JP2008170379A - 攪拌装置及び自動分析装置 - Google Patents

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【課題】容器と音波発生手段との間における音波の透過率の変動を抑え、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することが可能な攪拌装置及び自動分析装置を提供すること。
【解決手段】液体を保持する容器7と、容器に接合され、液体を攪拌する音波を液体へ照射する表面弾性波素子22とを備え、表面弾性波素子22は、容器との間に接合層を介さずに接合され、又は、容器との間に低温はんだを介して接合されている攪拌装置20及び自動分析装置。
【選択図】 図2

Description

本発明は、攪拌装置及び自動分析装置に関するものである。
従来、音波によって液体を攪拌、混合する音波発生手段を備えた分析装置は、装置毎の攪拌、混合に関する性能のバラつきを少なくするため、前記液体を保持し、音波伝達媒体となる容器の壁の音波伝達方向の厚さを、伝搬する音波の半波長の整数倍を避けた値としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、音波伝達媒体の音波伝達方向の厚さが伝搬する音波の半波長の整数倍であると音波の透過率が最大となるが、厚さが少しでも変化すると、透過率が大きく変動して透過する音波エネルギーが大きく変化してしまうからである。
特開平10−300651号公報
ところで、特許文献1に開示された分析装置は、容器に音波発生手段を接着している。音波の透過率は、接着剤の厚さによっても変動することから、特許文献1の分析装置は、接着剤の厚さの違いによって分析装置相互間で攪拌性能にバラつきが生じてしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器と音波発生手段との間における音波の透過率の変動を抑え、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することが可能な攪拌装置及び自動分析装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る攪拌装置は、液体を保持する容器と、前記容器に接合され、前記液体を攪拌する音波を当該液体へ照射する音波発生手段と、を備え、前記音波発生手段は、前記容器との間に接合層を介さずに接合され、又は、前記容器との間に低温はんだを介して接合されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、常温接合法によって前記容器に接合されていることを特徴とする。
また、請求項3に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記常温接合法は、オプティカルコンタクトによる接合法であることを特徴とする。
また、請求項4に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記容器とは異なる材料から形成されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、超音波接合法によって前記容器に接合されていることを特徴とする。
また、請求項6に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記音波発生手段は、前記容器へ接合される圧電基板と、前記圧電基板上に設けられ、前記液体を攪拌する音波を発生する櫛歯状電極と、を有する表面弾性波素子であることを特徴とする。
また、請求項7に係る攪拌装置は、上記の発明において、前記櫛歯状電極は、前記容器及び前記圧電基板を介して前記液体に隣接する前記容器の外側に配置されることを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項8に係る自動分析装置は、複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、前記攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌して反応させ、反応液を光学的に分析することを特徴とする。
本発明の攪拌装置は、音波発生手段が、容器との間に接合層を介さずに接合され、又は、容器との間に低温はんだを介して接合され、本発明の自動分析装置は、この攪拌装置を備えているので、容器と音波発生手段との間における音波の透過率の変動が抑えられ、攪拌装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することができるという効果を奏する。
(実施の形態1)
以下、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1の自動分析装置で使用する反応容器及び反応ホイールの一部を攪拌装置の概略構成図と共に示す斜視図である。図3は、実施の形態1の攪拌装置の構成を示すブロック図を、攪拌装置を構成する反応容器の斜視図と共に示す図である。図4は、図3の反応容器の側壁に取り付ける表面弾性波素子の斜視図である。
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置10、洗浄装置11、試薬分注機構12及び試薬テーブル13が設けられ、攪拌装置20を備えている。
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
検体分注機構5は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に検体を分注する手段であり、図1に示すように、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応容器7に分注する。
反応ホイール6は、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って複数の凹部6aが等間隔で設けられている。反応ホイール6は、各凹部6aの半径方向両側に測定光が通過する開口6b(図2参照)が形成されている。反応ホイール6は、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4周分回転し、四周期で反時計方向に凹部6aの1個分回転する。反応ホイール6の外周には、測光装置10、洗浄装置11及び攪拌装置20が配置されている。
反応容器7は、容量が数nL〜数十μLと微量な容器であり、測光装置10の光源から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、パイレックス(登録商標)のような熱膨張係数の小さい耐熱強化ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器7は、図2及び図3に示すように、側壁7a,7bと底壁7c(図5参照)とによって液体を保持する水平断面が正方形の液体保持部7dが形成され、液体保持部7dの上部に開口7eを有する四角筒形状のキュベットである。反応容器7は、側壁7aに取り付けられる表面弾性波素子22と共に攪拌装置20を構成しており、液体保持部7dの内面には検体や試薬等の液体に対する親和性処理が施されている。反応容器7は、側壁7aを反応ホイール6の半径方向に向けると共に、側壁7bを反応ホイール6の周方向に向けて、凹部6aに配置される。このため、反応容器7は、対向する側壁7aの下部が保持した液体の光学測定のための測光窓7f(図2,図3参照)として使用される。
測光装置10は、図1に示すように、反応ホイール6の外周に配置され、反応容器7に保持された液体を分析する分析光(340〜800nm)を出射する光源と、液体を透過した分析光を分光して受光する受光器とを有している。測光装置10は、前記光源と受光器が反応ホイール6の凹部6aを挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。
洗浄装置11は、検体分注機構5と測光装置10との間の反応ホイール6外周に配置され、反応容器7から液体や洗浄液を排出する排出手段と、洗浄液の分注手段とを有している。洗浄装置11は、測光終了後の反応容器7から測光後の液体を排出した後、洗浄液を分注する。洗浄装置11は、洗浄液の分注と排出の動作を複数回繰り返すことにより、反応容器7の内部を洗浄する。このようにして洗浄された反応容器7は、再度、新たな検体の分析に使用される。
試薬分注機構12は、反応ホイール6に保持された複数の反応容器7に試薬を分注する手段であり、図1に示すように、反応ホイール6と試薬テーブル13との近傍に配置されている。試薬分注機構12は、試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応容器7に分注する。
試薬テーブル13は、検体テーブル3及び反応ホイール6とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられている。各収納室13aは、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示する情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。
ここで、試薬テーブル13の外周には、図1に示すように、試薬容器14に貼付した前記情報記録媒体に記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する読取装置15が設置されている。
制御部16は、検体テーブル3、検体分注機構5、反応ホイール6、測光装置10、洗浄装置11、試薬分注機構12、試薬テーブル13、読取装置15、分析部17、入力部18、表示部19及び攪拌装置20等と接続され、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記情報記録媒体の記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が予め設定した範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
分析部17は、制御部16を介して測光装置10に接続され、受光器が受光した光量に基づく反応容器7内の液体の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
攪拌装置20は、反応ホイール6の下面に設置されて反応ホイール6と一体に回転し、表面弾性波素子22を駆動して発生する音波によって反応容器7に保持された液体を攪拌する。攪拌装置20は、反応容器7の他に、図2及び図3に示すように、表面弾性波素子22に電力を送電する送電体21と、表面弾性波素子22とを有している。
送電体21は、RF送信アンテナ21a、駆動回路21b及びコントローラ21cを有している。送電体21は、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力をRF送信アンテナ21aから駆動信号として表面弾性波素子22に発信する。RF送信アンテナ21aは、反応ホイール6の凹部6a側壁に取り付けられている。
駆動回路21bは、コントローラ21cからの制御信号に基づいて発振周波数を変更可能な発振回路を有しており、数十MHz〜数百MHz程度の高周波の発振信号をRF送信アンテナ21aへ出力する。コントローラ21cは、駆動回路21bの作動を制御し、例えば、表面弾性波素子22が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、コントローラ21cは、内蔵したタイマに従って駆動回路21bが発振する発振信号の周波数を切り替えることができる。
表面弾性波素子22は、RF送信アンテナ21aから発信される駆動信号(電力)を受信して音波を発生する音波発生手段である。表面弾性波素子22は、図3及び図4に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等からなる圧電基板22a上に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子22bとアンテナ22cが形成されている。振動子22bは、RF送信アンテナ21aから発信される駆動信号(電力)をアンテナ22cで受信することによって音波を発生する発音部である。振動子22bは、反応容器7及び圧電基板22aを介して反応容器7が保持した液体に隣接する反応容器7の外側に配置される。即ち、表面弾性波素子22は、図5及び図6に示すように、振動子22bを外側に向けて側壁7aに取り付けられる。
このとき、表面弾性波素子22は、常温接合法であるオプティカルコンタクトによって反応容器7の側壁7aに直接接合される。このオプティカルコンタクトによる接合法は、接着剤を用いず分子間力によって2つの物体を接合する方法である。この接合法を用いる場合、反応容器7及び圧電基板22aは、互いに接合され、音波が透過する面となる側壁7aと圧電基板22aの振動子22bを設けていない裏面の表面粗さを振動子22bの発生する音波の波長よりも小さくなるように平滑に研磨加工し、厳密なクリーニングを施しておく。次に、側壁7aと圧電基板22aの裏面を接触させる。すると、圧電基板22aが、側壁7aに密着状態で接合され、反応容器7に表面弾性波素子22が取り付けられる。次いで、側壁7aと圧電基板22aとが接合された接合面の周囲をセラック又はラッカー等の封止剤で封止し、接合部を保護する。
このように、オプティカルコンタクトによる接合法は、接合を常温で行うため材料は歪みにくく、接合する材料の種類が異なり、線膨張係数が違っていても、接合後の歪に起因した材料の剥離の心配が少ないという利点を有している。ここで、反応容器7及び圧電基板22aは、音波が透過する面の表面粗さを振動子22bの発生する音波の波長よりも小さくしておけば、反応容器7や圧電基板22aの表面における発生した音波の散乱によって、音波が一定の方向に出射されずに、反応容器7に保持された液体の攪拌効率が低下してしまうという不具合が発生するおそれがない。なお、表面弾性波素子22は、圧電基板22a,振動子22b及びアンテナ22cの厚みを含め、構成を明示するために実際の厚さを無視して模式的に描いており、他の実施の形態においても同様である。
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応ホイール6によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器7に試薬分注機構12が試薬容器14から試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって周方向に沿って搬送され、検体分注機構5によって検体テーブル3に保持された複数の検体容器4から検体が順次分注される。そして、検体が分注された反応容器7は、反応ホイール6によって攪拌装置20へ搬送され、分注された試薬と検体が順次攪拌されて反応する。このようにして検体と試薬が反応した反応液は、反応ホイール6が再び回転したときに測光装置10を通過し、光源から出射された分析光が透過する。このとき、反応容器7内の試薬と検体の反応液は、光源から出射された後、透過した分析光が受光器で測光され、制御部16によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、洗浄装置11によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
このとき、攪拌装置20は、制御部16を介して入力部18から予め入力された制御信号に基づき、反応ホイール6の停止時にコントローラ21cが駆動回路21bに駆動信号を入力する。これにより、表面弾性波素子22は、振動子22bが外側に配置され、固体に覆われていないので、入力される駆動信号の周波数に応じて振動子22bが励振を抑制されることなくエネルギー損失を小さく抑えて駆動され、図6に示すように、バルク波Wbを誘起する。誘起されたバルク波Wbは、圧電基板22aを伝搬してから反応容器7の側壁7aへ入射し、側壁7a内を矢印で示すように伝搬した後、液体Lへ漏れ出してゆく。ここで、攪拌装置20は、適宜の材料を選択することによって圧電基板22aの音響インピーダンスと反応容器7の音響インピーダンスを略同じにすると、圧電基板22aと反応容器7との間で音波の干渉をなくすと共に、伝搬ロスを抑制することができ、効率の良い液体の攪拌を実現することができる。
この結果、漏れ出したバルク波によって反応容器7内の液体L中には、図5に示すように、振動子22bの斜め上方向に向かう流れFccが生じると共に、振動子22bの斜め下方向に向かう流れFcwが生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
このとき、攪拌装置20は、オプティカルコンタクトによって表面弾性波素子22の圧電基板22aが側壁7aに接合されている。このため、攪拌装置20は、振動子22bの発生した音波が圧電基板22aから反応容器7の側壁7aへ直接入射することから、表面弾性波素子22と反応容器7との間における音波の透過率の変動がなく、装置相互間の攪拌性能のバラつきが抑制される。また、自動分析装置1は、無線によって攪拌装置20に表面弾性波素子22の駆動電力を供給するので、電力供給機構を簡単な構成にすることができるうえ、電力供給の際に、部品相互が接触しないので、故障し難いという利点がある。
ここで、反応容器7に表面弾性波素子22をオプティカルコンタクトによって接合した場合と、従来のように接着剤によって接合した場合における音波の透過率の違いを比較する。比較に当たっては、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用し、接着剤の厚さを0〜20μmの範囲でそれぞれ異ならせて圧電基板22aを反応容器7の側壁7aに接合した攪拌装置20を用い、振動子22bを中心周波数で駆動した場合に発生する音波の表面弾性波素子22と反応容器7との間における透過率を算出した。このときの算出結果を図7に示す。
図7に示すように、オプティカルコンタクトによる接合の場合、圧電基板22aと反応容器7の側壁7aとの間の接着剤の厚さはゼロであり、図7から透過率は約95%となる。これに対し、接着剤による接合の場合、接着剤の厚さに応じて透過率は15〜95%の間で増減する。従って、攪拌装置20は、反応容器7と表面弾性波素子22とをオプティカルコンタクトによって接合すると、表面弾性波素子22と反応容器7との間における音波の透過率が接着剤によって接合した場合に比べて一定に保持されるので、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することができる。
一般に、バルク波を含めて音波の透過率は、伝搬する媒質の音響インピーダンス(密度ρ×音速C)の他に、接着剤の厚さと周波数とによって大きく変化する。図8は、攪拌装置における表面弾性波素子の駆動周波数(MHz)と混合時間(sec)との関係を示す図である。具体的には、反応容器7と表面弾性波素子22とをオプティカルコンタクトで接合した攪拌装置1と、反応容器7と表面弾性波素子22とを紫外線硬化樹脂からなる厚さ0.5μmの接着剤で接着したことを除き攪拌装置1と構成が同一の攪拌装置を用い、駆動周波数(MHz)を変化させて同一量の液体を攪拌した場合に均一に攪拌するのに要した混合時間(sec)の測定結果を示している。
この場合、反応容器7と表面弾性波素子22とを接着剤で接着した攪拌装置は、接着剤の厚さと音波の伝搬経路の音響インピーダンスは一定であり、周波数のみが変化する。このため、攪拌装置は、接着剤を透過するバルク波の波数が変化し、これに伴って透過率が変化したものと推測される。そして、攪拌装置は、接着剤を透過するバルク波が最適な波数k(=接着剤の厚さが各モードの音波の1波長の逆数)になったときにバルク波の透過率が増加し、混合時間が短縮される結果、混合時間の極大値となる山や極小値となる谷が出現するものと考えられる。
但し、反応容器7と表面弾性波素子22とをオプティカルコンタクトで接合した攪拌装置1の場合、接着剤の厚さがゼロとなるため、上記のような山や谷が出現することはなく、共振周波数frから離れるに従って攪拌性能が低下し、混合時間が略単調に増加してゆく。このように、反応容器7と表面弾性波素子22とをオプティカルコンタクトによって接合した攪拌装置1は、周波数変化に伴う攪拌性能の変動が接着剤を使用した攪拌装置に比べて小さく抑えられ、攪拌性能が安定し、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することができるという利点がある。
ここで、攪拌装置20は、表面弾性波素子22の振動子22bが発生した音波が反応容器7内の液体Lに入射するまでの伝搬経路上に第一の媒質として圧電基板22a、第二の媒質として反応容器7の側壁7aが存在する。このとき、これら媒質の素材として、圧電基板22aはニオブ酸リチウム、反応容器7は耐熱強化ガラスとし、密度をρ、縦波の速度をVL、横波の速度をVS、縦波のインピーダンスをZL(=ρ・VL)、横波のインピーダンスをZS(=ρ・VS)とする。
すると、圧電基板22aは、ρB=4.70g/cm3,VLB=4800m/s,VSB=3500m/sより、ZLB=22.56MRayl,ZSB=16.45MRaylとなる。反応容器7は、ρC=2.32g/cm3,VLC=5640m/s,VSC=3280m/sより、ZLC=13.1MRayl,ZSC=7.6MRaylとなる。
このとき、振動子22bが音波を発生した場合、図9に示すように、音波は、圧電基板22a内では横波SB(ZSB=16.45MRayl)の音波モードが存在する。また、反応容器7の側壁7a内では、圧電基板22a内の横波SBに起因する縦波LC(SB)(ZLC=13.1MRayl)と横波SC(SB)(ZSC=7.6MRayl)の二つの音波モードが存在する。ここで、振動子22bが二方向性櫛歯状電極の場合、図9においては、音波の縦波及び横波は、振動子22bの中央を通り圧電基板22aの板面に垂直な線Lsの上下に対称に生ずるが、図面表示の簡単のため線Lsの上側の縦波及び横波についてのみ図示している。
従って、攪拌装置20は、反応容器7及び液体Lの素材を上記のように選択すると、隣接する媒質間の音響インピーダンスの差から、図9に示すように、振動子22bが発生した音波により、主に横波SBが圧電基板22a内を伝搬し、圧電基板22aから反応容器7に入射する。すると、反応容器7内を伝搬する音波のモードは、圧電基板22aと反応容器7の側壁7aとの境界における音響インピーダンスの差が略同じ縦波LC(SB)が主となる。このように、境界における音響インピーダンスの差の大小関係によって縦波或いは横波の入射、伝搬のし易さを判断することができる。但し、攪拌装置20は、圧電基板22aの音響インピーダンスと反応容器7の音響インピーダンスを略同じにすると、圧電基板22aと反応容器7との間で音波の干渉をなくすと共に、伝搬ロスを抑制することができ、効率の良い液体の攪拌を実現することができることは上述の通りである。
ここで、攪拌装置20は、図10に示す反応容器7のように、表面弾性波素子24を底壁7c下面にオプティカルコンタクトによって接合してもよい。表面弾性波素子24は、図11に示すように、基板24aの表面の中央に櫛型電極(IDT)からなる振動子24bが設けられ、受電手段となるアンテナ24cは振動子24bを囲むようにして一体に設けられている。このとき、表面弾性波素子24は、図12に示すように、振動子22bを反応容器7の外側に向け、オプティカルコンタクトによって底壁7cに接合する。また、攪拌装置20は、送電体21のRF送信アンテナ21aを反応ホイール6の凹部6a底壁に設ける。
なお、反応容器7に表面弾性波素子を接合する接合法として、常温接合法であるオプティカルコンタクトの他、例えば、反応容器7の表面や圧電基板22,24表面の接合の妨げとなる表面層を除去することにより、表面の原子の結合手同士を直接結合させ、強固な接合を実現する表面活性化接合法を用いても良い。この接合法の場合、表面層を除去するにはイオンビームやプラズマ等によるスパッタエッチングを利用することができる。その他、真空中で反応容器の表面や表面弾性波素子の圧電基板表面にアルゴン等の不活性な原子のビームを照射し、清浄な表面を露出させた後、真空中で反応容器と表面弾性波素子の圧電基板とを接合しても良い。
(実施の形態2)
次に、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1は、表面弾性波素子に無線によって電力を供給したが、実施の形態2は、有線によって表面弾性波素子に電力を供給している。図13は、実施の形態2の自動分析装置の概略構成図である。図14は、図13の自動分析装置の構成を示すブロック図である。図15は、図13の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。図16は、表面弾性波素子が取り付けられ、図13の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。ここで、実施の形態2の自動分析装置は、攪拌装置が実施の形態1の攪拌装置20と同じ反応容器を使用しているので、反応容器については同じ符号を使用して説明している。
自動分析装置30は、図13及び図14に示すように、試薬テーブル31,32、反応ホイール33、検体容器移送機構37、測光系42、洗浄機構43、制御部45及び攪拌装置50を備えている。
試薬テーブル31,32は、図13に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器31a,32aを保持し、図示しない駆動手段に回転されて試薬容器31a,32aを周方向に搬送する。
反応ホイール33は、図13に示すように、複数の反応容器7が周方向に沿って配列され、図示しない駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器7を搬送する。反応容器7は、近傍に設けた試薬分注機構35,36によって試薬テーブル31,32の試薬容器31a,32aから試薬が分注される。ここで、試薬分注機構35,36は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム35a,36aに試薬を分注するプローブ35b,36bが設けられ、洗浄水によってプローブ35b,36bを洗浄する洗浄手段を有している。
反応容器7は、図14に示すように、側壁7aに取り付けられる表面弾性波素子54と共に攪拌装置50を構成している。
検体容器移送機構37は、図13に示すように、フィーダ38に配列した複数のラック39を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック39を歩進させながら移送する。ラック39は、検体を収容した複数の検体容器39aを保持している。ここで、検体容器39aは、検体容器移送機構37によって移送されるラック39の歩進が停止するごとに、水平方向に回動する駆動アーム41aとプローブ41bとを有する検体分注機構41によって検体が各反応容器7へ分注される。このため、検体分注機構41は、洗浄水によってプローブ41bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
測光系42は、試薬と検体とが反応した反応容器7内の液体を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図13に示すように、発光部42a,分光部42b及び受光部42cを有している。発光部42aから出射された分析光は、反応容器7内の液体を透過し、分光部42bと対向する位置に設けた受光部42cによって受光される。受光部42cは、制御部45と接続されている。
洗浄機構43は、ノズル43aによって反応容器7内の液体を吸引して排出した後、ノズル43aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、測光系42による分析が終了した反応容器7を洗浄する。
制御部45は、自動分析装置30の各部の作動を制御すると共に、発光部42aの出射光量と受光部42cが受光した光量に基づく反応容器7内の液体の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析し、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部45は、図13及び図14に示すように、キーボード等の入力部46及びディスプレイパネル等の表示部47と接続されている。
攪拌装置50は、表面弾性波素子54を駆動して発生する音波によって反応容器7に保持された液体を攪拌するもので、反応容器7の他に、図13及び図14に示すように、送電体51と表面弾性波素子54とを有している。送電体51は、反応ホイール33外周の互いに対向する位置に反応容器7と水平方向に対向させて配置され、数MHz〜数百MHz程度の高周波交流電源から供給される電力を表面弾性波素子54に送電する。送電体51は、駆動回路とコントローラとを備えており、図16に示すように、表面弾性波素子54の電気端子54dに当接するブラシ状の接触子51aを有している。このとき、送電体51は、図13に示すように、配置決定部材52に支持されており、反応ホイール33の回転が停止したときに接触子51aから電気端子54dに電力を送電する。
配置決定部材52は、制御部45によって作動が制御され、送電体51から電気端子54dに電力を送電する送電時に、送電体51を移動させて送電体51と電気端子54dとの反応ホイール33の周方向並びに半径方向における相対配置を調整するもので、例えば、2軸ステージが使用される。具体的には、配置決定部材52は、反応ホイール33が回転し、送電体51から電気端子54dに電力を送電していない非送電時は、作動が停止されて、送電体51と電気端子54dとを一定の距離に保持している。そして、配置決定部材52は、反応ホイール33が停止し、送電体51から電気端子54dに電力を送電する送電時には、制御部45の制御の下に作動して送電体51を移動させ、送電体51と電気端子54dとが対向するように反応ホイール33の周方向に沿った位置を調整すると共に、送電体51と電気端子54dとを近接させて接触子51aと電気端子54dとを接触させることで送電体51と電気端子54dとの相対配置を決定する。
ここで、攪拌装置50は、自動分析装置30の制御部45を配置決定手段として使用し、反応ホイール33を回転駆動するモータ等の駆動手段を制御部45によって制御することにより反応ホイール33の周方向に沿った送電体51と電気端子54dとの相対配置を調整してもよい。このように、配置決定部材52は、送電体51と電気端子54dとが対向するように少なくとも反応ホイール33の周方向に沿った送電体51と電気端子54dとの相対配置を調整することができればよい。一方、送電体51と電気端子54dとの相対配置は、例えば、送電体51側に反射センサを設け、反応容器7或いは表面弾性波素子54の特定個所に設けた反射体からの反射を利用する等によって検出する。このとき、検出した相対配置のデータは制御部45に入力しておく。
表面弾性波素子54は、図15及び図17に示すように、圧電基板54aの一方の面に櫛歯状電極(IDT)からなる振動子54bが設けられると共に、バスバー54cが他方の面まで延設され、バスバー54cの端部に電気端子54dが設けられた音波発生手段である。振動子54bは、送電体51から送電された電力によって音波を発生する発音部である。表面弾性波素子54は、自動分析装置30に反応容器7をセットしたとき、振動子54bを構成する複数の櫛歯状電極が鉛直方向に配列されるように、表面弾性波素子54を反応容器7の側壁7aに取り付ける。このとき、表面弾性波素子54は、振動子54bを反応容器7の外側に向けて反応容器7の側壁7aにオプティカルコンタクトによって接合する。
ここで、受電手段となる電気端子54dを含めて表面弾性波素子54は、測光系42による測光を妨げないように、図15及び図17に示すように、側壁7aの下部を避けて側壁7aの上下方向中間位置に配置し、側壁7aの下部を測光窓7fとして使用する。表面弾性波素子54は、振動子54bとして櫛歯状電極(IDT)を使用するので、構造が簡単で小型な構成とすることができる。なお、振動子54bは、櫛歯状電極(IDT)に代えてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用してもよい。
以上のように構成される自動分析装置30は、制御部45の制御の下に作動し、回転する反応ホイール33によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器7に試薬分注機構35,36が試薬容器31a,32aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器7は、検体分注機構41によってラック39に保持された複数の検体容器39aから検体が順次分注される。そして、試薬と検体が分注された反応容器7は、反応ホイール33が停止する都度、攪拌装置50によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応ホイール33が再び回転したときに測光系42を通過する。このとき、反応容器7内の液体は、発光部42aから出射された後、透過した分析光が受光部42cで測光され、制御部45によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器7は、洗浄機構43によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
このとき、攪拌装置50は、反応ホイール33が停止したときに送電体51が接触子51aから電気端子54dに電力を送電する。これにより、表面弾性波素子54は、振動子54bが駆動され、バルク波を誘起する。この誘起されたバルク波が、圧電基板54a内を液体L側へ伝搬した後、オプティカルコンタクトによって接合された反応容器7の側壁7aへ直接伝搬し、音響インピーダンスが近い液体中へ漏れ出してゆく。この結果、反応容器7内には、液体L中の振動子54bに対応する位置を起点として、図18に矢印で示すように、斜め上方向に向かう流れFccと、斜め下方向に向かう流れFcwが、それぞれ生じる。この2つの流れによって、反応容器7は、保持した液体Lが攪拌される。このとき、攪拌装置50は、配置決定部材52によって送電体51を電気端子54dに近接させると共に、送電体51と電気端子54dとが対向するように位置を調整するので、送電体51から電気端子54dへの送電が円滑に行われる。
また、反応容器7は、振動子54bを液体Lに隣接する側壁7aとは反対の外側に向け、表面弾性波素子54がオプティカルコンタクトによって側壁7aに接合されている。このため、攪拌装置50は、振動子54bが発生した音波が圧電基板54a内を伝搬した後、側壁7aへ伝搬し、隣接する液体Lに入射する。従って、自動分析装置30は、使用する攪拌装置50における側壁7aの音響インピーダンスと圧電基板54aの音響インピーダンスとを略同じにすると、側壁7aと圧電基板54aとの間のバルク波の干渉をなくすと共に、音波の伝搬経路が短いため、音波の伝搬ロスを抑制し、液体Lの攪拌効率を向上させることができる。しかも、攪拌装置50は、反応容器7と表面弾性波素子54との接合にオプティカルコンタクトによる接合法を使用し、接合を常温で行うため、接合する材料の種類が異なり、線膨張係数が違っていても、接合後の歪に起因した材料の剥離の心配が少ないという利点を有している。
従って、攪拌装置50は、表面弾性波素子54が発生した音波の伝搬効率に優れており、構造も簡単である。この結果、攪拌装置50を使用した自動分析装置30は、従来の分析装置に比べて小型化が可能であり、メンテナンスも容易になるという利点がある。また、表面弾性波素子54は、圧電基板54aの外側に振動子54bが配置され、振動子54bは大気に曝されて固体に覆われていないので、振動子54bの励振が抑制され難く、駆動の際のエネルギー損失を小さく抑えることができる。
なお、実施の形態2の攪拌装置50は、送電体51がブラシ状の接触子51aを電気端子54dに当接させて電力を表面弾性波素子54に送電するように構成した。しかし、攪拌装置50は、表面弾性波素子54に送電する際、反応ホイール33が停止した後、ラックとピニオンとを有する配置決定部材52によって送電体51を反応容器7に近接させ、図19に示すように、送電体51に設けたばね付き端子51bが電気端子54dへ当接するように構成してもよい。このような構成とした場合、自動分析装置30は、反応ホイール33を回転させて反応容器7を搬送するときに、ばね付き端子51bが表面弾性波素子54と干渉しないように、配置決定部材52によって送電体51を反応容器7から遠ざける。
また、攪拌装置50は、試薬や検体を含む液体の攪拌のために反応ホイール33が停止した際、攪拌対象の液体を保持した反応容器7が停止する位置若しくは攪拌停止位置の近傍に送電体51を配置する。これにより、攪拌装置50は、電送距離を短くすることができ、電送効率を向上させることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1,2の攪拌装置は、表面弾性波素子をオプティカルコンタクトによって反応容器に接合したが、実施の形態3の攪拌装置は、低温はんだを用いて表面弾性波素子を反応容器に接合している。図20は、実施の形態3の攪拌装置の構成を示すブロック図を、攪拌装置を構成する反応容器の斜視図と共に示す図である。図21は、保持した液体中に生ずる流れを示す反応容器の断面図である。図22は、図21に示す反応容器のC部拡大図である。ここで、実施の形態3の攪拌装置は、実施の形態1の攪拌装置20と同じ構成部分に同じ符号を使用して説明している。
攪拌装置60は、図20及び図21に示すように、振動子22bを外側に向け、測光窓7fを避けて測光窓7f上部の側壁7aに表面弾性波素子22の圧電基板22aが側壁7a低温はんだ23によって接合されている。このとき、攪拌装置60は、側壁7aと圧電基板22aと間に側壁7a及び圧電基板22aに音響インピーダンスが近い低温はんだ23を配置し、超音波接合により表面弾性波素子22を反応容器7の側壁7aに接合する。
従って、攪拌装置60は、表面弾性波素子22を駆動すると、図22に示すように、誘起されるバルク波Wbが、圧電基板22a内を伝搬し、低温はんだ23から反応容器7の側壁7aへ入射し、側壁7a内を伝搬した後、液体Lへ漏れ出してゆく。この結果、漏れ出したバルク波によって反応容器7内の液体L中には、図21に示すように、振動子22bの斜め上方向に向かう流れFccが生じると共に、振動子22bの斜め下方向に向かう流れFcwが生じ、分注された試薬と検体とが攪拌される。
このとき、攪拌装置60は、低温はんだ23によって表面弾性波素子22の圧電基板22aが側壁7aに接合されている。ここで、低温はんだ23、圧電基板22a及び反応容器7の音響インピーダンスはほぼ等価であるため、攪拌装置60は、表面弾性波素子22と反応容器7との間における音波の透過率の変動がなく、装置相互間の攪拌性能のバラつきが抑制される。また、自動分析装置1は、無線によって攪拌装置60に表面弾性波素子22の駆動電力を供給するので、電力供給機構を簡単な構成にすることができるうえ、電力供給の際に、部品相互が接触しないので、故障し難いという利点がある。
ここで、反応容器7に表面弾性波素子22を低温はんだ23によって接合した場合と、接着剤によって接合した場合における音波の透過率の違いを測定した。測定に当たっては、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用し、低温はんだ23及び接着剤の厚さを0〜40μmの範囲で変化させて圧電基板22aを反応容器7の側壁7aに接合した攪拌装置60を用い、振動子22bを中心周波数で駆動した場合に発生する音波の表面弾性波素子22と反応容器7との間における透過率を測定した。このとき、透過率は、実施の形態1と同じ方法により測定した。このときの測定結果を図23に示す。
図23に示すように、低温はんだ23で接合した場合、透過率は約80〜100%の間で増減し、変化幅が約20%であったのに対し、接着剤で接合した場合、透過率は約15〜95%の間で増減し、変化幅は約80%であった。従って、攪拌装置60は、反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合すると、表面弾性波素子22と反応容器7との間における音波の透過率の変化が、接着剤によって接合した場合に比べて略一定に保持されるので、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することができる。
また、反応容器7と表面弾性波素子22とを接合する低温はんだ23の厚さを、それぞれ20μm,45μmとし、攪拌装置60における表面弾性波素子22から反射されてくる電力反射率を駆動周波数60〜90MHzの範囲で測定したところ図24に示す結果が得られた。このとき、表面弾性波素子22から反射されてくる反射電力はSWR計によって測定した。
図24に示すように、反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合した攪拌装置60は、低温はんだ23の厚さが倍以上異なっても、電力反射率が殆ど同じ程度であり、表面弾性波素子22と反応容器7との間における音波の透過率の変化が略一定に保持されることと相俟って、攪拌性能の変動が殆どないことが分かる。
一方、電力反射率は、反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合した場合と、反応容器7と表面弾性波素子22とを接着剤で接着した場合では、図25に示すように異なる。図25は、攪拌装置60において、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用し、低温はんだ23及び接着剤の厚さをそれぞれ20μm、0.5μmとした場合に、駆動周波数60〜87MHzの範囲で測定した電力反射率の測定結果を示す図である。
反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合した場合、電力反射率は、図25に示すように、駆動周波数によって増減を示すが、滑らかに変化する。これに対し、接着剤で接着した場合、電力反射率は、駆動周波数によって増減を示しつつ、攪拌に寄与しない不要振動に起因する微細な振動が多く発生する。この場合、本発明者らの実験によれば、これら微細な不要振動は、接着剤の厚さに依存して発生のしかたが変動し、この結果、攪拌装置60の攪拌性能がバラつく原因となることが分かった。従って、反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合すると、攪拌装置60は、装置相互間の攪拌性能のバラつきを抑制することができる。
また、図26は、攪拌装置における表面弾性波素子の駆動周波数(MHz)と混合時間(sec)との関係を示す図である。具体的には、反応容器7と表面弾性波素子22とを厚さ20μmの低温はんだ23によって接合した攪拌装置60と、反応容器7と表面弾性波素子22とを紫外線硬化樹脂からなる厚さ0.5μmの接着剤で接着したことを除き攪拌装置60と構成が同一の攪拌装置を用い、駆動周波数(MHz)を変化させて同一量の液体を攪拌した場合に均一に攪拌するのに要した混合時間(sec)の測定結果を示している。
図26に示す結果から明らかなように、反応容器7と表面弾性波素子22とを低温はんだ23によって接合した攪拌装置60は、周波数変化に伴う攪拌性能の変動が接着剤を使用した攪拌装置に比べて大きいが、特定の駆動周波数、特に、80〜84MHzの駆動周波数で駆動すると、攪拌性能の変動が小さく抑えられ、攪拌性能が安定しているという利点がある。
なお、実施の形態3の攪拌装置60は、攪拌装置50のように有線によって電力を供給してもよい。
実施の形態1の自動分析装置を示す概略構成図である。 実施の形態1の自動分析装置で使用する反応容器及び反応ホイールの一部を攪拌装置の概略構成図と共に示す斜視図である。 実施の形態1の攪拌装置の構成を示すブロック図を、攪拌装置を構成する反応容器の斜視図と共に示す図である。 図3の反応容器の側壁に取り付ける表面弾性波素子の斜視図である。 保持した液体中に生ずる流れを示す図3に示す反応容器の断面図である。 図5に示す反応容器のA部拡大図である。 表面弾性波素子と反応容器との間の接着剤の厚さと表面弾性波素子と反応容器との間における透過率との関係を示す図である。 攪拌装置における表面弾性波素子の駆動周波数(MHz)と混合時間(sec)との関係を示す図である。 音波の伝搬経路上に存在する圧電基板と反応容器の側壁の音響インピーダンス並びに縦波と横波の伝搬を説明する拡大断面図である。 実施の形態1の攪拌装置で使用する反応容器の変形例を示す断面図である。 図10に示す反応容器で使用する表面弾性波素子の正面図である。 図10に示す反応容器のB部拡大図である。 実施の形態2の自動分析装置の概略構成図である。 図13の自動分析装置の構成を示すブロック図である。 図13の自動分析装置で使用される攪拌装置の表面弾性波素子と、表面弾性波素子を取り付けた反応容器とを示す斜視図である。 表面弾性波素子が取り付けられ、図13の自動分析装置で使用される反応容器を送電体と共に示す斜視図である。 表面弾性波素子が取り付けられた反応容器の正面図である。 図17に示す反応容器のC−C線に沿った断面図である。 接触子をばね付き端子に代えた送電体の変形例を反応容器と共に示した斜視図である。 実施の形態3の攪拌装置の構成を示すブロック図を、攪拌装置を構成する反応容器の斜視図と共に示す図である。 保持した液体中に生ずる流れを示す反応容器の断面図である。 図21に示す反応容器のC部拡大図である。 低温はんだを用いた攪拌装置と、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用した攪拌装置において、これらの厚さと表面弾性波素子と反応容器との間における音波の透過率との測定結果を示す図である。 低温はんだの厚さが異なる場合における、攪拌装置の電力反射率に関する周波数特性図である。 低温はんだを用いた攪拌装置と、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用した攪拌装置において、駆動周波数60〜87MHzの範囲で測定した電力反射率の測定結果を示す図である。 低温はんだを用いた攪拌装置と、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用した攪拌装置において、表面弾性波素子の駆動周波数(MHz)と混合時間(sec)との関係を示す図である。
符号の説明
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応ホイール
7 反応容器
10 測光装置
11 洗浄装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
20 攪拌装置
21 送電体
22,24 表面弾性波素子
23 低温はんだ
30 自動分析装置
31,32 試薬テーブル
33 反応ホイール
35,36 試薬分注機構
37 検体容器移送機構
38 フィーダ
39 ラック
41 検体分注機構
42 測光系
43 洗浄機構
45 制御部
46 入力部
47 表示部
50 攪拌装置
51 送電体
52 配置決定部材
54 表面弾性波素子
60 攪拌装置

Claims (8)

  1. 液体を保持する容器と、
    前記容器に接合され、前記液体を攪拌する音波を当該液体へ照射する音波発生手段と、
    を備え、
    前記音波発生手段は、前記容器との間に接合層を介さずに接合され、又は、前記容器との間に低温はんだを介して接合されていることを特徴とする攪拌装置。
  2. 前記音波発生手段は、常温接合法によって前記容器に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
  3. 前記常温接合法は、オプティカルコンタクトによる接合法であることを特徴とする請求項2に記載の攪拌装置。
  4. 前記音波発生手段は、前記容器とは異なる材料から形成されていることを特徴とする請求項3に記載の攪拌装置。
  5. 前記音波発生手段は、超音波接合法によって前記容器に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
  6. 前記音波発生手段は、
    前記容器に接合される圧電基板と、
    前記圧電基板上に設けられ、前記液体を攪拌する音波を発生する櫛歯状電極と、
    を有する表面弾性波素子であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
  7. 前記櫛歯状電極は、前記容器及び前記圧電基板を介して前記液体に隣接する前記容器の外側に配置されることを特徴とする請求項6に記載の攪拌装置。
  8. 複数の異なる液体を攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する自動分析装置であって、請求項1〜7のいずれか一つに記載の攪拌装置を用いて検体と試薬とを攪拌して反応させ、反応液を光学的に分析することを特徴とする自動分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116086546A (zh) * 2023-03-07 2023-05-09 中北大学 一种温度与力学参数实时原位同测的装置及方法

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