JP2008184809A - ケーブル定着具および該ケーブル定着具を用いたケーブル定着方法 - Google Patents

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健介 清水
Masayoshi Takahashi
昌義 高橋
Akikazu Kida
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Abstract

【課題】定着桁上にケーブル導入装置を設置して定着桁へケーブルを定着する場合において、定着桁の上面で定着を行うことができるケーブルの定着具を得ること。また、該ケーブル定着具を用いたケーブル定着方法を得ること
【解決手段】定着桁3上に設置されたケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケット11を有する吊りケーブル5を定着桁側に引き寄せて定着体3へ吊りケーブル5を定着する際に用いるケーブル定着具1であって、定着桁3の上方に突出して設けられて、ケーブルソケット11が挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材13と、筒状部材13のネジ部に螺合する外ネジを有すると共に径方向に分割された分割リング15と、を備え、ケーブルソケット11を筒状部材13に挿入後に分割リング15を筒状部材13にネジ固定して分割リング15によってケーブルソケット11を保持するように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ケーブルによって支持される構造物、例えば橋梁や鉄塔などにケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具、および該ケーブル定着具を用いたケーブル定着方法に関する。
鉄塔や橋梁においてはこれらを構成する主塔等の柱体と定着桁とを斜めに張設したケーブルで接続し、柱体の姿勢を安定させたり、あるいは橋桁を支持したりすることが行われている。
例えば、斜張橋は、水平に延びる主桁を、一定間隔毎に設置されたケーブルによって主塔で支持するように構成されている。このケーブルは、主塔の上部と主桁との間で斜めに張られ、一端が主塔の上部に定着され、他端が主桁に定着される。
かかる斜張橋においては、ケーブル端部を主桁に設けられたアンカーに導入させるケーブル引き込み方法、およびケーブル端部をアンカーに定着する定着方法が問題になる。
そして、ケーブル引き込み方法についての技術の流れは以下のようなものである。
以前は桁の内部にケーブル引込み装置を設置して行う方法が一般的であった。
しかし、この方法では桁内という狭い空間での作業になるため作業効率が非常に悪いという問題があった。
そこで、このような問題を解決するものとして、例えば、ケーブル端部を主桁のアンカーに導入する導入装置を、主桁の上フランジに配置し、ケーブルの端部を保持して、導入装置の下側に配されたアンカーへ導入させる装置が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1のように、ケーブル引き込み方法に関する研究についてはすすんでいるが、その一方で、ケーブルを主桁に定着させる構造そのものについてはその開発がおよそ手つかずの状態であった。
図12は、従来から一般的に使用されているケーブル定着構造を示す図であり、アンカー71を利用してケーブル73の端部を、フランジ74およびウェブ76からなるH形の主桁75に定着させる作業状態を示している。
図12に示されるように、この例におけるアンカー71は、引き込みロッド77が4本タイプのケーブル導入装置79に対応するように形成されたものである。
アンカー71には、主桁75を構成するウェブ76同士の間に配置され、その中央にケーブル73を挿入させるための管状の挿入部83が形成されている。また、その軸方向の下端側には外側方に張り出すフランジ部85が設けられている。挿入部83の周囲は板材87に囲まれており、アンカー71自体が大きなボックス状に形成されている。さらには、下端側に設けられたフランジ部85は、挿入部83から上下及び左右に向けてそれぞれ大きく張り出している。
そして、フランジ部85の四隅にはケーブル導入装置79の引き込みロッド77の端部を取り付ける取付部85aが設けられている。
特開平2−243808号公報
上記のように、ケーブルの導入方法についてはケーブル導入装置を主桁の上フランジに設置して行うことができるようになっていることから作業性が向上している。
他方、ケーブルの定着方法については、桁内で行うため、いまだに作業性の悪いものであった。
このような点は斜張橋におけるケーブル定着のみならず、他の分野においても同様に問題となっている。
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、ケーブル導入装置によってケーブルを定着体側に引き寄せて該定着体へケーブルを定着する場合において、定着体の上面で定着を行うことができるケーブルの定着具を得ることを目的としている。また、該ケーブル定着具を用いたケーブル定着方法を得ることを目的としている。
(1)本発明に係るケーブル定着具は、ケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケットを有するケーブルを定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、前記定着体の上方に突出して設けられて、前記ケーブルソケットが挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、該筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有すると共に径方向に分割された分割リングと、を備え、前記ケーブルソケットを前記筒状部材に挿入後に前記分割リングを前記筒状部材にネジ固定して該分割リングによって前記ケーブルソケットを保持するように構成されていることを特徴とするものである。
定着体とは、ケーブルを定着する構造物であって、例えば斜張橋における厚鋼板あるいは形鋼からなる主桁などである。
(2)また、ケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケットを有するケーブルを定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、前記定着体の上方に突出して設けられて、前記ケーブルソケットが挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、該筒状部材よりも小径でかつ径方向に分割された第1分割リングと、該第1リングの後端部に球面接触すると共に前記筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有する径方向に分割された第2分割リングと、を備え、前記ケーブルソケットを前記筒状部材に挿入後に前記第1分割リングを前記ケーブルソケットの後端側に配置し、前記第2分割リングを前記筒状部材にネジ込んで前記第1分割リングの後方に設置して、該第1分割リングによって前記ケーブルソケットを保持するように構成されていることを特徴とするものである。
第1リングと球面接触する径方向に分割された第2分割リングを備えたことにより、ケーブルを定着している状態において、ケーブルと筒状部材との芯ずれを吸収できる。また、ケーブルが振れた場合に、球面接触部がずれることでケーブルの振れに追従でき、偏荷重となるのを防止できる。
(3)また、ケーブル導入装置によってケーブルを前記定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、前記定着体の上方に突出する筒状部材と、該筒状部材の上端部に一体または別体で設けられた縮径部と、前記筒状部材の側面に設けられた開口部から挿入されて前記縮径部に挿通されたケーブルソケットの後端部と前記縮径部との間に介装される分割座金と、を備えてなることを特徴とするものである。
(4)本発明に係るケーブル定着方法は、上記(1)に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部に挿入する工程と、分割リングを前記筒状部にネジ固定する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを分割リングで保持させる工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(5)また、上記(2)に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部に挿入する工程と、第1分割リングを前記ケーブルソケットの後端側に配置する工程と、第2分割リングを前記筒状部にねじ込んでネジ固定する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを前記第1分割リングで保持させる工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(6)また、上記(3)に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部材内に挿入する工程と、分割座金を前記筒状部材の側面に設けられた開口部から筒状部材内に挿入して前記ケーブルソケットの後端部と前記縮径部との間に介装する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを前記分割座金で保持させる工程と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、定着体の上方に突出して設けられて、前記ケーブルソケットが挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、該筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有すると共に径方向に分割された分割リングと、を備え、前記ケーブルソケットを前記筒状部に挿入後に前記分割リングを前記筒状部材にネジ固定して該分割リングによって前記ケーブルソケットを保持するように構成したので、定着体へのケーブル定着を定着体の上で行うことができ、作業性に優れる。また、例えば従来の斜張橋のように桁内で定着する場合に比べ、ケーブルの長さを短くでき、その分コストの低減ができる。さらに、ケーブルソケット自体は何らの加工することなく使用でき、全体に簡易な構造なのでコストを低減できる。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係るケーブル定着具1を分解した状態を示す斜視図、図2は図1に示したケーブル定着具1を組み立てた状態を示す図、図3は図2の軸方向の断面図である。以下、図1〜図3に基づいて本実施の形態に係るケーブル定着具1を説明する。
なお、以下においては、斜張橋における主塔(図示なし)と定着桁3との間に吊りケーブル5を張設する場合を例に挙げる。そして、以下の説明において前方とは吊りケーブル5の端部が定着される定着桁3側を言い、後方とはその反対側、すなわち吊りケーブル5の他方の端部が定着される主塔側をいう。
また、吊りケーブル5の前端とは、吊りケーブル5の端部のうち定着側の端部をいい、後端とは吊りケーブル5の端部のうち主塔側の端部をいう。
本実施の形態に係るケーブル定着具1は、定着桁3上に設置されたケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケット11を有する吊りケーブル5を定着桁3側に引き寄せて該定着桁3へ吊りケーブル5を定着する際に用いるものである。
具体的には、定着桁3の上方に突出して設けられて先端部に外ネジ部9を有する定着パイプ7と、定着パイプ7の外ネジ部9に螺合する内ネジを有する筒状部材13と、筒状部材13の内ネジに螺合する外ネジを有する径方向に分割された分割リング15と、を備え、ケーブルソケット11を筒状部材13に挿入後に分割リング15を筒状部材13にネジ固定して分割リング15によってケーブルソケット11を保持するように構成されている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<定着桁>
定着桁3は、斜張橋においては、厚鋼板あるいは形鋼からなるものである。定着桁3には定着パイプ7が設置され、定着パイプ7と定着桁3とは一体化されている。
<定着パイプ>
定着パイプ7は定着桁3の上フランジのフランジ面上に上端部を突出させ、本体部は定着桁3の内部において定着桁3のウェブに接合されて、定着桁3と一体化されている。
定着パイプ7の上端部の外周面に外ネジ部9が形成されている。
<ケーブルソケット>
ケーブルソケット11は、吊りケーブル5の端部に取り付けられた外形が円柱状の部材である。
<筒状部材>
筒状部材13は、定着パイプ7の外ネジ部9に螺合する内ネジを有しており、図2、図3に示すように、その軸方向の約半分が定着パイプ7の先端部にねじ込まれて固定される。
なお、本実施の形態においては、筒状部材13を定着パイプ7とは別部品としているが、定着パイプ7の径を大きく設定して、定着パイプ7の先端部の内面に内ネジを設けるようにしてもよい。
<分割リング>
分割リング15は、図1に示すように、径方向に2分割されており、外周部に外ネジが設けられている。分割リング15は、図3に示すように、吊りケーブル5を中央に包み込んだ状態で筒状部材13にネジ込まれている。分割リング15はリング状に一体化した状態では、その内径がケーブルソケット11の外径よりも小径でかつ、ケーブルソケット11の後方のケーブル端部の外径よりも大径になるように設定されている。そのため、ケーブルソケット11を定着パイプ7に挿入した状態で、図3に示すように、分割リング15を設置すると、ケーブルソケット11の後端部が分割リング15の端部に当接して、吊りケーブル5を保持できる。
なお、分割リング15の分割数は2分割に限定されるものではない。
次に、以上のように構成されたケーブル定着具1によって吊りケーブル5を定着桁3に定着する動作を説明する。一端側が主塔に定着された吊りケーブル5の他端側を定着桁3に定着するためには、吊りケーブル5の他端のケーブルソケット11を定着パイプ7の近傍まで引き寄せる必要がある。ケーブルソケット11を定着パイプ7の近くまで引き寄せる装置がケーブル押込み装置27である。図4は、このようなケーブル押込み装置27の平面図である。なお、ケーブル押込み装置27はケーブル導入装置に相当するものである。
以下においては、まずケーブル押込み装置27の概要を説明する。
ケーブル押込み装置27は、定着桁3の上に設置された支持台(図示なし)上に設置されている。
ケーブル押込み装置27は、吊りケーブル5を係脱可能にチャックする固定チャック29と、一端側が定着桁3に固定され他端側が固定チャック29に固定された2本の反力ロッド31と、固定チャック29に固定された2個のジャッキ33と、ジャッキ33の伸縮ロッドに取り付けられて反力ロッド31に沿って移動すると共に吊りケーブル5を係脱可能にチャックする移動チャック35と、を備えている。
図4に示す状態は、吊りケーブル5をケーブル押込み装置27にセットした状態を示しており、ケーブルソケット11を移動チャック35の前方に配置して移動チャック35で吊りケーブル5をチャックした状態である。
吊りケーブル5は、前端に円筒状のケーブルソケット11を有し、ケーブルソケット11の後方側一定の範囲に亘って吊りケーブル5と一体化するように固定された段付の係合手段37とを有している。
以上のように構成されたケーブル押込み装置27においては、移動チャック35によって吊りケーブル5と一体化された係合手段37をチャックした状態でジャッキ33の伸縮ロッドを延出させて移動チャック35を前方に押し出す。移動チャック35を押し出すことによって、移動チャック35にチャックされた吊りケーブル5が定着桁3側に押し出される。ジャッキ33の1ストローク分の押し出しが完了すると、固定チャック29によって係合手段37をチャックし、移動チャック35と係合手段37のチャックを解除する。そして、ジャッキ33の伸縮ロッドを縮退させ、最も縮退させた状態で、再び係合手段37を移動チャック35でチャックし、固定チャック29のチャックを解除して伸縮ロッドを延出させる。このような動作を繰り返すことによって、ジャッキ33のストローク分づつ吊りケーブル5を定着桁3側に押し込んでゆく。
次に、上記のようなケーブル定着装置によって吊りケーブル5を押し込んで定着桁に定着する定着方法を説明する。
定着パイプ7の先端に筒状部材13を設置しておく。この状態で、上記のようにケーブル定着装置を稼動して、吊りケーブル5を定着桁側に押し込んでゆく。そして、ケーブルソケット11が筒状部材13の内部に挿入され、その後端部が、図3に示すように、筒状部材13の軸方向中央部に位置するまで、押し込む。
ケーブルソケット11の後端部が筒状部材13の軸方向中央になると、押し込み動作を中止する。そして、分割リング15でケーブルソケット11を包み込むようにして分割リング15を一体化し、その状態で筒状部材13にねじ込み、分割リング15の前端をケーブルソケット11の後端に当接させる。
この状態で、ケーブル押込み装置27による固定チャック29と吊りケーブル5との係合を解除すると、吊りケーブル5は引き戻されようとするが、ケーブルソケット11の後端部が分割リング15の前端に当接して保持される。
以上のように、本実施の形態によれば、吊りケーブル5と定着桁3との定着を桁上で簡単に行うことができる。
しかも、ケーブルソケット11など吊りケーブル5側の部材については特別な加工が不要であることから、市販の吊りケーブルを使用でき、コストを低減できる。
[実施の形態2]
図5〜図8は本発明の実施の形態2の説明図であり、図5は分解斜視図、図6はケーブル定着状態の図、図7は図6の軸方向断面図、図8は図7における破線の丸で囲んだ部分の拡大図である。図5〜図8において、実施の形態1を示した図1〜図3と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態に係るケーブル定着具41は、定着体の上方に突出して設けられて、ケーブルソケット11が挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、筒状部材よりも小径でかつ径方向に分割された第1分割リング43と、第1分割リング43の後端部に球面接触すると共に筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有する径方向に分割された第2分割リング45と、を備え、ケーブルソケット11を筒状部材に挿入後に第1分割リング43をケーブルソケット11の後端側に配置し、第2分割リング45を筒状部材13にネジ込んで第1分割リング43の後方に設置するように構成されている。
本実施の形態2が実施の形態1と異なる点は、第2分割リング45(実施の形態1の分割リングに相当する)の前端側に第2分割リング45と球面接触する第1分割リング43を設けたことである。
第1分割リング43は、図5、図8に示すように、前端側が平面で後端側が前端側に凹んだ凹状球面部47を有している。この球面部が、第2分割リング45の前端側に形成された凸状の凸状球面部49と球面接触するように構成されている。
上記のように構成された本実施の形態の作用を説明する。ケーブル定着状態においては、図8に示すように、ケーブルソケット11の後端側に第1分割リング43の前端面が当接し、第1分割リング43の後端面に第2分割リング45の前端面が当接する。ケーブルソケット11の外周面と定着パイプ7との間には一定の隙間が形成されている。また、第1分割リング43と筒状部材13との間にも一定の隙間が形成されている。
上述した図8に示す状態において、吊りケーブル5の揺れ等によって吊りケーブル5と定着パイプ7の中心がずれた場合には、ケーブルソケット11から第1分割リング43に偏荷重が作用し、それによって第1分割リング43と第2分割リング45との球面接触部に滑りが発生し、上記の中心のずれをキャンセルする。このような作用により、偏荷重が緩和され、偏荷重が作用することによる障害、例えば定着パイプ7の曲がりなどを防止できる。
また、第1分割リング43と第2分割リング45とが球面接触しているので、吊りケーブル5が揺れた場合でも、両者が常時、面接触を維持でき、安定した定着状態を保持できる。
[実施の形態3]
図9〜図11は本発明の実施の形態3の説明図であり、図9は分解斜視図、図10はケーブル定着状態の図、図11は図10の軸方向断面図である。図9〜図11において、実施の形態1を示した図1〜図3と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態3におけるケーブル定着具は、定着桁3の上方に突出する定着パイプ7と、該定着パイプ7の上端部にネジ固定された座金受け部材53と、定着パイプ7の側面に設けられた開口部55から挿入されて、定着パイプ7に挿通されたケーブルソケット11の後端部と座金受け部材53との間に介装される分割座金57と、を備えてなるものである。
以下、各構成を説明する。
(1)定着パイプ
定着パイプ7は、実施の形態1のものと同様に、定着桁3の上フランジのフランジ面上に上端部を突出させ、本体部は定着桁3の内部において定着桁3のウェブに接合されて、定着桁3と一体化されている。定着パイプ7の側面の対向する2箇所に分割座金57を設置する際に分割座金57を挿入するための開口部55が設けられている。
(2)座金受け部材
座金受け部材53は、定着パイプ7の上端部にネジ固定されている。座金受け部材53は、リング状に形成されており、リングの内径はケーブルソケット11の外径よりも大きく設定されている。
なお、座金受け部材53を定着パイプ7の上端部へ固定する方法は、上述のネジ固定の他、溶接接合によって固定してもよい。また、定着パイプ7と別体の部材を固定するのではなく、定着パイプ7そのものの上端部を縮径する加工をして縮径部を形成してもよい。
(3)分割座金
分割座金57は、定着パイプ7の側面に設けられた開口部55から挿入されて定着パイプ7に挿通されたケーブルソケット11の後端部と座金受け部材53との間に介装される。分割座金57は、3分割または4分割されており、組み合わせた状態では、図8に示すように、リング状になる。
分割座金57は、リング状に一体化した状態で、外径がケーブルソケット11の外径よりも大きく、座金受け部材53の内径よりも小さくなるように設定されている。また、分割座金57をリング状に一体化した状態での内径は、ケーブルソケット11の後部のケーブル部分より若干大きく設定されている。
なお、ケーブルソケット11の後端部と分割座金57との間には、隙間調整のためにシム59が挟み込まれる(図9、図11参照)
また、本実施の形態3においては、上記の主要部品の他に、吊りケーブル定着後に座金受け材の上面開口を塞ぐための平板状の分割蓋61、定着パイプ7の開口部55を塞ぐための筒状の筒状蓋63が使用される。分割蓋61は、円形の平板を半割りにしたものである。また、筒状蓋63は、定着パイプ7に挿入して固定できる筒状体からなる。
次に、本実施の形態のケーブル定着具51によって吊りケーブル5を定着する方法について説明する。
定着パイプ7に筒状の筒状蓋63を、開口部55を露出状態にして挿入すると共に、定着パイプ7の先端に座金受け部材53を設置する。この状態で、実施の形態1で説明したようにケーブル定着装置を稼動して、吊りケーブル5を定着桁3側に押し込んでゆく。そして、ケーブルソケット11が定着パイプ7の内部に挿入され、図11に示すように、ケーブルソケット11後端部と座金受け部材53の前端部との間に分割座金57を設置するのに十分な隙間ができるまで押し込む。
定着パイプ7の開口部55から分割座金57を挿入して、ケーブルソケット11の後端部と座金受け部材53との隙間に設置する。分割座金57とケーブルソケット11との間の隙間にはシム59を設置する。
この状態で、ケーブル押込み装置27による固定チャック29と吊りケーブル5との係合を解除すると、吊りケーブル5は引き戻されようとするが、ケーブルソケット11の後端部がシム59を介して分割座金57に保持される。
その後、筒状蓋63によって定着パイプ7の開口部55を塞ぎ、また、座金受け部材53の上面に蓋を設定して座金受け材の上面開口を塞ぐ。
本実施の形態3においては、実施の形態1と同様の効果の他に、実施の形態1で使用した分割リングに代えて分割座金57を使用しているので、分割リングのようにリング周面にネジ加工が不要である点で加工が容易であるという効果が得られる。
なお、上記の実施の形態では、斜張橋の吊りケーブル5を定着桁3に定着する場合について説明したが、本発明の対象としているケーブルの定着はこの場合にかぎられるものではなく、ケーブルの端部を種々の構造物に定着する場合に適用できる。例えば、斜張橋において耐震構造として用いられる弾性拘束ケーブルの定着や、橋梁の主桁応力度を改善するための外ケーブルを用いたプレストレス工法における主桁側面に配置される外ケーブルの定着などに用いられる。さらには、いわゆるドームなどの大空間構造物に用いるケーブルの定着にも用いることができる。
本発明の実施の形態1に係るケーブル定着具を分解した状態を示す斜視図である。 図1に示したケーブル定着具1で吊りケーブル5を定着している状態を示す図である。 図2の軸方向の断面図である。 ケーブル押込み装置の説明図である。 本発明の実施の形態2に係るケーブル定着具を分解した状態を示す斜視図である。 図5に示したケーブル定着具で吊りケーブル5を定着している状態を示す図である。 図6の軸方向の断面図である。 図7において破線の丸で囲んだ部分の拡大図である。 本発明の実施の形態3に係るケーブル定着具51を分解した状態を示す斜視図である。 図9に示したケーブル定着具51で吊りケーブル5を定着している状態を示す図である。 図10の軸方向の断面図である。 従来のケーブル定着構造を示す図である。
符号の説明
1 ケーブル定着具
3 定着桁
5 吊りケーブル
7 定着パイプ
9 外ネジ部
13 筒状部材
15 分割リング
27 ケーブル押込み装置
29 固定チャック
31 反力ロッド
33 ジャッキ
35 移動チャック
37 係合手段
41 ケーブル定着装置
43 第1分割リング
45 第2分割リング
47 凹状球面部
49 凸状球面部
51 ケーブル定着具
53 座金受け部材
55 開口部
57 分割座金
59 シム
61 分割蓋
63 筒状蓋

Claims (6)

  1. ケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケットを有するケーブルを定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、
    前記定着体の上方に突出して設けられて、前記ケーブルソケットが挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、該筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有すると共に径方向に分割された分割リングと、を備え、前記ケーブルソケットを前記筒状部材に挿入後に前記分割リングを前記筒状部材にネジ固定して該分割リングによって前記ケーブルソケットを保持するように構成されていることを特徴とするケーブル定着具。
  2. ケーブル導入装置によって先端部にケーブルソケットを有するケーブルを定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、
    前記定着体の上方に突出して設けられて、前記ケーブルソケットが挿入可能でかつ内面にネジ部を有する筒状部材と、該筒状部材よりも小径でかつ径方向に分割された第1分割リングと、該第1リングの後端部に球面接触すると共に前記筒状部材のネジ部に螺合する外ネジを有する径方向に分割された第2分割リングと、を備え、前記ケーブルソケットを前記筒状部材に挿入後に前記第1分割リングを前記ケーブルソケットの後端側に配置し、前記第2分割リングを前記筒状部材にネジ込んで前記第1分割リングの後方に設置して、該第1分割リングによって前記ケーブルソケットを保持するように構成されていることを特徴とするケーブル定着具。
  3. ケーブル導入装置によってケーブルを前記定着体側に引き寄せて該定着体へ前記ケーブルを定着する際に用いるケーブル定着具であって、前記定着体の上方に突出する筒状部材と、該筒状部材の上端部に一体または別体で設けられた縮径部と、前記筒状部材の側面に設けられた開口部から挿入されて前記縮径部に挿通されたケーブルソケットの後端部と前記縮径部との間に介装される分割座金と、を備えてなることを特徴とするケーブル定着具。
  4. 請求項1に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、
    ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部に挿入する工程と、分割リングを前記筒状部にネジ固定する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを分割リングで保持させる工程と、を備えたことを特徴とするケーブル定着方法。
  5. 請求項2に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、
    ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部に挿入する工程と、第1分割リングを前記ケーブルソケットの後端側に配置する工程と、第2分割リングを前記筒状部にねじ込んでネジ固定する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを前記第1分割リングで保持させる工程と、を備えたことを特徴とするケーブル定着方法。
  6. 請求項3に記載のケーブル定着具を用いて定着体にケーブルを定着するケーブル定着方法であって、
    ケーブル導入装置によってケーブルソケットを定着部材側に押し込み、前記ケーブルソケットを筒状部材内に挿入する工程と、分割座金を前記筒状部材の側面に設けられた開口部から筒状部材内に挿入して前記ケーブルソケットの後端部と前記縮径部との間に介装する工程と、ケーブル導入装置による保持を開放してケーブルソケットを前記分割座金で保持させる工程と、を備えたことを特徴とするケーブル定着方法。
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