JP2008182666A - エレクトレットコンデンサマイク及びその製造方法 - Google Patents

エレクトレットコンデンサマイク及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エレクトレットコンデンサマイクにおいてエレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを防止する。
【解決手段】エレクトレット4を有するメンブレン2(下部電極)と、メンブレン2との間にエアギャップ3を介在させて配置された上部電極1とを有するエレクトレットコンデンサマイクを製造する際に、エアギャップ3の内部に対して撥水化処理を行う前に脱ガス処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響検出機構の製造方法に関し、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて形成するエレクトレットコンデンサマイク及びその製造方法に関する。
エレクトレットコンデンサマイクは、平行平板コンデンサを有する超小型マイクであって、その動作原理は、音圧の変動に反応してコンデンサの一方の電極が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、当該変化が最終的に電圧の信号に変換されるというものである。
エレクトレットコンデンサマイクには、複数の部品を貼り合わせて製造する貼り合わせ型と、半導体技術つまりMEMS技術を応用してマイク全体を一体的に製造する一体形成型とが存在する。
貼り合わせ型は、その製造が簡単であるために長く主流であったが、貼り合わせ技術を用いるため、耐熱性向上、小型化、コスト低減、及び貼り合わせ部における加工信頼性の向上等に限界が存在する。そこで、半導体技術を応用してマイク全体を一体的に製造する一体形成型エレクトレットコンデンサマイクが実用化され始めている。
以下、特許文献1に開示された、従来の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの一例について、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、特許文献1に示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの断面図である。
図8に示すように、半導体基板201の上にシリコン酸化膜202が形成されていると共に、所定の部分(周縁部)を残して半導体基板201及びシリコン酸化膜202を除去することによりメンブレン領域213が形成されている。ここで、メンブレン領域213とは、後述する振動膜212が外部から圧力を受けて振動することを可能とするために半導体基板201が部分的に除去された領域である。シリコン酸化膜202上にはシリコン窒化膜203がメンブレン領域213を覆うように形成されている。シリコン窒化膜203の上には、下部電極204及び引き出し配線215となる1つの導電膜が形成されている。シリコン窒化膜203、下部電極204及び引き出し配線215のそれぞれの上にはシリコン酸化膜205及びシリコン窒化膜206が順次形成されている。ここで、下部電極204及びシリコン酸化膜205にはリークホール207が形成されている。また、シリコン窒化膜203及びシリコン窒化膜206は、リークホール207が形成され且つメンブレン領域213に位置する部分の下部電極204及びシリコン酸化膜205を覆うように形成されている。
尚、メンブレン領域213に位置する部分のシリコン窒化膜203、下部電極204、シリコン酸化膜205及びシリコン窒化膜206によって振動膜212が構成される。また、シリコン酸化膜205は、電荷を蓄えたエレクトレット膜である。さらに、シリコン窒化膜206の上方には、シリコン窒化膜214により覆われた導電膜からなる固定膜(上部電極)210が形成されている。振動膜212と固定膜210との間にはエアギャップ209が形成されており、メンブレン領域213の外側に位置する部分のシリコン窒化膜206及びシリコン酸化膜202のそれぞれと固定膜210との間には、シリコン酸化膜208が形成されている。エアギャップ209は、少なくともメンブレン領域213を覆うように形成されている。エアギャップ209の上方に位置する部分の固定膜210(又はそれを覆うシリコン窒化膜214)には、複数のアコースティックホール211が形成されている。引き出し配線215の一部分が露出するようにシリコン窒化膜214、固定膜210及びシリコン酸化膜208に開口部216が設けられていると共に、固定膜210の一部分が露出するようにシリコン窒化膜214に開口部217が設けられている。
図9(a)〜(f)は、特許文献1に示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクと基本構造を同じくする従来のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を模式的に示した図である。尚、図9(a)〜(f)において、図8に示すエレクトレットコンデンサマイクと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより重複する説明を省略すると共に、説明の簡単のために一部の構成要素の図示を省略する。
まず、図9(a)に示すように、シリコンよりなる半導体基板201の表面及び裏面にシリコン酸化膜202を形成する。次に、図9(b)に示すように、半導体基板201の表面側のシリコン酸化膜202の上にシリコン窒化膜203、下部電極204となる導電膜、シリコン酸化膜205及びシリコン窒化膜206を順次成膜すると共にリソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることによって、下部電極204、リークホール207及び振動膜212を形成する。
その後、図9(c)に示すように、最終的にエアギャップ209が設けられる犠牲層酸化膜218を成膜する。
次に、図9(d)に示すように、成膜とリソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることによって、犠牲層酸化膜218の上に、シリコン窒化膜214(図示省略)により覆われた導電膜からなり且つ凹凸構造を有する固定膜210を形成した後、固定膜210にアコースティックホール211を開口する。その後、図9(e)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることにより、半導体基板201の裏面側から当該基板を貫通して当該基板表面側のシリコン酸化膜202に達する貫通穴219を形成する。
次に、図9(f)に示すように、アコースティックホール211を通じて犠牲層酸化膜218を部分的にウェットエッチングすることにより、固定膜210と振動膜212との間にエアギャップ209を形成する。このとき、リークホール207を通じて半導体基板201の表面側のシリコン酸化膜202も部分的にエッチングされる。
このようにして、下部電極及びエレクトレットの機能を有する振動膜212と、上部電極の機能を有する固定膜210とがエアギャップ209を挟んで対向して配置された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクが完成する。
ところで、エレクトレットコンデンサマイクは、アコースティックホールを通じてエレクトレット膜が外気に露出する構造を有しているため、高温多湿な環境と低温低湿な環境との間を行き来して使用された場合、つまり、結露環境において使用された場合、外気に通じる開口部(アコースティックホール及びリークホール)の面積が小さいエアギャップの内部は特に結露しやすい厳しい環境となる。このため、振動膜と固定膜とが結露により密着してしまい、その結果、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークしやすいという問題点を潜在的に有している。
そこで、この問題点を解決するために、特許文献2には、貼り合わせ型のエレクトレットコンデンサマイクをHMDS(hexamethyldisilazane)雰囲気中に放置することによってエアギャップ内を撥水化し、それにより、振動膜と固定膜とが結露により密着することを防止し、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを防止する方法が提案されている。
以下、特許文献2に示す貼り合わせ型のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図10(a)〜(f)は、特許文献2に示された、従来のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を示した図である。
まず、図10(a)に示すように、半導体基板301の表面及び裏面にシリコン酸化膜302を形成する。次に、図10(b)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることにより、半導体基板301の上部を基板表面側のシリコン酸化膜302と共に選択的に除去して、エアギャップ309(図10(f)参照)となる窪みを形成する。
その後、図10(c)に示すように、当該窪みに露出する半導体基板301の表面にシリコン酸化膜302を再形成する。その後、図10(d)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることにより、半導体基板301の裏面側から半導体基板301を貫通して前記窪み内のシリコン酸化膜302に達する貫通穴319を形成する。
続いて、図10(e)に示すように、製造途中のエレクトレットコンデンサマイクをHMDS雰囲気中に放置することによって、シリコン酸化膜302を撥水化する(図中において撥水性を有する箇所を符号322(黒丸)で表す)。
最後に、図10(f)に示すように、半導体基板301の表面側に、前記窪みを覆うように振動膜312を貼り付ける。振動膜312は、例えばシリコン酸化膜のような絶縁膜の上に導電膜が形成された膜構成を有する。これにより、半導体基板301が下部電極の役割を有し、振動膜312により覆われた前記窪みがエアギャップ309となり、エアギャップ309内に配置されたシリコン酸化膜302がエレクトレットとなる貼り合わせ型エレクトレットコンデンサマイクを製造することができる。
特開2006−074102号公報 米国特許4910840号明細書
しかしながら、特許文献2に記載されているようにHMDS材料を用いてエレクトレットコンデンサマイクに対して撥水化処理を行っても、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを十分に防止できないという問題がある。
前記に鑑み、本発明は、エレクトレットコンデンサマイクにおいてエレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを確実に防止することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本願発明者は、結露環境においてもエレクトレットから外気への電荷のリークを防止できる方法として、まず、次のような発明を想到した。
すなわち、本発明に係る第1のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法は、エレクトレットを有する第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有するエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記エアギャップの内部に対して脱ガス処理を行う工程(a)と、前記工程(a)よりも後に、少なくとも前記エアギャップの内部に対して撥水化処理を行う工程(b)とを備えている。
本発明の第1のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法によると、エアギャップの内部に対して撥水化処理を行う前に脱ガス処理を行うため、エアギャップ内に残留する水分やアルコール分等を脱ガス処理により気化して除去してから、撥水化処理を行うことができる。このため、エアギャップの内部の撥水化処理を確実に行うことができるので、エアギャップの内壁等は強固な撥水性を有するようになる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
また、本発明の第1のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記工程(b)は、HMDS雰囲気中において加熱処理を用いて行われることが好ましい。
このようにすると、脱ガス処理により水分やアルコール分等が除去されてOH基のみが残った状態のエアギャップの内部において、OH基(正確にはOH基のH)をSi(CH3 3 基と置換することができるので、エアギャップの内壁等は強固な撥水性を有するようになる。
また、本発明の第1のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記工程(a)は、真空処理若しくはベーキング処理又はそれら両方の処理を用いて行われることが好ましい。
このようにすると、エアギャップ内に残留する水分やアルコール分等を確実に気化して除去することができる。
尚、本発明の第1のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、脱ガス処理と撥水化処理とを同じチャンバー内で行ってもよいし又は異なるチャンバー内で行ってもよい。
ところで、貼り合わせ型のエレクトレットコンデンサマイクにおいては、特許文献2に記載されているように、HMDS環境内に放置することによって、振動膜及び固定膜の撥水性を向上させて、振動膜と固定膜とが結露により密着することを防止し、それにより、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを防止することがある程度可能となる。しかし、近年注目されている一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造においては、特許文献2に開示された撥水化処理をそのまま適用したとしても、振動膜及び固定膜のいずれに対しても十分な撥水性を持たせることはできず、その結果、振動膜と固定膜とが結露により密着する事態を回避することができない。すなわち、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいては、貼り合わせ型エレクトレットコンデンサマイクと比較しても、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを防止することがさらに困難になる。
そこで、本願発明者は、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいても、振動膜及び固定膜の双方の撥水性を向上させ、結露に起因する振動膜と固定膜との密着を防止し、それにより、エレクトレットに蓄えられた電荷が外気へリークすることを防止することを目的として、以下のような検討を行った。すなわち、本願発明者は、撥水化処理により生じる振動膜及び固定膜の撥水性が、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクと貼り合わせ型エレクトレットコンデンサマイクとで大きく異なる原因を調べるため、特許文献1に開示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法に特許文献2に開示された撥水化処理を適用した場合と、特許文献2に開示されたエレクトレットコンデンサマイクの製造方法とを詳細に比較検討した。その結果、次のような知見を得た。
図11(a)及び(b)は、特許文献1に開示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法に特許文献2に開示された撥水化処理を適用した場合におけるエアギャップ内壁での撥水化処理の様子を説明するための図である。
図9(f)に示すように、一体形成型のエレクトレットコンデンサマイクの製造においては、犠牲層酸化膜218を部分的にウェットエッチングすることにより、固定膜210と振動膜212との間にエアギャップ209を形成する工程がある。このとき、図11(a)に示すように、シリコン窒化膜206(振動膜212の上面に形成されている)、及びシリコン窒化膜214(固定膜210の下面に形成されており、開口(アコースティックホール211)が設けられている)のそれぞれの近傍には、Si(CH3 3 基による置換を阻害するアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等が存在する。しかも、シリコン窒化膜206及びシリコン窒化膜214のそれぞれの表面には、Si(CH3 3 基置換の対象となるOH基がそもそも少ない。従って、HMDS雰囲気中に放置したとしても、図11(b)に示すように、シリコン窒化膜206及びシリコン窒化膜214のそれぞれの表面に存在するSi(CH3 3 基の密度は小さく、その結果、固定膜210においても振動膜212においても十分な撥水性が得られないと推測される。尚、HMDS環境下において、OH基がSi(CH3 3 基に置換されて撥水性を生じることは、レジスト密着性の向上を目的とする技術として公知である(特許文献2)。
図12(a)及び(b)は、特許文献2に開示されたエレクトレットコンデンサマイクの製造方法におけるエアギャップ内壁での撥水化処理の様子を説明するための図である。
図10(a)〜(f)に示すように、貼り合わせ型エレクトレットコンデンサマイクの製造においては、エアギャップ309となる窪みを先に形成してから振動膜312を貼り合わせるため、図12(a)に示すように、基板表面に固着されているシリコン酸化膜302の近傍には、Si(CH3 3 基による置換を阻害するアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等がほとんど存在していない。また、シリコン酸化膜302の表面には、Si(CH3 3 基置換の対象となるOH基が豊富に存在する。従って、HMDS雰囲気中に放置すると、図12(b)に示すように、シリコン酸化膜302の表面に存在するSi(CH3 3 基の密度は非常に高くなり、その結果、シリコン酸化膜302の表面において十分な撥水性が得られると推測される。尚、撥水化処理の後に基板側に貼り付けられる振動膜312については、撥水性の良い材料を採用することができ、それにより、問題の発生を防止することができる。
そこで、本願発明者は、前述の知見に基づいて、結露環境にある一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいても、エレクトレットから外気への電荷のリークを防止できる方法として、以下のような発明を想到した。
すなわち、本発明に係る第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法は、エレクトレットを有する振動可能な第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有し、且つ、前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの表面における少なくとも前記エアギャップに面する箇所がSiN膜によって覆われている一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法を前提とし、前記エアギャップの内部に対して脱ガス処理を行う工程(a)と、前記工程(a)よりも後に、少なくとも前記SiN膜の表面を酸化してSiON膜を形成する工程(b)と、前記工程(b)よりも後に、少なくとも前記SiON膜の表面に対してシリル基置換を行う工程(c)とを備えている。
本発明の第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法によると、エアギャップの内部に対して撥水化処理つまりシリル基置換(シリル化)を行う前に脱ガス処理を行うため、エアギャップ内に残留する水分やアルコール分等を脱ガス処理により気化して除去してから、撥水化処理を行うことができる。また、シリル基置換を行う前に,第1の電極及び第2の電極のそれぞれを覆うSiN膜の表面を酸化してSiON膜を形成するため、シリル基置換の対象となるOH基を豊富にすることができる。このため、エアギャップ内壁のシリル基置換を確実に行うことができるので、第1の電極及び第2の電極のそれぞれの表面におけるエアギャップに面する箇所等は強固な撥水性を有するようになる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、エレクトレットを有する第1の電極(振動膜)と第2の電極(固定膜)とが結露により密着することを防止でき、それにより、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
本発明の第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記工程(b)でプラズマ酸化を用いることが好ましい。
このようにすると、外気に通じる開口部(アコースティックホール及びリークホール)の面積が小さいエアギャップの内部においても、第1の電極及び第2の電極のそれぞれを覆うSiN膜の表面を確実に酸化してSiON膜を形成することができる。また、プラズマ酸化に代えて、例えば酸素含有雰囲気中での長時間のベーキング処理(熱酸化)等を用いても、同様の効果が得られる。
本発明の第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記工程(c)は、HMDS雰囲気中において加熱処理を用いて行われることが好ましい。
このようにすると、脱ガス処理により水分やアルコール分等が除去されてOH基のみが残った状態のエアギャップの内部において、OH基(正確にはOH基のH)をSi(CH3 3 基と置換することができるので、エアギャップの内壁等は強固な撥水性を有するようになる。また、HMDSは安価で容易に入手可能な汎用シリル化剤であるため、シリル基置換を低コストで実施することができる。
本発明の第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、前記工程(a)は、真空処理若しくはベーキング処理又はそれら両方の処理を用いて行われることが好ましい。
このようにすると、エアギャップ内に残留する水分やアルコール分等を確実に気化して除去することができる。
また、本発明に係るエレクトレットコンデンサマイクは、エレクトレットを有する振動可能な第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有する一体形成型エレクトレットコンデンサマイクを前提とし、前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの表面における少なくとも前記エアギャップに面する箇所が、シリル基(3置換シリル基を含む)で終端したSiON膜によって覆われている。
すなわち、本発明に係るエレクトレットコンデンサマイクは、前述の本発明の第2のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法により得られるエレクトレットコンデンサマイクであって、第1の電極及び第2の電極のそれぞれの表面におけるエアギャップに面する箇所が、シリル基で終端したSiON膜によって覆われているため、エレクトレットを有する第1の電極(振動膜)及び第2の電極(固定膜)のそれぞれが強固な撥水性を有するようになる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、振動膜と固定膜とが結露により密着することを防止でき、それにより、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
本発明のエレクトレットコンデンサマイクにおいて、前記シリル基はSi(CH3 3 基であることが好ましい。
このようにすると、安価で容易に入手可能な汎用シリル化剤であるHMDSを用いて、本発明のエレクトレットコンデンサマイクを製造することができるので、製造コストを抑制することができる。また、HMDSに代えて、例えばTMSA(N-Trimethylsilylacetamide )又はBSA(N,O-Bis(trimethylsilyl)-acetamide )等の他のシリル化剤等を用いても、同様の効果が得られる。
本発明によると、エアギャップ内に残留する水分やアルコール分等を脱ガス処理により除去してから撥水化処理を行うため、エアギャップの内壁等に強固な撥水性を持たせることができる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
また、本発明によると、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造において撥水化処理つまりシリル基置換を行う前に、第1の電極及び第2の電極のそれぞれを覆うSiN膜の表面を酸化してSiON膜を形成するため、シリル基置換の対象となるOH基を豊富にすることができる。このため、エアギャップ内壁のシリル基置換を確実に行うことができるので、第1の電極及び第2の電極のそれぞれの表面におけるエアギャップに面する箇所等は強固な撥水性を有するようになる。従って、結露しやすい厳しい環境にある一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいても、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイクの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(h)は、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図1(a)に示すように、例えばシリコンよりなる半導体基板13の表面及び裏面に例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜14を形成する。次に、図1(b)に示すように、半導体基板13の表面側の絶縁膜14の上に、例えば下部電極となる導電膜上にエレクトレットとなる絶縁膜が積層されてなるメンブレン2を形成した後、メンブレン2にリークホール23を形成する。
次に、図1(c)に示すように、メンブレン2の上に例えばシリコン酸化膜からなる犠牲層20を形成した後、図1(d)に示すように、犠牲層20の上に上部電極1を形成する。その後、図1(e)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組合せて用いることにより、上部電極1に音孔25を形成した後、図1(f)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組合せて用いることにより、半導体基板13の裏面側から半導体基板13を貫通して基板表面側の絶縁膜14に達する貫通穴8を形成する。
次に、図1(g)に示すように、音孔25を通して犠牲層20を部分的にウェットエッチングすることにより、上部電極1とメンブレン2(下部電極)との間にエアギャップ3を形成する。このとき、リークホール23を通して半導体基板13の表面側の絶縁膜14も部分的にエッチングされる。
最後に、図1(h)に示すように、エアギャップ3内を含む半導体基板13に対して例えばHMDSによる撥水化処理(撥水化された箇所を符号5(黒丸)で表す)を行う。これにより、エアギャップ3内に配置されたメンブレン2の一部である絶縁膜をエレクトレット4とするエレクトレットコンデンサマイクを完成させる。
本実施形態の特徴は、前記撥水化処理を行う前に、エアギャップ3の内部に対して脱ガス処理を行うことである。脱ガス処理は、例えば25Pa以下の圧力に1時間以上に亘り半導体基板13をさらす真空処理と、例えば300℃以上の温度に24時間以上に亘り半導体基板13をさらすベーキング処理との組み合わせにより実施される。尚、脱ガス処理の条件としては、熱的昇温脱離分析結果において水分やアルコール分等のピークが現れない条件を用いる。図2(a)は本実施形態の脱ガス処理前の熱的昇温脱離分析結果の一例を示し、図2(b)は本実施形態の脱ガス処理後の熱的昇温脱離分析結果の一例を示す。図2(a)及び(b)に示すように、脱ガス処理前に見られたピークが脱ガス処理後には消滅していることがわかる。
図3(a)及び(b)は、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法における脱ガス処理及び撥水化処理の組み合わせによる撥水化メカニズムを説明するための図である。尚、図3(a)及び(b)において、エアギャップ内壁を方形で表している。
本実施形態の脱ガス処理を実施すると、図3(a)に示すように、エアギャップ内壁等に残存するアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等が気化して除去され、その結果、エアギャップ内はOH基のみが残った状態となる。
続いて、例えばHMDS(つまりSi(CH3 3 −NH−Si(CH3 3 )による撥水化処理を実施すると、図3(b)に示すように、エアギャップ内のOH基(正確にはOH基のH)がSi(CH3 3 基と置換され、その結果、エアギャップの内壁等は強固な撥水性を有することになる。
図4は、比較例として、エアギャップ内に対して撥水化処理のみを実施する従来のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法における撥水化メカニズムを説明するための図である。尚、図4において、エアギャップ内壁を方形で表している。
従来のように、HMDSによる撥水化処理のみを実施した場合、エアギャップ内壁等にアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等が残存した状態で撥水化処理が行われるため、アルコールの分子や水の分子等のOH基(正確にはOH基のH)がSi(CH3 3 基と置換されてしまう。このため、Si(CH3 3 基によるエアギャップ内のOH基の置換が不十分となって、エアギャップの内壁等のミクロな領域において撥水化が不十分な状態となり、その結果、結露環境においてエレクトレットから外気に電荷がリークすることになる。
以上に説明したように、本実施形態によると、エアギャップ内部に対して撥水化処理を行う前に脱ガス処理を行うため、エアギャップ内部に残留する水分やアルコール分等を脱ガス処理により気化して除去してから、撥水化処理を行うことができる。このため、エアギャップ内部の撥水化処理を確実に行うことができるので、エアギャップ内壁等は強固な撥水性を有するようになる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
尚、本実施形態において、エレクトレットとなる絶縁材料は、着電特性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を用いることができる。
また、本実施形態において、撥水化処理にHMDSを用いたが、これに代えて、例えばTMSA(N-Trimethylsilylacetamide )又はBSA(N,O-Bis(trimethylsilyl)-acetamide )等の他のシリル化剤等を用いることができる。
また、本実施形態において、脱ガス処理として、真空処理及びベーキング処理の両方を行ったが、これに代えて、真空処理又はベーキング処理のいずれか一方のみを行ってもよい。
また、本実施形態において、脱ガス処理と撥水化処理とを同じチャンバー内で行ってもよいし又は異なるチャンバー内で行ってもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイク及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイク、具体的には一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの断面図である。
図5に示すように、半導体基板101の上にシリコン酸化膜102が形成されていると共に、所定の部分(例えば周縁部)を残して半導体基板101及びシリコン酸化膜102を除去することによりメンブレン領域113が形成されている。ここで、メンブレン領域113とは、後述する振動膜112が外部から圧力を受けて振動することを可能とするために半導体基板101が部分的に除去された領域である。シリコン酸化膜102上にはシリコン窒化膜103がメンブレン領域113を覆うように形成されている。シリコン窒化膜103の上には、下部電極104及び引き出し配線115となる1つの導電膜が形成されている。シリコン窒化膜103、下部電極104及び引き出し配線115のそれぞれの上にはシリコン酸化膜105及びシリコン窒化膜106が順次形成されている。ここで、下部電極104及びシリコン酸化膜105にはリークホール107が形成されている。また、シリコン窒化膜103及びシリコン窒化膜106は、リークホール107が形成され且つメンブレン領域113に位置する部分の下部電極104及びシリコン酸化膜105を覆うように形成されている。
尚、メンブレン領域113に位置する部分のシリコン窒化膜103、下部電極104、シリコン酸化膜105及びシリコン窒化膜106によって振動膜112が構成されている。また、シリコン酸化膜105は、電荷を蓄えたエレクトレット膜である。さらに、シリコン窒化膜106の上方には、シリコン窒化膜114により覆われた導電膜からなる固定膜(上部電極)110が形成されている。振動膜112と固定膜110との間にはエアギャップ109が形成されており、メンブレン領域113の外側に位置する部分のシリコン窒化膜106及びシリコン酸化膜102のそれぞれと固定膜110との間には、シリコン酸化膜108が形成されている。エアギャップ109は、少なくともメンブレン領域113を覆うように形成されている。エアギャップ109の上方に位置する部分の固定膜110(又はそれを覆うシリコン窒化膜114)には、複数のアコースティックホール111が形成されている。引き出し配線115の一部分が露出するようにシリコン窒化膜114、固定膜110及びシリコン酸化膜108に開口部116が設けられていると共に、固定膜110の一部分が露出するようにシリコン窒化膜114に開口部117が設けられている。
本実施形態の特徴は、シリコン窒化膜103、シリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114のそれぞれの表面部(具体的にはエアギャップ109及び外気に面する箇所)にSiON膜151が形成されており、SiON膜151が例えばSi(CH3 3 基等のシリル基で終端された表面(以下、シリル基終端表面153と称する)を有していることである。すなわち、エレクトレットを有する振動可能な下部電極104、及び固定膜110である上部電極のそれぞれの表面におけるエアギャップ109に面する箇所は、シリル基で終端したSiON膜151によって覆われている。
尚、半導体基板101の露出表面、開口部116における引き出し配線115の露出表面、及び開口部117における固定膜110の露出表面にはシリコン酸化膜152が形成されており、シリコン酸化膜152もシリル基終端表面153を有している。尚、シリコン酸化膜152の膜厚は1nm程度以下であるため、開口部116及び117におけるプローブ検査やワイヤボンディング等には全く問題がない。
以下、本実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイクの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6(a)〜(g)は、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法、具体的には、図5に示す本実施形態の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクと基本構造を同じくするエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を示す断面図である。尚、図6(a)〜(g)において、図5に示すエレクトレットコンデンサマイクと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより重複する説明を省略すると共に、説明の簡単のために一部の構成要素の図示を省略する。
まず、図6(a)に示すように、例えばシリコンよりなる半導体基板101の表面及び裏面に絶縁膜、例えばシリコン酸化膜102を形成する。次に、図6(b)に示すように、半導体基板101の表面側のシリコン酸化膜102の上にシリコン窒化膜103、下部電極104となる導電膜、シリコン酸化膜105及びシリコン窒化膜106を順次成膜すると共にリソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることによって、下部電極104、リークホール107及び振動膜212を形成する。
その後、図6(c)に示すように、最終的にエアギャップ109が設けられる犠牲層酸化膜118を成膜する。
次に、図6(d)に示すように、成膜とリソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることによって、犠牲層酸化膜118の上に、シリコン窒化膜114(図示省略)により覆われた導電膜からなり且つ凹凸構造を有する固定膜110を形成した後、固定膜110にアコースティックホール111を開口する。その後、図6(e)に示すように、リソグラフィとエッチングとを組み合わせて用いることにより、半導体基板101の裏面側から当該基板を貫通して当該基板表面側のシリコン酸化膜102に達する貫通穴119を形成する。
次に、図6(f)に示すように、アコースティックホール111を通じて犠牲層酸化膜118を部分的にウェットエッチングすることにより、導電膜からなる固定膜110と振動膜112との間にエアギャップ109を形成する。このとき、リークホール107を通じて半導体基板101の表面側のシリコン酸化膜102も部分的にエッチングされる。また、下部電極104、及び固定膜110である上部電極のそれぞれの表面におけるエアギャップ109に面する箇所はシリコン窒化膜106及び114によって覆われている。
このようにして、下部電極及びエレクトレットの機能を有する振動膜112と、上部電極の機能を有する固定膜110とがエアギャップ109を挟んで対向して配置された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの構造が完成する。
最後に、図6(g)に示すように、エアギャップ109内を含む本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクに対して、後述する撥水化処理(撥水化された箇所を符号162(黒丸)で表す)を行う。これにより、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクを完成させる。
本実施形態において、撥水化処理は、脱ガス処理、酸化(例えばプラズマ酸化)処理及びシリル基置換(Si(CH3 3 基置換)処理の3つのステップから構成されている。具体的には、エアギャップ109の内部に対して脱ガス処理を行った後、プラズマ酸化処理を実施することによって、シリコン窒化膜103、シリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114のそれぞれの表面部(具体的にはエアギャップ109及び外気に面する箇所)にSiON膜151を形成する。その後、本実施形態のエレクトレットコンデンサマイクをHMDS雰囲気中に放置することによって、SiON膜151の表面に豊富に含まれているOH基に対してSi(CH3 3 基置換処理を行う。これにより、シリル基終端表面153を持つSiON膜151が形成される。このようにして形成したSiON膜151をFT−IR法(フ−リエ変換赤外分析法)を用いて本願発明者らが調べたところ、確認できるOH基ピークが存在しなかった。すなわち、SiON膜151の表面に存在したOH基の99%以上がSi(CH3 3 基に置換されたものと推測される。
図7(a)〜(d)は本実施形態の撥水化処理の3つのステップを説明するための図である。尚、本実施形態の撥水化処理におけるプラズマ酸化やSi(CH3 3 基置換は、シリコン窒化膜106やシリコン窒化膜114等の表面だけではなく、エレクトレットコンデンサマイクの表面全てにおいて生じるものであるが、図7(a)〜(d)には、固定膜と振動膜との密着を防止するための撥水化処理と関係する箇所、つまり、エアギャップ109並びにそれに面するシリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114のみを示し、他の構成要素については図示及び説明を省略する。また、図7(a)は撥水化処理の開始前の状態を示しており、図7(b)は脱ガス処理後の状態を示しており、図7(c)はプラズマ酸化後の状態を示しており、図7(d)はSi(CH3 3 基置換処理後の状態を示している。
図7(a)に示すように、撥水化処理の開始前においては、エアギャップ109の内部にはアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等が存在する。エアギャップ109の内部に存在するアルコールの分子としては、CH3 OHの他、アセトンやイソプロピレン等の有機溶媒が想定される。また、エアギャップ109に面するシリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114の表面にはOH基はほとんど存在せず、NH基が豊富に存在している。
まず、撥水化処理の第1ステップとしての脱ガス処理は、例えば25Pa以下の圧力に1時間以上に亘りエレクトレットコンデンサマイクをさらす真空処理と、例えば300℃以上の温度に24時間以上に亘りエレクトレットコンデンサマイクをさらすベーキング処理との組み合わせにより実施される。尚、脱ガス処理の条件としては、熱的昇温脱離分析結果において水分やアルコール分等のピークが現れない条件を用いる。本実施形態の脱ガス処理を実施すると、図7(b)に示すように、エアギャップ109の内壁等に残存するアルコールの分子(例えばCH3 OH)や水の分子(H2 O)等が気化して除去される。
次に、撥水化処理の第2ステップとしてのプラズマ酸化処理は、例えば酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスに500WのRF電圧を供給して発生させたプラズマ中に例えば6時間程度エレクトレットコンデンサマイクを放置することにより実施される。このようすると、図7(c)に示すように、シリコン窒化膜114の開口(アコースティックホール111)を通じて、エアギャップ109の内壁を構成するシリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114に到達した酸素プラズマが、当該シリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114のそれぞれの表面をプラズマ酸化する結果、当該シリコン窒化膜106及びシリコン窒化膜114の表面にSiON膜151が形成される。ここで、エアギャップ109に面するSiON膜151の表面にはOH基が豊富に存在している。
最後に、撥水化処理の第3ステップとしてのSi(CH3 3 基置換処理は、例えばHMDS(つまりSi(CH3 3 −NH−Si(CH3 3 )雰囲気中にエレクトレットコンデンサマイクを放置することにより実施される。これにより、図7(d)に示すように、SiON膜151の表面のOH基がSi(CH3 3 基と置換され、その結果、エアギャップの内壁には、強固な撥水性を有するSi(CH3 3 基(つまりシリル基終端表面153)によって覆われたSiON膜151が形成される。
尚、本実施形態において、Si(CH3 3 基置換処理を行うためのシリル化材料としてHMDSを用いたが、これに代えて、例えばTMSA又はBSA等の他のシリル化剤等を用いることができる。
また、本実施形態の撥水化処理の効果については、例えば接触角試験を実施することによって確認することができる。具体的には、特許文献1に開示されているエレクトレットコンデンサマイクに特許文献2に開示されている従来の撥水化処理を実施した場合、エアギャップに面する振動膜表面の接触角は70度程度であったが、本実施形態の撥水化処理を実施した場合、エアギャップに面する振動膜表面の接触角として80度以上の値を得ることができた。
以上に説明したように、本実施形態によると、エアギャップ109の内部に対して撥水化処理つまりシリル基置換を行う前に脱ガス処理を行うため、エアギャップ109内に残留する水分やアルコール分等を脱ガス処理により気化して除去してから、撥水化処理を行うことができる。また、シリル基置換を行う前に,下部電極104及び上部電極(固定膜110)のそれぞれを覆うシリコン窒化膜106及び114の表面を酸化してSiON膜151を形成するため、シリル基置換の対象となるOH基を豊富にすることができる。このため、エアギャップ109の内壁のシリル基置換を確実に行うことができるので、下部電極104及び上部電極(固定膜110)のそれぞれの表面におけるエアギャップ109に面する箇所等に、強固な撥水性を有するSi(CH3 3 基(つまりシリル基終端表面153)によって覆われたSiON膜151を形成することができる。従って、結露しやすい厳しい環境においても、エレクトレットを有する下部電極104つまり振動膜112と固定膜110とが結露により密着することを防止でき、それにより、エレクトレットに蓄えられた電荷が結露によって外気へリークすることを防止できるので、一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態によると、下部電極104及び上部電極(固定膜110)のそれぞれを覆うシリコン窒化膜106及び114の表面を酸化してSiON膜151を形成する際にプラズマ酸化を用いる。このため、外気に通じる開口部(アコースティックホール111及びリークホール107)の面積が小さいエアギャップ109の内部においても、シリコン窒化膜106及び114の表面を確実に酸化してSiON膜151を形成することができる。
尚、本実施形態において、エレクトレットとなる絶縁材料は、着電特性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を用いることができる。
また、本実施形態において、脱ガス処理として、真空処理及びベーキング処理の両方を行ったが、これに代えて、真空処理又はベーキング処理のいずれか一方のみを行ってもよい。
また、本実施形態において、下部電極104及び上部電極(固定膜110)のそれぞれを覆うシリコン窒化膜106及び114の表面を酸化してSiON膜151を形成する際にプラズマ酸化を用いた。しかし、これに代えて、例えば酸素含有雰囲気中での長時間のベーキング処理(熱酸化)等を用いてもよい。
以上に説明したように、本発明はエレクトレットコンデンサマイク及びその製造方法に関し、結露しやすい厳しい環境でも、エレクトレットに着電した電荷が外気にリークしないようにエアギャップ内に対して強固な撥水化を行うことができるので、エレクトレットコンデンサマイクの高信頼性化に非常に有用である。
図1(a)〜(h)は本発明の第1の実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を示す断面図である。 図2(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の脱ガス処理を実施する前及び脱ガス処理を実施した後のそれぞれおける熱的昇温脱離分析結果の一例を示す図である。 図3(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るエレクトレットコンデンサマイクの製造方法における脱ガス処理及び撥水化処理の組み合わせによる撥水化メカニズムを説明するための図である。 図4は比較例として従来のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法における撥水化メカニズムを説明するための図である。 図5は本発明の第2の実施形態に係る一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの断面図である。 図6(a)〜(g)は本発明の第2の実施形態に係る一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程を示す断面図である。 図7(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係る一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法におけるエアギャップ内壁での撥水化処理を説明するための図であり、図7(a)は撥水化処理の開始前の状態を示しており、図7(b)は脱ガス処理後の状態を示しており、図7(c)はプラズマ酸化後の状態を示しており、図7(d)はSi(CH3 3 基置換処理後の状態を示している。 図8は特許文献1に示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの断面図である。 図9(a)〜(f)は、特許文献1に示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクと基本構造を同じくするエレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程の断面図である。 図10(a)〜(f)は、特許文献2に示された貼り合わせ型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法の各工程の断面図である。 図11(a)及び(b)は、特許文献1に開示された一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法に特許文献2に開示された撥水化処理を適用した場合におけるエアギャップ内壁での撥水化処理の様子を説明するための図であり、図11(a)は初期状態を示しており、図11(b)はSi(CH3 3 基置換処理後の状態を示している。 図12(a)及び(b)は、特許文献2に開示されたエレクトレットコンデンサマイクの製造方法におけるエアギャップ内壁での撥水化処理の様子を説明するための図であり、図12(a)は初期状態を示しており、図12(b)はSi(CH3 3 基置換処理後の状態を示している。
符号の説明
1 上部電極
2 メンブレン
3 エアギャップ
4 エレクトレット
5 撥水化箇所
8 貫通穴
13 半導体基板
14 絶縁膜
20 犠牲層
23 リークホール
25 音孔
101 半導体基板
102 シリコン酸化膜
103 シリコン窒化膜
104 下部電極
105 シリコン酸化膜
106 シリコン窒化膜
107 リークホール
108 シリコン酸化膜
109 エアギャップ
110 固定膜
111 アコースティックホール
112 振動膜
113 メンブレン領域
114 シリコン窒化膜
115 引き出し配線
116 開口部
117 開口部
118 犠牲層酸化膜
119 貫通穴
151 SiON膜
152 シリコン酸化膜
153 シリル基終端表面
162 撥水化箇所

Claims (9)

  1. エレクトレットを有する第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有するエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記エアギャップの内部に対して脱ガス処理を行う工程(a)と、
    前記工程(a)よりも後に、少なくとも前記エアギャップの内部に対して撥水化処理を行う工程(b)とを備えていることを特徴とするエレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  2. 請求項1に記載のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記工程(b)は、HMDS雰囲気中において加熱処理を用いて行われることを特徴とするエレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記工程(a)は、真空処理若しくはベーキング処理又はそれら両方の処理を用いて行われることを特徴とするエレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  4. エレクトレットを有する振動可能な第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有する一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいて、
    前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの表面における少なくとも前記エアギャップに面する箇所が、シリル基で終端したSiON膜によって覆われていることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイク。
  5. 請求項4に記載の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクにおいて、
    前記シリル基はSi(CH3 3 基であることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイク。
  6. エレクトレットを有する振動可能な第1の電極と、前記第1の電極との間にエアギャップを介在させて配置された第2の電極とを有し、且つ、前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの表面における少なくとも前記エアギャップに面する箇所がSiN膜によって覆われている一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記エアギャップの内部に対して脱ガス処理を行う工程(a)と、
    前記工程(a)よりも後に、少なくとも前記SiN膜の表面を酸化してSiON膜を形成する工程(b)と、
    前記工程(b)よりも後に、少なくとも前記SiON膜の表面に対してシリル基置換を行う工程(c)とを備えていることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  7. 請求項6に記載の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記工程(b)でプラズマ酸化を用いることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記工程(c)は、HMDS雰囲気中において加熱処理を用いて行われることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法において、
    前記工程(a)は、真空処理若しくはベーキング処理又はそれら両方の処理を用いて行われることを特徴とする一体形成型エレクトレットコンデンサマイクの製造方法。
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