JP2008178794A - 水中溶存ヒ素除去用吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

水中溶存ヒ素除去用吸着剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水中溶存ヒ素の吸着性能および耐磨耗性に優れた吸着剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 鉄塩水溶液をアルカリと反応させることにより生成した沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させる。本発明の吸着剤は、酸化鉄中に、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、結晶性酸化鉄を利用した水中溶存ヒ素除去用吸着剤及びその製造方法に関する。
従来から、水中溶存ヒ素の除去剤として、オキシ水酸化鉄や酸化鉄など、広義の酸化鉄を用いる方法が開示されている(特許文献1,2参照)。具体的には、特許文献1にはオキシ水酸化鉄としてγ−FeO(OH)が開示されており、特許文献2には酸化鉄および/またはオキシ水酸化鉄としてα相,β相,γ相,σ相,σ´相,ε相が開示されている。すなわち、特許文献1,2では、結晶形態で存在する酸化鉄を水中溶存ヒ素の除去剤として用いている。
特開平11−47763号公報 特表2004−509753号公報
しかしながら、上述した各特許文献に記載の除去剤は、ヒ素吸着性能の点で実用上十分とはいえず、さらなる改良が要望されている。また、水中溶存ヒ素の除去剤として用いる場合、ヒ素吸着性能に加えて、基本性能として、たとえば使用中の機械的負荷および水圧的負荷に耐え得る耐磨耗性が要求される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水中溶存ヒ素の吸着性能および耐磨耗性に優れた吸着剤およびその製造方法を提供することを主たる目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、酸化鉄中の結晶性酸化鉄含量に着目し、該含量を少なくして特定範囲に設定すると、水中溶存ヒ素の吸着性能および耐磨耗性に優れることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 鉄塩水溶液をアルカリと反応させることにより生成した沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させて得られる酸化鉄中に、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有することを特徴とする、該酸化鉄を含有する水中溶存ヒ素除去用吸着剤、
〔2〕 硫酸カルシウム(CaSO)粒子を包含してなる、前記〔1〕記載の吸着剤、
〔3〕 酸化鉄の製造にあたり、鉄塩水溶液をアルカリと反応させて得られる沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させることを特徴とする、前記〔1〕記載の吸着剤の製造方法、
〔4〕 前記〔3〕において、鉄塩水溶液として硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液を用い、この硫酸鉄(II)水溶液をアルカリと反応させる前に炭酸カルシウム(CaCO)と反応させることを特徴とする、前記〔2〕記載の吸着剤の製造方法。
本発明によれば、鉄塩水溶液をアルカリと反応させることにより生成した沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させて得られる酸化鉄中に、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有するので、水中溶存ヒ素の吸着性能および耐磨耗性に優れた吸着剤を提供することができる。
本発明の水中溶存ヒ素除去用吸着剤は、鉄塩水溶液をアルカリと反応させることにより生成した沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させて得られる酸化鉄中に、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有する点に特徴を有する。
本発明において酸化鉄とは、例えば、α−Fe(ヘマタイト),γ−Fe(マグヘマイト),Fe(マグネタイト),FeO(ウスタイト)等、組成式Feで表される狭義の酸化鉄の他、FeOOHをも含む概念である。また、結晶性酸化鉄とは、前記で定義される酸化鉄のうち、結晶の形態で存在するものをいう。結晶性酸化鉄の含量はX線構造解析装置を用いて定量される。具体的には、酸化鉄の結晶含量が既知の四三酸化鉄を標準物質として用い、前記標準物質のX線回折図により、結晶含量とピーク強度との関係を示す検量線をあらかじめ作成し、本発明に係る吸着剤のX線回折図から求めた酸化鉄のピーク強度から、重量%の単位で求められる。
本発明の特徴は、換言すれば、前記酸化鉄中の結晶性酸化鉄の含量をできるだけ少なくして、非結晶性酸化鉄を75〜97重量%含有する酸化鉄を必須成分として水中溶存ヒ素除去用の吸着剤として適用した場合に、水中溶存ヒ素の吸着性能と耐磨耗性に優れた特性を発揮する点にある。非結晶性酸化鉄とは、吸着剤を構成する前記酸化鉄のうち、結晶性酸化鉄を除いたものをいう。非結晶性酸化鉄の含量は、100−結晶性酸化鉄含量(重量%)から算出され、非結晶性FeOOHを主成分とするものである。
反応原料としての鉄塩は、たとえば硫酸鉄、塩化鉄、硝酸鉄等、水溶性の鉄塩の1種または2種以上が使用される。これらの中では、経済的な面から、硫酸鉄を用いるのが望ましい。上記鉄塩の水溶液をアルカリと反応させることにより、結晶性のFeOOHからなる中和沈殿物が得られる。アルカリとしては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等、酸と反応しpHを上昇させるものの1種または2種以上が使用される。鉄塩水溶液をアルカリと反応させるにあたっては、例えば、空気存在下、鉄塩水溶液を撹拌しながら、該鉄塩水溶液がpH7になるまでアルカリを徐々に添加する方法を挙げることができる。
続いて、得られた中和沈殿物を含む溶液を、空気存在下、室温〜100℃付近で熟成させ、次いで乾燥させることで、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有する酸化鉄が得られる。ここで、室温とは15〜20℃をいう。一般に、結晶性酸化鉄含量を少なくするには、厳しい条件(高温,短時間)で熟成させればよいが、100℃を超える温度では、熟成時間を短時間で厳密に管理しないと結晶性酸化鉄含量のばらつきが生じやすい。一方、室温を下回る温度で熟成させると、所定の結晶性酸化鉄含量に達するのに時間がかかりすぎるという不都合がある。例えば、室温で熟成させる場合、熟成時間としては5〜25時間を目安として適宜設定することができる。熟成工程の終了後に得られた熟成物は、好ましくは、水洗し、およびろ過した後、乾燥させる。乾燥条件は特に限定されず、適宜設定すればよい。
乾燥工程を経て得られた酸化鉄は、水中溶存ヒ素除去用の吸着剤として利用される。吸着剤として製品化するにあたっては、多くの場合(特に浄水器等で用いる場合)、所定の大きさに成形して用いる。様々な形状が考えられ、それらは用途や性能、装置の許容される圧損等から決定されるが、水処理の場合、1mm前後から10mm前後の大きさで、粒状もしくは円柱状とするのが好適である。
本発明の吸着剤は、酸化鉄中に結晶性酸化鉄が3〜25重量%含有されているので、水中溶存ヒ素の吸着性能および耐磨耗性に優れた効果を発揮する。本発明の吸着剤は、強度を増すため、セメントやケイ酸塩などのバインダを含有させることはしない。バインダを用いると吸着剤の強度を増すことはできるが、その代償として大幅に吸着性能が低下する。そこで、本発明の吸着剤では、結晶性酸化鉄含量を上述した特定範囲に設定することで、水中溶存ヒ素の吸着性能を高いレベルに保つともに、バインダを加えることなく優れた強度(耐摩耗性)を発揮させるようにしている。
また、本発明では、吸着剤中に硫酸カルシウム(CaSO)粒子を包含させることもできる。吸着剤中の硫酸カルシウム粒子の含有量は、Ca換算で1〜5重量%が好ましい。Ca換算で1重量%を下回ると、同じアニオンとして水中に溶存し、ヒ素と吸着競合を起こすリン酸、ケイ酸といったアニオンと難溶性塩を形成する機能,すなわちこれら競合イオンの除去機能が発揮しにくくなる。一方、Ca換算で5重量%を上回ると、処理水を調理容器(なべややかん等)で加熱した際にスケールの付着量が増えてしまうという不都合がある。上記のCa換算値は、ICP発光分析装置を用いて吸着剤中のCa量として定量される値をいう。
吸着剤中に硫酸カルシウム(CaSO)粒子を包含させるには、鉄塩水溶液として硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液を用い、このFeSO水溶液をアルカリと反応させる前に炭酸カルシウム(CaCO)と反応させるようにする。CaCOはFeSOと定量的に反応してCaSOの微粒子を生成し、これが最終生成物である酸化鉄中にほぼ100%取り込まれて包含された形で存在する。このため、吸着剤中のCaSO粒子の含有量は所定量のFeSOに対してCaCOの添加量を適宜変更することで容易に調整することができる。吸着剤中のCaSO粒子の含有量をCa換算で1〜5重量%に調整するには、例えば、CaCOの添加時にFeSO水溶液中に存在するFeイオンに対するCaイオンのモル比(以下、単に「Ca/Fe」という)が0.02〜0.1になるようにCaCOの添加量を調整すればよい。
以下、試験例などにより本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
1.吸着剤の製造例
室温で、空気存在下、0.1Mの硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液1リットルに0.45g(Ca/Fe=0.045)の炭酸カルシウム(CaCO)を添加し、1分間撹拌した後、引き続いて硫酸鉄(II)溶液がpH7になるまで濃度35%(約9M)のNaOH水溶液を撹拌しながら徐々に添加し、CaSOを包含する中和沈殿物(結晶性のFeOOHが主成分)を得た。続いて、該沈殿物を含む溶液を空気存在下、室温でそれぞれ1時間,8時間,16時間,24時間,32時間または48時間熟成させた。そして、得られた各熟成物を吸引ろ過によって水溶液から分離した後、105℃で2時間乾燥させ、熟成時間の異なる計6種類の吸着剤を得た。
2.吸着剤の結晶含量の測定
X線構造解析装置(Mini Flex、理学電気株式会社製、放射線源CuKβ)を用いて、前記「1.吸着剤の製造例」で得られた各吸着剤のX線回折図を得、その結晶含量を測定した。具体的には、結晶含量が既知の四三酸化鉄(和光純薬工業株式会社製)を標準物質として、前記X線構造解析装置により測定された前記標準物質のX線回折図により、結晶含量とピーク強度との関係を示す検量線をあらかじめ作成し、次に各吸着剤のX線回折図から求めた酸化鉄のピーク強度から、各吸着剤の結晶性酸化鉄含量(重量%)を定量した。
図1は、熟成時間と結晶性酸化鉄含量との関係を示したものである。図1から、室温で熟成させた場合、熟成時間が長くなるほど結晶性酸化鉄含量が増加することが分かった。
3.吸着剤のヒ素吸着容量の測定
前記「1.吸着剤の製造例」で製造した各吸着剤の水中溶存ヒ素の吸着性能について、ヒ素吸着容量を測定することで評価した。まず、前記「1.吸着剤の製造例」で得られた各吸着剤を押出成形により円柱体(φ2.2mm,長さ2〜5mm)に成形した。そして、得られた各試料をガラス製カラム(内径10mmφ)に6ミリリットル分充填し、0.05mg/リットルのAs(III)水溶液を試験水として空間速度(SV)20h−1の通水条件にて下降流で通水し、前記カラムを通水した処理水中のAs(III)濃度が0.04mg/リットル以上になるまでの通水量を測定することにより、各吸着剤のヒ素吸着容量を算出した。表1に結果を示す。表1から、吸着剤の結晶性酸化鉄含量が減少するほどヒ素吸着容量が増加する傾向を示した。
Figure 2008178794
4.吸着剤の摩滅率の測定
前記「1.吸着剤の製造例」で製造した各吸着剤の耐磨耗性を、日本水道協会(JWWA)によるJWWA A103−1「水道用ろ過砂の物性試験法」に規定される摩滅率を測定することで評価した。まず、前記各吸着剤を公称目開き0.300mmのふるいでふるい分け、該ふるい上に残った試料から約50gをはかり採り、密閉可能な蓋のついたステンレス製の筒に入れ、呼び径6.5mmの鋼球5個を加えて密閉した。次に、手振りにより1分間150〜200回の割合で、振り幅約15cmで上下に3分間激しく振った。そして、最後に、手振り後の吸着剤を前記ふるいでふるい分け、前記ふるい上に残った吸着剤の質量を測定し、摩滅率(%)=[(手振り前の吸着剤の質量−手振り後の吸着剤の質量)/手振り前の吸着剤の質量]×100によって各試料の摩滅率を算出した。表2に結果を示す。表2から、吸着剤の結晶性酸化鉄含量が増加するほど摩滅率が減少する傾向を示した。
Figure 2008178794
表1および表2の各データのうち、各吸着剤の結晶性酸化鉄含量(重量%)を横軸として、表1の各データのうち、ヒ素吸着容量の最も高い値を100としたときの相対値と、表2の各データのうち、摩滅率の最も高い値を100としたときの相対値を算出して、それぞれを同一スケールの縦軸としてプロットすることで、表1と表2のデータをまとめた。図2に結果を示す。
図2から、ヒ素吸着容量は、結晶性酸化鉄含量が25重量%以下では相対的に高い値で推移する一方、結晶性酸化鉄含量が25重量%を超えると急激に減少することが分かった。また、摩滅率は、結晶性酸化鉄含量が3重量%未満では、結晶性酸化鉄含量が増加するにつれて急激に減少する一方、結晶性酸化鉄含量が3重量%以上では相対的に低い値で推移することが分かった。上記の結果から、水中溶存ヒ素の吸着性能と耐磨耗性を向上させるには、結晶性酸化鉄含量を3〜25重量%に設定する必要があるといえる。
5.吸着剤のスケール付着厚さの測定
Ca含量の異なる吸着剤を被検試料として、スケール析出耐性を調べた。まず、0.1Mの硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液1リットルに対して、炭酸カルシウム(CaCO)の添加量を0.23g(Ca/Fe=0.023),0.52g(Ca/Fe=0.052),0.95g(Ca/Fe=0.095),1.4g(Ca/Fe=0.14)または4.1g(Ca/Fe=0.41)にしたこと、および室温で16時間熟成させたことを除き、前記「1.吸着剤の製造例」と同様の方法を用いて5種類の吸着剤を製造した。
続いて、土壌中の重金属元素含有量を求める土壌含有量試験(環境省告示19号)に基づいて、得られた各吸着剤中のCa含量(重量%)を測定した。Ca含量の測定にあたっては、各吸着剤を2mmの目のふるいを通過させて得た試料に酸を添加した後、振とう機にて2時間連続して振とう後、得られた試料液を遠心分離し、上澄み液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ろ液を採り、定量に必要な量を正確に量り採って、これを検液とし、ICP装置(セイコー電子工業SPS7000A型)にて検液中のCa濃度を定量し、その定量値からもとの各吸着剤中のCa含量(重量%)を算出した。表3にその結果を示す。
Figure 2008178794
得られた各吸着剤のスケール付着量は、純水1リットル中に前記吸着剤625gを室温で1時間浸漬したものを試験水とし、該試験水を鉄容器(内寸法:φ150mm×62mm(容量0.8リットル))に全量入れ、常圧で1時間沸騰させた後に前記鍋に付着したスケールの厚さを測ることで測定した。スケールの厚さ測定にあたっては、非接触レーザー式の膜厚測定装置(バーマスコープES型,ケット化学研究所製)を用い、前記鍋の任意の3ヶ所の厚さを測定し、その平均値をスケールの厚さとした。図3に結果を示す。
図3から、吸着剤中のCa含量が5重量%を超えると、スケールの付着厚さが急激に増加することが分かった。すなわち、吸着剤のスケール析出耐性を向上させるには、吸着剤中のCa含量を5重量%以下に設定する必要があるといえる。
上述したスケール付着量とは別に、各吸着剤について、X線構造解析装置およびEDX(X線マイクロアナライザー)にて定性および定量分析を行ったところ、Caのほとんどを硫酸カルシウム(CaSO)として包含していることが確認された。このことから、各吸着剤は硫酸カルシウム(CaSO)を包含していることが分かる。
6.競合アニオン存在下のヒ素吸着容量の測定
吸着剤のヒ素吸着容量について、水中にヒ素イオンと競合するアニオンが存在する場合の影響を調べるため、水中のヒ素イオンと競合アニオンの共存比が異なる水溶液を試験水として吸着剤のヒ素吸着容量を測定した。まず、0.1Mの硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液1リットルに対して、0g(Ca/Fe=ゼロ),0.16g(Ca/Fe=0.016),0.23g(Ca/Fe=0.023)または0.97g(Ca/Fe=0.097)の炭酸カルシウム(CaCO)を添加したこと、および室温で16時間熟成させたこと以外は、前記「1.吸着剤の製造例」と同様の方法で4種類の吸着剤を製造した。得られた吸着剤中のCa含量は、前記「5.吸着剤のスケール付着厚さの測定」と同様の方法により測定した。表4に結果を示す。
Figure 2008178794
次に、終濃度0.05mg/リットルのAs(III)に対するリン酸イオンの濃度比(以下、「PO/As」という)がゼロ,10または100の各水溶液を試験水としたこと以外は、前記「3.吸着剤のヒ素吸着容量の測定」と同様の方法により、各吸着剤のヒ素吸着容量を測定した。図4に結果を示す。図4において横軸は、吸着剤中のCa含量であり、縦軸は各吸着剤のヒ素吸着容量の相対値である。該相対値は、CaCOを添加せずに製造した吸着剤(Ca含量=ゼロ重量%)にPO/As=ゼロ(すなわち、ヒ素イオンと競合するアニオンが存在しない)の試験水を通水させたときのヒ素吸着容量を基準(100)として、残りの各吸着剤のヒ素吸着容量を相対比として求めたものである。
図4より、吸着剤中のCa含量が同じ場合、ヒ素吸着容量は、常にPO/As=0>PO/As=10>PO/As=100を示した。このことから試験水中のリン酸イオン濃度が増えると吸着剤のヒ素吸着性能は低下することが分かる。しかし、PO/As=10または100のデータについてみると、吸着剤中のCa含量が増加するにつれて、ヒ素吸着容量も増加する傾向を示した。ここで、PO/As=100の試験水に対するヒ素吸着容量が相対値60以上の場合、競合イオンの除去機能およびヒ素吸着性能に優れると判断される。かかる判断基準にてらすと、Ca含量は1重量%以上に設定する必要があるといえる。
本発明は、使用中の耐磨耗性に優れ、水中溶存ヒ素を効率的に除去できる吸着剤として広く利用することができる。
製造時の熟成時間と吸着剤の結晶性酸化鉄含量との関係を示す図である。 吸着剤の結晶性酸化鉄含量と、ヒ素吸着容量および摩滅率との関係を示した図である。 吸着剤中のCa含量と、スケール付着厚さとの関係を示した図である。 吸着剤中のCa含量と、PO/Asが異なるときの各吸着剤のヒ素吸着容量との関係を示した図である。

Claims (4)

  1. 鉄塩水溶液をアルカリと反応させることにより生成した沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させて得られる酸化鉄中に、結晶性酸化鉄を3〜25重量%含有することを特徴とする、該酸化鉄を含有する水中溶存ヒ素除去用吸着剤。
  2. 硫酸カルシウム(CaSO)粒子を包含してなる、請求項1記載の吸着剤。
  3. 酸化鉄の製造にあたり、鉄塩水溶液をアルカリと反応させて得られる沈殿物を熟成させ、次いで乾燥させることを特徴とする、請求項1記載の吸着剤の製造方法。
  4. 請求項3において、鉄塩水溶液として硫酸鉄(II)(FeSO)水溶液を用い、この硫酸鉄(II)水溶液をアルカリと反応させる前に炭酸カルシウム(CaCO)と反応させることを特徴とする、請求項2記載の吸着剤の製造方法。
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