(第1の実施形態)
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着剤等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
図6は左リール42Lの組立斜視図である。同図に示すように、これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61R(図6においては左リール用ステッピングモータ61Lのみ図示)に連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施の形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段は、図柄を周方向に可変表示する構成であれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル数の払出処理や、特別遊技状態たるBBゲーム等のボーナスゲームへの移行処理などが実行される。
遊技パネル30の下方左側には、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ72が操作された場合には左リール42Lの回転が停止し、中ストップスイッチ73が操作された場合には中リール42Mの回転が停止し、右ストップスイッチ74が操作された場合には右リール42Rの回転が停止する。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口75(受入部)が設けられている。メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ83によってホッパ用通路81か皿用通路82のいずれかへ導かれる。
ここで、セレクタ83について図7を用いて説明する。図7はセレクタ83の内部構造を説明するための説明図である。なお、図中の2点鎖線は、理解を容易なものとするためにメダルの通過経路を示したものである。
セレクタ83には、メダル投入口75から投入されたメダルをホッパ用通路81へ導くための案内通路84が形成されている。案内通路84は、メダルが1列で通行可能なようにして、図の上端部から右下部にかけて弧を描くような曲線状に形成されている。より詳しくは、セレクタ83を構成するセレクタボディには、図の手前側に突出する突条84aが設けられており、その突条84aが底部を構成するようにして案内通路84が形成されている。案内通路84に到達したメダルは、突条84a上を転がるようにして下流方向へ流れることとなる。
セレクタ83は、案内通路84の上流側にあるメダルを皿用通路82へ排出するための通路切替片85を備えている。通路切替片85は、案内通路84の上流側において当該案内通路84内に出没可能に設けられている。また、通路切替片85は、図示しないソレノイドに連結されており、ソレノイドの非励磁時には案内通路84内に通路切替片85が突出する。この場合、案内通路84の上流側にあるメダルはその突出した通路切替片85に当たることで突条84aを乗り上げて下方に落下し、皿用通路82に導かれる。皿用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。一方、ソレノイドの励磁時には案内通路84外に通路切替片85が没する。これにより、メダルは案内通路84に沿って流れ、ホッパ用通路81に導かれる。ホッパ用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。
また、セレクタ83において通路切替片85の下流側には、案内通路84を通過するメダルを検出するための投入メダル検出装置86が設けられている。メダル検出装置86は、フォトセンサからなる第1投入メダル検出センサ86aと同じくフォトセンサからなる第2投入メダル検出センサ86bとを備え、これら各検出センサ86a,86bは案内通路84の流下方向に並ぶようにして近接配置されている(少なくとも1時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態とする)。これら各検出センサ86a,86bにより案内通路84のメダルの通過が順次検出される。
メダルを遊技者に付与する排出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、皿用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、皿用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、仮想遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
スタートレバー71の左側には、ボタン状の精算スイッチ80が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状態で精算スイッチ80が押下操作されることで、仮想メダルが現実のメダルとして排出される。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31Rの下方には、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部35と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部36とがそれぞれ設けられている。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときに貯留記憶されている仮想メダルが50枚未満であれば、スロットマシン内部に貯蓄されると共にクレジット表示部35の仮想メダル数が加算表示される。一方、仮想メダル数が50枚のとき又は50枚に達したときには、セレクタ83によりホッパ用通路81から皿用通路82への切替がなされ、メダル排出口17からメダル受け皿18へと余剰メダルが返却される。
また、クレジット表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が1つ減算され、第1有効ライン表示部32が点灯して中ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が2つ減算され、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が3つ減算され、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えばクレジット表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、クレジット表示部35の数値が全て減算されて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施の形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施の形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122、リセットスイッチ123、及び当選確率設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ123は、スロットマシン10のエラー状態をリセットするためのスイッチである。当選確率設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が当選確率設定キーを当選確率設定キー挿入孔124へ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。
リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定の上限値の範囲内で乱数を生成し適宜更新する乱数カウンタ154などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。また、主制御装置131には、図示しない入出力ポートが設けられており、当該入出力ポートを介して各種信号の入出力が行われる。
すなわち、主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する第1,第2投入メダル検出センサ86a,86b、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、精算スイッチ80の操作を検出する精算検出センサ80a、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、当選確率設定キー挿入孔124に当選確率設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する当選確率設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポートを介してCPU151へ出力されるようになっている。
また、主制御装置131の入力側には、電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151に供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部161aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、クレジット表示部35、獲得枚数表示部36、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ83に設けられたメダル通路切替ソレノイド83a、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が接続されている。
表示制御装置111は、上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜36を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラム、及び後述する監視タイマカウンタ153cにセットする値やエラーカウンタ154dにセットする値といった固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路などが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成されている。
RAM153について詳細に説明すると、RAM153には、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタの値を記憶しておくためのバックアップエリアが設けられている。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
また、RAM153には、仮想メダルを貯留記憶するための仮想メダル記憶エリア153a、ベットされたメダルの枚数(賭け数)を記憶するためのベットメダル記憶エリア153bや、後述する投入タイミング監視処理(図22)にて異常を判定する上で用いられる監視タイマカウンタ153c及びエラーカウンタ154dなどの各種カウンタエリアが設けられている。なお、仮想メダル記憶エリア153aにおける貯留記憶可能な最大仮想メダル枚数は50枚となっており、ベットメダル記憶エリア153bにおける記憶可能な最大ベット枚数は3枚となっている。
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図9〜図26のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図9はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理では、まずステップS101において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて、ステップS102では、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。その後、ステップS103にてRAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。
図10は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、ステップS201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS202では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS203に進み、停電時処理を実行する。
ここで、停電時処理について図11を用いて説明する。ステップS301では、コマンド送信が終了しているか否かを判定する。送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。ステップS301がYES、すなわちコマンドの送信が完了している場合には、ステップS302に進み、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポートにおける出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS202にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS204以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS205では、CPU151自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS207では、入出力ポートに接続された各種センサ(図8参照)の状態を読み込むと共に、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。
ステップS208では、各タイマの値の減算等を行うタイマ演算処理を行う。ステップS209では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板171へ出力するカウンタ処理を行う。ステップS210では、各種コマンドを表示制御装置111へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS211では、セグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS212では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを所定の表示部に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS213では、I/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS214では、先のステップS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS215にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
図12は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ずステップS401では、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
これらの初期化処理が終了すると、ステップS402では当選確率設定キーが当選確率設定キー挿入孔124に挿入されてON操作されているか否か、より詳しくは当選確率設定キー検出センサ124aからON信号を受信しているか否かを判定する。当選確率設定キーのON操作がなされている場合にはステップS403に進み、強制的RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。続くステップS404ではいずれの当選確率に基づいて後述する抽選処理を実行させるのかを設定するための当選確率設定処理を行う。ステップS404にて当選確率設定処理を行った後には、ステップS405に進み、通常処理を実行する。
一方、ステップS402にて当選確率設定キーが挿入されていない場合には、ステップS406以降に示す復電処理を行う。復電処理とは、スロットマシン10の状態を電源遮断前の状態に復帰させる処理である。従って、復電処理では先ずRAM153のデータが正常かどうかを確認する必要がある。
そこで、ステップS406では設定値が正常か否かを判定する。具体的には、当選確率設定値が「1」〜「6」のいずれかである場合に正常であると判定し、「0」又は「7」以上である場合に異常であると判定する。設定値が正常である場合には、ステップS407にて停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされている場合には、さらにステップS408にてRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
ステップS408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS409に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に、ステップS410において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後、ステップS411にて遊技状態として打ち止め及び自動精算設定保存処理を行い、ステップS412にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。続くステップS413では、停電フラグをリセットし、電源遮断前の番地に戻る。電源遮断前の番地に戻るための具体的な処理として、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。
ステップS406〜ステップS408のいずれかがNO、すなわち、当選確率設定値が異常である、電源遮断時にセットされる筈の停電フラグがセットされていない、又はRAM判定値が異常である場合には、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。このような場合には、ステップS414〜ステップS416に示す動作禁止処理を行う。動作禁止処理として、先ずステップS414にて次回のタイマ割込み処理を禁止し、ステップS415では入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ステップS416にてホール管理者等にエラーの発生を報知するエラー報知処理を行う。かかる動作禁止状態は、上述した当選確率設定処理が行われるまで維持される。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図13のフローチャートに基づき説明する。
先ずステップS501では、貯留記憶されている仮想メダル、又はベットされたメダルを実際のメダルとして排出するためのメダル精算処理を実行する。このメダル精算処理について図14のフローチャートを用いて詳細に説明する。
メダル精算処理では、先ずステップS601にて、前回の遊技回において再遊技入賞が成立し、再遊技設定がなされているか否かを判定する。再遊技入賞とは、抽選処理にて再遊技当選となり、有効ライン上に再遊技図柄の組合せが成立することにより発生する。そして、再遊技入賞が成立した場合には、遊技者にとっては、次の遊技回をメダル又は仮想メダルの投入を要することなく開始させることができる。再遊技設定がなされている場合には、そのまま本メダル精算処理を終了し、再遊技設定がなされていない場合には、ステップS602に進む。
ステップS602では、精算検出センサ80aからの検出信号に基づいて、精算スイッチ80が操作されたか否かを判定する。精算スイッチ80が操作されていない場合には、そのまま本メダル精算処理を終了する。精算スイッチ80が操作されている場合には、ステップS603に進む。
ステップS603では、RAM153の仮想メダル記憶エリア153aを確認することで仮想メダルが貯留記憶されているか否かを判定するとともに、RAM153のベットメダル記憶エリア153bを確認することでメダルがベットされているか否かを判定する。仮想メダルが貯留記憶されておらず、さらにメダルがベットされていない場合には、メダルを排出する(精算する)必要がないため、そのまま本メダル精算処理を終了する。仮想メダルが貯留記憶されている又はメダルがベットされている場合には、ステップS604の排出制御処理を実行した後に本メダル精算処理を終了する。
排出制御処理では、図15のフローチャートに示すように、先ずステップS701にて仮想メダル記憶エリア153aに貯留記憶された仮想メダル枚数と、RAM153のベットメダル記憶エリア153bに記憶されたベット枚数(賭け数)とを確認することにより、仮想メダル枚数と現在のベット枚数との和が「0」か否かを判定する。仮想メダル枚数とベット枚数との和が「0」でないときには、ステップS702にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。続くステップS703ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aからのメダル検出信号に応じて、仮想メダル枚数と現在のベット枚数との和を1減算する。その後、ステップS704にてクレジット表示部35の枚数を1減算する表示変更処理を行う。なお、クレジット表示部35が既に「0」でない場合には、その「0」の状態を維持する。ステップS704にて表示部変更処理を行った後、再びステップS701に戻る。ステップS701で仮想メダル枚数と現在のベット枚数との和が「0」となったときには、本排出制御処理を終了する。
通常処理(図13)の説明に戻り、メダル精算処理を実行した後は、ステップS502にて、メダルがベットされているか否かを判定する。すなわち、メダル投入口75よりメダルが投入されてベット設定がなされているか否か、又はクレジット投入スイッチ77〜79の操作により仮想メダルが投入されてベット設定がなされているか否かを判定する。
ここで、これらベット設定について詳細に説明する。先ず仮想メダルの投入に基づくベット設定について説明する。
仮想メダルの投入に基づくベット設定は、上述したタイマ割込み処理(図10)におけるステップS207のセンサ監視処理にて行われる。詳細には、センサ監視処理における仮想メダル投入処理にて行われる。仮想メダル投入処理について図16のフローチャートを用いて説明する。
仮想メダル投入処理では、先ずステップS801にてクレジット投入検出センサ77a〜79aからの検出信号に基づいていずれかのクレジット投入スイッチ77〜79が操作されたか否かを判定する。いずれのクレジット投入スイッチ77〜79も操作されていない場合には、そのまま仮想メダル投入処理を終了する。いずれかのクレジット投入スイッチ77〜79が操作されている場合には、ステップS802に進む。
ステップS802では、ベット枚数設定処理を実行する。ベット枚数設定処理では、操作されたクレジット投入スイッチ77〜79に応じてベット枚数を設定する。例えば、仮想メダル記憶エリア153aに3枚以上の仮想メダルが貯留記憶されている状況において第1クレジット投入スイッチ77が操作された場合には、ベットメダル記憶エリア153bに「3」を格納する。
その後、ステップS803にて仮想メダル枚数の減算処理を実行した後に、本仮想メダル投入処理を終了する。仮想メダル枚数の減算処理では、ステップS802にて設定したベット枚数を仮想メダル枚数から減算するとともに、クレジット表示部35における表示をそれに合わせて変更する。
次に、メダルの投入に基づくベット設定について説明する。メダルの投入に基づくベット設定は、上述したタイマ割込み処理(図10)におけるステップS207のセンサ監視処理にて行われる。詳細には、センサ監視処理における投入メダル検出処理にて行われる。投入メダル検出処理について図17のフローチャートを用いて説明する。
投入メダル検出処理では、先ずステップS901にて投入監視処理を実行する。投入監視処理では、各投入メダル検出センサ86a,86bから入力した検出信号に基づいて、メダルが投入されたか否かを確認する。
ここで、投入監視処理について図18のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、投入メダル検出センサ86a,86bのうち、上流側の投入メダル検出センサ86aを「第1センサ86a」、下流側の投入メダル検出センサ86bを「第2センサ86b」ともいう。
先ずステップS1001では、監視タイマカウンタ減算処理を実行する。具体的には、RAM153の監視タイマカウンタ153cに格納された値を1減算する。かかる監視タイマカウンタ153cへの値のセットは後述する投入タイミング監視処理にて行われる。
その後、ステップS1002〜ステップS1005に示す検出順序確認処理を実行する。すなわち、ステップS1002における第1判定処理で第1センサ86aがONとなったか否かを、ステップS1003における第2判定処理で第1,第2センサ86a,86bが共にONとなったか否かを、ステップS1004における第3判定処理で第2センサ86bのみONとなったか否かを、ステップS1005における第4判定処理で第1,第2センサ86a,86bが共にOFFとなったか否かを判定する。これら各判定処理を上記順番で行うことでメダルの検知が適式に行われたか否かを確認する。
上記各判定処理について詳細に説明すると、第1判定処理では、図19に示すように、先ずステップS1101にてRAM153に設けられた通過フラグ格納エリアに第1通過フラグが格納されているか否かを判定する。第1通過フラグが格納されていない場合にはステップS1102にて第1センサ86aがONとなったか否かを判定し、第1センサ86aがONとなっている場合にはステップS1103にて通過フラグ格納エリアに第1通過フラグを格納した後に本第1判定処理を終了する。すなわち、第1通過フラグは、1枚のメダルが投入された場合に、当該メダルが既に第1センサ86aの検出位置に到達したことを示すフラグである。
一方、ステップS1102において第1センサ86aがONでなかった場合には、ステップS1104にて第2センサ86bがONとなったか否かを判定する。第2センサ86bがONでない場合には、そのまま本第1判定処理を終了する。第2センサ86bがONである場合には、ステップS1104にて肯定判定をし、図18におけるステップS1009及びステップS1010の処理を実行する。これらの処理については後述する。
ここで、第1判定処理では第1通過フラグがセットされているとステップS1101にて肯定判定をし、そのまま本第1判定処理を終了する。このような処理形式としているのは、1.49msecごとに行われるタイマ割込み処理の中で投入監視処理(投入メダル検出処理)を行う構成としていることに起因している。すなわち、メダルが第1センサ86aの検出位置を通過し始めてから第2センサ86bの検出位置を通過し終わるまでに要する時間は1.49msecより長いため、規定の順序どおりに第1,第2センサ86a,86bからON信号(遊技媒体を検出した旨の検出結果)を受信したか否かを1回の投入監視処理で確認することができないからである。
次に、第2判定処理では、図20に示すように、先ずステップS1201にてRAM153の通過フラグ格納エリアに第2通過フラグが格納されているか否かを判定する。第2通過フラグが格納されていない場合には、ステップS1202にて第1,第2センサ86a,86bが共にONとなったか否かを判定し、共にONとなっている場合にはステップS1203に進む。
ステップS1203では、通過フラグ格納エリアに第1通過フラグが格納されているか否かを判定し、第1通過フラグが格納されている場合にはステップS1204において通過フラグ格納エリアに第2通過フラグを格納する。すなわち、第2通過フラグは、1枚のメダルが投入された場合に、当該メダルが既に第1,第2センサ86a,86bの両検出位置を同時に通過したことを示すフラグである。その後、ステップS1205にて投入タイミング監視処理を実行した後に、本第2判定処理を終了する。この投入タイミング監視処理については、その理解をより容易なものとするために後に説明する。
一方、ステップS1201において通過フラグ格納エリアに第2通過フラグが格納されている場合には、そのまま本第2判定処理を終了する。また、ステップS1202において第1,第2センサ86a,86bが共にONでない場合には、ステップS1206にて第1通過フラグの格納後に所定時間が経過したか否かを判定する。かかる判定は、例えば、ステップS1206のチェック回数により判定する。ステップS1206において所定時間が経過していない場合には、そのまま本第2判定処理を終了する。ステップS1206において所定時間が経過している場合には、図18のステップS1009及びステップS1010の処理を実行する。また、ステップS1203において第1通過フラグが格納されていなかった場合にも図18のステップS1009及びステップS1010の処理を実行する。これらステップS1009及びステップS1010の処理については後に説明する。
次に、第3判定処理について説明する。当該第3判定処理では、第2判定処理と類似した処理を実行する。具体的には、ステップS1201に相当する処理においては、第3通過フラグがセットされているか否かを判定し、ステップS1202に相当する処理においては、第2センサ86bのみONとなったか否かを判定する。また、ステップS1203に相当する処理においては、第1通過フラグ及び第2通過フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1204に相当する処理においては、1枚のメダルが投入された場合に当該メダルが既に第1センサ86aの検出位置を通過し終えたことを示す第3通過フラグを通過フラグ格納エリアに格納する。また、ステップS1205に相当する処理は実行しない。つまり、第3判定処理においては、第2判定処理と異なり、投入タイミング監視処理は実行しない。また、ステップS1206に相当する処理においては、第2通過フラグがセットされてから所定時間が経過したか否かを判定する。
次に、第4判定処理について説明する。第4判定処理では、第2判定処理におけるステップS1201に相当する処理において、第1〜第3通過フラグの全てが通過フラグ格納エリアに格納されているか否かを判定する。また、ステップS1202に相当する処理においては第1,第2センサ86a,86bが共にOFFとなったか否かを判定する。また、ステップS1203に相当する処理は実行しない。また、ステップS1204に相当する処理においては、1枚のメダルが投入された場合に当該メダルが既に第2センサ86bの検出位置を通過し終えたことを示す第4通過フラグを格納する。また、ステップS1205に相当する処理は実行しない。つまり、第4判定処理においては、第2判定処理と異なり、投入タイミング監視処理は実行しない。また、ステップS1206に相当する処理においては、第3通過フラグが格納されてから所定時間が経過したか否かを判定する。
投入監視処理(図18)の説明に戻り、ステップ1002〜ステップS1005の検出順序確認処理を実行した後は、ステップS1006にて通過フラグ格納エリアに第1〜第4の全通過フラグがセットされているか否かを判定する。全通過フラグがセットされていない場合には、そのまま本投入監視処理を終了する。全通過フラグがセットされている場合には、ステップS1007にて第1通過フラグがセットされてから第4通過フラグがセットされるまでに要した時間が許容時間内であったか否かを判定する。
許容時間内であった場合には、ステップS1008にてRAM153の通過完了フラグ格納エリアに通過完了フラグを格納するとともに、第1〜第4の全通過フラグをクリアして本投入監視処理を終了する。
一方、許容時間内でなかった場合には、不正行為が行われたと判断する。また、上述したとおり、第1判定処理において第1センサ86aがONとなることなく第2センサ86bがONとなった場合等、第2〜第4判定処理において所定時間が経過したと判定された場合においても同様に、不正行為が行われたと判断する。
これら不正行為が行われたと判断した場合には、ステップS1009及びステップS1010の異常処理を実行する。すなわち、ステップS1009では、遊技禁止設定処理を実行する。遊技禁止設定処理では、先ず割込み処理を禁止し、さらに入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御して遊技が不可能な状態とする。また、遊技禁止設定処理では、異常報知処理を実行する。異常報知処理とは、ホール管理者などにエラーの発生を報知するための処理である。具体的には、表示制御装置111に対して第1エラーコマンドを出力することにより、上部ランプ13を所定の態様で点灯させる。なお、当該異常報知の態様は、これに限定されることはなく、例えば、スピーカ14から所定の報知音又は報知音声を出力する構成としてもよく、補助表示部15にて所定の報知表示を行う構成としてもよい。さらには、外部集中端子板171を介してホール管理装置にエラー信号を送信する構成としてもよい。続くステップS1010では、リセットスイッチ123が操作されるまで待機する。上記のように異常処理を実行することで、メダルを投入メダル検出センサ86a,86b付近で往復動させてメダルの投入を誤認させる不正行為が抑制される。
その後、リセットスイッチ123が操作されることにより、ステップS1010にて肯定判定をし、ステップS1011に進む。ステップS1011では、上述した異常処理を解除する。具体的には、次回のタイマ割込み処理を許可する。また、異常報知処理を解除する。また、ステップS1011では、RAM153の通過フラグ格納エリアに格納された全ての通過フラグをクリアする。その後、本投入監視処理を終了する。
ここで、図21のタイミングチャートを用い、投入監視処理の概要を説明する。図中のT1〜T4はメダルの通過タイミングを示している。
メダル投入口75より投入されホッパ用通路81へ導かれるメダルは、メダル投入口75に投入されてから所定時間が経過したT1のタイミングで、第1投入メダル検出センサ86aの検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ86aはON状態となる(第1通過フラグが格納される)。その後、案内通路84を流下したメダルは、T2のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bの検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第2投入メダル検出センサ86bはON状態となる(第2通過フラグが格納される)。さらに、T3のタイミングで第1投入メダル検出センサ86aの検出部をメダルが通過し終わるため、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ86aがOFF状態となり(第3通過フラグが格納される)、第2投入メダル検出センサ86bの検出部を通過し終わるT4のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがOFF状態となる(第4通過フラグが格納される)。
この場合、上述したとおり、所定の時間条件の下、上流側のセンサ86a→下流側のセンサ86bの順で各センサがON/OFFとなった時にのみメダルが正規に投入されたと判断される。すなわち、上流側のセンサ86aがONとなってから下流側のセンサ86bがONとなるまでに所定時間が経過した場合や、通常時とは逆に下流側のセンサ86b→上流側のセンサ86aの順で書くセンサがONとなった時には、エラーとなって、その旨が報知等されるとともに遊技が禁止される。
次に、第2判定処理(図20)におけるステップS1205の投入タイミング監視処理について説明する。
詳細な説明に先立って概略を説明する。スロットマシン10では、上記のように各投入メダル検出センサ86a,86bに対してメダルを往復動させる不正行為だけでなく以下の不正行為が想定される。具体的には、例えば、2個連設された投入メダル検出センサ86a,86bの間隔に対応させて2つの発光体をフィルムなどに埋設させた不正用冶具を用いるものが考えられる。この場合、各発光体が各投入メダル検出センサ86a,86bの検出部にくるようにフィルムを挿入し、各投入メダル検出センサ86a,86bの正規の検出順序に対応させて各発光体を点滅させることでメダルの投入を誤検出させるものと考えられる。これに対して、本スロットマシン10では、メダルの投入タイミングを測定することで異常の有無を判定し、異常有りと判定した場合には異常処理を実行する。
また、投入タイミング監視処理は上記のとおり、第2判定処理において第2通過フラグを格納した後に実行される。つまり、下流側の投入メダル検出センサ86bがON状態となることで(メダルを検出した旨の検出結果となることで)、投入タイミング監視処理が実行される。
さて、投入タイミング監視処理では、先ずステップS1301にてRAM153の監視タイマカウンタ153cが「0」か否かを判定する。監視タイマカウンタ153cが「0」の場合には、ステップS1302に進み、RAM153のエラーカウンタ153dに基準回数をセットする。この基準回数は、「最大ベット枚数(最大賭け数)―1」の値となっており、具体的にはエラーカウンタ153dに「2」をセットする。続くステップS1303では、監視タイマカウンタ153cに基準間隔(基準期間)をセットする。具体的には、「30」をセットする。その後、本投入タイミング監視処理を終了する。
ここで、上述したように監視タイマカウンタ153cにセットされた値は、投入監視処理(図18)のステップS1001が実行される毎に1減算される。また、投入監視処理は投入メダル検出処理(図17)の一部の処理として実行され、さらに投入メダル検出処理はタイマ割込み処理(図10)の一部の処理として実行される。そして、タイマ割込み処理は、1.49msec周期で起動される。したがって、監視タイマカウンタ153cにセットされたカウント値「30」は、30×1.49msec≒45msecの時間に相当している。
この45msecという時間は、未使用のセレクタ83に対して未使用の25φのメダルを複数枚連続投入した場合において、下流側の投入メダル検出センサ86bにおけるメダルの検出間隔(検出期間)の実測値よりも小さい値として設定されている。すなわち、基準間隔は、受入部を構成するセレクタ83及び遊技媒体としてのメダルの各形態に基づいて特定される最短検出間隔未満となっている。したがって、正規のメダルの投入においては、下流側の投入メダル検出センサ86bにおける検出間隔は45msecを超え、監視タイマカウンタ153cが「0」となった状況で投入タイミング監視処理が開始され、ステップS1301では上記のとおり肯定判定をする。これに対して、発光体をフィルムなどに埋設させた不正用治具を用いた不正行為が行われる場合、下流側の投入メダル検出センサ86bでの検出間隔は45msec未満となる。したがって、不正行為においては、監視タイマカウンタ153cが「0」となっていない状況で投入タイミング監視処理が開始され、ステップS1301では否定判定をする。
ステップS1301にて否定判定をした場合、ステップS1304に進む。ステップS1304では、エラーカウンタ減算処理を実行する。具体的には、RAM153のエラーカウンタ153dの値を1減算する。続くステップS1305では、エラーカウンタ153dの値が「0」か否かを判定する。
エラーカウンタ153dが「0」でない場合には、ステップS1303にて監視タイマカウンタ153cに「30」をセットした後に本投入タイミング監視処理を終了する。エラーカウンタ153dが「0」である場合には、ステップS1306及びステップS1307の異常処理を実行する。
すなわち、ステップS1306では、遊技禁止設定処理を実行する。遊技禁止設定処理では、先ず割込み処理を禁止し、さらに入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御して遊技が不可能な状態とする。また、遊技禁止設定処理では異常報知処理を実行する。異常報知処理は上述したとおりである。続くステップS1307では、リセットスイッチ123が操作されるまで待機する。このように異常処理を実行することで、発光体をフィルムなどに埋設させた不正用治具を用いた不正行為が抑制される。
その後、リセットスイッチ123が操作されることにより、ステップS1307にて肯定判定をし、ステップS1308に進む。ステップS1308では、上述した異常処理を解除する。具体的には、次回のタイマ割込み処理を許可する。また、異常報知処理を解除する。また、ステップS1308では、監視タイマカウンタ153cに「0」をセットするとともに、エラーカウンタ153dに「2」をセットする。その後、本投入タイミング監視処理を終了する。
次に、上述した投入タイミング監視処理が実行されることに基づく、異常判定の態様について図23のタイミングチャートに基づき説明する。なお、図23において(a)の第2投入メダル検出センサ86bのタイミングチャートは、当該センサ86bがON状態となったタイミングを表す。
先ず、第1のパターンについて説明する。t1のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに基準間隔(具体的には、「30」)がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数(具体的には「2」)がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、t2のタイミングで監視タイマカウンタ153cの値が「0」となり(基準間隔が経過し)、t3のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。そして、上記のように監視タイマカウンタ153cの値が「0」の場合に第2投入メダル検出センサ86bがON状態となる状況が継続し、異常処理が実行されることなく遊技が進行していく。当該第1のパターンは上記不正行為が行われない場合の典型的な例である。
次に、第2パターンについて説明する。t4のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに基準間隔がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、監視タイマカウンタ153cが「0」となる前であるt5のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。かかる場合、第2投入メダル検出センサ86bにおける検出間隔が基準間隔を下回ったこととなり、エラーカウンタ153dの値が1減算される。
その後、t6のタイミングで監視タイマカウンタ153cの値が「0」となり、t7のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。かかる場合、第2投入メダル検出センサ86bにおける検出間隔が基準間隔を超えているため、エラーカウンタ153dに基準回数が再びセットされる。当該第2のパターンは、複数枚のメダルが連続投入された際にその投入された各メダルの挙動が乱れ、上記検出間隔が基準間隔を偶然下回った場合に起こり得る。
次に、第3のパターンについて説明する。t8のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに基準間隔がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、t9のタイミング及びt10のタイミングのそれぞれにおいて、監視タイマカウンタ153cが「0」となる前に第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となり、エラーカウンタ153dの値がそれぞれ1減算される。これにより、t10のタイミングでエラーカウンタ153dの値が「0」となり、異常処理として異常報知処理及び遊技禁止処理が開始される。これら各処理が実行されることにより、上記不正用冶具を用いてメダルの投入を誤検出させようとする不正行為がさらに続けて行われることを抑制することができる。
特に、エラーカウンタ153dにセットされる基準回数は「2」であるため、上記不正用冶具を用いてメダルの投入を誤検出させようとする不正行為が行われた場合には、メダルのベット枚数が最大ベット枚数となったタイミングで異常処理が実行される。そして、当該異常処理が実行されると、その後の遊技が禁止される。したがって、上記不正行為が行われ続けることを抑制できるだけでなく、最大ベット枚数による遊技が1度でも実行されてしまうことを抑制できる。その後、t11のタイミングでリセットスイッチ123が操作されることにより、異常報知が解除されるとともに、遊技禁止処理が解除される。
投入メダル検出処理の説明に戻り、ステップS901にて投入監視処理を実行した後は、ステップS902にて正常なメダルの検出があったか否かを判定する。かかる判定は、通過完了フラグが格納されているか否かを判定することにより行われる(通過完了フラグは投入監視処理(図18)におけるステップS1008にて格納される)。
正常なメダルの検出がなかった場合には、そのまま本投入メダル検出処理を終了する。正常なメダルの検出があった場合には、ステップS903に進む。なお、この際、通過完了フラグをクリアする。ステップS903では、RAM153のベットメダル記憶エリア153bを確認することにより、最大ベット枚数となっているか否かを判定する。この最大ベット枚数は、例えば、遊技状態が通常ゲームの場合には「3」となっている。最大ベット枚数でない場合には、ステップS904にてRAM153のベットメダル記憶エリア153bの値(ベット枚数)を1加算した後に、ステップS906に進む。一方、最大ベット枚数である場合には、ステップS905にて仮想メダル枚数を1加算した後にステップS906に進む。つまり、最大ベット枚数の状況においてメダルが投入されると、その投入されたメダルは仮想メダルとして貯留記憶される。
ステップS906では、最大ベット枚数であって最大仮想メダル枚数(例えば、50枚)であるか否かを判定する。いずれかが最大枚数でない場合には、そのまま本投入メダル検出処理を終了する。いずれも最大枚数である場合には、ステップS907にてメダル通路切替ソレノイド83aを非励磁状態としてメダルの投入を不許可とした後に、本投入メダル検出処理を終了する。このメダルの投入を不許可とした状態は、最大ベット枚数の状態又は最大仮想メダル枚数の状態のいずれかが解消されることに応じて、解除される。
通常処理の説明に戻り、メダルがベットされているときには、続いてステップS503にて有効ライン設定処理を実行する。有効ライン設定処理では、RAM153のベットメダル記憶エリア153bを確認することにより、現在のベット枚数を把握し、その把握したベット枚数に応じて有効ラインを設定する。このベット枚数に応じた有効ラインの設定については既に説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。ちなみに、設定された有効ライン数が多いほど、後述する抽選処理にて当選となった役の入賞が成立し易くなる。つまり、設定された有効ライン数が多いほど、すなわちベット枚数が多いほど、1遊技回でのメダルの獲得期待値が高くなると言える。
続くステップS504では、スタートレバー71が操作されたか否かを判定する。ステップS502,ステップS504が共にYESの場合には、ステップS505にてベット不許可処理を実行する。具体的には、RAM153の遊技中フラグ格納エリアに遊技中フラグをセットする。当該遊技中フラグがセットされることにより、クレジット投入検出センサ77a〜79aからのON信号が無効化される。また、メダル通路切替ソレノイド83aが非励磁とされ、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても皿用通路82を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようになる。さらには、精算検出センサ80aからのON信号が無効化される。
その後、ステップS506の抽選処理、ステップS507のリール制御処理、ステップS508のメダル払出処理、ステップS509のBBゲーム処理を順に実行し、ステップS510ではベット許可処理を行う。かかる処理では、RAM153の遊技中フラグ格納エリアから遊技中フラグをクリアする。これにより、クレジット投入検出センサ77a〜79a及び精算検出センサ80aからのON信号の無効化状態が解除される。また、メダル通路切替ソレノイド83aが励磁され、メダル投入口75からメダルが投入された際にホッパ用通路81へ導かれるようになる。以上の処理を行った後、ステップS501に戻る。一方、ステップS502にてメダルがベットされていない、またはステップS504にてスタートレバー71が操作されていない場合には、ステップS501に戻る。
次に、通常処理におけるステップS506〜ステップS508の各処理について説明する。なお、ステップS509のBBゲーム処理は、BBゲームの開始、BBゲームの進行、及びBBゲームの終了に関する制御を行う処理であり、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS506の抽選処理について、図24のフローチャートに基づき説明する。
ステップS1401では、乱数テーブル選択処理を実行する。当該乱数テーブル選択処理では、スロットマシン10の現在の設定状態に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。
また、乱数テーブル選択処理では、現在のベット枚数に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。つまり、乱数テーブル選択処理では、RAM153のベットメダル記憶エリア153bを確認し、当該エリア153bに格納された値に基づいて当否決定用の乱数テーブルを選択する。具体的には、ベット枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。かかる構成より、ベット枚数が多いほど、1遊技回でのメダルの獲得期待値が高くなると言える。
ステップS1402では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタ154よりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う。そしてステップS1403にていずれかの役に当選したか否かを判定し、いずれの役にも当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合にはステップS1404に進み、その役に応じた当選フラグをセットすると共に図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。続いてステップS1405ではリール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
次に、ステップS507のリール制御処理について、図25のフローチャートに基づき説明する。
リール制御処理では、先ずステップS1501においてウエイト処理を行う。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール42L,42M,42Rが回転しないことがある。ウエイト処理に続いてステップS1502のリール回転処理を行い、各リール42L,42M,42Rを回転させる。その後、ステップS1503に進み、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過した場合にはステップS1504に進み、ストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否か、より具体的にはストップ検出センサ72a〜74aからのON信号を受信しているか否かを判定する。停止指令が発生していない場合にはステップS1505に進み、予め定められた各リール42L,42M,42Rの最大回転時間を経過したか否かを判定する。最大回転時間を経過していない場合にはステップS1504に戻り、最大回転時間を経過した場合にはステップS1506に進んで回転中の全てのリールを強制的に順次停止させる強制停止処理を行う。
一方、ステップS1504にてストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されて停止指令が発生した場合には、ステップS1507に進み、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。
続いて、ステップS1508では今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、ステップS1509に進み、スベリテーブル変更処理を行う。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。
一方、ステップS1508で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、ステップS1510に進み、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときにはステップS1511に進み、停止目判定処理を行う。この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。
そして、ステップS1506の強制停止処理の後、ステップS1509のスベリテーブル変更処理の後、ステップS1510にて今回の停止指令が第2停止指令でなかったとき、又はステップS1511の停止目判定処理を行った後には、ステップS1512にて左、中、右リール42L,42M,42Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。ステップS1512がNOの場合にはステップS1504に戻り、YESの場合には続くステップS1513にて払出判定処理を行った後に本リール制御処理を終了する。
払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに「0」をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
次に、ステップS508のメダル払出処理について、図26のフローチャートに基づき説明する。
メダル払出処理では、先ずステップS1601にて払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、ステップS1602にてRAM153の仮想メダル記憶エリア153aの仮想メダル枚数が上限(貯留されている仮想メダル枚数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、ステップS1603,S1605にて仮想メダル記憶エリア153aの仮想メダル枚数及び払出数をそれぞれ1加算する。その後、ステップS1606では、クレジット表示部35及び獲得枚数表示部36の枚数をそれぞれ1加算するための表示部変更処理を行う。
一方、ステップS1602にて仮想メダル記憶エリア153aの仮想メダル枚数が上限に達しているときには、ステップS1604にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。続くステップS1605ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1加算する。その後、ステップS1606にて獲得枚数表示部36の枚数を1加算するための表示部変更処理を行う。ステップS1606にて表示部変更処理を行った後、再びステップS1601に戻る。ステップS1601で払出数と払出予定数とが一致したときには、ステップS1607にて払出終了処理を行った後に本メダル払出処理を終了する。払出終了処理では、払出予定数格納エリアや払出数カウンタの値を「0」にクリアする。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131のRAM153に監視タイマカウンタ153cを設け、投入メダル検出センサ86a,86bにおけるメダルの検出間隔を把握するようにした。そして、この検出間隔が基準間隔以下となったことに基づいて異常処理を実行するようにした。不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われる場合、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔は正規のメダルの投入時における検出間隔よりも短くなる。これに対して、上記のとおり、検出間隔が基準間隔以下となったことに基づいて異常処理を実行することで、上記不正行為が行われ続けることを抑制することができる。また、かかる不正行為が行われ続けることが抑制されることにより、仮想メダルの貯留記憶を不正に行わせることに基づいてメダルを取得する不正行為が行われ続けることをも抑制することができる。
上記基準間隔を、セレクタ83及びメダルの各形態に基づいて特定される最短検出間隔未満となるよう設定した。これにより、正規のメダルの投入時において投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が基準間隔以下となる可能性が低減され、当該状況において異常処理が実行されてしまうことが抑制される。
主制御装置131のRAM153にエラーカウンタ153dを設け、投入メダル検出センサ86a,86bにおけるメダルの検出間隔が基準間隔以下となる状況が連続する場合の連続回数を把握し、当該連続回数が予め設定された基準回数に達した場合に異常処理を実行するようにした。これにより、正規のメダルの投入時において異常処理が実行されてしまうことが抑制される。正規のメダルの投入時においては、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が基準間隔以下となる状況が連続することはないからである。一方、不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われる場合、検出間隔が基準間隔以下となる状況が連続して発生するため、上記不正行為が行われ続けることを抑制するという効果は確保される。
上記基準回数を、「最大ベット枚数(最大賭け数)−1」の値とした。本スロットマシン10では、最大ベット枚数の範囲内においてベット枚数(賭け数)が多くなるほど、1の遊技回でのメダルの獲得期待値が大きくなる。例えば、ベット枚数が多くなるほど、抽選処理(図24)にて役の当選確率が高いに乱数テーブル(抽選情報群)が選択され、有効ライン設定処理(図13のステップS503)にて多数の有効ラインが設定される。この場合に、基準回数が上記のとおり設定されていることにより、不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われたとしても、少なくとも最大ベット枚数に達した場合には異常処理が実行される。よって、上記不正行為により最大ベット枚数とした状況で遊技が行われてしまうことを抑制することができる。
上記検出間隔が異常か否かの判定を行うための投入タイミング監視処理(図22)を、投入メダル検出処理(図17)における投入監視処理にて行うようにした。また、当該投入監視処理は、投入メダル検出処理においてベット枚数を加算する処理や、仮想メダル枚数を加算する処理よりも前に行われる。これにより、上記検出間隔が異常か否かの判定は、ベット枚数を加算する前のタイミングで、又は仮想メダル枚数を加算する前のタイミングで実行される。また、当該タイミングで上記検出間隔が異常か否かの判定が行われることにより、異常有りと判定された場合に異常処理は、ベット枚数を加算する前のタイミングで、又は仮想メダル枚数を加算する前のタイミングで実行される。これにより、異常処理が実行される場合における最終回の不正行為に基づくベット枚数の加算、又は仮想メダルの貯留記憶を阻止することが可能となり、上記不正行為が行われ続けることを抑制できるだけでなく、遊技ホールの被る被害を極力抑えることが可能となる。
投入タイミング監視処理は、ベット許可状態において実行され、ベット不許可状態においては実行されない。すなわち、遊技が開始され当該遊技が継続している状況において投入タイミング監視処理が実行されないようになっている。遊技に関わる制御では、抽選処理(図19)やリール制御処理(図20)が実行され、その制御の処理負荷は比較的大きなものであり、当該遊技に関わる制御に対して投入タイミング監視処理が並行して行われると主制御装置131のCPU151における制御処理負荷が増大してしまうおそれがある。これに対して、上記のとおり投入タイミング監視処理はベット許可状態において実行されるため、遊技に関わる制御に対して投入タイミング監視処理が並行して行われることはなく、上記のような制御処理負荷の増大化が抑制されている。
(第2の実施形態)
本実施形態では、投入タイミング監視処理及びそれに関連した構成が上記第1の実施形態と異なっている。そこで、以下にかかる相違する構成について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的に説明を省略する。
本実施形態では、主制御装置131のRAM153に、上記第1の実施形態における各記憶エリアだけでなく、さらに計測結果記憶エリア153eが設けられている。この計測結果記憶エリア153eにより、第2投入メダル検出センサ86bにおける検出間隔の履歴が記憶される。また、監視タイマカウンタ153cは、上記第1の実施形態では減算式であったが、本実施形態では加算式となっている。つまり、検出間隔の把握に際しては、監視タイマカウンタ153cに先ず「0」がセットされ、その後、タイマ割込み処理が起動される度に1加算され、その加算後の値により検出間隔が把握される。
次に、本実施形態における投入監視処理について図28のフローチャートを用いて説明する。
投入監視処理におけるステップS1701では、監視タイマカウンタ153cの値が計測上限値であるか否かを判定する。具体的には、監視タイマカウンタ153cの値が「40000」か否かを判定する。計測上限値でない場合には、ステップS1702にて監視タイマカウンタ加算処理を実行する。具体的には、監視タイマカウンタ153cの値を1加算する。その後、ステップS1703に進む。一方、計測上限値である場合には、ステップS1702の処理を実行することなくステップS1703に進む。
つまり、本実施形態では、監視タイマカウンタ153cの値は、計測上限値の範囲内において投入監視処理が実行される度に1加算される。そして、当該投入監視処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行されるため、1.49msec周期で繰り返し実行される。すなわち、監視タイマカウンタ153cの値は、計測上限値の範囲内において1.49msec周期で1加算される。一方、監視タイマカウンタ153cの値が計測上限値に達した場合には、監視タイマカウンタ加算処理が実行されなくなる。これにより、メダルの投入が一切行われず当該メダルの投入に関する監視を行う必要がない状況において、監視タイマカウンタ153cの値が際限なく加算されていくことが防止される。
その後、ステップS1703〜ステップS1712の処理が実行されることにより、投入メダルの監視が実行される。なお、これらステップS1703〜ステップS1712では、上記第1の実施形態におけるステップS1002〜ステップS1011と同一の処理を実行するため、ここでは説明を省略する。
次に、本実施形態における投入タイミング監視処理について図29のフローチャートを用いて説明する。
投入タイミング監視処理におけるステップS1801では、現在の監視タイマカウンタ153cの値を検出間隔の履歴として計測結果記憶エリア153eに記憶する。計測結果記憶エリア153eは、複数(本実施形態では2個)の検出間隔の履歴を記憶可能な容量を有しており、そのうちの1つが前回の検出間隔の履歴を記憶するエリアに相当し、他の1つが今回の検出間隔の履歴を記憶するエリアに相当する。なお、本実施形態では、今回の検出間隔の履歴を、前々回の検出間隔の履歴が記憶されたエリアに記憶させる。また、計測結果記憶エリア153eに記憶させる値は、監視タイマカウンタ153cの値であってもよく、その値を時間に換算した値であってもよい。
続くステップS1802では、計測結果記憶エリア153eを確認することにより、前回の検出間隔の履歴と今回の検出間隔の履歴とが同一(又は略同一)か否かを判定する。ここで、当該判定では、一方の履歴と他方の履歴とが完全に一致する場合のみならず、一方の履歴を基準として所定の誤差範囲内に他方の履歴がある場合も同一と判定する。当該誤差としては、例えば、±2msecとする構成が考えられる。また、基準とした履歴の±5%の値を誤差とする構成が考えられる。なお、一方の履歴と他方の履歴とが完全に一致する場合にのみ、ステップS1802にて同一と判定する構成としてもよい。
両者の履歴が同一でない場合には、ステップS1803に進み、RAM153のエラーカウンタ153dに基準回数をセットする。この基準回数は、「最大ベット枚数(最大賭け数)−1」の値となっており、具体的にはエラーカウンタ153dに「2」をセットする。続くステップS1804では、監視タイマカウンタ153cに「0」をセットする。その後、本投入タイミング監視処理を終了する。
前回の検出間隔の履歴と今回の検出間隔の履歴とが同一であり、ステップS1802にて肯定判定をした場合、ステップS1805に進む。ステップS1805では、エラーカウンタ減算処理を実行する。具体的には、エラーカウンタ153dの値を1減算する。続くステップS1806では、エラーカウンタ153dの値が「0」か否かを判定する。
エラーカウンタ153dの値が「0」でない場合には、ステップS1804にて監視タイマカウンタ153cに「0」をセットした後に、本投入タイミング監視処理を終了する。エラーカウンタ153dの値が「0」である場合には、ステップS1807及びステップS1808の異常処理を実行する。当該異常処理については上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。かかる異常処理を実行することで、発光体をフィルムなどに埋設させた不正用冶具を用いた不正行為が抑制される。
その後、リセットスイッチ123が操作されることにより、ステップS1808にて肯定判定をし、ステップS1809に進む。ステップS1809では、上述した異常処理を解除する。かかる解除の具体的な内容については、上記第1の実施形態にて説明したとおりである。また、ステップS1809では、監視タイマカウンタ153cに計測上限値である「40000」をセットするとともに、エラーカウンタ153dに「2」をセットする。その後、本投入タイミング監視処理を終了する。
次に、上述した投入タイミング監視処理が実行されることに基づく、異常判定の態様について図30のタイミングチャートに基づき説明する。なお、図30において(a)の第2投入メダル検出センサ86bのタイミングチャートは、当該センサ86bがON状態となったタイミングを表す。
先ず、第1のパターンについて説明する。t1のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに「0」がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数(具体的には「2」)がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、t2のタイミング及びt3のタイミングのそれぞれで、第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。この場合、t1のタイミングからt2のタイミングまでの検出間隔と、t2のタイミングからt3のタイミングまでの検出間隔とが異なるため、異常処理が実行されることなく遊技が進行していく。当該第1のパターンは上記不正行為が行われない場合の典型的な例である。
次に、第2のパターンについて説明する。t4のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに「0」がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、t5のタイミング及びt6のタイミングのそれぞれで、第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。この場合、t4のタイミングからt5のタイミングまでの検出間隔と、t5のタイミングからt6のタイミングまでの検出間隔とが同一であるため、エラーカウンタ153dの値が1減算される。
その後、t7のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。この場合、t5のタイミングからt6のタイミングまでの検出間隔と、t6のタイミングからt7のタイミングまでの検出間隔とが異なるため、エラーカウンタ153dに基準回数が再びセットされる。当該第2のパターンは、複数枚のメダルが連続投入された際にその投入された各メダルの検出間隔が偶然一致した場合に起こり得る。
次に、第3のパターンについて説明する。t8のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bがON状態となることにより、監視タイマカウンタ153cに「0」がセットされ、間隔の計測が開始される。また、このタイミングにおいて、エラーカウンタ153dに既に基準回数がセットされていたとしても、基準回数が再度セットされる。その後、t9のタイミング及びt10のタイミングのそれぞれで、第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。この場合、t8のタイミングからt9のタイミングまでの検出間隔と、t9のタイミングからt10のタイミングまでの検出間隔とが同一であるため、エラーカウンタ153dの値が1減算される。さらに、t11のタイミングで第2投入メダル検出センサ86bが再びON状態となる。そして、t9のタイミングからt10のタイミングまでの検出間隔と、t10のタイミングからt11のタイミングまでの検出間隔とが同一であるため、エラーカウンタ153dの値が1減算される。これにより、t11のタイミングでエラーカウンタ153dの値が「0」となり、異常処理として異常報知処理及び遊技禁止処理が開始される。
これら各処理が実行されることにより、上記不正行為がさらに続けて行われることを抑制することができる。特に、エラーカウンタ153dにセットされる基準回数は「2」であるため、上記不正用冶具を用いてメダルの投入を誤検出させようとする不正行為が行われた場合には、投入されたメダルが仮想メダルとして貯留記憶されるタイミングで異常処理が実行される。そして、当該異常処理が実行されると、その後の遊技が禁止される。したがって、上記不正行為が行われ続けることを抑制できるだけでなく、仮想メダルの貯留記憶が1度でも実行されてしまうことを抑制できる。その後、t12のタイミングでリセットスイッチ123が操作されることにより、異常報知が解除されるとともに、遊技禁止処理が解除される。
以上詳述した本実施形態よれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131のRAM153に監視タイマカウンタ153c及び計測結果記憶エリア153eを設け、投入メダル検出センサ86a,86bにおける一の検出間隔と次の検出間隔とが同一又は略同一となることに基づいて異常処理を実行するようにした。不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われる場合、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が同一又は略同一となる状況が継続される。これに対して、上記のとおり、一の検出間隔と次の検出間隔とが同一又は略同一となることに基づいて異常処理を実行することで、上記不正行為が行われ続けることを抑制することができる。また、かかる不正行為が行われ続けることが抑制されることにより、仮想メダルの貯留記憶を不正に行わせることに基づいてメダルを取得する不正行為が行われ続けることをも抑制することができる。
主制御装置131のRAM153にエラーカウンタ153dを設け、一の検出間隔と次の検出間隔とが同一又は略同一となる状況が連続する場合、その連続回数を把握し、当該連続回数が予め設定された基準回数に達した場合に異常処理を実行するようにした。これにより、正規のメダルの投入時において異常処理が実行されてしまうことが抑制される。正規のメダルの投入時においては、一の検出間隔と次の検出間隔とが同一又は略同一となる状況は連続しないからである。一方、不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われる場合、一の検出間隔と次の検出間隔とが同一又は略同一となる状況が連続して発生するため、上記不正行為が行われ続けることを抑制するという効果は確保される。
上記基準回数を、「最大ベット枚数(最大賭け数)−1」の値とした。本スロットマシン10では、最大ベット枚数を超えた数のメダルが投入された場合には、その最大ベット枚数を超えた数分のメダルは仮想メダルとして貯留記憶される。この場合に、基準回数が上記のとおり設定されていることにより、不正用冶具を用いて投入メダル検出センサ86a,86bにメダルの投入を誤検出させる不正行為が行われたとしても、少なくとも仮想メダルとして貯留記憶された場合には異常処理が実行される。よって、上記不正行為を行い、仮想メダルを貯留記憶させようとする行為を抑制することができる。
また、その他、上記第1の実施形態と同一の又は類似した構成を備えており、それらの構成に基づく効果は本実施形態においても同様に奏する。
(他の実施形態)
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記第1の実施形態において主制御装置131のRAM153にエラーカウンタ153dを設けることなく、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が基準間隔以下となる状況が1回でも生じた場合に異常処理を実行するようにしてもよい。
(2)また、上記第2の実施形態においても同様に、主制御装置131のRAM153にエラーカウンタ153dを設けることなく、投入メダル検出センサ86a,86bにおける一の検出間隔が次の検出間隔と同一又は略同一となる状況が1回でも生じた場合には異常処理を実行するようにしてもよい。
上記(1),(2)の構成によれば、不正用冶具を用いた不正行為が行われた場合に、当該不正行為が行われ続けることを上記各実施形態よりも早い段階で抑制することができる。但し、当該構成においては、正規のメダルの投入時において異常処理が実行されてしまう可能性が上記各実施形態よりも高まるため、かかる観点からはエラーカウンタ153dを設ける上記各実施形態の構成とする方が好ましい。
(3)上記第1の実施形態では、RAM153のエラーカウンタ153dにより、検出間隔が基準間隔以下となる状況が連続する場合におけるその連続回数を把握する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、エラーカウンタ153dにより、検出間隔が基準間隔以下となった回数を把握する構成としてもよい。つまり、エラーカウンタ153dにより、検出間隔が基準間隔以下となる状況が非連続で発生したとしても、その発生した回数が把握される。また、当該構成において、基準回数を、「最大ベット枚数―1」の値とするのではなく、「最大仮想メダル枚数―1」の値としてもよく、「最大ベット枚数+最大仮想メダル枚数―1」の値としてもよい。これらの場合、不正用冶具を用いてRAM153の仮想メダル記憶エリア153aに最大仮想メダル枚数を貯留記憶させた後に、それら貯留記憶させた仮想メダルをメダルとして排出させようとする行為を抑制することができる。また、上記第1の実施形態よりも、正規のメダルの投入に際して異常処理が実行されてしまう可能性を低減させることができる。
(4)上記第2の実施形態では、RAM153のエラーカウンタ153dにより、一の検出間隔が次の検出間隔と同一又は略同一となる状況が連続する場合におけるその連続回数を把握する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、エラーカウンタ153dにより、一の検出間隔が次の検出間隔と同一又は略同一となった回数を把握する構成としてもよい。つまり、一の検出間隔が次の検出間隔と同一又は略同一となる状況が非連続で発生したとしても、その発生した回数がエラーカウンタ153dにより把握される。また、当該構成において、基準回数を、「最大ベット枚数―1」の値とするのではなく、「最大仮想メダル枚数―2」の値としてもよく、「最大ベット枚数+最大仮想メダル枚数―2」の値としてもよい。これらの場合、不正用冶具を用いてRAM153の仮想メダル記憶エリア153aに最大仮想メダル枚数を貯留記憶させた後に、それら貯留記憶させた仮想メダルをメダルとして排出させようとする行為を抑制することができる。また、上記第2の実施形態よりも、正規のメダルの投入に際して異常処理が実行されてしまう可能性を低減させることができる。
(5)上記第1の実施形態では、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が基準間隔以下となった場合に当該検出間隔について異常であると判定する構成としたが、これに代えて、検出間隔が基準間隔未満となった場合に当該検出間隔について異常であると判定する構成としてもよい。また、監視タイマカウンタ153cによる検出間隔の計測は、減算式に限定されることはなく、加算式としてもよい。また、カウント値をセットすることにより検出間隔を計測するのではなく、RTC(リアルタイムクロック)などを用いて実際の時間を計測する構成としてもよい。なお、この実際の時間を計測する構成を上記第2の実施形態に対して適用してもよい。さらには、基準間隔は45msecに限定されることはなく、不正用冶具を用いてメダルの投入を誤検出させる不正行為を抑制でき、且つ、不正行為ではない通常時において異常処理が実行されることを抑制できるのであれば、任意である。
(6)上記第1の実施形態では、1枚でもメダルがベットされた場合には遊技の開始が許容される構成としたが、これに代えて、所定の複数枚のメダルがベットされない限り遊技の開始が許容されない構成としてもよい。当該構成においては、エラーカウンタ153dにセットされる基準回数を、「遊技開始に必要なベット枚数(賭け数)−1」の値とすることで、不正用冶具を用いてメダルの投入を誤検出させ遊技を開始しようとする行為を抑制することができる。なお、基準回数を、「遊技開始に必要なベット枚数(賭け数)−1」の値以下としてもよい。また、本構成を上記第2の実施形態に対して適用してもよい。
(7)上記第2の実施形態では、検出間隔の履歴を記憶するための手段として、RAM153に計測結果記憶エリア153eを設けたが、これに代えて、CPU151に計測結果記憶用レジスタを設け当該レジスタに検出間隔の履歴を記憶する構成としてもよい。なお、このように情報を記憶する手段としてCPU151のレジスタを用いる構成を、上記各実施形態におけるエラーカウンタ153dの情報などに対して用いてもよい。
(8)上記各実施形態では、異常処理として異常報知処理と遊技禁止処理とを実行する構成としたが、これに代えて、異常報知処理のみ実行する構成としてもよい。当該構成であっても、投入メダル検出センサ86a,86bにおける検出間隔が異常であると判定された場合にはその旨が報知されるため、当該不正行為がその後も継続されることを抑制することができる。
(9)上記各実施形態では、検出間隔の計測を第2投入メダル検出センサ86bがON状態となるタイミングに基づいて行う構成としたが、これを変更してもよい。例えば、第1投入メダル検出センサ86aがON状態となるタイミングに基づいて検出間隔の計測を行ってもよく、第1投入メダル検出センサ86aがOFF状態となるタイミングに基づいて検出間隔の計測を行ってもよい。また、第1,第2投入メダル検出センサ86a,86bが共にON状態となるタイミングに基づいて検出間隔の計測を行ってもよく、第2投入メダル検出センサ86bがOFF状態となるタイミングに基づいて検出間隔の計測を行ってもよい。
(10)上記各実施形態では、遊技禁止処理が実行された場合における解除手段をリセットスイッチ123としたが、これに限定されることはなく、専用の解除手段を設ける構成としてもよい。また、キーシリンダ20に対して当該解除手段としての機能を兼用させてもよい。すなわち、キーシリンダ20に挿し込んだキーを一方に回すことにより筐体11に対する前面扉12の解錠が行われ、それとは逆方向に回すことにより遊技禁止処理が解除される構成としてもよい。
(11)投入メダル検出センサ86a,86bとしてダブルセンサを備える構成に限定されることはなく、一の投入メダル検出センサのみ設けられたスロットマシンに対して本発明を適用してもよく、また、3個以上の投入メダル検出センサが設けられたスロットマシンに対して本発明を適用してもよい。さらには、投入メダル検出センサとして、フォトセンサ以外のセンサを用いたスロットマシンに対して本発明を適用してもよい。
(12)上記各実施形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。
(13)上記各実施形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機であってクレジット機能を備えた遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
10…遊技機としてのスロットマシン、41…遊技装置としてのリールユニット、71…開始操作手段としてのスタートレバー、72〜74…終了操作手段としてのストップスイッチ、75…受入部を構成するメダル投入口、80…排出操作手段としての精算スイッチ、83…受入部を構成するセレクタ、84…案内通路、86a,86b…投入メダル検出センサ、91…排出手段としてのホッパ装置、131…主制御装置、151…判定手段や異常処理実行手段等の機能を有するCPU、152…ROM、153…RAM、153a…貯留記憶手段としての仮想メダル記憶エリア、153c…間隔把握手段としての監視タイマカウンタ、153d…回数把握手段としてのエラーカウンタ、153e…間隔履歴記憶手段としての計測結果記憶エリア。