JP2008164582A - 時計部品、及び当該時計部品を備えた時計 - Google Patents

時計部品、及び当該時計部品を備えた時計 Download PDF

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章浩 藤森
Masami Murai
正己 村井
Susumu Arai
進 新井
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Abstract

【課題】摩擦摺動部、及び切替部の耐磨耗性、及び潤滑性を向上させた時計部品の提供。
【解決手段】ロータ121は、上下のホゾ部分が輪列受、及び地板220に組み込まれた受石150で受けられている。ロータ121は、ロータ121の下部位置に設けられる下ホゾ124を備える。受石150は、中央にホゾ穴151が形成されたルビー等により構成されている。ロータ121、及び下ホゾ124の表面は、複合メッキ160により皮膜されている。複合メッキ160は、電気メッキ処理により皮膜されたニッケルメッキ161と、ポリアクリル酸等の分散剤を用いてニッケルメッキ161の表面に露出して形成されたグラファイト層162とを備える。したがって、ロータ121、及び下ホゾ124と、ホゾ穴151とは、グラファイト層162を介して摺動する。
【選択図】図3

Description

本発明は、時計部品、及び当該時計部品を備えた時計に関する。
従来、電池やゼンマイなどのエネルギーを利用して指針を運針させる時計が知られている。このような時計には、他の時計部品と接触して摺動する摩擦摺動部、または時計の動作に応じて他の時計部品との接触状態を切り替える切替部を有する時計部品が利用されている。例えば、摩擦摺動部を有する時計部品としては、時計用輪列部品のカナ、及びホゾなどを例示することができ、切替部を有する時計部品としては、針合わせ機構を構成するオシドリ、及びカンヌキなどを例示することができる。
ここで、摩擦摺動部、及び切替部には、他の時計部品と点接触するため磨耗しやすいので、耐磨耗性、及び潤滑性を付与するべく時計専用の油を注油している。
ところで、近年、金属メッキに微粒子を混入させた複合メッキが知られている。複合メッキでは、金属メッキ、及び微粒子を選択することにより、硬度、耐摩耗性、潤滑性などに優れたメッキを皮膜することができる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の複合メッキでは、金属メッキとしてのニッケルメッキにグラファイトなどの微粒子を無電解メッキ処理により混入させて、時計部品のうち、時針や分針などの指針を取り付けるカナの表面における塗膜めくれを防止している。
特開2003−156575号公報
しかしながら、特許文献1に記載の複合メッキでは、時針や分針などの指針を取り付けるカナの表面における塗膜めくれを防止することはできるが、無電解メッキ処理により複合メッキを皮膜しているので、複合メッキの表面を十分に平滑化することはできない。すなわち、時計部品の摩擦摺動部、及び切替部に耐磨耗性、及び潤滑性を付与する目的で特許文献1に記載の複合メッキを皮膜したとしても十分な耐磨耗性、及び潤滑性を付与することができないという問題があった。
本発明の目的は、摩擦摺動部、及び切替部の耐磨耗性、及び潤滑性を向上させた時計部品を提供することにある。
本発明の時計部品は、他の時計部品と接触して摺動する摩擦摺動部、または時計の動作に応じて他の時計部品との接触状態を切り替える切替部を有する時計部品であって、前記摩擦摺動部、または前記切替部の接触面には、金属メッキにグラファイトを混入した複合メッキが皮膜され、前記複合メッキは、電気メッキ処理により皮膜されることを特徴とする。
このような構成によれば、時計部品の摩擦摺動部、または切替部の接触面には、金属メッキにグラファイトを混入した複合メッキが皮膜される。そして、この複合メッキは、電気メッキ処理により摩擦摺動部、または切替部の接触面における細かい凹凸を覆うように皮膜しているので、無電解メッキ処理により皮膜した場合と比較して複合メッキの表面を十分に平滑化することができ、摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
ここで、複合メッキの表面は十分に平滑化されているので、時計部品の摩擦摺動部、及び切替部に時計専用の油を注油した場合に、油の潤滑作用により、さらに摩擦係数を低減させることができる。また、時計部品の摩擦摺動部、及び切替部では、使用を重ねるうちに接触面における微小な凸部が削れて略球状のグラファイトが発生し、この略球状のグラファイトが接触面における微小な凹部を埋める。これにより複合メッキの表面は、さらに平滑化される。
なお、時計部品の製造時においては、時計部品の摩擦摺動部、及び切替部は、すべり合うことにより摺動しているが、略球状のグラファイトが接触面における微小な凹部を埋めている場合には、この略球状のグラファイトが転がることにより摺動する。すなわち、時計部品の製造時においては、すべり摩擦による摩擦係数が発生しているが、時計部品を使用することにより転がり摩擦による摩擦係数に変化する。一般的に、すべり摩擦と比較して転がり摩擦は摩擦係数が小さいので、本発明の時計部品は、使用を重ねるうちに、さらに摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
本発明では、前記金属メッキは、ニッケルメッキであることが好ましい。
このような構成によれば、ニッケルは、電気メッキ処理に好適な金属であるので、電気メッキ処理により容易に時計部品に複合メッキを皮膜することができる。また、ニッケル金属で皮膜することにより、時計部品の金属を防錆することができる。
本発明では、前記複合メッキは、分散剤を用いて皮膜され、前記グラファイトの各粒子はそれぞれ、前記金属メッキに全部または一部分が埋め込まれ、前記グラファイトの各粒子の前記金属メッキに埋め込まれていない部分が前記金属メッキの表面に露出して層状に形成されることが好ましい。
このような構成によれば、他の時計部品は、時計部品の摩擦摺動部、または切替部の接触面に層状に形成されたグラファイト(以下、グラファイト層とする)と接触する。ここで、グラファイトは、自己潤滑性を備えているので、摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
本発明では、前記グラファイトは、直径が10nm以上、100nm以下であることが好ましい。
すなわち、グラファイトの直径が10nmより小さい場合には、グラファイト層を十分に形成することができないので、摩擦摺動部、または切替部の接触面における耐磨耗性、及び潤滑性を十分に向上させることができない。また、グラファイトの直径が100nmより大きい場合には、摩擦摺動部、または切替部の接触面における耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることは可能であるが、グラファイトの直径に応じただけの耐磨耗性、及び潤滑性を付与することができないので、金属メッキにグラファイトを無駄に混入することとなる。したがって、グラファイトは、直径が10nm以上、100nm以下であることが好適である。
本発明では、前記グラファイトは、前記金属メッキに対する含有量が0.01wt%以上、1wt%以下であることが好ましい。
すなわち、グラファイトの金属メッキに対する含有量が0.01wt%より少ない場合には、グラファイト層を十分に形成することができないので、摩擦摺動部、または切替部の接触面における耐磨耗性、及び潤滑性を十分に向上させることができない。また、グラファイトの金属メッキに対する含有量が1wt%より多い場合には、分散剤の含有も増え、メッキ密着不良、メッキ付き不良、メッキ割れとなる。さらに、摩擦係数の低減が飽和するので、金属メッキにグラファイトを無駄に混入することとなる。したがって、グラファイトは、金属メッキに対する含有量が0.01wt%以上、1wt%以下であることが好適である。
本発明では、前記複合メッキの膜厚は、5μm以上、30μm以下であることが好ましい。
この発明によれば、金属メッキに適切な量のグラファイトが混入されることにより、摩擦摺動部または切替部の接触面における摩擦係数がより小さくなり、潤滑性および耐摩耗性をより向上させることができる。
ここで、複合メッキの膜厚が5μm未満の場合には、金属メッキにグラファイトが十分に混入されず、潤滑性および耐摩耗性の向上に繋げることができない。
一方、複合メッキの膜厚が30μmを超える場合には、摩擦係数の低減が飽和するので、金属メッキにグラファイトを無駄に混入することとなる上、複合メッキの膜厚のばらつきが大きくなり、時計部品として必要な寸法精度を維持することができない。したがって、複合メッキの膜厚は、5μm以上、30μm以下であることが好適である。
なお、複合メッキを構成する金属メッキは、ニッケルメッキであることが好ましい。この構成によれば、前記膜厚(5μm以上、30μm以下)の複合メッキにおいて、適量のグラファイトをより確実に混入できる。
なお、前記複合メッキの膜厚とは、金属メッキにグラファイトを混入して形成された複合メッキ全体の膜厚であり、金属メッキの表面からグラファイトが突出している場合には、金属メッキの膜厚と、金属メッキ表面からのグラファイトの突出寸法とを足した厚さをいう。なお、金属メッキ表面にグラファイト層が形成されている場合には、金属メッキの膜厚と、グラファイト層の厚さとを足した寸法が複合メッキの膜厚となる。
本発明では、前記摩擦摺動部は、時計用輪列部品のホゾであることが好ましい。
このような構成によれば、時計用輪列部品のホゾは、他の時計部品と回転摺動して時計の指針を運針させる部品であり、時計の通常使用時には一方向に回転摺動しているので、時計部品の中でも特に磨耗しやすい部品であるので本発明が好適である。
本発明の時計は、前述した時計部品を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、前述した時計部品と同様の作用および効果を得ることができる。
[電子制御式機械時計の全体構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る時計100の概略平面図、図2は、時計100の一部断面図である。本実施形態において、時計100は腕時計であり、腕を動かした時の回転錘の回転により発電力を得て、その発電力を二次電池に充電する構造となっている。図1、及び図2において、時計100は、回転錘110と、回転錘110の回転を増速して伝達する増速輪列111と、回転錘110の回転によって発電する発電機120と、発電機120で発生した電力を蓄積する二次電池130と、発電機120で発生した電力または二次電池130の電力で駆動される回路ブロック140とを備えている。これらの構成部品は、時計100のムーブメント200内に配置されている。
回転錘110は、タングステンや金合金等の重金属で構成され、ボールベアリング110A(図2)を介してムーブメント200に対して回転可能に支持され、回転中心と重心とが偏心した略半円形の部材で構成されている。回転錘110には、増速輪列111の一つである歯車112が固定されている。
増速輪列111は、回転錘110に固定された歯車112と、この歯車112に噛合する中間歯車113と、この中間歯車113に噛合するロータカナ114とを備えている。
発電機120は、サマリウムコバルト系材料で構成されるとともに、二極以上に着磁された永久磁石を有するロータ121と、ステータ122と、コイル123とを備えており、ロータ121にはロータカナ114が固定されている。回転錘110が回転すると、この回転運動が歯車112、中間歯車113、及びロータカナ114を介して増速され、ロータ121が回転する。ロータ121が回転すると、ステータ122に磁界の変動が生じ、この磁界の変動によってコイル123に誘導電流が生じる。この誘導電流は二次電池130に蓄電される。
回路ブロック140は、基準クロックを発振する計時用の水晶振動子141や、制御用IC(Integrated Circuit)142等を備えて構成され、時計100における時針や分針などの指針を駆動する指針駆動用モータ(図示省略)とともに、二次電池130に蓄電された電力によって駆動される。
制御用IC142は、図示は省略するが、水晶振動子141の基準クロックを分周する分周回路や、基準クロックをカウントして時刻を計時する計時回路や、計時回路からの信号をもとに指針駆動用モータ(図示省略)を制御する制御回路などを備えて構成されている。
[ロータ121の支持構造]
ロータ121は、図2に示すように、輪列受210と、地板220との間に回転自在に支持されている。具体的には、ロータ121の上下のホゾ部分が輪列受210、及び地板220に組み込まれた各受石で受けられている。
図3は、ロータ121の下部が受石150にて支持される部分の拡大図である。
ロータ121は、ロータ121の下部位置に設けられる下ホゾ124を備える。
受石150は、図3に示すように、ロータ121を回転自在に支持するものであり、中央にホゾ穴151が形成されたルビー等により構成されている。
なお、ロータ121、及び下ホゾ124と、ホゾ穴151との接触面には、時計専用の油が注油されている。
本実施形態では、摩擦摺動部を有する時計部品として前述したロータ121の支持構造を例示して説明する。なお、切替部を有する時計部品としては、例えば、針合わせ機構を構成するオシドリ(図示省略)、及びカンヌキ(図示省略)が例示できる。
図4は、図3に示した摩擦摺動部としてのロータ121、及び下ホゾ124と、ホゾ穴151との接触状態を示す模式図である。
ロータ121、及び下ホゾ124の表面、すなわち、ホゾ穴151との接触面は、図3、及び図4に示すように、複合メッキ160により皮膜されている。この複合メッキ160は、電気メッキ処理により皮膜されたニッケルメッキ161と、ポリアクリル酸等の分散剤を用いることによりニッケルメッキ161の表面にグラファイト162Aが部分的に露出することによって形成されたグラファイト層162とを備える。
したがって、ロータ121、及び下ホゾ124と、ホゾ穴151とは、図4に示すように、グラファイト層162を介して摺動する。
ここで、ニッケルメッキ161は、膜厚が5μm以上、30μm以下となるような成膜条件で皮膜される。
また、グラファイト層162は、直径が40nmである略球状のグラファイト162Aの粒子を含んで形成されている。各グラファイト162Aの粒子はそれぞれ、その全部または一部分がニッケルメッキ161に埋め込まれた状態となっており、グラファイト162Aの粒子のニッケルメッキに埋め込まれていない部分がグラファイト層162を形成している。
なお、図4では、構造を理解し易くするために、ニッケルメッキ161の膜厚に対してグラファイト162Aの大きさを実際よりも大きく誇張して示している。
グラファイト162Aは、ニッケルメッキ161に対する含有量が0.5wt%である。
複合メッキ160の膜厚は、ニッケルメッキ161の膜厚と、グラファイト層162の厚さとを足した寸法とされており、本実施形態では、5μm以上、30μm以下となっている。
ここで、図5は、複合メッキ160とアルミナ球との磨耗試験結果である。
本試験は、ボールオンプレート往復揺動式摩擦摩耗試験機にて測定を行ったものである。本試験における試料としては、メッキ下地板(高炭素鋼材、硬さ:Hv=700、ラップ研磨面:Ra=5nm)に、電気メッキ処理によりメッキ厚を20μmとして複合メッキを皮膜したものを用いている。また、対磨耗物としては、アルミナ(Al)球(硬さ:Hv=1500)を用いている。
本試験における試験条件としては、荷重:200g(30kg/mm2)、ストローク:2Hz(0.5秒/回)、ストローク長さ:10mm、トータル時間:1400秒として行った。本試験において、複合メッキが形成された鋼板にストローク中心で作用する実荷重は100gとなる。なお、この条件にて行った試験は、時計部品におけるロータ121の下ホゾ124と受石150との摺動に換算すれば、2ヶ月間の耐久試験に相当する。
図5は、前述した試験条件の下、縦軸に摩擦係数、横軸にストローク回数をとり、試料の異なる2箇所の接触面において測定を行った測定値を、それぞれグラフA、及びグラフBとして示した図である。なお、いずれの測定箇所においても接触面に注油は行われていない。
グラフA、及びグラフBに示すように、ストローク回数が増加した場合において、いずれの測定箇所であっても略同じ摩擦係数である0.3付近で安定している。
また、図6は、複合メッキの膜厚を変えて、図5と同様のボールオンプレート往復揺動式摩擦摩耗試験機による試験を行った磨耗試験結果である。本試験の試料、対磨耗物、荷重、ストローク等の試験条件は、試料に形成された複合メッキの膜厚を変えていることを除いて図5の試験条件と同様であり、本試験においても、接触面に注油は行われていない。
ここで、複合メッキの膜厚が1μmの場合および3μmの場合の摩擦係数は、0.40〜0.47程度と大きい。これは、複合メッキの膜厚が小さいため、複合メッキにおけるグラファイトの混入量も少ないためと考えられる。これに対して、複合メッキの膜厚が5μmの場合の摩擦係数は、0.30〜0.38程度と小さい。さらに、複合メッキの膜厚が20μmの場合の摩擦係数はより小さく、0.3程度で安定している。
なお、複合メッキの膜厚を30μm超としてグラファイトの混入量を増加させても、摩擦係数が大幅に減少することはなく、そのグラファイトの混入量に応じただけの摩擦低減効果が得られないため、グラファイトを無駄に混入することとなる。従って、複合メッキの膜厚は、5μm以上、30μm以下とすることが好ましい。
本実施形態では、ロータ121及び下ホゾ124の表面に形成された複合メッキ160の膜厚が前述のように5μm以上、30μm以下であることに加えて、時計専用の油が注油されているため、その膜厚に応じて、図6に示した摩擦係数よりも小さな摩擦係数を実現できる。
[実施形態の効果]
本実施形態に係る時計100によれば、次のような効果がある。
(1)ロータ121、及び下ホゾ124の接触面には、電気メッキ処理により複合メッキ160が細かい凹凸を覆うように皮膜されので、無電解メッキ処理により皮膜した場合と比較して複合メッキ160の表面を十分に平滑化することができ、摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
(2)ロータ121、及び下ホゾ124の接触面には、時計専用の油が注油されているので、油の潤滑作用により、さらに摩擦係数を低減させることができる。
(3)ロータ121、及び下ホゾ124の接触面では、使用を重ねるうちに接触面における微小な凸部が削れて略球状のグラファイトが発生し、この略球状のグラファイトが接触面における微小な凹部を埋める。これにより複合メッキ160の表面は、さらに平滑化される。
(4)時計部品の製造時においては、すべり摩擦による摩擦係数が発生しているが、時計部品を使用することにより転がり摩擦による摩擦係数に変化するので、使用を重ねるうちに、さらに摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
(5)複合メッキ160は、金属メッキとしてニッケルメッキ161を選択しているので、電気メッキ処理により容易に時計部品に複合メッキ160を皮膜することができる。また、ニッケル金属で皮膜することにより、時計部品の金属を防錆することができる。
(6)ニッケルメッキ161は、膜厚が5μm以上、30μm以下となるように成膜されるので、ニッケルメッキ161にグラファイト162Aを十分に混入することができ、時計部品として必要な寸法精度を維持することができる。
(7)分散剤を用いることによりグラファイト162Aの粒子が部分的にニッケルメッキ161の表面に露出することでグラファイト層162が形成されるので、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面は、グラファイトの自己潤滑性により、摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
(8)グラファイト162Aは、直径が40nmであるので、グラファイト層162を十分に形成することができ、ニッケルメッキ161にグラファイト162Aを無駄に混入することもない。
(9)グラファイト162Aは、ニッケルメッキ161に対する含有量が0.5wt%であるので、グラファイト層162を十分に形成することができ、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面における耐磨耗性、及び潤滑性を十分に向上させることができ、ニッケルメッキ161にグラファイト162Aを無駄に混入することもない。
(10)時計100は、複合メッキ160が接触面に皮膜されたロータ121、及び下ホゾ124を備えるので、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面における摩擦係数を低減させて耐磨耗性、及び潤滑性を向上させることができる。
(11)複合メッキ160の膜厚が5μm以上、30μm以下のため、ニッケルメッキ161に適切な量のグラファイト162Aが混入され、ロータ121及び下ホゾ124の接触面における摩擦係数がより小さくなる。これにより、グラファイト162Aが無駄に混入されることなく、潤滑性および耐摩耗性をより向上させることができる。
また、複合メッキ160の膜厚が5μm以上、30μm以下であることにより、複合メッキ160の膜厚のばらつきが抑制されるので、時計部品として必要な寸法精度を維持することができる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、摩擦摺動部を有する時計部品としてロータ121の支持構造を例示し、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面に複合メッキ160を皮膜したが、中間歯車113など他の車の支持構造であってもよく、要するに、摩擦摺動部を有する時計部品に複合メッキを皮膜すればよい。さらに、切替部を有する時計部品に複合メッキを皮膜してもよく、例えば、針合わせ機構を構成するオシドリ、及びカンヌキの接触面に
複合メッキを皮膜してもよい。
また、前記実施形態では、金属メッキは、ニッケルメッキ161を選択していたが、他の金属メッキを選択してもよく、さらには、合金メッキなどを選択してもよい。
また、前記実施形態では、複合メッキ160は、膜厚が5μm以上、30μm以下であったが、これ以外の膜厚であってもよく、要するに、摩擦摺動部、または切替部の接触面に複合メッキを皮膜することができればよい。さらに、寸法精度を向上させるために厚く皮膜してから研磨してもよい。
また、前記実施形態では、グラファイト162Aは、直径が10nm以上、100nm以下であったが、これ以外の直径であってもよく、要するに、摩擦摺動部、または切替部の接触面に複合メッキを皮膜することができればよい。
また、前記実施形態では、グラファイト層162は、分散剤を用いることによりニッケルメッキ161の表面にグラファイト162Aの粒子が部分的に露出することで形成されていたが、グラファイト層162は形成されていなくてもよく、要するに、摩擦摺動部、または切替部の接触面に複合メッキを皮膜することができればよい。
また、前記実施形態では、グラファイト162Aは、ニッケルメッキ161に対する含有量が0.5wt%であったが、これ以外の含有量であってもよく、要するに、摩擦摺動部、または切替部の接触面に複合メッキを皮膜することができればよい。
また、前記実施形態では、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面に複合メッキ160を皮膜したが、ホゾ穴151の接触面に複合メッキ160を皮膜してもよい。さらに、ロータ121、及び下ホゾ124の接触面と、ホゾ穴151の接触面との両方に複合メッキ160を皮膜してもよく、この場合には、一方の時計部品の接触面に複合メッキを皮膜した場合と比較して、摩擦摺動部、及び切替部の耐磨耗性、及び潤滑性を、さらに飛躍的に向上させることができる。
本実施形態に係る時計の概略平面図である。 同時計の一部断面図である。 ロータが受石にて支持される部分の拡大図である。 摩擦摺動部を有するロータ、及び下ホゾと、ホゾ穴との接触状態を示す模式図である。 複合メッキとアルミナ球との磨耗試験結果である。 複合メッキの膜厚を変えて実施した磨耗試験結果である。
符号の説明
100…時計、111…増速輪列、121…ロータ、124…下ホゾ、150…受石、151…ホゾ穴、160…複合メッキ、161…ニッケルメッキ、162…グラファイト層、162A…グラファイト。

Claims (8)

  1. 他の時計部品と接触して摺動する摩擦摺動部、または時計の動作に応じて他の時計部品との接触状態を切り替える切替部を有する時計部品であって、
    前記摩擦摺動部、または前記切替部の接触面には、金属メッキにグラファイトを混入した複合メッキが皮膜され、
    前記複合メッキは、電気メッキ処理により皮膜されることを特徴とする時計部品。
  2. 請求項1に記載の時計部品において、
    前記金属メッキは、ニッケルメッキであることを特徴とする時計部品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の時計部品において、
    前記複合メッキは、分散剤を用いて皮膜され、
    前記グラファイトの各粒子はそれぞれ、前記金属メッキに全部または一部分が埋め込まれ、前記グラファイトの各粒子の前記金属メッキに埋め込まれていない部分が前記金属メッキの表面に露出して層状に形成されることを特徴とする時計部品。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の時計部品において、
    前記グラファイトは、直径が10nm以上、100nm以下であることを特徴とする時計部品。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の時計部品において、
    前記グラファイトは、前記金属メッキに対する含有量が0.01wt%以上、1wt%以下であることを特徴とする時計部品。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の時計部品において、
    前記複合メッキの膜厚は、5μm以上、30μm以下であることを特徴とする時計部品。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の時計部品において、
    前記摩擦摺動部は、時計用輪列部品のホゾであることを特徴とする時計部品。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の時計部品を備えることを特徴とする時計。
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