JP2008171733A - 薄型電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン伝導性物質を用いた薄型電池において、イオン伝導性物質が所定箇所以外に付着することを抑制し、樹脂シートのシール不良を軽減できる薄型電池を提供する。
【解決手段】本発明薄型電池は、正極層5と、負極層4と、正極層5と負極層4との間でイオンの伝導を行う電解質層と、正極層5および負極層4の各々又は一方に電気的に接続される集電体2、3とを備える。この電池は、同電池を平面視した場合、前記正極層5と負極層4とが重なることなく並列された発電エリアGに配される流動性のイオン伝導性物質を備える。このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層5の質量をP(mg)としたとき、0.05P<I<10Pを満たす。
【選択図】図1
【解決手段】本発明薄型電池は、正極層5と、負極層4と、正極層5と負極層4との間でイオンの伝導を行う電解質層と、正極層5および負極層4の各々又は一方に電気的に接続される集電体2、3とを備える。この電池は、同電池を平面視した場合、前記正極層5と負極層4とが重なることなく並列された発電エリアGに配される流動性のイオン伝導性物質を備える。このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層5の質量をP(mg)としたとき、0.05P<I<10Pを満たす。
【選択図】図1
Description
本発明は、薄型電池に関するものである。特に、薄膜Li二次電池に好適な電池に関するものである。
薄膜電池の研究開発が進められている。その一例として、特許文献1に記載の電池が知られている。この電池は、正極層と負極層とを積層するのではなく、同一平面上に両電極層を並列した構成の電池である(例えば、特許文献1参照)。具体的には、基板上に、正極集電体を介して正極層が、負極集電体を介して負極層がそれぞれ設けられている。各集電体および電極層は各々櫛歯状に形成されている。この正極層の櫛歯部と負極層の櫛歯部は、交互に間隔をあけて並列されるように、対向して配置されている。そして、これら正極層の櫛歯部と負極層の櫛歯部の間には固体電解質が介在されている。
このような構成の電池において、電池の内部抵抗を低減するために、正極層の周辺にイオン伝導性物質、特にイオン伝導度や不揮発性の面からイオン液体が配されることがある。イオン液体は、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなるイオンのみからなる液体である。このようなイオン液体は、例えば、正極層の櫛歯部と負極層の櫛歯部が並列された発電エリアに配される。その後、発電エリア全体を樹脂フィルムなどでシールし、電池内部への水分の浸入を阻止している。
しかし、このような電池においては、イオン液体の適用量が必ずしも適正ではないという問題があった。従来のイオン液体の適用は、作業者の経験に基づいて行われていることが多く、イオン液体の塗布範囲や塗布量にばらつきがある。そのため、イオン液体の適用量が過小となったり過多となったりすることがある。イオン液体の量が過小であれば、電池として十分な容量を得ることが難しい。逆に、イオン液体の量が過多であれば、発電エリア以外の箇所にイオン液体が付着することがある。通常、イオン液体の適用範囲は、正極層へのイオン液体の含浸量が過小になることを避けるため、ある程度広めに採り、適用量も多めにしていることが多い。その結果、集電体の表面に余剰のイオン液体が付着することがあり、その場合、イオン液体が樹脂フィルムによるシールを阻害する。イオン液体は不揮発性であるため、乾燥により除去することが実質的にできず、拭き取りによっても完全に除去することは難しい。その一方で、極わずかでも集電体の表面などにイオン液体が残っていると、樹脂フィルムで発電エリアをシールすることが難しく、電池の防湿性を確保することが困難となる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、イオン伝導性物質を用いた薄型電池において、イオン伝導性物質の使用量を適正化して、電池容量の低減を抑制できる薄型電池を提供することにある。
本発明の他の目的は、イオン伝導性物質を用いた薄型電池において、イオン伝導性物質が所定箇所以外に付着することを抑制し、樹脂シートのシール不良を軽減できる薄型電池を提供することにある。
本発明薄型電池は、正極層と、負極層と、正極層と負極層との間でイオンの伝導を行う電解質層と、正極層および負極層の各々又は一方に電気的に接続される集電体とを備える。この電池は、同電池を平面視した場合、前記正極層と負極層とが重なることなく並列された発電エリアに配される流動性のイオン伝導性物質を備える。そして、このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層の質量をP(mg)としたとき、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.05P<I<10P
0.05P<I<10P
正極層の質量に応じて、イオン液体の適用量を適性化することで、イオン伝導性物質の過不足を解消し、容量不足の電池が製造されたり、過剰のイオン伝導性物質により、電池を樹脂シートでシールする際の密閉性が阻害されることを抑制できる。
本発明電池の一形態としては、正極層と負極層の各々は、交互に並列される櫛歯部を備え、各電極層の櫛歯部が並列される箇所に発電エリアを形成してなることが好ましい。
この構成によれば、正極層と負極層が並列されているため、正極層の上部が負極層に覆われることがなく、正極層の一面側からイオン伝導性物質を配した際、この物質を効果的に正極層に含浸させることができる。また、各電極層の櫛歯部が交互に並列されていることで、発電エリアで電池反応を均質に行わせることができる。
本発明電池の一形態としては、イオン伝導性物質は、発電エリアの外縁部を除く内側部に配されていることが好ましい。
イオン伝導性物質が発電エリアの内側部に配されていれば、万一イオン伝導性物質が内側部からはみ出しても、はみ出したイオン伝導性物質は発電エリアの外縁部内に収まるため、集電体などに付着することを抑制できる。
本発明電池の一形態としては、流動性のイオン伝導性物質がイオン液体であることが好ましい。
イオン液体は、入手が容易で、電気化学的に安定であるため、流動性のイオン伝導性物質として好適に利用できる。
本発明薄型電池によれば、正極層の質量に対して適性量のイオン伝導性物質を適用することで、イオン伝導性物質の過不足を解消することができる。それに伴い、薄型電池の歩留まりを上げることができる。
以下、本発明の各部の構成をより詳しく説明する。
(電池の基本構成)
本発明の電池は、正極層、負極層、電解質層を備える。いずれの層も薄膜状に形成されている。このうち、正極層と負極層は、電池を平面視した場合に、互いに重複する箇所がないように並列されている。正極層と負極層が重複されていないため、正極層と負極層の間に介在される電解質層にピンホールが生じていても正極層と負極層の短絡を抑制できる。特に、本発明の電池は、リチウムイオン電池として好適に利用できる。そして、このような基本構成の電池において、少なくとも正極層にイオン伝導性物質が配されている。
本発明の電池は、正極層、負極層、電解質層を備える。いずれの層も薄膜状に形成されている。このうち、正極層と負極層は、電池を平面視した場合に、互いに重複する箇所がないように並列されている。正極層と負極層が重複されていないため、正極層と負極層の間に介在される電解質層にピンホールが生じていても正極層と負極層の短絡を抑制できる。特に、本発明の電池は、リチウムイオン電池として好適に利用できる。そして、このような基本構成の電池において、少なくとも正極層にイオン伝導性物質が配されている。
(イオン伝導性物質)
イオン伝導性物質は流動性のものとする。具体的には、イオン液体やプロピレンカーボネート(PC)等の有機溶媒に、支持塩を溶解させたものが利用できる。
イオン伝導性物質は流動性のものとする。具体的には、イオン液体やプロピレンカーボネート(PC)等の有機溶媒に、支持塩を溶解させたものが利用できる。
<イオン液体>
イオン液体は、一般に、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなるイオンのみからなる液体である。
イオン液体は、一般に、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなるイオンのみからなる液体である。
有機カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンなどが挙げられる。
特に、ジアルキルイミダゾリウムイオンの中でも、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン(EMI+)が好ましい。また、トリアルキルイミダゾリウムイオンの中では、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムイオン(DMPI+)が好ましい。テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、ジメチルエチルメトキシアンモニウムイオン(DMEMA+)が望ましい。アルキルピリジニウムイオンとしては、1-ブチルピリジニウムイオン(BP+)、ジアルキルピロリジニウムイオンとしては、メチルプロピルピロリジニウムイオン(Py13+)、ジアルキルピペリジニウムイオンとしては、メチルプロピルピペリジニウムイオン(PP13+)が好ましい。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、PF6-、PF3(C2F5)3-、PF3(CF3)3-、BF4-、BF2(CF3)2-、BF3(CF3)-、BOB-、Tf-、Nf-、TFSI-、BETI-、DCA-などを用いることができる。
イオン液体としては、例えば、四フッ化ホウ酸ジアルキルイミダゾリウム(DI・BF4)、ジアルキルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(DI・C(CF3SO2)3)、六フッ化リン酸ジアルキルイミダゾリウム(DI・PF6)、トリアルキルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(TI・C(CF3SO2)3)等の有機物カチオンを有する有機塩を挙げることができる。
特に、DI・BF4、DI・C(CF3SO2)3及びTI・C(CF3SO2)3は、イオン伝導性、化学安定性及び電気化学安定性に優れているため好ましい。その他、実用上、四フッ化ホウ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(EMI・BF4)や、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(EMI・C(CF3SO2)3)や、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムトリストリフルオロメタンスルフォニルメチド(DMPI・C(CF3SO2)3)も好適なイオン液体である。
これらのイオン液体は、単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
また、イオン液体に電解質として溶解される支持塩には、カチオンがリチウムイオンをなすリチウム塩を用いる。このリチウム塩としては、例えば、塩化物アニオン(Cl-、ClO4-)、臭化物アニオン(Br-)、ヨウ化物アニオン(I-)、フッ化物アニオン{BF4-、PF6-、CF3SO3-、N(CF3CF2SO2)2-、あるいはトリストリフルオロメタンスルフォニルメチドイオン(C(CF3SO2)3-)}、ビスオキサラトホウ酸アニオン(BOB-)、ジシアノアミンアニオン(DCA-)などをアニオンとする1種類または2種類以上からなる塩が挙げられる。
<イオン伝導性物質の適用量>
このイオン伝導性物質の適用量は、このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層の質量をP(mg)としたとき、0.05P<I<10Pを満たすようにする。
このイオン伝導性物質の適用量は、このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層の質量をP(mg)としたとき、0.05P<I<10Pを満たすようにする。
イオン伝導性物質の質量が0.05P以下では、正極の質量に対してイオン伝導性物質の量が少なすぎ、電池の内部抵抗が大きくなって、十分な容量の電池を構成することが難しくなる。逆に、イオン伝導性物質の質量が10P以上では、正極の質量に対してイオン伝導性物質の量が多すぎ、イオン伝導性物質が集電体などに付着して、電池のシール性が阻害されることが多い。より好ましいイオン伝導性物質の適用量は、1P≦I≦5Pである。
正極層の質量Pは、電池の製造過程において、正極層を成膜する前後の製造物の質量を計測し、両質量の差から求めることができる。一方、イオン伝導性物質の質量Iは、予め同物質を正極周辺に配する前に計測し、正極層の質量Pに対して上述した所定の比率となるように秤量しておけばよい。本発明において、イオン伝導性物質としてイオン液体を用いる場合は、この液体自体の質量をイオン伝導性物質の質量とし、イオン導電性高分子材料を溶剤に溶かしたスラリーを用いる場合は、イオン導電性高分子材料の質量(溶剤を含まない)をイオン伝導性物質の質量とする。
<イオン伝導性物質の適用範囲>
イオン伝導性物質は、基本的には、正極層に含浸できればよい。但し、正極層が櫛歯状などの複雑形状で、かつ負極層と近接して配置されている場合、事実上、正極層のみにイオン伝導性物質を適用することができない。そのため、正極層の周辺、場合によっては負極層の上部にもイオン伝導性物質が適用されても構わない。例えば、正極層と負極層の各電極層が櫛歯状に形成されて、互いの櫛歯部が嵌めあうように並列されている場合、櫛歯部が並列されている発電エリアのほぼ全面にイオン伝導性物質を適用することが挙げられる。その際、イオン伝導性物質が発電エリアの周縁部以外に適用することが好ましい。発電エリアの周縁部は、発電エリアの最も外縁側に位置する正極層の側縁(または端縁)から櫛歯部の幅の20%以内の領域とすることが好ましい。このような領域にイオン伝導性物質を塗布しない範囲を限定することで、発電エリアの最も外縁側に位置する正極層にも相当程度イオン伝導性物質を含浸させることが可能になる。同時に、イオン伝導性物質が集電体表面など、無用の箇所に付着することを防止できる。
イオン伝導性物質は、基本的には、正極層に含浸できればよい。但し、正極層が櫛歯状などの複雑形状で、かつ負極層と近接して配置されている場合、事実上、正極層のみにイオン伝導性物質を適用することができない。そのため、正極層の周辺、場合によっては負極層の上部にもイオン伝導性物質が適用されても構わない。例えば、正極層と負極層の各電極層が櫛歯状に形成されて、互いの櫛歯部が嵌めあうように並列されている場合、櫛歯部が並列されている発電エリアのほぼ全面にイオン伝導性物質を適用することが挙げられる。その際、イオン伝導性物質が発電エリアの周縁部以外に適用することが好ましい。発電エリアの周縁部は、発電エリアの最も外縁側に位置する正極層の側縁(または端縁)から櫛歯部の幅の20%以内の領域とすることが好ましい。このような領域にイオン伝導性物質を塗布しない範囲を限定することで、発電エリアの最も外縁側に位置する正極層にも相当程度イオン伝導性物質を含浸させることが可能になる。同時に、イオン伝導性物質が集電体表面など、無用の箇所に付着することを防止できる。
<イオン伝導性物質の適用方法>
イオン伝導性物質の適用方法は、正極層にイオン伝導性物質を含浸できる手段であれば、特に限定されない。例えば、単に流動性のイオン伝導性物質を上述した適用範囲に塗布するだけでも良いし、イオン伝導性物質の適用対象を真空中に配置し、その正極層周辺にイオン伝導性物質を配することで、正極層の多孔質内に導電性物質を含浸させてもよい。後者の方法であれば、ある程度粘度の高いイオン伝導性物質であっても正極層に均一にイオン伝導性物質を含浸させることができる。
イオン伝導性物質の適用方法は、正極層にイオン伝導性物質を含浸できる手段であれば、特に限定されない。例えば、単に流動性のイオン伝導性物質を上述した適用範囲に塗布するだけでも良いし、イオン伝導性物質の適用対象を真空中に配置し、その正極層周辺にイオン伝導性物質を配することで、正極層の多孔質内に導電性物質を含浸させてもよい。後者の方法であれば、ある程度粘度の高いイオン伝導性物質であっても正極層に均一にイオン伝導性物質を含浸させることができる。
また、イオン伝導性物質の適用範囲を限定するには、マスクを用いることが好ましい。例えば、イオン伝導性物質が付着してはならない箇所(例えば集電体表面)を覆うことができ、イオン伝導性物質が適用されるべき箇所(例えば正極上あるいは正極周辺近傍)が開口したパターンのマスクを用いればよい。マスクの使用により、イオン伝導性物質を必要箇所にのみ適用することができる。
(正極層)
<材質>
正極層は、イオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。リチウムイオン電池の場合、正極層は、酸化物、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)及びオリビン型鉄リン酸リチウム(LiFePO4)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物を好適に使用することができる。また、正極層は、硫化物、例えばイオウ(S)、硫化リチウム(Li2S)及び硫化チタニウム(TiS2)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物であっても良い。その他、正極層の材料としては、銅−リチウム酸化物(Li2CuO2)、あるいはLiV3O3、V2O、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物が挙げられる。上述した酸化物は、いずれも半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。正極層の厚みは、10〜300μm程度が好適である。より好ましい正極層の厚みは100μm以下である。
<材質>
正極層は、イオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。リチウムイオン電池の場合、正極層は、酸化物、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)及びオリビン型鉄リン酸リチウム(LiFePO4)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物を好適に使用することができる。また、正極層は、硫化物、例えばイオウ(S)、硫化リチウム(Li2S)及び硫化チタニウム(TiS2)よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物であっても良い。その他、正極層の材料としては、銅−リチウム酸化物(Li2CuO2)、あるいはLiV3O3、V2O、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物が挙げられる。上述した酸化物は、いずれも半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。正極層の厚みは、10〜300μm程度が好適である。より好ましい正極層の厚みは100μm以下である。
<正極層の形成方法>
正極層の形成方法としは、湿式法や乾式法を利用することができる。湿式法には、ゾルゲル法、コロイド法、キャスティング法等が挙げられる。乾式法には、気相堆積法である蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法等が挙げられる。
正極層の形成方法としは、湿式法や乾式法を利用することができる。湿式法には、ゾルゲル法、コロイド法、キャスティング法等が挙げられる。乾式法には、気相堆積法である蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザアブレーション法等が挙げられる。
(負極層)
<材質>
負極層も、イオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。リチウムイオン電池の場合、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる金属よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる金属としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。その他、グラファイト等の炭素材料、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.6O0.4N等の窒素化合物、およびこれらの混合物などが負極層の材質として挙げられる。これらのうち、炭素材料や酸化物などは、半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。負極層の厚みは、0.5〜80μm程度が好適である。より好ましい負極層の厚みは1〜40μmである。
<材質>
負極層も、イオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。リチウムイオン電池の場合、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる金属よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる金属としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。その他、グラファイト等の炭素材料、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.6O0.4N等の窒素化合物、およびこれらの混合物などが負極層の材質として挙げられる。これらのうち、炭素材料や酸化物などは、半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。負極層の厚みは、0.5〜80μm程度が好適である。より好ましい負極層の厚みは1〜40μmである。
上述した合金からなる負極層は、負極層自体に集電体としての機能を持たせることができ、かつリチウムイオンの吸蔵・放出能力が高く好ましい。特に、シリコン(Si)はリチウムを吸蔵・離脱する能力がグラファイト(黒鉛)よりも大きくエネルギー密度を高くすることができる。
また、負極層材料にLi金属との合金相を用いることで、Li金属と合金化した合金化材料とLiイオン伝導性の固体電解質層との界面でのLiイオンの移動抵抗が低減される効果があり、第1サイクル目の充電初期における合金化材料の高抵抗化が緩和される。
さらに、合金化材料の金属単体を負極層とした場合には、第1サイクル目の充放電サイクルにおいて、充電容量に対して放電容量が大幅に小さくなる問題があるが、予めLi金属と合金化材料とを合金化した負極層材料を用いることにより、この不可逆容量は殆どなくなる。このことにより、正極活物質量を不可逆容量分だけ余分に充填する必要がなくなり、薄膜電池の容量密度を向上させることができる。
<負極層の形成方法>
負極層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、例えば、PVD(物理的気相合成)法やCVD(化学的気相合成)法が挙げられる。具体的には、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法が、CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。
負極層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、例えば、PVD(物理的気相合成)法やCVD(化学的気相合成)法が挙げられる。具体的には、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法が、CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。
(電解質層)
<材質>
電解質層にはイオン伝導性があり、電子伝導性が無視できるほど小さい材料を用いる。リチウムイオン電池用の電解質層の場合、Liイオン伝導体であり、電解質層のLiイオン伝導度(20℃)が10-5S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.999以上である固体電解質層が好ましい。特に、Liイオン伝導度が10-4S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.9999以上であれば良い。固体電解質層の材質としては硫化物系が良く、Li、P、Sより構成される固体電解質層が好ましく、さらに酸素を含有していても良い。例えば、Li3PO4や、Li3PO4に窒素を混ぜたLiPON、Li2S−SiS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3等のリチウムイオン伝導性硫化物ガラス状固体電解質や、これらのガラスにLiIなどのハロゲン化リチウム、Li3PO4などのリチウム酸素酸塩をドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質などが固体電解質層の材料として好適に利用できる。これらの複合酸化物などからなる固体電解質層は、半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。固体電解質層の厚みは、3〜80μm程度が好適である。より好ましい固体電解質層の厚みは5〜20μmである。
<材質>
電解質層にはイオン伝導性があり、電子伝導性が無視できるほど小さい材料を用いる。リチウムイオン電池用の電解質層の場合、Liイオン伝導体であり、電解質層のLiイオン伝導度(20℃)が10-5S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.999以上である固体電解質層が好ましい。特に、Liイオン伝導度が10-4S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.9999以上であれば良い。固体電解質層の材質としては硫化物系が良く、Li、P、Sより構成される固体電解質層が好ましく、さらに酸素を含有していても良い。例えば、Li3PO4や、Li3PO4に窒素を混ぜたLiPON、Li2S−SiS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3等のリチウムイオン伝導性硫化物ガラス状固体電解質や、これらのガラスにLiIなどのハロゲン化リチウム、Li3PO4などのリチウム酸素酸塩をドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質などが固体電解質層の材料として好適に利用できる。これらの複合酸化物などからなる固体電解質層は、半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。固体電解質層の厚みは、3〜80μm程度が好適である。より好ましい固体電解質層の厚みは5〜20μmである。
<電解質層の形成方法>
電解質層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、例えば、PVD(物理的気相合成)法、CVD(化学的気相合成)法が挙げられる。具体的には、PVD法としては、真空蒸着法,スパッタリング法、イオンプレーティング法,レーザアブレーション法が、CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。
電解質層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。気相堆積法としては、例えば、PVD(物理的気相合成)法、CVD(化学的気相合成)法が挙げられる。具体的には、PVD法としては、真空蒸着法,スパッタリング法、イオンプレーティング法,レーザアブレーション法が、CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。
(基材)
通常、導電性の基板上に正極層、負極層、電解質層および絶縁層を積層するか、絶縁性の基板上に集電体層を形成してから正極層、負極層、電解質層および絶縁層を積層する。基材の材料には、アルミナ、ガラスおよびポリイミドフィルム等の絶縁性基板、シリコン等の半導体基板、プラチナ、金、鉄、ニッケル、アルミニウムや銅、ステンレス等の導電性基板などを用いることができる。これらの材料は、いずれも半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。基材の厚みは、3〜80μm程度が好適である。より好ましい基材の厚みは5〜60μmである。樹脂製の基材を用いた場合、得られる電池に可とう性を持たせやすい。
通常、導電性の基板上に正極層、負極層、電解質層および絶縁層を積層するか、絶縁性の基板上に集電体層を形成してから正極層、負極層、電解質層および絶縁層を積層する。基材の材料には、アルミナ、ガラスおよびポリイミドフィルム等の絶縁性基板、シリコン等の半導体基板、プラチナ、金、鉄、ニッケル、アルミニウムや銅、ステンレス等の導電性基板などを用いることができる。これらの材料は、いずれも半田リフロー時の加熱温度(200〜250℃程度)に対して耐熱性を備えている。基材の厚みは、3〜80μm程度が好適である。より好ましい基材の厚みは5〜60μmである。樹脂製の基材を用いた場合、得られる電池に可とう性を持たせやすい。
(集電体)
正極層、負極層の各々には、通常、集電体が接合されている。集電体には金属箔などが適する。負極集電体材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が挙げられる。これらの金属は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しないため、リチウムとの金属間化合物による不具合、具体的には、充放電による膨張・収縮によって、負極層が構造破壊を起こし集電性が低下したり、負極層の接合性が低下して負極層が集電体から脱落し易くなるといった不具合を防止できる。正極集電体の具体例としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレスから選択される1種が挙げられる。
正極層、負極層の各々には、通常、集電体が接合されている。集電体には金属箔などが適する。負極集電体材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が挙げられる。これらの金属は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しないため、リチウムとの金属間化合物による不具合、具体的には、充放電による膨張・収縮によって、負極層が構造破壊を起こし集電性が低下したり、負極層の接合性が低下して負極層が集電体から脱落し易くなるといった不具合を防止できる。正極集電体の具体例としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレスから選択される1種が挙げられる。
これらの集電体は、PVD法やCVD法により形成することができる。特に、所定のパターンに集電体を形成する場合、適宜なマスクを用いることで、容易に所定のパターンの集電体を形成することができる。
(シール材)
本発明電池は、通常、少なくとも発電エリアをシール材で覆い、防湿構造とする。シール材は、電池と絶縁可能で、水透過性が小さい材料が利用できる。特に、電池の構成部材に対して熱融着可能な材料がシール材として好ましい。シール材としては、樹脂フィルム、或いは、樹脂フィルムと金属フィルムのラミネート材が挙げられる。樹脂フィルムの材質の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミドなどが挙げられる。特に、樹脂フィルムは、電池(または樹脂フィルム同士)との接合面側に溶融層を有し、その反対側に非溶融層を有するフィルムが好適である。このような樹脂フィルムであれば樹脂フィルムをヒートシールやロールプレスなどで容易に電池または対向する樹脂フィルムに熱圧着させることができる。金属フィルムの材質の具体例としては、アルミニウムやアルミニウム合金が挙げられる。一般に、金属フィルムは、樹脂フィルムに比べて非透水性に優れるため、シート材に金属フィルムを用いることは電池の防湿性の点で好ましい。樹脂フィルムまたは金属フィルムは、単層でも良いし、異種の樹脂(金属)フィルムを積層した構造でもよい。
本発明電池は、通常、少なくとも発電エリアをシール材で覆い、防湿構造とする。シール材は、電池と絶縁可能で、水透過性が小さい材料が利用できる。特に、電池の構成部材に対して熱融着可能な材料がシール材として好ましい。シール材としては、樹脂フィルム、或いは、樹脂フィルムと金属フィルムのラミネート材が挙げられる。樹脂フィルムの材質の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミドなどが挙げられる。特に、樹脂フィルムは、電池(または樹脂フィルム同士)との接合面側に溶融層を有し、その反対側に非溶融層を有するフィルムが好適である。このような樹脂フィルムであれば樹脂フィルムをヒートシールやロールプレスなどで容易に電池または対向する樹脂フィルムに熱圧着させることができる。金属フィルムの材質の具体例としては、アルミニウムやアルミニウム合金が挙げられる。一般に、金属フィルムは、樹脂フィルムに比べて非透水性に優れるため、シート材に金属フィルムを用いることは電池の防湿性の点で好ましい。樹脂フィルムまたは金属フィルムは、単層でも良いし、異種の樹脂(金属)フィルムを積層した構造でもよい。
本発明薄膜リチウムイオン電池を図1、図2に基づいて説明する。図1は本発明電池の平面図、図2はその部分縦断面図である。この電池は、絶縁材料からなる基板1上に、部分的に金属箔状の負極集電体2と正極集電体3とを櫛歯状に形成し、負極集電体2の櫛歯部分の上に負極層4を形成し、正極集電体3の櫛歯部分の上に正極層5を形成している。そして、基板1の上に負極層4と正極層5とが完全に埋め尽くされるように固体電解質層6を形成している。
基板1は、本例では、絶縁材料からなる矩形板を用いている。この基板1の上に、負極集電体2と正極集電体3を形成する。各集電体は、直線状のリード部21,31と、リード部21,31から櫛歯状に分岐する複数の分岐部22,32とを有している。これら負極集電体2と正極集電体3とは、櫛歯部分が噛み合うように、負極集電体2の分岐部22の間に正極集電体3の分岐部32が配置され、負極側のリード部21と正極側のリード部31とが平行するように形成されている。
一方、負極層4は負極集電体2の分岐部22の上に、正極層5は正極集電体3の分岐部32の上に形成される。負極層4、正極層5は、各々短冊状の櫛歯部41、51が交互に並列された構成である。
そして、正極側のリード部31と負極側のリード部21との間に挟まれた領域で、負極層4および正極層5の各櫛歯部41、51が並列された領域の全体を電解質層6で覆っている。この電解質層6で覆われた領域が発電エリアGとなる。
発電エリアGが形成できたら、そのエリアGにイオン液体を塗布する。イオン液体は、正極層5に含浸されればよいが、ここでは負極層4上も含む発電エリアGの大部分にイオン液体を塗布する。例えば、発電エリアGの全体ではなく、同エリアGの周縁部を除く内側部に限定して塗布する。ここでは、発電エリアのうち、図1の左右方向は、正極層のほぼ櫛歯部先端から負極層のほぼ櫛歯部先端までの間をイオン液体の塗布領域Cとし、図1の上下方向は、最上部の正極層の幅のほぼ半分から最下部の正極層の幅のほぼ半分までの間をイオン液体の塗布領域Cとする。このようにイオン液体の塗布領域Cを発電エリアGの内側部に限定することで、イオン液体が集電体のリード部21、31に付着することを抑制できる。もちろんイオン液体の塗布時、そのイオン液体が各リード部21、31に付着しないように注意する。
このイオン液体の量は、後述する試験例から示されるように、イオン液体の質量をI(mg)、正極層の質量をP(mg)としたとき、0.05P<I<10Pを満たすようにする。このようにイオン液体の量を正極層5の量に応じた量とすることで、イオン液体の適用量の過不足を極力なくすることができる。それにより、容量不足の電池が作製されたり、過剰のイオン液体がリード部21、31に付着することにより、後述する電池のシールが不良となることを回避できる。
イオン液体の塗布工程の間、塗布対象は、所定時間真空内に保持することが好ましい。この保持により、イオン液体は電解質層6を通り、さらに多孔質の正極層5に含浸される。この際の真空度は、50kPa以下が好適である。
そして、イオン液体が正極層5に含浸できれば、少なくとも発電エリアGを樹脂フィルムと金属フィルムのラミネートシート(図示せず)でシールする。ここでは、リード部21、31の各端部に、図示しないタブリードを配置し、基板1よりも大きなラミネートシートで基板1の両面を挟み込む。その際、タブリードの一部がラミネートシート内に配置され、残部が同シートから露出するようにする。タブリードは電池から電気を取り出すための端子である。その後、ラミネートシートが配された電池をロールプレスし、対面する同シートの外周部同士を熱圧着させる。このシールにより、電池内に水分が浸入し、その水分がリチウムと反応することを抑制できる。
以上の例では、基板1上に正極集電体3、負極集電体2を部分的に形成し、各集電体2,3上に正極層5、負極層4を各々作製して、さらに正極層5、負極層4を含む基板1のほぼ全体を電解質層6で覆っているが、本発明電池は、このような電池構造に限定されるわけではない。例えば、絶縁基板の上に、基板のほぼ全体を覆う電解質層を形成し、その電解質層上の一部に正極層、負極層のそれぞれを重複しないように形成する。そして、正極層、負極層の各々の上に正極集電体、負極集電体を形成しても良い。その他、まず絶縁基板上の一部に一方の電極集電体を形成し、その集電体上に一方の電極層を形成する。次に、この一方の電極層を含む絶縁基板のほぼ全面を覆うように電解質層を形成する。そして、その電解質層の上で、基板を平面視した場合に一方の電極層とは重ならない位置に他方の電極層を設けてもよい。その際、必要に応じて、他方の電極層の上に、他方の電極集電体を形成してもよい。
[試験例]
図1、図2に記載の構成でイオン液体の量が異なる複数のサンプル電池を作製し、各サンプル電池のシールの良否と容量を調べた。
図1、図2に記載の構成でイオン液体の量が異なる複数のサンプル電池を作製し、各サンプル電池のシールの良否と容量を調べた。
この電池は、基材:アルミナ、正極集電体:Ni膜、正極層:MnO2膜、固体電解質層:Li-P-S-O、負極層:Li金属膜、負極集電体:Cu膜からなる薄膜リチウムイオン電池である。正極層は印刷法で、正極集電体、負極集電体、負極層は蒸着法で、電解質層はPLD(Pulsed Laser Deposition)法にて作製した。電解質層を形成した後、表1に示す量のイオン液体を正極層に含浸させた。蒸着法では、マスクを使用し、形成される層の範囲を限定した。イオン液体には、EMI-TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド)を用いた。また、このイオン液体には、支持塩として(CF3SO2)2NLi(Li-TFSI):リチウムビストリフルオロメタンスルフォンイミドを0.3mol/kg溶解させた。正極層の質量は、正極層を形成する前後のサンプルの質量を測定し、その質量の差から求めた。ラミネートシートには、アルミニウムフィルムの両面をポリプロピレンフィルムで覆ったものを用いた。
シールの良否は、電池を目視にて検査し、電池全面にわたって封止できているものを「良」とし、封止できていないものを「不良」とした。シール不良となった電池は、次の容量の試験は行わない。
容量は、シール後のサンプル電池に対して、放電電流:5μA/cm2の条件にて、3Vから2Vまでの定電流放電試験を実施することで調べた。
試験結果を併せて表1に示す。
表1に示すように、イオン液体の質量Iが正極層の質量Pの10倍以上であるサンプルNo.1、No.2はシール不良になった。これは、イオン液体の量が多すぎ、過剰なイオン液体が集電体にまで及んでしまったためと考えられる。一方、イオン液体の質量Iが正極層の質量Pの0.05倍であるサンプルNo.8は、シール不良はないものの、容量が他のサンプルに比べて格段に低いことがわかった。これは、イオン液体量が少なすぎ、電池の内部抵抗が大きいためであると考えられる。これに対し、イオン液体の質量Iと正極層の質量Pが0.05P<I<10Pの範囲にあるサンプルNo.3からNo.7は、シール性、容量共に高い値であった。特に、イオン液体の質量Iと正極層の質量Pが1P≦I≦5Pの範囲にあるサンプルNo.3からNo.5はサンプルNo.6、No.7に比べても高い容量であることがわかる。
本発明電池は、リチウムイオン電池として好適に利用できる。例えば、この電池は、移動型、携帯型、薄型などの種々の電気・電子機器の電源として利用することが期待される。
1 基材(基板) 2 負極集電体 3 正極集電体 4 負極層 5 正極層
6 固体電解質層
21、31 リード部 22、32 分岐部 41、51 櫛歯部
G 発電エリア C 塗布領域
6 固体電解質層
21、31 リード部 22、32 分岐部 41、51 櫛歯部
G 発電エリア C 塗布領域
Claims (4)
- 正極層と、負極層と、正極層と負極層との間でイオンの伝導を行う電解質層と、正極層および負極層の各々又は一方に電気的に接続される集電体とを備える薄型電池であって、
この電池を平面視した場合、前記正極層と負極層とが重なることなく並列された発電エリアに流動性のイオン伝導性物質が配され、
このイオン伝導性物質の質量をI(mg)、正極層の質量をP(mg)としたとき、以下の式を満たすことを特徴とする薄型電池。
0.05P<I<10P - 正極層と負極層の各々は櫛歯部を備え、正極層の櫛歯部と負極層の櫛歯部とが交互に並列され、
これら櫛歯部が並列される箇所に発電エリアが形成され、
前記イオン伝導性物質は発電エリアに配されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型電池。 - イオン伝導性物質は、発電エリアの周縁部を除く内側部に配されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型電池。
- 流動性のイオン伝導性物質がイオン液体であることを特徴とする請求項1に記載の薄型電池。
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---|---|---|---|---|
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-
2007
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