JP2008179887A - オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】オーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)との異材溶接部についても十分な耐食性を確保できるフェライト系ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.030%以下、N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.50%以下、Al:0.010%超、0.060%以下、Cr:20.5〜22.5%、Cu:1.00%以下、Ni:1.5%以下、Nb:0.40〜0.70%、P:0.040%以下およびS:0.010%以下を含有し、かつこれらの成分が、次式(1)
Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
の関係を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐食性、中でもオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関するものである。
一般に広く使用されているステンレス鋼の代表例としては、鉄に約18%のCrと約8%のNiを含有させたオーステナイト系ステンレス鋼SUS304が知られている。
一方、フェライト系ステンレス鋼の代表は、鉄に約17%のCrを含有させたSUS430であるが、耐食性はSUS304よりも劣る。
近年、精錬技術の進歩によって、工業的に低炭素化することが容易となり、耐食性に優れた、SUS430LX、SUS430JIL、SUS436Lなどのフェライト系ステンレス鋼が開発され、自動車部品や厨房機器などに広く使用されている。
ステンレス鋼を用いて部品や製品を組み立てる場合、接合方法としては溶接を用いることが多い。広く用いられる溶接方法として、ティグ溶接、ミグ溶接およびマグ溶接などのアーク溶接がある。
ステンレス鋼は、溶接の際、Cr炭化物の析出によりクロム欠乏層が形成(鋭敏化)され、溶接部の耐食性が劣化することがある。フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼と比べるとCr炭化物が析出しやすいため、オーステナイト系ステンレス鋼よりも溶接部の耐食性の劣化が生じ易い。
溶接ワイヤを用いる溶接に際し、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304では、308系のワイヤ(D308、D308L、Y308、Y308L等)を用いて、また低炭素のフェライト系ステンレス鋼では、309L系(D309L、Y309L等)、316L系(D316L、Y316L等)および347L系(D347L、Y347L等)などの低炭素のワイヤを用いて、溶接部の耐食性を確保することが多い。
フェライト系ステンレス鋼においては、鋼成分により耐食性を改善する技術として、例えば特許文献1では、Tiを添加量を制限し、かつTiとAlを複合添加し、さらに適正量のMoとCuを添加することにより、溶接部の耐食性を向上させる技術を提案している。
特開平10−81940号公報
近年、世界的な規模での消費拡大により、工業原料の需給がひっ迫している。オーステナイト系ステンレス鋼の主要成分の一つであるNiもその一つであり、価格が急激に上昇しているため、SUS304の価格も上昇している。この点、フェライト系ステンレス鋼は、Niを含有しないか、または含有してもその量はSUS304よりも少ないため、価格がSUS304に比較して安定している。このため、SUS304を使用する多くのメーカーが、フェライト系ステンレス鋼への変更の検討を始めている。
また、ステンレス鋼を用いる部品や製品は、幾つかのステンレス鋼板を接合して製造されることが多い。各部品には、SUS304やフェライト系ステンレス鋼が特性に応じて使用される。この場合、SUS304とフェライト系ステンレス鋼を接合、溶接する可能性が生じる。
SUS304が含有する炭素量は、JIS G 4304で0.08mass%以下、一般に流通している製品で0.06mass%程度である。一方、低炭素のフェライト系ステンレス鋼が含有するC量は、JISG4304のSUS430LXで0.03mass%以下、SUS430JILやSUS436Lで0.025mass%以下である。
SUS304とフェライト系ステンレス鋼を溶接すると、フェライト系ステンレス鋼側の熱影響部あるいは溶接金属中の炭素量がフェライト系ステンレス鋼の値よりも高くなり、耐食性が母材よりも低下してしまう場合がある。
前述した特許文献1の技術は、同一のフェライト系ステンレス鋼同士の溶接部について耐食性を確保する技術であることから、SUS304等との異材溶接部の耐食性は確保できないものと推定される。また、特許文献1の技術は、Niと同様に価格の上昇が著しい高価なMoを含有させる必要があるため、SUS304よりもコストが高くなる。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、オーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)との異材溶接部についても十分な耐食性を確保できるフェライト系ステンレス鋼板を、かかる鋼板を安価かつ高効率で生産することができる製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を達成するために、オーステナイト系ステンレス鋼として代表的なSUS304とフェライト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に及ぼす、フェライト系ステンレス鋼の化学成分の影響について、綿密な調査、検討を行った。
その結果、以下に述べる知見を得た。
(1) 母材部および溶接部の耐食性は、Crを20.5mass%以上にすると向上する。一方、Crが22.5mass%を超えると、溶接部の靭性が顕著に低下するので、Crは22.5mass%以下に限定する必要がある。
(2) 溶接部の耐食性は、C量やN量に応じて適量のNbを添加することにより向上する。
(3) 溶接金属の耐食性は、Alを0.010mass%超にすると向上するが、過剰な添加はAl系の非金属介在物の増加により表面疵の発生を招くと共に加工性も低下させるので、0.06mass%以下に制限する必要がある。
(4) 溶接部の耐食性は、適量のNbと共にVを添加することにより、さらに向上する。
なお、溶接部とは、溶接金属および溶接熱影響部を含んだ部分の総称である。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を重ねた末に、完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.030%以下、 N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下、
Si:0.50%以下、 Mn:0.50%以下、 Al:0.010%超、0.060%以下、
Cr:20.5〜22.5%、 Cu:1.00%以下、 Ni:1.5%以下、
Nb:0.40〜0.70%、 P:0.040%以下およびS:0.010%以下
を含有し、かつこれらの成分が、次式(1)
Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
の関係を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
2.前記鋼板が、質量%で、さらに、
V:1.00%以下
を含有することを特徴とする、前記1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
3.質量%で、
C:0.030%以下、 N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下、
Si:0.50%以下、 Mn:0.50%以下、 Al:0.010%超、0.060%以下、
Cr:20.5〜22.5%、 Cu:1.00%以下、 Ni:1.5%以下、
Nb:0.40〜0.70%、P:0.040%以下 および S:0.010%以下
を含有し、かつこれらの成分が、次式(1)
Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
の関係を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるステンレス鋼素材を、熱間圧延したのち、連続焼鈍により800〜1100℃の温度で熱延板焼鈍を施し、ついで酸洗後、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却および酸洗の工程を経て、冷延焼鈍板とすることを特徴とする、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
4.前記ステンレス鋼素材が、質量%で、さらに、
V:1.00%以下
を含有することを特徴とする、前記3に記載のオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部についても耐食性を向上させたので、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼の異材溶接部が生じたとしても、異材溶接部の耐食性劣化を抑制することができ、部品ごとに素材を変えることによって製品の特性を著しく向上させ得る点で、産業上格段の効果がある。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において鋼の化学成分を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.030%以下、N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下
CとNは、Crと結合してCrの炭化物や窒化物を形成し易い。溶接時、熱影響部にCrの炭化物や窒化物が析出してCr欠乏層が形成されると粒界腐食の原因となるので、CやNは低い程望ましい。そこで、本発明では、Cを0.030%以下、Nを0.030%以下、また両者の合計(C+N)を0.050%以下に限定した。好ましくはC:0.015%以下、N:0.015%以下、(C+N):0.030以下である。
Si:0.50%以下
Siは、溶接部の耐食性を高めるのに有効な元素であり、通常はその含有量に比例して効果を発揮するが、0.50%を超えて含有させると加工性が劣化する。そこで、本発明では、Siを0.50%以下に限定した。好ましくは0.10%以下である。
Mn:0.50%以下
Mnは、鋼中に存在するSと結合して、可溶性硫化物であるMnSを形成し、耐食性を低下させる。そこで、本発明では、Mnを0.50%以下に限定した。好ましくは0.30%以下である。
Al:0.010%超、0.060%以下、
Alは、本発明において重要な元素の一つである。Alは、SUS304との異材溶接部の耐食性を向上させる元素であり、このためには0.010%超の含有が必要である。また、脱酸剤としての作用もある。しかしながら、過剰な添加は、Al系の非金属介在物の増加により表面疵の発生を招くと共に、加工性も低下させる。このため、本発明では、Alは0.060%以下に限定した。
Cr:20.5〜22.5%
Crは、本発明において、最も重要な元素の一つである。Crは、耐食性を向上させる元素であり、フェライト系ステンレス鋼では不可欠の元素である。SUS304相当の耐食性を得るためには、20.5%以上のCrを含有させる必要があるが、22.5%を超えて含有させると、溶接部の靭性が顕著に低下する。このため、Crは20.5〜22.5%の範囲に限定した。
Cu:1.00%以下
Cuは、オーステナイト系ステンレス鋼との溶接部の耐食性を向上させる元素であるが、1.00%を超えると熱間加工性が劣化するので、本発明では、Cuは1.00%以下に限定した。好ましくは0.30%以上、0.50%未満である。
Ni:1.5%以下
Niは、オーステナイト系ステンレス鋼との溶接部の耐食性を向上させる効果がある。また、Cu添加による熱間加工性の低下を防ぐ効果もある。しかしながら、Niは高価な元素であるため、1.5%以下で含有させるものとした。好ましくは、1.0%以下である。
Nb:0.40〜0.70%
Nbは、本発明において、最も重要な元素の一つである。Nbは、Crよりも優先的に炭窒化物を形成する。従って、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接時、溶接熱影響部および溶接金属においてCr炭窒化物が析出するのを防いで粒界腐食を抑制する。この効果を得るには0.40%以上含有させる必要があるが、0.70%を超えると逆に耐食性を低下させる。よって、本発明では、Nbは0.40〜0.70%の範囲に限定した。好ましくは0.45〜0.55%の範囲である。
なお、Nbと同様に、CとNを固定する元素であるTiは、溶接時、溶接熱影響部および溶接金属においてCとNを固定する能力が、同一化学当量で比較した場合、Nbより著しく劣り、オーステナイト系ステンレス鋼との溶接時、Cr炭窒化物が析出するのを防いで粒界腐食を抑制することが困難である。従って、本発明では、Tiは0.01%以下に抑制することが望ましい。好ましくは0.005%以下である。
P:0.040%以下
Pは、熱間加工性と耐食性に有害な元素である。特に0.040%を超えるとこの弊害が顕著になる。このため、Pは0.040%以下に限定した。
S:0.010%以下
Sは、熱間加工性と耐食性に有害な元素であり、含有量が0.010%を超えるとこの弊害が顕著になる。このため、Sは0.010%以下に限定した。好ましくは0.005%以下である。
以上、基本成分および抑制成分の組成範囲について説明したが、本発明では各成分が上記の組成範囲を単に満足しているだけでは不十分で、次式(1)の関係も併せて満足する必要がある。
Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
上掲式は、オーステナイト系ステンレス鋼との溶接時、溶接熱影響部および溶接金属においてCr炭窒化物が析出するのを防いで粒界腐食を抑制させるために必要な条件である。すなわち、上掲(1)式の関係を満足させると、Nbが、Crよりも優先して、溶接熱影響部および溶接金属中のCとNを炭窒化物として固定するので、Cr炭窒化物の析出が抑制され、効果的に粒界腐食を防止できるようになる。
また、本発明では、上記した基本成分の他、以下に述べる成分を必要に応じて適宜含有させることができる。
V:1.00%以下
Vは、Nbと同様に炭窒化物を形成し、CとNを固定する元素であるが、Nbと比べてその効果は小さい。しかしながら、Vは、表面性状を劣化させるおそれがなく、また、1.00%以下の範囲であれば機械的性質への影響も小さいので、本発明では、1.00%以下の範囲で含有できるものとした。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としてはMgやCaが挙げられるが、それぞれMg:0.0020%以下、Ca:0.0020%以下で許容できる。
次に、本発明の好適製造方法について説明する。
本発明の製造方法としては、好ましくは連続鋳造により鋼素材(スラブ)とし、1100〜1250℃に加熱後、熱間圧延したのちコイルに巻取り、ついで連続焼鈍・酸洗ラインで800〜1100℃の温度で焼鈍したのち、酸洗し、次に冷間圧延を施して冷延板としたのち、連続焼鈍・酸洗ラインで冷延板の焼鈍と酸洗を行う方法が推奨される。
詳細には次のとおりである。
まず、転炉、電気炉等と、強撹拌・真空酸素脱炭処理(VOD)法またはアルゴン酸素脱炭処理(AOD)法等による2次精錬で、上記の化学成分範囲に調整した溶鋼を溶製する。ついで、上記溶鋼から、連続鋳造法または造塊−分塊法によりスラブを製造する。なお、鋳造方法としては、生産性および品質の面から連続鋳造法を使用することが好ましい。得られたスラブは、必要に応じて1100〜1250℃に再加熱後、板厚:2.0〜6.0mmになるように熱間圧延し、800〜1100℃の温度で連続焼鈍を施したのち、酸洗する。この際、焼鈍温度が800℃未満では、圧延による歪が残留して硬くなるため表面疵が発生し易く、一方1100℃を超えると粗粒化して靭性が低下するので、熱延板の連続焼鈍温度は800〜1100℃の範囲に限定した。
酸洗された熱延板は、常法に従い、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却および酸洗の各工程を順次経て、板厚:0.03〜5.0mmの冷延焼鈍板とする。
冷間圧延時における圧下率は、靭性や加工性などの機械的性質を確保するためには25%以上とすることが好ましい。より好ましくは50%以上である。また、冷間圧延は1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延としてもよい。なお、冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の工程は繰り返し行ってもよい。また、必要に応じて、光輝焼鈍ラインで光輝焼鈍を行ってもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す成分組成になる鋼(No.1〜12と26〜28が発明例、No.13〜21が比較例、No.22〜25が従来例)を、小型真空溶解炉で溶製し、30kgの鋼塊とした。これらの鋼塊を、1100〜1250℃に加熱後、仕上げ温度:750〜950℃、巻取り温度:400〜850℃の条件で熱間圧延を施して4.0mm厚の熱延板とした。これらの熱延板に対して、連続焼鈍により800〜1100℃の熱延板焼鈍を施したのち、酸洗してから、冷間圧延により板厚:1.5mmの冷延板とした。ついで、アルゴン雰囲気中にて880〜1100℃で仕上げ焼鈍を施したのち、冷却し、酸洗を行った。
かくして得られた各冷延焼鈍板から、試験片を採取し、#600番の研磨紙で鋼板表面を研磨して酸化膜およびテンパーカラーを除去した。ついで、ティグ溶接により、板厚:1.5mmのSUS304およびSUS316との突合せ溶接継手を作製した。この際、裏ビードが1.5〜3mmになるように、溶接電流を制御した。
溶接条件は以下の通りである。
・溶接電圧:10V
・溶按電流:140〜190A
・溶接速度:600mm/min
・電極:1.6mmタングステン電極
・シールドガス:Ar20L/min
・溶接ワイヤ:なし、Y309L
溶接ビードを中心にして、60mmw×80mmlの試験片を採取し、#600番の研磨紙で研磨して溶接によるテンパーカラーを除去した。
ついで、得られた試験片の、SUS304およびSUS316との異材溶接継手の耐食性を調査するため、複合サイクル腐食試験を行った。
複合サイクル腐食試験の条件は以下のとおりである。
・1サイクル:塩水噴霧(35℃,5%NaCl,2hr)

乾燥(60℃,4hr)

湿潤(50℃,2hr)
・試験サイクル数:30サイクル
複合サイクル腐食試験を行った試験片に対し、溶接部および母材部の発錆状況を、以下の基準で評価した。
A:発錆なし
B:赤錆面積10%未満
C:赤錆面積10%以上、30%未満
D:赤錆面積30%以上、70%未満
E:赤錆面積70%以上
得られた耐食性を表2−1、表2−2および表2−3に示す。
Figure 2008179887
Figure 2008179887
Figure 2008179887
Figure 2008179887
表2−1、表2−2および表2−3に示したとおり、発明例はいずれも、優れた溶接部の耐食性を有していた。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例および従来例は、鋼No.20を除き、耐食性が劣っていた。
また、溶接部の脆性を評価するために脆性試験を、JIS Z 2242に規定された「金属材料試験方法」に準拠して行った。試験においては、幅:2.0mmのサブサイズ試験片を用いて20℃で試験に供し、脆性破面率を測定して評価を行った。鋼No.20のみは脆性破面率が50%を超えており、溶接部の靭性が極端に劣化していた。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.030%以下、 N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下、
    Si:0.50%以下、 Mn:0.50%以下、 Al:0.010%超、0.060%以下、
    Cr:20.5〜22.5%、 Cu:1.00%以下、 Ni:1.5%以下、
    Nb:0.40〜0.70%、 P:0.040%以下およびS:0.010%以下
    を含有し、かつこれらの成分が、次式(1)
    Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
    の関係を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  2. 前記鋼板が、質量%で、さらに、
    V:1.00%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  3. 質量%で、
    C:0.030%以下、 N:0.030%以下、(C+N):0.050%以下、
    Si:0.50%以下、 Mn:0.50%以下、 Al:0.010%超、0.060%以下、
    Cr:20.5〜22.5%、 Cu:1.00%以下、 Ni:1.5%以下、
    Nb:0.40〜0.70%、 P:0.040%以下 および S:0.010%以下
    を含有し、かつこれらの成分が、次式(1)
    Nb/(C+N+0.06)≧5 ・・・(1)
    の関係を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるステンレス鋼素材を、熱間圧延したのち、連続焼鈍により800〜1100℃の温度で熱延板焼鈍を施し、ついで酸洗後、冷間圧延、仕上げ焼鈍、冷却および酸洗の工程を経て、冷延焼鈍板とすることを特徴とする、オーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 前記ステンレス鋼素材が、質量%で、さらに、
    V:1.00%以下
    を含有することを特徴とする、請求項3に記載のオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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