JP2008188661A - レーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光の波長に対する吸収率が低い樹脂体を容易に加工できるレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】フラットケーブル11の樹脂層15にレーザ光Lを照射して樹脂層15を加工する際に、レーザ光Lの波長に対する吸収率が樹脂層15より高い光吸収物質を含有する光吸収層9を樹脂層15の表面に形成し、光吸収層9に対してレーザ光Lを照射することにより光吸収層9を発熱させ、その熱によって樹脂層15を加工する。
【選択図】図1
【解決手段】フラットケーブル11の樹脂層15にレーザ光Lを照射して樹脂層15を加工する際に、レーザ光Lの波長に対する吸収率が樹脂層15より高い光吸収物質を含有する光吸収層9を樹脂層15の表面に形成し、光吸収層9に対してレーザ光Lを照射することにより光吸収層9を発熱させ、その熱によって樹脂層15を加工する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レーザ加工方法に関するものである。
近年、レーザ光を用いた加工技術が盛んに研究されている。例えば、絶縁被覆された電線を結線する際に、レーザ光によって被覆を切断・除去すれば、従来のストリッパ等による切断と比較して導電線(芯線)を傷付けない等の優れた効果がある。従来より、加工対象への吸収量が比較的少ない波長のレーザ(CO2レーザ:波長10μm)が多く使われている。
上述したようなレーザ加工用の装置の多くは、赤外域(波長780nm〜0.1mm)のレーザ光を加工対象物に照射するものである。しかしながら、加工対象物が樹脂体である場合、樹脂は可視域ないし紫外域に高い吸収率を示すものが多いので、赤外域のレーザ光を樹脂体が十分に吸収できず、加工が不十分となるか、或いは加工に長時間を要する場合がある。例えば、電線の被覆を切断・除去する用途においては、被覆がアクリル系樹脂からなる場合があり、アクリル系樹脂は赤外域の波長に対する吸収率が極めて低い。従って、必要な吸収量を確保するためにはレーザ光のパワーを大きくせざるを得ず、そのため加工精度が劣化してしまう。なお、加工精度を高めるためパルス発振YAGレーザを試みたが、樹脂に対する吸収率が低過ぎて、被覆の除去が困難であった。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、レーザ光の波長に対する吸収率が低い樹脂体を容易に加工できるレーザ加工方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明によるレーザ加工方法は、加工対象である樹脂体にレーザ光を照射して該樹脂体を加工する際に、レーザ光の波長に対する吸収率が樹脂体より高い光吸収物質を含有する光吸収層を樹脂体の表面に形成し、該光吸収層に対してレーザ光を照射することにより樹脂体を加工することを特徴とする。
上記したレーザ加工方法においては、光吸収層にレーザ光を照射することによって、光吸収層から熱が発生し、この熱によって樹脂体が溶融し、加工される。或いは、光吸収層からの熱が樹脂体に伝わることによって樹脂体の一部が炭化し黒色化するので、レーザ光の吸収が促進され、レーザ光の波長に対する吸収率が低い樹脂体を容易に加工できる。また、レーザ光の吸収率が上がることにより、低パワーのレーザ光で加工できるため、加工精度を向上できる。
また、レーザ加工方法は、レーザ光の波長が赤外域に含まれてもよい。上記したレーザ加工方法によれば、レーザ光の波長が赤外域に含まれる場合であっても樹脂体を容易に加工できる。なお、ここでいう赤外域とは、780nm〜0.1mmの波長域を指すものとする。また、この場合、レーザ加工方法は、光吸収物質がカーボンであることが好ましい。カーボンは赤外光に対する吸収率が極めて高いので、光吸収物質がカーボンであれば、赤外域のレーザ光に対する光吸収層の吸収率が高まり、光吸収層が効果的に発熱し、樹脂体を更に容易に加工できる。また、レーザ加工方法は、樹脂体がアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂のうち少なくとも一方を含んでもよい。上記したレーザ加工方法によれば、レーザ光の波長が赤外域に含まれ、且つ樹脂体がアクリル系やエポキシ系であったとしても、樹脂体を容易に加工できる。
また、レーザ加工方法は、樹脂体が、導電線を被覆する絶縁用の樹脂層であることを特徴としてもよい。上記したレーザ加工方法によれば、導電線を被覆する絶縁用の樹脂層が加工対象であっても、該樹脂層を容易に切断・除去できる。
本発明によるレーザ加工方法によれば、レーザ光の波長に対する吸収率が低い樹脂体を容易に加工できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明によるレーザ加工方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態に係るレーザ加工方法を好適に実施するための装置の構成例を示す図である。このレーザ加工装置1は、加工対象物である樹脂体にレーザ光Lを照射するための装置であって、本実施形態では、樹脂体として、フラットケーブル11の導電線13を被覆する絶縁用の樹脂層15を例示している。なお、この樹脂層15は、例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂といった、赤外光に対する吸収率が極めて低い樹脂材料からなってもよい。
図1は、第1実施形態に係るレーザ加工方法を好適に実施するための装置の構成例を示す図である。このレーザ加工装置1は、加工対象物である樹脂体にレーザ光Lを照射するための装置であって、本実施形態では、樹脂体として、フラットケーブル11の導電線13を被覆する絶縁用の樹脂層15を例示している。なお、この樹脂層15は、例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂といった、赤外光に対する吸収率が極めて低い樹脂材料からなってもよい。
レーザ加工装置1は、レーザ光Lを発生するためのレーザ光源3と、レーザ光源3からのレーザ光Lを反射しつつその反射方向を走査する可動ミラー5と、可動ミラー5において反射したレーザ光Lを加工対象物(樹脂層15)へ向けて集光するレンズ7とを備えている。レーザ光源3としては、例えばYAGレーザやCO2レーザといった固体レーザが好適であり、レーザ光Lの波長は赤外域に含まれ、例えば1μmといった波長である。
図1に示すように、樹脂層15の表面には光吸収層9が形成されている。光吸収層9は、レーザ光Lの波長に対する吸収率が樹脂層15より高い光吸収物質を含有する層であり、レーザ光Lを吸収することによって、樹脂層15を加工するための熱を発生する。光吸収層9としては、例えば光吸収物質としてカーボンを含む塗料(黒色油性ペンなど)からなる層が好適である。なお、樹脂層15は、図1に示すように加工ラインに沿って樹脂層15の表面の一部にのみ形成されてもよく、或いは樹脂層15の表面全体に亘って形成されてもよい。
続いて、レーザ加工装置1を用いたレーザ加工方法について説明する。図2は、本実施形態に係るレーザ加工方法を示すフローチャートである。また、図3〜図7は、本実施形態に係るレーザ加工方法の各工程におけるフラットケーブル11の断面図(図1のA−A断面図)である。
まず、図3に示すように、フラットケーブル11の樹脂層15の表面に、加工ラインに沿って光吸収層9を形成する(工程S1)。なお、この光吸収層9の厚さ及び幅は均一でなくてもよく、例えば加工ライン付近がその周辺に較べて厚いような形態でもよい。また、ここでいう加工ラインとは、加工を予定する方向に沿って想定された架空のラインである。そして、図4に示すように、光吸収層9に対してレーザ光Lを照射し、光吸収層9において熱を発生させる(工程S2)。図4に示す領域9aは、光吸収層9においてレーザ光Lの照射により温度が上昇した領域である。
レーザ光Lの照射を継続すると、光吸収層9から樹脂層15へ熱が伝わり、図5に示すように、樹脂層15のうち領域9aの直下に相当する領域15aの一部分が、温度上昇により炭化して黒色化する。すると、領域15aにおいてレーザ光Lの吸収が促進され、更に発熱することとなる。こうして、光吸収層9からの熱と、樹脂層15(領域15a)自身の吸収促進効果とによって、樹脂層15の領域15aが燃焼し、除去されることとなる(工程S3)。なお、このとき、光吸収層9の領域9aもまた、揮散または燃焼により除去される。
以上の工程S1〜S3を、可動ミラー5の角度を変化させながらレーザ光Lを走査(スキャン)することにより加工ラインに沿って行う。なお、上述したレーザ加工方法においては、樹脂層15の一部が炭化することにより樹脂層15へのレーザ光Lの吸収が促進されているが、光吸収層9からの熱により樹脂層15が溶融し、加工される場合もある。
以上に説明した本実施形態のレーザ加工方法による効果について説明する。従来のレーザ加工、例えば被覆電線に対するレーザー被覆除去技術においては、一般的にCO2レーザやYAGレーザといった赤外波長のものが多く用いられている。しかし、加工対象物が樹脂体である場合、可視域から紫外域に亘る短波長域に吸収波長を有する場合が多く、赤外波長のレーザ光では加工が困難となる。例えば、アクリル系樹脂を用いて射出成形にて製造されたフラットケーブルの被覆の一部をレーザ光により除去し、接地ライン等に結線する用途がある。この用途において本発明者はCO2レーザ(波長10μm)を用いて被覆の除去を試みたが、除去されなかった。また、波長1.06μmのファイバーレーザでは、レーザ光が被覆層に吸収されなかった為、全く加工できなかった。
これに対し、本実施形態のレーザ加工方法においては、レーザ光Lの吸収率が樹脂層15より高い光吸収層9(の領域9a)にレーザ光Lを照射することによって、光吸収層9から熱が発生し、この熱によって樹脂層15の領域15aが溶融し、加工される。或いは、樹脂層15に熱が加えられることによって樹脂層15の領域15aの一部が炭化し、黒色化するのでレーザ光Lの吸収が促進され、加工される。すなわち、本実施形態のレーザ加工方法によれば、レーザ光Lによって光吸収層9を発熱させることで、レーザ光Lの波長に対する樹脂層15の吸収率が低い場合であっても樹脂層15を容易に加工できる。また、レーザ光Lの吸収率が上がることにより、低パワーのレーザ光Lで樹脂層15を加工できるので、加工精度を向上できる。
また、本実施形態のように、レーザ光Lの波長は赤外域に含まれてもよい。上述したレーザ加工方法によれば、レーザ光Lの波長が赤外域に含まれる場合であっても樹脂層15を容易に加工できる。また、この場合、光吸収層9に含まれる光吸収物質はカーボンであることが好ましい。カーボンは赤外光に対する吸収率が極めて高いので、光吸収物質がカーボンであれば、赤外域のレーザ光Lに対する光吸収層9の吸収率が高まり、光吸収層9が効果的に発熱し、樹脂層15を更に容易に加工できる。また、本実施形態のように、樹脂層15がアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂のうち少なくとも一方を含んでもよい。上述したレーザ加工方法によれば、レーザ光Lの波長が赤外域に含まれ、且つ樹脂層15がアクリル系やエポキシ系であったとしても、樹脂層15を容易に加工できる。
また、本実施形態のように、加工対象物である樹脂体は、導電線13を被覆する絶縁用の樹脂層15であってもよい。近年、電子機器の小型化に伴ってケーブルの細径化が進み、例えば導電線13の直径が数百μm以下で樹脂層15の厚さが数十μm以下といった細径のケーブルに対しては、ストリッパ等による機械的な被膜除去が困難となっている。上述したレーザ加工方法によれば、ケーブル11が細径であっても、導電線13を傷つけることなく樹脂層15を容易に切断・除去できる。なお、本実施形態のように、導電線13を被覆する樹脂層15が加工対象物である場合、光吸収層9は、レーザ光Lを吸収し易いだけでなく、加工の際、揮散又は燃焼して光吸収層9自身も無くなる(除去される)ことが望ましい。その点においても、光吸収物質としてはカーボンが好適である。
(第2の実施の形態)
図8は、第2実施形態に係るレーザ加工方法を説明するための図である。なお、レーザ加工装置1の構成は第1実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係るレーザ加工方法を説明するための図である。なお、レーザ加工装置1の構成は第1実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
本実施形態では、加工対象となる樹脂体として、平板23上の樹脂コーティング25を例示している。なお、この樹脂コーティング25は、第1実施形態の樹脂層15と同様に、例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂といった、赤外光に対する吸収率が極めて低い樹脂材料からなる。
樹脂コーティング25の表面には光吸収層29が形成されている。光吸収層29は、レーザ光Lの波長に対する吸収率が樹脂コーティング25より高い光吸収物質を含有する層であり、レーザ光Lを吸収することによって、樹脂コーティング25を加工するための熱を発生する。光吸収層29の材質は、第1実施形態の光吸収層9と同様である。
樹脂コーティング25に対するレーザ加工方法は、第1実施形態とほぼ同様である。すなわち、樹脂コーティング25の表面に、加工ラインに沿って光吸収層29を形成する。そして、光吸収層29に対してレーザ光Lを照射し、光吸収層29において熱を発生させる。レーザ光Lの照射を継続すると、光吸収層29から樹脂コーティング25へ熱が伝わり、樹脂コーティング25の一部が温度上昇により炭化して黒色化する。これにより、樹脂コーティング25においてレーザ光Lの吸収が促進され、更に発熱することとなる。こうして、光吸収層29からの熱と、樹脂コーティング25自身の吸収促進効果とによって、樹脂コーティング25が燃焼し、除去されることとなる。
本実施形態のレーザ加工方法においても、レーザ光Lによって光吸収層29を発熱させることで、レーザ光Lの波長に対する樹脂コーティング25の吸収率が低い場合であっても樹脂コーティング25を容易に加工できる。また、レーザ光Lの吸収率が上がることにより、低パワーのレーザ光Lで樹脂コーティング25を加工できるので、加工精度を向上できる。
本発明によるレーザ加工方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、光吸収物質は、レーザ光の波長に応じて適宜選択されるとよい。また、上記実施形態では加工対象となる樹脂体としてフラットケーブルの電線を被覆する樹脂層や平板上の樹脂コーティングを例示したが、本発明によれば、他の様々な樹脂体を加工することができる。また、上記実施形態では光吸収物質としてカーボンを例示したが、レーザ光の波長に対する吸収率が加工対象物(樹脂体)より高い物質であれば、他に様々な物質を適用できる。
1…レーザ加工装置、3…レーザ光源、5…可動ミラー、7…レンズ、9,29…光吸収層、9a…領域、11…フラットケーブル、13…導電線、15…樹脂層、15a…領域、23…平板、25…樹脂コーティング、L…レーザ光。
Claims (5)
- 加工対象である樹脂体にレーザ光を照射して該樹脂体を加工する際に、前記レーザ光の波長に対する吸収率が前記樹脂体より高い光吸収物質を含有する光吸収層を前記樹脂体の表面に形成し、該光吸収層に対して前記レーザ光を照射することにより前記樹脂体を加工することを特徴とするレーザ加工方法。
- 前記レーザ光の波長が赤外域に含まれることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記光吸収物質がカーボンであることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工方法。
- 前記樹脂体がアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のレーザ加工方法。
- 前記樹脂体が、導電線を被覆する絶縁用の樹脂層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ加工方法。
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CN102484058A (zh) * | 2009-07-30 | 2012-05-30 | 西江大学校产学协力团 | Cmp抛光垫及其制造方法 |
US10993304B2 (en) | 2017-09-29 | 2021-04-27 | Cosmo Lighting Inc. | Wire, stripping method and light strip |
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