JP2008182162A - プラズマディスプレイ用フィルター、およびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイ用フィルター、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマディスプレイに取り付けた際に、十分な電磁波シールド性能を有するプラズマディスプレイ用フィルターを低コストで提供する。
【解決手段】透明基材上1の片面に、めっきが施された金属パターン層4が積層され、金属パターン層4は厚さ3μm以上、かつ表面比抵抗1.0Ω/□以下であり、金属パターン層4上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層5が直接積層されたディスプレイ用フィルター。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイ用フィルター、およびその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と略す。)には、PDPの機能を向上させるため光学フィルターが前面に取り付けられている。このようなPDP用フィルターに必要な機能として、(1)PDPから放出される電磁波の遮蔽、(2)PDPから放出される赤外線の遮蔽、(3)外光の反射防止、(4)色調補正、等を挙げることができる。現在市場に出ているPDPに搭載されているPDP用フィルターは、各々上記(1)〜(4)の機能を有する複数の層を積層することで形成されている。具体的には、PDPから発生する電磁波を遮蔽するために導電性膜、赤外線を遮蔽するために赤外線吸収フィルム、および外光の反射防止のために反射防止膜、色調を補正するために可視光領域に吸収のある色素を含有した層などで形成されている。
一方、PDPの低価格化は年々進行しており、それに用いられる部材へのコストダウンの要求も厳しくなっている。フィルターに関しても例外ではなく、低価格で高性能なフィルターの要求はますます強くなっている。
このような要求に対して、基材表面にハードコート層、ハードコート層上に形成された反射防止層、および基材の裏に接着層を介して電磁波シールド層を形成することが提案されている。(特許文献1参照)
また、フィルム基材にハードコート層、およびハードコート層の上に多層薄膜層を形成する構成において、多層薄膜層を複数の透明薄膜層と、これら透明薄膜層に挟まれた金属薄膜層で形成することにより、電磁波シールド機能、近赤外線カット機能、および反射防止層をもたせる方法が提案されている。(特許文献1参照)
さらに、透明基材の一面上に反射防止層を、他の面上に電磁波遮蔽層を形成し、近赤外遮蔽接着層を形成することにより、低コストで光学特性を改善することが提案されている。(特許文献2参照)
特開2005−242227号公報 特開2006−153950号公報
しかしながら、特許文献1の技術では電磁波シールド機能を有する金属メッシュの空隙部を透明化樹脂により埋め込み光線透過性を発現させる必要があり、十分なコストダウンには至らない。また、特許文献1に開示される別の技術において、2層以上の透明薄膜層とこれらに挟まれた1層以上の金属薄膜層とから形成された多層薄膜層を有するものにおいては、層構成を単純化でき、前述の特許文献1に記載の技術に比べ、コストダウンはできるが、電磁波シールド性能は不十分である。
一方、特許文献2の技術は、金属メッシュ面側をPDPに直接貼合する構成であり、この場合視聴面側に金属メッシュのアースを取り出す工程が必要であり、生産性が悪化する。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、十分な電磁波シールド性能を有するプラズマディスプレイ用フィルターを低コストで提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明のプラズマディスプレイ用フィルターは以下の構成をとるものである。
すなわち、本発明のプラズマディスプレイ用フィルターは、
透明基材上の片面に、めっきが施された金属パターン層が積層され、金属パターン層は厚さ3μm以下、かつ表面比抵抗1.0Ω/□以下であり、
金属パターン層上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が直接積層されたものである。
かかるプラズマディスプレイ用フィルターの好ましい態様としては、
前記金属パターン層上にハードコート層が直接積層され、さらにハードコート層の上に反射防止層が直接積層された構成であること、である。
また、本発明のプラズマディスプレイ用フィルターの製造方法は、
透明基材の片面に、真空蒸着法、スパッタリング法、あるいはイオンプレート法のいずれかの方法により金属層を一様に積層し、
次いで、金属層の一部を除去してパターンが施された金属層を形成し、
次いで、金属層のパターン部分にめっきを施して厚さ3μm以下、表面比抵抗1.0Ω/□以下の金属パターン層を形成し、
次いで、金属パターン層上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を直接積層するものである。
また、前記一様に形成された金属層の一部を除去する方法が、レーザーアブレーション法であるものである。
また、前記一様に形成された金属層の一部を除去する方法が、金属層にフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した後、エッチングにより金属層の一部を除去する方法である。
本発明によれば、十分な電磁波シールド性能を有するプラズマディスプレイ用フィルターを低コストで提供することができる。
本発明は、透明基材上の片面に、めっきが施された金属パターン層が積層され、金属パターン層上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を直接積層することにより、十分な電磁波シールド性能と光線透過性を有するプラズマディスプレイ用フィルター(以下、PDP用フィルターとする)を低コストで製造できることを見出したものである。
以下に図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明にかかる透明基材1の材質としては、ガラス、プラスチックスなど特に限定されないが、ロール形態での製造および加工時に望まれる可とう性の点ではプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(以降PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、或いは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂等を溶融または溶液製膜したものである。これらの中でも、透明性、耐熱性、耐薬品性、コスト等の点より、PETフィルムが最も好ましい。
透明基材1は、これらプラスチックフィルムの単体又は2種以上の混合物からなる、単層フィルム或いは2層以上の積層フィルムを用いることができるが、光透過性電磁波シールドシートとしてJIS−K7361−1に基づいて測定した全光線透過率70%以上を確保するには、JIS−K7361−1に基づいて測定した全光線透過率が85%以上となるプラスチックフィルムが好ましい。
透明基材1の厚みは用途に応じたものとすれば良く、特に限定されないが、好ましくは25μmから250μm、より好ましくは50μmから150μmである。透明基材1の厚みが25μm以上であると、透明基材1にコシ(腰)があり、加工時の作業性が向上する。透明基材1の厚みが250μm以下であると、透明基材1の透明性も確保でき、コストもかからないので好ましい。なお、厚みが250μmを越える場合であっても、透明基材1として高透明PETフィルム等を用いれば、透明性は維持することが出来る。
また、透明基材1には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン吹付処理、プラズマ処理、易接着プライマー塗工処理等の公知の易接着処理を、透明基材1を形成中または形成した後に施しても良い。例えば、PETフィルム等では、市販の易接着処理フィルムを用いれば、更なる易接着処理を省略する事もできる。
本発明にかかる金属層2は、透明基材上に設けられた導電性を有する層であり、透明基材上に一様に形成された金属層の一部を後述するような方法で除去することにより、例えば格子状のパターンを得ることができる。ここで「一様に形成された」とは、部分的に金属層のないところなどがなく、全面に金属層が積層された状態を 意味する。
金属層2の種類について、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタンなどの金属の内、1種または2種以上を組合せた合金あるいは多層のものを使用する。良好な電磁波シールド性を有するための導電性、パターン加工の容易さ、価格面などから、銅、アルミニウムが好ましい。
金属層2の厚みは、0.1〜1.0μm程度が好ましい。金属層2の厚みが0.1μm以上であれば、後述するめっき工程においてめっき層を形成する際に十分な表面抵抗値を示す。一方で金属層厚みが1.0μmを越えると後述するメッシュ加工の工程において加工時間が長くなることから好ましくない。
金属層2を透明基材1上に形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法など薄膜形成技術の1つの方法、または2つ以上の方法を組合せる方法など特に限定されないが、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法が製造コスト、容易性の点において好ましい。
本発明の金属層をパターン形状に形成する方法としては、透明基材1上に一様に金属層2を設けた後に、以下のような方法で形成することができる。
例えば、レーザーアブレーション法により金属層の一部を除去してパターン上に形成する方法である。レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象であり、この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、高い加工精度を得ることが出来る。よって、後工程のめっきによるパターンの寸法の増加を考慮したパターン設計が可能となる。また、直接パターン形状を形成できることから、パターンの変更が容易であり、高い生産性を両立できる。
かかるレーザーアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
かかる固体レーザーの中でも、透明基材を加工しないという観点から、波長が533nmから254nmの固体レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の固体レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い、さらに望ましくはパルス幅がnsec台(パルス幅 1μsec未満)のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
また、金属層をパターン形状に形成する別の手法として、レジストフィルムを貼り付け、所望のパターンのフォトマスクを介して露光後、現像、エッチング、レジスト剥離するフォトリソグラフィー法や、スクリーン印刷法またはオフセット印刷法により所望のエッチングレジストパターンを形成し、その後、金属層をエッチングし、最後にレジストを剥離する方法などを用いることができる。
本発明にかかる透明基材上に形成された金属層2のパターン形状(以降、金属パターンと称する)については特に限定されないが、パターンを形成する作業が容易にできる観点から、幾何学図形で形成されることが好ましい。また、電磁波遮蔽性能および光透過性を両立する観点から、金属パターンの開口率は70%〜95%であることが好ましい。
ここで、金属パターンの開口率とは、「透明基材1上の金属パターンが形成されている部分の面積と金属パターンが形成されていない部分の面積との合計」に対する、「金属パターンが形成されていない部分の面積」の割合のことである。金属パターンの開口率が70%以上であると、十分な光透過性が得られる。その結果、フィルターをディスプレイの前に配置しても、ディスプレイの輝度が低下することがない。一方、金属パターンの開口率が95%以下であれば、良好な光透過性が得られるとともに金属部分の割合も不足なく、十分な電磁波遮蔽性能を得ることができる。さらに良好な電磁波遮蔽性能と光透過性を両立する観点から、開口率は80%〜90%がより好ましい。
金属パターンの開口部の形状は、ディスプレイの仕様に応じて任意の形状で良く、例えば直線的な線形状で形成される正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形などその他多角形、または曲線的線形状で形成される円形、楕円形などが使用でき、さらにこれらの形状の組合せが使用できる。
また、本発明では金属層2をパターン形状に形成したあとでめっき層3を施し、金属層2とめっき層3とで構成された金属パターン層4を形成する。金属パターン層4は本発明のディスプレイ用フィルターにおいて、電磁波シールド性能に寄与する部分である。この表面抵抗が低い(導電性が高い)ほど、優れた電磁波シールド性能を有する。
本発明にかかるめっき層3はパターン形成後の金属層2の上に積層された層であり、無電解、電解めっきなどの方法で得ることができる。
めっき層3の種類については、特に限定されないが、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタンなどの金属の内、1種または2種以上を組合せた合金あるいは多層のものを使用する。良好な電磁波遮蔽性能を有するための導電性、パターン加工の容易さ、価格面などから、銅、アルミニウムが好ましい。
めっき層3の厚みについては、前述の金属層2の厚みと合わせた金属パターン層4の厚みとして3μm以下、さらに表面比抵抗については、金属パターン層4の表面比抵抗として1.0Ω/□以下である必要がある。金属パターン層4の表面比抵抗が1.0Ω/□を越えると、めっき層3の厚みが薄くなり、他の機能層を金属パターン層上に直接形成する際において、機能層の平面性が得やすいが、十分な電磁波シールド性能が得られない。また、めっき層3の厚みが厚過ぎて金属パターン層4の厚みが3μmを越えると、表面比抵抗は低くなり、十分な電磁波シールド性能は得られるが、他の機能層を形成する際において、機能層の平面性が得られない。結果として、金属パターン層上に直接機能層を形成することは実質困難であり、機能層を形成した他の透明基材フィルムを別途作製し、これと貼合する必要があり、コストが高くなる。金属パターン層4の表面比抵抗の下限値は特に限定するものではなく、表面比抵抗が低ければ低いほど電磁波シールド性能が高まるが、金属パターン層4の厚みを3μm以下にすることを考慮すると0.01Ω/□以上が好ましい。また、金属パターン層4の厚みの下限値は特に限定するものではなく、厚みが薄ければ薄いほど機能層の平面性が良くなるが、金属パターン層の表面比抵抗を1.0Ω/□以下にすることを考慮すると0.3μm以上が好ましい。十分な電磁波シールド性能と機能層の平面性を両立させるためには、金属パターン層4の厚みが0.8〜2.0μm、表面比抵抗が0.05〜0.6Ω/□となるようにめっき層3を形成することがより好ましい。
以上のように、透明基材上に一様に形成された金属層を除去してパターンが施された金属層を形成し、金属層のパターン部分にめっきを施すことにより、金属パターン層の厚みが薄く、かつ十分な電磁波シールド性能をもった電磁波シールド部材を得ることができる。結果として、本電磁波シールド部材を用いることにより、PDP用フィルターを低コストで製造することができる。
また、本発明において、金属パターン層4の透明基材1に面する側あるいはその反対側のいずれか、もしくは両側に、必要に応じて黒化処理を施しても良い。黒化処理を施すことにより、金属パターン層の金属光沢による視聴者側からの反射(外光や蛍光灯などが金属層に反射する)やディスプレイ側からの反射(ディスプレイからの画像が金属層に反射する)も低減することができ、さらに画像視認性の低下を低減することができる。黒化処理の方法は特に限定されず、通常の酸化処理剤などを用いることができる。
本発明において、金属パターン層4上に少なくともハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が積層されており、その機能層が金属パターン層4に直接積層されていることが重要である。
機能層を金属パターン層4上へ直接積層することにより、従来は各機能層を支持する透明基材、および各機能層を形成した基材同志を貼り合わせるための粘着・接着層が不要になりコストダウンに繋がるとともに光学特性に悪影響を及ぼす透明基材、および粘着、接着層がなくなることからも好ましい。
金属パターン層4上に直接形成される機能層としては特に限定されないが、透明基材1に対して金属パターン層4をディスプレイにおける観察面側とする場合には、ハードコート層、反射防止層の順に形成されることが好ましい。
以下に本発明において好ましく適用される機能層について述べる。
(ハードコート層)
本発明におけるハードコート層成分としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂等が挙げられるが、性能、コスト、生産性などのバランスを考慮するとアクリレート系が好ましく適用される。
ハードコート塗剤の塗布手段としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法またはスプレーコート法などを用いることができる。塗布されたハードコート樹脂は以下のような方法で硬化させることができる。
例えば、活性線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯または炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。また更に、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、更に好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、用途に応じて決定すればよいが、通常0.1μm〜30μmが好ましく、より好ましくは1μm〜15μm、更に好ましくは2〜8μmである。ハードコート層の厚さが0.1μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために表面硬度が十分でなく傷が付きやすくなる傾向にあり、一方、厚さが30μmを超える場合には、硬化時にカールしたり、折り曲げなどの応力により硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にあり、いずれも好ましくない。
(反射防止層)
本発明における反射防止層は、反射防止膜を有し、具体的には、可視域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以下と低い、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したものなどがあるが、性能とコストのバランスのとれた構成としては、最表層から低屈折率層と高屈折率層を積層した構成が好ましい。この反射防止層は通常ハードコート層の上に積層される。
本発明の反射防止フィルムにおいて各々の層の形成方法は特に限定されないが、コストと性能のバランスを考慮すると、ウエットコーティングにより塗料を塗布する方法が好ましい。塗料の塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、流し塗り法などを好ましく用いることができるが、塗布厚みの均一性の点からマイクログラビアコーティングが好適に用いられる。次いで塗布後に加熱、乾燥および熱または紫外線等の活性線で硬化させることにより各々の被膜を形成する。
本発明における反射防止層は反射防止性能を有していれば特に限定されるものではないが、以下に特に好ましい反射防止層の態様、特に好ましい高屈折率層の態様、特に好ましい低屈折率層の態様を示す。
本発明における特に好ましい反射防止層は、波長400〜700nmにおける5°の絶対反射スペクトルにおいて、(1)最低反射率が0.6%以下、(2)最高反射率が2.5%以下、および(3)最高反射率と最低反射率の差が2.5%未満、の3条件を満たす。最低反射率が0.6%を超えると反射防止機能が不十分となり好ましくない。また、最高反射率が2.5%を越えると、450nm近辺または700nm近辺の反射率が高くなり、反射光の色調が青みまたは赤みを帯びるため好ましくない。より好ましくは、最低反射率としては、0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下であること、最高反射率としては2.0%以下であること、最高反射率と最低反射率との差が2.0%未満、さらには1.5%未満であることをすべて満たすことで、よりフラットな反射スペクトルとなり、色目もニュートラルになることから好ましい。
特に好ましい反射防止層において、波長400〜700nmにおける絶対反射スペクトルの最低反射率および最高反射率およびその反射率差を前記の範囲とするためには、低屈折率層および高屈折率層の屈折率を以下のように調整する。
低屈折率層の屈折率(nL)は、1.23〜1.42が好ましく、更に好ましくは1.34〜1.38である。さらには、高屈折率層の屈折率(nH)は1.55〜1.80であることが好ましく、更に好ましくは1.60〜1.75である。また、低屈折率層と高屈折率層の屈折率差が0.15以上であることが好ましい。
反射防止層がよりフラットな反射スペクトルを得ることためには、前記した範囲にある高屈折率層の屈折率(nH)と高屈折率層の厚さ(dH)との積(光学厚みに相当する)が、反射を防止したい可視光の波長(λ)の1/4の1.0〜1.7倍となるような厚さ(dH)にすることが好ましく、さらには1.3〜1.6倍が好ましい。1.0倍を下回ると最高反射率と最低反射率との差も2.5%を越えるので好ましくない。一方、1.7倍を越えると最低反射率が0.6%よりも高くなり、反射防止性能が不十分となるので好ましくない。ここで、反射を防止したい可視光の波長(λ)は、可視光域にあれば任意に選ばれるが、通常は450〜650nmの範囲にあることが好ましい。
上述した好ましい高屈折率層の屈折率(nH)の範囲や、反射を防止したい波長(λ)を考慮すると、反射防止層がよりフラットな反射スペクトルを得ることためには、高屈折率層の厚さ(dH)は100〜300nmの範囲であり、好ましくは100〜200nmの範囲である。一方、本発明の低屈折率層の厚さ(dL)の好ましい範囲は、前記した範囲にある低屈折率層の屈折率(nL)と低屈折率層の厚さ(dL)との積が、反射を防止したい可視光の波長(λ)の1/4の0.7〜1.0倍となるような厚さ(dL)にすることが好ましく、さらには0.75〜0.95倍が好ましい。これらのことを考慮すると、本発明において、反射防止層がよりフラットな反射スペクトルを得ることためには、低屈折率層の厚さ(dL)は70〜160nmの範囲である。低屈折率層の厚さ(dL)は好ましくは80〜140nm、さらには好ましくは85〜105nmの範囲である。
また、フラットな反射スペクトルを得ることためには、高屈折率層の厚さ(dH)と低屈折率層の厚さ(dL)の比(dH/dL)を、1.0〜1.9とする。1.0を下回る場合は、最高反射率が2.5%よりも高くなり、最高反射率と最低反射率との差も2.5%を越え、反射スペクトルがV型となって、赤や青の干渉色が現れる。一方、1.9を越える場合は、フラットな反射スペクトルが得られるものの、最低反射率が0.6%よりも高くなり、反射防止性能が不十分となる。(dH/dL)は、好ましくは1.1〜1.8、さらに好ましくは1.2〜1.7であるとフラットな反射スペクトルで、かつ最低反射率も低くできる。
高屈折率層は、好ましくは溶媒で分散させた塗布液を調整し、その塗布液をハードコート層上に塗布した後、乾燥・硬化させることによって形成することができる。
高屈折率層形成において使用される溶剤は、塗布または印刷作業性を改善し、また金属化合物粒子の分散性を改善するために配合するものであり、樹脂成分を溶解するものであれば、従来から公知の各種有機溶媒を使用することができる。特に、本発明においては、組成物の粘度の安定性、乾燥性の観点から沸点が60〜180℃の有機溶媒が好ましく、さらに、そのうち酸素原子を有する有機溶媒が金属化合物粒子との親和性がよいので好適である。かかる有機溶媒としては、具体的には、例えば、メタノールや、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert―ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、イソプロピルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセチルアセトン、アセチルアセトン等が好適に挙げられる。これらは単一で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
(色調補正層)
色調補正層は、色調補正能を有する色素を含有する層であり、透過可視光の色調補正を行い、PDPの画像特性の向上、より具体的には高コントラスト化および高鮮明色化を図るものである。また、色調補正層によりPDP用フィルター全体の透過率調整が可能であり、映り込み性能の調整をする役割も担っている。
色調補正は、PDP用フィルターを透過する可視光のうち、特定波長の可視光を選択的に吸収することによって達成される。したがって、色調補正層に含有される色素は、特定波長の可視光を選択的に吸収するものであり、色素は染料と顔料のいずれも使用できる。「特定波長の可視光を選択的に吸収する」とは、可視光の波長領域(波長380〜780nm)の光のうち、特定波長領域の光を特異的に吸収することを指す。ここで色素によって特異的に吸収される波長領域は、単一の波長領域であってもよく、または複数の波長領域であってもよい。
このような特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系などの周知の有機顔料および有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましい。なお、上記した色素のうちいずれか1種類を色調補正層に含有させてもよいし、2種類以上を含有させてもよい。
色調補正層は、色調補正能を有する色素を含有する限り様々な態様を取ることができる。色調補正層は、その態様に応じて好適な方法で形成すればよい。例えば、粘着剤中に色調補正能を有する色素を含有させた態様の場合、粘着剤中に色調補正能を有する色素を染料または顔料として添加して、塗布して所望の厚さを有する色調補正層を形成すればよい。粘着剤としては、市販されている粘着剤を使用することができるが、好ましい具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレンーアクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレンーブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、又はシリコーン樹脂等の粘着剤を挙げることができる。
また、色調補正層が、色調補正能を有する色素を含有する透明樹脂層である場合、透明樹脂層の原料となる熱可塑性樹脂を所望の溶剤に溶解させて、色調補正能を有する色素を染料または顔料として添加して得た溶液を塗布し、乾燥させて所望の厚さを有する色調補正層を形成すればよい。ここで使用する溶剤は、原料となる樹脂を溶解することができ、かつ添加される染料または顔料を溶解または分散することができればよい。この目的で使用される溶剤としては、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチルセロソルブ等のエーテルアルコール系溶剤、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。
色調補正能を有する色素を含む溶液、または色調補正能を有する色素および透明樹脂層の原料樹脂とを含む溶液を塗布して色調補正層を形成する方法において、塗工法としては、例えばディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、コンマコート法、ダイコート法などを選択できる。これらのコート法は連続加工が可能であり、バッチ式の蒸着法などに比べて生産性が優れている。または薄く均一な塗膜を形成できるスピンコート法も採用し得る。
色調補正層の厚さは、十分な色調補正能を得るために0.5μm以上であることが好ましい。また、光透過性、より具体的には可視光線透過性が優れることから40μm以下が好ましく、1〜25μmであることが特に好ましい。色調補正層の厚さが40μm以上の場合、所望の染料、顔料、透明樹脂を含む溶液を塗布して色調補正層を形成する際に溶媒が残留しやすく、色調補正層を形成する際の操作性が困難となるため好ましくない。
(赤外線カット層)
PDPから発生する強度の近赤外線は、リモコン、コードレスフォン等の周辺電子機器に作用して誤動作を引き起こすため、近赤外領域の光を実用上問題ないレベルまでカットする必要がある。問題である波長領域は800〜1000nmであり、当該波長領域における透過率を20%以下、好ましくは10%以下とすることが必要である。近赤外線カットには、通常、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素、具体的にはポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが好ましく適用され、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系が特に好ましい。なお、近赤外線吸収能を有する色素を用いる場合、いずれか1種類を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
近赤外線吸収層の構造、形成方法、厚さ等については上述した色調補正層と同様である。近赤外線吸収層は、色調補正層と同一の層、すなわち、色調補正層に色調補正能を有する色素と、近赤外線吸収能を有する色素とを含有させたものであってもよいし、色調補正層と別の赤外線カット層を設けても良い。近赤外線吸収色素の量はバインダー樹脂に対して、0.1質量%以上含まれることが好ましく、特に2質量%以上が好ましいが、赤外線吸収剤を含有する粘着剤層または透明樹脂層の物性を保つため、色調補正能を有する色素と近赤外線吸収剤の合計量を10質量%以下に抑えることが好ましい。
(その他)
フィルターの構成に応じて以下のような層を加えることが好ましい。
Neカット層として、赤外線カット層あるいは色調補正層には、PDPパネル内に封入された放電ガス、例えばネオンとキセノンの二成分ガス、からの余分な発光色(主に560〜610nmに波長領域)を選択的に吸収・減衰させるための1種類若しくは複数種類の色調補正剤を混合して含有させることが好ましい。このような色素構成とすることによって、PDPの表示画面から発せられる可視光のうち、放電ガスの発光に起因する余分な光が吸収・減衰され、その結果PDPのパネルから発する可視光の表示色を表示目標の表示色に近づけることができ、自然な色調を表示し得る。
紫外線カット層として、紫外線吸収剤を含有する透明樹脂層、粘着剤層などを用いることができる。これにより色調補正層、赤外線カット層などに含まれる色素の光劣化を防止することができる。
以降、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(評価方法)
(1)表面比抵抗
三菱化学(株)製 抵抗率計ロレスターEP、およびASPプローブを用いてJISK7194に基づき測定した。各実施例・比較例について、透明基材に金属パターン層を形成した状態で、8cm×5cmサイズのサンプルを1枚切り出し、5箇所について計測し、その平均値をそれぞれの表面比抵抗とした。
(2)線幅、およびピッチ
(株)キーエンス製 デジタルマイクロスコープ(VHX−200)を用いて、倍率450倍で表面観察を行った。その測長機能を用いて、格子状導電性パターンの線幅、およびピッチ(対向する線幅と線幅の間隔)を測長した。各実施例・比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から、任意の25箇所(各箇所につき、細線4本と細線間隔1箇所)、計100本の線幅、および25箇所のピッチについて計測し、その平均値をそれぞれの寸法とした。
(3)導電性パターンの開口率
(株)キーエンス製 デジタルマイクロスコープ(VHX−200)を用いて、倍率200倍で表面観察を行った。その輝度抽出機能(ヒストグラム抽出、輝度レンジ設定0−170)を用いて、導電性パターンが形成されていない部分(開口部)と導電性パターンが形成されている部分とに2値化した。次いで、面積計測機能を用いて、全体の面積、および開口部分の面積を算出、開口部面積を全体の面積で除算することにより開口率を得た。各実施例・比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から任意の20箇所について開口率を算出、その平均値を開口率とした。
(4)金属パターン層の厚み
ミクロトームにてサンプル断面を切り出し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡((株)日立製S−800、加速電圧26kV、観察倍率3000倍)にて観察し、金属パターン層の厚みを計測した。各実施例・比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から、任意の5箇所について計測し、その平均値を金属パターン層の厚みとした。
(5)電磁波シールド性
アドバンテスト(株)製スペクトラムアナライザシステム、シールド評価機器(TR17031Aを用い、KEC(関西電子工業振興センター)法で、1MHz〜1GHzの周波数範囲の電界波減衰(dB)を測定し、以下の基準で評価した。各実施例・比較例についてサンプルは3枚測定した。
各サンプルで測定した3枚のサンプルのいずれもが、周波数50MHzでの電界波減衰が40dB以上の場合は、「○」
各サンプルで測定した3枚のサンプルのいずれかが、周波数50MHzでの電界波減衰が40dB未満の場合は、「×」とした。
電界波減衰(dB)は値が大きいほど電磁波シールド性に優れている。「○」であれば良好な電磁波シールド性を示す。
(6)画像表示性(フィルター表面状態)
作製したフィルターを反射防止層を形成した面が観察面となるようにPDP(プラズマディスプレイパネル)画面の最前面に貼りつけ、正面、上下、左右方向から目視観察を行い、以下の基準で評価した。各実施例・比較例について、1人の観察者が3枚のサンプルについて評価した。
画面・画像にムラが見られない・・・○
画面・画像にムラが見られる・・・×
同一サンプルで評価が異なる場合は、2枚以上の評価結果をそのサンプルの評価結果とした。例えば、「○」が2枚、「×」が1枚の場合は、「○」とした。
「○」であればフィルター表面状態が良く、良好な画像表示性を示す。
(各機能層の作製方法)
1.金属パターン層の作製
透明基材としての光学用ポリエステルフィルム(東レ製 ルミラー (登録商標)U46、厚み100μm、全光線透過率92%)に抵抗加熱による真空蒸着法(真空度:3×10−3Pa)にて銅蒸着を行い、厚み0.1μmの銅層を形成した(金属層)。作製したフィルムの銅側へ、波長355nmのNd:YAGレーザーの第3高調波を照射し、線幅8μm、線ピッチ150μmの格子状パターンを形成した。次いで電解めっき法にて(電流密度:0.5A/dm)にて、金属層の格子状パターンの上に、各実施例・比較例に記載した金属パターン層の厚みとなるように銅めっきを施し、金属パターン層を得た。
2.ハードコート層の作製
上記1.で得られた金属パターン層を施した透明基材の一方の面に市販のハードコート剤(JSR製 デソライト (登録商標) Z7528)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で1分間乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成した。
3.反射防止層の作製
1)低屈折率塗料調整
メチルトリメトキシシラン 95.2質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 65.4質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル300質量部、イソプロパノール100質量部に溶解した。この溶液に、数平均粒子径50nmの外殻の内部に空洞を有するシリカ微粒子分散液(イソプロパノール分散型、固形分濃度20.5%、触媒化成工業社製)297.9質量部、水54質量部およびギ酸1.8質量部を、撹拌しながら、反応温度が30℃を越えないように滴下した。滴下後、得られた溶液をバス温40℃で2時間加熱し、その後、溶液をバス温85℃で2時間加熱し、内温を80℃まで上げて、1.5時間加熱した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液に、アルミニウム系硬化剤として、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)(商品名 アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル(株)社製)4.8質量部をメタノール125質量部に溶解したものを添加し、さらにイソプロパノール 1500質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部を添加して、室温にて2時間撹拌し、低屈折率塗料を作製した。
得られた低屈折率塗料の被膜をシリコンウエハー上に形成し、上記した方法で求めた屈折率は1.36であった。
2)反射防止層形成
上記2.で得られた金属パターン層およびハードコート層を有するフィルムのハードコート層を形成した面に、市販の高屈折率・帯電防止塗料(JSR製 オプスター (登録商標) TU4005)をイソプロピルアルコールで固形分濃度8%に希釈後、マイクログラビアコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して硬化させ、ハードコート層上に屈折率が1.65、厚みが135nmの高屈折率層を形成した。
次に、上記高屈折率層を形成した面に、低屈折率層として、1)で作製した低屈折率塗料をマイクログラビアコーターで塗布した。次いで130℃で1分間、乾燥および硬化させ、高屈折率層上に屈折率1.36、厚み90nmの低屈折率層を形成することで、反射防止層を作製した。
4.赤外線カット層の作製
1)色素含有塗料調整
近赤外線吸収色素として、日本化薬(株)製 KAYASORB(登録商標) IRG−050を14.5質量部、日本触媒(株)製 イーエクスカラー(登録商標) IR−10Aを8質量部、さらに593nmに主吸収ピークを有する有機色素として、山田化学工業(株)製TAP−2を2.9質量部をメチルエチルケトン2000質量部に攪拌混合して溶解させた。この溶液を透明高分子樹脂バインダー溶液として、日本触媒(株)製 ハルスハイブリッド(登録商標) IR−G205(固形分濃度29%溶液)2000質量部と攪拌混合して色素含有塗料を作製した。
2)赤外線カット層形成
上記3.で得られたフィルムの反射防止層を形成した側とは反対側の面にダイコーターを用いて1)の色素含有塗料を塗工し、120℃で乾燥して、厚み10μmの赤外線カット層を形成した。
(実施例1)
1.の方法にて厚み3μmの格子状金属パターン層(線幅10μm、線ピッチ150μm、開口率87%)得た。次いで2.の方法にて金属パターン層上にハードコート層を形成した。さらに3.の方法にてハードコート層上に反射防止層を形成した。最後に4.の方法にて、透明基材の反射防止層を形成した側とは反対側の面に近赤外線カット層を形成した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、電磁波シールド性を(5)、画像表示性を(6)の方法で評価した。
(実施例2)
金属パターン層厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
(実施例3)
金属パターン層厚みを0.3μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
(実施例4)
1.の方法にて厚み3μmの格子状金属パターン層(線幅10μm、線ピッチ150μm、開口率87%)得た。次いで2.の方法にて透明基材の金属パターン層を形成した側とは反対側の面にハードコート層を形成した。さらに3.の方法にてハードコート層上に反射防止層を形成した。最後に4.の方法にて、金属パターン層上に近赤外線カット層を形成した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
(比較例1)
金属パターン層厚みを0.2μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
(比較例2)
金属パターン層厚みを4μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
(比較例3)
金属パターン層厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターサンプルから、20cm×20cmサイズのサンプルを切り出し、実施例1と同様に評価した。
Figure 2008182162
Figure 2008182162
実施例1〜4は画面にムラもなく、金属パターン層も十分な表面比抵抗を有し、良好な電磁波シールド性を示した。
比較例1は画面にむらは見られないものの、金属パターン層の表面比抵抗が高く、十分な電磁波シールド性を得ることが出来なかった。比較例2、3については、十分な電磁波シールド性は得られるものの金属パターン層厚みが厚すぎるため、金属パターン層上にハードコート層を均一に形成することが出来ず、フィルター表面状態が悪く、画面にムラがみられた。
プラズマディスプレイにおいて、優れた画像表示性と電磁波シールド性能を有するフィルターとして利用できる。
本発明の光透過性電磁波シールド部材の概略断面図の一例である。
符号の説明
1 透明基材層
2 金属層
3 めっき層
4 金属パターン層
5 ハードコート層
6 反射防止層(高屈折率層)
7 反射防止層(低屈折率層)
8 赤外線カット層/色補正層

Claims (5)

  1. 透明基材上の片面に、めっきが施された金属パターン層が積層され、金属パターン層は厚さ3μm以下、かつ表面比抵抗1.0Ω/□以下であり、
    金属パターン層上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が直接積層されたプラズマディスプレイ用フィルター。
  2. 前記金属パターン層上にハードコート層が直接積層され、さらにハードコート層の上に反射防止層が直接積層された請求項1に記載のプラズマディスプレイ用フィルター。
  3. 透明基材の片面に、真空蒸着法、スパッタリング法、あるいはイオンプレート法のいずれかの方法により金属層を一様に積層し、
    次いで、金属層の一部を除去してパターンが施された金属層を形成し、
    次いで、金属層のパターン部分にめっきを施して厚さ3μm以下、表面比抵抗1.0Ω/□以下の金属パターン層を形成し、
    次いで、金属パターン層上に、ハードコート機能、反射防止機能、赤外線カット機能、色調補正機能、および紫外線カット機能より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を直接積層するプラズマディスプレイ用フィルターの製造方法。
  4. 前記一様に形成された金属層の一部を除去する方法が、レーザーアブレーション法である請求項3に記載のプラズマディスプレイ用フィルターの製造方法。
  5. 前記一様に形成された金属層の一部を除去する方法が、金属層にフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した後、エッチングにより金属層の一部を除去する方法である請求項3に記載のプラズマディスプレイ用フィルターの製造方法。
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