JP2008188946A - 防護材料およびそれを用いた防護衣服 - Google Patents

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Abstract

【課題】有害化学物質の取り扱い作業者などを保護するための防護材料および防護衣服に関し、高い防護性のみならず、軽量、柔軟性、透湿性に優れ、着用者の熱ストレスを抑制でき、着用感に優れ、さらには、防護膜層の耐久性に優れた防護材料を提供する。
【解決手段】ガス吸着層5と下記防護膜層9をそれぞれ少なくとも1層以上有し、且つガス吸着層の外層側に少なくとも1層以上の防護膜層が配置されていることを特徴とする防護材料。防護膜層9:有機化学物質に対して透過抑制能があり、水蒸気に対して透過性のある選択透過層3の両面を透湿膜層2、4で積層した防護膜層9で、透湿膜層に硬化型透湿性接着剤を含有したことを特徴とする層。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有害化学物質の取り扱い作業者を保護するための防護材料および防護衣服に関する。詳細には、有機リン系化合物等の如く皮膚から吸収されて人体に悪影響を及ぼすガス状および液状有機化学物質から作業者を有効に防護し得る防護材料および防護衣服、さらには、軽量で、かつ高度な透湿性により着用者の熱ストレスを抑制でき、洗濯耐久性に優れた衣服用防護材料および防護衣服に関するものである。
有害化学物質などから人体を保護する防護衣服としては、従来から種々提案されている(特許文献1など参照)。例えばゴム曳き布のように、有害化学物質が全く透過しない材料で構成されたものがあり防護性能に優れている。しかし、この場合、材料(生地)が重いため取扱い性、作業性が悪く、また衣服にすると通気性および透湿度が全くないため、酷暑環境下や過酷な肉体労働環境下での作業に使用すると作業者に多大な熱ストレスが加わり、重篤な健康障害を及ぼす危険性を抱えている。
一方、通気性があり活性炭等の吸着材料からなる防護積層布帛も開示されている(例えば特許文献2)。これらは環境の有害化学物質の濃度が高いときなどは、比較的短時間でガス吸着性物質による吸着性能が飽和状態に近づき防護性が低下するという問題や、衣服にした場合には、通気性により体から発散される汗や水蒸気を効果的に衣服外に放出し、熱ストレスを抑制することができるが、長時間防護性能を維持するためには、比較的多くの吸着材料が必要となり、その結果、防護材料および防護衣服の質量が大きくなり熱ストレスの原因になる。
また、セルロースをベースにしたポリマーにより選択透過性を有する防護材料が公知である(例えば特許文献3)。かかるポリマーは、ガス状有機化学物質に対する透過抑制能および透湿性能を有してはいるが、ポリマー単独による防護材料では、取扱い時の屈曲、摩耗、キズ、さらには防護衣服として使用した場合や洗濯で受ける屈曲などによる選択透過層の劣化の影響で一旦ガスの透過が生じると、急激に浸透ガス濃度が上昇する危険性がある。そこで屈曲、摩耗、キズなどの劣化を少なくするために選択透過層の厚みを大きくすると、柔軟性が低く、重い材料となり所望とする防護材料や防護衣服となり得ない。
特開平9−651号公報 特開昭57−156036号公報 特表平11−505775号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、ガス状有機化学物質及び液状有機化学物質に対して高い防護性を有し、軽量で柔軟性に富む取扱い性に優れた防護材料であって、更には衣服にした場合には、着用者の熱ストレスを抑制するように軽量、柔軟性かつ高い透湿性を有して着用感に優れ、かつ洗濯耐久性にも優れた防護材料及び防護衣服を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、以下の通りである。
1.ガス吸着層と下記防護膜層をそれぞれ少なくとも1層以上有し、且つガス吸着層の外層側に少なくとも1層以上の防護膜層が配置されていることを特徴とする防護材料。
防護膜層:有機化学物質透過抑制性と水蒸気透過性とを有する選択透過層の両面に、透湿性接着剤を含有した透湿膜層が積層されてなる層
2.前記選択透過層がセルロース、セルロース誘導体にて構成されている上記1に記載の防護材料。
3.前記透湿膜層構成材料が透湿性ポリウレタンを含む材料である上記1〜2のいずれかに記載の防護材料。
4.前記透湿性接着剤構成材料が硬化型透湿性ポリウレタンを含む材料である上記1〜3のいずれかに記載の防護材料。
5.前記透湿膜層構成材料が透湿性ポリウレタンに対して硬化型透湿性ポリウレタン接着剤を5質量%以上混合した材料である上記1〜4のいずれかに記載の防護材料。
6.前記防護膜層の少なくとも片側に防護膜保護層を積層した上記1〜5のいずれかに記載の防護材料。
7.前記防護膜層の透湿度が50〜625g/m・hである上記1〜6のいずれかに記載の衣服用の防護材料。
8.前記選択透過層の透湿度が60〜850g/m・hである上記1〜7のいずれかに記載の衣服用の防護材料。
9.上記1〜8のいずれかに記載の防護材料を用いて縫製し、縫い目が有機化学物質に対して透過抑制性の樹脂でシール加工されてなる防護衣服。
上述の防護材料は、さらに衣服にする場合には、最外層(衣服にしたときの外層)に外層付加層が、最内層に内層付加層が設けられていることがより好ましい。
本発明の防護膜層を有する防護材料および該防護材料により形成された防護衣服は、使用中に発生する屈曲、摩耗、キズなどに起因する有機化学物質の侵入に対しても着用者を保護できる。また、選択透過層の耐久性が向上し、軽量で柔軟で、かつ高い透湿性を有するため、衣服にした場合には熱ストレスを抑制できる効果を有する。透湿膜層に硬化型の透湿接着剤を有するため、水、汗などの液状の有機化学物質に長時間さらされた場合や、洗濯した場合でも選択透過層と透湿膜層の界面で剥離が起こらない効果が得られる。
さらに、本発明の防護材料および該防護材料により形成された防護衣服は、防護膜層として無孔質または微多孔質のフィルムまたは被膜を用いたものであるため、液状の有害化学物質や有害な微粉塵、細菌、ウィルスなどのエアロゾルに対しても優れた防護性を有する。
上記の防護材料の少なくとも片側に設けることが好ましい防護膜保護層は、外部から与えられる機械的な力から防護膜層を保護し、機械的強度を補う効果を有する。さらに、防護材料の最外層に設けることが好ましい外層付加層や最内層に設けることが好ましい内層付加層は、外部から与えられる機械的な力から防護膜層を保護する効果と、衣服にした場合には防護衣着用者の汗によるべたつき感を抑制する効果も有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
選択透過層を構成する材料としては、皮膜形成後に透湿性を示し有機化学物質に対しては透過抑制性を示す選択透過能を有する材料が限定なく使用可能であり、具体的にはセルロース、セルロース誘導体、再生セルロース、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリオレフィン等の皮膜形成性能を有するポリマーが例示される。これらの材料は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。皮膜は単層であってもよく、2種類以上積層して形成したものであっても構わない。
選択透過層構成材料としては、上記記載のポリマーの中でセルロース誘導体、再生セルロースあるいはポリビニルアルコールが、有機化学物質の透過抑制性と透湿性とのバランスが優れており、より好ましく、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、再生セルロース(セロハン)から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。ここでいう有機化学物質とは炭素元素を1つ以上持つ化合物のことであり、農薬、殺虫剤、除草剤に使用される有機リン系化合物や塗装作業などに使用されるトルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの一般的な有機溶剤が例示される。
セルロース誘導体の酢化度としては50%以上、好ましくは55%以上であることが好ましい。50%未満であると対象とするガス状有機化学物質によっては効果的な透過抑制性が得られない場合がある。
セルロース誘導体の重合度の指標である6%粘度は、50 ×10−3Pa・s以上275×10−3Pa・s以下、好ましくは70×10−3Pa・s以上140×10−3Pa・s以下であることが好ましい。50×10−3Pa・s以下であるとガス状有機化学物質に対して効果的な透過抑制能が得られず、275×10−3以上では材料が堅くなり衣服用には適さない。
セルロース誘導体又は再生セルロースから選択される少なくとも1種からなる選択透過層は、セルロース誘導体又は再生セルロースなどのセルロース系ポリマーを60質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは80質量%以上含むものである。セルロース系ポリマーの含有量が60質量%未満であると、有機化学物質に対する透過抑制性を維持しながら、高透湿な材料を得ることができない。セルロース系ポリマーに、上記例示の選択透過層構成材料中の例えばガスおよび水蒸気に対し耐透過性を有する柔軟なポリマーをブレンドすることで選択透過層の透湿性及び透過抑制能を保持しながらより柔軟な選択透過層を作製することが出来る。係る柔軟なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等があげられる。また必要に応じポリマーに可塑剤を添加することにより選択透過層の柔軟性を向上させることもできる。係る可塑剤としては、クエン酸トリエチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、トリエチレングリコール等がある。
セルロース系ポリマーにイソシアネート化合物をブレンドすることで透湿膜層との接着性を上げて界面での剥離を抑制することができる。添加量は1質量%以上10質量%未満が好ましく、2質量%以上5質量%未満がさらに好ましい。10質量%以上になると有機化学物質に対する透過抑制性を維持できなくなるためである。
ポリマーから選択透過層を形成する方法としては、キャスト法(流延法)、押出法、射出成型法等により一旦ポリマー単独のフィルムとして製膜する方法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピン法等により微細繊維不織布を作製した後、熱カレンダー加工して膜とする方法、該ポリマーの溶液あるいは反応性の低重合物を透湿膜層にコーティング等により塗工後に乾燥あるいは重合固化する方法などが挙げられる。
本発明で使用する選択透過層の厚さは、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上70μm以下であることがより好ましい。選択透過層の厚さが3μm未満であると、有機化学物質に対しての防護性が満足できないうえ、十分な強度が得られない。選択透過層の厚さが100μmを超えると、透湿性が低下するうえ、材料が堅くなり質量も重くなる。
選択透過層の質量としては、100g/m以下であることが好ましく、70g/m以下であることがより好ましい。選択透過膜層の質量が100g/mを超える場合には、本発明の目的とする軽量な防護材料となり得ない。選択透過層の目付の下限は、上記透湿性・ガス透過性の要件が満たされる範囲であれば特に限定されるものではないが、通常5g/m以上である。
選択透過層の透湿性は、60g/m・h以上850g/m・h以下であることが好ましく、80g/m・h以上750g/m・h以下であることがより好ましい。選択透過層の透湿性が60g/m・h未満の場合は衣服にした場合に、着用者から発する汗・蒸気を有効に外部へ放出することができず、850g/m・hを超えると有機化学物質に対する透過抑制性を維持することができない。
選択透過層の有機化学物質の透過抑制性としては、防護材料に用いて実用上、有機化学物質に対する防護性が発揮できる程度の透過抑制性があればよいが、実施例の図3で示すような有機化学物質浸透性試験において、有機化学物質が検出できない程度に透過抑制性があることが好ましい。
選択透過層を保護するための透湿膜層の構成材料は透湿性のある素材であれば特に限定されるものではないが、透湿性、柔軟性、加工性の面から透湿性ポリウレタンが最も好ましい。
選択透過層を保護する透湿膜層の形成方法としては、ポリマーの溶液あるいは反応性の低重合物を選択透過層にコーティング等により塗工後、乾燥あるいは重合固化する方法、あるいは別途製造した透湿膜を透湿性の低下を防止し、かつ材料の柔軟性を維持するラミネート法により接着させる方法があるが、透湿性、柔軟性、質量および加工性の面からコーティング法によることがより好ましい。
選択透過層に透湿膜層を積層する場合には、両素材界面での剥離強度を上げるために、透湿膜層となる素材に硬化型透湿性の接着剤を透湿膜層構成素材に対して5質量%以上の割合で含有させることが有効な手段である。硬化型透湿性の接着剤の含有割合が5質量%未満であると十分な接着強度が得られない。
硬化型透湿性の接着剤は、透湿性が得られる素材であれば特に限定されるものではないが、透湿性、柔軟性、加工性の面からポリウレタン系が最も好ましい。
なお、接着剤の透湿性は、選択透過層及び透湿膜層の透湿性を阻害しない程度の透湿性であればよく、少なくとも、60g/m・h、より好ましくは100g/m・h以上あればよい。
また、両素材界面での剥離強度を上げるために、透湿膜層となる素材に選択透過層に使用するポリマーを透湿膜層構成素材に対して5質量%以上50質量%以下の割合で混合することも有効な手段である。選択透過層に使用するポリマーの混合割合が5質量%未満であると界面剥離が生じやすく、50質量%を超えると透湿膜層の透湿性が低下する原因となる。又、選択透過層となる素材に透湿膜層に使用する素材を添加しても良い。
透湿膜層の透湿性は、200g/m・h以上であることが好ましく、250g/m・h以上であることがより好ましい。透湿膜層の透湿性が200g/m・h未満の場合は防護膜層の透湿性が低下するためである。
また、透湿性を維持し軽量で柔軟な防護材料とするには、透湿膜層の厚さは3μm以上50μm以下であることが好ましい。透湿膜層の厚さが3μm未満の場合は透湿膜層の耐久性が不十分であり、屈曲、摩耗等が不十分となる。また、50μmを超える膜厚の場合は膜全体の質量が大きくなるためである。
本発明の防護材料に用いるガス吸着層におけるガス吸着性物質としては、活性炭やカーボンブラックなどの炭素系吸着材、あるいは、シリカゲル、ゼオライト系吸着材、炭化ケイ素、活性アルミナなどの無機系吸着材から対象とする被吸着物質に応じ適宜選定することができる。その中でも広範囲なガスに対応できる活性炭は好ましく、特に吸着速度や吸着容量が大きく少量の使用で効果的な透過抑制能が得られることから繊維状活性炭はより好ましい。
活性炭のBET比表面積としては700m/g以上3000m/g以下が好ましく、少量の使用で十分な透過抑制能を得るためには、1000m/g以上2500m/g以下がさらに好ましい。BET比表面積が700m/g未満であると十分な防護性を得るために多くの活性炭が必要となり防護材料が重くなる。一方、3000m/gより大きくなると吸着した有機化学物質を脱離する問題が起こる。
活性炭の絶乾質量としては5g/m以上100g/m以下が好ましく、さらに好ましくは10g/m以上50g/m以下であることが好ましい。5g/m未満であると、吸着できる容量が小さくなり使用時間が制限される。一方100g/mより大きくなると防護材料が重くなり熱ストレスの原因となる。
少量の使用で効果的な透過抑制能を得るために繊維状の活性炭を使用する方法は有効な手段であるが、その際、使用する繊維状活性炭の原料としては、綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶剤紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド繊維、リグニン繊維、フェノール繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が挙げられるが、得られる繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能から再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維が好ましい。これらの原料繊維の短繊維あるいは長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛を必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活する公知の方法によって繊維状活性炭を製造することができる。
繊維状活性炭等のガス吸着性物質をシート化する方法としては、シート基材にガス吸着性物質をバインダーにより接着する方法、あるいは吸着剤を適当なパルプおよびバインダーを含めスラリー状とし、湿式抄紙機により抄造する方法、あるいは活性炭素繊維の原料繊維をあらかじめ製織、製編、不織布化し、必要に応じて耐炎化処理したのち炭化・賦活する公知の方法により吸着シートを得ることができる。
したがって、繊維状活性炭シートの形態としては、織物状、編物状、不織布状、フェルト状、紙状、フィルム状などあげられるが、服形状とした場合は着用時の運動作業性、身体へのフィット性、柔軟性、積層の容易性から織物状、編物状であることが好ましい。
防護膜層とガス吸着層の積層手段としては、以下の方法があげられる。第1の方法としては、防護膜層にシート状または粒状または粉状のガス吸着性物質を接着剤により接着する。第2の方法としては、防護膜層とガス吸着層のいずれかをあらかじめ作製した後、他方をコーティングまたはディッピングする方法があげられる。第3の方法は接着せずに縫いあわせて作ることも可能である。接着剤等を使用することなく積層することが可能であり、ガス吸着層の吸着容量を下げない点から第3の方法で積層することが好ましい。
使用する接着剤としては、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系などが挙げられるが、積層による透湿性の低下を抑制するためには透湿性の接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系が好ましい。
また、使用する接着剤のメルトインデックス(MFR)としては、100g/10min以下、好ましくは80g/10min以下であることが好ましい。100g/10min以下の接着剤を使用することで、ガス吸着性物質の表面を被覆する面積が小さくなりガス吸着性能の低下を抑制することができる。
防護膜層およびガス吸着層の層数は、それぞれ少なくとも1層は必要であるが、柔軟性を高める目的や対象ガスが複数にわたるときなどは、防護膜層とガス吸着層をそれぞれ必要数選定し重ね合わせて使用することは有効な手段である。
防護膜層とガス吸着層の積層順序としては、ガス吸着層の寿命を考えると、ガス吸着層の外層側に少なくとも1層の防護膜層があることが好ましい。また、防護膜層を複数用いる場合は、ガス吸着層を保護するために、防護膜層によりガス吸着層を挟み込む構造としてもよい。
防護膜層とガス吸着層の質量を合計した総質量としては、300g/m以下が好ましく、さらに好ましくは250g/m以下が好ましい。300g/mを超えると素材の取扱い性が損なわれ、また、衣服にした場合は着用者への負荷が大きくなるためである。
図1に積層体とした本発明の防護膜層を含む防護材料の一例を模式断面図にて示した。防護膜層9選択透過層3の両面に透湿膜層2、4が積層されて形成されており、防護膜層9の外側に防護膜保護層1が積層され、内側にガス吸着層5と内層付加層6をそれぞれ積層し防護材料10が構成されている。
また、図2に積層体とした本発明の防護膜層を含む防護材料の一例を模式断面図にて示した。防護膜層9は選択透過層3の両面に透湿膜層2、4が積層されて形成されており、防護膜層9の外側に防護膜保護層1が積層されて防護材料10が構成され、最も外側に外層付加層8が、最も内側にガス吸着層5と内層付加層6をキルティングしたものがそれぞれ積層されて衣服用防護材料11が構成されている。
防護膜保護層の目的は、外部から与えられる機械的な力から防護膜層を保護すること、機械的強度を補うことであり、JIS L1092 6.2に記載のスプレー試験を実施した場合の撥水度が4以上、AATCC Test Method 118による撥油度が4級以上である織物、編物、または不織布などが好適に用いることができるが、柔軟性を考慮したものの使用が推奨される。
防護膜層と防護膜保護層を接着剤により積層する場合、使用する接着剤としては、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系などが挙げられるが、積層による透湿性の低下を抑制するためには透湿型接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系の使用が好ましい。
又、使用する接着剤のメルトインデックス(MFR)としては、100g/10min以下であることが好ましく、80g/10min以下であることがより好ましい。MFRが100g/10min以下の接着剤を使用することにより防護膜層の表面を被覆する面積が小さくなり透湿性の低下を抑制することができる。
外層付加層の目的は、外部から与えられる機械的な力から防護膜層を保護することであり、JIS L1092 6.2に記載のスプレー試験を実施した場合の撥水度が4以上、AATCC Test Method 118による撥油度が4級以上である織物、編物、または不織布などが好適に用いることができるが、柔軟性を考慮したものの使用が推奨される。
防護材料と外層付加層とは、予め接着剤により接着されている形態でもよく、透湿性や柔軟性を考慮し、接着せずに重ね合わせた状態で縫製し、フラシの形状で防護衣服の作製に供してもよい。係る方法により接着剤等を使用することなく防護材と外層付加層とを積層することが可能であり、積層後の衣服用防護材料の透湿性や柔軟性が低下しないことからもこの積層方法が好ましい。
内層付加層としては、織物、編物、不織布、開孔フィルム等の材料があげられるが、透湿性、柔軟性の面から粗い密度で製織あるいは製編された織物あるいは編物が好ましい。
内層付加層の目的は、外部から与えられる機械的な力から防護膜層を保護する役割と、防護衣着用者の汗によるべたつき感を抑制することである。
防護材料と外層付加層および内層付加層を接着剤により積層する場合、使用する接着剤としては、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系などが挙げられるが、積層による透湿性の低下を抑制するためには透湿性の接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系の使用が好ましい。
また、使用する接着剤のメルトインデックス(MFR)としては、100g/10min以下であることが好ましく、80g/10min以下であることがより好ましい。MFRが100g/10min以下の接着剤を使用することにより防護膜層の表面を被覆する面積が小さくなり透湿性の低下を抑制することができる。
外層付加層、内層付加層の少なくとも1層を付与した積層体の質量は、350g/m以下であることが好ましい。積層体の質量が350g/mを超えると防護衣服の質量が大きくなり熱ストレスの原因となる。
上記の防護材料を使用して防護衣服とする場合には、縫い目からのガス状・液状化学物質の浸透や有害な微粉塵、細菌、ウィルスなどのエアロゾルの進入を防止し、かつ透湿性や柔軟性を考慮する目的から、フラシ縫いで縫製することが好ましく、さらに縫い目からの浸透を防止するために、縫い目をシール加工することがより好ましい。
シール加工は、特にガス状、液状の化学物質に対して透過抑制性がある樹脂で縫い目部分を被覆して目止めする。加工に使用する材料としては、透過抑制性がある樹脂の溶液、透過抑制性でかつ接着性の樹脂フィルム、透過抑制性樹脂フィルムを用いたシールテープなどを使用することができる。シールテープとしては、ガス透過抑制層と接着層を含む2層以上からなるものが使用でき、接着層の樹脂としては、ホットメルト樹脂、低温(150℃以下)硬化型の接着剤や湿気硬化型の接着剤を用いることができる。加工性と加工後のシールテープの耐剥離性を考慮すると、硬化型の接着剤を用いることがより好ましい。また、樹脂の種類は縫い目のシールができるものであれば特に限定されないが、柔軟性、接着性、透湿性の点でポリウレタン系樹脂が好ましく、ポリウレタン系樹脂の中では硬化型のものが好ましい。
シール加工の方法は、縫い目部分に接着剤を塗布後にラミネートする方法なども採用できるが、上記樹脂で予め作成したフィルムやテープをシール材として使用する方法が、作業性の点で好ましい。
また、防護衣服とする際は、防護衣上衣、ズボン、フード、防護マスク、手袋、シューズ、靴下等から構成される、形状が防護衣上衣とズボンとフードを一体化した1ピース、防護衣上衣とズボンを一体化したものとフードからなる2ピース、防護衣上衣とフードが一体化したものとズボンからなる2ピース、防護衣上衣、ズボン、フードからなる3ピース形状等で構わないが、各接合部分からの進入を防止する気密性を考慮したデザインとすることが必要である。
防護衣服とした場合の重さは、3kg以下が好ましい。3kgを超えると着用時の負担が大きくなり熱ストレスの原因となる。
次に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。実施例に記載の評価は以下に記す方法による。
〈有機化学物質浸透性試験〉
試験に用いる容器図を図3に示す。内容積150ccの2つのガラスセル21、22で試験品23を挟み込み、周囲をパラフィン24により密閉する。この試験容器の上方セル21から試験液(酢酸3−メトキシブチル)25を30μL、試験品23上に滴下する。これを25±2℃に設定した恒温ボックスに入れ、下方セル22側のガス濃度を一定時間ごとにサンプリング口26からサンプリングし、ガスクロマトグラフィにより試験品23を透過したガス濃度を測定する。
〈透湿度〉
JIS L1099 4.1.1 塩化カルシウム法に準拠して測定した。
〈質量〉
JIS L1018 8.4及びJIS L1096 8.4により測定した。
〈厚さ〉
JIS L1018 8.5及びJIS L1096 8.5により測定した。
〈剥離試験〉
防護材料をビーカーの水に浸漬し、24hrスターラーで攪拌後の選択透過膜層と透湿膜層の界面の剥離状態を目視した。
〈剛軟性〉
JIS L1096 8.19により測定した。
〈着用感〉
ワンピース型の防護衣服を着用し、32℃、70%RHの恒温恒湿室において10分間、速度5km/hでトレッドミル上を歩行した後の心拍数、血圧、皮膚温、直腸温、衣服内温湿度の測定結果およびアンケート調査結果から総合評価を行った。
〈洗濯試験〉
JIS L1096 G法で10回洗濯した場合の界面の剥離状態を目視した。
〔製造例〕
(防護膜層製造例)
防護膜層を以下の方法で作製した。透湿膜層として固形分10質量%の透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分10質量%の酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)L−30)と固形分30質量%の硬化型透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンLQ120)の質量混合比が50:25:25となるように混合したドープ溶液を使用した。このドープ溶液を離型紙(リンテック(株)製)上に流延し、コーターにより膜厚を調整しながら塗工し、100℃の熱風乾燥器で乾燥させた。選択透過層は上記記載の酢化度55%、6%粘度70×10−3Pa・sの酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)L−30)を使用し、溶媒はメチルエチルケトンとN,Nジメチルホルムアミドの50:50(質量比)混合溶媒を使用し、固形分濃度が10質量%となるように室温で混合撹拌することにより酢酸セルロース溶液を作製した。この溶液を上記で作製した透湿膜層上に流延し、コーターで膜厚を調節しながら塗工し、130℃の熱風乾燥器で乾燥を行った。その後、得られた透湿膜層と選択透過層の積層体上に再度、透湿膜層を上記で記載した同様の方法で作製することにより防護膜層を作製した。作製した防護膜層の厚さは25μm(透湿膜層は各5μm、選択透過膜層は15μm)、質量34g/m、透湿度169g/m・hであった。
(ガス吸着層の製造例)
ガス吸着層として繊維状活性炭織物を以下の方法で作製した。単糸2.2デシテックス20番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる質量80g/mの平織物を400℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に870℃まで20分間、不活性雰囲気中で加熱し、炭化を進行させ、次に水蒸気を12容量%含有する雰囲気中870℃の温度で2時間賦活した。得られた織物状の繊維状活性炭の質量は47g/m、比表面積1430m/g、厚さ0.40mm、通気性は水位計1.27cmの圧力差で52cm/cm・s、撥水度は5、撥油度は6級であった。
(外層付加層製造例)
外層付加層を以下の方法で作製した。綿糸40番手を使った平織物に、フッ素系撥水・撥油加工を施し、樹脂固形分で0.54質量%付着させた。得られた織物は、厚さ0.30mm、質量118g/m、剛軟度0.56gf・cmで、通気度は水位計1.27cmの圧力差で80cm/cm・s、撥水度は5、撥油度は6級であった。
(内層付加層製造例)
内層付加層を以下の方法で作製した。ハーフトリコット機により、ポリエステルフィラメント(33dtex、18フィラメント)を、2−0/1−3の組織で編成後、定法により精練し、さらに分散染料により染色し、フッ素系加工剤で撥水・撥油加工を施した。このようにして得られた編地は、厚さ0.20mm、質量44g/m、通気性は水位計1.27cmの圧力差で700cm/cm・s、撥水度5、撥油度6級であった。
〔実施例1〕
上記の製造例にて得た防護膜層に、防護膜保護層として40g/mのエステルタフタ (東洋紡績社製 EL2244)を目付10g/m、通気性不織布状ホットメルト接着剤で接着し、次に、該材料の防護膜層側に上記ガス吸着層を積層して防護材料を得た。防護材料の質量は145g/m、厚さ0.60mm、透湿度155g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表1に示す。また、この防護材料の剥離試験結果については表2に示す。
〔実施例2〕
選択透過膜層として再生セルロースフィルム(フタムラ化学(株)製P−5)質量28g/m、厚さ19μmのものを使用し、透湿膜層として固形分10質量%の透湿型ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分30質量%の硬化型透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンLQ120)の質量混合比が75:25となるように混合したドープ溶液を使用した。このドープ溶液を再生セルロースフィルム上に流延し、コーターにより膜厚を調整しながら塗工し、100℃の熱風乾燥器で乾燥させた。この操作を選択透過膜の両面に繰り返し行い防護膜層とした。
該防護膜層を使用して実施例1と同様にして防護材料を作製した。得られた防護材料の質量は158g/m、厚さ0.61mm、透湿度148g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表1に示す。また、この防護材料の剥離試験結果については表2に示す。
〔比較例1〕
上記の(防護膜層製造例)において透湿膜層に固形分10質量%の透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分10質量%の酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)L−30)の質量混合比が75:25となるように混合したドープ溶液を使用した以外は同様にして防護膜層を作製し、該防護膜層を使用して実施例1と同様にして防護材料を作製した。得られた防護材料は質量147g/m、厚さ0.60mm、透湿度157g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表1に示す。また、この防護材料の剥離試験結果については表2に示す。
〔比較例2〕
上記の(防護膜層製造例)において選択透過層構成材料として透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)を使用した以外は同様にして防護膜層を作製し、該防護膜層を使用して実施例1と同様にして防護材料を作製した。得られた防護材料は、質量144g/m、膜厚が0.60mm、透湿度168g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表1に示す。また、この防護材料の剥離試験結果については表2に示す。
Figure 2008188946
Figure 2008188946
上記の表1、表2の結果によれば、実施例1、2は、有機化学物質透過抑制性、防護膜層の接着性に優れ好適な防護材料であるのに対し、比較例1は剥離試験での接着性が低い結果となった。比較例2については、選択透過層の有機化学物質透過抑制性が乏しく本願発明の目的に対しては、充分と言えるものではなかった。
〔実施例3〕
上記の製造例にて得た防護膜層に、防護膜保護層として質量40g/m、厚さ0.34mmのポリブチレンテレフタレート製のメルトブローン不織布(タピルス(株)製)をホットメルトタイプのウレタン接着剤で接着し、防護材料を作成した。又、上記内層付加層とガス吸着層をキルティング加工し一体品とし、その一体品と外層付加層との間に該防護材料を防護膜保護層を外側にして接着せずに配置させることにより衣服用防護材料を得た。衣服用防護材料の質量は312g/m、厚さ1.30mm、透湿度115g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表3に示す。また、この衣服用防護材料の洗濯試験結果並びに該防護材料にて形成した防護衣服の着用感については表4に示す。
〔実施例4〕
選択透過膜層として再生セルロースフィルム(フタムラ化学(株)製P−5)質量28g/m、厚さ19μmのものを使用し、透湿膜層として固形分10質量%の透湿型ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分10質量%の酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)L−30)と固形分30質量%の硬化型透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンLQ120)の質量混合比が50:25:25となるように混合したドープ溶液を使用した。このドープ溶液を再生セルロースフィルム上に流延し、コーターにより膜厚を調整しながら塗工し、100℃の熱風乾燥器で乾燥させた。この操作を選択透過膜の両面に繰り返し行い防護膜層とした。
該防護膜層に、防護膜保護層として質量40g/m、厚さ0.34mmのポリブチレンテレフタレート製のメルトブローン不織布(タピルス(株)製)をホットメルトタイプのウレタン接着剤で接着し防護材料を作成した。また、上記内層付加層とガス吸着層をキルティング加工し一体品とし、その一体品と外層付加層との間に該防護材料を防護膜保護層を外側にして接着せずに配置させることにより衣服用防護材料を得た。衣服用防護材料の質量は318g/m、厚さ1.31mm、透湿度108g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表3に示す。また、この衣服用防護材料の洗濯試験結果並びに該防護材料にて形成した防護衣服の着用感については表4に示す。
〔比較例3〕
上記の(防護膜層製造例)において透湿膜層に固形分10質量%の透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分10質量%の酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)L−30)の質量混合比が75:25となるように混合したドープ溶液を使用した以外は同様にして防護膜層を作製し、該防護膜層を使用して実施例1と同様にして衣服用防護材料を作製した。得られた衣服用防護材料は質量315g/m、厚さ1.30mm、透湿度120g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表3に示す。また、この衣服用防護材料の洗濯試験結果並びに該防護材料にて形成した防護衣服の着用感については表4に示す。
〔比較例4〕
上記の(防護膜層製造例)において選択透過層構成材料として透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)を使用した以外は同様にして防護膜層を作製し、該防護膜層を使用して実施例1と同様にして衣服用防護材料を作製した。得られた衣服用防護材料は、質量313 g/m、膜厚が1.30mm、透湿度130g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表3に示す。また、この衣服用防護材料の洗濯試験結果並びに該防護材料にて形成した防護衣服の着用感については表4に示す。
〔比較例5〕
上記の〔実施例4〕において、選択透過膜層にエチレンビニル共重合体フィルム(クラレ(株)製 エバールEF−XL) 質量15g/m、厚さ12μmのものを使用し、透湿膜層として固形分10質量%の透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンHMP17A)と固形分30質量%の硬化型透湿性ポリウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製 サンプレンLQ120)の質量混合比が75:25となるように混合したドープ溶液を使用した以外は同様にして防護膜層を作製し、該防護膜層を使用して実施例1と同様にして衣服用防護材料を作製した。得られた衣服用防護材料は、質量307g/m、膜厚が1.30mm、透湿度3g/m・hであった。この防護材料を用いた有機化学物質浸透性試験結果を表3に示す。また、この衣服用防護材料の洗濯試験結果並びに該防護材料にて形成した防護衣服の着用感については表4に示す。
Figure 2008188946
Figure 2008188946
上記の表3、表4の結果によれば、実施例3、4は、有機化学物質透過抑制能、洗濯耐久性および着用感に優れ好適な防護材料であるのに対し、比較例3は洗濯耐久性が低い結果となった。比較例4については、選択透過層の有機化学物質透過抑制能が乏しく、比較例3については、着用感が悪いため本願発明の目的に対しては、充分と言えるものではなかった。
本発明の防護材料および防護衣服は、有機化学物質の浸透を防護できるとともに、選択透過層に透湿性接着剤をブレンドした透湿膜層を積層することにより、使用時に発生する屈曲、摩耗、傷から選択透過層を保護でき、剥離強度、さらには洗濯耐久性に優れた軽量で柔軟で、さらには着用感に優れた防護材料に関するものであり、防護シート、防護テント、防護衣服、防護手袋、防護靴下、防護シューズ、防護収納袋などに利用することができ、産業界に寄与することが大である。
本発明の防護材料の一例を示す模式断面図である。 本発明の衣服用の防護材料の一例を示す模式断面図である。 有機化学物質透過性試験法に用いる試験容器を示す概略図である。
符号の説明
1:防護膜保護層、 2:透湿膜層、 3:選択透過層、 4:透湿膜層、
5:ガス吸着層、 6:内層付加層、 7:キルティング糸、 8:外層付加層、
9:防護膜層、 10:防護材料、 11:衣服用防護材料、
21:上方セル(150cc)、 22:下方セル(150cc)、 23:試験品、
24:パラフィンシーリング、 25:試験液、 26:サンプリング口

Claims (9)

  1. ガス吸着層と下記防護膜層をそれぞれ少なくとも1層以上有し、且つガス吸着層の外層側に少なくとも1層以上の防護膜層が配置されていることを特徴とする防護材料。
    防護膜層:有機化学物質透過抑制性と水蒸気透過性とを有する選択透過層の両面に、透湿性接着剤を含有した透湿膜層が積層されてなる層
  2. 前記選択透過層がセルロース、セルロース誘導体または再生セルロースにて構成されている請求項1に記載の防護材料。
  3. 前記透湿膜層構成材料が透湿性ポリウレタンを含む材料である請求項1〜2のいずれかに記載の防護材料。
  4. 前記透湿性接着剤構成材料が硬化型透湿性ポリウレタンを含む材料である請求項1〜3のいずれかに記載の防護材料。
  5. 前記透湿膜層構成材料が透湿性ポリウレタンに対して硬化型透湿性ポリウレタン接着剤を5質量%以上混合した材料である請求項1〜4のいずれかに記載の防護材料。
  6. 前記防護膜層の少なくとも片側に防護膜保護層を積層した請求項1〜5のいずれかに記載の防護材料。
  7. 前記防護膜層の透湿度が50〜625g/m・hである請求項1〜6のいずれかに記載の衣服用の防護材料。
  8. 前記選択透過層の透湿度が60〜850g/m・hである請求項1〜7いずれかに記載の衣服用の防護材料。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の防護材料を用いて縫製し、縫い目が有機化学物質に対して透過抑制性の樹脂でシール加工されてなる防護衣服。
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