JP2008168285A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の乾燥工程を必要とせず、かつ付着性に優れ、さらに高度の耐食性、耐水性を有する塗膜を提供する。
【解決手段】被塗物面に、水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)の水性分散体を含む水性下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成し、その上に水酸基含有樹脂(B)及びポリイソシアネート化合物(C)を含有する上塗り塗料組成物を塗装して上塗り塗膜を形成する複層塗膜形成方法であって、
前記ポリウレタン樹脂(A)が、ポリエポキシ化合物(a)とアミン化合物(b)との反応によって得られる末端にアミノ基を有するエポキシプレポリマー(I)と、カルボキシル基含有ジオール(c)を含む1分子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(d)とポリイソシアネート化合物(e)との反応により得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(II)との反応によって得られるものであることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、被塗物面対して耐水性、耐食性に優れる複層塗膜を形成し得る複層塗膜形成方法に関する。
従来、建設機械や農業機械等の工業機械製品の塗装は、塗膜性能として耐食性と耐候性が要求され、下塗り塗料と上塗り塗料からなる複層塗膜が一般的に使用されている。従来の塗膜形成方法は、下塗り塗料に常温乾燥型アルキド樹脂塗料や1液型エポキシ樹脂塗料などを塗装、乾燥した後、上塗り塗料に2液型ウレタン樹脂塗料やポリエステル−メラミン樹脂塗料などを塗装、乾燥する工程が採用され、塗装する部位や部品に応じて適宜使用されている。上記塗料はいずれも有機溶剤型塗料であるが、近年、塗料分野では、省資源、環境衛生、無公害、非危険物化等の観点から、有機溶剤型塗料から水性塗料への転換が進められている。しかしながら、工業機械製品の塗装においては、工業機械製品自体が大型なものが多いことから塗装設備、乾燥設備等に制約があること、また高度に要求される塗膜性能を十分満足する水性塗料が得られていない等の理由から、水性塗料の使用が進んでいないのが現状である。そのため、環境に配慮しつつ塗膜性能を十分満足する塗膜形成方法が望まれている。
特許文献1には、大型金属材への水性塗料の塗装方法に関する発明が開示されている。有機溶剤型塗料を使用しない点で環境に配慮しているが、3層構造を必要とする点や各塗料を塗装するごとに高温での乾燥工程を必要とする点では満足するものではない。
特開2005−131460号公報
本発明の目的は、水性下塗り塗料組成物を使用し、かつ高温乾燥工程を必要とせずに、高度の耐食性、耐水性を有する塗膜を形成し得る複層塗膜形成方法及び該複層塗膜形成方法により形成される塗装物品を提供することにある。
本発明は、被塗物面に、水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)の水性分散体を含む水性下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成し、その上に水酸基含有樹脂(B)及びポリイソシアネート硬化剤(C)を含有する上塗り塗料組成物を塗装して上塗り塗膜を形成する複層塗膜形成方法であって、該ポリウレタン樹脂(A)が、ポリエポキシ化合物(a)とアミン化合物(b)との反応によって得られる末端にアミノ基を有するエポキシプレポリマー(I)と、カルボキシル基含有ジオール(c)を含む1分子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(d)とポリイソシアネート化合物(e)との反応により得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(II)との反応によって得られるものであることを特徴とする複層塗膜形成方法、及び該複層塗膜形成方法により形成される塗装物品に関する。
本発明の複層塗膜形成方法によれば、下塗り塗料に水性塗料を使用し、高温乾燥工程を必要としないことから、環境への配慮に優れ、また、被塗物との付着性及び上塗り塗膜と下塗り塗膜の付着性に優れ、さらに耐食性、耐水性に優れた複層塗膜を形成することが可能となる。
水性下塗り塗料組成物
本発明に用いられる水性下塗り塗料組成物は、被塗物面に塗装して下塗り塗膜を形成する塗料であって、水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)の水性分散体を含有する。
水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)はエポキシプレポリマー(I)とウレタンプレポリマー(II)との反応によって得られる。
エポキシプレポリマー(I)は、末端にアミノ基を有し、ポリエポキシ化合物(a)とアミン化合物(b)との反応によって得られる。
ポリエポキシ化合物(a)は、1分子中に2つ以上エポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂をアルキルフェノール及び脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の変性剤によって変性してなる変性エポキシ樹脂;アルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ基導入アルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂;二塩基酸変性エポキシ樹脂、二塩基酸及びカルボキシル基含有フェノールで変性したエポキシ樹脂などを挙げることができる。
アミン化合物(b)は、1級アミノ基を有する化合物であり、例えばプロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン等の脂肪族アミン;ベンジルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等の芳香族アミン;シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミンなどを挙げることができる。
またアミン化合物(b)として、高反応性の活性水素基をポリウレタン樹脂(A)中に残す場合には、アルカノールアミンを用いることができる。該アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
さらにアミン化合物(b)として、形成塗膜の耐水性等向上の点から、アミノシランを用いることができる。該アミノシランは、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を含有するものであり、その具体例としては、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
上記エポキシプレポリマー(I)の製造は、特に限定されることなく従来公知の手法が採用でき、通常、50〜250℃で1〜24時間加熱することにより行われる。上記(a)及び(b)成分の使用割合は種々変えることができるが、(a)成分中のエポキシ基と(b)成分中のアミノ基との当量比が一般に1:0.5〜1:2、好ましくは1:0.5〜1:0.9になるようにするのが望ましい。
このように製造されたエポキシプレポリマー(I)は、数平均分子量が500〜10000、好ましくは1000〜8000であることが、合成時の粘度制御や形成塗膜の耐食性等の点から好適である。ここで数平均分子量は計算値であり、上記(a)成分のモル数をM、分子量をmとし、(b)成分のモル数をN、分子量をnとしたときに以下の計算式によって算出されるものである。
数平均分子量={M×m/|M−N|}+{N×n/|M−N|}
(ここで、|M−N|は、M−Nの絶対値を表す。)
ウレタンプレポリマー(II)は、末端にイソシアネート基を有し、カルボキシル基含有ジオール(c)を含む1分子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(d)とポリイソシアネート化合物(e)との反応により得られるものである。
カルボキシル基含有ジオール(c)としては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸及びこれ等を縮合したポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これ等に12−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。
化合物(d)は、上記カルボキシル基含有ジオール(c)を含むものであり、さらに必要に応じて該(c)以外の1分子中に少なくとも2個以上の活性水素基を有する、例えば低分子量グリコール類、高分子量グリコール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等をそれぞれ単独に用いてもよく、また、ポリエステルポリオールや高分子量グリコールに低分子量グリコールを併用しても良い。
低分子量グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどがあり、これ等は単独または2種以上混合して使用しても良い。
高分子量グリコール類としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートグリコールなどが挙げられ、ポリエステルポリオール類としては、グリコール成分とジカルボン酸成分を反応させたものが挙げられ、公知の方法で容易に製造でき、エステル化反応に限らず、エステル交換反応によっても製造できる。またε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール及びこれ等の共縮合ポリエステルも含むことができる。
上記化合物(d)は、形成塗膜の耐食性向上の点から、その成分の少なくとも一部としてビスフェノール骨格含有ジオール化合物(f)を含むことができる。
上記ビスフェノール骨格含有ジオール化合物(f)としては、例えばビスフェノール類のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられる。
上記ビスフェノール骨格含有ジオール化合物(f)を用いる場合には、化合物(d)中における含有割合が10〜98重量%、好ましくは50〜95重量%であることが好適である。
また上記化合物(d)は、形成塗膜の乾燥性、硬化性、耐水性等向上の点から、その成分の少なくとも一部として、1分子中に活性水素基を2つ以上含有する脂肪酸エステル(g)を含むことができる。
上記脂肪酸エステル(g)は、通常、エステル結合を介して脂肪酸に由来する構造単位を有するものであり、低分子量のものから高分子量のものまで特に制限なく、本発明の水性下塗り塗料組成物の用途等に応じて適宜選択することが可能である。
例えば脂肪酸エステル(g)として、まずグリセリンモノ脂肪酸エステルが使用できる。該グリセリンモノ脂肪酸エステルには、例えばグリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレートなどが挙げられ、さらにグリセリンと炭素数10以上の脂肪酸とのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応などにより得られるものが挙げられる。またグリシドールと脂肪酸との反応生成物であってもよい。該グリセリンモノ脂肪酸エステルは、本発明の水性下塗り塗料組成物を金属建材に塗布される下塗り塗料など、耐候性、防食性、耐水性、速乾性、仕上り性等が求められる用途において使用する場合、脂肪酸エステル(g)として好適に選択され得るものである。
上記脂肪酸としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素価が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素価が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
グリセリンと上記脂肪酸との反応は、グリセリン中の水酸基と脂肪酸中のカルボキシル基との当量比が1:0.17〜1:0.5、好ましくは1:0.23〜1:0.43の範囲内となる割合で混合し、通常、エステル化触媒の存在下に、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。エステル化触媒としては、例えば、硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アルキル置換ベンゼン、塩酸、硫酸メチル、リン酸等が挙げられる。一方、油脂(脂肪酸のトリグリセライド)とグリセリンとの反応は、通常、酢酸亜鉛、リサージ、ジブチル錫オキサイド、ナフテン酸カルシウムなどのエステル交換反応触媒の存在下でそれ自体既知の方法により好適に行うことができる。
また脂肪酸エステル(g)として、1分子中にエポキシ基を2つ以上含有するエポキシ樹脂と脂肪酸との反応生成物が使用できる。該エポキシ樹脂と脂肪酸との反応生成物は、2級の水酸基を有するものであり、本発明の水性下塗り塗料組成物を金属建材に塗布される下塗り塗料など、耐候性、防食性、耐水性、速乾性、仕上り性等が求められる用途において使用する場合、脂肪酸エステル(g)として好適に選択され得るものである。特にエポキシ樹脂としてビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いる場合には、高防食性が求められる下塗り塗料の用途に適する。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂をアルキルフェノール等の変性剤によって変性してなる変性エポキシ樹脂;アルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ基導入アルキルフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂;二塩基酸変性エポキシ樹脂、二塩基酸及びカルボキシル基含有フェノールで変性したエポキシ樹脂などを挙げることができる。
上記脂肪酸としては、前記グリセリンモノ脂肪酸エステルの説明で列記したものの中から適宜選択して使用することができる。
上記エポキシ樹脂と脂肪酸との反応は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と脂肪酸中のカルボキシル基との当量比が1:0.6〜1:1.4、好ましくは1:0.8〜1:1.2の範囲内となる割合で混合し、例えばエポキシ基/カルボキシル基反応触媒の存在下で通常1〜10時間程度加熱反応させればよい。エポキシ基/カルボキシル基反応触媒としては、例えば、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等を挙げることができる。また反応温度は、120〜150℃程度が適当である。
脂肪酸エステル(g)としては、さらに1分子中にカルボキシル基を2つ以上含有する化合物と長鎖炭化水素基を含有するモノエポキシ化合物との反応生成物が使用できる。該反応生成物は、2級の水酸基を有するものであり、耐水性や仕上り性等が求められる用途において使用する場合、脂肪酸エステル(g)として好適に選択され得るものである。
上記の1分子中にカルボキシル基を2つ以上含有する化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4´−ジカルボン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、リンゴ酸、クエン酸などの多価カルボン酸及びこれらの酸無水物が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記の長鎖炭化水素基を含有するモノエポキシ化合物は、炭素数4以上、好ましくは炭素数6〜20の鎖状もしくは環状の炭化水素基を有するモノエポキシド化合物であり、具体例としては、例えば、ピバル酸グリシジルエステル、ヘキサン酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、2−エチルヘキサン酸グリシジルエステル、イソノナン酸グリシジルエステル、デカン酸グリシジルエステル、ウンデカン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、ミリスチン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、ネオデカン酸モノグリシジルエステル)などのグリシジルエステル;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル;スチレンオキシド、AOEX24(ダイセル化学工業製、α−オレフィンモノエポキシド混合物)などのα−オレフィンモノエポキシド等が挙げられる。また、上記炭素数4以上の炭化水素基は、例えば、水酸基などの置換基を有していてもよく、かかる置換基を有する炭化水素基を有するモノエポキシド化合物としては、具体的には、例えば、1,2−エポキシオクタノール、ヒドロキシオクチルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記カルボキシル基含有化合物とモノエポキシ化合物との反応は、前者中のカルボキシル基と後者中のエポキシ基との当量比が1:0.6〜1:1.4、好ましくは1:0.8〜1:1.2の範囲内となる割合で混合し、例えばエポキシ基/カルボキシル基反応触媒の存在下で通常1〜10時間程度加熱反応させればよい。エポキシ基/カルボキシル基反応触媒としては、前述の中から適宜選択して使用できる。
脂肪酸エステル(g)としては、さらに環状カーボネート化合物と脂肪酸アミンとの反応生成物が使用できる。該反応生成物は、ウレタン結合を有するので貯蔵時の加水分解性に優れ、脂肪酸エステル(g)として好適に選択され得るものである。
上記環状カーボネート化合物は、1分子当たりに少なくとも1つの環状カーボネート基を含有するものであり、通常、5員または6員環カーボネート基を含有する化合物である。5員環状カーボネートとしては、例えばグリセリンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メタノール)、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−プロパノール、1,3−ジオキソラン−2−オン−ブタノール、1,3−ジオキソラン−2−オン−ペンタノールなどの多価アルコールと炭酸エステルとの反応物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフェノール類のジグリシジルエーテルやビスフェノール型エポキシ樹脂と炭酸ガスとの反応物等が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの点から、グリセリンカーボネートが好適に使用できる。また環状カーボネート系化合物として、形成塗膜の耐食性向上の点からはビスフェノール骨格を有するものが好適に使用できる。
脂肪酸アミンは、1分子中にアミノ基及び脂肪酸残基を含有するものであり、例えばオレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、牛脂、魚油、椰子油、大豆油、オリーブ油、アマニ油、綿実油、ナタネ油およびそれら油脂に水添して得られる硬化油などから選ばれる少なくとも1種を、エチレンジアミンなどのアルキレンジアミンやポリオキシアルキレンジアミン等を用いてアミン変性して得られるものが例示できる。これらのうち特に不飽和脂肪酸に由来するものが形成塗膜の乾燥性、硬化性の点から好適に使用できる。
上記環状カーボネート系化合物と脂肪酸アミンとは、環状カーボネート系化合物中の環状カーボネート基と脂肪酸アミン中のアミノ基とのモル比が1:0.8〜1:1.2、好ましくは1:0.95〜1:1.05の範囲となるように反応させることが望ましい。この反応は、通常25〜250℃、好ましくは50〜160℃の温度で行われる。
上記脂肪酸エステル(g)を用いる場合には、化合物(d)中における含有割合が1〜95重量%、好ましくは20〜70重量%であることが硬化性、耐水性、仕上り性の点から好適である。
ポリイソシアネート化合物(e)は、1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するものであり、その具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネ−トのビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネ−ト化合物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ルなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
上記ウレタンプレポリマー(II)の製造は、特に限定されることなく従来公知の手法が採用でき、例えば前記した(d)及び(e)成分を一度に反応させても良いし、多段的に反応させても良い。上記(d)及び(e)成分の使用割合は種々変えることができるが、全成分中のイソシアネート基と水酸基との当量比が一般に1:0.9〜1:0.5、好ましくは1:0.9〜1:0.7になるようにするのが望ましい。反応は通常40〜180℃、好ましくは60〜130℃の温度で行われる。この反応を促進させるため、通常のウレタン化反応において使用されるトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒などを必要に応じて用いてもよい。
このように製造されたウレタンプレポリマー(II)は、酸価10〜100mgKOH/g、好ましくは酸価13〜60mgKOH/g、さらに好ましくは17〜56mgKOH/g、数平均分子量が1000〜6000、好ましくは1500〜5000であることが、合成時の粘度制御や形成塗膜の耐食性等の点から好適である。ここで数平均分子量は計算値であり、上記(d)成分のモル数をO、分子量をoとし、(e)成分のモル数をP、分子量をpとしたときに以下の計算式によって算出されるものである。
数平均分子量={O×o/|O−P|}+{P×p/|O−P|}
(ここで、|O−P|は、O−Pの絶対値を表す。)
本発明に用いられる水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)の水性分散体は、前記エポキシプレポリマー(I)と上記ウレタンプレポリマー(II)との反応によって得られるポリウレタン樹脂(A)が、水性媒体中に水分散されているものである。
エポキシプレポリマー(I)とウレタンプレポリマー(II)との反応は、特に限定されることなく従来公知の手法が採用でき、通常、20〜80℃で0.1〜10時間加熱することにより行われる。両者の使用割合は種々変えることができるが、エポキシプレポリマー(I)中のアミノ基とウレタンプレポリマー(II)中のイソシアネート基との当量比が0.01:1〜0.9:1、好ましくは0.2:1〜0.8:1となるように選択することが望ましい。
上記の通り得られる水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)は、水性媒体へ分散される。水性媒体としては、水、または水を主として水溶性有機溶媒などの有機溶媒を溶解してなる水−有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。水分散は、特に制限なく従来公知の方法で行うことができ、例えば上記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)に中和剤、界面活性剤などを必要に応じて添加し、水を徐々に加えながら撹拌して混合分散することができる。中和剤としては、カルボキシル基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノプロパノール、トリエチルアミン、アンモニウムなどが挙げられる。中和剤は、水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)に加えてカルボキシル基を中和しておいてもよいし、分散媒である水に加えておき分散と同時に中和してもよい。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合物等のノニオン系界面活性剤、ラウリル硫酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)は、さらに必要に応じて鎖延長剤を反応させることにより高分子量化することができる。鎖延長剤としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、アミン末端ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン;ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、3−アミノプロパンジオール等のアミノ基と水酸基をもつ化合物;ヒドラジン類、酸ヒドラジド類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)は、酸価10〜100mgKOH/g、好ましくは酸価11〜30mgKOH/g、さらに好ましくは12〜25mgKOH/g、アミン価0〜50mgKOH/g、好ましくは3〜35mgKOH/g、及び水酸基価20〜200mgKOH/g、好ましくは30〜150mgKOH/gであることが、形成塗膜の付着性、耐食性等の点から好適である。
本発明に用いられる水性下塗り塗料組成物は、上記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)を含有するものであり、さらに必要に応じて他の水溶性もしくは水分散性の樹脂を含有することができる。他の水溶性もしくは水分散性の樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
上記水性下塗り塗料組成物は、さらに必要に応じて、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、表面調整剤などの添加剤を適宜選択し組合せて含有することができる。
上記水性下塗り塗料組成物は、さらに必要に応じて顔料分散剤、界面活性剤、フラッシュラスト抑止剤等の添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
上記水性下塗り塗料組成物はまた、クリヤー塗料として又はエナメル塗料として使用することができる。エナメル塗料として使用する場合には、顔料分として、塗料分野で既知の着色顔料、光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を含有することができる。
上記水性下塗り塗料組成物はさらに、該水性下塗り塗料組成物の水酸基と上塗り塗料組成物から浸透してくるポリイソシアネート硬化剤(C)との架橋反応を速やかにするための触媒を含有することができる。具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルベンジルアミン、N,N’−ジメチルドデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノブタンのような3級アミン、りん酸、パラトルエンスルホン酸、オレイン酸カリウム、りん酸ジメチル、りん酸ジn−ブチル、オクテン酸スズ、ジブチルスズジ(2−エチルヘキソエ−ト)、2−エチルヘキソエ−ト鉛、o−フェニルソ−ダ、硝酸ビスマス、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネ−ト、塩化スズ、塩化鉄、2−エチルヘキソエ−ト鉄、2−エチルヘキソエ−トコバルト、ナフテネ−ト亜鉛、アンチモニ−トリクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデカンのフェノ−ル塩、オクチル酸塩ならびにオレイン酸塩、ナフテン酸マンガン、ジラウリン酸ジn−ブチルスズ、塩化トリn−ブチルスズ、テトラn−ブチルスズ、ジオクテン酸n−ブチルスズ、ジラウリル酸ジn−ブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、チタン酸2−エチルヘキシル、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルトなどがあげられ、これらは単独でもしくは2種以上併用することができる。このうちスズ系化合物が好ましい。触媒の添加量は水性下塗り塗料組成物の樹脂固形分100重量部あたり、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部が好ましい。
上塗り塗料組成物
本発明に用いられる上塗り塗料組成物は、上記水性下塗り塗料組成物の塗面に塗装する塗料であり、水酸基含有樹脂(B)とポリイソシアネート硬化剤(C)を含有する。
上記上塗り塗料組成物は、溶剤型塗料組成物でもよく、また水性塗料組成物であってもよい。
水酸基含有樹脂(B)は、樹脂中に水酸基を含有する樹脂であれば特に限定することなく使用することができ、例えばアクリル樹脂;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリカプロラクトン変性アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂などの変性アクリル樹脂;ポリカプロラクトン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂などの変性ポリエステル樹脂などがあげられ、これらの樹脂中に水酸基を導入したものである。これらは単独でもしくは2種以上用いることができる。
例えば、アクリル樹脂は、アクリル系単量体及び水酸基含有単量体を必須成分とし、必要に応じてその他の単量体などを使用し、これらを共重合せしめることにより調製できる。
アクリル系単量体として、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキル(C〜C22)エステルなどが挙げられる。水酸基含有単量体は1分子中に水酸基および重合性二重結合を有する化合物で、例えば、ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ヒドロキシプロピルメタクリレ−トなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸のヒドロキシアルキル(C〜C)エステルなどが挙げられる。
その他の単量体はこれら以外であって1分子中に1個以上の重合性二重結合を有する化合物で、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、アリルグリシジルエ−テル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、アクリルアミド、N−ブトキシジメチルアクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。
該アクリル樹脂はこれらの単量体を通常の方法で重合することにより得られ、水酸基価は好ましくは5〜200mgKOH/g、より好ましくは10〜150mgKOH/gの範囲である。
また例えば、ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコ−ルとをエステル化反応せしめることにより得られる。多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、メチレントリシクロヘキセントリカルボン酸、ピロメリット酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸、コハク酸、ヘット酸およびこれらの無水物などがあげられる。多価アルコ−ルは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であって、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ブチレングリコ−ル、ヘキサンジオ−ル、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、ソルビト−ルなどがあげられる。さらに、一塩基酸、脂肪酸、油成分などを用いて変性したポリエステル樹脂も包含される。
ポリエステル樹脂への水酸基の導入は1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコ−ルを使用することによって行なわれる。
ポリエステル樹脂はこれらの成分を通常の方法でエステル化反応することにより得られ、数平均分子量は好ましくは800〜40000、より好ましくは1200〜30000、水酸基価は好ましくは5〜200mgKOH/g、より好ましくは10〜180mgKOH/gの範囲である。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー株式会社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー株式会社社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
ポリイソシアネート硬化剤(C)は、1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するものであり、その具体例としては、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(e)で例示した化合物等と同様のものを挙げることができる。
上記上塗り塗料組成物が水性塗料組成物の場合、ポリイソシアネート硬化剤(C)は、水分散性ポリイソシアネート硬化剤であることが好ましい。
水分散性ポリイソシアネート硬化剤は、通常当該分野で使用される水分散性ポリイソシアネート硬化剤であれば特に限定することなく使用することができる。例えば、ポリイソシアネート化合物とアルコキシポリアルキレングリコールとの反応により得られる水分散性ポリイソシアネート硬化剤を挙げることができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(e)において例示した化合物と同様のものを用いることができ、アルコキシポリアルキレングリコ−ルとしては、一般式RO−(RO)n−H(ここでRはアルキル基、Rはアルキレン基、nは2〜100)で示されるものであり、例えばメトキシポリメチレングリコ−ル、メトキシポリエチレングリコ−ル、エトキシポリエチレングリコ−ル、エトキシポリブチレングリコ−ルなどが挙げられ、数平均分子量が100〜4,000、好ましくは400〜2,000の範囲を有するものが使用できる。反応後の残存イソシアネ−ト含量が20〜30重量%となるように反応せしめてなる水分散性ポリイソシアネ−ト硬化剤が好適であり、具体的には、前記ポリイソシアネート化合物(e)において例示した化合物とアルコキシポリアルキレングリコ−ルとを、イソシアネ−ト基/水酸基の当量比が3〜30好ましくは10〜25程度となるよう反応させるのが適当である。
また、水分散性ポリイソシアネート硬化剤として、例えば、ポリイソシアネート化合物とヒドロキシモノカルボン酸類とを反応させた後カルボキシル基を中和して得られる水分散性ポリイソシアネート硬化剤であってもよい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(e)において例示した化合物と同様のものを用いることができ、ヒドロキシモノカルボン酸類としては、例えば、2−ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロパン酸、12−ヒドロキシ−9−オクタデカン酸(リシノレイン酸)、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパン酸(ヒドロキシピバリン酸)、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)等が挙げられる。反応はイソシアネート基に対して反応性でない溶媒中、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類;N−メチルピロリドン(NMP)のような溶媒中で行なうことができる。
ポリイソシアネート硬化剤(C)の含有量は、特に制限されるものではないが、水酸基含有樹脂(B)の水酸基に対して、イソシアネート基が0.05〜2.0当量の範囲となる含有量が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5当量の範囲となる含有量である。0.05当量より多いと架橋反応が十分であり、2.0当量より少ないと可とう性に優れる。
上記上塗り塗料組成物は、上記水酸基含有樹脂(B)及びポリイソシアネート硬化剤(C)を含有するものであり、さらに必要に応じて他の樹脂を含有することができる。他の樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
上記上塗り塗料組成物は、さらに必要に応じて、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、表面調整剤などの添加剤を適宜選択し組合せて含有することができる。
上記上塗り塗料組成物はまた、クリヤー塗料として又はエナメル塗料として使用することができる。エナメル塗料として使用する場合には、顔料分として、塗料分野で既知の着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等を含有することができる。
複層塗膜形成方法
本発明の複層塗膜形成方法において、水性下塗り塗料組成物を塗装するための被塗物面は、特に制限されるものではなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛ならびにこれらの金属を含む合金、及びこれらの金属によるめっき鋼板、又はこれらの金属による鋳物;コンクリート、モルタル、スレート板、木材、石材等の無機基材;プラスチック等の有機基材などの基材面及びこれらの表面処理面などが挙げられ、特に鋼板、鋳物及びそれらの表面処理面が好適である。
水性下塗り塗料組成物は、被塗物面に、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装等により塗装することができる。塗装膜厚は乾燥膜厚に基づいて3〜100μm、好ましくは5〜80μmの範囲である。
水性下塗り塗料組成物の乾燥条件は特に限定されるものではないが、50〜90℃で10分〜30分乾燥することが好ましい。この乾燥条件であれば、乾燥が十分な塗膜を得ることができる。
上塗り塗料組成物においても下塗り塗料組成物と同様の塗装法により塗装することができる。塗装膜厚は乾燥膜厚に基づいて3〜100μm、好ましくは5〜80μmの範囲である。
上塗り塗料組成物の乾燥条件は特に限定されるものではないが、室温であれば1〜2日、50℃〜90℃で10分〜30分乾燥することが好ましい。この乾燥条件であれば、複層塗膜の乾燥・硬化を十分に行うことができる。
本発明の塗膜形成方法は、上記工程を行うことにより、上塗り塗膜は水酸基含有樹脂(B)とポリイソシアネート硬化剤(C)との架橋反応が起こり、又下塗り塗膜はポリウレタン樹脂(A)と上塗り塗膜から浸透してきたポリイソシアネート化合物(C)との架橋反応が起こる。その結果、耐食性、耐水性に非常に優れた複層塗膜が形成できる。
塗装物品
本発明の塗装物品としては、上記複層塗膜形成方法を適用して形成される塗装物品であれば特に制限されるものではなく、例えば、建設機械(パワーシャベル、フォークリフト、ブルドーザ、クレーン、コンクリートポンプ車、ダンプトラックなど);農業機械(トラクター、コンバインなど);電気製品(電子レンジ、トースター、冷蔵庫、洗濯機など);エアーコンディショナーの室内機、室外機、吹き出口およびダクト;反射板などの照明器具;家具;機械部品;事務機器(机、本棚、ロッカー、書類棚など);自動車部品(ホイール、ドアミラー、モール、ドアのノブ、ナンバープレート、ハンドル、インスツルメンタルパネルなど);厨房器具類(レンジフード、流し台、調理台、ガスレンジ、換気扇など)などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「%」は、別記しない限り「重量%」を示す。
合成例1(ポリウレタン樹脂水性分散体III−1の合成)
エポキシプレポリマー(I−1)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中でエポキシ当量450g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(180g)を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(49.6g)に溶解し、これに2−アミノエタノール(18.3g)を加え、85℃で3時間保持し、エポキシ基及びアミノ基含有量(注1)が1.50〜1.55mmol/g程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(148.7g)を加え、エポキシプレポリマー(I−1)溶液を得た。得られたエポキシプレポリマー(I−1)溶液の固形分濃度は50%、プレポリマーの数平均分子量は1983であった。
(注1)エポキシ基及びアミノ基含有量:下記測定方法にて追跡した。
三角フラスコに試料(g)をはかりとり、これに40mlのメチルエチルケトンを加えて溶解する。溶解しにくい場合は50℃まで加熱して溶解する。次に、全量ピペットでCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)溶液10mlを加えて均一にする。続いて、スクリーン指示薬0.2mlを正確に加えて、N/10過塩素酸−酢酸溶液で滴定し、最後の一滴で桃色が約30秒間続いたとき終点とする。アミノ基含有量は下記計算値から算出する。尚、CTAB溶液はCTAB20gに酢酸200mlを加えて溶解しさらにメチルエチルケトン200mlを加えて均一溶液に調整し、スクリーン指示薬は氷酢酸100mlにアルファズリン0.3gを溶解した溶液に、チモールブルー1.5gをメタノール500mlに溶解した溶液を混合して調整した。
計算式:E=(A-B)×0.1×F/(S×0.01×W)
ここでE: エポキシ基及びアミノ基含有量(mmol/g)
A:本試験のN/10過塩素酸-酢酸溶液の使用量(ml)
B:空試験のN/10過塩素酸-酢酸溶液の使用量(ml)
F:N/10過塩素酸-酢酸溶液のファクター
S:試料の加熱残分(%)
W:試料の量(g)
ウレタンプレポリマー(II−1)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中で「ビスオール3PN」(注2)(212.3g)、「ビスオール6PN」(注3)(305.9g)、ジメチロールプロピオン酸(61.1g)をN−メチルピロリドン(154.2g)に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート(191.7g)を30分かけて滴下し、60℃で1.5時間反応を行った。その後80℃に昇温し2時間反応を行って、イソホロンジイソシアネート(168.7g)を加え更に80℃で3時間、NCO価(注4)が25〜37程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(418g)を加え、ウレタンプレポリマー(II−1)溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー(II−1)溶液の固形分濃度は62.2%、プレポリマーの数平均分子量は2473、酸価は27.2mgKOH/gであった。
(注2)ビスオール3PN:東邦化学社製、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(プロピレンオキサイド変性量=3モル)
(注3)ビスオール6PN:東邦化学社製、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(プロピレンオキサイド変性量=6モル)
(注4)NCO価:ウレタンプレポリマー1g中に含まれるイソシアネート基量(mg)で、下記測定方法にて追跡した。
三角フラスコに試料(g)を正しくはかりとり、ジオキサン10mlを加え、溶解した試料を50℃に加熱し、正しくはかりとったN/5ジブチルアミン−ジオキサン溶液10mlを加え、2分間かき混ぜて試料とジブチルアミンを反応させる。次に、ブロムフェノールブルー-エチルアルコール溶液を2〜3滴加えて、N/10塩酸溶液で滴定し、青色から黄緑色に変化したときを終点とする。
計算式N={0.1×42×(A-B)×f}/(0.01×S×W)
ここでN:NCO価(試料1g中に含まれるNCOのmg数)
A:空試験のN/5ジブチルアミン-ジオキサン溶液を中和するのに使用したN/10塩酸溶液の量(ml)
B:試料の滴定に使用したN/10塩酸溶液の量(ml)
f:N/10塩酸溶液のファクター
S:試料の加熱残分(%)
W:試料の量(g)
42:NCOの分子量
ポリウレタン樹脂水性分散体(III−1)の作成
上記と同様の装置を用い、62.6%ウレタンプレポリマー(II−1)溶液(1511g)を、攪拌状態で50℃に保持し、その中に50%エポキシプレポリマー(I−1)溶液(753.6g)を加え、1時間攪拌した。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン(36.8g)で中和し、脱イオン水(2392.6g)を加えて、分散した。その中に、脱イオン水(91.3g)で希釈したジエチレントリアミン(9.1g)を30分かけて滴下し、50℃で2時間保持した。その後、60℃でメチルエチルケトンを減圧留去することで、ポリウレタン樹脂の水性分散体(III−1)を得た。この水性分散体の固形分濃度は35.0%、ポリウレタン樹脂の酸価は19.4mgKOH/g、アミン価は8.1mgKOH/g、水酸基価は59.1mgKOH/gであった。
合成例2(ポリウレタン樹脂水性分散体III−2の合成)
エポキシプレポリマー(I−2)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中でエポキシ当量825g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(660g)を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(174.2g)に溶解し、これに2−アミノエタノール(36.6g)を加え、85℃で3時間保持し、アミノ基含有量(注1)が0.860〜0.865mmol/g程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(522.5g)を加え、エポキシプレポリマー(I−2)溶液を得た。得られたエポキシプレポリマー(I−2)溶液の固形分濃度は50%、プレポリマーの数平均分子量は3483であった。
ウレタンプレポリマー(II−2)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中で「ビスオール3PN」(注2)(508.7g)、「ビスオール6PN」(注3)(733.1g)、ジメチロールプロピオン酸(194.3g)をN−メチルピロリドン(388.2g)に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート(504.6g)を30分かけて滴下し、60℃で1.5時間反応を行った。その後80℃に昇温し2時間反応を行って、イソホロンジイソシアネート(444.0g)を加え更に80℃で3時間、NCO価(注4)が25〜37程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(1100g)を加え、ウレタンプレポリマー(II−2)溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー(II−2)溶液の固形分濃度は61.6%、プレポリマーの数平均分子量は2384、酸価は34.1mgKOH/gであった。
ポリウレタン樹脂水性分散体(III−2)の作成
上記と同様の装置を用い、61.6%ウレタンプレポリマー(II−2)溶液(1200.6g)を、攪拌状態で50℃に保持し、その中に50%エポキシプレポリマー(I−2)溶液(1079.8g)を加え、1時間攪拌した。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン(36.3g)で中和し、脱イオン水(2401.4g)を加えて、分散した。その中に、脱イオン水(74.5g)で希釈したジエチレントリアミン(7.45g)を30分かけて滴下し、50℃で2時間保持した。その後、60℃でメチルエチルケトンを減圧留去することで、ポリウレタン樹脂の水性分散体(III−2)を得た。この水性分散体の固形分濃度は35.0%、ポリウレタン樹脂の酸価は19.7mgKOH/g、アミン価は6.8mgKOH/g、水酸基価は83.7mgKOH/gであった。
合成例3(ポリウレタン樹脂水性分散体III−3の合成)
エポキシプレポリマー(I−3)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中でエポキシ当量450g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(180.0g)を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(71.5g)に溶解し、これに3−アミノプロピルトリエトキシシラン(22.1g)を加え、65℃で3時間保持し、さらに2−アミノエタノール(12.2g)を加え、85℃で2時間保持し、アミノ基含有量(注1)が1.399〜1.405mmol/g程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(142.9g)を加え、エポキシプレポリマー(I−3)溶液を得た。得られたエポキシプレポリマー(I−3)溶液の固形分濃度は50%、プレポリマーの数平均分子量は2144であった。
ウレタンプレポリマー(II−3)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中で「ビスオール3PN」(注2)(323.2g)、「ビスオール6PN」(注3)(465.8g)、ジメチロールプロピオン酸(104.5g)をN−メチルピロリドン(239.2g)に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート(302.8g)を30分かけて滴下し、60℃で1.5時間反応を行った。その後80℃に昇温し2時間反応を行って、イソホロンジイソシアネート(266.4g)を加え更に80℃で3時間、NCO価(注5)が25〜37程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(660g)を加え、ウレタンプレポリマー(II−3)溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー(II−3)溶液の固形分濃度は61.9%、プレポリマーの数平均分子量は2438、酸価は29.9mgKOH/gであった。
ポリウレタン樹脂水性分散体(III−3)の作成
上記と同様の装置を用い、61.9%ウレタンプレポリマー(II−3)溶液(236.2g)を、攪拌状態で50℃に保持し、その中に50%エポキシプレポリマー(I−3)溶液(128.6g)を加え、1時間攪拌した。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン(6.3g)で中和し、脱イオン水(388.6g)を加えて、分散した。その中に、脱イオン水(14.4g)で希釈したジエチレントリアミン(1.44g)を30分かけて滴下し、50℃で2時間保持した。その後、60℃でメチルエチルケトンを減圧留去することで、ポリウレタン樹脂の水性分散体(III−3)を得た。この水性分散体の固形分濃度は35.0%、ポリウレタン樹脂の酸価は20.8mgKOH/g、アミン価は8.0mgKOH/g、水酸基価は61.7mgKOH/gであった。
実施例1〜4、比較例1、2
表1の配合に従いペイントシェーカーにて90分分散を行い、水性下塗り塗料組成物を得た。さらに表1の条件及び各性能試験の条件に従って複層塗膜を作成し、下記性能試験に供した。塗膜作成条件及び性能試験結果を表1にあわせて示す。
Figure 2008168285
(注5)モデピクス302:商品名、荒川化学社製、水性エポキシ樹脂(固形分33%)
(注6)SNディスパーサント5029:商品名、サンノプコ社製、分散剤
(注7)三菱カーボンブラックMA100:商品名、三菱化学社製、顔料
(注8)ニ液型溶剤型塗料組成物:水酸基含有樹脂を含む主剤(SR3000オレンジイエローベース:商品名、関西ペイント社製)とポリイソシアネート硬化剤(SR3000硬化剤:商品名、関西ペイント社製)を重量比5:1で配合して使用した。
複層塗膜の性能試験方法
(1)耐食性試験:各水性下塗り塗料組成物をリン酸亜鉛処理鋼板にアプリケーターにて乾燥膜厚が25μmとなるように塗装し、表1中に記載の乾燥条件で乾燥・加熱して下塗り塗膜を作成した。その塗膜上に表1記載の上塗り塗料組成物を乾燥膜厚が20μmとなるように塗装し表1中に記載の乾燥条件で乾燥して上塗り塗膜を作成し、試験板を得た。試験板に、素地に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて480時間耐塩水噴霧試験を行い、(i)カット部からの錆び・フクレ、及び(ii)一般部のブリスターを以下の基準で評価した。
(i)カット部からの錆び、フクレ
◎:錆、フクレの最大幅がカット部より1mm未満(片側)
○:錆、フクレの最大幅がカット部より1mm以上、2mm未満(片側)
△:錆フクレの最大幅がカット部より2mm以上、3mm未満(片側)
×:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上(片側)
(ii)一般部のブリスター
JIS K5600-8-2に準拠して、ブリスターの大きさ及び密度を等級により評価した。なお、ブリスターが全く見られないものは、「大きさ」の項目において、「-」で表した。
(2)耐水性試験:耐食性試験(1)と同様にして各試験板を作成し、得られた試験板を20℃の恒温水槽に7日間浸漬後、塗膜状態を目視で観察した。
◎:異常なし
○:若干フクレ、変色があるが、良好な状態
△:フクレ、変色があり、実用困難
×:フクレ、変色が著しい
(3)光沢の測定:耐食性試験(1)と同様にして各試験板を作成した。得られた試験板の光沢をJIS K5101−4−7に規定された方法に準じて測定した。測定機器はデジタル変角光沢計(UGV−6P、スガ試験機社製)を用い、測定角度60°にて測定を行った。

Claims (3)

  1. 被塗物面に、水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)の水性分散体を含む水性下塗り塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成し、その上に水酸基含有樹脂(B)及びポリイソシアネート硬化剤(C)を含有する上塗り塗料組成物を塗装して上塗り塗膜を形成する複層塗膜形成方法であって、
    前記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)が、ポリエポキシ化合物(a)とアミン化合物(b)との反応によって得られる末端にアミノ基を有するエポキシプレポリマー(I)と、カルボキシル基含有ジオール(c)を含む1分子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(d)とポリイソシアネート化合物(e)との反応により得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(II)との反応によって得られるものであることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 前記水酸基を含有するポリウレタン樹脂(A)が、前記エポキシプレポリマー(I)中のアミノ基と前記ウレタンプレポリマー(II)中のイソシアネート基との当量比が0.01:1〜0.9:1となるように反応させて得られる請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法により形成される塗装物品
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