JP2008170698A - 打楽器および鍵盤式打楽器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発音体30を音高順に並べ、発音体30に設けられている貫通穴に支持紐44を通す。支持紐44は、極細の繊維が絡合した不織布を表面に備えている。発音体30に通された支持紐44において発音体30の貫通穴の外部にある部分は、共鳴箱50の下面において間隔をあけて設けられた複数の留め具40で支持される。
【選択図】図7
Description
また、別の好ましい態様において、前記支持紐は、繊維が絡合した複数の紐状の不織布が前記芯糸を覆って編まれていてもよい。
また、別の好ましい態様において、前記支持紐の長手方向に直行する方向の断面形状が略円形であってもよい。
また、別の好ましい態様において、前記支持紐の直径と、前記貫通穴の内径との比が所定の比であってもよい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る鍵盤式打楽器について説明する。図1(a)は本発明の実施形態に係る鍵盤式打楽器10の左側面図、図1(b)は鍵盤式打楽器10の正面図、図1(c)は鍵盤式打楽器10の右側面図である。以下の説明においては、鍵盤式打楽器10の演奏者側を前方と称し、演奏者から鍵盤式打楽器10を見て右側を右方向、演奏者から見て左側を左方向と称する。
まず、この鍵盤式打楽器10の概要について説明する。この鍵盤式打楽器10は金属製の発音体を打撃して発音体を振動させることにより音を発生する楽器であり、図1(b)に示したように、複数の白鍵及び黒鍵を有する鍵盤KBと、演奏者の足で操作されるダンパペダル12とを備えている。演奏者により鍵盤KBの鍵が下方に押されると、各鍵に対応して内部に配置されている発音体が打撃されて音が発生する。また、ダンパペダル12は発音体の振動を制御するためのペダルである。演奏者がダンパペダル12を踏むと、演奏者が鍵から指を離しても発音体の振動が抑えられることがない。このため、ダンパペダルが踏まれると、ダンパペダル12が踏まれていない状態と比較して、発音体が打撃されたときの音の発音時間が長くなる。
次に、鍵盤式打楽器10の内部構成について説明する。図2は鍵盤式打楽器10の上部の概略図、図3は鍵盤式打楽器10の上部の内部を前方から見た図、図4は鍵盤式打楽器10の内部の平面図である。図に示したように、鍵盤式打楽器10内の上部には、鍵盤KBの各鍵に対応して設けられて音を発生する発音体30と、発音体30で発生した音を共鳴させる共鳴箱50とを有する音源ユニットUNTが配置されている。また、鍵盤式打楽器10の内部においては、発音体30を打撃するアクション機構20と、発音体30の振動を制御するダンパ機構Dが音源ユニットUNTより下方に配置されている。
まず、音源ユニットUNTの下方にある各部について説明する。図に示したように、鍵盤式打楽器10の両側面を形成する右側板18Rと左側板18Lとの間には、共鳴箱50から下方に出た音が通過する放音用穴14aを有する棚板14が水平に配置されている。棚板14の上には筬15が配置されており、筬15の前方には筬前16が設けられ、筬前16の前部を口棒部17が覆っている。筬15においては、鍵盤KBが有する複数の白鍵27及び黒鍵28の各々に対応して支持部材19が配置されている。支持部材19は白鍵27及び黒鍵28を支持するための部材であり、バランスピン62,63を備えている。鍵盤KBの各鍵は支持部材19により支持され、各鍵の長手方向端部はバランスピン62,63を支点として上下する。
次に、音源ユニットUNTの構成について説明する。図5は音源ユニットUNTの正面図、図6は図5のA−A線断面図、図7は音源ユニットU1の底面図である。図に示したように、音源ユニットUNTは、鍵盤KBの各鍵に対応して設けられている複数の発音体30と、発音体30を打撃することにより生じた音を共鳴させる共鳴箱50を有している。そして、音源ユニットUNTにおいては、共鳴箱50の両端部の下面が、右側板18Rから鍵盤式打楽器10の内部へ突出した支持部29Rと左側板18Lから鍵盤式打楽器10の内部へ突出した支持部29Lにより支持されている。本実施形態においては、鍵盤KBの鍵が並ぶ方向に沿って音高順に発音体30が共鳴箱50の下方に配置されており、演奏者から見て左端にある発音体30の発する音が一番音高が低く、右端にある発音体30の発する音が一番音高が高くなるように発音体30が配置されている。なお、本実施形態においては、発音体30は上下二段ではなく一段に配置されており、各発音体30を打撃するアクション機構20も鍵盤KBの鍵が並ぶ方向に沿って一段に並べられている。
発音体30は、アルミニウムで形成されている。なお、発音体30の材質は、アルミニウムに限定されるものではなく、例えば、アルミニウム合金、または鋼など他の金属で形成されていてもよい。各鍵に対応して設けられている複数の発音体30は、その長さ、幅および形状が各々異なっており、ハンマフェルト24によって打撃されて振動すると、その振動の態様が各々異なり、各発音体固有の音高の音が生じる。
次に共鳴箱50の構成について説明する。共鳴箱50は下面が開口した箱であり、前面となる前側共通壁51、後面となる後側共通壁52、左側面となる側壁59A、右側面となる側壁59B、上面を塞ぐ蓋部材56、蓋部材57、蓋部材58を有し、図5に示したように、低音域部50A、中音域部50B、高音域部50Cに大別される。低音域部50Aは、低音域部50Aの下方に配置される発音体30に対応して発音体30と同数のヘルムホルツ型の共鳴室RM1を有している。また、中音域部50Bは、中音域部50Bの下方に配置される発音体30に対応して発音体30と同数の閉管型の共鳴室RM2を有している。高音域部50Cは一括式共鳴箱となっており、高音域部50Cの下方に配置される複数の発音体30に共通となる一つの共鳴室RM3を有している。
次に、発音体30を共鳴箱50の下方に配置する構成について説明する。
図11は支持紐44の外観図である。支持紐44は、芯糸44Aと、芯糸44Aの回りに巻き付けられている紐44Bで構成されている。芯糸44Aはナイロン製であり、糸状の部材である。紐44Bは、表面がスエード調で鹿革と同程度の柔らかさを有する人工皮革であり、極細の繊維が絡合した厚さ約2mmの不織布で構成されている。支持紐44の断面は、略円形であり、その直径は本実施形態においては3.5mmとなっている。紐44Bは芯糸44Aの回りに隙間無く巻き付けられて芯糸44Aを覆っている。
次に、左端に並べられた発音体30の左方から支持紐44を前側の支持穴36に通す。一つの発音体30の支持穴36を通し終えたら、右隣に並べられている発音体30の支持穴36に支持紐44を通す。このように、音高順に並べられた発音体30の各支持穴36に支持紐44を順次通していく。
並べられた発音体30の全ての支持穴36に支持紐44を通し終えたら、次に、右端に並べられた発音体30の右方から支持紐44を後側の支持穴37に通す。一つの発音体30の支持穴37を通し終えたら、左隣に並べられている発音体30の支持穴37に支持紐44を通、音高順に並べられた発音体30の各支持穴37に支持紐44を順次通していく。
並べられた発音体30の全ての支持穴36と支持穴37に支持紐44を通し終えたら、支持紐44の両端を結ぶ。支持紐44の両端を結ぶことにより、複数の発音体30は、音高順にまとめられる。
次に、共鳴箱50の下方で支持紐44を支え持つ複数の留め具40を共鳴箱50に装着する。図9(a)は留め具40の側面図であり、図9(b)は留め具40の部分拡大図である。留め具40は金属で形成されており、支持紐44を支え持つひも受け部43と、支持紐44をひも受け部43に挿入する際に支持紐44が通る溝42と、共鳴箱50に打ち込まれるピン部41を有している。ひも受け部43の形状は、支持紐44の直径とほぼ同じ内径を有する円形となっている。また溝42の幅は、支持紐44の直径よりやや小さくなっている。このため、ひも受け部43に通された支持紐44は、留め具40から容易に脱落することがない。
しかし、本実施形態においては、表面がスエード調の支持紐44で発音体30が支持されている。この支持紐44によれば、発音体30が振動したときにノイズが発生せず、また発音体30の振動が妨げられないため発音体30を打撃したときに良好な音を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
例えば、図11(b)に示したように2本の紐44Bを芯糸44Aに螺旋状に隙間無く巻き付けるようにしてもよい。なお、螺旋状に巻き付ける場合、紐44Bの数は3本以上であってもよい。また、図11(c)に示したように複数の紐44Bを編んで芯糸44Aを隙間無く覆うようにしてもよい。
また、芯糸44は、繊維が絡合した不織布で構成された中空円筒状の紐44Bの中空部に芯糸44Aを有する構成であってもよい。
Claims (6)
- 互いに向かい合う側面を有する柱体形状であって、一方の側面から該側面に対向するもう一方の側面に貫通する貫通穴を有し、打撃により固有の音高の音を発する複数の発音体と、
前記複数の発音体の各貫通穴に通された紐であって、内部に芯糸を有し、繊維が絡合した不織布を表面に有する支持紐と、
前記支持紐において前記発音体の貫通穴の外部にある部分を支持する複数の留め具と
を有する打楽器。 - 前記支持紐は、繊維が絡合した紐状の不織布が前記芯糸に螺旋状に巻きつけられていることを特徴とする請求項1に記載の打楽器。
- 前記支持紐は、繊維が絡合した複数の紐状の不織布が前記芯糸を覆って編まれていることを特徴とする請求項1に記載の打楽器。
- 前記支持紐の長手方向に直行する方向の断面形状が略円形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の打楽器。
- 前記支持紐の直径と、前記貫通穴の内径との比が所定の比であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の打楽器。
- 互いに向かい合う側面を有する柱体形状であって、一方の側面から該側面に対向するもう一方の側面に貫通する貫通穴を有し、打撃により固有の音高の音を発する複数の発音体と、
前記複数の発音体の各貫通穴に通された紐であって、内部に芯糸を有し、繊維が絡合した不織布を表面に有する支持紐と、
前記支持紐において前記発音体の貫通穴の外部にある部分を支持する複数の留め具と、
前記複数の発音体毎に発音体に対応して配置された鍵と、
複数の前記鍵毎に鍵に対応して配置され、対応する鍵の動きに応じて該鍵に対応する前記発音体を打撃するアクション機構と、
前記発音体から生じた音を共鳴させる共鳴箱と
を有する鍵盤式打楽器。
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