JP2008189083A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】空気入りタイヤのビード部の剛性段差を解消し、かつカーカスプライの端部をビードコアで確実に係止してビード部の耐久性を向上させる。
【解決手段】カーカスプライ20の端部をビードコア30のタイヤ周方向に延びるビードワイヤ31、32で両側から挟み込んで係止する。ビードコア30は、異なる径のビードワイヤ31、32からなり、大径なビードワイヤ31と小径なビードワイヤ32とが、カーカスプライ20の両側のそれぞれに沿って交互に複数配置され、かつカーカスプライ20の両側間でカーカスプライ20を挟んで対向するよう互い違いに配置されている。ビードコア30は、カーカスプライ20の端部を、この複数のビードワイヤ31、32で挟み込んで大径なビードワイヤ31により対向する小径なビードワイヤ32側に屈曲させ、ジグザグ状に噛み込んで係止する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、カーカスプライの端部をビード部に配置された複数のビードワイヤにより挟み込んで係止した空気入りタイヤに関し、特に、カーカスプライの端部を確実に係止してビード部の耐久性を向上させた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ、例えばラジアル構造の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部に配置されたビードコアと、その間に渡ってトロイダル状に延びる1層以上のカーカスプライとを備えており、カーカスプライ内には、スチールや有機繊維コード等のラジアル方向(タイヤ子午線方向)に延びるカーカスコードが複数本埋設されている。このカーカスプライは、一般に、複数本のカーカスコードを略平行に配列してゴムで被覆した後、コード方向に対して略90°の角度で裁断等して形成され、タイヤ成型時に一対のビードコア間に渡って配置される。また、カーカスプライの両端部は、ビードコアの周りをタイヤ内側から外側に向かって巻き上げられて係止され、ビードコアから引き抜かれるのが防止されている。
ところが、このような構造の空気入りタイヤでは、カーカスプライの巻き上げ端部付近を境界に、カーカスプライの巻き上げ部の有無によりタイヤ径方向の剛性段差が生じ、タイヤ転動時の負荷荷重により、カーカスプライの巻き上げ端部に比較的大きなせん断歪みが発生する。その結果、この空気入りタイヤでは、カーカスコードの端部と周囲のゴムとの間で接着破壊が生じ、これを起点にセパレーションが進展してタイヤに故障が発生する恐れがある。
そこで、従来、このような問題を解消するため、カーカスプライの端部を、ビードコア周りに巻き上げずに、ビードコア(ビードワイヤ)間に挟み込んで係止し、カーカスプライの巻き上げ部をなくして、上記した剛性段差及びセパレーション等が生じるのを防止した空気入りタイヤが提案されている(特許文献1参照)。
この従来の空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に延びるビードワイヤを、硬質ゴムを挟んでカーカスプライの端部の両側に沿って複数配置し、カーカスプライの端部を、これら複数のビードワイヤで両側から挟み込んで、ビードワイヤとカーカスコードとの間のせん断力により係止する。しかしながら、この従来の空気入りタイヤでは、カーカスプライの端部は、硬質ゴムを介して単に両側のビードワイヤ間に挟まれているだけであるため、大きな係止力が発生せず、カーカスプライ端部の充分な係止効果が得られないという問題がある。その結果、この従来の空気入りタイヤでは、タイヤの加硫成型時に作用する張力や走行中の繰り返し歪みにより、ビードコアからカーカスプライ(カーカスコード)が引き抜かれる、いわゆる引き抜け現象が生じ易く、ビード部の耐久性が低下する恐れがある。
このような問題に対し、従来、カーカスプライの端部を、複数のビードワイヤによりジグザグ状に挟み込み、その係止力を高めてビードコアから引き抜かれるのを抑制した空気入りタイヤも提案されている(特許文献2参照)。
図4は、この従来の空気入りタイヤのビード部を示すタイヤ幅方向の断面図である。
この空気入りタイヤ100は、図示のように、ビード部101に設けられたビードコア110を一対の分割ビードコア111、112から構成し、それらをカーカスプライ102の端部を挟んで対向させて配置している。また、各分割ビードコア111、112のビードワイヤ111A、112Aを、タイヤ半径方向内側から外側(図では下側から上側)に向かって順に2列、1列、2列と繰り返し複数段積層し、それらの対向する面を互いに噛み合う凹凸面に形成している。
この空気入りタイヤ100では、両分割ビードコア111、112の対抗する凹凸面でカーカスプライ102の端部を挟み込み、各凹凸面のビードワイヤ111A、112A同士を噛み合わせてカーカスプライ102の端部をジグザグ状に屈曲させて係止する。このビードワイヤ111A、112Aの噛み合いにより、カーカスプライ102の端部を強い力で係止してビードコア110に保持し、カーカスプライ102(カーカスコード)の引き抜け現象の発生を抑制している。
しかしながら、この従来の空気入りタイヤ100では、ビードワイヤ111A、112Aを2列、1列と順次積層して組み合わせて凹凸面を形成するため、それらを所定位置に確実に配置して凹凸面の凹凸を均一に形成するのが難しく、それらの噛み合いも不均一になり易いという問題がある。その結果、場合によっては、一部のビードワイヤ111A、112Aの噛み合いによりカーカスプライ102の端部を係止することになり、その部分にカーカスプライ102から受ける力が集中して周囲のゴムに亀裂が発生する等、空気入りタイヤ100に故障が生じ易くなる恐れがある。また、この空気入りタイヤ100では、各分割ビードコア111、112の凹凸形状を安定して維持するのが難しく、例えば加硫成型中の圧力によりビードワイヤ111A、112Aの位置がずれたときや、或いは、走行を重ねてビードワイヤ111A、112Aの周囲のゴムが劣化して、それらの位置がずれたとき等に、凹凸面が変形して平坦になり易く、これに伴い、カーカスプライ102のカーカスコードがビードコア110から抜け易くなる恐れがある。
また、このようなカーカスコードの引き抜け現象を防止する他の手法として、カーカスプライを2層又は3層以上重ね合わせて配置し、各カーカスプライの端部を、それぞれ両側からビードワイヤで挟み込むことで、ビードワイヤとカーカスコードとの接触領域を増やすことも考えられる。しかしながら、このようにした場合には、ビードワイヤによるカーカスプライ端部の係止力は確実に強くなるものの、カーカスプライを増加させた分だけ、空気入りタイヤのサイド部の剛性も高くなるため、操縦安定性能や乗り心地性能が低下し、かつ、製造コストが高くなる等、他の新たな問題が生じる。
特開平6−171306号公報 特開2005−329914号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を低下させることなく、ビード部に剛性段差が生じるのを防止し、かつカーカスプライの端部をビードコアで確実に係止して引き抜け現象が生じるのを防止し、ビード部の強度を確保して耐久性を向上させることである。
請求項1の発明は、一対のビード部間に渡って延びるカーカスプライと、前記ビード部に配置され、前記カーカスプライの端部をタイヤ周方向に延びる複数のビードワイヤで両側から挟み込んで係止するビードコアと、を備えた空気入りタイヤであって、前記複数のビードワイヤは、交互に配置された大径なビードワイヤと小径なビードワイヤとからなり、前記カーカスプライを挟んで前記大径なビードワイヤと前記小径なビードワイヤとが対向するように配置され、前記挟み込んだカーカスプライの端部を前記大径なビードワイヤにより対向する前記小径なビードワイヤ側に屈曲させることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、前記大径なビードワイヤの径が、前記小径なビードワイヤの径の1.2〜4.0倍の範囲内にあることを特徴とする。
請求項3の発明は、一対のビード部間に渡って延びるカーカスプライと、前記ビード部に配置され、前記カーカスプライの端部をタイヤ周方向に延びる複数のビードワイヤで両側から挟み込んで係止するビードコアと、を備えた空気入りタイヤであって、前記ビードワイヤは、各々長手方向に沿って大径部と小径部とを交互に有し、前記複数のビードワイヤは、隣接するそれぞれの前記大径部と前記小径部とが対向するように、かつ前記カーカスプライを挟んでそれぞれの前記大径部と前記小径部とが対向するように配置され、前記挟み込んだカーカスプライの端部を前記大径部により対向する前記小径部側に屈曲させることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、前記ビードワイヤの前記大径部及び小径部を、該ビードワイヤの径を長手方向に沿って連続して変化させて交互に拡径及び縮径させて形成したことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載された空気入りタイヤにおいて、前記ビードワイヤは、前記大径部の最大径が前記小径部の最小径の1.2〜4.0倍の範囲内にあることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記ビードワイヤのタイヤ周方向断面の表面形状が、円弧、又は楕円弧、又は正弦波形状を組み合わせた形状、又は、それらを任意に組み合わせた形状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を低下させることなく、ビード部に剛性段差が生じるのを防止でき、かつカーカスプライの端部をビードコアで確実に係止して引き抜け現象が生じるのを防止でき、ビード部の強度を確保して耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤの構造を模式的に示すタイヤ幅方向の断面図である。
この空気入りタイヤ1は、図示のように、一対のビード部2間に渡って延びる少なくとも1層又は2層(ここでは1層)のカーカスプライ20と、各ビード部2に配置され、カーカスプライ20の端部を挟み込んで係止するビードコア30と、トレッド部3のカーカスプライ20の外周側に配置された少なくとも2層(ここでは2層)のベルト層10、11と、その外周側に配置された少なくとも1層(ここでは1層)のベルト補強層12と、トレッド部3の外周面を構成するトレッドゴム13と、を備えている。
ベルト層10、11は、タイヤ半径方向に順に重ね合わせて配置されて、全体として略環状をなし、トレッド部3のタイヤ幅方向の略全域に亘って、カーカスプライ20をタイヤ半径方向外側から覆うように隣接して配置されている。これら各ベルト層10、11のそれぞれには、例えばスチール等の金属や有機繊維等からなる複数本の剛性の高いコードが、タイヤ周方向(赤道方向)に対して所定の角度で傾斜して略平行に所定間隔で配列されている。この空気入りタイヤ1では、各ベルト層10、11内のコードを、タイヤ周方向に対して互いに逆方向に15〜45°の角度(ここでは30°)で傾斜させ、それらが互いに交差(交錯)するように積層してトレッド部3の剛性を高め、操縦安定性能や低転がり抵抗性能等を確保している。
ベルト補強層12は、ベルト層10、11のタイヤ半径方向外側に隣接して配置され、それらの全体を外側から覆うようにトレッド部3のタイヤ幅方向の略全域に亘って設けられている。このベルト補強層12は、ナイロンコード等の有機繊維コードやスチールコード等の1本又は複数本のコードを、ベルト層10、11の外周側に、タイヤ周方向に沿うようにスパイラル状(らせん状)に所定間隔で巻き付けて形成され、この実質上タイヤ周方向に略平行に配置されたコードにより、高速転動時の遠心力によるタイヤの膨張を防ぎ、高速走行時の操縦安定性能を高めている。
トレッドゴム13は、トレッド部3の路面等に接するゴム層であり、その表面(踏面)に、タイヤ周方向に延びる主溝や略タイヤ幅方向に延びるラグ溝等の各種の溝14やサイプ等からなるトレッドパターンが形成されている。
カーカスプライ20は、一対のビード部2に配置されたビードコア30からサイド部4とトレッド部3を通ってトロイダル状に延び、そのタイヤ半径方向内側の両端部がビードコア30に係止されている。また、カーカスプライ20は、例えばポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミド等の有機繊維コードやスチールコード等の複数本のカーカスコードを有し、この複数本のカーカスコードを、空気入りタイヤ1のラジアル方向(子午線方向)に、即ちタイヤ周方向に対して略90°の角度で延びるように配置しつつタイヤ周方向に所定間隔で配列させている。なお、各カーカスコードは、タイヤ製造時のばらつき等も含めて、実際にはタイヤ周方向に対して85°〜90°の角度で配置されている。
ビードコア30は、カーカスプライ20の端部を挟んで、そのタイヤ幅方向の内側及び外側に配置されたタイヤ周方向に延びる複数のビードワイヤ31、32からなり、ビードワイヤ31、32を、それぞれカーカスプライ20の両側面に沿って、タイヤ半径方向内側から外側に向けて順次積層して形成され、それらでカーカスプライ20の端部をタイヤ幅方向の両側から挟み込んで係止する。また、このビードコア30のタイヤ半径方向外側には、硬質ゴムからなるビードフィラ(図示せず)が隣接して設けられており、タイヤ半径方向最外側に位置する各ビードワイヤ31、32の外周位置から、それぞれタイヤ半径方向外側に向かって先細り状に延びるように形成され、カーカスプライ20の両側に沿って配置されている。
ここで、ビードワイヤ31、32は、所定の断面形状(ここでは略円形状)の線材であり、例えばメッキ処理を施した鋼線又はスチール素線の単線、複数本のスチール素線を撚り合わせたスチールコード、若しくは樹脂を含浸させた有機繊維コード等が使用できる。また、本実施形態のビードコア30は、異なる2つの径のビードワイヤ31、32からなり、これらをカーカスプライ20の端部に沿って、略タイヤ半径方向及びタイヤ幅方向に交互に互い違いに複数配置し、これらでカーカスプライ20の端部を略ジグザグ状等に挟み込んで係止する。
図2は、この空気入りタイヤ1のビード部2付近の一部を拡大して示す斜視図であり、カーカスプライ20に配置されたカーカスコード21と、ビードコア30内のビードワイヤ31、32とを抜き出して模式的に示す。
このビードコア30は、図示のように、所定径に形成された大径な(太い)ビードワイヤ31と、それよりも小径な(細い)ビードワイヤ32と、からなり、それらをカーカスプライ20(カーカスコード21)端部の両側のそれぞれに、カーカスプライ20(カーカスコード21の長手方向)に沿って交互に所定間隔で、かつ互いに略平行になるように複数(図では6段)配置している。
また、このビードコア30では、カーカスプライ20の両側間で、大径なビードワイヤ31と小径なビードワイヤ32とを、カーカスプライ20を挟んで対向するよう互い違いに配置している。即ち、両ビードワイヤ31、32を、カーカスプライ20の両側間で配置順序をずらせて互い違いに同じ数だけ配置するとともに、それらを、大径なビードワイヤ31と小径なビードワイヤ32とがカーカスプライ20を挟んで向かい合うように配置して、両側のビードワイヤ31、32を対向させている。
ビードコア30は、このようにしてカーカスプライ20側の対向面が互いに噛み合うような凹凸面になるようにビードワイヤ31、32を配置し、これら対向する複数のビードワイヤ31、32の凹凸面でカーカスプライ20の端部を挟み込んで係止する。この挟み込まれたカーカスプライ20(カーカスコード21)の端部は、対向するビードワイヤ31、32同士(凹凸面)の噛み合いで、大径なビードワイヤ31により対向する小径なビードワイヤ32側に押し込まれて変位して屈曲する。その結果、カーカスプライ20の端部は、全体としてジグザグ状や波状等、ビードワイヤ31、32の形状や配置等に応じた屈曲形状に変形し、ビードコア30(ビードワイヤ31、32)により噛み込まれるようにして係止される。
なお、この空気入りタイヤ1では、カーカスプライ20の両側のそれぞれに、大径及び小径なビードワイヤ31、32を1組として、この組を少なくとも2段以上で8段以下(ワイヤの断面本数では4本以上16本以下)(ここでは3段、6本)、かつ、それぞれ同じ段数配置している。また、大径なビードワイヤ31の径を、小径なビードワイヤ32の径の1.2〜4.0倍の範囲内に形成している。更に、この空気入りタイヤ1では、カーカスプライ20の最端部(切断端部)をビードコア30(最内側のビードワイヤ31、32)の内周面から突出させ、タイヤ半径方向最内側(図では最下側)のビードワイヤ31、32により、カーカスプライ20の切断端(図では下端)から所定距離だけタイヤ半径方向外側に離れた位置を挟み込んでいる。この突出長さは、空気入りタイヤ1の種類やサイズ等に応じて0.5〜5mm程度に形成され、ここでは約1mm程度突出させている。
以上説明した空気入りタイヤ1を製造するには、例えばグリーンタイヤ(生タイヤ)の成型時に剛体コア等の外面にカーカスプライ20を配置する前に、まず、その下層となるタイヤ構成部材の外面の所定位置に、ビードワイヤ31、32をタイヤ周方向に沿って巻き付ける。この巻き付けは、各1本ずつの大径及び小径なビードワイヤ31、32を1組とし、これをタイヤ半径方向内側から外側に向かって所定回数、順次半径を大きくしながら行い、これにより、ビードコア30のカーカスプライ20を挟んだ一方側(タイヤ幅方向内側)を形成する。次に、その上にカーカスプライ20を配置した後、ビードワイヤ31、32を、カーカスプライ20を挟んで前記一方側のビードワイヤ31、32と対向する所定位置に同様に巻き付けて、ビードコア30のカーカスプライ20を挟んだ他方側(タイヤ幅方向外側)を形成し、これら両側のビードワイヤ31、32によりカーカスプライ20の端部を挟み込む。
続いて、他のタイヤ構成部材を貼り付ける等してグリーンタイヤを成型し、加硫金型内で加硫成型して製品タイヤを製造する。この加硫成型時に、内型からの圧力でビード部2が外型に押し付けられてビードコア30に両側から圧力が作用し、カーカスプライ20を挟んで互い違いに対向配置されたビードワイヤ31、32が互いに噛み合い、それらで挟み込んだカーカスプライ20の端部を、ジグザグ状等に屈曲させて係止してビードコア30(ビード部2)に固定する。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、このビードワイヤ31、32の噛み合いにより、カーカスプライ20の端部を屈曲させて噛み込むように係止するため、カーカスプライ20及びカーカスコード21の端部のビードコア30からの引き抜け抵抗を増加させることができ、その係止力を高めて強い力で確実に係止することができる。加えて、カーカスプライ20をビードコア周りに巻き上げずに係止できるため、上記したカーカスプライ20の巻き上げ端部を挟んだビード部2の剛性段差及び、それに起因するセパレーションや故障の発生を防止することもできる。
また、この空気入りタイヤ1では、異なる2つの径のビードワイヤ31、32を交互に、かつカーカスプライ20を挟んで対向するよう互い違いに配置したため、加硫成型時の圧力等が作用したときに、それらがカーカスプライ20を挟んで噛み合う位置に自然に移動して配置される等、各ビードワイヤ31、32が所定の噛み合い位置からずれて成型され難く、カーカスプライ20の端部を確実かつ均一に屈曲させて挟み込むことができる。その結果、カーカスプライ20の端部をビードコア30全体で略均等に係止でき、カーカスプライ20から受ける力が一部のビードワイヤ31、32に集中せずに分散されるため、ビードワイヤ31、32の周囲のゴムに亀裂等が発生するのを抑制することができる。同時に、このビードコア30の構造では、成型後には、各ビードワイヤ31、32が、その噛み合い位置から移動し難くなり、カーカスプライ20端部の屈曲形状及び噛み込みを安定して維持できるため、カーカスプライ20の端部を、より長期に渡って確実に係止することができる。
更に、この空気入りタイヤ1では、カーカスプライ20の数を増加させずに、その端部の係止力を高めることができるため、カーカスプライ20の増加による上記したサイド部の高剛性化及び、それに伴う操縦安定性能や乗り心地性能の低下等を防止することができる。
従って、本実施形態によれば、空気入りタイヤ1の操縦安定性能や乗り心地性能を低下させることなく、ビード部2に剛性段差が生じるのを防止できるとともに、カーカスプライ20の端部をビードコア30で確実かつ強固に係止することができる。これにより、カーカスプライ20(カーカスコード21)がビードコア30から引き抜かれる引き抜け現象が生じるのを効果的に防止できる等、ビード部2の強度を確保してその耐久性を向上させることができる。
ここで、カーカスプライ20の最端部は、両側のタイヤ半径方向最内側のビードワイヤ31、32の内周面に対して突出させて配置するのが望ましい。このようにすることで、それら各ビードワイヤ31、32によるカーカスプライ20の挟み込み位置が、カーカスプライ20の切断端から離れた位置になり、その端部をビードコア30により確実に係止でき、かつ加硫成型時にビードコア30内に空気溜まりが生じるのを防止することができる。この突出長さは、カーカスプライ20の最端部をビードワイヤ31、32の内周面から確実に突出させつつ、上記した各効果が得られる充分な長さに設定され、空気入りタイヤ1の種類やサイズ等にもよるが、0.5〜5mm程度が望ましく、1〜3mm程度がより望ましい。
また、カーカスプライ20の端部を複数回屈曲させて充分な係止効果を得るため、ビードコア30は、カーカスプライ20の両側のそれぞれに、大径及び小径なビードワイヤ31、32を1組として、この組を少なくとも2段(ワイヤの断面本数では4本)、より好ましくは3段以上配置して形成するのが望ましい。これが2段よりも少ない場合には、カーカスプライ20の端部の屈曲及び、それを挟み込むビードワイヤ31、32の数が不充分となり、端部の係止力が不足して、カーカスプライ20がビードコア30から抜け易くなる恐れがある。この段数が多いほど、その分だけ端部の係止力が高くなりカーカスプライ20がビードコア30から抜け難くなるが、必要以上に多くするとビード部2のリム組性能が低下するため、段数は8段以下にするのが望ましい。
更に、大径なビードワイヤ31の径は、小径なビードワイヤ32の径の1.2〜4.0倍の範囲内になるように形成するのが望ましい。これは、1.2倍未満では、両ビードワイヤ31、32の径の差が小さくなり過ぎ、カーカスプライ20の屈曲(変位量)も小さくなって、充分な係止力が得られない恐れがあるからである。また、4.0倍よりも大きいと、両ビードワイヤ31、32の径の差が大きくなり過ぎて小径なビードワイヤ32の存在が薄くなり、やはりカーカスプライ20の屈曲及び係止力が小さくなるとともに、小径なビードワイヤ32が加硫成型時に位置ずれし易くなり、所定の噛み合い位置に配置し難くなる恐れがあるからである。
なお、これら各ビードワイヤ31、32には、上記したように、鋼線やスチール素線の単線、スチールコード、有機繊維コード等が使用でき、例えば、鋼線としては、従来から使用されている線径が0.8〜2.0mm程度の通常の硬鋼線材や、その表面にブロンズメッキ処理を施した線材等を使用できる。また、ビードワイヤ31、32は、直径が0.8〜2.0mm程度の断面略円形状のスチール素線の単線や、一辺が0.8〜3.0mm程度の正方形や長方形等の断面矩形状のスチール製の角線等であってもよく、ブラスメッキ処理した線径が0.15〜0.5mm程度のスチール素線を、複数本撚り合わせたスチールコード等の金属製のコードであってもよい。同様に、ビードワイヤ31、32は、有機繊維コード、例えば総繊度が3,000〜10,000dtex程度のナイロン、ポリエステル、アラミド等の繊維コードにRFL(レゾルシン・フォルムアルデヒド・ラテックス)樹脂等のゴムとの接着性を有する硬化性樹脂を含浸させた撚りコード等でもよい。
また、本実施形態では、断面円形状のビードワイヤ31、32を使用したが、これらは、例えば断面楕円形状や矩形状、多角形状等、他の断面形状のものであってもよい。このように、ビードワイヤ31、32を他の断面形状に形成した場合には、主に、それぞれ対向するビードワイヤ31、32のカーカスプライ20を挟み込んで変位させる方向(以下、変位方向という)のワイヤ断面幅(太さ)により、カーカスプライ20の屈曲量(変位量)が変化する。従って、このような断面円形状以外のビードワイヤ31、32の場合に、その径というときには、上記した変位方向のワイヤ断面幅(太さ)のことをいう。
更に、本実施形態のカーカスプライ20は、複数本の並列されたカーカスコード21からなるが、このカーカスプライ20は、例えば複数本の並列させたカーカスコード21をゴムで被覆してシート状の反物とし、それを裁断等して所定形状に形成したものを使用してもよく、又は、ゴムで被覆した1本のカーカスコード21を所定長さに切断し、1本ずつ下層のタイヤ構成部材上にラジアル方向に配置して形成してもよい。
加えて、カーカスプライ20は、ゴムで被覆された1本のカーカスコード21を、切断せずにビード部2で折り返して連続配置して形成(以下、折り返し構造のカーカスプライという)してもよい。この折り返し構造のカーカスプライ20は、例えば1本のゴム被覆カーカスコード21を、一方のビード部2から他方のビード部2までラジアル方向に配置し、そこで折り返してタイヤ周方向に所定距離だけ離れた位置で、他方のビード部2に向かって再びラジアル方向に配置して折り返し、これを順次タイヤ周方向にずらせて繰り返し行い、タイヤ周方向の全体に亘って配置して形成される。このように、1本のカーカスコード21によりカーカスプライ20を形成すれば、カーカスプライ20及び空気入りタイヤ1の製造効率を効果的に向上させることができる。
以上、2種類のビードワイヤ31、32により形成したビードコア30について説明したが、次に、1種類のビードワイヤによりビードコアを形成する他の実施形態について説明する。
図3は、この他の実施形態のビード部2付近の一部を拡大して示す斜視図であり、カーカスプライ20のカーカスコード21と、ビードコア50内のビードワイヤ51とを抜き出して模式的に示す。
このビードコア50のビードワイヤ51は、図示のように、断面円形状に形成されるとともに、所定径に形成された径の大きい(太い)大径部51Aと、それよりも径の小さい(細い)小径部51Bとが、長手方向に沿って交互に所定ピッチで繰り返し形成されている。これら大径部51A及び小径部51Bは、ビードワイヤ51の径を連続して又は不連続に変化させて形成できるが、本実施形態のビードワイヤ51では、その径を長手方向に沿って連続して変化させて交互に所定ピッチで拡径及び縮径させている。これにより、最大径位置を中心にその長手方向の両方向の所定範囲を含む大径部51A(少なくとも平均径よりも大径な凸部)と、それよりも全体として径が小さく、最小径位置を中心にその長手方向の両方向の所定範囲を含む小径部51B(少なくとも平均径よりも小径な凹部)とを、交互に形成している。また、このビードワイヤ51では、その表面を滑らかに連続して湾曲する曲面状に形成するとともに、大径部51Aの最大径を小径部51Bの最小径の1.2〜4.0倍の範囲内に形成している。
ビードコア50は、このような形状の1種類のビードワイヤ51を、カーカスプライ20(カーカスコード21)の端部の両側のそれぞれに、タイヤ周方向に延びるように配置しつつ、カーカスプライ20(カーカスコード21の長手方向)に沿って所定間隔で、かつ互いに略平行になるように複数(図では6段)配置している。また、このビードコア50では、カーカスプライ20の両側のそれぞれで、互いに隣接するそれぞれのビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとを、タイヤ周方向に所定距離だけずらせて互い違いに配置し、隣接する一方のビードワイヤ51の大径部51Aを他方のビードワイヤ51の小径部51Bにそれぞれ隣接して位置させ、それらが互いに噛み合うように対向させて配置している。更に、このビードコア50では、カーカスプライ20の両側のビードワイヤ51を、カーカスプライ20を挟んで向かい合う位置に隣接して配置するとともに、これら互いに隣接するそれぞれのビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとを、上記と同様にタイヤ周方向にずらせて互い違いに配置し、カーカスプライ20を挟んで両ビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとを対向させている。
ビードコア50は、このようにしてカーカスプライ20側の対向面が互いに噛み合うような凹凸面になるようにビードワイヤ51を配置し、その長手方向及びカーカスコード21の長手方向に沿って凹凸を繰り返す凹凸面を形成し、これら対向する複数のビードワイヤ51の凹凸面でカーカスプライ20の端部を挟み込んで係止する。この挟み込まれたカーカスプライ20(カーカスコード21)の端部は、対向するビードワイヤ51同士(凹凸面)の噛み合いで、各大径部51Aにより対向する小径部51B側に押し込まれて変位して屈曲する。その結果、カーカスプライ20の端部は、全体としてジグザグ状や波状等、ビードワイヤ51の形状や配置等に応じた屈曲形状に変形し、ビードコア50(ビードワイヤ51)により噛み込まれるようにして係止される。
なお、ここでは、ビードワイヤ51を、カーカスプライ20の両側のそれぞれに、4段以上16段以下(ここでは6段)の同じ段数配置している。また、上記したカーカスプライ20(図2参照)と同様に、このカーカスプライ20でも、その最端部(ここでは折り返し端部)を、ビードコア50(タイヤ半径方向最内側のビードワイヤ51)の内周面から0.5〜5mm程度(ここでは約1mm程度)突出させている。ただし、このカーカスプライ20は、1本のカーカスコード21により形成された折り返し構造のカーカスプライ20であり、その製造効率を向上させている。
以上説明したビードコア50を備える空気入りタイヤ1も、上記と同様にグリーンタイヤの成型及び加硫成型等を経て製造される。この加硫成型時に、ビードコア50に両側から作用する圧力により、カーカスプライ20を挟んで対向するビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとが互いに噛み合い、それらで挟み込んだカーカスプライ20の端部をジグザグ状等に屈曲させて係止する。
従って、このビードコア50でも、カーカスプライ20の端部を屈曲させて噛み込むように強固に係止できる等、上記したビードコア30(図2参照)と同様の各効果等を得ることができる。それに加えて、このビードコア50では、1種類のビードワイヤ51によりカーカスプライ20の端部を屈曲形状にして係止できるため、2種類のビードワイヤ31、32を用意する必要がある上記したビードコア30(図2参照)に比べて、製造効率をより向上させることもできる。また、このビードコア50では、1種類のビードワイヤ51を、その中心線をジグザグ状に配置等せずに、タイヤ周方向及びカーカスプライ20に沿って中心線を合わせて配置する等、規則的に配置するだけで複数のビードワイヤ51のカーカスプライ20側の面が凹凸面になるため、カーカスプライ20を係止する凹凸面を容易に形成することができ、その端部を確実に係止することができる。
ここで、カーカスプライ20を、より均一に屈曲させて係止するため、その両側のそれぞれで、互いに隣接するビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとが互いに噛み合うように、ビードワイヤ51を配置するのが望ましい。また、カーカスプライ20の端部を複数回屈曲させて充分な係止効果を得るため、ビードコア50は、カーカスプライ20の両側のそれぞれに、ビードワイヤ51を4段、より好ましくは6段以上配置して形成するのが望ましい。これが4段よりも少ない場合には、カーカスプライ20の端部の屈曲及び、それを挟み込むビードワイヤ51の数が不充分となり、端部の係止力が不足して、カーカスプライ20がビードコア50から抜け易くなる恐れがある。この段数が多いほど、その分だけ端部の係止力が高くなりカーカスプライ20がビードコア50から抜け難くなるが、必要以上に多くするとビード部2のリム組性能が低下するため、段数は16段以下にするのが望ましい。
更に、ビードワイヤ51は、その径を長手方向に沿って連続して変化させる等して、例えば、タイヤ周方向断面の表面形状を、円弧、又は楕円弧、又は正弦波形状等の曲線を組み合わせた形状、又は、それら1以上の形状を任意に組み合わせた形状に形成する等、その表面を、滑らかに湾曲等して連続する曲面状に形成するのが望ましい。このようにすることで、ビードワイヤ51の表面でカーカスコード21や周囲のゴム等を傷つけるのを防止でき、それらに起因する欠陥や故障等が発生するのを抑制できる。
加えて、ビードワイヤ51は、大径部51Aの最大径が小径部51Bの最小径の1.2〜4.0倍の範囲内になるように形成するのが望ましい。これは、1.2倍未満では、大径部51A及び小径部51Bの径の差が小さくなり過ぎ、カーカスプライ20の屈曲(変位量)も小さくなって、充分な係止力が得られない恐れがあり、逆に、4.0倍よりも大きいと、それらの差が大きくなり過ぎて小径部51Bの存在が薄くなり、やはりカーカスプライ20の屈曲及び係止力が小さくなるからである。
なお、本実施形態では、カーカスプライ20の両側のそれぞれで、及びカーカスプライ20を挟んで、隣接するビードワイヤ51のそれぞれの大径部51Aと小径部51Bとを対向させて配置したが、これらは、それぞれ最大径位置と最小径位置とがタイヤ周方向等にある程度ずれた状態で対向していてもよい。このような場合でも、カーカスプライ20側の面に凹凸が形成され、カーカスプライ20を屈曲させて係止することができる。また、このビードワイヤ51には、上記したビードワイヤ31、32と同様に、種々の鋼線やスチール素線の単線、スチールコード、有機繊維コード等が使用でき、その断面形状も、同様に円形状以外の他の形状に形成しもよい。従って、ビードワイヤ51の径とは、上記した変位方向のワイヤ断面幅(太さ)のことである。
(タイヤ試験)
本発明の効果を確認するため、以上説明した2種類の構造のビード部2(ビードコア30、50)(図2、図3参照)等を備えた実施例の空気入りタイヤ1(図1参照)(以下、実施品1、2という)と、1つの径のビードワイヤでビードコアを形成した従来例(比較例)の空気入りタイヤ1(以下、従来品という)とを試作し、以下の条件でタイヤ耐久性試験及び走行試験を行った。
実施品と従来品はいずれも、JATMA YEAR BOOK(2006、日本自動車タイヤ協会規格)で定めるタイヤサイズ205/45R17(外径616mm)の乗用車用ラジアルプライタイヤであり、使用リムはリム幅7インチの7J×17である。
各タイヤ(図1参照)にはそれぞれ、上記した1層のカーカスプライ20、2層のベルト層10、11、1層のベルト補強層12、及びビードフィラ(図示せず)等を配置した。カーカスプライ20は、ナイロンを撚って直径0.7mmにしたカーカスコード21を、ビード部2での配置(打ち込み)間隔が50本/50mmになるようにラジアル方向に配置して形成した。ベルト層10、11は、直径0.25mmのスチール単線を3本撚った1×3タイプのスチールコードを、それぞれ50本/50mmの間隔で配列させて形成したが、各ベルト層10、11のコードは、タイヤ周方向に対して互いに逆方向の30°の角度で傾斜させて交差(交錯)させた。ベルト補強層12は、直径0.7mmに撚ったナイロンコードを、ベルト層10、11の外周側にタイヤ周方向に沿うようにスパイラル状に巻き付け、40本/50mmの間隔で配置して形成した。また、トレッドゴム13や各溝14等も同じように形成したが、ビードコア30、50は、各タイヤ毎に異なるように形成した。
実施品1(図2参照)では、直径が2.4mmと1.2mmの硬鋼線材の単線をブロンズメッキ処理した2種類のビードワイヤ31、32を、上記したように互い違いに配置してビードコア30を形成し、これにより、カーカスプライ20の端部を挟み込んで屈曲させて係止した。具体的には、カーカスプライ20のタイヤ幅方向内側では、タイヤ半径方向最内側に2.4mmの大径なビードワイヤ31を、その外側に1.2mmの小径なビードワイヤ32を配置し、これら2本を1組として順次サイドウォール方向(半径が大きくなる方向)に向かって3回巻き付け、計6段のビードワイヤ31、32を配置した。一方、カーカスプライ20の逆側(外側)では、大径なビードワイヤ31と小径なビードワイヤ32の順序を逆にして同様に計6段、内側のビードワイヤ31、32と対向させて配置し、これらでカーカスプライ20の端部を両側から挟み込んで係止した。また、実施品1のカーカスプライ20は、所定長さに切断した複数本のカーカスコード21から形成し、その最端部(切断端部)を、ビードコア30(最内側のビードワイヤ31、32)の内周面から1mm程度突出させた。
実施品2(図3参照)では、ビードワイヤ51として、大径部51A及び小径部51Bを有する断面円形状のブロンズメッキ処理した1種類の硬鋼線材の単線を使用し、このビードワイヤ51を、上記したように配置してビードコア50を形成し、これにより、カーカスプライ20の端部を挟み込んで屈曲させて係止した。具体的には、このビードワイヤ51は、大径部51Aの最大径が2.4mmに、小径部51Bの最小径が1.2mmになり、それら最大径位置と最小径位置の長手方向距離が1.8mmになるように、その径を長手方向に沿って連続して滑らかに変化させ、交互に拡径及び縮径させて形成した。このビードワイヤ51を、カーカスプライ20の両側のそれぞれに、隣接するビードワイヤ51の大径部51Aと小径部51Bとを対向させて互い違いに、タイヤ半径方向内側から外側に向かって6回巻き付けてビードコア50を形成し、これらによりカーカスプライ20の端部を両側から挟み込んで係止した。また、実施品2のカーカスプライ20は、1本のカーカスコード21により形成した折り返し構造のカーカスプライ20であり、その最端部(折り返し端部)を、ビードコア50(最内側のビードワイヤ51)の内周面から1mm程度突出させた。
これらに対し、従来品1では、直径が1.6mmの単一径のビードワイヤを、カーカスプライ20の端部の両側に、それぞれカーカスプライ20を挟んで対向するよう6回巻き付けてビードコアを形成し、これにより、カーカスプライ20の端部を屈曲させずに直線状に挟み込んで係止した。従来品1のビードワイヤの材質やカーカスプライ20等の他の構成は実施品1と同様である。
耐久性試験は、各タイヤを7J×17のリムにリム組みして内圧220kPaに調整し、ドラム径3mの表面が平滑な鋼製ドラムを備えたドラム試験機(周辺温度44±3℃)を用いて実施した。試験は、各タイヤを、ドラム上で速度80km/hの一定速度で走行(回転)させ、まず、6kNの荷重を負荷した状態で10時間走行させた後、次に、負荷荷重を1kN増やして同じく10時間走行させ、更に負荷荷重を1kN増やして10時間走行させ、このように、10時間毎に負荷荷重を1kNずつ増やしながらタイヤに故障が発生するまで走行させて行った。なお、各タイヤに発生した故障は、いずれもカーカスプライ20(カーカスコード21)がビードコアのビードワイヤ間から引き抜かれてビード部2で発生していた。
この耐久性試験の試験結果は、各タイヤに故障が発生するまでの合計走行距離を計測し、各計測結果を、従来品を基準に比較して評価した。以下、試験結果について説明するが、各合計走行距離は、従来品の走行距離(4150km)を100とした指数で表し、その値が大きいほど結果が良好でビード部2の耐久性が高いことを示している。
試験の結果、合計走行距離指数は、従来品の100に対して、実施品1では118、実施品2では123と大きくなっており、両実施品1、2ともに合計走行距離が長くなり、ビード部2の耐久性が大きく向上したことが分かった。
次に、各タイヤを実車に装着してテストコースにて走行試験を行い、操縦安定性能と乗り心地性能とを比較評価した。
その結果、実施品1、2及び従来品との間で差は認められなかった。
以上の結果から、本発明により、空気入りタイヤ1の操縦安定性能や乗り心地性能を低下させることなく、ビード部2に剛性段差が生じるのを防止でき、かつカーカスプライ20の端部をビードコアで確実に係止して引き抜け現象が生じるのを防止でき、ビード部2の強度を確保して耐久性を向上できることが証明された。
本実施形態の空気入りタイヤの構造を模式的に示すタイヤ幅方向の断面図である。 本実施形態の空気入りタイヤのビード部付近の一部を拡大して示す斜視図である。 他の実施形態の空気入りタイヤのビード部付近の一部を拡大して示す斜視図である。 従来の空気入りタイヤのビード部を示すタイヤ幅方向の断面図である。
符号の説明
1・・・空気入りタイヤ、2・・・ビード部、3・・・トレッド部、4・・・サイド部、10・・・ベルト層、11・・・ベルト層、12・・・ベルト補強層、13・・・トレッドゴム、14・・・溝、20・・・カーカスプライ、21・・・カーカスコード、30・・・ビードコア、31・・・ビードワイヤ、32・・・ビードワイヤ、50・・・ビードコア、51・・・ビードワイヤ、51A・・・大径部、51B・・・小径部。

Claims (6)

  1. 一対のビード部間に渡って延びるカーカスプライと、前記ビード部に配置され、前記カーカスプライの端部をタイヤ周方向に延びる複数のビードワイヤで両側から挟み込んで係止するビードコアと、を備えた空気入りタイヤであって、
    前記複数のビードワイヤは、交互に配置された大径なビードワイヤと小径なビードワイヤとからなり、前記カーカスプライを挟んで前記大径なビードワイヤと前記小径なビードワイヤとが対向するように配置され、前記挟み込んだカーカスプライの端部を前記大径なビードワイヤにより対向する前記小径なビードワイヤ側に屈曲させることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記大径なビードワイヤの径が、前記小径なビードワイヤの径の1.2〜4.0倍の範囲内にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 一対のビード部間に渡って延びるカーカスプライと、前記ビード部に配置され、前記カーカスプライの端部をタイヤ周方向に延びる複数のビードワイヤで両側から挟み込んで係止するビードコアと、を備えた空気入りタイヤであって、
    前記ビードワイヤは、各々長手方向に沿って大径部と小径部とを交互に有し、
    前記複数のビードワイヤは、隣接するそれぞれの前記大径部と前記小径部とが対向するように、かつ前記カーカスプライを挟んでそれぞれの前記大径部と前記小径部とが対向するように配置され、前記挟み込んだカーカスプライの端部を前記大径部により対向する前記小径部側に屈曲させることを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 請求項3に記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードワイヤの前記大径部及び小径部を、該ビードワイヤの径を長手方向に沿って連続して変化させて交互に拡径及び縮径させて形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  5. 請求項3又は4に記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードワイヤは、前記大径部の最大径が前記小径部の最小径の1.2〜4.0倍の範囲内にあることを特徴とする空気入りタイヤ。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードワイヤのタイヤ周方向断面の表面形状が、円弧、又は楕円弧、又は正弦波形状を組み合わせた形状、又は、それらを任意に組み合わせた形状に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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