JP2008184522A - プライマー及びそれを用いた塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック素材に対して優れた付着性を有し、また、リコート(再塗装)において下地となる塗膜との層間付着性に優れたプライマー、及びそのプライマーを用いた塗装方法を提供する。
【解決手段】塩素含有率が5〜50質量%、重量平均分子量が1,000〜100,000である塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、水酸基価30〜120mgKOH/g、重量平均分子量が5,000〜50,000のポリオール樹脂(B)、重量平均分子量が120〜1,000のジオール(C)、及び硬化触媒(D)を含有し、上記成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が50〜10質量%であり、(C)成分が0.5〜12質量%、(D)成分が0.01〜
1.5質量%であることを特徴とするプライマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチック素材、特にポリオレフィン素材への付着性に優れ、また、ノンサンドでのリコート(再塗装)時の表面塗膜への付着性に優れたプライマー及びそれを用いた塗装方法に関する。
自動車外板、家電製品などの部材としてポリオレフィンの成型品が多く使用されており、最近では、リサイクル品のポリオレフィン成形品も再利用されるようになってきた。ポリオレフィンの成型品の上塗り塗料として、ポリイソシアネート化合物を含有する2液型上塗り塗料を用いる場合には、上塗り塗膜とポリオレフィンの成型品との付着性を向上させるため、塩素化ポリオレフィンを含有するプライマーが使用されている。しかし、ポリオレフィン成型品にこれまで含有されていたゴム製品(たとえば、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムなど)や水酸基含有ポリオレフィンを減量したり又は全く添加されないポリオレフィン成型品のリサイクル品が再使用される場合には、ポリオレフィン素材との付着性が不十分であるという欠点が生じている。
また、ポリオレフィン成型品にプライマー及び上塗り塗料を塗装した後、補修塗装が行なわれる場合、通常では、ゴミ、ブツなどを除去するため塗膜をサンディングし、ついでその部分にプライマーおよび上塗りが再塗装(リコート)される。この際、再塗装する塗膜が全面研磨されず(ノンサンド)、その研磨されていない塗膜にプライマーおよび上塗り塗料を再塗装することが行なわれている。このような場合、下層塗膜と再塗装されたプライマーとの層間付着性が不十分であるという欠点を持っていた。
難付着性のポリオレフィン素材の成型品に対して、プライマーを塗装せずに直接塗装することによって、優れた付着性を与えるとともに、高光沢外観、耐候性、耐溶剤性、塗装作業性に優れる2液型塗料組成物として、(A)塩素含有率10〜50質量%の塩素化ポリオレフィン樹脂と、(B)アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂と、(C)重量平均分子量2,000〜50,000、水酸基価10〜90mgKOH/gのアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂、および(D)イソシアネート化合物を必須成分とし、イソシアネート当量と水酸基当量との比が、[イソシアネート当量]/[水酸基当量]=0.5/1.0〜1.2/1.0であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総質量(固形分)中(A)成分が3〜20質量%、(B)成分が5〜40質量%であり、かつ(C)成分が40〜92質量%である塗料組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、プライマーとしての機能と上塗り塗料としての機能とを併用しているために、ポリオレフィン素材の成型品との付着性が充分ではなく、また、2液型塗料におけるポットライフの問題があった。
また、ポリオレフィン系素材の成型品に対して、プライマー塗装等の前処理工程を必要とすることなく直接塗装可能で、塗料の貯蔵安定性に優れるほか、付着性、耐温水性、耐ガソリン性に優れた塗膜を形成することができる塗料用樹脂組成物として、(1)塩素含有率15〜50重量%の塩素化ポリオレフィン樹脂5〜50重量部の存在下で、アセトアセトキシ基含有単量体を、また、必要に応じて共重合可能な他モノマーと共に重合又は共重合して得られる側鎖にアセトアセトキシ基を有するポリマーと、(2)イソシアネート化合物とを必須の成分として含んで成ることを特徴とするポリオレフィン系素材に対して付着性良好な塗料用樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この塗料用樹脂組成物は、2液型塗料でありポットライフの問題点があった。
また、ポリオレフィン系素材の成型品への付着性、塗膜へのリコート付着性に優れたプラスチック用プライマーとして、塩素含有率が16〜22重量%、かつ重量平均分子量が30,000〜120,000である塩素化ポリオレフィン(A)、イソシアヌレート型脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートをマロン酸ジアルキルエステル及びアセト酢酸エステルでブロックしたブロックポリイソシアネート(B)及びポリオール樹脂(C)を含有することを特徴とするプラスチック用プライマーが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、ポリオレフィン系素材の成型品や塗膜がサンディングされる場合の付着性は良いものの、ノンサンディングの場合のリコート付着性が不十分という欠点があった。
特開2005−139336号公報 特開平8−311397号公報 特開平2002−121462号公報
本発明は、プラスチック素材、特に、ポリオレフィン素材に対して優れた付着性を有し、また、リコート(再塗装)において下地となる塗膜、特にウレタン樹脂系上塗り塗膜との層間付着性に優れたプライマーを提供し、そのプライマーを用いた塗装方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、特定の塩素化ポリオレフィン樹脂、及び特定の水酸基含有高分子ポリオール樹脂を含有する組成物に対し、低分子量のジオール並びに硬化触媒を加えることで、著しく改善されたポリオレフィン系素材などのプラスチック素材からなる成型品や塗膜へのリコート付着性を得ることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、塩素含有率が5〜50質量%、重量平均分子量が1,000〜100,000である塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、水酸基価30〜120mgKOH/g、重量平均分子量が5,000〜50,000のポリオール樹脂(B)、重量平均分子量が120〜1,000のジオール(C)、及び硬化触媒(D)を含有し、上記成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が50〜10質量%であり、(C)成分が0.5〜12質量%、(D)成分が0.01〜
1.5質量%であることを特徴とするプライマーを提供するものである。
また、本発明は、プラスチック成型品に、上記のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化し、上塗り塗膜を形成することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法を提供するものである。
また、本発明は、プラスチック成型品に、上記のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化した後、さらに、その上塗り塗膜に、上記のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法を提供するものである。
また、本発明は、上塗り塗料が塗装され、硬化されて上塗り塗膜が形成された成型品の上塗り塗膜に、上記のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し焼付け硬化することを特徴とする成型品の塗装方法を提供するものである。
また、本発明は、上記成形品の塗装方法において、上塗り塗料が、1コートタイプの2液型ウレタン樹脂塗料である成形品の塗装方法を提供するものである。
また、本発明は、上記成形品の塗装方法において、上塗り塗膜が、ベースコート塗膜及びクリヤー塗膜の2層からなり、少なくともクリヤー塗料が2液型ウレタン樹脂塗料である成形品の塗装方法を提供するものである。
また、本発明は、上記成形品の塗装方法において、上塗り塗膜が、着色ベースコート塗膜、パールベースコート塗膜及びクリヤー塗膜の3層からなり、少なくともクリヤー塗料が2液型ウレタン樹脂塗料である成形品の塗装方法を提供するものである。
本発明のプライマーを用いることによって、プラスチック素材、特にポリオレフィン素材に対するプライマー塗膜の付着性に優れ、また、リコート(再塗装)において下地となるウレタン樹脂系上塗り塗膜とプライマー塗膜の層間付着性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明において用いられる(A)成分の塩素化ポリオレフィン樹脂は、塩素含有率が5〜50質量%であり、好ましくは15〜35質量%であり、さらに好ましくは18〜25質量%である。塩素含有率が50質量%を越える場合はプラスチック素材、特にポリオレフィン素材や塗膜との付着性が悪くなり、また、塩素含有率が5質量%未満である場合には溶剤への溶解性が低下するため、貯蔵安定性において問題が生じる。
また、(A)成分の塩素化ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜90,000、さらに好ましくは10,000〜80,000である。重量平均分子量が100,000を超えると、塗装作業性が悪くなるといった不具合が生じ、1,000未満の場合には樹脂自身の凝集力が不足するため、正常な塗膜が得られないといった不具合が生じる。
(A)成分の塩素化ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を主骨格とした高分子の樹脂が塩素によって変性された樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの他に、無水マレイン酸等によって変性された変性ポリオレフィン樹脂や、水酸基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基又はエポキシ基等を分子末端もしくは分子鎖中に有するポリオレフィン系の高分子化合物も挙げることができる。
本発明に用いられる(B)成分のポリオール樹脂は、プライマー塗膜の上塗り塗膜への付着性を高め、上塗り塗料に用いられる硬化剤、特に上塗り塗料がウレタン樹脂系塗料である場合にそのウレタン樹脂系塗料から移行してくるポリイソシアネートとの反応による凝集力を高める役割を担っている。
(B)成分のポリオール樹脂は、水酸基価が30〜120mgKOH/gであり、好ましくは40〜70mgKOH/gであり、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、好ましくは7,000〜20,000である。該ポリオール樹脂の水酸基価が30mgKOH/g未満であると、得られる塗膜の架橋密度の不足による付着性の低下し、120mgKOH/gを超えると、塩素化ポリオレフィン樹脂(A)との相溶性の低下によるプライマーの貯蔵安定性が低下し好ましくない。また、(B)成分のポリオール樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、充分な架橋塗膜が得られず、付着性が不十分となり、50,000を超えると、塩素化ポリオレフィン樹脂との相溶性の低下に伴う塗装時の作業性が低下する。また、(B)成分のポリオール樹脂は、酸価が0〜25mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは0〜10mgKOH/gである。(B)成分のポリオール樹脂の酸価が25mgKOH/gを超えると、塩素化ポリオレフィン樹脂との相溶性の低下に伴う塗料の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
(B)成分のポリオール樹脂としては、上記性状を有する種々のポリオール樹脂が挙げられるが、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂等が挙げられる。アクリルポリオール樹脂は、水酸基を含有する重合性不飽和単量体をベースとして、必要に応じて(メタ)アクリル酸系エステル及び/又はその他の共重合可能な重合性不飽和単量体を重合又は共重合することにより得られる。
水酸基を含有する重合性不飽和単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリレートを形成する炭素数1〜18のアルキルアルコール残基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基を有するアルコール残基のいずれであってもよい。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合可能な(メタ)アクリル酸系エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸環式炭化水素エステル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸芳香族炭化水素エステルなどが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他共重合可能な重合性不飽和単量体としては、例えば、ホスマー(商品名、ユニケミカル社製)、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、p−ビニルトルエン等の重合性二重結合含有芳香族化合物;メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル;エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物;
さらには2,3−ジヒドロフラン;トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート;無水マレイン酸エステル類、無水イタコン酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル等のアリル基含有化合物;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル等のクロトン酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニルエステル;シクロヘキサンカルボン酸ビニルのような脂環式カルボン酸ビニルエステル;安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニルのような芳香族カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。
また、その他の共重合可能な単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n=2)モノアクリレート(例えば、アロニックスM−5300(商品名、東亞合成化学工業(株)製))、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(例えば、アロニックスM−5400(商品名、東亞合成化学工業(株)製))、アクリル酸ダイマー(例えば、アロニックスM−5600(商品名、東亞合成化学工業(株)製))等が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合可能な(メタ)アクリル酸系エステル、その他の共重合性不飽和単量体は、必須成分ではなく、塗膜を設計する上で、基材や使用目的等に応じて必要に応じて、適宜選び用いられる。
水酸基を有する重合性不飽和単量体等を重合又は共重合させる方法については特に制限はなく、例えば、有機溶剤中における溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、沈殿重合等の公知の方法を用いることができる。また、その重合方式についても特に制限はなく、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれも用いることができる。
これらの中で、工業的な面からラジカル重合が好適である。ラジカル重合において用いられる重合開始剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、メチルエチルケトンパーオキシド等の有機過酸化物、あるいは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系開始剤を好ましく挙げることができる。もちろん、これらに限定されるものではない。これらのラジカル重合開始剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合時の反応温度は、一般的に60〜150℃が好ましい。この温度が60℃未満であると、ラジカル重合開始剤が分解しにくく、反応が進行しにくいし、150℃を超えると、ラジカル重合開始剤が熱により分解してラジカルを生成しても、その寿命が短く、効果的に生長反応が進行しにくい。重合時間は、重合温度やその他の条件に左右され、一概に定めることはできないが、一般に2〜6時間程度で十分である。
また、(B)成分のポリエステルポリオール樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものが挙げられる。多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、イソフタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水トリメリット酸、メチレントリシクロヘキセントリカルボキシル無水物、無水ピロメリット酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水コハク酸、無水ヘット酸などが挙げられる。多塩基酸は、1種用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどや、これらのカプロラクトンなどのラクトン付加物などが挙げられる。多価アルコールは、1種用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
さらに、該ポリエステルポリオール樹脂は一塩基酸、脂肪酸、油成分などで変性したものでも差し支えない。さらに、該ポリエステルポリオール樹脂の水酸基の導入は例えば1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールによって容易に行える。
(B)成分のポリオール樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本願発明において、(A)成分、(B)成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が50〜10質量%である。好ましくは、(A)成分が60〜80質量%、(B)成分が40〜10質量%である。
ここで、上記の(A)成分、(B)成分のそれぞれの含有割合は、(A)成分、(B)成分のそれぞれの樹脂固形分の含有割合をいう。なお、樹脂固形分は、JIS K5601−1−2に記載された方法で測定された加熱残分をいう。
(A)成分が50質量%未満の場合には、プラスチック素材に対するプライマー塗膜の付着性が低下し、90質量%を超える場合には、上塗り塗膜とプライマー塗膜との付着性が低下する。(B)成分が10質量%未満の場合には、上塗り塗膜とプライマー塗膜との付着性が低下し、(B)成分が50質量%を超える場合には、プラスチック素材に対するプライマー塗膜の付着性が低下する。
本発明に用いられる(C)成分のジオールは、塩素化ポリオレフィン樹脂のプラスチック素材への濡れ性を向上させ、リコート時においては、下地となる上塗り塗膜、特にウレタン樹脂系上塗り塗膜への濡れ性および付着性を高める役割を担っている。特に、プライマーと接する下層のウレタン樹脂系上塗り塗膜において、プライマーとの界面近傍に未反応のイソシアネート化合物が残存している場合には、(C)成分のポリオールよりも分子量が小さなジオールは、モビリティが高いだけに、プライマー塗膜中を界面近傍に移動し、未反応のイソシアネート化合物と反応をする可能性が大きく、リコート時のプライマー塗膜と上塗り塗膜との層間付着性を改良する効果が著しいと考えられる。
(C)成分のジオールの重量平均分子量は120〜1,000であり、好ましくは120〜800である。(C)成分のジオールの重量平均分子量が120未満の場合には、主体となる芳香族系溶剤への溶解性の低下によるプライマーの貯蔵安定性が低下し、好ましくない。重量平均分子量が1,000を超える場合には、下層の上塗り塗膜、特にウレタン樹脂系上塗り塗膜への付着性の改善効果がみられない。
(C)成分の低分子量のジオールとして、具体的には、例えば、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールAなどが挙げられる。また、(C)成分の低分子量のジオールとして、過剰量のジオールと二塩基酸との反応生成物であるジオールや、これらのジオールへのカプロラクトンなどのラクトン付加物なども使用できる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、フェニルジメタノールなどが挙げられる。二塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マレイン酸、フマール酸などの二塩基酸や、これらの酸無水物などが挙げられる。また、モノグリシジル基を含有するブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル、ネオデカン酸グリシジルエステル等のモノグリシジル化合物で変性したものであってもよい。
本発明において、(C)成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、
0.5〜12質量%であり、好ましくは1〜10質量%であり、特に好ましくは1.5〜8質量%である。(C)成分の含有割合が、 0.5質量%未満では、下地となる上塗り塗膜、特にウレタン樹脂系上塗り塗膜へのプライマー塗膜の付着性が不十分であり、12質量%超える場合には主体となる(A)成分である塩素化ポリオレフィン樹脂との相溶性の低下に伴うプライマーの貯蔵安定性が低下し好ましくない。
なお、(C)成分の含有割合は、(C)成分の有効成分の含有割合であり、ここで有効成分とは、溶剤等で希釈された場合は、溶剤等を含まない成分をいう。
本発明に用いられる(D)成分の硬化触媒は、下地となる上塗り塗膜中に含まれる反応性成分と(C)成分のジオールの反応を促進するものであればよく、特にウレタン樹脂に用いられる触媒が好ましい。下地となる上塗り塗膜がウレタン樹脂系塗膜である場合、下地となるウレタン樹脂系上塗り塗膜の未反応イソシアネートとリコートのプライマー層の水酸基との反応を促進させノンサンドリコート時の付着性が向上する。
(D)成分の硬化触媒は、具体的には、例えば、スズ化合物や亜鉛化合物が挙げられる。スズ化合物としては、塩化スズ、臭化スズ等のハロゲン化スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ化合物等が挙げられ、亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等の有機酸の亜鉛塩等が挙げられる。硬化反応触媒としてのスズ化合物や亜鉛化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また他の硬化反応触媒と併用してもよい。
本発明において、(D)成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、0.01〜
1.5質量%であり、好ましくは、0.02〜1.0質量%、特に好ましくは、0.05〜0.8質量%である。(D)成分の割合が、0.01質量%未満では、硬化反応の促進効果が充分に発揮されず、
1.5質量%超える場合には塗膜の硬化が進み過ぎたと考えられるリコート付着性の低下が生じ好ましくない。
なお、(D)成分の含有割合は、(D)成分の有効成分の含有割合であり、ここで有効成分とは、溶剤等で希釈された場合は、溶剤等を含まない成分をいう。
本発明のプライマーは、必要に応じて、低分子量の液状エポキシ樹脂、着色顔料、体質顔料、有機溶剤、各種添加剤を用いることができる。着色顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機系顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンなどの無機系顔料などを挙げることができる。体質顔料としては、カオリン、タルクなどが挙げられる。
また、有機溶剤としては、各成分を溶解することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類等が挙げらる。これらの溶剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。各成分の配合方法、光輝顔料、着色顔料、有機溶剤、及び各種添加剤、樹脂の添加方法は、特に制限されるものではなく、種々の方法により行うことができ、混合順序及び添加順序も種々の順序で行うことができる。
本発明のプライマーを使用する適当な塗装方法としては、プライマーを必要に応じて加温し、有機溶剤を添加することにより所望の粘度に調整した後、エアースプレー、エアレススプレー、静電エアースプレー、フローコーター、ディッピング形式による塗装機などの通常使用される塗装機、または刷毛などを用いて塗装できるが、エアースプレー塗装が好ましい。プライマー塗膜の乾燥塗膜厚としては、2〜15μmが好ましく、4〜10μmが特に好ましい。
本発明のプライマーを塗装した後は、焼付けをすることなく、上塗り塗料をウェットオンウェットで塗装することが好ましい。上塗り塗料としては、1コートタイプの塗料でも、2コートタイプの塗料でも、あるいは3コートタイプの塗料であってもよいが、最も上の塗膜層を形成する塗料は、2液型ウレタン樹脂塗料であることが好ましい。ウレタン樹脂系の上塗り塗料は、特に制限がなく、ポリオールとイソシアネート化合物との反応によって塗膜が形成されるものであればよい。
1コートタイプの上塗り塗料としては、ソリッド系塗料でもメタリック調の塗料でもよい。上塗り塗料の乾燥塗膜厚は15〜40μmが好ましく、より好ましくは20〜35μmである。2コートタイプの塗料としては、メタリックベースコート塗料などの着色ベースコート塗料やパール調のベースコート塗料と、クリヤー塗料との組合せが一般的であり、ベースコート塗料の乾燥塗膜厚は10〜20μmが好ましく、クリヤー塗料の乾燥塗膜厚は20〜40μmが好ましく、25〜35μmがより好ましい。3コートタイプの塗料としては、着色ベースコート塗料、パール調ベースコート塗料、クリヤー塗料の組合せが一般的であり、着色ベースコート塗料の乾燥塗膜厚は5〜15μmが好ましく、パール調ベースコート塗料の乾燥塗膜厚は5〜15μmが好ましく、クリヤー塗料の乾燥塗膜厚は20〜40μmが好ましく、25〜35μmがより好ましい。これらの塗料を塗り重ねる場合、全て、未硬化の状態でのウェットオンウェットが好ましい。
ウレタン樹脂系上塗り塗料の焼付乾燥条件としては、20〜150℃で5分〜3日が好ましく、より好ましくは80〜140℃で10〜30分である。
本発明のプライマーを塗装する成型品としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン素材、およびポリオレフィン等を含有するプラスチック素材からなる成型品などが挙げられる。さらには、ABS樹脂、PC樹脂、ナイロン等のプラスチック素材からなる成型品に適用することができる。
本発明におけるリコート(再塗装)は、例えば、上塗り塗料が塗装され、硬化されて上塗り塗膜が形成された成型品に、本発明のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し焼付け硬化する方法や、プラスチック成型品に本発明のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化後、ゴミの付着や塗膜に不具合等のあった場合に再塗装をする方法などが挙げられる。この場合、ゴミを除去した後は、上塗り塗膜全体をサンディングすることなく、当該プライマーを再度塗装し、1回目と同じ要領で、プライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付ければよい。また、リコート(再塗装)は、下地となる上塗り塗膜が一部剥がれていても、プライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付けることにより、付着性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明の塗装方法により得られる塗装物品としては、例えば、構造物、金属製品、プラスチック製品、ゴム製品などが挙げられる。より具体的には、自動車、自動車用部品(例えば、ボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、内装材等の部品であって、各種材質のもの)、鋼板等の金属板、二輪車、二輪車用部品、道路用資材(例えば、ガードレール、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、船舶、鉄道車両、航空機、楽器、家電製品、建築材料、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具などが挙げられる。
以下に、本発明を製造例、実施例、比較例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下、特に明記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。また、表1〜6において、各成分の配合量を示す数値の単位は、質量部である。
なお、実施例、比較例において、各項目の評価は下記の方法にて行なった。
<塗料及び塗膜の評価方法>
(プライマーの貯蔵安定性)
プライマーを40℃で10日間保存し、その状態を下記の基準に従って評価した。
○: 異常は認められない。
△: 僅かに分離が認められる。
×: 著しい分離が認められる。
(プライマーの塗装作業性)
市販の黒色ポリプロピレン板(縦70mm、横150mm、厚さ3mm)をイソプロピルアルコールにて表面をワイプし、被塗物に付着した汚れやゴミを除去した。次に、表4、5に示したプライマー用組成物をキシレンにて、フォードカップ#4(20℃)で11秒になるように粘度を調整し、エアースプレーにて塗装し、以下の基準に従って、塗装作業性を評価した。
○ : 異常なく塗装できる。
× : 塗料の凝集により塗装できないか、塗装時に糸引き状態になり正常な塗装ができない。
(1回目上塗りの付着性)
上記の要領で、市販の黒色ポリプロピレン板の上に、乾燥塗膜厚が6〜8μmになるように塗装されたプライマー塗膜の上に、ウェットオンウェットにて、希釈溶剤(酢酸ブチル/キシレン=70/30(質量比)の混合溶剤)にて、塗料粘度がフォードカップ#4(25℃)で12秒になるように、粘度調整された上塗り塗料をエアースプレー塗装し、室温に5分放置した後、90℃で20分間保持し乾燥した。上塗り塗料の乾燥塗膜厚は、1コートタイプの場合は25μm、2コートタイプのベース塗料の場合は15μm、3コートタイプの着色ベースコート塗料の場合は10μm、3コートタイプのパールベースコート塗料の場合は8μm、クリヤー塗料の場合は30μmになるようにし、2コートタイプも3コートタイプも含め全ての塗装は、ウェットオンウェットにて行った。得られた塗装板を試験に供するために、室温で60分間放置し、塗膜に2mm間隔で100マスが得られるように、カッターナイフで縦横11本の切れ目を入れ、セロハンテープにて剥離し、その状態を下記の基準に従って評価した。
○ : 塗膜に剥がれがない状態(碁盤目表記では、100/100)
△ : 塗膜に一部に剥がれがある状態(碁盤目表記では、90〜99/100)
× : 塗膜に剥がれがある状態(碁盤目表記では、0〜89/100)
塗膜に剥離が認められた場合、剥離箇所が、素材とプライマー塗膜との層間か、プライマー塗膜と上塗り塗膜との層間かを確認する。
(1回目上塗りとリコート上塗りとの付着性)
上記の要領で、市販の黒色ポリプロピレン板の上に、6〜8μmになるように塗装されたプライマー塗膜の上に、ウェットオンウェットにて、希釈溶剤(酢酸ブチル/キシレン=70/30(質量比)の混合溶剤)にて、塗料粘度がフォードカップ#4(25℃)で12秒になるように、粘度調整された上塗り塗料をエアースプレー塗装し、室温に5分放置した後、100℃で40分保持し乾燥した。上塗り塗料の乾燥塗膜厚は、1コートタイプの場合は25μm、2コートタイプのベース塗料の場合は15μm、3コートタイプの着色ベースコート塗料の場合は10μm、3コートタイプのパールベースコート塗料の場合は8μm、クリヤー塗料の場合は30μmになるようにし、2コートタイプも3コートタイプも含め全ての塗装は、ウェットオンウェットにて行った。この塗装板を、室温で24時間放置し、1回目と同様の要領にして、プライマー、上塗り塗料をウェットオンウェットでエアースプレーにて塗装し、室温に5分放置した後、80℃で20分乾燥した。
得られた塗装板を試験に供するために、室温で60分間放置し、塗膜に2mm間隔で100マスが得られるように、カッターナイフで縦横11本の切れ目を入れ、セロハンテープにて剥離し、その状態を下記の基準に従って評価した。
○ : 塗膜に剥がれがない状態(碁盤目表記では、100/100)
△ : 塗膜に一部に剥がれがある状態(碁盤目表記では、90〜99/100)
× : 塗膜に剥がれがある状態(碁盤目表記では、0〜89/100)
樹脂製造例1(ジオール樹脂溶液の製造)
温度計、攪拌機を備えた、ガラス製の2Lフラスコに、1,6ヘキサンジオール561部、アジピン酸347.1部を仕込み、徐々に昇温して140℃にした後、3時間をかけ190℃まで昇温した。2時間、190℃に保持し、エステル化反応をすすめた後、2時間をかけ210℃まで昇温し、樹脂酸価が1以下になるまでエステル化反応を行った。得られた樹脂を冷却し、キシレン91.9部を加え、重量平均分子量330、樹脂固形分(有効成分)90質量%のジオール樹脂溶液C−1を得た。
樹脂製造例2〜4(ジオール樹脂溶液の製造)
製造例1と同様に表1に示した原料にて樹脂合成を行い、表1に示すジオール樹脂溶液C−2〜C−4を得た。ただし、表1中の原料「カージュラE−10」は、バーサティック酸のモノグリシジルエステル(ジャパンエポキシレジン(株)製)である。
Figure 2008184522
樹脂製造例5(ポリエステルポリオール樹脂溶液の製造)
温度計、攪拌機を備えた、ガラス製の2Lフラスコに、ブチルエチルプロパンジオール187.3部、トリメチロールプロパン18.8部、1,6ヘキサンジオール94部、無水フタル酸31.3部、アジピン酸295.2部を仕込み、徐々に昇温して140℃にした後、3時間をかけ190℃まで昇温した。2時間、190℃に保持し、エステル化反応をすすめた後、2時間をかけ210℃まで昇温し、樹脂酸価が10以下になるまでエステル化反応を行った。得られた樹脂を冷却し、キシレン373.4部を加え、重量平均分子量14,000、水酸基価45、酸価8、樹脂固形分60質量%のポリエステルポリオール樹脂溶液B−1を得た。
樹脂製造例6(ポリエステルポリオール樹脂溶液の製造)
製造例5と同様に表2に示した原料にて樹脂合成を行い、表2に示すポリエステルポリオール樹脂溶液B−2を得た。
Figure 2008184522
樹脂製造例7(アクリルポリオール樹脂溶液の製造)
温度計、攪拌機、還流用コンデンサーおよびモノマー滴下装置を備えたガラス製の2Lフラスコに300部のキシレンを仕込み、徐々に昇温して還流状態にした。還流状態に保ち、スチレン180部、メチルメタクリレート30部、ステアリルメタクリレート197部、プラクセルFM−2(商品名、ダイセル化学工業(株)製;ε−カプロラクトン2モルを付加したメタクリル酸ヒドロキシエチルモノマー)を191.4部、アクリル酸1.8部と重合開始剤パーブチルZ(商品名、日本油脂(株)社製;t−ブチルペルオキシベンゾエート)17部の混合溶液を、3時間を要して滴下装置から滴下した。滴下終了後3時間還流状態に保ち、ついで重合開始剤パーブチルZ1部およびキシレン10部を混合し、滴下装置から滴下した。さらに、2時間還流温度に保ち反応を続けた後、キシレン71.8部を加え室温まで冷却して、樹脂固形分61質量%のアクリルポリオール樹脂溶液B−3を得た。
樹脂製造例8〜12(アクリルポリオール樹脂溶液の製造)
製造例7と同様にして、表3に示した原料にて樹脂合成を行い、表3に示すアクリルポリオール樹脂溶液B−4〜B8を得た。
Figure 2008184522
プライマー製造例1
分散容器に塩素化ポリプロピレン樹脂溶液(商品名「ハードレンCY9122」東洋化成工業(株)製、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素含有率22質量%、重量平均分子量50,000〜60,000、樹脂固形分20%)525部、タイペークCR−90(酸化チタン、石原産業(株)製)99部、ピグメントブラックFW200ビーズ(カーボンブラック、デグサ(株)製)0.1部およびTSY−1(黄色顔料、戸田ピグメント(株)製)0.9部を入れ、粒度が15μm以下になるまで分散する。目的の粒度になったら、分散を止めて、樹脂製造例7にて製造したアクリルポリオールB−3の73.8部、樹脂製造例1にて製造したジオールC−1の5部、ジブチルチンジラウレート0.9部およびキシレン295.3部を加えて取り出し、充分攪拌し、表4に示すプライマー製造例1のプライマーP−1を得た。
プライマー製造例2〜20
プライマー製造例1と同様にして、表4および表5に示すプライマーP−2〜P−20を得た。
Figure 2008184522
Figure 2008184522
表中に示す商品名または略号の意味を次に示す。
1):タイペークCR−90:酸化チタン、石原産業(株)製
2):針状導電性酸化チタン:導電性酸化チタン、石原産業(株)製
3):ピグメントブラックFW200ビーズ:カーボンブラック、デグサ(株)製
4):PRINTEX L:導電性カーボンブラック、デグサ(株)製
5):TSY−1:黄色顔料、戸田ピグメント(株)製
6):ハードレンCY9122 :東洋化成工業(株)製、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素含有率22質量%、重量平均分子量50,000〜60,000、加熱残分20質量%
7)スーパークロン892L:日本製紙ケミカル(株)製、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素含有率22質量%、重量平均分子量60,000〜70,000、加熱残分20質量%
上塗り塗料製造例1(1コート用2液型ウレタン樹脂塗料)
分散容器にアクリル樹脂LB−9020(BASFコーティングスジャパン(株)製、加熱残分55質量%、水酸基価56mgKOH/g)45.5部、タイペークCR−90(酸化チタン、石原産業(株)製)24部、ピグメントブラックFW200ビーズ(カーボンブラック、デグサ(株)製)0.1部およびTSY−1(黄色顔料、戸田ピグメント(株)製)0.6部を入れ、粒度が10μm以下になるまで分散した。目的の分散度になったら、分散を止め、表面調整剤モダフロー(モンサント(株)製、アクリル共重合体、加熱残分100質量%)0.2部、キシレン10部及び酢酸ブチル13.2部にて取り出しを行い、ディスパーで充分攪拌して均一にし、1コート用2液型上塗り塗料T−1の主剤を調製した。硬化剤として、スミジュールN75(住友バイエルウレタン(株)製、ポリイソシアネート樹脂、加熱残分75%、含有NCO量16.5質量%)を用い、塗装直前に主剤93.6部、硬化剤6.4の比率にて混合し、均一になるように攪拌して使用した。
上塗り塗料製造例2(2コート用ベースコート塗料)
アクリル樹脂LB−9020(BASFコーティングスジャパン(株)製、加熱残分55質量%、水酸基価56mgKOH/g)45.5部、レオロジーコントロール剤LC−0988(BASFコーティングスジャパン(株)製、無機系、加熱残分10質量%)6部、アルミニウムフレーク顔料アルペーストTCR3040(商品名、東洋アルミニウム(株)製、加熱残分80質量%、平均粒径(D50)17μm、平均厚み0.8μm)2.5部、アルペースト6340NS(商品名、東洋アルミニウム(株)製、加熱残分71%、平均粒径(D50)13μm、平均厚み0.29μm)3部、デスモジュールBL3175(商品名、住友バイエルウレタン(株)製、MEKオキシムでブロックされたHDIイソシアヌレート、含有NCO量11.2質量%、加熱残分75質量%)3.3部、表面調整剤モダフロー(モンサント(株)製、アクリル共重合体、加熱残分100質量%)0.2部、キシレン10部及び酢酸ブチル29.5部を混合し、ディスパーで10分間攪拌して均一にし、1液型2コート用メタリックベースコート塗料T−2を調製した。
上塗り塗料製造例3〜4(2コート用ベースコート塗料)
上塗り塗料製造例2と同様にして、表6に示す1液型2コート用メタリックベースコート塗料T−3〜T−4を調製した。
上塗り塗料製造例5(2コート用ベースコート塗料)
上塗り塗料製造例2と同様にして、スミジュールN75を除いた表6に示す原材料を混合し、均一に攪拌して、2液型2コート用メタリックベースコートT−5の主剤を調製した。硬化剤として、スミジュールN75を、塗装直前に主剤96.5部、硬化剤3.5の比率にて混合し、均一になるように攪拌して使用した。
上塗り塗料製造例6(3コート用着色ベースコート塗料)
上塗り塗料製造例1と同様にして、表6に示す顔料を分散し、スミジュールN75を除く残る原材料を加えて取り出し、均一に攪拌して、2液型3コート用着色ベースコートコートT−6の主剤を調製した。硬化剤として、スミジュールN−75を、塗装直前に主剤96.5部、硬化剤3.5の比率にて混合し、均一になるように攪拌して使用した。
上塗り塗料製造例7(3コート用着色ベースコート塗料)
上塗り塗料製造例6と同様にして、表6に示す顔料を分散し、残る原材料を加えて取り出し、均一に攪拌して、1液型3コート用着色ベースコートコートT−7を調製した。
Figure 2008184522
上塗り塗料製造例8(3コート用パールベースコート塗料)
アルミニウム顔料をパール顔料に替えた以外は、上塗り塗料製造例5と同様にして、2液型3コート用パールベースコートコートT−8の主剤を調製した。硬化剤として、スミジュールN−75を、塗装直前に主剤96.5部、硬化剤3.5の比率にて混合し、均一になるように攪拌して使用した。
上塗り塗料製造例9(3コート用パールベースコート塗料)
アルミニウム顔料をパール顔料に替えた以外は、上塗り塗料製造例2と同様にして、1液型3コート用パールベースコートコートT−9を調製した。
上塗り塗料製造例10(クリヤー塗料)
アクリル樹脂 LB−9040(BASFコーティングスジャパン(株)製、加熱残分55質量%、水酸基価78mgKOH/g) 80部に、表面調整剤 モダフロー0.2部、酢酸ブチル4.8部を混合し、ディスパーで10分間攪拌して均一にし、2液型クリヤー塗料T−10主剤を調製した。硬化剤として、スミジュールN−75を、塗装直前に主剤85部、硬化剤15の比率にて混合し、均一になるように攪拌して使用した。
Figure 2008184522
表中に示す商品名または略号の意味を次に示す。
8):Iriodin103WNT(メルク(株)製、マイカ顔料)
9):アルペーストTCR3040:東洋アルミニウム(株)製アルミニウム顔料、加熱残分80質量%、平均粒径(D50)17μm
10):アルペースト6340NS(東洋アルミニウム(株)製アルミニウム顔料、加熱残分71質量%、平均粒径(D50)13μm
11):スミジュールN−75:住友バイエルウレタン(株)製、ポリイソシアネート樹脂、加熱残分75%、含有NCO量16.5質量%
15)ユーバン122:三井化学(株)製 ブチル化メラミン樹脂、加熱残分60質量%
16)モダフロー:モンサント(株)製、アクリル共重合体、加熱残分100質量%
(実施例1)
プライマーとしてP−1を用い、上塗り塗料としてT−1を用い、上記の塗料及び塗膜の評価方法に準じて、プライマーの貯蔵安定性、プライマーの塗装作業性、上塗り塗料塗装後の1回目上塗りの付着性、並びに、1回目上塗りとリコート上塗りとの付着性の試験を行い、評価結果を表7に示した。
(実施例2〜12)
上塗り塗料を表7で示した組合せに替えた以外は、実施例1と同じ要領にて、試験を行い、評価結果を表7に示した。
(比較例1〜9)
上塗り塗料を表8で示した組合せに替えた以外は、実施例1と同じ要領にて、試験を行い、評価結果を表8に示した。
Figure 2008184522
<まとめ>
本発明のプライマーは、特許請求の範囲に示す本発明の範囲内であれば、表7の実施例1〜12に示すように、プライマーの貯蔵安定性、塗装作業性、1回目の上塗り塗膜との付着性に優れ、また、リコート塗膜との付着性に優れた塗膜を得ることができる。なお、表7の実施例8〜12は、リコート塗膜の付着性が多少低下しているが、実用上は問題ないレベルである。
しかしながら、(A)、(B)成分が特許請求の範囲以外になった場合は、比較例1比較例1に示すように、素材とプライマーの付着性が低下する。また、比較例2に示すように、コート塗膜の付着性が不十分なものとなる。また混合するポリオールの特性値が特許請求の範囲以外になった場合、比較例3、4に示すようにリコート付着性が不十分となり、比較例5、比較例6に示すようにプライマーの塗装作業性、貯蔵安定性に不具合が生ずる。また、(C)成分、(E)成分については、本発明以外になると比較例7、比較例8に示すようにリコート付着性が不十分となる。
以上の結果より、本発明のプライマーは、プライマーの貯蔵安定性、塗装作業性、素材と1回目の上塗り塗膜との付着性およびリコート付着性に優れる塗装物品が得られる。

Claims (7)

  1. 塩素含有率が5〜50質量%、重量平均分子量が1,000〜100,000である塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、水酸基価30〜120mgKOH/g、重量平均分子量が5,000〜50,000のポリオール樹脂(B)、重量平均分子量が120〜1,000のジオール(C)、及び硬化触媒(D)を含有し、上記成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分の樹脂固形分の合計質量に対して、(A)成分が50〜90質量%、(B)成分が50〜10質量%であり、(C)成分が0.5〜12質量%、(D)成分が0.01〜
    1.5質量%であることを特徴とするプライマー。
  2. プラスチック成型品に、請求項1記載のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化し、上塗り塗膜を形成することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法。
  3. プラスチック成型品に、請求項1記載のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化した後、さらに、その上塗り塗膜に、請求項1記載のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し、焼付け硬化することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法。
  4. 上塗り塗料が塗装され、硬化されて上塗り塗膜が形成された成型品の上塗り塗膜に、請求項1記載のプライマーと上塗り塗料とを順次塗装し焼付け硬化することを特徴とする成型品の塗装方法。
  5. 上塗り塗料が、1コートタイプの2液型ウレタン樹脂塗料である請求項2〜4のいずれかに記載の成形品の塗装方法。
  6. 上塗り塗膜が、ベースコート塗膜及びクリヤー塗膜の2層からなり、少なくともクリヤー塗料が2液型ウレタン樹脂塗料である請求項2〜4のいずれかに記載の成形品の塗装方法。
  7. 上塗り塗膜が、着色ベースコート塗膜、パールベースコート塗膜及びクリヤー塗膜の3層からなり、少なくともクリヤー塗料が2液型ウレタン樹脂塗料である請求項2〜4のいずれかに記載の成形品の塗装方法。
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