン式のものであり、本実施例においては、車体8の底部の横部の外気に接する位置に設けられる。蓄圧用アキュムレータ66は、外気の影響を受けるが、車両の駆動源としてのエンジンが作動状態にあると、エンジンの熱や排気管やマフラの熱の影響も受ける。
蓄圧用アキュムレータ66は、図1に示すように、蓄圧用アキュムレータ本体88と、蓄圧用アキュムレータ本体88に摺動可能に設けられた仕切り部材としてのピストン90とを含む。ピストン90には、2つのシール部材としてのOリング92,93が凹部94を介して設けられる。ピストン90によって仕切られた一方の容積室96には作動液が収容され、他方の容積室97には気体(例えば、窒素ガス)が収容される。そのことから、一方の容積室96を作動液収容室と称し、他方の容積室97をガス室と称することがある。一方の容積室96には、制御通路68がアキュムレータ制御弁70を介して接続される。また、2つの容積室96,97の間に、Oリング92,93が2重に設けられるため、これら2つの容積室96,97の間の漏れを良好に防止することができる(容積室97の気密性を高めることができる)。
また、蓄圧用アキュムレータ本体88は、それの強度が、許容応力に安全率nを掛けた強度となるように設計される。許容応力は、アキュムレータ圧が想定し得る最大値になった場合に加えられる応力とされ、蓄圧用アキュムレータ本体88の板厚、材料、溶接部の強度等が設計されるのである。
制御通路68には個別通路42が接続されるが、個別通路42には、常閉の電磁制御弁である車高制御弁60が設けられる。車高制御においては、車高制御弁60の開状態において、懸架シリンダ10へ作動液給排装置52から作動液が供給されたり、排出させられたりすることにより車高が制御される。車高制御が終了させられると、車高制御弁60が閉状態とされる。
サスペンション装置は車高制御ECU100によって制御される。車高制御ECU100は、コンピュータを主体とするものであり、実行部102,記憶部104,入出力部106等を含み、入出力部106には、車高センサ120,車高調整モード選択スイッチ122、車高調整指示スイッチ123,走行状態検出装置124、イグニッションスイッチ126等が接続されるとともに、作動液給排装置52(ポンプモータ62,アキュムレータ制御弁70,液圧センサ72,車高制御弁60等)、ばね定数切換弁48,可変絞り50等が駆動回路を介して接続される。
車高センサ120は、前後左右の各輪4に対応して設けられ、車輪保持装置6と車体8との相対位置関係である車高を検出する。
車高調整モード選択スイッチ122は、自動モードとマニュアルモードとを選択するスイッチであり、車高調整指示スイッチ123の操作によって、車高を高くする指示、車高を低くする指示が出力される。
マニュアルモードにおいて、車高調整指示スイッチ123が操作されると、車高制御要求があるとされ、指示に応じた車高制御が行われる。車輪保持装置6と車体8の車輪4に対応する部分との間の相対位置関係である車高を低くする車高制御要求(ダウン要求)があるとされ、車高を低くする車高制御であるダウン制御が行われる場合と、車高を高くする車高制御要求(アップ要求)があるとされて、車高を高くする車高制御であるアップ制御が行われる場合とがある。
自動モードにおいて、予め定められた条件が満たされると車高制御要求があるとされ、それに応じて車高制御が行われる。例えば、車両の停止状態において、イグニッションスイッチ126がON状態からOFF状態に切り換えられると、乗員が降車すると推定される。車高が「低い」車高となるように、車高制御が行われる。イグニッションスイッチ126がOFF状態からON状態に切り換えられた後の車両の走行速度が低速走行であると考えられる速度以上になると、車高が「標準」車高となるように車高制御が行われる。これらの場合には、実車高と目標車高との偏差が予め定められた設定値以上である場合に、実車高が目標車高に近づくように、車高制御が行われることになる。
また、各輪の車高センサ120による検出値に基づき、車両が傾いていることが検出された場合には、姿勢がほぼ水平な姿勢となるように、制御対象輪について車高制御要求があるとされる。この場合には、アップ要求に応じてアップ制御が行われる場合やダウン要求に応じてダウン制御が行われる場合がある。
本実施例においては、車高制御要求(アップ要求あるいはダウン要求)が有ることが検出された場合に車高制御開始条件(以下、単に開始条件と称する)が満たされたとされる。
走行状態検出装置124は、車両の走行速度を検出する走行速度センサ130を含む。走行速度センサ130は、駆動源の出力軸の回転速度を検出するものであっても、車輪の回転速度を検出するものであってもよい。
イグニッションスイッチ126がON状態にある場合には、車両の駆動源であるエンジンが作動状態にあることがわかる。
記憶部104には、図2のフローチャートで表される車高制御・アキュムレータ圧制御プログラム、図3のフローチャートで表されるアキュムレータ圧低減プログラム等が格納される。
本実施例において、制御対象輪(制御対象輪は1輪である場合、2輪以上である場合等がある)についての車高が作動液給排装置52により制御されるのであり、実際の車高が目標車高で決まる範囲内に入るように車高制御が行われる。
アップ制御が行われる場合には、ポンプモータ62の駆動によりポンプ61が作動させられ、アキュムレータ制御弁70が開状態とされ、車高制御弁60が開状態とされる。ポンプ61の吐出圧により流出制御弁86が閉状態とされ、リザーバ58から遮断される。ポンプ61と蓄圧用アキュムレータ66との少なくとも一方から吐出された作動液が懸架シリンダ10に供給され、車高が高くされる。
実際の車高が目標車高で決まる制御終了しきい値に達すると、車高制御弁60が閉状態とされる。目標車高で決まる制御終了しきい値は、目標車高H*としたり、目標車高H*と不感帯幅に対応する車高差Δhとで決まる値としたりすることができる。本実施例におけるアップ制御においては、制御終了しきい値が目標車高H*から車高差Δhを引いた下限値(H*−Δh)とされて、実際の車高が制御終了しきい値(H*−Δh)に達した場合に、アップ制御が終了した(終了条件が満たされた)とされて、車高制御弁60が閉状態とされる。
車高制御弁60が閉状態とされた後、液圧センサ72による検出液圧に基づいてアキュムレータ圧が取得される。アキュムレータ制御弁70が開状態であるため、蓄圧用アキュムレータ66と制御通路68とが連通させられ、液圧センサ72による検出液圧に基づいてアキュムレータ圧を取得することができるのである。アキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefに達するまでポンプモータ62の作動が続けられる。アキュムレータ圧は液圧センサ72による検出液圧と同じ液圧値としても、検出液圧値と、制御通路68の液圧センサ72と蓄圧用アキュムレータ66との間の部分の流路抵抗等とに基づいて決まる値としてもよい。目標保持液圧Paccrefは、アップ制御において、車高を速やかに高くし得る大きさとされ、予め決められている。目標保持液圧Paccrefは、高い値とする方が望ましい。アキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefに達すると、アキュムレータ制御弁70が閉状態に切り換えられ、ポンプモータ62が停止させられる。アキュムレータ制御弁70は閉状態とされ、通常は、アキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefに保たれる。
ダウン制御が行われる場合には、車高制御弁60が開状態とされる。ポンプ81は停止状態にあるため、流出制御弁86は開状態にある。懸架シリンダ10からリザーバ58に作動液が流出させられ、実際の車高が制御終了しきい値に達する(終了条件が満たされたとされる)と、車高制御弁60が閉状態とされる。制御終了しきい値は、目標車高H*としても、目標車高H*に不感帯幅で決まる車高差Δhを加えた上限値(H*+Δh)としてもよい。前述の目標車高で決まる範囲は、これら下限値(H*−Δh)と上限値(H*+Δh)とで決まる範囲である。
図2のフローチャートで表される車高制御・アキュムレータ圧制御プログラムは、予め定められたサイクルタイム毎に実行される。前述のように、車高制御とアキュムレータ圧制御とは連続して行われる。ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする。)において、車高制御中(アップ制御中あるいはダウン制御中)であるか否かが判定される。例えば、少なくとも1つの車高制御弁60が開状態にある場合には、車高制御中であるとすることができる。車高制御中でない場合には、S2において開始条件が満たされるか否かが判定され、開始条件が満たされない間、S1,2が繰り返し実行される。開始条件が満たされると、S3において、車高制御開始処理が行われる。アップ制御の開始処理においては、ポンプ61が作動させられ、アキュムレータ制御弁70が開状態とされ、制御対象輪の車高制御弁60が開状態とされる。ダウン制御の開始処理においては、ポンプ61が停止させられ、アキュムレータ制御弁70が閉状態とされて、制御対象輪についての車高制御弁60が開状態とされる。S3が実行される場合には、既に、ポンプ61が停止状態にあり、アキュムレータ制御弁70が閉状態にある場合もある。
車高制御が開始されると、S1の判定がYESとなり、S4において、終了条件が満たされるか否かが判定される。実車高が検出され、制御終了しきい値に達したか否かが判定されるのである。本実施例においては、4輪すべてについて制御終了しきい値に達した場合に、終了条件が満たされたとされる。制御終了しきい値に達する以前においては、終了条件は満たされず、S5において、車高制御が行われる。車高制御弁60の開閉制御等が適宜行われるのである。終了条件が満たされる以前において、S1,4,5が繰り返し実行される。そのうちに、4輪すべてについて実車高が制御終了しきい値に達すると、S4の判定がYESとなり、アップ制御、ダウン制御の各々について終了処理が行われる。
S6において、アップ制御中であったか否か(アップ制御が終了したか否か)が判定され、アップ制御中であった場合には、S7において、車高制御弁60が閉状態に切り換えられる。その後、S8において、液圧センサ72による検出値に基づいてアキュムレータ圧が取得され、S9において、検出されたアキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefに達したか否かが判定される。ポンプ61が作動状態にあり、車高制御弁60が閉状態にあるため、ポンプ61から吐出された作動液は蓄圧用アキュムレータ66に供給され、アキュムレータ圧が高くなる。アキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefに達すると、S10において、アキュムレータ制御弁70が閉状態とされ、S11において、ポンプモータ62が停止させられ、後述するタイマ(時間カウンタのカウント値)T1、T2がクリアされる。ダウン制御であった場合には、S6の判定がNOとなり、S12において、車高制御弁60が閉状態とされる。ダウン制御においては、蓄圧用アキュムレータ66に収容された作動液が利用されることがないため、アキュムレータ圧制御が行われることがない。
また、車高制御・アキュムレータ圧制御において、終了条件が満たされ、S7,12において車高制御弁60が閉状態とされることにより車高制御が終了し、S11において、ポンプ61が停止させられることにより、アキュムレータ圧制御が終了したと考えたり、S11の実行により、一連の車高制御・アキュムレータ圧制御が終了したと考えたりすることができる。
なお、4輪のうちの少なくとも1輪についてアップ制御が行われた場合には、S7〜11が実行されるようにすることもできる。その場合には、S7において、ポンプ61が作動させられ、アキュムレータ制御弁70が開状態とされる。
蓄圧用アキュムレータ66は、前述のように、外気の影響も、エンジンの熱の影響も受ける。また、アキュムレータ制御弁70の閉状態においては、作動液収容室96の容積は一定であるため、ガス室97の容積も殆ど変化しない。そのため、蓄圧用アキュムレータ66におけるガスの温度が高くなると、気体の状態方程式
PV=nRT
から、ガス室97の圧力が高くなることがわかる。作動液収容室96の圧力が高くなり、アキュムレータ圧が高くなるのである。上式において、ガス室97に封入された気体のモル数n、ガス室97の圧力P、容積V、温度T、一般ガス定数Rである。
アキュムレータ圧が高くなると、蓄圧用アキュムレータ本体88に加えられる力が大きくなる。蓄圧用アキュムレータ66(蓄圧用アキュムレータ本体88)は、前述のように、許容応力に安全率nを掛けた強度を有するように設計されるため、温度上昇に起因して、アキュムレータ圧が高くなり、許容応力が大きくなると、設計上、蓄圧用アキュムレータ本体88について要求される強度が大きくなる。蓄圧用アキュムレータ本体88の板厚を厚くしたり、強度が大きい材料で製造されるようにしたり、溶接部の強度を大きくしたりすることが要求されるのであり、その結果、重量が大きくなったり、容積室96,97の容積を一定とした場合に大形になったりする。また、板厚を厚くしたり、強度が大きい材料を使用したり、溶接部の強度を大きくしたりすれば、コストが高くなる。
また、容積室96,97の圧力が高くなると、Oリング92,93に加えられる力が大きくなる。ピストン90の凹部94の圧力は大気圧であるため、Oリング92,93の両側の室の圧力差が大きくなり、Oリング92,93に大きな力が加えられるのである。Oリング92,93は天然ゴム等によって製造されることが多いが、シリンダ本体88の内側面に大きな力で押し付けられ、固着されられた状態から、ピストン90の移動に伴って摺動させられると、Oリング92,93が摩耗(固着摩耗)することがある。特に、Oリング92,93がシリンダ本体88の内周面に大きな力で長時間押し付けられていると、Oリング92,93の外周面とシリンダ本体88の内周面との間の油膜が剥がれ、その状態で摺動させられることになり、摩耗が起きやすくなる。その結果、気密性が低下し(仕切り機能が低下し)、容積室96,97の間で、気体が漏れるおそれがある。一方、Oリング92,93の材質を、摩耗し難い材質のものとすれば、摩耗を抑制することは可能となるが、コストが高くなる。
また、蓄圧用アキュムレータの目標保持液圧Paccrefを低くすれば、温度上昇に起因してアキュムレータ圧が高くなっても蓄圧用アキュムレータ66の耐圧強度を大きくしなくてもよい。しかし、目標保持液圧Paccrefを低くすると、速やかにアップ要求が満たされず(実際の車高が制御終了値に達するまでの時間が長くなり)、望ましくない。
そこで、本実施例においては、温度上昇に起因してアキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefから設定値以上増加して設定圧以上に高くなった場合に、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられて、蓄圧用アキュムレータ66から作動液がリザーバ58に流出させられる。アキュムレータ圧が低下させられ、蓄圧用アキュムレータ66に加えられる力が小さくされる。
アキュムレータ圧の設定圧は、蓄圧用アキュムレータ66に加えられる力が大きいと考えられる値である。本実施例において、設定値は、通常作動時には生じ得ない大きさ(システムの異常時、外気温度が非常に高い場合等が考えられる)より小さい値である。
前述のように、アキュムレータ制御弁70が閉状態に切り換えられた時点において、アキュムレータ圧は目標保持液圧Paccrefにある。その後、エンジンの作動状態において、車両の走行速度が設定速度以下の状態が設定時間以上続くと、蓄圧用アキュムレータ66に封入された気体の温度が設定温度以上上昇し、アキュムレータ圧が設定値以上増加し、アキュムレータ圧が設定圧より高くなると考えられる。
車両の走行速度が設定速度より大きい場合には、空冷効果により蓄圧用アキュムレータの温度上昇は抑制される。しかし、走行速度が設定速度以下で、充分な空冷効果が期待できない状態が設定時間以上続くと、温度が設定温度以上上昇すると推定される。
設定速度は、エンジンの作動に起因する熱を冷却可能な充分な空冷効果が得られない速度であり、設定時間は、その状態が続くと、アキュムレータ圧が設定温度以上増加したと推定し得る時間である。このことから、設定時間は、温度上昇推定時間と称することができる。温度上昇推定時間は、通常の車高制御に要する時間に対して、充分に長い時間とされる。
本実施例においては、アキュムレータ制御弁70が閉状態にあり、イグニッションスイッチ126がON状態にあって、走行速度が設定速度以下である{エンジンがアイドリング状態にある状態(車両が停止している状態)あるいは走行速度が設定速度以下である}状態が設定時間以上続いた場合に、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられる。温度上昇は、外気温度の上昇に伴う作動液の温度上昇以上の上昇である。外気温度の上昇に伴うアキュムレータ圧の増加によって、蓄圧用アキュムレータ本体88の強度が問題となることは殆どない。
また、アキュムレータ制御弁70が開状態にされることにより、アキュムレータ圧が一旦低下させられ、その後、ポンプ61の作動により、再びアキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefとなるように制御される。アキュムレータ圧が低下させられれば、蓄圧用アキュムレータの本体88に加えられる力が過大になることを回避することができる。
一方、例えば、車両が停止状態にある場合において、荷物の上げ下ろし、人の乗り降り等に起因して、車体8が傾いた場合には、少なくとも1輪について、車高制御要求が有るとされて、車高制御が行われることがある。また、走行速度が設定速度以下の状態において、車高調整指示スイッチ123が操作されることがある。
そこで、本実施例においては、上述の条件を満たしても、アップ制御が行われる場合(アップ制御が開始された場合が考えられる)には、アキュムレータ制御弁70がアキュムレータ圧低減プログラムによって制御されないようにされている。アップ制御においては、蓄圧用アキュムレータ66から作動液が流出させられるため、車高制御プログラムによって制御されればよい。
また、ダウン制御が行われる場合(ダウン制御が既に行われている場合、ダウン制御が開始された場合等が考えられる)に、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられると、制御通路68を流れる作動流量が多くなるため、ダウン速度が遅くなる。そのため、本実施例においては、ダウン制御が終了した後に、蓄圧用アキュムレータ66の開放、再蓄圧が行われる。
なお、蓄圧用アキュムレータ66の開放は、ダウン制御と並行して行われるようにすることもできる。ダウン速度が遅くなることより、蓄圧用アキュムレータ66の圧力を下げることの方が優先されるべきである場合には、ダウン制御中にアキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられるようにすることも可能である。この場合において、蓄圧用アキュムレータ66への再蓄圧は、ダウン制御終了後に行われる。ダウン制御と再蓄圧とを並行して行うことができないからである。
図3のフローチャートで表されるアキュムレータ圧低減プログラムは、予め定められたサイクルタイム毎に実行される。S30において、再蓄圧中フラグがセットされているか否かが判定される。再蓄圧中フラグは、蓄圧用アキュムレータ66が開放された後の再蓄圧が終了していないことを表すフラグである。最初にS30が実行される場合には、リセット状態にあることが普通であるため、判定はNOとなる。
次に、S31において、イグニッションスイッチ126がON状態にあるか否かが判定され、S32において、アキュムレータ制御弁70が閉状態にあるか否かが判定される。いずれの判定もYESである場合には、S33において、走行速度が検出され、設定速度Vth以下であるか否かが判定される。設定速度Vth以下である場合には、S35において、この状態が温度上昇推定時間T1th以上継続したか否かが判定される。S34の判定が最初にYESとなった時点から時間が計測される(温度上昇推定時間を計測するカウンタのカウント値T1がカウントアップされる)のである。カウント値T1は、S31,32,34のいずれかのステップの判定がNOとなった場合にクリアされる(S46)。また、S31,32,34のいずれかのステップの判定がNOとなった場合には、S47において、再蓄圧中フラグもリセットされる。
温度上昇推定時間が経過する以前に、イグニッションスイッチ126がOFF状態に切り換えられれば、エンジンが停止させられるため、温度上昇が抑制される。また、アキュムレータ制御弁70が開状態とされて作動液が流出させられれば、蓄圧用アキュムレータ66において、作動液収容室96の容積が小さくなり、ガス室97の容積が大きくなるため、温度が高くなることの影響は小さくなる。さらに、走行速度が設定速度より大きくなれば、空冷効果により温度が高くなり難くなる。したがって、これらの場合には、温度上昇推定時間が計測されないようにされているのである。
S30〜35,47が繰り返し実行されるうち、温度上昇推定時間T1thを経過すれば、S35の判定がYESとなる。エンジンの作動に伴って温度が上昇し、アキュムレータ圧が設定値以上増加したと推定されるのであり、アキュムレータ圧が目標保持液圧Paccrefより設定値以上高くなって、設定圧より高くなったと推定される。
その後、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられるが、開状態は、予め定められた流出許容時間(以下、開時間と称する)T2thの間だけ維持される。この開時間T2thは、アキュムレータ圧が設定圧より高い状態から目標保持液圧Paccref以下に低下するのに要する時間であり、本実施例においては予め定められている。
S36において、車高制御中(新たに車高制御要求が有ることが検出され、車高制御が開始された場合、既にダウン制御が行われていた場合等が考えられる)であるか否かが判定され、車高制御中でない場合には、S37,38において、アキュムレータ制御弁70が開時間T2thの間、開状態とされる。車高制御弁60は常閉弁であるため、車高制御中でない場合には、閉状態にある。そのため、アキュムレータ制御弁70が開状態とされれば、蓄圧用アキュムレータ66は懸架シリンダ10から遮断されてリザーバ58に連通させられ、蓄圧用アキュムレータ66の作動液はリザーバ58に流出する。
車高制御中である場合には、S36の判定がYESとなる。車高制御中に、アキュムレータ制御弁70が開状態とされると、車高制御へ影響が及ぶため、S37が実行されないようにされている。
アップ制御中においてはアキュムレータ制御弁70が開状態にされるため、次に、本プログラムが実行された場合には、S32の判定がNOとなる。S30〜32、46、47が繰り返し実行される。アップ制御あるいはアキュムレータ圧制御が終了して、アキュムレータ制御弁70が閉状態にされてから、次に、S35の判定がYESとなった後に、S36以降が実行されることになる。
ダウン制御中である場合には、次に、本プログラムが実行された場合に、S35の判定はYESとなるため、再び、S36が実行される。S30〜36、47が繰り返し実行され、ダウン制御が終了した後に、S36の判定がNOとなり、S37,38が実行され、アキュムレータ制御弁70が開状態とされることになる。ダウン制御が終了するのを待って、蓄圧用アキュムレータ66が開放されるのである。
蓄圧用アキュムレータ66の開放が行われた場合には、S38の判定がYESとなり、S39以降において、アキュムレータ圧の再蓄圧が行われる。
S39,40において、アップ制御中であるか否か、ダウン制御中であるか否かが判定される。車高制御が行われておらず、いずれの判定もNOである場合には、S41において、ポンプ61が作動させられ、S42において、アキュムレータ圧が液圧センサ72による検出値に基づいて取得され、S43において、目標保持液圧Paccrefに達したか否かが判定される。目標保持液圧Paccrefに達する以前においては、S48において、再蓄圧中フラグがセットされる。その後、S30,39〜43,48が繰り返し実行され、目標保持液圧Paccrefに達すると、S43の判定がYESとなり、S44において、アキュムレータ制御弁70が閉状態とされ、S45において、ポンプ61が停止させられ、時間カウンタのカウント値T1、T2がクリアされる。その後、S47において、再蓄圧中フラグがリセットされる。
S39の判定がYESとなるのは、蓄圧用アキュムレータ66の開放後の再蓄圧中にアップ要求が有ることが検出されて、アップ制御が開始された場合が考えられる。この場合には、アップ制御が車高制御プログラムの実行に従って行われ、蓄圧用アキュムレータ66の再蓄圧が行われる。そのため、本プログラムにおいて再蓄圧がされるようにする必要はない。また、S49において、アキュムレータ開放時間を計測するためのカウンタのカウント値T2もクリアされる。次に本プログラムが実行される場合には、S32の判定がYESとなり、S30,31,32,47が繰り返し実行される。前述のように、アップ制御、アキュムレータ圧制御が終了して、アキュムレータ制御弁70が閉状態にされた後に、温度上昇推定時間が経過すれば、S36以降が実行されることになる。
S40の判定がYESとなるのは、蓄圧用アキュムレータ66の開放後の再蓄圧中にダウン制御が開始された場合が考えられる。この場合には、S50において、アキュムレータ制御弁70が閉状態とされ、ポンプ61が停止させられる。S50は、念のためのステップである。次に、本プログラムが実行される場合には、S36の判定がYESとなるため、ダウン制御中において、S30〜36,47が繰り返し実行される。ダウン制御が終了すると、S36の判定がNOとなって、S37以降が実行される。この場合には、S37において、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられるが、開時間T2thは既に経過しているため、S38の判定はYESとなり、その後、S41以降において、再蓄圧が行われることになる。
図4に示すように、アキュムレータ圧が設定値以上増加したことによって、設定圧より高くなったことが推定されると、アキュムレータ圧制御弁70が開状態とされるため、アキュムレータ圧が低下させられる。その後、ポンプ61の作動により、蓄圧用アキュムレータ66に作動液が再蓄圧され、目標保持液圧Paccrefとされ、その状態が保持される。したがって、その後に、アップ要求が有ることが検出された場合に、速やかに車高を高くすることができる。
このように、本実施例においては、アキュムレータ圧が温度上昇に伴って増加させられる場合であっても、蓄圧用アキュムレータ66の設計を変更することなく、目標保持液圧Pacccrefを維持することが可能となる。したがって、アップ制御における要求を速やかに満たし(車両制御が速やかに終了し)、かつ、蓄圧用アキュムレータ66の重量増加、大形化、コストアップを回避しつつ、寿命が短くなることを回避し、蓄圧用アキュムレータの信頼性の低下を抑制することができる。
特に、外気温度が高く、エアコンを作動させたままにするためにエンジンのアイドリング状態で長時間停止している場合等には、蓄圧用アキュムレータ66に加えられる力が大きくなる。それに対して、本実施例においては、蓄圧用アキュムレータ66の圧力が設定圧より高くなることを回避し、大きな力が加えられることを回避することができる。
以上のように、本実施例においては、車高制御弁60,車高制御ECU100の図2のフローチャートで表される車高制御・アキュムレータ圧制御プログラムのうち、S1〜5,7,12を記憶する部分、実行する部分等により車高制御装置が構成される。また、アキュムレータ制御弁70,車高制御ECU100の図2のフローチャートで表される車高制御・アキュムレータ圧制御プログラムのうちのS8〜11を記憶する部分、実行する部分等によりアキュムレータ圧制御装置が構成される。
また、車高制御ECU100の図3のフローチャートで表されるアキュムレータ圧低減プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりアキュムレータ圧低減装置が構成される。アキュムレータ圧低減装置は、停止中等アキュムレータ圧低減部、停止中等駆動源作動時アキュムレータ圧低減部、温度上昇時アキュムレータ圧低減部、制御弁状態対応アキュムレータ圧低減部、過熱防止装置でもある。また、アキュムレータ圧低減装置のうち、S31〜35を記憶する部分、実行する部分等により高アキュムレータ圧取得部、大アキュムレータ圧増加取得部が構成され、S37,38を記憶する部分、実行する部分等により蓄圧用アキュムレータ開放部が構成される。蓄圧用アキュムレータ開放部は、流出入許容状態保持部でもある。さらに、車高制御弁60の閉状態において、蓄圧用アキュムレータ66をリザーバ58に連通させる通路(制御通路68,ポンプ61が非作動状態にある場合に、ポンプ61の吐出側をリザーバ58に連通させる通路)により低圧源連通機構が構成される。
なお、上記実施例においては、ダウン制御中である場合には、ダウン制御が終了した後に、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられるようにされていたが、ダウン制御と並行して、蓄圧用アキュムレータ66の開放が行われるようにすることもできる。その場合には、S36のステップにおいて、アップ制御中であるか否かが判定されるようにすればよい。
また、上記実施例のアキュムレータ圧低減プログラムにおいて、S36,39,40のすべてあるいは一部のステップは不可欠ではない。例えば、図14のフローチャートで表されるプログラムとすることもできる。本実施例においては、図3のフローチャートにおいて、S30,39,40,47〜50のステップが不要となる。車高制御中でなく、S36の判定がNOとなった場合に、アキュムレータ圧の開放、再蓄圧が連続して行われることになる。
さらに、アキュムレータ圧の変化が、通常作動時には生じ得ないほど大きい場合(請求項1の設定値以上増加した場合)に、蓄圧用アキュムレータ66が開放されるようにすることもできる。そのようにすれば、金属疲労が促進され、蓄圧用アキュムレータ本体88の寿命が短くなることを良好に回避することができる。
また、アップ制御において、アキュムレータ制御弁70がアップ制御開始から設定時間を経過した後に閉状態に切り換えられるようにすることができる。アップ制御において、懸架シリンダ10において必要な作動液量は蓄圧用アキュムレータ66から供給可能な作動液量より多いのが普通である。蓄圧用アキュムレータ66の圧力が低くなると、ポンプ61から供給された作動液は懸架シリンダ10に供給されるとともに蓄圧用アキュムレータ66に供給されるため、懸架シリンダ10への作動液の流入流量が小さくなり、車高制御に要する時間が長くなる。それに対して、蓄圧用アキュムレータ66から作動液が懸架シリンダ10に供給されなくなったことが取得された時点等に、アキュムレータ制御弁70が閉状態に切り換えられるようにすれば、車高制御に要する時間を短くすることができる。蓄圧用アキュムレータ66から懸架シリンダ10に作動液が供給されなくなった時点(ポンプ61から蓄圧用アキュムレータ66に作動液が供給され始める時点)は、液圧センサ72による検出液圧の変化に基づいて取得することができるが、アップ制御開始から設定時間が経過した時点とすることもできる。この場合においては、アップ制御が終了し、車高制御弁60が閉状態とされた後に、再度、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられて、蓄圧用アキュムレータ66に作動液が蓄えられることになる。
さらに、イグニッションスイッチ126がON状態にあり、アキュムレータ制御弁70が閉状態にあり、かつ、走行速度が設定速度以下である状態が、予め定められた温度上昇推定時間以上継続した場合に、アキュムレータ圧が設定圧以上であると推定されるようにされていたが、温度上昇推定時間が、車両の走行速度に基づいて、その都度、決められるようにすることができる。走行速度が大きい場合は空冷効果が大きくなるため、温度上昇推定時間が長くされるのである。その場合の一例を、図5のフローチャートで表す。
図5のフローチャートにおいて、図3のフローチャートと同じステップについては、同じステップ番号を付して、説明を省略する。
イグニッションスイッチ126がON状態にあり、アキュムレータ制御弁70が閉状態にあり、車両の走行速度Vが設定速度Vth以下である場合には、S34の判定がYESとなり、S34aにおいて、図6のテーブルに従って温度上昇推定時間T1thが決定される。温度上昇推定時間T1thは、図6のマップで表されるように、走行速度が大きい場合は小さい場合より、長くされる。走行速度が大きく、空冷効果が大きい場合には、アキュムレータ圧が設定圧以上になるまでの時間が長くなるからである。
温度上昇推定時間T1thが決定された場合には、S35において、車両の走行速度が設定速度Vth以下である状態が、温度上昇推定時間T1th以上経過したか否かが判定される。最初にS35が実行された場合には、判定がNOとなる。S30〜35が繰り返し実行されるうちに、温度上昇推定時間以上が経過した場合には、上記実施例における場合と同様に、S36以降において、アキュムレータ圧が低下させられ、再蓄圧される。
このように、本実施例においては、温度上昇推定時間T1thが走行速度に応じて決まるため、アキュムレータ圧が設定圧より高くなったことを、上記実施例における場合より、正確に推定することができる。その結果、蓄圧用アキュムレータ66の開放回数を上記実施例における場合に比較して少なくすることができる。また、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられる場合のアキュムレータ圧のバラツキが小さくなるため、開放後(アキュムレータ制御弁70が開状態に保たれた後)の、アキュムレータ圧を目標保持液圧Paccrefに近づけることが可能となり、再蓄圧に要する時間を短くし、エネルギの消費量を減らすことができる。
本実施例においては、車高制御ECU100の、図6のマップで表されるテーブルを記憶する部分、図5のフローチャートで表されるアキュムレータ圧低減プログラムのS34aを記憶する部分、実行する部分等により流出入許容時間決定部が構成される。
なお、イグニッションスイッチ126のON・OFFの状態のみならず、エンジン回転数も考慮して、温度上昇推定時間T1thが設定されるようにすることもできる。
また、上記実施例においては、アキュムレータ圧が設定圧より高いと推定された場合に、アキュムレータ制御弁70が、予め決められた開時間T2thの間、開状態に保持されるようにされていたが、開時間T2thが、アキュムレータ制御弁70が開状態にされる時点のアキュムレータ圧に基づいて、その都度決定されるようにすることができる。その場合の一例を、図7のフローチャートで表す。
図7のフローチャートにおいて、図3のフローチャートと同じステップについては同じステップ番号を付して説明を省略する。
S30〜35において、アキュムレータ圧が設定圧より高いと推定された場合には、S35の判定がYESとなり、S36において、車高制御中であるか否かが判定され、車高制御中でない場合には、S36aにおいて、アキュムレータ圧が取得され、開時間T2thが決定される。その後、S37、38において、アキュムレータ制御弁70が、S36bにおいて決定された開時間T2thの間、蓄圧用アキュムレータ66が間開放され、その後、再蓄圧される。
S36aのルーチンは、図8のフローチャートで表す。S61において、ポンプ61が作動させられ、S62において、アキュムレータ制御弁70が開状態とされ、S63において、アキュムレータ圧が液圧センサ72により検出される。車高制御弁60は常閉弁であるため、非車高制御中においては、閉状態にある。その後、S64において、アキュムレータ制御弁70が閉状態とされ、S65において、ポンプ61が停止させられ、S66において、アキュムレータ圧に基づいて開時間T2thが決定される。
本実施例においては、図9のマップで表されるテーブルに従って、アキュムレータ圧が高い場合は低い場合より開時間T2thが長くされる。アキュムレータ圧が高い場合は低い場合より、目標保持液圧Paccrefまで低下するのに要する時間が長くなるからである。
本実施例において、アキュムレータ圧が取得される場合には、ポンプ61が作動させられて、アキュムレータ制御弁70が開状態とされるため、車高制御中には、S36aが実行されないようにされている。
このように、開時間T2thがアキュムレータ圧で決まるため、図10に示すように、アキュムレータ圧の低下量が過大となることを回避し、再蓄圧の際に、アキュムレータ圧を速やかに目標保持液圧Paccrefまで上げることができる。再蓄圧が不要となることもある。
アキュムレータ制御弁70が閉状態から開状態に切り換えられる際のアキュムレータ圧が考慮されない場合には、アキュムレータ圧を確実に低くするために、開時間T2thは、多少長めに設定されるのが普通である。それに対して、本実施例においては、アキュムレータ開放時のアキュムレータ圧に基づいて開時間T2thが決められる。そのため、アキュムレータ制御弁70の開時間T2thが長すぎて、アキュムレータ圧が大きく低下することを回避し、再蓄圧に要する時間が長くなることを回避することができるのである。
本実施例においては、車高制御ECU100のS61〜63を記憶する部分、実行する部分等により、ポンプ作動時アキュムレータ圧取得部が構成される。
なお、上記S64のステップは不可欠ではない。S36bの実行後に、S37において、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられるからである。
また、上記実施例においては、流出制御弁86がポンプ61の吐出圧をパイロット圧として切り換えられるパイロット式の制御弁であったが、ソレノイドへの供給電流のON・OFFにより切り換えられる電磁制御弁とすることもできる。この場合には、ポンプ61を作動状態にしなくても、蓄圧用アキュムレータの圧力を検出することが可能となる。
また、図11に示すように、車高調整システムに温度センサ200を設けることができる。温度センサ200は、蓄圧用アキュムレータ66に収容された作動液の温度を検出するものであり、蓄圧用アキュムレータ近傍のアキュムレータ制御弁70より蓄圧用アキュムレータ側に設けられる。
なお、温度センサを、蓄圧用アキュムレータ近傍の外気温度を検出するものとし、外気温度に基づいて蓄圧用アキュムレータ内の作動液あるいはガスの温度が取得されるようにすることもできる。
その場合の一例を図12のフローチャートで表す。図12のフローチャートと図3のフローチャートとで、同じ実行のステップについては同じステップ番号を付して説明を省略する。
イグニッションスイッチ126がON状態にあり、アキュムレータ制御弁70が閉状態にあり、走行速度が設定速度以下である場合には、S35aにおいて、温度センサ200によって温度Temが検出され、S35bにおいて、初期温度Tem0が記憶されているか否かが判定される。記憶されていない場合には、S35cにおいて、初期温度Tem0が記憶され、初期温度記憶フラグがセットされる。その後、S35dにおいて、初期温度Tem0からの温度上昇値ΔTemが求められ、S35eにおいて、温度上昇値ΔTemが設定値ΔTemth以上であるか否かが判定される。
最初にS35eが実行される場合には、温度上昇値ΔTemは0であるため、判定はNOとなる。次に、本ルーチンが実行される場合には、初期温度Temが記憶されているため、S35bの判定がYESとなり、S35cが実行されることなく、S35dが実行される。温度上昇値ΔTemが求められ、設定値ΔTemthと比較されるのであるが、温度Temが上昇し、温度上昇値ΔTemが設定値ΔTemth以上になると、S35eの判定がYESとなる。温度上昇に起因して、アキュムレータ圧が設定圧以上増加して、設定圧より高くなったと推定されるのである。
その後、S36以降が上記実施例における場合と同様に実行される。初期温度記憶フラグは、S45において、ポンプ61の作動が停止させられた場合にリセットされる。また、S31,32,34の判定がNOである場合にも、S58においてリセットされる。
このように、本実施例においては、実際の温度上昇に基づいてアキュムレータ圧が推定されるため、推定精度を向上させることが可能となり、アキュムレータ制御弁70が開状態に切り換えられる頻度を低くすることができる。また、蓄圧用アキュムレータ66の開放後のアキュムレータ圧を目標保持圧Paccrefに近づけることができ、再蓄圧に要する時間を短くすることができる。
本実施例においては、車高制御ECU100の図12のフローチャートで表されるアキュムレータ圧低減プログラムを記憶する部分、実行する部分等により、温度上昇時アキュムレータ圧低減部が構成される。
なお、S33,34のステップは不可欠ではない。S33,34のステップをなくせば、車両の走行速度に関係なく、温度が上昇したことを検出することが可能となる。
また、設定値ΔTemthを通常作動時には起こり得ない大きさとすることもできる。
以上、複数の実施例について説明したが、これら複数の実施例は互いに組み合わせて実行することができる。
なお、図13に示すように、アキュムレータ圧を検出する専用のセンサ202を、アキュムレータ制御弁70より蓄圧用アキュムレータ側の部分に設けることができる。このようにすれば、そのアキュムレータ圧センサ202の検出液圧が設定圧より高くなった場合に、蓄圧用アキュムレータ66が開放されるようにすることもできる。本実施例においては、アキュムレータ圧を常時取得可能となるという利点がある。また、アキュムレータ圧が設定圧より高くなった場合には、アキュムレータ圧センサ202による検出値が目標保持液圧Paccrefに近づくまで、アキュムレータ制御弁70を開状態とすることができる。
また、蓄圧用アキュムレータ本体にフィンを設けることができる。フィンを設ければ、車両が停止状態にあるとみなし得る速度以上の速度で走行している場合に、蓄圧用アキュムレータ本体を冷却することができる。そのため、上記各実施例における空冷効果が期待できない設定速度Vthを小さくすることができ、蓄圧用アキュムレータ66が開放される頻度を低くすることができる。
さらに、上記各実施例における車高制御システムにおいて、作動流体は作動液であったが、エアとすることもできる。
また、上記各実施例においては、車高制御がアキュムレータ圧低減制御に優先して行われるようにされていたが、アキュムレータ圧低減制御が車高制御に優先して行われるようにすることもできる。さらに、車高要求の内容に応じて、優先的に行われる制御が決定されるようにすることもできる。
さらに、蓄圧用アキュムレータ66を開放する場合に、アキュムレータ制御弁70がデューティ制御されるようにすることができる。また、アキュムレータ制御弁70が開状態において開度を制御可能なリニア弁である場合には、開度が制御されるようにすることができる。例えば、アキュムレータ圧に基づいてデューティ制御比や開度が決められるようにすれば、開時間T2thを一定としても、開放後のアキュムレータ圧を目標保持圧Paccrefに近づけることができる。
また、上記各実施例においては、蓄圧用アキュムレータ66が、ピストン90にシール部材92,93が二重に設けられた構造を為したものであったが、それに限らない。シール部材が1つである構造を為したものであっても、本発明を適用することによって、有効な効果が得られる。さらに、ピストン式のものに限らず、ブラダ式、ベローズ式のアキュムレータ等に適用することも可能である。
本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例である車高制御システムを備えたサスペンション装置を示す図である。 上記車高制御システムの車高制御ECUの記憶部に記憶された車高制御・アキュムレータ圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記車高制御ECUの記憶部に記憶されたアキュムレータ圧低減プログラムを表すフローチャートである。 上記車高制御システムにおけるアキュムレータ圧の変化状態を示す図である。 上記車高制御ECUの記憶部に記憶された別のアキュムレータ圧低減プログラムを表すフローチャートである。 上記記憶部に記憶された温度上昇推定時間決定テーブルを模式的に表すマップである。 上記記憶部に記憶された別のアキュムレータ圧低減プログラムを表すフローチャートである。 上記プログラムの一部を表すフローチャートである。 上記記憶部に記憶された開時間決定テーブルを模式的に表すマップである。 上記車高制御システムにおけりアキュムレータ圧の変化状態を示す図である。 本発明の別の一実施例である車高制御システムを備えたサスペンション装置を示す図である。 上記車高制御システムの車高制御ECUの記憶部に記憶されたアキュムレータ圧低減プログラムを表すフローチャートである。 本発明のさらに別の一実施例である車高制御システムを備えたサスペンション装置を示す図である。 上記車高制御システムの車高制御ECUの記憶部に記憶された別の多給ムレータ低減プログラムを表すフローチャートである。
符号の説明
10:懸架シリンダ 52:作動液給排装置 58:リザーバ 61:ポンプ 66:蓄圧用アキュムレータ 70:アキュムレータ制御弁 72:液圧センサ 86:流出制御弁 100:車高制御ECU 126:イグニッションスイッチ 200:温度センサ 202:アキュムレータ圧センサ

Claims (14)

  1. 車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、
    (a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む流体源と、
    その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体圧アクチュエータから前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、
    前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出入がない状態で、その蓄圧用アキュムレータの流体の圧力であるアキュムレータ圧が予め定められた設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が予め定められた設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くするアキュムレータ圧低減装置と
    を含むことを特徴とする車高制御システム。
  2. 前記アキュムレータ圧低減装置が、前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度上昇に起因して、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くする温度上昇時アキュムレータ圧低減部を含む請求項1に記載の車高制御システム。
  3. 前記アキュムレータ圧低減装置が、(a)前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容された時点における前記アキュムレータ圧と、前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容されている状態における流体の温度上昇値とに基づいて、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなったことを取得する高アキュムレータ圧取得部と、(b)前記蓄圧用アキュムレータに流体が収容されている状態における流体の温度上昇値に基づいて前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加したことを取得する大アキュムレータ圧増加値取得部との少なくとも一方を含む請求項1または2に記載の車高制御システム。
  4. 前記蓄圧用アキュムレータが、車両の外気に接し、かつ、車両の駆動源の作動に伴って発せられる熱によって加熱される位置に設けられ、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記蓄圧用アキュムレータに前記流体が収容された状態において、前記駆動源の作動状態において、前記車両の走行速度が設定速度以下である状態が、設定時間以上続いた場合に、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方であるとして、前記アキュムレータ圧を低くする停止中等アキュムレータ圧低減部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  5. 前記アキュムレータ圧低減装置が、(a)前記蓄圧用アキュムレータに収容された流体の温度を検出する温度検出装置と、(b)前記温度検出装置によって検出された温度が予め定められた設定温度以上上昇した場合に、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記アキュムレータ圧が前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方であるとして、前記アキュムレータ圧を低くする検出温度上昇時アキュムレータ圧低減部とを含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  6. 前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁を含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記アキュムレータ制御弁により前記蓄圧用アキュムレータが前記流出入阻止状態とされた状態において、前記アキュムレータ圧が前記設定圧より高くなった場合と、前記設定値以上増加した場合との少なくとも一方の場合に、前記アキュムレータ圧を低くする制御弁状態対応アキュムレータ圧低減部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  7. 前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁を含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記アキュムレータ制御弁により、前記蓄圧用アキュムレータを前記流出入阻止状態から前記流出入許容状態に切り換えることにより、前記蓄圧用アキュムレータから流体を流出させる蓄圧用アキュムレータ開放部を含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  8. 前記流体源が、前記蓄圧用アキュムレータ開放部によって前記流出入許容状態とされた場合に、前記蓄圧用アキュムレータを前記流体圧アクチュエータから遮断して前記低圧源に連通させる低圧源連通機構を含む請求項7に記載の車高制御システム。
  9. 前記蓄圧用アキュムレータ開放部が、前記アキュムレータ制御弁を、流出許容時間の間、前記流出入許容状態となるように保つ制御弁保持部を含むとともに、その制御弁保持部が、(a)前記アキュムレータ圧を取得するアキュムレータ圧取得部と、(b)前記アキュムレータ制御弁によって前記流出入阻止状態から前記流出入許容状態に切り換えられる時点において前記アキュムレータ圧取得部によって取得されたアキュムレータ圧が高い場合は低い場合より前記流出許容時間を長くする流出許容時間決定部とを含む請求項7または8に記載の車高制御システム。
  10. 前記流体源が、(a)前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する状態と、阻止する状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁と、(b)前記低圧源から流体を汲み上げて、前記蓄圧用アキュムレータに供給可能なポンプを含むポンプ装置と、(c)前記ポンプと前記アキュムレータ制御弁との間に設けられた流体圧検出装置と、(d)前記ポンプの非作動状態において前記ポンプの吐出側を前記低圧源に連通させ、前記ポンプの作動状態において、そのポンプの吐出圧によって、前記ポンプの吐出側と前記低圧源とを連通させる状態から遮断する状態に切り換えるパイロット式の低圧源遮断弁とを含み、前記アキュムレータ圧低減装置が、前記ポンプを作動状態とするとともに前記アキュムレータ制御弁により前記蓄圧用アキュムレータを流出入許容状態として、前記流体圧検出装置によって流体圧を検出し、その検出流体圧に基づいて前記アキュムレータ圧を取得するポンプ作動時アキュムレータ圧取得部を含む請求項1ないし9のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  11. 前記流体源が、(a)前記蓄圧用アキュムレータにおける流体の流出・流入を許容する流出入許容状態と、阻止する流出入阻止状態とに制御可能なアキュムレータ制御弁と、(b)前記低圧源から流体を汲み上げて、前記蓄圧用アキュムレータに供給可能なポンプを含むポンプ装置とを含み、当該車高制御システムが、前記車高制御装置による車高制御が行われていない間に、前記アキュムレータ制御弁により前記蓄圧用アキュムレータを前記流出入許容状態とするとともに前記ポンプ装置を制御することによって、前記アキュムレータ圧を予め定められた設定範囲内の大きさとし、その後、前記流出入阻止状態に保持するアキュムレータ圧制御装置を含む請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  12. 前記アキュムレータ圧制御装置が、前記アキュムレータ圧低減装置によってアキュムレータ圧が一旦低くされた後、前記アキュムレータ圧を前記設定範囲内の大きさに増加させる低減後アキュムレータ圧増加部を含む請求項11に記載の車高制御システム。
  13. 前記蓄圧用アキュムレータが、仕切り部材と、その仕切り部材により仕切られた2つの容積室とを含むとともに、前記2つの容積室のうちの一方に前記流体としての作動流体が収容され、他方に気体が封入された気体式蓄圧用アキュムレータである請求項1ないし12のいずれか1つに記載の車高制御システム。
  14. 車両の車輪を保持する車輪保持部と、車体との間に設けられた流体圧アクチュエータと、
    (a)低圧源と、(b)流体を加圧した状態で収容する蓄圧用アキュムレータとを含む流体源と、
    その流体源から前記流体圧アクチュエータへの流体の流入、前記流体圧アクチュエータから前記流体源への流体の流出を制御して、前記車輪保持部と前記車体との相対位置関係である車高を制御する車高制御装置と、
    前記蓄圧用アキュムレータの過熱を防止する過熱防止装置と
    を含むことを特徴とする車高制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017165113A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 トヨタ自動車株式会社 車高調整システム
JP2019084954A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 トヨタ自動車株式会社 車両用サスペンションシステム

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