JP2008175127A - エンジンの燃焼制御方法及び燃焼制御装置 - Google Patents

エンジンの燃焼制御方法及び燃焼制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの圧縮比を可変に制御していても、制御目標値から期待される水回収量と実際の水回収量とを一致させ得るエンジンの燃焼制御方法を提供する。
【解決手段】シリンダ内を往復動するピストン(9)を有するエンジンにおいて、駆動量に応じてエンジンの圧縮比を可変に制御し得る圧縮比可変機構と、圧縮比の制御目標値が得られるようにこの圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する圧縮比可変制御手段(39)と、燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置(62)と、排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置(130)とを有し、この水回収装置(130)に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を前記圧縮比に応じて可変制御する。
【選択図】図21

Description

本発明は往復動ピストンを有するエンジン(内燃機関)の燃焼制御方法及び燃焼制御装置、特に燃費向上技術に関する。
圧縮比が固定の断熱エンジンにおいて、燃焼開始前に高温の燃焼室(ピストンなど)に水噴射を行い、燃焼室壁面から水が受熱して蒸発する水の圧力エネルギーを膨張行程で回収することにより熱効率を向上させると共に、水噴射による冷却効果により対ノック性を向上させるものがある(特許文献1参照)。
特開平3−115730号公報
ところで、上記水噴射の課題の一つは水の確保にある。水は砂漠地域は別として基本的にどこにでも存在し安価で入手できるものの、燃料タンクと同等以上の容量の水タンクを搭載するのではスペース上の制約が大きい。そこで、触媒下流の排気の一部を水回収装置に導き、凝縮によって水噴射に必要となる水を回収することができるが、回収効率の向上には改善の余地があった。
本発明は、シリンダ内を往復動するピストン(9)を有するエンジンにおいて、駆動量に応じてエンジンの圧縮比を可変に制御し得る圧縮比可変機構と、圧縮比の制御目標値が得られるようにこの圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する圧縮比可変制御手段(39)と、燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置(62)と、排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置(130)とを有し、この水回収装置(130)に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を前記圧縮比(前記圧縮比の制御目標値またはピストンの上死点位置から定まる圧縮比)に応じて可変制御するように構成する。
水噴射装置(62)より燃焼室(61)内に水噴射を行うと共に、圧縮比の制御目標値が得られるように圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件に応じて可変制御するとき、膨張比が大きくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が凝縮し易くなる。この場合に、膨張比に関係なく、水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を一定値とするのでは、水回収を効率よく行うことができない。例えば、膨張比が大きい条件で水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を適合した場合において、膨張比が小さい条件でも膨張比が大きい条件での制御目標値をそのまま用いたのでは、水回収ができなくなる恐れがある。すなわち、水回収装置内で水が凝縮する温度まで排気温度を低下させることができなくなって、水回収量が急に減少してしまう恐れがあり、期待される水回収量に足りない事態が生じる。この逆に、膨張比が小さい条件で水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を適合した場合において、膨張比が大きい条件でも膨張比が小さい条件での制御目標値をそのまま用いたのでは、膨張比が大きい条件で本来回収できるはずの水回収量を回収できなくなる事態が生じる。このように、圧縮比の制御目標値(膨張比)が、水回収量に大きな影響を与えることがわかった。
これに対して本発明によれば、排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置(130)を有し、この水回収装置(130)に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を圧縮比(圧縮比の制御目標値またはピストンの上死点位置から定まる圧縮比)に応じて可変制御するので、燃焼室(61)内に水噴射を行うと共に、エンジンの圧縮比をエンジンの運転条件(負荷と回転速度)に応じて可変に制御していても、圧縮比の制御目標値から期待される水回収量と実際の水回収量とを一致させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はエンジンの水噴射制御方法を適用する複リンク型レシプロ式エンジンの概略構成図である。
このエンジンは圧縮比可変機構、具体的にはピストン行程を変化させて圧縮比を変更する機構を備えている。なお、圧縮比可変機構を備えるこのエンジンは、本出願人が先に提案したものであるが、例えば特開2001−227367号公報等によって公知となっているので、その概要のみを説明する。
クランクシャフト2には、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック1内の主軸受(図示しない)に回転可能に支持されるクランクジャーナル3が各気筒毎に設けられている。各クランクジャーナル3は、その軸心Oがクランクシャフト2の軸心(回転中心)と一致しており、クランクシャフト2の回転軸部を構成している。
また、クランクシャフト2は、軸心Oから偏心して各気筒毎に設けられたクランクピン4と、クランクピン4をクランクジャーナル3へ連結するクランクアーム4aと、軸心Oに対してクランクピン4と反対側に配置され、主としてピストン運動の回転1次振動成分を低減するカウンターウェイト4bとを有している。クランクアーム4aとカウンターウェイト4bとは、この実施形態では一体的に形成されている。
そして本実施形態では、各気筒毎に形成されたシリンダ10に摺動可能に嵌合するピストン9と、上記のクランクピン4とが、複数のリンク部材、すなわちアッパーリンク6(第1のリンク)とロアーリンク5(第2のリンク)とにより機械的に連携されている。アッパーリンク6の上端側は、ピストン9に固定的に設けられたピストンピン8(第1のピン)に、軸心Oc周りに相対回転可能に外嵌している。また、アッパーリンク6の下端側とロアーリンク5の、ほぼ二等分された一方の本体5aとは、両者を挿通する連結ピン7(第2のピン)によって、軸心Od周りに相対回転可能に連結されている。
ロアーリンク5は、クランクピン4を狭持するように、2つの本体5a、5bを取付けて構成されており、この狭持部分でクランクピン4と軸心Oe周りに相対回転可能に装着されている。ほぼ2等分された他方のロアーリンク本体5bと制御リンク(第3のリンク)11の上端側とは、両者を挿通する連結ピン12(第3のピン)によって軸心Of周りに相対回転可能に連結されている。
この制御リンク11の下端側は、シリンダブロック1に回動可能に支持される、偏心カム部14を有する制御軸13に、その軸心Ob(シリンダブロックに設けられた支点)周りに揺動可能に外嵌,支持されている。すなわち、制御軸13の外周には偏心カム部14が回転可能に設けられており、偏心カム部14の軸心Oaは、制御軸13の軸心Obに対して所定量偏心している。この偏心カム部14は、ウォームギア15を介して圧縮比制御アクチュエータ16によって、機関の運転状態に応じて回動制御されるとともに、任意の回動位置で保持されるようになっている。
このような構成により、クランクシャフト2の回転に伴って、クランクピン4,ロアーリンク5,アッパーリンク6及びピストンピン8を介してピストン9がシリンダ10内を昇降するとともに、ロアーリンク5に連結する制御リンク11が、下端側の揺動軸心Obを支点として揺動する。
また、上記の圧縮比制御アクチュエータ16により偏心カム部14を回動制御することにより、制御リンク11の揺動軸心となる制御軸13の軸心Obが偏心カム部14の軸心Oa周りに回転し、つまり制御リンク11の揺動中心位置Obが機関本体(及びクランクシャフト回転中心O)に対して移動する。これにより、ピストン9の行程が変化して、エンジンの各気筒の圧縮比が可変制御される。参考として、図2に、ピストン上死点位置における3つのリンク6、5、11の姿勢を模式的に示すと、図2左側は高圧縮比位置での、図2右側は低圧縮比位置での各リンク姿勢である。
この圧縮比可変機構の最大の特長は制御軸13(コントロールシャフト)の角位置制御により、ピストン9の上死点位置(燃焼室容積)を変えられる点に有り、いわゆる圧縮比可変機構としての機能を発揮する。また、図3に示すように、ピストンストローク特性が単振動に近づけられるため、上下死点での加速度が略同一となり、バランサシャフトが不要(4気筒)となるような振動低減効果がある。あるいは、ピストンストローク特性として、上死点側のピストン加速度が下死点側のピストン加速度よりも小さくなるような設定が可能となる。このようなピストン加速度特性は、前述のような複数のリンク部材からなるマルチリンク機構であれば得られるものであって、圧縮比(ピストン上死点位置)を可変とするか否かに依るものではない。このようなピストンストローク特性は、単一のコンロッドによりクランクシャフトをピストンが連結された従来の一般的なエンジンに比べて、上死点近傍のピストン滞在時間を長くすることになっている。
図4は、圧縮比制御システムの概略構成図である。エンジンの負荷と回転速度の信号が入力されるエンジンコントロールユニット39では、その入力されるエンジンの負荷と回転速度から目標圧縮比のマップ51を参照することにより、そのときの負荷と回転速度に応じた目標圧縮比を算出し、その算出した目標圧縮比が得られるように、圧縮比アクチュエータ16に与える制御量(圧縮比可変機構への駆動量)を制御する。なお、エンジンはガソリンエンジンであるため、エンジンコントロールユニット39では、点火進角制御装置52を介して所定のタイミングで燃料室内の混合気に対して火花点火を実行する。また、燃焼室に臨んで水噴射弁62が設けられているが、このときには図4は圧縮比可変機構に水噴射を組み合わせた第1実施形態の制御システムの概略構成図となる。これについては後述する。
図5は目標圧縮比(圧縮比の制御目標値)のマップ内容を示すものである。図5に示したように、低負荷になるほど燃費の向上を狙い目標圧縮比として最大で22を設定している。ノックの発生しやすい全負荷領域になると、目標圧縮比として最低の10を設定する。
さて、圧縮比可変機構を用いて低負荷時にピストンの上死点位置を持ち上げ燃焼室高さを低くすると高圧縮比が得られるものの燃焼室が扁平となり、冷却損失が顕著に増大する問題がある(図6参照)。
そこで本発明に先立つ先行発明(この発明を以下単に「先行発明」という。)では、図4に示した圧縮比可変機構を有するエンジンを前提として燃焼室壁面(例えばピストン冠面)を水膜で覆い、冷却損失の大半が発生する燃焼期間中(上死点近傍)に、本来、冷却損失として失われる熱により水を気化させ、その後の膨張行程でこの気化した蒸気の圧力エネルギーを仕事として回収し、熱効率を向上させることとするものを提案した。
ここで、圧縮比が固定の従来エンジンに水噴射を行なう考え方は第1公知例(特開平3−115730号公報参照)により公知であり、この第1公知例では断熱エンジンにおいて、燃焼開始前に高温の燃焼室(ピストンなど)に水噴射を行い、燃焼室壁面から水が受熱して蒸発する水の圧力エネルギーを膨張行程で回収することにより、熱効率を向上させることを狙いとしている。また、水噴射による冷却効果により、対ノック性を向上する効果も狙いとしている。
一方、燃焼開始前の燃焼室壁面からの受熱による水の気化だけでなく、燃焼期間中も水膜を保持し、燃焼期間中に燃焼ガスからの熱流速を吸収し(燃焼室壁面に伝熱させない)、気化潜熱として回収し、速やかに膨張仕事に変換する、といったいわば水膜による断熱機能については第2公知例(実開昭63−2836号公報参照)により公知である。
先行発明ではこのような2つの公知例の記載する効果も得られるが、以下のように新たな観点、新たな機能の組み合わせ、つまり圧縮比可変機構と水噴射との最適な組合せによる相乗効果を狙いとしている。
(1)ピストン9の上死点近傍の動きを遅くすることにより、圧力並びに温度の高い状態で水を蒸発させるための時間を長く確保し、かつ膨張行程における燃焼室内圧力を高圧下に維持することができるので、水の蒸発による圧力上昇の遅れによる膨張仕事での回収効率の悪化(従来の課題)を大幅に改善することができる。本来、ピストン9の上死点近傍の動きを遅くすると、圧縮比が固定の従来エンジンでは冷却損失が増えるという弊害が生じるところであるが、図9で後述するところの先行発明における水膜断熱を行うことにより、その弊害は大幅に減少するため、相乗効果が得られる。
(2)水の気化で得られた圧力エネルギーを回収するには、高膨張比が極めて有効であるが、ここでは高膨張比の時に必然的に上死点におけるピストン冠面位置が高くなることに着目している。すなわち、後述する図8の左側に示したように燃焼室側方からピストン冠面に沿って水噴霧を広げることにより、上死点近傍のピストン滞在期間の初期に、水膜の形成を効率よく行なうことができる。
(3)高負荷の低圧縮比時にはピストン冠面位置が下がる。これにより、後述する図8の右側に示したように水噴射の噴霧は燃焼室中央よりに広がり、燃焼火炎を冷やしてノック防止効果が得られるため、その分圧縮比低下要求を緩和することができる(熱効率低下の防止)。
ここで、ピストン9の上死点近傍の動きを遅くするため、ピストンストローク特性としては上下死点での加速度が略同一となるように圧縮比可変機構を設定する。これにより従来はピストンの上死点滞在時間が下死点に比べ約半分だったのが、先行発明によれば下死点と同等の滞在時間に延長できる。ただし、ピストンストローク特性はこの場合に限られるものでない、例えば上死点側での加速度が下死点側での加速度より小さくなるように圧縮比可変機構を設定してもかまわない。
以下、燃焼室内への水噴射について具体的に説明する。
上記図4は圧縮比可変機構に水噴射を組み合わせた第1実施形態の制御システムの概略構成図である。水噴射は水噴射弁62(水噴射装置)を用いて燃焼室61に直接行う。
図7は燃焼室61への水噴射構成の詳細図である。ペントルーフ型の燃焼室61の天井に噴射軸(噴射方向)が鉛直下方となるように水噴射弁62(水噴射装置)を設けており、この水噴射弁62から上死点近傍で(つまり至近距離で)、円盤状キャビティ63を有するピストン冠面9aに向けて水膜を形成するための水噴射を行なう。
水噴射弁62からの水噴霧形状は円錐状である。このため、水噴射弁62からの水噴霧は、図7左側に示したように円錐状の水噴霧63となって円盤状キャビティ64の全体に拡がり円盤状キャビティ64表面に付着した水噴霧が水膜を形成する。円盤状キャビティ64つまりピストン冠面9aに水膜を形成することにした理由は、ピストン冠面9aからの燃焼熱の逃げが大きいので、この燃焼熱の逃げを遮断(断熱)するためである。なお、第1実施形態では火花点火を行わせるための点火栓65は燃焼室61天井中央からずらせた位置に設けている。
低負荷時には圧縮比可変機構を用いてピストン9の上死点位置を持ち上げ燃焼室高さを低くすることにより高圧縮比を実現している。これを水噴射の観点からみれば、ピストン冠面9aが持ち上がる高圧縮比時にピストン冠面9aが水噴射弁62に近づくのであり、これによってピストン冠面9aへの水膜形成は圧縮比が固定の従来エンジン、つまりピストンの上死点位置を持ち上げることのできない従来エンジンの場合よりも有利となる。
次に、図8は第2実施形態の燃焼室61への水噴射構成の詳細図で、図7と置き換わるものである。第2実施形態は、ピストン冠面9aに浅皿状キャビティ71を有するものを対象とするものである。すなわち、浅皿状キャビティ71を有するピストン冠面9aに対しては、噴射軸(噴射方向)が図8において右斜め下に向かうように水噴射弁72を燃焼室61の周辺部に設けている。ここで、水噴射弁72からの水噴霧形状は第1実施例と同じに円錐状であるが、噴霧角は第1実施形態よりも狭くして、水噴射弁72からの水噴霧が浅皿状キャビティ71(燃焼室壁面近傍)に沿って広がるようにする。すなわち、図8左側に示したように、燃焼室周辺部より上死点近傍で浅皿状キャビティ71(ピストン冠面9a)をなめるように水噴射を行わせる。このため、水噴射弁72からの水噴霧は、図8左側に示したように浅皿状キャビティ71を覆う被膜状の噴霧73となり、浅皿状キャビティ71表面に付着した燃料噴霧が所定厚さの水膜を形成する。なお、点火栓75は第2実施形態では燃焼室61天井中央位置にある。
第2実施形態の水噴射システムでは、点火栓75による火花点火によって形成される燃焼火炎との干渉を避けることが可能となるため、燃焼が始まって以降も水噴射弁72からの水噴射を継続することができる。これにより、必要なだけ浅皿状キャビティ71(ピストン冠面9a)の水膜の形成・補充を行なうことができる。つまり、第2実施形態の水噴射システムによれば、第1実施形態よりもさらに水膜形成を効果的に行なうことができるのである。
図8左側には低負荷の高圧縮比時にどのように水噴射が行われるのかを示したが、図8右側には高負荷の低圧縮比時にどのように水噴射が行われるのかを示している。高負荷時には圧縮比可変機構によりピストン9の上死点位置を下げることにより低圧縮比を実現している。これを水噴射の観点からみれば、ピストン冠面9aが下がる低圧縮比時にはピストン冠面9aが水噴射弁72からの水噴霧から離れるのであり、このときには図8右側に示したように、燃焼室61の中央に向けて水噴射が行われることとなる。従って、浅皿状キャビティ71に水膜が形成されることはないのであるが、低圧縮比時に燃焼室61の中央に向けて水噴射を行うのはノック対策である。すなわち、低圧縮比時になると、燃焼温度を下げてノックを抑制するため高圧縮比時よりも早い時期に水噴射を開始する。
このように、第2実施形態では高圧縮比時と低圧縮比時とで水噴射の目的が相違する。つまり高圧縮比時には水膜断熱を目的として水噴射を行い、低圧縮比時にはノック対策を目的として水噴射を行うため、高圧縮比時と低圧縮比時とで水噴射の開始時期と水噴射の期間(水噴射量)とは同じにならない。
ここでは、図7、図8によりピストンキャビティ(ピストン冠面)の形状が相違する2つの実施形態を示したが、これらに限られるものでない。燃焼室形状やピストン冠面形状はエンジン仕様に応じて相違するので、ピストン冠面に水膜が形成されるようにエンジン仕様に応じて水噴射弁及び点火栓の配置、水噴射弁からの水噴射方向、水噴霧形状を最適に設定してやればよい。
図9は水膜による断熱効果の原理を示している。圧縮上死点近傍で燃焼前(つまり点火時期の前)に水をピストン冠面9aに向けて噴射し、ピストン冠面9aに水膜を形成すると、
1)水膜(水の液膜層)がピストン9から受熱しその一部が蒸発する。
これは上記第2公知例の効果と同じである。ただし、第1、第2の実施形態のピストン9は断熱ピストンでなく燃焼室61の壁温が低いので、その効果割合は小さい。また後述するように、第1、第2の実施形態ではピストン9への伝熱量が少なく、また高膨張比によって排気温度が低いためピストン温度が大幅に低くなることから、先行発明のコンセプトではこの効果割合は小さいものとなっている。
2)点火栓による火花点火によって燃焼が開始すると、燃焼からの輻射熱に始まり、やがては火炎が到達し、水膜は加熱されて気化が促進される。しかし、水膜が残っているうちは気化潜熱による熱回収→気化による体積膨張(高圧の蒸気の生成)が続くので、燃焼によるガスの発生と同じ効果が得られる。水膜があることによりピストンへ9の伝熱量は激減するため、冷却損失の大半が発生する燃焼期間付近のクランク角(図10参照)で、水膜が残るように水噴射弁からの水噴射の開始時期及び水噴射量を制御することがポイントとなる。
3)膨張仕事としてのエネルギーを回収する。
水膜から気化によって得られた高圧蒸気は仕事として回収できるが、これを効率よく回収するためにはできるだけ上死点付近で気化させることが必要である。具体的には膨張比を大きくとることなどが有効である(図11の一点鎖線参照)。水噴射により燃焼温度が下がるため、圧縮比を上げることは上死点付近で燃焼を(従って水膜からの気化を)完了させる上でも必要な機能となる(圧縮比を上げれば膨張比は自動的に上がる)。図3で示したように単振動に近いピストンストローク特性、つまり上下死点での加速度が略同一となるように設定したピストンストローク特性は、振動低減だけでなく、このような水膜断熱の作用を上死点近傍で完結させる上でも極めて有効である。このような水膜断熱を行なうことで、この単振動に近いピストンストローク特性の持つデメリット(冷却損失が大きい)を相殺し、メリットを拡大することができるのである。
次に、先行発明の実施形態の作用効果を説明する。
先行発明の実施形態である第1、第2の実施形態によれば、ピストン9のストローク特性として上下死点での加速度が略同一となるように設定するので、ピストン9の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることができ、これにより、水の蒸発による圧力上昇の遅れによる膨張仕事での回収効率の悪化を大幅に改善することができる。本来、ピストン9の上死点近傍の動きを遅くすると、圧縮比が固定の従来エンジンでは冷却損失が増えるところであるが、第1、第2の実施形態によれば、少なくともピストン上死点前の圧縮行程で燃焼室61内への水噴射を開始するので(図16のステップ4参照)、燃焼室を区画する燃焼室壁面に水膜が形成され、この水膜で断熱が行われる。従って、ピストン9の上死点近傍の動きを遅くしても冷却損失が増えることがないのである。
このように第1、第2の実施形態によれば、ピストン9の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることで水の蒸発による圧力上昇の遅れによる膨張仕事での回収効率の悪化を大幅に改善することができることに加えて、ピストン9の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることによる冷却損失の増大も防止できるという相乗効果が得られる。
第1、第2の実施形態によれば、ピストン9は、ピストンピン9(第1のピン)を介して連結されるアッパーリンク6(第1のリンク)と、アッパーリンク6に連結ピン7(第2のピン)を介して揺動可能に連結されクランクピン4に回転可能に装着されたロアーリンク5(第2のリンク)と、ロアーリンク5と連結ピン12(第3のピン)を介して揺動可能に連結されシリンダブロックに設けられた支点(揺動軸心Ob)を中心に揺動する制御リンク11(第3のリンク)とを有するリンク機構を介して、クランクシャフト2により駆動されるので、ピストン9とクランクシャフト2を連結する機構が単リンク構成である従来エンジンと相違して、ピストン9の上死点近傍の動きをピストン9とクランクシャフト2を連結する機構が単リンク構成である従来エンジンよりも遅くすることができる。
第1、第2の実施形態によれば、水噴射弁62、72(水噴射装置)からの水噴射により、燃焼室61を区画する所定部位の燃焼室壁面(ピストン冠面9a)に水膜を形成するので(図7、図8参照)、水膜断熱を行うことができ、ピストン9の上死点近傍の動きをピストン9とクランクシャフト2を連結する機構が単リンク構成である従来エンジンより遅くしても冷却損失を増やことがない。また、燃焼期間中には所定部位の燃焼室壁面近傍の水蒸気濃度が高くなるので、水の気化で得られた圧力エネルギーを回収することができる。
水噴射弁72からの水噴霧と、点火栓による火花点火により形成される燃焼火炎との干渉を避けることが可能となるように水噴射弁72と点火栓75とが配置される場合がある(図8参照)。この場合に第2実施形態によれば、点火栓75による燃焼室内混合気への点火により燃焼室61内で燃焼がスタートした後にも水噴射弁72からの水噴射を継続するので、必要なだけ浅皿状キャビティ71(燃焼室壁面)の水膜の形成・補充を行なうことができる。
第2実施形態によれば、点火栓75を燃焼室61の天井中央位置に、水噴射弁72を燃焼室61の周辺に配置し、低負荷の高圧縮比時に水噴射弁72からの水噴霧が燃焼室61を区画する燃焼室壁面(ピストン冠面9a)近傍に沿って広がるようにするので(図8の左側参照)、燃焼室61を区画する燃焼室壁面に良好な水膜を形成することができる。
高圧縮比時には上死点におけるピストン冠面位置が高くなって水噴射弁に近づく。第2実施形態によれば、高圧縮比時に水噴射弁72からの水噴霧がピストン冠面9aに沿って流れるようにするので(図8の左側参照)、上死点近傍のピストン滞在期間の初期に水膜の形成を効率よく行なうことができる。
このように、先行発明で採用している燃焼室61内への水噴射により、燃焼最高温度を低下させたり、燃焼室壁面(ピストン)を水膜で覆い、冷却損失の大半が発生する燃焼期間中(上死点近傍)に本来冷却損失として失われる熱により、水を気化させ、その後の膨張行程でこの気化した蒸気の圧力エネルギーを仕事として回収できるので、熱効率向上の観点で圧縮比可変機構との相乗効果が高いことが期待されている。
しかしながら、このようにエンジンの常用運転領域において燃費向上の目的で水噴射を行なう場合には、排気中の水分を効率よく回収するシステムを構築し、必要な水を常時蓄えておくことが必要となる。そこで本発明は、以下のように圧縮比可変機構の基本的な作用効果に新たな観点を加えることにより、圧縮比可変機構の機能によって得られる効果を最大限に活用し得る高効率の水回収システムを提案するものである。
〈1〉圧縮比を可変として、高膨張比で運転する低負荷の条件では低膨張比で運転する高負荷の条件のときより排気温度が低下するため、水回収装置に導く排気量(または排気の割合)の限界値を決める上で、膨張比を考慮することは重要なポイントとなる(限界値を超えて水回収装置に導く排気量を大きくしたのでは、排気中の水分が凝縮温度に降下する前に水回収装置より排気が排出されることとなり、水回収装置に多くの排気を導いた割には水回収量が激減し水回収の効率が悪くなってしまう)。
〈2〉燃焼室内への水噴射により、ノック抑制効果が得られるため圧縮比(膨張比)を高く設定することができる。膨張比自体は排気温度を低下させる効果となるが、水噴射により冷却損失が低減されると、これは排気温度を上昇させる効果となるため、限界値近くまで水回収装置に導く排気量を増大制御する場合には、吸気量に対する水噴射量の割合を考慮する必要がある。
〈3〉水噴射による燃焼室壁面への水膜形成でエンジンの冷却水に失われる冷却損失が大幅に減少するため、空調(ヒータ)の利きが悪くなることが考えられるが、水回収装置に水冷熱交換器を含ませ、この水冷熱交換器にエンジンの冷却水との熱交換機能を備えさせることにより、排気熱の冷却水への回収が可能となり、これによって空調(ヒータ)の利きが悪くなることを緩和できる。
ここで、上記〈2〉でいう「水噴射量」とは後述するように、1つの気筒当たり1回の燃焼サイクルに供給する水噴射量のことである。
以下、上記の先行発明に対して本発明で新たに追加した部分を説明する。
図12は本発明の実施形態である第1実施形態の水回収装置121の概略構成図、図13は圧縮比制御機構とこの水回収装置121を組み合わせた全体システムの概略構成図を示している。
水噴射の課題の一つは水の確保にある。水は砂漠地域は別として基本的にどこにでも存在し、安価で入手できるものの、燃料タンクと同等以上の容量の水タンクを搭載するのではスペース上の制約が大きい。そこで第1実施形態では、図12に示したように、触媒101下流の排気の一部を水回収装置121に「回流」させ、凝縮によって水噴射に必要な水を回収する。ここで、「回流」という言葉を「排気再循環(EGR)」と区別するために用いる。これは、水噴射に使用された水が、排気の一部から再び回収されて水噴射に使用される、つまり水が循環して用いられる点を強調するためである。
水回収装置121を具体的に説明すると、これは、図12に示したように、触媒101下流の排気の一部をラジエータ107に導いて冷却ファンに108より冷却した後、コンデンサ109に導いて排気中の水分を凝縮させ、水分を取り去った後の排気はそのまま大気に放出する。そして、コンデンサ109に蓄えられた凝縮水をポンプ106により各気筒の水噴射弁62に供給するものである。
このように、触媒101を出た後の排気中の水回収であるので、有害な腐食成分を触媒101により除去でき、また前述のように圧縮比可変機構を用いて高膨張比で運転する条件では排気温度が低下するため、排気からの水の回収(冷却による凝縮)を効率よく行なうことができる。さらに、燃焼室内への水噴射によりノック抑制効果が得られるため、その分だけ圧縮比を高く設定することができる。これにより排気温度がさらに低下する。したがって、圧縮比可変機構により高膨張後の低温となった排気は、少しの冷却で露点以下に下がるため、水の回収効率が高く、凝縮器(109)をコンパクトにできるという効果が生じる。
なお、図13では、触媒101下流より分岐して水回収装置121に向かう通路の分岐部に排気制御弁122を設け、この排気制御弁122を水回収装置121を働かせるときに開かせる。この排気制御弁122の制御については、後述する図19のフローチャートのところでまとめて説明する。
次に、図14は第3実施形態の水回収装置130の概略構成図で、第1実施形態の図12と置き換わるものである。第3実施形態は、水回収装置130に対してさらにエンジンの冷却水との熱交換制御を加え、排気の冷却熱を冷却水に与える(つまり排気熱の冷却水への回収を可能とする)ものである。
先ず水回収装置130について説明すると、これは水冷式の熱交換器132、空冷凝縮装置133、フィルタ136、水貯蔵タンク137、ポンプ138からなる。排気通路に設けられる触媒101を出たとき300℃程度になっている排気の一部を、触媒101下流から分岐する通路131を介して水冷熱交換器132に導く。この水冷熱交換器132により100℃近くまで低下させた排気をさらに空冷凝縮装置133に導いて40℃〜25℃程度にまで低下させ排気中の水分を凝縮させる。水分が取り去られて低温となった排気は通路134を介して大気に放出する。空冷凝縮装置133で凝縮した水はフィルター136で不純物を除去し、不純物を取り去った後の凝縮水を水貯蔵タンク137に蓄える。タンク137に蓄えた水はポンプ138により各気筒の水噴射弁62(図13参照)に供給する。
上記の水冷熱交換器132にはエンジンの冷却水を導く。すなわち、エンジンの冷却装置140は、シリンダ10と燃焼室61とを取り囲むウォータジャケット141、冷却水をウォータジャケット141内に圧送循環させるウォータポンプ142、ウォータジャケット141で温度上昇した冷却水の熱を外気に伝えて冷却するラジエータ143、ラジエータ143の通風を助けるファン144、始動直後に冷却水を速やかに適正温度に保つためのサーモスタット(図示しない)などから構成されるが、第3実施形態では、ウォータポンプ142からウォータジャケット141に向かう通路146より分岐して水冷熱交換器132に向かわせた後にウォータポンプ142の出口に合流するバイパス路147が設けられ、ウォータポンプ142出口への合流部にエンジンコントロールユニット39(図13参照)からの信号により制御される冷却水制御弁148を備えている。
エンジンコントロールユニット39では、エンジンの冷機時に全停止、つまり冷却水がウォータジャケット141、水冷熱交換器132のいずれにも流れることがないようにウォータポンプ142の作動を停止する。エンジンの暖機完了後になると、ウォータポンプ142を作動させ冷却水を循環させる。この場合に、水回収装置130を働かせる必要がないときには冷却水のラジエータ143への循環のみが行われるように、冷却水制御弁148によりバイパス通路147を遮断する。このときの冷却装置の働きは図15に示す従来エンジンの冷却装置と同じである。これに対して、水回収装置130を働かせるときには水冷熱交換器132への冷却水の一部循環が行なわれるように冷却水制御弁148によりバイパス通路147を開く。これにより、排気熱の冷却水への回収が可能となるので、厳冬時のヒーター熱源の不足等に対応することができる。
分岐通路131の上流側には排気制御弁139を備える。この排気制御弁139は水回収装置130への排気回流量(水回収装置130に導く排気量)をエンジンコントールユニット39からの信号を受けて可変に調整するものである。
エンジンコントロールユニット39では、この排気制御弁139を流れる排気量、つまり水回収装置130への排気回流量を圧縮比に応じて可変制御する。ここで、エンジンコントロールユニット39の制御対象をまとめて示すと、図24に示したように、コントロールユニット39の制御対象は、圧縮比制御アクチュエータ16、水噴射弁62、排気制御弁139、冷却水制御弁148の4つである。圧縮比制御アクチュエータ16を介しての圧縮比可変制御は先行発明のところで説明済みであり、また冷却水制御弁148の制御についても上述したので、次には、エンジンコントロールユニット39で実行される水噴射弁62を介しての水噴射制御と、排気制御弁139を介しての水回収制御を図16、図18、図19のフローチャートを参照して詳述する。
まず、図16は水噴射量の制御目標値と水噴射時期を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1ではエアフローメータ94(図24参照)の出力に基づいて吸気量(吸入空気量)を検出し、ステップ2で膨張比(=膨張比)を検出する。膨張比は圧縮比に等しいので、ここでは圧縮比を検出する。エンジンコントロールユニット39ではそのときの負荷と回転速度から上記図5を内容とするマップを参照して目標圧縮比(圧縮比の制御目標値)を求め、この目標圧縮比が得られるように圧縮比制御アクチュエータ16に制御量を与えている。従って、圧縮比制御アクチュエータ16に与えている制御量や図5のマップ値から圧縮比を知ることができる。
ステップ3では、1つの気筒当たり1回の燃焼サイクルに供給する水噴射量(以下単に「水噴射量」という。)の制御目標値を算出する。低負荷域では燃焼室を区画する燃焼室壁面に水膜が形成されるように、これに対して高負荷域ではノック対策に資するように、図17に示したように水噴射量の制御目標値のマップをエンジンの運転条件(エンジンの負荷と回転速度)に応じて適合により予め設定しておき、そのときの負荷と回転速度からそのマップを参照することによりそのときの運転条件に最適な水噴射量の制御目標値を算出させる。なお、図17には負荷や回転速度に対する傾向の一例を示すが、水噴射量の制御目標値の特性に関し負荷や回転速度に対して所定の傾向を有していないため、必ずしもこのような傾向に限定されるものではない。
ステップ4では水噴射弁62からの水噴射の開始時期を算出する。上記図9を用いた水膜断熱の原理のところで前述したように、水膜があることによりピストン9への伝熱量は激減するため、冷却損失の大半が発生する燃焼期間付近のクランク角で、水膜が残るように水噴射の開始時期を設定する必要がある。そのため、水噴射の開始時期をエンジンの運転条件(負荷と回転速度)に応じて設定する。具体的に説明する。圧縮比と冷却水温とが同じ条件では点火時期により燃焼の開始時期が変化し、点火時期が早くなるほど燃焼の開始時期が早くなる。また、圧縮比と冷却水温とは燃焼の開始時期に影響し、冷却水温が低下したり圧縮比が低下するときには燃焼状態が悪くなり、燃焼の開始が遅れる。そこで、例えば点火時期をパラメータとして基本水噴射開始時期[°BTDC]を所定のテーブルにして、また圧縮比、冷却水温をパラメータとして水噴射開始時期の圧縮比補正量[°]、水温補正量[°]を所定のテーブルにしてそれぞれ予め定めておき、そのときの点火時期、圧縮比、冷却水温からその各テーブル参照することにより基本水噴射開始時期、圧縮比補正量、水温補正量を算出し、これらの値を用いて最適な水噴射開始時期[°BTDC]を、
水噴射開始時期=基本水噴射開始時期+圧縮比補正量+水温補正量
…(1)
の式により算出させる。(1)式において圧縮比補正量、水温補正量はいずれも正の値、つまり基本水噴射開始時期を遅角する補正量である。ここで、点火時期は、エンジンの負荷と回転速度により予め定まっている。圧縮比はステップ2で得られている。冷却水温は水温センサ93(図24参照)により検出する。エンジン回転速度はクランク角センサ92(図24参照)からの信号に基づいて算出している。このようにして算出される最適な水噴射開始時期は、基本的にエンジンの運転条件(負荷と回転速度)に応じた値であり、簡単には少なくともピストン上死点前の圧縮行程後半にある。
図18は水噴射弁62を駆動するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ11では、水噴射の開始時期(図16のフローにより算出済み)になったか否かをみる。水噴射の開始時期になっていなければそのまま今回の処理を終了する。
圧縮行程後半にある水噴射の開始時期になったときにはステップ12、13に進み、タンク残量と第1所定値、第2所定値を比較する。例えば、水貯蔵タンク137に第1所定高さ以下の水位にまで減少した場合にONとなる第1水位センサ95(図24参照)と、第1所定高さより高いところに設けた第2所定高さ以下の水位にまで減少した場合にONとなる第2水位センサ96(図24参照)とを設けておき、これらの水位センサ95、96からの信号に基づいてタンク残量が第1所定値以下にあるのか否か、またタンク残量が第2所定値以下にあるのか否かを判断させる。第1水位センサ95がONになったときには水噴射を実行できるだけの十分な水量が水貯蔵タンク137にないと判断し、ステップ12よりステップ16に進んで水噴射弁62を非駆動とする。
第1水位センサ95がOFFで第2水位センサ96がONのとき、つまり第1所定値<タンク残量≦第2所定値のときには現在の水貯蔵タンク137の残量では水噴射を実行するにつれてやがては水が不足する事態に至ると判断し、このときにはステップ12、13よりステップ14に進んで水噴射量の制御目標値を減量補正する。これは例えば、図16のステップ3で得られている水噴射量の制御目標値(マップ値)から所定値を減量してやればよい。この減量補正により、水噴射を行い得る時間を延ばすことができる。なお、ステップ14で水噴射量の制御目標値を減量補正すると、その分ノッキングが生じ勝ちとなることが考えられる。このノック対策として、図示しないが、水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になった場合に、目標圧縮比(圧縮比の制御目標値)を小さい側に補正する。
ステップ15では、このようにして減量補正した水噴射量の制御目標値を用いて水噴射弁62を所定の期間開弁駆動し、この減量補正した制御目標値の水を燃焼室に供給する。
一方、第1、第2の水位センサ95、96がいずれもOFFのとき、つまり第2所定値<タンク残量のときには水噴射を実行できるだけの十分な水量が水貯蔵タンク137にあると判断し、ステップ12、13よりステップ15に進み、図16のステップ3で得られている水噴射量の制御目標値(マップ値)を用いて水噴射弁62を所定の期間開弁駆動し、この制御目標値(マップ値)の水を燃焼室に供給する。
図19は排気制御弁139を制御するためのもので、図16、図18のフローとは独立に一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。ただし、排気制御弁139の制御に必要となる値は図16、図18のフローより流用する。ここでは、図14に示した水回収装置130に対して設けられている排気制御弁139の場合で説明するが、図13に示した水回収装置121に対して設けられている排気制御弁122の場合にも同様に考えることができる。
ステップ20では図16のステップ3で既に得ている水噴射量の制御目標値を水噴射量に移し、ステップ21でこの水噴射量と図16のステップ1で既に得ている吸気量とを用いて吸気量に対する水噴射量の割合を次式により算出する。
吸気量に対する水噴射量の割合=水噴射量/吸気量 …(2)
ステップ22ではこの吸気量に対する水噴射量の割合と所定値を比較する。所定値は水回収のため排気回流を行う必要があるか否かを判定するための値である。吸気量に対する水噴射量の割合が所定値未満であれば排気回流を行う必要がないと判断し、ステップ28に進んで排気制御弁139を非駆動とする。
吸気量に対する水噴射量の割合が所定値以上であるときには排気回流を行う必要があると判断し、ステップ22よりステップ23に進みエンジンの負荷と回転速度から図20を内容とするマップを参照して排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量)を算出する。図20に示したように、排気回流量の制御目標値は、回転速度が同じであれば負荷が低いほど大きくなり、また負荷が同じであれば回転速度が低いほど大きくなる値である。
図20に示した排気回流量の制御目標値の特性は図21、図22の特性に基づくものである。すなわち、図21に示したように吸気量が一定の条件で圧縮比が大きくなるほど排気回流量の制御目標値を大きく設定する。膨張比が大きい条件のとき膨張比が小さい条件のときより排気回流量の制御目標値を大きく設定する理由は、膨張比が大きい条件のときのほうが膨張比が小さい条件のときより排気温度が低くて排気中の水分が凝縮し易くなり、その分多くの水回収できるためである。これを逆に言えば膨張比が小さくなるほど排気温度が高くなり、排気中の水分が凝縮しにくくなる(水回収量が減る)ので、排気回流量の制御目標値を小さくする。
また、図22に示したように膨張比が一定の条件で吸気量が小さいほど排気回流量の制御目標値を大きく設定する。吸気量が小さい条件のとき吸気量が大きい条件のときより排気回流量の制御目標値を大きく設定する理由は、吸気量が小さい条件のときのほうが吸気量が大きい条件のときより排気温度が低くて排気中の水分が凝縮し易くなり、その分多くの水回収できるためである。これを逆に言えば吸気量が大きくなるほど排気温度が高くなり、排気中の水分が凝縮しにくくなる(水回収量が減る)ので、排気回流量の制御目標値を小さくする。
ここで、膨張比に等しい圧縮比(目標圧縮比)は図5で前述したようにエンジンの運転条件(負荷と回転速度)により定まっており、また、吸気量もエンジンの運転条件(負荷と回転速度)により定まるので、圧縮比と吸気量に代えてエンジンの運転条件(負荷と回転速度)をパラメータとすれば図20の特性が得られることとなる。
また、図23に示したように、膨張比と吸気量が一定の条件で吸気量に対する水噴射量の割合が大きくなるほど排気回流量の制御目標値を大きく設定することもできる。吸気量に対する水噴射量の割合が大きい条件のとき吸気量に対する水噴射量の割合が小さい条件のときより排気回流量の制御目標値を大きく設定する理由は、吸気量に対する水噴射量の割合が大きい条件のときのほうが吸気量に対する水噴射量の割合が小さい条件のときより排気中の水蒸気分圧が高くなり、排気中の水分が凝縮し易くなり、その分多くの水回収できるためである。これを逆に言えば吸気量に対する水噴射量の割合が小さくなるほど排気中の水蒸気分圧が低くなり、排気中の水分が凝縮しにくくなる(水回収量が減る)ので、排気回流量の制御目標値を小さくする。
図19に戻りステップ24では、図18のステップ13と同じにタンク残量と第2所定値を比較する。第2水位センサ96がONのとき、つまりタンク残量≦第2所定値のときにはステップ25に進んで排気回流量の制御目標値を増量補正する。これは例えば、ステップ23で得られている排気回流量の制御目標値(マップ値)に所定値を加算してやればよい。排気回流量の制御目標値を増量補正すると、その増量補正分だけ水回収装置130による水回収量が増える。すなわち、第2水位センサ96がONのとき(タンク残量≦第2所定値のとき)には水噴射の実行を継続するとやがてはタンク137内の水量が不足することになると判断できるのであるから、ステップ25での操作は水貯蔵タンク137内の水不足の事態が将来的に生じてこないようにするための操作である。
ステップ26ではこの増量補正後の排気回流量の制御目標値と排気回流量の限界値を比較する。排気回流量の限界値は水回収装置130による水回収率の点から定まる適合値である。水回収装置による水回収能力は無限ではなく、排気回流量が限界値以上であるときには空冷凝縮装置133において排気中の水分が凝縮温度に降下する前に排気が通路134へと排出されることとなり、水回収装置130に多くの排気を導いた割には水回収量が激減し水回収の効率が悪くなってしまう。そこで、排気回流量の制御目標値が限界値以上であるときには水回収装置における水回収の効率が悪いと判断し、ステップ28に進んで排気制御弁139を非駆動とする。これに対して排気回流量の制御目標値が限界値未満であるときには水回収の効率が悪いことはないのでステップ26よりステップ27に進んで増量補正後の排気回流量の制御目標値が得られるように排気回流制御弁139を駆動する。
一方、ステップ24で第2水位センサ96がOFFのとき、つまりタンク残量>第2所定値のときには水噴射を実行するのに十分な水量がタンク137内に残存すると判断し、そのままステップ26に進みステップ23で得ている排気回流量の制御目標値(マップ値)と排気回流量の限界値を比較する。排気回流量の制御目標値が限界値以上であるときには空冷凝縮装置133において排気中の水分が凝縮温度に降下する前に排気が通路134へと排出されることとなり、水回収装置130に多くの排気を導いた割には水回収量が激減し水回収の効率が悪いと判断し、ステップ28に進んで排気制御弁139を非駆動とする。排気回流量の制御目標値が限界値未満であるときには水回収の効率が悪いことはないのでステップ26よりステップ27に進んで排気回流量の制御目標値が得られるように排気制御弁139を駆動する。
ここで、本発明の実施形態の作用効果を説明する。
水噴射弁62(水噴射装置)より燃焼室61内に水噴射を行うと共に、圧縮比の制御目標値が得られるように圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件(負荷と回転速度)に応じて可変制御するとき、膨張比が大きくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が凝縮し易くなる。この場合に、膨張比に関係なく排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を一定値とするのでは、水回収を効率よく行うことができない。例えば、膨張比が大きい低負荷の条件で排気回流量の制御目標値を適合した場合において、膨張比が小さい高負荷の条件でも膨張比が大きい低負荷の条件での制御目標値をそのまま用いたのでは、水回収ができなくなる恐れがある。すなわち、水回収装置内で水が凝縮する温度まで排気温度を低下させることができなくなって、水回収量が急に減少してしまう恐れがあり、期待される水回収量に足りない事態が生じる。この逆に、膨張比が小さい高負荷の条件で排気回流量の制御目標値を適合した場合において、膨張比が大きい低負荷の条件でも膨張比が小さい高負荷の条件での制御目標値をそのまま用いたのでは、膨張比が大きい低負荷の条件で本来回収できるはずの水回収量を回収できなくなる事態が生じる。このように、圧縮比の制御目標値(膨張比)が、水回収量に大きな影響を与える。
これに対して本発明の実施形態である第3実施形態(請求項1、16に記載の発明)によれば、排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を水噴射弁62に供給する水回収装置130を有し、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を圧縮比に応じて可変制御するので(図21参照)、燃焼室61内に水噴射を行うと共に、エンジンの圧縮比を運転条件(負荷と回転速度)に応じて可変に制御していても、圧縮比の制御目標値から期待される水回収量と実際の水回収量とを一致させることができる。
膨張比が大きくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮し易くなり、水回収量が増えることに対応し、第3実施形態(請求項2、17に記載の発明)によれば、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を、圧縮比(膨張比)に応じ圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくするので(図21参照)、膨張比が相違しても水回収装置130による水回収を効率よく行うことができる。
吸気量が同じ条件で膨張比が大きくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮し易くなり、水回収量が増え、また、膨張比が同じ条件で吸気量が小さくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮し易くなり、水回収量が増えることに対応し、第3実施形態(請求項3、18に記載の発明)によれば、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を、圧縮比(膨張比)と吸気量とに応じ吸気量が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし(図21参照)、また圧縮比が同じ条件で吸気量が小さいときには吸気量が大きいときより大きくする(図22参照)ので、圧縮比(膨張比)と吸気量とが相違しても水回収装置130による水回収を効率よく行うことができる。
吸気量に対する水噴射量の割合が同じ条件で膨張比が大きくなるほど排気温度が低くなり、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮し易くなり、水回収量が増え、また膨張比が同じ条件で吸気量に対する水噴射量の割合が大きくなるほど排気中の水蒸気分圧が高くなり、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮し易くなり、水回収量が増えることに対応し、第3実施形態(請求項4、19に記載の発明)によれば、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を、圧縮比(膨張比)と、吸気量に対する水噴射量の割合とに応じ吸気量に対する水噴射量の割合が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし(図21参照)、また圧縮比が同じ条件で吸気量に対する水噴射量の割合が大きいときには吸気量に対する水噴射量の割合が小さいときより大きくする(図23参照)ので、圧縮比(膨張比)と、吸気量に対する水噴射量の割合とが相違しても水回収装置130による水回収を効率よく行うことができる。
水回収装置130内に水貯蔵タンク137(回収された水を蓄える水タンク)を有している場合に、この水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になったときにも、運転条件に応じた水噴射量の制御目標値(マップ値)を水噴射弁62に与えて水を供給し続けたのでは、水貯蔵タンク137の水が不足しやがては運転条件(負荷と回転速度)に応じた水噴射量の制御目標値を供給し得ない事態が生じかねないのであるが、第3実施形態(請求項8、23に記載の発明)によれば、水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になった場合に、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を増量補正するので(図19のステップ24、25参照)、水貯蔵タンク137の水不足を補いつつ運転条件に応じた水噴射量の制御目標値を供給し続けることができる。
水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になった場合にも、運転条件に応じた水噴射量の制御目標値を水噴射弁62に与えて水を供給し続けたのでは、水貯蔵タンク137の水が不足しやがては運転条件(負荷と回転速度)に応じた水噴射量の制御目標値を供給し得ない事態が生じかねないのであるが 第3実施形態(請求項9、24に記載の発明)によれば、水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になった場合に、水噴射量の制御目標値を小さい側に補正するので(図18のステップ13、14参照)、水噴射を行い得る時間を延ばすことができる。この場合、水噴射量の制御目標値を減量補正すると、その分ノッキングが生じ勝ちとなることが考えられるが、このノック対策として第3実施形態(請求項9、24に記載の発明)によれば、水貯蔵タンク137の残量が第2所定値(所定値)以下になった場合に、圧縮比の制御目標値を小さい側に補正するので、ノッキングが生じ勝ちとなることもない。
第3実施形態(請求項10、25に記載の発明)によれば、水噴射弁62より燃焼室内に水を直接噴射すると共に、水噴射弁62からの水噴射の開始時期をエンジンの運転条件(負荷と回転速度)に応じて制御するので(図16のステップ4参照)、特に高負荷時のノック対策を行うことができ、その分圧縮比を高くすることができる。
水噴射により燃焼室61を区画する燃焼室壁面(ピストン冠面9a)に水膜が形成され、この水膜断熱によってエンジンの冷却水に失われる冷却損失が大幅に減少するときには、空調(ヒータ)の利きが悪くなるが、第3実施形態(請求項12、27に記載の発明)によれば、水回収装置130に水冷熱交換器132を含み、この水冷熱交換器132にエンジンの冷却水との熱交換機能を備えているので、排気熱の冷却水への回収が可能となり、これによって空調(ヒータ)の利きが悪くなることを緩和できる。
第3実施形態(請求項14、29に記載の発明)によれば、ピストン(9)のストローク特性として上下死点での加速度が略同一となるように設定するので(先行発明と同じ)、ピストン(9)の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることができ、これにより、水の蒸発による圧力上昇の遅れによる膨張仕事での回収効率の悪化を大幅に改善することができる。本来、ピストン(9)の上死点近傍の動きを遅くすると、圧縮比が固定の従来エンジンでは冷却損失が増えるところであるが、少なくとも前記ピストン上死点前の圧縮行程で燃焼室(51)内への水噴射を開始するようにすれば、燃焼室を区画する燃焼室壁面に水膜が形成され、この水膜で断熱が行われることとなる。従って、ピストン(9)の上死点近傍の動きを遅くしても冷却損失が増えることがない。
このように第3実施形態(請求項14、29に記載の発明)によれば、ピストン(9)の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることで水の蒸発による圧力上昇の遅れによる膨張仕事での回収効率の悪化を大幅に改善することができることに加えて、ピストン(9)の上死点近傍の動きを圧縮比が固定の従来エンジンよりも遅くすることによる冷却損失の増大も防止できるという相乗効果が得られる。
圧縮比を可変として、高膨張比で運転する低負荷の条件では低膨張比で運転する高負荷の条件のときより排気温度が低下するため、排気回流量(水回収装置に導く排気量)の限界値を決める上で、膨張比を考慮することは重要なポイントとなる。すなわち、限界値を超えて排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)を大きくしたのでは、排気中の水分が空冷凝縮装置133において凝縮温度に降下する前に排気が通路134を介して大気へと排出されることとなり、水回収装置130に多くの排気を導いた割には水回収装置130における水回収量が激減し水回収の効率が悪くなってしまう。
これに対して第3実施形態(請求項15、30に記載の発明)によれば、排気回流量の制御目標値(水回収装置に導く排気量の制御目標値)が排気回流量の限界値(水回収装置に導く排気量の限界値)以上となったときに、排気制御弁139を非駆動(水回収装置130を非駆動)とするので(図19のステップ26、28参照)、無駄に排気を水回収装置130に導くことを避けることができる。
次に、図25は第4実施形態の吸気量(吸入空気量)に対する水噴射量の割合の特性を示している。
圧縮比可変制御により、吸気量が少なくなるほど(低負荷になるほど)圧縮比、従って膨張比を大きくしているのであるが(図25の実線参照)、吸気量が所定値a以下の低負荷域では実質的に圧縮比を大きくすることができず、実質的な圧縮比は図25破線で示したように吸気量が小さくなるほど小さくなる。従って、吸気量が所定値a以下の低負荷域においても、図25一点鎖線で示したように図25実線で示した圧縮比に対応させて吸気量に対する水噴射量の割合を設定したのでは、圧縮比の実質的低下に伴って燃焼室内混合気の燃焼温度が低下し燃焼が悪化しているところへ水噴射を大量に行うこととなり燃焼の悪化を却って促進してしまう。
そこで第4実施形態では、吸気量が所定値a以下の低負荷域ではこの減少する実質的な圧縮比の特性に対応して、吸気量に対する水噴射量の割合を吸気量が小さくなるほど小さくなるように設定するようにしたものである(図25の二点鎖線参照)。
このように、吸気量が所定値a以下の低負荷域で吸気量が小さくなるほど圧縮比が実質的に低下してゆき、この圧縮比の実質的低下に伴って燃焼室内混合気の燃焼温度が低下し燃焼が悪化する。従って、吸気量が所定値a以下の低負荷域でこうした圧縮比の実質的な低下がない状態での水噴射量を供給したのでは、燃焼悪化を却って促進してしまいかねないのであるが、本発明の実施形態である第4実施形態(請求項5、20に記載の発明)によれば、膨張比に応じて吸気量に対する水噴射量の割合を制御する、具体的には吸気量が小さくなる低負荷域で吸気量が小さくなるほど圧縮比(膨張比)に応じて吸気量に対する水噴射量の割合を小さくするので、圧縮比が実質的に低下する低負荷時に、水噴射による燃焼悪化を避けることができる。
次に、本発明の他の実施形態について述べる。
吸気量に対する水噴射量の割合が多いほどノック抑制に効果がある。そこで、圧縮比(膨張比)が例えばステップ的に低下する加速時に、吸気量に対する水噴射量の割合を所定の時間遅れをもって小さくすることが考えられる。この他の実施形態(請求項6、21に記載の発明)によれば、、同じ加速時に吸気量に対する水噴射量の割合をステップ的に小さくする場合よりも加速直後の水噴射量を多くすることができ、ノック抑制を確実に行わせることができる。
本発明の実施形態ある第3実施形態では、水噴射弁が燃焼室天井中央に設けられている場合(図13参照)、つまり先行発明の実施形態である第1実施形態の場合を前提とするもので述べたが、水噴射弁が燃焼室の周辺に設けられている場合、つまり先行発明の実施形態である第2実施形態の場合を前提とするものにも本発明を適用できる。
本発明の実施形態では、水回収装置に導く排気量の制御目標値を圧縮比に応じて可変制御する場合で説明したが、水回収装置に導く排気の割合の制御目標値を圧縮比に応じて可変制御するようにしてもかまわない。
複リンク型レシプロ式エンジンの概略構成図。 高圧縮比位置、低圧縮比位置での各リンクの姿勢図。 複リンク機構のピストンストロークの特性図。 圧縮比可変機構に水噴射を組み合わせた第1実施形態の制御システムの概略構成図。 目標圧縮比の特性図。 圧縮比と燃焼室の扁平度合との関係を示す特性図。 第1実施形態の燃焼室への水噴射構成の詳細図。 第2実施形態の燃焼室への水噴射構成の詳細図。 水膜による断熱効果の原理を説明するための図。 冷却損失のサイクル中の変化を説明するための特性図。 水膜断熱化における高膨張比の必要性を説明するためのPV線図。 第1実施形態の水回収装置の概略構成図。 第1実施形態の圧縮比制御機構と水回収装置を組み合わせた全体システムの概略構成図。 第3実施形態の水回収装置の概略構成図。 従来エンジンの冷却装置の概略構成図。 第3実施形態の水噴射量の制御目標値、水噴射の開始時期の算出を説明するためのフローチャート。 水噴射量の制御目標値の特性図。 第3実施形態の水噴射弁の駆動制御を説明するためのフローチャート。 第3実施形態の排気制御弁の制御を説明するためのフローチャート。 運転条件に対する排気回流量の制御目標値の特性図。 膨張比(圧縮比)に対する排気回流量の制御目標値の特性図。 吸気量に対する排気回流量の制御目標値の特性図。 吸気量に対する水噴射量の割合と排気回流量の制御目標値との関係を示す特性図。 第3実施形態の制御ブロック図。 第4実施形態の吸気量に対する水噴射量の割合の特性図。
符号の説明
9 ピストン
9a ピストン冠面
31 吸気弁
39 エンジンコントロールユニット
61 燃焼室
62 水噴射弁(水噴射装置)
65 点火栓
101 触媒
109 コンデンサ(凝縮器)
121 水回収装置
122 排気制御弁
130 水回収装置
132 水冷熱交換器
133 空冷凝縮装置(凝縮器)
139 排気制御弁
140 冷却装置

Claims (32)

  1. シリンダ内を往復動するピストンを有するエンジンにおいて、
    駆動量に応じてエンジンの圧縮比を可変に制御し得る圧縮比可変機構と、
    圧縮比の制御目標値が得られるようにこの圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する圧縮比可変制御手段と、
    燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置と、
    排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置と
    を有し、
    この水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を前記圧縮比に応じて可変制御することを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  2. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比に応じ圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  3. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比と吸気量とに応じ吸気量が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし、また圧縮比が同じ条件で吸気量が小さいときには吸気量が大きいときより大きくすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  4. 前記水噴射装置からの水噴射量の制御目標値が得られるように水噴射装置からの水噴射量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する水噴射量制御手段を備え、
    前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比と、吸気量に対する水噴射量の割合とに応じ吸気量に対する水噴射量の割合が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし、また圧縮比が同じ条件で吸気量に対する水噴射量の割合が大きいときには吸気量に対する水噴射量の割合が小さいときより大きくすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  5. 前記圧縮比に応じて吸気量に対する水噴射量の割合を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  6. 前記圧縮比が低下する加速時に、吸気量に対する水噴射量の割合を所定の時間遅れをもって小さくすることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  7. エンジンの運転条件に応じた圧縮比の制御目標値と、エンジンの運転条件に応じた水噴射量の制御目標値の各マップ及び前記水回収装置に導く排気量の制御目標値のマップを有することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  8. 前記水回収装置内に回収された水を蓄える水タンクを有し、
    この水タンクの残量が所定値以下になった場合に、前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を増量補正することを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  9. 前記水タンクの残量が所定値以下になった場合に、前記水噴射量の制御目標値と前記圧縮比の制御目標値とを小さい側に補正することを特徴とする請求項4、6、7、8のいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  10. 前記水噴射装置より燃焼室内に水を直接噴射すると共に、水噴射装置からの水噴射の開始時期をエンジンの運転条件に応じて制御することを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  11. 前記水噴射の開始時期を圧縮行程後半とすることを特徴とする請求項10に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  12. 前記水回収装置に水冷熱交換器を含み、
    この水冷熱交換器にエンジンの冷却水との熱交換機能を備えることを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  13. 前記圧縮比可変機構は、
    前記ピストンと第1のピンを介して連結される第1のリンクと、第1のリンクに第2のピンを介して揺動可能に連結されクランクピンに回転可能に装着された第2のリンクと、第2のリンクと第3のピンを介して揺動可能に連結されシリンダブロックに設けられた支点を中心に揺動する第3のリンクとを有するリンク機構と、
    駆動量に応じて第3のリンクの角位置を調整し得るアクチュエータと
    を含むことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  14. 前記ピストンのストローク特性として上下死点での加速度が略同一となるように設定することを特徴とする請求項13に記載のエンジンの燃焼制御方法。
  15. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値が水回収装置に導く排気の割合の限界値以上となったときまたは前記水回収装置に導く排気量の制御目標値が水回収装置に導く排気量の限界値以上となったときに、前記水回収装置を非駆動とすることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御方法。
  16. シリンダ内を往復動するピストンを有するエンジンにおいて、
    駆動量に応じてエンジンの圧縮比を可変に制御し得る圧縮比可変機構と、
    圧縮比の制御目標値が得られるようにこの圧縮比可変機構に与える駆動量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する圧縮比可変制御手段と、
    燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置と、
    排気の一部を冷却することにより排気中の水分を凝縮・液化させて回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置と
    を有し、
    この水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を前記圧縮比に応じて可変制御することを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  17. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比に応じ圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくすることを特徴とする請求項16に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  18. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比と吸気量とに応じ吸気量が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし、また圧縮比が同じ条件で吸気量が小さいときには吸気量が大きいときより大きくすることを特徴とする請求項16に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  19. 前記水噴射装置からの水噴射量の制御目標値が得られるように前記水噴射装置からの水噴射量をエンジンの運転条件に応じて可変制御する水噴射量制御手段を備え、
    前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を、前記圧縮比と、吸気量に対する水噴射量の割合とに応じ吸気量に対する水噴射量の割合が同じ条件で圧縮比が大きいときには圧縮比が小さいときより大きくし、また圧縮比が同じ条件で吸気量に対する水噴射量の割合が大きいときには吸気量に対する水噴射量の割合が小さいときより大きくすることを特徴とする請求項16に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  20. 前記圧縮比に応じて吸気量に対する水噴射量の割合を制御することを特徴とする請求項16に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  21. 前記圧縮比が低下する加速時に、吸気量に対する水噴射量の割合を所定の時間遅れをもって小さくすることを特徴とする請求項16から19までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  22. エンジンの運転条件に応じた圧縮比の制御目標値と、エンジンの運転条件に応じた水噴射量の制御目標値の各マップ及び前記水回収装置に導く排気量の制御目標値のマップを有することを特徴とする請求項19に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  23. 前記水回収装置内に回収された水を蓄える水タンクを有し、
    この水タンクの残量が所定値以下になった場合に、前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値または水回収装置に導く排気量の制御目標値を増量補正することを特徴とする請求項16から22までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  24. 前記水タンクの残量が所定値以下になった場合に、前記水噴射量の制御目標値と前記圧縮比の制御目標値とを小さい側に補正することを特徴とする請求項19、21、22、23のいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  25. 前記水噴射装置より燃焼室内に水を直接噴射すると共に、水噴射装置からの水噴射の開始時期をエンジンの運転条件に応じて制御することを特徴とする請求項16から24までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  26. 前記水噴射の開始時期を圧縮行程後半とすることを特徴とする請求項25に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  27. 前記水回収装置に水冷熱交換器を含み、
    この水冷熱交換器にエンジンの冷却水との熱交換機能を備えることを特徴とする請求項16から26までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  28. 前記圧縮比可変機構は、
    前記ピストンと第1のピンを介して連結される第1のリンクと、第1のリンクに第2のピンを介して揺動可能に連結されクランクピンに回転可能に装着された第2のリンクと、第2のリンクと第3のピンを介して揺動可能に連結されシリンダブロックに設けられた支点を中心に揺動する第3のリンクとを有するリンク機構と、
    駆動量に応じて第3のリンクの角位置を調整し得るアクチュエータと
    を含むことを特徴とする請求項16から27までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  29. 前記ピストンのストローク特性として上下死点での加速度が略同一となるように設定することを特徴とする請求項28に記載のエンジンの燃焼制御装置。
  30. 前記水回収装置に導く排気の割合の制御目標値が水回収装置に導く排気の割合の限界値以上となったときまたは前記水回収装置に導く排気量の制御目標値が水回収装置に導く排気量の限界値以上となったときに、前記水回収装置を非駆動とすることを特徴とする請求項16から29までのいずれか一つに記載のエンジンの燃焼制御装置。
  31. シリンダ内を往復動するピストンを有するエンジンにおいて、
    エンジンの膨張比を可変に制御し得る膨張比可変機構と、
    この膨張比可変機構をエンジンの運転条件に応じて可変制御する膨張比可変制御手段と、
    燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置と、
    排気中の水分を回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置と
    を有し、
    この水回収装置に導く排気の割合または水回収装置に導く排気量を前記膨張比に応じて可変制御することを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  32. シリンダ内を往復動するピストンを有するエンジンにおいて、
    エンジンの膨張比を可変に制御し得る膨張比可変機構と、
    この膨張比可変機構をエンジンの運転条件に応じて可変制御する膨張比可変制御手段と、
    燃焼室内に水噴射を行う水噴射装置と、
    排気中の水分を回収しこの回収した水を前記水噴射装置に供給する水回収装置と
    を有し、
    この水回収装置に導く排気の割合または水回収装置に導く排気量を前記膨張比に応じて可変制御することを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
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