JP2008169577A - トンネル構造およびトンネル工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のトンネル(シールドトンネル1A,1B,2A,2B)を上下方向および横方向に間隔をおいて並べて多連多段に構築し、各段のトンネルどうしの間を拡幅してそこに拡幅部5A,5Bをそれぞれ設ける。各段の拡幅部の間を掘削してそこに上下の拡幅部どうしを連結する支保構造体10を構築する。支保構造体は、上段の拡幅部5Aの下部床版4Aと、下段の拡幅部5Bの上部床版3Bと、それらを一体に連結する補強壁版からなり、その支保構造体を上下の拡幅部の施工に先立って先行構築する。
【選択図】図10
Description
なお、以下の説明においては上段および下段に共通する構成要素には同一符号を付すが、特に区別する必要がある場合には上段に係わる構成要素についてはAの添字を付し、下段に係わる構成要素にはBの添字を付す。
しかし、上記のような従来一般的な工法では各段の拡幅部5の施工に際して大がかりな支保工が不可欠であるし、上部床版3と下部床版4のいずれにも過大な断面力が作用するのでその所要強度および版厚は大きなものとならざるを得ない。
特許文献1に示される工法は、2本のシールドトンネルを横方向に2連に先行構築する際にその側面のセグメントを切削可能なものとしておいて、後段において矩形シールドによってそのセグメントを切削しながら2本のシールドトンネル間を掘削して拡幅部を施工するというものであり、この工法によって上下2段のトンネルを構築することにより図11(b)に示すものとほぼ同様の形態のトンネルを構築することができる。
特許文献2に示される工法は、2段2連の4本のシールドトンネルを構築することに代えて2本のシールドトンネルを上下方向に2段に設けるのみとして、その側方に地中壁を設け、各段のシールドトンネルと地中壁との間を拡幅することによってほぼ同様の形態のトンネルを構築するものである。この工法においては、特にシールドトンネルの覆工を鋼製セグメントによるものとして、拡幅部の上下に設ける鉄筋コンクリート造の床版をその鋼製セグメントに対して接合することにより、それらを構造的に確実に一体化させ得るとともに施工性を改善できるという利点もある。
本実施形態では、基本的には図11に示した従来一般の工法と同様に、まず4本のシールドトンネル1,2(1A,2A,1B,2B)を2段2連に構築し、各段の2本のシールドトンネル1,2間を拡幅してそこに分岐合流部となる拡幅部5(5A,5B)を設けて最終的には横長断面の2本の道路トンネルを上下2段に設けるのであるが、本実施形態では各段に拡幅部5を施工するに先立って各シールドトンネル間に支保構造体10(図5参照)を先行構築することを主眼とする。
なお、以下の説明では、適宜、分岐合流部トンネルとなるシールドトンネル2A,2Bを分岐合流部トンネル2A,2Bと言い換え、本線トンネルとなるシールドトンネル1A,1Bを本線トンネル1A,1Bと言い換える。
支保構造体10は上壁部と下壁部と左右の側壁部とによる矩形断面とされて実質的にそれ自体がトンネルとして機能するものであるが、その上壁部は後段で施工する上段側の拡幅部5Aの下部床版4Aとなり、下壁部は同じく下段側の拡幅部5Bの上部床版3Bとなるものであり、左右の側壁部はそれら下部床版4Aと上部床版3Bとを構造的に連結してそれらを補強する2枚の補強壁版15として機能するものである。
また、支保構造体10はその上下に構築される拡幅部5A,5Bの下部床版4Aと上部床版3Bとを構造的に一体に連結して補強するものであるので、それら下部床版4Aと上部床版3Bに発生する断面力や、それらとトンネル覆工体との接合部における断面力を大幅に改善することができ、したがってそれらの版厚や所要鉄筋量を充分に削減することが可能であるし、ひいてはトンネル内の有効空間の拡大に寄与し得て道路標識の設置空間や換気ダクト類の設置スペース等を確保し易くなる利点も得られる。
しかも、支保構造体10は施工時はもとより完成後においてもそれ自体が実質的にトンネルとして機能するので、必要に応じてこの支保構造体10を換気ダクトやパイプスペース、あるいは保守通路や避難通路、共同溝といった様々な用途に有効活用することが可能である。
勿論、支保構造体10の先行構築はいずれかのシールドトンネル内からの作業により適宜の在来工法によって支障なく容易に行い得るし、特許文献1に示される工法のように特殊なシールド機を用いたり、特許文献2に示される工法のように地表部からの工事を必要とするものでもないから、従来工法に比べて充分に工費削減と工期短縮を図ることができる。
また、それらを鉄筋コンクリート造とする場合においては、特許文献2に示されているように、各シールドトンネル1,2のセグメントとして鋼製セグメントを使用して、その鋼製セグメントに対して上部床版3や下部床版4のみならず支保構造体10を構成する鉄筋をワンタッチ継手により機械的に接合することが好ましい。そのようにすれば、上部床版3や下部床版4および支保構造体10全体の施工を効率的に実施できるし、それらとセグメントとの構造的な一体化を確実かつ充分に図ることができ、したがって上部床版3や下部床版4およびその機能を兼ねる支保保構造体10の断面力をさらに改善することが可能となる。
たとえば上記実施形態は2段2連の4本のシールドトンネルによる上下2段の道路トンネルに対し分岐合流部となる拡幅部を構築する場合の適用例であるが、本発明はさらに多数のトンネルを多連多段に設ける場合にも同様に適用できるものであって、いずれにしても各トンネル間に支保構造体を先行構築してその支保構造体を介して各段の拡幅部どうしを構造的に一体化することにより同様の効果が得られる。
また、支保構造体はその周囲の各トンネルを支保するものであれば良く、その限りにおいて支保構造体の設置形態や断面形状は任意であって、必ずしも上記実施形態のようにそれ自体がトンネルとして機能するものとする必要はない。
勿論、各トンネルの構造や断面形状、寸法は任意であって、必ずしもシールド工法によるシールドトンネルに限るものではなく他の工法によるトンネルであっても良いし、それらのトンネルは全体として上下方向および横方向に配置されていれば良いのであって必ずしも水平方向や鉛直方向に並べる必要はなく、水平や鉛直に対して斜め方向に並べることでも良い。
また、本発明は道路トンネルに限らず鉄道トンネルをはじめとする各種用途のトンネルや、さらには同様の形態のトンネル状の地下構造物の施工に際しても適用できることは当然であり、したがって拡幅部の構造や形状もその用途や目的に応じて適宜変更すれば良い。
いずれにしても、各トンネル間にそれらを構造的に連結して支保するための支保構造体を先行構築してから各段を拡幅して拡幅部を施工するという本発明工法の要旨を逸脱しない範囲内であれば、トンネル全体の形態や断面形状、具体的な施工手順や補助工法その他細部の具体的な要件については,各トンネルの構造や大きさ、トンネル全体の形態や規模、用途等を考慮して最適設計すれば良い。
2(2A,2B) シールドトンネル(トンネル、分岐合流部トンネル)
3(3A,3B) 上部床版
4(4A,4B) 下部床版
5(5A,5B) 拡幅部(分岐合流部)
10 支保構造体
11 曲線パイプルーフ
12,13 土留め壁
15 補強壁版
16 先受け工
17 支保工
18側壁
Claims (4)
- 複数のトンネルが上下方向および横方向に間隔をおいて並べられて多段多連に構築され、
それら多段多連のトンネルの間が掘削されてそこに支保構造体が構築され、
各段のトンネルの間が掘削されてそこに拡幅部がそれぞれ構築されるとともに、各段の拡幅部が前記支保構造体を介して一体に連結されてなることを特徴とするトンネル構造。 - 請求項1記載のトンネル構造であって、
分岐合流部トンネルとしての2本のトンネルが上下方向に間隔をおいて2段に構築されるとともに、それらトンネルの側方に間隔をおいて本線トンネルとしての2本のトンネルがそれぞれ構築され、
それら2段2連のトンネルの間が掘削されて、上段の拡幅部の下部床版と下段の拡幅部の上部床版とそれらを一体に連結する補強壁版からなる支保構造体が構築され、
各段の2連のトンネルどうしの間が拡幅されて上段の拡幅部の上部床版と下段の拡幅部の下部床版が施工されて各段の拡幅部が構築されてなることを特徴とするトンネル構造。 - 複数のトンネルを上下方向および横方向に間隔をおいて並べて多段多連に構築し、
それら多段多連のトンネルの間を掘削してそこに支保構造体を先行構築した後、
各段のトンネルの間を掘削してそこに拡幅部をそれぞれ構築するとともに、各段の拡幅部を前記支保構造体を介して一体に連結することを特徴とするトンネル工法。 - 請求項3記載のトンネル工法であって、
分岐合流部トンネルとしての2本のトンネルを上下方向に間隔をおいて2段に構築するとともに、それらトンネルの側方に間隔をおいて本線トンネルとしての2本のトンネルをそれぞれ構築し、
それら2段2連のトンネルの間を掘削して、上段の拡幅部の下部床版と下段の拡幅部の上部床版とそれらを一体に連結する補強壁版からなる支保構造体を先行構築した後、
各段の2連のトンネルどうしの間を拡幅して上段の拡幅部の上部床版と下段の拡幅部の下部床版を施工して各段の拡幅部を構築することを特徴とするトンネル工法。
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