JP2008182836A - 系統連系インバータ装置及びこの系統連系インバータ装置の電力制御方法 - Google Patents

系統連系インバータ装置及びこの系統連系インバータ装置の電力制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直流電源の出力電力が急変した場合のマスタインバータの変換動作の異常を防止することのできる系統連系インバータシステムを提供する。
【解決手段】インバータシステムは並列接続された複数のインバータ(1台をマスタ機、残りをスレーブ機とする)からなる。マスタ機は周期Tで前回の通信サイクルで取得した自機とスレーブ機の各々の出力電力から次の電力指令値Pcを演算し、その電力指令値Pcをスレーブ機に送信して本システムの総出力を変更するとともに、各スレーブ機の出力電力を保存させる(処理a)。処理aの後マスタ機は各スレーブ機と個別に通信して保存させた出力電力を取得する(処理b)。処理bにおいて、日射量の急減が検出されると、マスタ機はその検出時の自機の出力電力と既取得のスレーブ機の出力電力から次の電力指令値Pc’を再演算し、その電力指令値Pc’をスレーブ機に送信して本システムの総出力を変更する(処理c)。
【選択図】 図6

Description

本発明は、直流電源と電力系統との間に複数台の系統インバータを並列に接続するとともに、1台の系統インバータをマスター機とし、残りの系統インバータをスレーブ機としてマスター機とスレーブ機との間でデータ通信可能に接続してなる系統連系インバータシステム及びその系統連系インバータシステムの電力制御方法に関するものである。
従来、例えば、特開平5−53042号公報や特開2000−305634号公報に示されるように、太陽電池などの直流電源と電力系統との間に複数台の系統インバータを並列に接続し、日射量の変動に起因して太陽電池の出力電力が変動するのに応じて各系統インバータの出力電力を制御することにより電力系統への出力電力を制御する系統連系インバータシステムが知られている。
太陽電池と電力系統との間に設けられる系統インバータは、太陽電池の出力電力−出力電圧特性が日射量によって変化し、特に最大電力に対する出力電圧(この出力電圧を「最適動作電圧」という。)が変化することから、太陽電池の出力電圧を最適動作電圧に自動的に調整する最大電力追従制御機能を有している。そして、このような系統インバータを複数台、並列接続して系統連系インバータシステムを構成する方法として、システム全体から電力系統に出力される電力を適正に制御するために、任意の1台をマスター機とし、残りの系統インバータをスレーブ機とし、マスター機は最大電力追従制御により出力電力を制御し、スレーブ機はマスター機からの電力指令値に基づいて出力電力を制御する構成が知られている。
図9は、従来の系統連系インバータシステムの一例を示す構成図であり、図10は、マスター機とスレーブ機との間のデータ通信の内容を示す図である。
図9に示す系統連系インバータシステム100は、太陽電池101と電力系統102との間に3台の同一構成のインバータ103,104,105を並列に接続したものである。3台のインバータ103,104,105のうち、任意の1台(図9ではインバータ103)は系統連系インバータシステム100のマスター機に設定され、残り(図9ではインバータ104,105)は系統連系インバータシステム100のスレーブ機に設定されている。
マスター機のインバータ103(以下、「マスターインバータ103」という。)は、内部に太陽電池101から入力される直流電力を交流電力に変換するDC−AC変換回路103bとこのDC−AC変換回路103bの電力変換動作を制御する制御部103aを備えている。マスターインバータ103は、最大電力追従制御機能を有している。従って、マスターインバータ103の制御部103aは、DC−AC変換回路103bの入力側に設けられた電流センサScにより検出された直流電流Iと電圧センサSvにより検出された直流電圧Vを用いて最大電力追従制御を行う。
マスターインバータ103は、スレーブ機のインバータ104,105(以下、「スレーブインバータ104,105」という。)と通信ケーブル106によって相互に接続され、相互にデータ通信が可能になっている。マスターインバータ103は、太陽電池101の出力可能な最大電力(日射量により変動する)から各インバータ103〜105が分担すべき出力電力を演算し、その出力電力をデータ通信によってスレーブインバータ104,105に指令し、各スレーブインバータ104,105の出力電力を制御する。
具体的には、マスターインバータ103は、図10に示すように、
(処理a)自機及びスレーブインバータ104,105の電力指令値の演算と、スレーブインバータ104,105への電力指令値及び電力保存指令の送信
(処理b)スレーブインバータ104,105との個別のデータ通信により処理aで保存させた出力電力や運転状態等の情報の取得
の2種類の通信処理を所定の周期Tで繰り返し、これにより電力系統102に出力される総電力(インバータ103〜105の出力電力の合計)を制御する。
マスターインバータ103は、図11に示す通信手順に従ってスレーブインバータ104,105とデータ通信を行う。なお、図11に示すフローチャートは、系統連系インバータシステム100が起動すると、マスターインバータ103により実行され、系統連系インバータシステム100が停止するまで繰り返される。
マスターインバータ103は、電力指令値の更新タイミング(図10のtaのタイミング参照)になると(S101)、前回のデータ通信時に保存した自機の出力電力値P103と前回のデータ通信でスレーブインバータ104,105から取得した出力電力値P104,P105とを加算して系統連系インバータシステム100の出力電力値Psを算出し、この出力電力値Psの平均値を演算することにより次の電力指令値Pc(=Ps/3)を演算する(S102)。なお、起動時の最初の演算では、前回の出力電力値P103〜P105は存在しないので、電力指令値Pcのディフォルト値が使用される。
続いて、マスターインバータ103は、算出した電力指令値Pcと出力電力値の保存指令をスレーブインバータ104,105に同時に送信する(S103)。一方、マスターインバータ103はスレーブインバータ104,105に電力指令値Pcを同時送信すると、自機の出力電力を電力指令値Pcに変更する。一方、スレーブインバータ104,105はマスターインバータ103から電力指令値Pcを受信すると、それぞれその受信時の出力電力値P104,P105をバッファメモリに保存した後、出力電力を電力指令値Pcに変更する。
続いて、マスターインバータ103は、スレーブ機の台数n(図9の構成ではn=2)をカウントするカウント値iを「1」に設定し(S104)、1番目のスレーブ機からn番目のスレーブ機まで順番にデータ通信を行って各スレーブ機から保存させた出力電力値Piを取得する(S105〜S107のループ)。図9の例では、1番目のスレーブインバータ104と2番目のスレーブインバータ105について順番にデータ通信を行って各スレーブインバータ104,105から保存させた出力電力値P104,P105を取得する。
マスターインバータ103は、全てのスレーブ機から出力電力値Piを取得すると(S106:YES)、ステップS101に戻り、次の更新タイミングで電力指令値の更新処理を行う。
従って、従来の系統連系インバータシステム100では、マスタースレーブ103及びスレーブインバータ104,105の各インバータの出力電力が所定の周期Tで更新されるので、日射量の変化に応じて太陽電池101の出力電力−出力電圧特性が変化した場合にもその変化に追従して各インバータの出力電力が適正に制御されるようになっている。
例えば、太陽電池101の最大電力が300kWで、マスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の最大出力能力がそれぞれ100kWであるとき、マスターインバータ103は、インバータの変換効率を100%と仮定した場合、その300kWを3等分した値の100kWをマスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の電力指令値Pcとし、その電力指令値Pcをスレーブインバータ104,105に指令する。これにより、マスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105は出力電力を100kWに制御するので、電力系統102にはこれらの出力電力を総合した300kWの電力が供給されることになる。マスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の各出力電力は最大出力能力以内であるので、系統連系インバータシステム100の運転は正常に保持される。
特開平5−53042号公報 特開2000−305634号公報
ところで、従来の系統連系インバータシステム100では、図10に示されるように、マスターインバータ103は、電力指令値を更新する処理期間A〜Dの各処理aの期間で自機とスレーブインバータ104,105の電力指令値Pcを変更するから、マスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105は、略周期Tで出力電力の変更が行われる。すなわち、系統連系インバータシステム100から出力され電力は略周期Tで変更される。なお、図10では、便宜上、系統連系インバータシステム100の出力電力の変更タイミングを処理aの終了タイミングとして描いている。
従って、例えば、急激な日射量の変化が処理b(スレーブインバータ104,105の出力電力を含む情報の取得処理)をしているときに生じ、太陽電池101の最大電力Pmaxが急減した場合は、マスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の出力電力の変更値は、その最大電力Pmaxに対応した適正値にならなくなる。
すなわち、図10において、太陽電池101の最大電力Pmaxが300kWの状態で、例えば、期間Aの処理bにおけるt1の時点でその最大出力Pmaxが100kWに急減した場合、その時点ではスレーブインバータ104,105の電力指令値はそれぞれ100kWに変更されているので、スレーブインバータ104,105の出力電力はそれぞれ100kWに制御される。すなわち、スレーブインバータ104,105の各出力電力を合計した出力電力が200kWとなり、太陽電池101の最大電力Pmax=100kWを超えることになる。
マスターインバータ103は、スレーブインバータ104,105の各出力電力を合計した出力電力Psumが太陽電池101の最大電力Pmaxを超えていなければ、その差分ΔP=(Pmax−Psum)を補うように電力変換を行うので、例えば、最大電力Pmaxが250kWであれば、ΔP=50kWの電力を出力するが、上記のように、差分ΔPが−100kWのようにマイナスになった場合は、その不足分(−100kW)を電力系統102から太陽電池101側に電力を逆変換して補うように動作する。従って、t1の時点からマスターインバータ103の出力電力は−100kWとなり、マスターインバータ103の変換動作は異常となる。
図10に示されるように、期間Bの処理aにおいては、期間Aの処理aで保存したスレーブインバータ104,105の出力電力値(各100kW)とマスターインバータ103の出力電力値(100kW)でスレーブインバータ104,105の電力指令値Pcが演算され、その演算値は100kWとなるので、スレーブインバータ104,105の出力電力は実質的に変更されない。しかしながら、期間Bの処理aにおいては、マスターインバータ103の出力電力値は100kWから−100kWに変化しているので、この内容が反映されてスレーブインバータ104,105の出力電力が変更されるのは、結局、期間Cの処理aの後になる。
すなわち、期間Cの処理aでは、マスターインバータ103の出力電力値(−100kW)とスレーブインバータ104,105の出力電力値(各100kW)の合計値を3等分した値(33.3kW)がマスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の各電力指令値Pcに設定され、期間Cの処理aの終了タイミングt2の時点でマスターインバータ103及びスレーブインバータ104,105の出力電力はその電力指令値(33.3kW)に変更されることになる。
従って、マスターインバータ103は、図12に示されるように、ほぼt1からt2の期間、出力電力が負となる異常な変換動作を行うことなる。なお、図12において、左側の縦軸は各インバータ103〜105の電圧センサSvによって検出される直流電圧[V]を示し、右側の縦軸は各インバータ103〜105から出力される交流電力[kW]を示している。また、Iは直流電圧の波形を示し、IIはスレーブインバータ104,105から出力される交流電力の波形を示し、IIIはマスターインバータ103から出力される交流電力の波形を示している。同図において、t1からt3の期間は、日射量の急変に対応してマスターインバータ103の変換動作が変化している過渡応答の期間である。
上記のように、従来の系統連系インバータシステム100では、マスターインバータ103が処理a,処理bからなるデータ通信を繰り返してスレーブインバータ104,105の出力電力を更新しているので、データ通信による電力指令値Pcの更新周期内で日射量が急減し、太陽電池101の最大電力Pmaxが急減した場合には、少なくとも1周期の期間、マスターインバータ103の変換動作が異常になる虞がある。
なお、上記の例では、系統連系インバータシステムを構成するインバータが3台であるので、電力指令値Pcの更新周期は比較的短いが、数十台〜百数十台のインバータを並列接続して系統連系インバータシステムを構成した場合は、電力指令値Pcの更新周期が長くなり、マスターインバータの異常動作期間が長くなるので、上記のマスターインバータの変換動作が異常になるという問題は重要である。
例えば、系統連系インバータシステムを50台の系統インバータで構成し、処理bにおけるマスターインバータと各スレーブインバータとのデータ通信の時間を20msとすると、電力指令値Pcの更新をするために、マスターインバータが全てのスレーブインバータから出力電力を収集するまでに要する時間は、少なくとも20ms×49=980msとなる。従って、このような大規模な系統連系インバータシステムでは、電力指令値更新周期は秒オーダーの時間となり、場合によってはマスターインバータが停止することがあり、マスターインバータの変換動作の異常は無視できない重要な問題となる。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、直流電源の出力可能な電力が急変した場合のマスターインバータの変換動作の異常を防止することのできる系統連系インバータシステム及びその系統連系インバータシステムの電力制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される系統連系インバータシステムは、直流電源と電力系統との間に1台のマスターインバータと少なくとも1台のスレーブインバータとが並列に接続されるとともに、前記マスターインバータと前記スレーブインバータとが相互にデータ通信可能に接続され、前記マスターインバータにより、前記電力系統に出力される当該マスターインバータ及び前記スレーブインバータの各出力電力を総合した総電力が制御される系統連系インバータシステムにおいて、前記マスターインバータは、所定の周期で、前回のデータ通信時に取得した前記スレーブインバータの出力電力値と自機の出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を演算し、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記スレーブインバータに同時に送信する第1の処理と、この第1の処理後に前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第2の処理と、を繰り返して前記電力系統に出力される総電力を制御する電力制御手段と、前記直流電源の出力可能な電力の変動を検出する電力変動検出手段と、前記電力変動検出手段により電力変動が検出されると、その電力変動検出時の自機の出力電力値とその検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記スレーブインバータに同時に送信する電力指令値送信手段と、前記再演算された電力指令値が送信された後に前記電力制御手段により行われる最初の前記第1の処理において、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止する禁止手段とを備え、前記スレーブインバータは、前記マスターインバータから前記第1の処理による電力保存指令を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存し、前記マスターインバータから前記第1の処理による前記電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更し、前記マスターインバータから前記再演算された電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該再演算された電力指令値に変更する出力電力変更手段と、前記マスターインバータから前記第2の処理による出力電力値の要求があると、保存した自機の出力電力値を前記マスターインバータに送信する出力電力送信手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の第2の側面によって提供される系統連系インバータシステムは、直流電源と電力系統との間に並列に接続された1台のマスターインバータと、少なくとも1台のスレーブインバータと、前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと通信可能に接続された制御装置とを備え、前記制御装置により、前記電力系統に出力される前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの各出力電力を総合した総電力が制御される系統連系インバータシステムにおいて、前記マスターインバータは、前記直流電源の出力可能な電力の変動を検出する電力変動検出手段と、前記電力変動検出手段により電力変動が検出されると、その検出情報をその電力変動検出時の自機の出力電力値とともに前記制御装置に送信する電力変動送信手段とを備え、前記制御装置は、所定の周期で、前回のデータ通信時に取得した前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの出力電力値に基づいて前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの電力指令値を演算し、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに同時に送信する第1の処理と、この第1の処理後に前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第2の処理と、を繰り返して前記電力系統に出力される総電力を制御する電力制御手段と、前記マスターインバータから前記電力変動の検出情報とその電力変動検出時の出力電力値を受信すると、その出力電力値とその電力変動検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記マスターインバータ及びスレーブインバータに同時に送信する電力指令値送信手段と、前記再演算された電力指令値が送信された後に前記電力制御手段により行われる最初の前記第1の処理において、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータへの同時送信を禁止する禁止手段とを備え、前記スレーブインバータは、前記制御装置から前記第1の処理による電力保存指令を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存し、前記制御装置から前記第1の処理による前記電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更し、前記制御装置から前記再演算された電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該再演算された電力指令値に変更する出力電力変更手段と、前記制御装置から前記第2の処理による出力電力値の要求があると、保存した自機の出力電力値を前記制御装置に送信する出力電力送信手段とを備えたことを特徴とする。
なお、前記所定の周期は、少なくとも前記マスターインバータが全ての前記スレーブインバータと同時にデータ通信を行う時間を含む前記第1の処理に要する時間と、前記マスターインバータが全ての前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行う時間を含む前記第2の処理に要する時間を合計した時間である。
また、前記電力変動検出手段は、前記直流電源から出力される直流電圧の変化率を検出する電圧変化率検出手段と、前記電圧変化率検出手段により検出される直流電圧の変化率を予め設定された所定の閾値と比較する比較手段と、前記比較手段により前記直流電圧の変化率が前記所定の閾値以上になると、電力変動有りを検出する検出手段とからなる。
また、前記電力指令値は、前記マスターインバータの出力電力値と前記スレーブインバータの出力電力値を総合した総合電力値の平均値である。
また、前記マスターインバータは、最大電力追従制御により自機の出力電力を制御する。
本発明の第3の側面によって提供される系統連系インバータシステムの電力制御方法は、直流電源と電力系統との間に接続され、前記直流電源の電力変動を検出する機能を備えたマスターインバータに、当該マスターインバータに並列に接続されるとともに、相互にデータ通信可能に接続された少なくとも1台のスレーブインバータから前回のデータ通信時に取得した出力電力値と自機の出力電力値とに基づいて、前記スレーブインバータの電力指令値を演算させ、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記スレーブインバータに同時に送信させる第1の工程と、前記スレーブインバータに、前記マスターインバータから前記電力保存指令と前記電力指令値を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存させるとともに、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更させる第2の工程と、前記マスターインバータに、前記第1の工程の後に前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第3の工程とを所定の周期で繰り返すことにより、前記マスターインバータ及び少なくとも1台の前記スレーブインバータを並列接続してなる系統連系インバータシステムから前記電力系統に出力される電力を制御する電力制御方法において、前記第3の工程の処理中に前記マスターインバータにより前記直流電源の電力変動が検出されると、前記マスターインバータに、その電力変動検出時の自機の出力電力値とその検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記スレーブインバータに同時に送信させる第4の工程とを備え、前記第4の工程により前記再演算された電力指令値が送信された後に最初に行われる前記第1の工程では、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止することを特徴とする。
本発明の第4の側面によって提供される系統連系インバータシステムの電力制御方法は、制御装置に、当該制御装置に相互にデータ通信可能に接続されるとともに、直流電源と電力系統との間に並列に接続された前記直流電源の電力変動を検出する機能を備えたマスターインバータと少なくとも1台のスレーブインバータから前回のデータ通信時に取得した各出力電力値に基づいて、前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの電力指令値を演算させ、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに同時に送信させる第1の工程と、前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに、前記制御装置から前記電力保存指令と前記電力指令値を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存させるとともに、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更させる第2の工程と、前記制御装置に、前記第1の工程の後に前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第3の工程とを所定の周期で繰り返すことにより、前記マスターインバータ及び少なくとも1台の前記スレーブインバータを並列接続してなる系統連系インバータシステムから前記電力系統に出力される電力を制御する電力制御方法において、前記直流電源の電力変動が検出されると、前記マスターインバータにその検出情報をその電力変動検出時の自機の出力電力値とともに前記制御装置に送信させる第4の工程と、前記第3の工程の処理中に前記マスターインバータから前記電力変動の検出情報と前記出力電力値を受信すると、前記制御装置に、前記マスターインバータの出力電力値とその電力変動検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算させ、その電力指令値を前記マスターインバータと前記スレーブインバータに同時に送信させる第5の工程とを備え、前記第5の工程により前記再演算された電力指令値が送信された後に最初に行われる前記第1の工程では、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止することを特徴とする。
なお、上記の系統連系インバータシステム又は系統連系インバータシステムの電力制御方法において、前記直流電源は、太陽電池で構成するとよい。
本発明によれば、マスターインバータ若しくは制御装置が所定の周期で第1の処理及び第2の処理を繰り返してマスターインバータ及びスレーブインバータの電力指令値を変更して系統連系システムから電力系統に出力される電力を制御しているときに、直流電源の出力可能な電力変動が生じた場合、マスターインバータ又は制御装置がその電力変動時のマスターインバータの出力電力とその電力変動時に既に取得しているスレーブインバータの出力電力に基づいて電力指令値を再演算し、マスターインバータ及びスレーブインバータの出力電力を再演算した電力指令値に直ちに変更するので、例えば、直流電源の出力可能な電力が系統連系インバータシステムから出力されてい総電力より小さい電力値に低下した場合にも、その総電力と直流電源の電力値との差分を補うためにマスターインバータの変換動作が逆変換動作になるという異常状態の期間を可及的に短くし、この異常状態により運転が停止するという事態をを有効に回避させることができる。
特に、直流電源として太陽電池を利用した場合は、日射量が急変した場合に太陽電池の出力可能な電力が急変し、スレーブインバータの電力指令値を周期的に変更する制御中にマスターインバータの変換動作が逆変換動作をするという異常な状態が生じ、場合によってマスターインバータが停止する虞があるが、本発明によれば、そのような不具合を有効に回避することができる。
本発明に係る系統連系インバータシステムの一例として、太陽電池と電力系統との間に3台の同一のインバータを並列に接続した構成について、図を用いて説明する。
図1は、本発明に係る系統連系インバータシステム1の全体構成を示す図である。同図に示す系統連系インバータシステム1は、太陽電池2と電力系統3との間に基本構成が同一の3台のインバータ4,5,6を並列に接続したものである。太陽電池2は、シリコンなどの半導体からなる多数の光電変換素子を有し、各光電変換素子で光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。電力系統3は、商用電源(日本国では50Hz又は60Hzの交流電力)を供給する電力系統である。
太陽電池2は、周知のように図2に示す出力電力−出力電圧特性(一般に山形の特性)を有する。最大出力電力Pmaxに対応する出力電圧Vmを「最適動作電圧」と言い、太陽電池2は、出力電圧Vdcが最適動作電圧Vmを超えると、出力電流Idcが急激に減少し、それに伴い出力電力Poは急減する。一方、太陽電池2は、出力電圧Vdcが最適動作電圧Vmよりも小さくなると、その出力電圧Vdcに略比例して出力電力Poは減少する。
従って、インバータ4,5,6はそれぞれ単独動作時においては、最適動作電圧Vmを探索し、入力端の直流電圧を最適動作電圧Vmにする(太陽電池2の出力電力を最大電力Pmaxとする)最大電力追従制御を行う機能を備えている。
3台のインバータ4,5,6のうち、インバータ4は系統連系インバータシステム1のマスター機に設定され、インバータ5,6は系統連系インバータシステム1のスレーブ機に設定されている。マスター機であるインバータ(以下、必要に応じて「マスターインバータ」という。)4は通信線7によってスレーブ機であるインバータ(以下、必要に応じて「スレーブインバータ」という。)5,6にそれぞれ接続されている。マスターインバータ4は所定の周期で通信線7を介してスレーブインバータ5,6とそれぞれデータ通信を行う。
マスターインバータ4とスレーブインバータ5,6は、後述するように制御部17の内部構成は異なるが、基本的な構成は同一である。すなわち、インバータ4,5,6は、構成要素として3個の電流センサ8,9,10、2個の電圧センサ11,12、DC−AC(直流−交流)変換回路13、フィルタ回路14、トランス15、解列コンタクタ16及び制御部17を含む。以下、基本的な構成をマスターインバータ4について説明する。
DC−AC変換回路13、フィルタ回路14、トランス15及び解列コンタクタ16は、マスターインバータ4の入力端子(太陽電池2から直流電力が入力される端子)と電力系統3の間にこの順に直列に配置され、相互に接続されている。DC−AC変換回路13は制御ラインにより制御部17に接続されている。
電流センサ8は、マスターインバータ4の入力端子とDC−AC変換回路13の間のラインに設けられ、電流センサ9は、DC−AC変換回路13とフィルタ回路14の間のラインに設けられ、電流センサ10は、フィルタ回路14とトランス15の間のラインに設けられている。電流センサ8、電流センサ9及び電流センサ10は、それぞれ制御部17に接続されている。一方、電圧センサ11がDC−AC変換回路13と制御部17との間に接続され、電圧センサ12がトランス15の入力端と制御部17との間に接続されている。
電流センサ8によりDC−AC変換回路13に入力される直流電流Iが検出され、電流センサ9によりDC−AC変換回路13から出力される交流電流i1が検出され、電流センサ10によりトランス15に入力される交流電流i2が検出される。なお、後述するように、DC−AC変換回路13は直流電圧を三相(U相、V相、W相)の交流電圧に変換するので、電流センサ9から出力される交流電流i1にはU相の交流電流i1U、V相の交流電流i1V及びW相の交流電流i1Wが含まれる。同様に電流センサ10から出力される交流電流i2にはU相の交流電流i2U、V相の交流電流i2V及びW相の交流電流i2Wが含まれる。
電流センサ8、電流センサ9及び電流センサ10の検出電流I,i1,i2は制御部17に入力される。電圧センサ11によりDC−AC変換回路13の入力端子に印加される直流電圧Vが検出され、電圧センサ12によりトランス15の入力端子に印加される交流電圧vが検出される。電圧センサ12から出力される交流電圧vにはU相の交流電圧vU、V相の交流電圧vV及びW相の交流電圧vWが含まれる。電圧センサ11及び電圧センサ12の検出電圧V,vは制御部17に入力される。
DC−AC変換回路13は、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果型トランジスタ、サイリスタなどの6個のスイッチング素子を含む三相ブリッジ回路からなる電圧制御型インバータ回路によって構成されている。三相ブリッジ回路の6個のスイッチング素子は、制御部17から出力されるPWM信号によってそれぞれオン・オフ動作が制御される。制御部17は、PWM信号のパルス幅を制御することによりDC−AC変換回路13から出力される交流電圧vの値を制御する。
フィルタ回路14は、LCローパスフィルタで構成されている。フィルタ回路14は、DC−AC変換回路13から出力される交流電圧vに含まれるスイッチングノイズを除去する。トランス15は、フィルタ回路14から出力される交流電圧(正弦波電圧)を系統電圧とほぼ同一のレベルに昇圧または降圧する。解列コンタクタ16は、異常発生時に系統連系インバータシステム1を電力系統3から切り離すためのものである。
図3は、マスターインバータ4の制御部17の内部構成を示すブロック図である。
制御部17は、直流電力演算部17a、最大電力追従制御部17b、電圧制御部17c、電流制御部17d、指令値演算部17e、PWM信号生成部17f、交流電力演算部17g、電力制御部17h、日射量変動検出部17i、電力指令値演算部17j及び通信制御部17kの機能ブロックを有している。
直流電力演算部17aは、DC−AC変換回路13に入力される直流電力Pdcを演算する機能ブロックである。直流電力演算部17aには電流センサ8の検出電流Iと電圧センサ11の検出電圧Vとが入力される。直流電力演算部17aは、検出電流I(実測値)と検出電圧V(実測値)を乗じて直流電力Pdc(実測値)を算出する。この直流電力Pdcは、最大電力追従制御部17bに入力される。
最大電力追従制御部17bは、太陽電池2からDC−AC変換回路13に入力される直流電力Pdcが最大となるように、当該DC−AC変換回路13の変換動作を制御する機能ブロックである。最大電力追従制御部17bは、いわゆる山登り法により太陽電池2から出力される直流電圧Vを変化させ、太陽電池2から出力される直流電力Pdcを最大出力電力Pmaxに制御する。
具体的には、最大電力追従制御部17bは、所定の周期で直流電圧指令値Vcを生成し、その直流電圧指令値Vcを電圧制御部17cに出力する。直流電圧指令値Vcは、DC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vの制御目標値である。最大電力追従制御部17bは、所定の周期で直流電力演算部17aから入力される直流電力Pdcを更新しながら保存する。最大電力追従制御部17bは、直流電力演算部17aから直流電力Pdcが入力される毎に当該直流電力Pdcと前回入力された直流電力Pdcとを比較し、直流電力Pdcの増減を判別する。
直流電力Pdcが増加している場合は、図2に示す出力電力−出力電圧特性において、DC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vは最適動作電圧Vmよりも低い領域にあると判断されるから、最大電力追従制御部17bは、前回生成した直流電圧指令値Vcを所定値だけ増加して新たな直流電圧指令値Vcを生成し、この直流電圧指令値Vcを電圧制御部17cに出力する。一方、直流電力Pdcが減少している場合は、図2に示す出力電力−出力電圧特性において、DC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vは最適動作電圧Vmよりも高い領域にあると判断されるから、最大電力追従制御部17bは、前回生成した直流電圧指令値Vcを所定値だけ減少して新たな直流電圧指令値Vcを生成し、この直流電圧指令値Vcを電圧制御部17cに出力する。
電圧制御部17cは、DC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vが最大電力追従制御部17bから入力される直流電圧指令値Vcになるように、DC−AC変換回路13から出力される交流電流i1を制御するための交流電流指令値icのうち、有効軸qの電流指令値icq(以下、「有効電流指令値icq」という。)を生成する機能ブロックである。
交流電流指令値icは、DC−AC変換回路13から出力される交流電流i1の制御目標値である。電圧制御部17cには電圧センサ11の検出電圧V(実測値)と最大電力追従制御部17bで生成された直流電圧指令値Vc(目標値)とが入力される。電圧制御部17cは、直流電圧指令値Vcと検出電圧Vとの誤差増幅演算を行い、その制御値に基づいて有効電流指令値icqを生成する。この有効電流指令値icqは、電流制御部17dに出力され、指令値演算部17eに出力すべき制御値Eiのうち、有効軸qの制御値Eiqの演算に使用される。なお、無効軸dの交流電流指令値icd(以下、「無効電流指令値icd」という。)は、後述するように、電力制御部17hにより生成され、この電力制御部17hから電流制御部17dに入力される。
電流制御部17dは、DC−AC変換回路13から出力される交流電流i1が交流電流指令値icになるように制御するための制御値を生成する機能ブロックである。より具体的には、電流制御部17dは、指令値演算部17eに対する制御値Eiを演算する。制御値Eiは有効軸qの制御値Eiqと無効軸dの制御値Eidからなる。電流制御部17dは、電圧制御部17cから入力される有効電流指令値icqと検出電流i1との誤差増幅演算を行い、有効軸qの制御値Eiqとして生成する。また、電流制御部17dは、電力制御部17hから入力される無効電流指令値icdと検出電流i1との誤差増幅演算を行い、無効軸dの制御値Eidとして生成する。これらの制御値Eiq,Eidは、指令値演算部17eに入力される。
なお、電流制御部17dには電流センサ9から三相の交流信号i1U,i1V,i1Wが入力されるので、電流制御部17dでは三相の交流電流i1U,i1V,i1Wを所定の三相/dq軸座標変換式により有効軸qの交流電流iqと無効軸dの交流電流idに変換し、各交流電流iq,idについて制御値Eiqと制御値Eidとが生成される。
指令値演算部17eは、DC−AC変換回路13に出力させるべき交流電圧波形の指令値を演算する機能ブロックである。指令値演算部17eは、電流制御部17dから入力される有効軸qの制御値Eiqと無効軸dの制御値Eidに基づいて、交流電圧波形の指令値を生成する。この指令値は、PWM信号生成部17fに出力される。
PWM信号生成部17fは、DC−AC変換回路13内の三相ブリッジ回路の6個のスイッチング素子を制御するためのPWM信号を生成する機能ブロックである。PWM信号生成部17fは、電流制御部17dから入力される交流電圧波形の指令値に基づいて交流電圧信号を生成し、この交流電圧信号と所定の三角波信号とを比較してPWM信号を生成する。なお、DC−AC変換回路13内の三相ブリッジ回路は、2個一組として3対のスイッチング素子がそれぞれ位相の異なる3種類のPWM信号によりオン・オフ動作が制御されるので、PWM信号生成部17fでは位相の異なる3種類のPWM信号が生成され、それらのPWM信号がDC−AC変換回路13に入力される。
交流電力演算部17gは、フィルタ回路14から出力される交流電力を演算する機能ブロックである。交流電力演算部17gには電流センサ10の検出電流i2と電圧センサ12の検出電圧vとが入力される。交流電力演算部17gは、検出電流i2(実測値)と検出電圧v(実測値)を用いて交流電力(実効値)を算出する。より具体的には、交流電力演算部17gは、U相,V相,W相の検出電流i2(実測値)と検出電圧v(実測値)を用いて有効電力Pac(実効値)と無効電力Qac(実効値)をそれぞれ算出する。有効電力Pacの算出結果は電力指令値演算部17jに入力され、無効電力Qacの算出結果は電力制御部17hに入力される。
電力制御部17hは、フィルタ回路14から出力される無効電力Qacをゼロにするための無効電流指令値icdを生成する機能ブロックである。電力制御部17hは、交流電力演算部17gから入力される無効電力Qacと無効電力指令値(ゼロ)との誤差増幅演算を行い、その制御値に基づいて無効電流指令値icdを生成する。この無効電流指令値icdは、電流制御部17dに入力される。
日射量変動検出部17iは、日射量の急変(太陽電池2に照射した太陽光光量の急変)を検出する機能ブロックである。日射量変動検出部17iには電圧センサ11の検出電圧Vが入力される。日射量変動検出部17iは、検出電圧Vの変化率(時間微分値)Rvを検出し、その電圧変化率Rvを予め設定された所定の閾値Rthと比較する比較回路を有し、電圧変化率Rvが閾値Rth以下であるか否かの信号を出力する。
比較回路は、例えば、電圧変化率Rvが閾値Rth以下の場合はローレベルの信号を出力し、電圧変化率Rvが閾値Rthより高い場合はハイレベルの信号を出力する。比較回路の出力信号がローレベルのときは、その出力信号は「日射量の急変無し」を示し、比較回路の出力信号がハイレベルのときは、その出力信号は「日射量の急変有り」を示す。日射量変動検出部17iの検出結果(比較回路の出力信号)は、電力指令値演算部17jに入力される。
電力指令値演算部17jは、スレーブインバータ5,6の各インバータの電力指令値Pcを演算する機能ブロックである。電力指令値演算部17jには交流電力演算部17gから有効電力Pacが入力され、日射量変動検出部17iから日射量の急変有無の検出信号が入力される。また、通信制御部17kから、スレーブインバータ5,6と通信することにより当該スレーブインバータ5,6から取得した有効電力Pacが電力指令値演算部17jに入力される。
電力指令値演算部17jは、通信制御部17kの通信周期毎に交流電力演算部17gから入力された有効電力Pacと通信制御部17kから入力されたスレーブインバータ5,6の有効電力Pacとを用いてスレーブインバータ5,6の各インバータの電力指令値Pcを演算する。具体的には、マスターインバータ4の有効電力PacをPmain、スレーブインバータ5,6の有効電力PacをそれぞれPsub1,Psub2とすると、電力指令値演算部17jは、これらの有効電力成分の平均値Pave=(Pmain+Psub1+Psub2)/3を各インバータの電力指令値Pcとして算出する。この算出結果は、通信制御部17kに入力される。
また、電力指令値演算部17jは、日射量変動検出部17iから「日射量の急変有り」の検出結果が入力されたときも上記の平均値Paveの演算処理を行い、その演算結果を通信制御部17kに出力する。なお、この場合は、この後の次の演算周期においては、電力指令値演算部17jは、上記の平均値Paveの演算処理は行わない。
電力指令値演算部17jは、日射量変動検出部17iから「日射量の急変有り」の検出結果が入力されたとき、日射量急変検出フラグFを「1」にセットする。電力指令値演算部17jは、「日射量の急変有り」の検出結果に基づいて各インバータの電力指令値Pacの演算処理をした後の次の演算周期における電力指令値Pacの演算処理で日射量急変検出フラグFを「0」にリセットする。
なお、日射量急変検出フラグFは、日射量の急変の有無を示すフラグである。日射量急変検出フラグF=1は「日射量の急変有り」を示し、日射量急変検出フラグF=0は「日射量の急変無し」を示す。日射量急変検出フラグFのセット、リセットの値は逆にしてもよい。日射量急変検出フラグFの情報は、通信制御部17kに入力される。
通信制御部17kは、スレーブインバータ5,6との間でデータ通信を制御する機能ブロックである。通信制御部17kは、所定の周期(以下、「通信サイクル」という。)でスレーブインバータ5,6との間でそれぞれデータ通信を行う。
具体的には、通信制御部17kは、各通信サイクル内で、
(処理a)電力指令値演算部17jから入力された電力指令値Pcと現在出力されている有効電力Pacを保存する指令(以下、「電力保持指令」という。)をスレーブインバータ5,6に同時に送信する
(処理b)スレーブインバータ5,6とのデータ通信により処理aで保存させた有効電力Pacを取得する
の通信処理を行う。この通信処理は、後述する日射量急変検出フラグF=1のときに行われる。なお、インバータ同士の通信時間は、例えば、20ms程度であるので、通信サイクル(処理a,bの通信時間の合計)はおよそ60msである。
また、通信制御部17kは、日射量変動検出部17iの「日射量の急変有り」の検出結果に応じて電力指令値演算部17jで電力指令値Pc’が再演算され、その電力指令値Pc’が入力されたときには、
(処理c)電力指令値演算部17jから入力された電力指令値Pc’をスレーブインバータ5,6に同時に送信する
を行う。
通信制御部17kは、処理cを行ったときには、その後の次の通信サイクルにおける処理aでは、電力指令値演算部17jから電力指令値Pcが入力されないので、電力保持指令のみをスレーブインバータ5,6に同時に送信する。この通信処理(以下、「処理a’」とする。)は、日射量急変検出フラグF=0のときに行われる。
上記構成において、マスターインバータ4では、以下のような電力系統3への出力電力の制御が行なわれる。
すなわち、マスターインバータ4では、指令値演算部17eからPWM信号生成部17fにDC−AC変換回路13に出力させるべき交流電圧波形の指令値が出力されるが、この指令値は有効分については最大電力追従制御部17bによりDC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vが最適動作電圧Vmとなるように制御される。また、無効分については連系点の無効電力Qacがゼロになるように制御される。
従って、日射量の変化に応じて太陽電池2の出力電力−出力電圧特性が変化すると、最大電力点が変化し、最適動作電圧Vmは出力電力−出力電圧特性毎に異なるから、その出力電力−出力電圧特性の変化に伴いDC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vが相対的に最適動作電圧Vmからずれると、最大電力追従制御部17bにより自動的にDC−AC変換回路13の変換動作が修正され、DC−AC変換回路13に入力される直流電圧Vが最適動作電圧Vmに保持される。
なお、マスターインバータ4では、日射量の変化に関係なく上述した最大電力追従制御が行われ、日射量が急激に下降した場合は出力電力が負になる場合があるが、この場合は最大電力点が完全にずれてしまい正常な変換動作とはならない。
図4は、スレーブインバータ5,6の制御部17’の内部構成を示すブロック図である。
制御部17’は、マスターインバータ4の制御部17に対して最大電力追従制御部17b、電圧制御部17c、電流制御部17d、日射量変動検出部17i及び電力指令値演算部17jの機能ブロックを除いた構成を有している。スレーブインバータ5,6は、連系システムにおいては、最大電力追従制御を行わず、マスターインバータ4から指令された電力指令値に従って出力電力の制御を行うので、上記の機能ブロックを必要としないからである。
従って、制御部17’は、直流電力演算部17a、電流制御部17d、指令値演算部17e、PWM信号生成部17f、交流電力演算部17g、電力制御部17h及び通信制御部17kの機能ブロックを有している。
直流電力演算部17aは、上述したマスターインバータ4の直流電力演算部17aと同様の動作を行う。すなわち、直流電力演算部17aは、検出電流I(実測値)と検出電圧V(実測値)を乗じて直流電力Pdc(実測値)を算出する。この算出値は、太陽電池2の出力電力の状態の参照用に利用される。
電流制御部17dは、上述したマスターインバータ4の電流制御部17dと同様の動作を行うが、以下の点でマスターインバータ4とは異なる。すなわち、電流制御部17dには電力制御部17hから有効電流指令値icqと無効電流指令値icdが入力されるので、電流制御部17dは、電流センサ9の検出電流i1(実測値)と電力制御部17hから入力される有効電流指令値icq及び無効電流指令値icdを用いて有効軸qの制御値Eiqと無効軸dの制御値Eidとが生成される。
指令値演算部17eは、上述したマスターインバータ4の指令値演算部17eと同様の動作を行い、PWM信号生成部17fは、上述したマスターインバータ4のPWM信号生成部17fと同様の動作を行う。すなわち、指令値演算部17eは、電流制御部17dから入力される有効軸qの制御値Eiqと無効軸dの制御値Eidに基づいて、交流電圧波形の指令値を生成し、PWM信号生成部17fは、電流制御部17dから入力される交流電圧波形の指令値に基づいて交流電圧信号を生成し、この交流電圧信号と所定の三角波信号とを比較してPWM信号を生成する。
交流電力演算部17gは、上述したマスターインバータ4の交流電力演算部17gと同様の動作を行う。すなわち、交流電力演算部17gは、U相,V相,W相の検出電流i2(実測値)と検出電圧v(実測値)を用いて有効電力Pacと無効電力Qacをそれぞれ算出する。
電力制御部17hは、上述したマスターインバータ4の電力制御部17hと同様の動作を行うが、以下の点でマスターインバータ4とは異なる。すなわち、マスターインバータ4の電力制御部17hは、無効電力指令値icdを生成したが、スレーブインバータ5,6の電力制御部17hは、有効電力指令値icqも生成する。
すなわち、電力制御部17hは、交流電力演算部17gから入力される無効電力Qacと無効電力指令値(ゼロ)との誤差増幅演算を行い、その制御値に基づいて無効電流指令値icdを生成する。また、電力制御部17hは、交流電力演算部17gから入力される有効電力Pacと通信制御部17kから入力されるマスターインバータ4からの有効電力指令値Pcとの誤差増幅演算を行い、その制御値に基づいて有効電流指令値icqを生成する。これらの有効電流指令値icqと無効電流指令値icdは、電流制御部17dに出力される。
通信制御部17kは、マスターインバータ4との間でデータ通信を制御する機能ブロックである。通信制御部17kは、マスターインバータ4からの通信要求に応じてデータ通信を行う。具体的には、通信制御部17kは、処理c若しくは各通信サイクル内の処理aでマスターインバータ4から電力指令値Pcを受信すると、その電力指令値Pcを電力制御部17hに入力する。
また、通信制御部17kは、各通信サイクル内の処理aで電力保持指令を受信すると、交流電力演算部17gに現在演算されている有効電力Pacを保存させる。交流電力演算部17gは、有効電力Pacを一時保存するためのメモリを有し、通信制御部17kから電力保持指令が入力されると、有効電力Pacをそのメモリに一時保存する。
更に、通信制御部17kは、各通信サイクル内の処理bまたは処理cで電力送信指令を受信すると、交流電力演算部17gにメモリに一時保存されている有効電力Pacを読み出させ、その有効電力Pacをマスターインバータ4に送信する。
上記構成において、スレーブインバータ5,6では、以下のような電力系統3への出力電力の制御が行なわれる。
すなわち、スレーブインバータ5,6では、指令値演算部17eからPWM信号生成部17fにDC−AC変換回路13に出力させるべき交流電圧波形の指令値が出力されるが、この指令値は、有効分については連系点の有効電力Pacがマスターインバータ4から指令された電力指令値Pcとなるように制御される。また、無効分については連系点の無効電力Qacがゼロになるように制御される。
マスターインバータ4からは通信サイクル毎に電流指令値Pcが入力されるので、通信サイクル毎に、電力制御部17h、電流制御部17d及び指令値演算部17eにより交流電圧波形の指令値が生成され、PWM信号生成部17fに入力される。従って、DC−AC変換回路13の変換動作は、通信サイクル単位(例えば、60ms単位)で出力電力の目標値が更新されて制御されることになる。
図5は、マスターインバータ4における系統連系インバータシステムの電力系統3への出力電力の制御手順を示すフローチャートである。また、図6は、マスターインバータ4とスレーブインバータ5,6との間のデータ通信の内容を示す図である。なお、図6において、上側のデータ通信の内容は、日射量の急変がなかった場合の内容であり、下側のデータ通信の内容は、tbのタイミングで日射量の急減があった場合の内容である。
なお、以下の説明では、便宜上、日射量が十分の場合の太陽電池2の最大出力電力Pmaxを300kWとし、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の最大出力電力を100kWとする。また、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の変換効率を100%とする。
マスターインバータ4は、図5に示す通信手順に従ってスレーブインバータ5,6とデータ通信を行う。なお、図5に示すフローチャートは、系統連系インバータシステム1が起動すると、マスターインバータ4により実行され、系統連系インバータシステム1が停止するまで繰り返される。
マスターインバータ4は、各種データの初期化を行って出力電力の制御動作を開始する(S1)。この初期化では、後述するスレーブインバータから出力電力の取得する処理でのスレーブインバータ数をカウントするカウンタ値iと日射量急変検出フラグFが「0」に初期設定される。
続いて、マスターインバータ4は、電力指令値の更新タイミング(図6のta1,ta2,…,ta4のタイミング参照)になると(S2:YES)、日射量急変検出フラグFが「1」にセットされているか否かを判断する(S2)。最初の電力指令値の更新タイミングでは、日射量急変検出フラグFは「0」にリセットされているから、マスターインバータ4は、ステップS3に移行し、前回のデータ通信時に取得したスレーブインバータ5,6の各出力電力値Psub1,Psub2と前回のデータ通信時に保存した自機の出力電力値Pmainとから電力指令値Pcを演算する。
すなわち、マスターインバータ4は、自機の出力電力Pmainとスレーブインバータ5,6の各出力電力値Psub1,Psub2を加算して系統連系インバータシステム1の出力電力値Ps(=Pmain+Psub1+Psub2)を算出し、この出力電力値Psの平均を演算することにより電力指令値Pc(=Ps/3)を演算する。なお、起動時の最初の演算では、前回の出力電力値Pmain,Psub1,Psub2は存在しないので、電力指令値Pcのディフォルト値が使用される。
続いて、マスターインバータ4は、演算した電力指令値Pcと電力保存指令をスレーブインバータ5,6に同時に送信する(S5)。ステップS2〜ステップS5の処理は、上述した処理aに相当している。
続いて、マスターインバータ4は、ステップS8に移行し、処理bに相当するデータ通信を行う。マスターインバータ4は、先ず、カウント値iを「1」に設定し(S8)、続いて、日射量が急変しているか否かを判別する(S9)。この判別は、日射量変動検出部17iからの検出信号に基づいて行われる。すなわち、日射量変動検出部17iからハイレベルの検出信号が出力されていると、「日射量急変有り」と判別され、日射量変動検出部17iからローレベルの検出信号が出力されていると、「日射量急変無し」と判別される。
日射量急変検出の判別が「日射量急変無し」であれば(S9:NO)、マスターインバータ4は、ステップS13に移行し、i番目のスレーブインバータとデータ通信を行い、ステップS5で電力保存指令をした出力電力値Psub1の取得処理を行う。なお、本実施形態では、スレーブインバータは2台であるから、1番目のスレーブインバータをスレーブインバータ5とし、2番目のスレーブインバータをスレーブインバータ6とすると、マスターインバータ4は、スレーブインバータ5とデータ通信を行い、その出力電力値Psub1の取得処理を行う。
続いて、マスターインバータ4は、カウント値iがスレーブインバータの総数n以上であるか否かを判別する(S14)。n>iであれば(S14:NO)、マスターインバータ4は、ステップS15に移行し、カウンタ値iを「1」だけ増加してステップS9に戻り、次のスレーブインバータについて同様のデータ通信処理を行う。本実施形態では、スレーブインバータの総数は2台あるので、マスターインバータ4は、1番目のスレーブインバータ5から出力電力値Psub1を取得すると、ステップS15からステップS9に移行し、2番目のスレーブインバータ6について同様のデータ通信処理を行う。
そして、マスターインバータ4は、全てのスレーブインバータ5,6について保存させた出力電力値Psub1,Psub2を取得すると(S14:YES)、ステップ2に戻る。上述したステップS8〜ステップS15の処理は、日射量の急変が生じない場合の処理bに相当している。すなわち、図6においては、例えば、電力指令値の更新タイミングta1からta2までの通信サイクルAにおける処理bに相当している。
図6の通信サイクルAの更新タイミングta1において、マスターインバータ4は、前回の通信サイクルで取得した自機の出力電力Pmainとスレーブインバータ5,6の出力電力Psub1,Psub2がそれぞれ100kWであれば、処理aで、その合計値300kWを3等分した100kWをスレーブインバータ5,6の電力指令値Pcとして演算し、その電力指令値Pc=100kWをスレーブインバータ5,6に同時に送信する。
これにより、マスターインバータ4は最大電力追従制御により100kWで運転し、スレーブインバータ5,6は出力電力を電力指令値Pc(=100kW)に制御するので、電力系統3にはこれらの出力電力を合計した300kWの電力が供給されることになる。マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の各出力電力は出力能力以内であるので、通信サイクルAにおいては系統連系インバータシステム1の運転は正常である。
図5に戻り、ステップS10で日射量急変検出の判別が「日射量急変有り」であれば(S9:YES)、マスターインバータ4は、ステップS10に移行し、電力指令値Pcの再演算を行う。すなわち、マスターインバータ4は、交流電力演算部17gから現時点(「日射量急変有り」が検出された時点)の出力電力値Pmain’を取得し、この出力電力値Pmain’と前回の通信サイクルで取得したスレーブインバータ5,6の出力電力値Psub1,Psub2を合計して現時点の系統連系インバータシステム1の出力電力値Ps’を算出する。そして、マスターインバータ4は、この出力電力値Ps’を3等分した値をスレーブインバータ5,6の電力指令値Pc’(=Ps’/3)として演算する(S10)。
続いて、マスターインバータ4は、日射量急変検出フラグFを「1」にセットした後(S11)、再演算した電力指令値Pcをスレーブインバータ5,6に同時に送信し(S12)、上述したステップS13に移行する。これにより、スレーブインバータ5,6の出力電力は電力指令値Pc’に変更される。すなわち、ステップS5でスレーブインバータ5,6の出力電力は電力指令値Pcに変更されていたが、ステップS11でその出力電力は更に電力指令値Pc’に変更されることになる。ステップS9〜ステップS12の処理は、上述した処理cに相当している。
ステップS14からステップS2に戻り、次の通信サイクルの更新タイミングにおける処理の例として、図6の通信サイクルBの更新タイミングta2の場合を説明すると、通信サイクルAではステップS2〜S5及びステップS8,S9,S13〜S15のループ処理が行われるので、日射量急変検出フラグFは「0」であるから、通信サイクルBにおいてもステップS2〜S5の処理が行われる。
従って、通信サイクルBの処理aの終了タイミングでは、通信サイクルAの処理aの終了タイミングと同様に、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の出力電力は電力指令値Pc(=100kW)に制御され、電力系統3にはこれらの出力電力を合計した300kWの電力が供給されている。
その後、スレーブインバータ5又はスレーブインバータ6とのデータ通信により出力電力値Psub1,Psub2を取得する処理において、例えば、図6のtbのタイミングで日射量の急変が生じると、ステップS9〜ステップS12の処理が実行される。
例えば、tbのタイミングで太陽電池2の最大電力Pmaxが100kWに急減した場合、そのタイミングではスレーブインバータ5,6の電力指令値Pcはそれぞれ100kWに変更されているので、スレーブインバータ5,6の出力電力はそれぞれ100kWに制御される。すなわち、スレーブインバータ5,6の各出力電力を合計した出力電力Psumが200kWとなり、太陽電池2の最大電力Pmax=100kWを超えることになる。
一方、マスターインバータ4は、スレーブインバータ5,6の出力電力の合計値Psumが太陽電池2の最大電力Pmaxを超えているので、その不足分ΔP(=Pmax−Psum)=−100kWを電力系統3から太陽電池2側に電力を逆変換して補うように動作する。従って、tbのタイミングからマスターインバータ4の出力電力は−100kWとなり、異常な変換動作を行うことになる。
しかしながら、tbのタイミングからステップS10に移行し、ステップS10〜S12で処理cに相当する処理が行われるので、この処理cが終了するタイミングtcでは、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の出力電力はそれぞれ33.3kWに変更される。
すなわち、マスターインバータ4は、タイミングtbにおける出力電力値Pmain’=−100kWを取得し、この出力電力値Pmain’と前回の通信サイクルAで取得したスレーブインバータ5,6の出力電力値Psub1,Psub2(各100kW)を合計してタイミングtbにおける系統連系インバータシステム1の出力電力値Ps’(=100kW)を算出する。
そして、マスターインバータ4は、この出力電力値Ps’を3等分した33.3kWをスレーブインバータ5,6の電力指令値Pc’として演算し、その電力指令値Pc’をスレーブインバータ5,6に同時に送信する一方、自機は最大電力追従制御により電力指令値Pc’で運転する。これにより、処理cが終了するタイミングtcでは、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の出力電力はそれぞれ33.3kWに変更される。
図5に戻り、ステップS9〜ステップS12の処理の後にステップS14からステップS2に戻り、次の通信サイクルの更新タイミングにおける処理においては、日射量急変検出フラグFが「1」にセットされているので、ステップS4,S5に代えてステップS6,S7の処理が行われる。
すなわち、マスターインバータ4は、ステップS6に移行すると、前のデータ通信処理で再演算した電力指令値Pc’を既に送信しているので、スレーブインバータ5,6には電力保存指令のみを送信し、日射量急変検出フラグFを「0」にリセットして(S7)、ステップS8に移行する。
上記のステップS3〜S7の処理を、図6の通信サイクルCの更新タイミングta3の場合を例に説明すると、通信サイクルBではステップS2〜S5及びステップS9〜S15のループ処理が行われるので、日射量急変検出フラグFは「1」であるから、通信サイクルCにおいてはステップS3,S6,S7の処理が行われる。
すなわち、通信サイクルCにおいては、マスターインバータ4は、スレーブインバータ5,6に電力保存指令を送信した後、順番にスレーブインバータ5とスレーブインバータ6から保存させた出力電力値Psub1と出力電力値Psub2を取得するのみである。従って、通信サイクルCではマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の出力電力は33.3kWに制御され、系統連系インバータシステム1から電力系統3には100kWの交流電力が出力される。
そして、通信サイクルDの更新タイミングta4では、マスターインバータ4は、前の通信サイクルCの期間で保存した自機の出力電力Pmain(=33.3kW)と取得したスレーブインバータ5,6の出力電力Psub1,Psub2(各33.3kW)とを用いて新たな電力指令値Pcを演算し、スレーブインバータ5,6の出力電力を新たな電力指令値Pcに変更させる。
図6の例では、tbのタイミングで発生した日射量の急減状態は、通信サイクルC,Dでも継続しているので、tbのタイミングからマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の各出力電力は33.3kWに制御され、系統連系インバータシステム1から電力系統3には100kWの電力が出力されることになる。
図7は、系統連系インバータシステムにおける日射量が急減したときの各インバータの入力電圧(直流電圧)と出力電力(交流電力)を示す図である。
同図において、左側の縦軸は各インバータ4〜6のDC−AC変換回路13に入力される直流電圧[V]を示し、右側の縦軸は各インバータ4〜6から出力される交流電力[kW]を示している。また、Iはマスターインバータ4の電流センサ8により検出される直流電圧の波形を示し、IIはスレーブインバータ5,6から出力される交流電力の波形を示し、IIIはマスターインバータ4から出力される交流電力の波形を示している。また、tb,tc,ta3は、図6のタイミングtb,tc,ta3に対応しており、tbからtb'の期間は、日射量の急変に対応してマスターインバータ4の変換動作が変化している過渡応答の期間である。
図7に示すように、本実施形態に係る系統連系インバータシステム1によれば、タイミングtbで日射量が急変する現象が生じた場合、その日射量の急変に起因してマスターインバータ4の出力電力Pmainが急変すると、マスターインバータ4でその出力電力Pmain(−100kW)とマスターインバータ4によって制御されているスレーブインバータ5,6の出力電力Psub1,Psub2(各100kW)とによって直ちに電力指令値Pc’(33.3kW)が演算される。
そして、マスターインバータ4は、その電力指令値Pc’をスレーブインバータ5,6に送信して当該スレーブインバータ5,6の出力電力Psub1,Psub2を電力指令値Pc’に変更するとともに、自機は最大電力追従制御によりPc’で運転するので、マスターインバータ4が異常な変換動作をしたり、延いては停止する虞のある期間を極めて短くすることができる。
例えば、本実施形態では、マスターインバータ4の電力制御の通信サイクルが60ms程度であるが、マスターインバータ4が異常な変換動作をしたり、延いては停止する虞のある期間をマスターインバータ4と1台のスレーブインバータとの通信時間に要する時間(20ms)程度に抑えることができる。
なお、本実施形態では、1台のマスターインバータと2台のスレーブインバータとからなる系統連系インバータシステム1について説明したが、系統連系インバータシステム1を構成するスレーブインバータの台数は、3台以上であっても良い。
数十台のスレーブインバータを有する大規模な系統連系インバータシステムでは、通信サイクルが長くなるので(秒オーダーとなる場合がある)、それに応じてマスターインバータが異常な変換動作をする虞のある期間が長くなるが、本発明を適用すれば、大規模な系統連系インバータシステムにおいてもその期間をミリ秒オーダーの期間に抑制することができ、その効果を有効に発揮させることができる。
また、本実施形態では、周期的な電力指令値の演算と日射量の急変時に電力指令値を再演算する機能をマスターインバータ4の制御部17に設けているが、図8に示すように、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の外部に設けられる制御装置18に設けるようにしても良い。
図8の構成では、制御装置18がマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6の各制御部17と通信線7によって接続されている。制御装置18は、所定の周期Tでマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6とデータ通信を行い、各インバータの動作状態の受信及び動作指令の送信並びに電力指令値Pcの演算をするとともに、その電力指令値Pcと電力保存指令をマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6に同時に送信する。これにより、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6は、所定の周期Tで出力電力が電力指令値Pcに制御される。
マスターインバータ4は、太陽電池2の日射量の変動を監視しており、日射量の急変が検出されると、制御装置18に割り込みをかけて、その検出情報と日射量急変時の出力電力Pmainを当該制御装置18に送信する。これにより制御装置18は、直ちに電力指令値Pc’を再演算し、その電力指令値Pc’をマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6に同時に送信する。これにより、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6は日射量の急変時から極めて短時間で出力電力が電力指令値Pc’に変更される。
なお、上記の説明では、太陽電池2の日射量の変動監視機能や電力指令値Pcの演算機能はマスターインバータ4に設けて、日射量の急変があったときには、制御装置18に割り込みをかけて日射量急変の処理を行わせているが、これらの機能を制御装置18に設け、制御装置18に割り込みをかけることなく日射量の急変があった場合は直ちにその対処をさせるようにしてもよい。
この場合は、太陽電池2の日射量が急減し、最大電力Pmaxが急減すると、制御装置18がそれを検出し、その検出時点でマスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6から取得している出力電力Pmain,Psub1,Psub2から電力指令値Pc’を再演算し、マスターインバータ4及びスレーブインバータ5,6に同時に送信することになる。
従って、マスターインバータ4では、出力電力Pmainが最大電力追従制御により制御装置18から送信される電力指令値Pc’に直ちに変更され、スレーブインバータ5,6では、出力電力Psub1,Psub2が制御装置18から送信される電力指令値Pc’に直ちに変更される。
また、本実施形態では、太陽電池を用いた発電システムに適用した例を説明したが、本発明は、直流発電出力が変動する他の直流電力源を用いた分散電源システムにも適用することができる。
要するに、本願発明は、周期的に、前回のデータ通信で取得した多数のスレーブインバータの出力電力値から次の電力指令値Pcを演算し、その電力指令値Pcを多数のスレーブインバータに送信して当該スレーブインバータの出力電力を電力指令値Pcに変更する構成において、マスターインバータ及び多数のスレーブインバータの出力電力の取得タイミングに対してそれらの出力電力を用いて算出した電力指令値Pcにマスターインバータ及び多数のスレーブインバータの出力電力の変更タイミングに一定期間のタイムラグが生じる構成に広く適用できるものである。
本発明に係る系統連系インバータシステムの全体構成を示す図である。 太陽電池の一般的な出力電力−出力電圧特性を示す図である。 マスターインバータの制御部の内部構成を示すブロック図である。 スレーブインバータの制御部の内部構成を示すブロック図である。 マスターインバータにおける系統連系インバータシステムの電力系統への出力電力の制御手順を示すフローチャートである。 マスターインバータと2台のスレーブインバータとの間のデータ通信の内容を示す図である。 本発明に係る系統連系インバータシステムにおける日射量が急減したときの各インバータの入力電圧(直流電圧)と出力電力(交流電力)を示す図である。 本発明に係る系統連系インバータシステムの変形例を示す図である。 従来の系統連系インバータシステムの一例を示す構成図である。 従来の系統連系インバータシステムにおけるスレーブ機との間のデータ通信の内容を示す図である。 従来の系統連系インバータシステムにおけるマスター機のスレーブ機とのデータ通信の手順を示すフローチャートである。 従来の系統連系インバータシステムにおける日射量が急減したときの各インバータの入力電圧(直流電圧)と出力電力(交流電力)を示す図である。
符号の説明
1,1’ 系統連系インバータシステム
2 太陽電池
3 電力系統
4,5,6 インバータ
7 通信線
8〜10 電流センサ
11,12 電圧センサ
13 DC−AC変換回路
14 フィルタ回路
15 トランス
16 解列コンタクタ
17 制御部
17a 直流電力演算部
17b 最大電力追従制御部
17c 電圧制御部
17d 電流制御部
17e 指令値演算部
17f PWM信号生成部
17g 交流電力演算部
17h 電力制御部
17i 日射量変動検出部
17j 電力指令値演算部
17k 通信制御部
18 制御装置

Claims (10)

  1. 直流電源と電力系統との間に1台のマスターインバータと少なくとも1台のスレーブインバータとが並列に接続されるとともに、前記マスターインバータと前記スレーブインバータとが相互にデータ通信可能に接続され、前記マスターインバータにより、前記電力系統に出力される当該マスターインバータ及び前記スレーブインバータの各出力電力を総合した総電力が制御される系統連系インバータシステムにおいて、
    前記マスターインバータは、
    所定の周期で、前回のデータ通信時に取得した前記スレーブインバータの出力電力値と自機の出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を演算し、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記スレーブインバータに同時に送信する第1の処理と、この第1の処理後に前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第2の処理と、を繰り返して前記電力系統に出力される総電力を制御する電力制御手段と、
    前記直流電源の出力可能な電力の変動を検出する電力変動検出手段と、
    前記電力変動検出手段により電力変動が検出されると、その電力変動検出時の自機の出力電力値とその検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記スレーブインバータに同時に送信する電力指令値送信手段と、
    前記再演算された電力指令値が送信された後に前記電力制御手段により行われる最初の前記第1の処理において、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止する禁止手段と、を備え、
    前記スレーブインバータは、
    前記マスターインバータから前記第1の処理による電力保存指令を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存し、前記マスターインバータから前記第1の処理による前記電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更し、前記マスターインバータから前記再演算された電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該再演算された電力指令値に変更する出力電力変更手段と、
    前記マスターインバータから前記第2の処理による出力電力値の要求があると、保存した自機の出力電力値を前記マスターインバータに送信する出力電力送信手段と、
    を備えたことを特徴とする系統連系インバータシステム。
  2. 直流電源と電力系統との間に並列に接続された1台のマスターインバータと、少なくとも1台のスレーブインバータと、前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと通信可能に接続された制御装置とを備え、前記制御装置により、前記電力系統に出力される前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの各出力電力を総合した総電力が制御される系統連系インバータシステムにおいて、
    前記マスターインバータは、
    前記直流電源の出力可能な電力の変動を検出する電力変動検出手段と、
    前記電力変動検出手段により電力変動が検出されると、その検出情報をその電力変動検出時の自機の出力電力値とともに前記制御装置に送信する電力変動送信手段とを備え、
    前記制御装置は、
    所定の周期で、前回のデータ通信時に取得した前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの出力電力値に基づいて前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの電力指令値を演算し、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに同時に送信する第1の処理と、この第1の処理後に前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第2の処理と、を繰り返して前記電力系統に出力される総電力を制御する電力制御手段と、
    前記マスターインバータから前記電力変動の検出情報とその電力変動検出時の出力電力値を受信すると、その出力電力値とその電力変動検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記マスターインバータ及びスレーブインバータに同時に送信する電力指令値送信手段と、
    前記再演算された電力指令値が送信された後に前記電力制御手段により行われる最初の前記第1の処理において、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータへの同時送信を禁止する禁止手段とを備え、
    前記スレーブインバータは、
    前記制御装置から前記第1の処理による電力保存指令を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存し、前記制御装置から前記第1の処理による前記電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更し、前記制御装置から前記再演算された電力指令値を受信すると、自機の出力電力値を当該再演算された電力指令値に変更する出力電力変更手段と、
    前記制御装置から前記第2の処理による出力電力値の要求があると、保存した自機の出力電力値を前記制御装置に送信する出力電力送信手段と、
    を備えたことを特徴とする系統連系インバータシステム。
  3. 前記所定の周期は、少なくとも前記マスターインバータが全ての前記スレーブインバータと同時にデータ通信を行う時間を含む前記第1の処理に要する時間と、前記マスターインバータが全ての前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行う時間を含む前記第2の処理に要する時間を合計した時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の系統連系インバータシステム。
  4. 前記電力変動検出手段は、
    前記直流電源から出力される直流電圧の変化率を検出する電圧変化率検出手段と、
    前記電圧変化率検出手段により検出される直流電圧の変化率を予め設定された所定の閾値と比較する比較手段と、
    前記比較手段により前記直流電圧の変化率が前記所定の閾値以上になると、電力変動有りを検出する検出手段と、
    からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の系統連系インバータシステム。
  5. 前記電力指令値は、前記マスターインバータの出力電力値と前記スレーブインバータの出力電力値を総合した総合電力値の平均値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の系統連系インバータシステム。
  6. 前記直流電源は、太陽電池である請求項1〜5のいずれかに記載の系統連系インバータシステム。
  7. 前記マスターインバータは、最大電力追従制御により自機の出力電力を制御することを特徴とする請求項6に記載の系統連系インバータシステム。
  8. 直流電源と電力系統との間に接続され、前記直流電源の電力変動を検出する機能を備えたマスターインバータに、当該マスターインバータに並列に接続されるとともに、相互にデータ通信可能に接続された少なくとも1台のスレーブインバータから前回のデータ通信時に取得した出力電力値と自機の出力電力値とに基づいて、前記スレーブインバータの電力指令値を演算させ、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記スレーブインバータに同時に送信させる第1の工程と、
    前記スレーブインバータに、前記マスターインバータから前記電力保存指令と前記電力指令値を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存させるとともに、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更させる第2の工程と、
    前記マスターインバータに、前記第1の工程の後に前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第3の工程と、
    を所定の周期で繰り返すことにより、前記マスターインバータ及び少なくとも1台の前記スレーブインバータを並列接続してなる系統連系インバータシステムから前記電力系統に出力される電力を制御する電力制御方法において、
    前記第3の工程の処理中に前記マスターインバータにより前記直流電源の電力変動が検出されると、前記マスターインバータに、その電力変動検出時の自機の出力電力値とその検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算し、その電力指令値を前記スレーブインバータに同時に送信させる第4の工程とを備え、
    前記第4の工程により前記再演算された電力指令値が送信された後に最初に行われる前記第1の工程では、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止することを特徴とする系統連系インバータシステムの電力制御方法。
  9. 制御装置に、当該制御装置に相互にデータ通信可能に接続されるとともに、直流電源と電力系統との間に並列に接続された前記直流電源の電力変動を検出する機能を備えたマスターインバータと少なくとも1台のスレーブインバータから前回のデータ通信時に取得した各出力電力値に基づいて、前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータの電力指令値を演算させ、その電力指令値と出力電力値の保存を指令する電力保存指令とを前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに同時に送信させる第1の工程と、
    前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータに、前記制御装置から前記電力保存指令と前記電力指令値を受信すると、その電力保存指令に従って受信時の自機の出力電力値を保存させるとともに、自機の出力電力値を当該電力指令値に変更させる第2の工程と、
    前記制御装置に、前記第1の工程の後に前記マスターインバータ及び前記スレーブインバータと順番にデータ通信を行って前記電力保存指令により保存させた出力電力値を取得する第3の工程と、
    を所定の周期で繰り返すことにより、前記マスターインバータ及び少なくとも1台の前記スレーブインバータを並列接続してなる系統連系インバータシステムから前記電力系統に出力される電力を制御する電力制御方法において、
    前記直流電源の電力変動が検出されると、前記マスターインバータにその検出情報をその電力変動検出時の自機の出力電力値とともに前記制御装置に送信させる第4の工程と、
    前記第3の工程の処理中に前記マスターインバータから前記電力変動の検出情報と前記出力電力値を受信すると、前記制御装置に、前記マスターインバータの出力電力値とその電力変動検出時に所得されている前記スレーブインバータの出力電力値とに基づいて前記スレーブインバータの電力指令値を再演算させ、その電力指令値を前記マスターインバータと前記スレーブインバータに同時に送信させる第5の工程とを備え、
    前記第5の工程により前記再演算された電力指令値が送信された後に最初に行われる前記第1の工程では、前記電力指令値の演算及びその電力指令値の前記スレーブインバータへの同時送信を禁止することを特徴とする系統連系インバータシステムの電力制御方法。
  10. 前記直流電源は、太陽電池である請求項7又は8に記載の系統連系インバータシステムの電力制御方法。
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