JP2008164029A - 駆動用ローラチェーン - Google Patents

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Abstract

【課題】リンクプレートの形状を最適化して重量の最小化を図り、軽量の駆動用ローラチェーンを提供する。
【解決手段】外プレート4が、1対のリンクピン孔の間に形成されたほぼ矩形の外窓11を有し、内プレート7が、1対のブッシュ孔5の間に形成されたほぼ矩形の内窓10を有している。外窓および内窓の隅には丸みがとってある。外プレート4および内プレート7は、長さ方向両端部の円弧部分と円弧部分から長さ方向中央に、かつ外プレートおよび内プレートの幅方向外側に略直線的に向かう辺42,72とから形成されている。辺42,72は、外プレート7の円弧部分41,71の端部接線方向に対して内側に向かうように設定されている。外プレートおよび内プレートは、高炭素クロム軸受鋼にオーステンパ処理を施した。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動用ローラチェーンに関し、特に、軽量化と高強度化を図るのに好適な駆動用ローラチェーンに関する。
従来、高強度の駆動用ローラチェーンを軽量化する試みがなされている。例えば、特開2006−064049号公報には、リンクピンのピン孔から先端側の外形が、ピン孔の中心から見て中心線から45°の方向で最大となるように一様に滑らかに膨出させたリンクプレートを有するローラチェーンが記載されている。このローラチェーンのリンクプレートによれば、重量の増大を少なくして強度を増大させることができる。
また、特開平4−210144号公報には、荷重に対する変形量をリンクプレートと同じにすることによってリンクピンにかかる応力を低減することができるサイレントチェーンのガイドリンクプレートが記載されている。このガイドリンクプレートには、リンクピンを通すピン孔以外に開口またはスリットが形成されている。
また、駆動用ローラチェーンのプレート材料として、価格と性能バランスの観点からクロムモリブデン鋼や炭素鋼を採用し、これらを成型後、焼き入れ・焼き戻し、またはマルクェンチ等の熱処理を施して使用することがなされていた。
さらに、駆動用ローラチェーンを軽量化するためには、ローラチェーンを構成するプレート材料の種類を他に求めることも検討されている。例えば、特開2003−301888号公報には、インナーリンクプレートを、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼、高炭素クロム軸受鋼および合金工具鋼の一種に対して熱硬化処理を施したものを基材として構成したサイレントチェーンが開示されている。また、特開2004−292930号公報には、熱処理後の耐衝撃性や耐摩耗性に優れ、使用中に水素に起因する粒界割れが発生しにくい高靱性鋼板として、炭素量を低くしたチェーンプレート用鋼板が開示されている。
特開2006−064049号公報 特開平4−210144号公報 特開2003−301888号公報 特開2004−292930号公報
大きい駆動力を伝達するときの塑性変形を小さく(つまり伸びを小さく)するには、特許文献1に記載されたローラチェーンのように、その程度が小さいというものの、膨出部を形成することになるので、重量の軽減は困難であった。一方、特許文献2に記載されたサイレントチェーンでは、開口やスリットがあるのである程度の軽量化は望める。しかし、変形量をリンクプレートと同じにするようにガイドリンクプレートの形状が決定されているだけであり、強度を維持して荷重に対する変形を抑えつつ、併せて軽量化を図るという点では満足のいく形状を提供していない。
また、高強度化と軽量化のために特許文献3,4に記載されたような材料を使用した場合、価格と要求性能とのバランスつまりコストパフォーマンスがよいとはいえず、熱処理等によるさらなる改善が重要な課題となっている。
本発明の目的は、荷重に対する十分な強度を有していながら、軽量化を図ることができる駆動用ローラチェーンを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、過共析組成を有する炭素鋼からなるリンクプレートを備え、前記リンクプレートがオーステンパ処理されている点に第1の特徴がある。
また、本発明は、前記炭素鋼が、高炭素クロム軸受鋼である点に第2の特徴がある。
また、本発明は、前記オーステンパリング処理が、前記リンクプレートをオーステナイト化温度以上の焼き入れ温度に加熱し、170℃〜210℃の高温冷却媒体で予定時間保持する処理である点に第3の特徴がある。
また、本発明は、前記高温冷却媒体での保持時間が、10〜24時間である点に第4の特徴がある。
さらに、本発明は、第1〜第4の特徴に加え、前記リンクプレートが、一対のリンクピン孔を有する外リンクプレートと、一対のブッシュ孔を有する内リンクプレートとからなり、前記内リンクプレートのブッシュ孔に両端が嵌合されたブッシュと該ブッシュに挿通され両端が前記リンクピン孔に嵌合されたリンクピンとで前記外リンクプレートおよび内リンクプレートを互いに連結してなり、前記外リンクプレートが、前記1対のリンクピン孔の間に形成された外窓を有し、前記内リンクプレートが、前記1対のブッシュ孔の間に形成された内窓を有している点に第5の特徴がある。
第1〜第5の特徴によれば、高硬度、高強度のリンクプレートを有する駆動用ローラチェーンが得られるので、リンクプレートを小さくでき、駆動用ローラチェーンの軽量化が可能である。
特に、オーステンパ処理によって容易にベイナイト組織を得ることができるとともに、残留オーステナイトの粒界を強化して耐遅れ破壊性を高めることができる。
また、第5の特徴によれば、外リンクプレートおよび内リンクプレートに窓が開けられていることによって、第1〜第4の特徴と協働して駆動用ローラチェーンのより一層の軽量化が図られる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図3は本発明の一実施形態に係る駆動用ローラチェーンの要部斜視図、図4は同上面図である。この駆動用ローラチェーンは、例えば、自動二輪車においてエンジンの出力を駆動輪に伝達するために用いられる。駆動ローラチェーン1は、内リンク2と外リンク3とを順次連結して必要な長さのものに形成される。内リンク2は一対の内リンクプレート(以下、単に「内プレート」という)4と該内プレート4に形成されたブッシュ孔5に嵌挿されるブッシュ6とからなる。一方、外リンク3は一対の外リンクプレート(以下、単に「外プレート」という)7と該外プレート7に形成されたピン孔8に嵌挿されるリンクピン9とからなる。
内プレート4には、2個一対のブッシュ孔5の他に、該ブッシュ孔5間に位置する矩形の開口(以下、「内窓」という)10を有する。同様に、外プレート7には、2個一対のピン孔8の他に、該ピン孔8間に位置する矩形の開口(以下、「外窓」という)11を有する。
組み立て時、内プレート4のブッシュ孔5にブッシュ6を嵌挿して内リンク2を形成する。また、1枚の外プレート7のピン孔8にリンクピン9の一端を嵌挿しておく。次いで、内リンク2の一側面に外プレート7に嵌挿されたリンクピン9の先端をあてがい、リンクピン9をブッシュ6内に挿通遊嵌させる。そして、ブッシュ6を貫通させて反対側に突出させたこのリンクピン9の他端をもう1枚の外プレート7のピン孔8に嵌挿する。このようにして1組の駆動用ローラチェーン1が組み立てられる。
なお、ブッシュ6はブッシュ孔5に所定の締め代で塑性域圧入され、ローラピン9はピン孔8に所定の締め代で塑性域圧入される。また、上記組み立て順序は一例であり、種々変形できる。
内プレート4および外プレート7の形状をさらに説明する。図1は内プレート4の正面図、図2は外プレート7の正面図であり、いずれも1/4モデルで表示している。つまり内プレート4および外プレートはその長さ方向および幅方向のいずれにおいても対称形状をなしている。
図1から分かるように、内窓10は内プレート4の長さ方向(ブッシュ孔5,5をつなぐ線方向)に直交する方向(つまり幅方向)での寸法h1がブッシュ孔5の直径d1とほぼ同一である。
同様に、図2において、外窓11は外プレート7の長さ方向(ピン孔8,8をつなぐ線方向)に直交する方向(つまり幅方向)での寸法h2がピン孔8の直径d2とほぼ同一である。
また、内プレート4および外プレート7は、それぞれの長さ方向両端を形成している部分円41,71の円弧角α1,α2は、従来の内プレートや外プレートの円弧角より小さく設定されている。比較のため、図中に鎖線で従来の内プレートと外プレートの外形と端部円弧角(符号α1−0,α2−0を付している)とを示す。つまり、本実施形態の内プレート4および外プレート7は、従来、大きく設定されていた端部部分円の面積を小さくする一方、内プレート4および外プレート7の幅方向の外形部分(辺)42,72をほぼ直線的に形成して端部部分円の接線方向Tより内側に延長されるように設定している。
なお、外プレート4の辺42は内プレート7の辺72よりやや直線度を緩めて弧を描いている。これは、外プレート7の場合、端部円弧部分から辺42を直線的に伸ばすと、ブッシュ孔5の縁と辺42との間が短くなりすぎて、十分な荷重を伝達することができないからである。辺42を少し外側に膨らますことで耐荷重を十分なものにしている。辺42を辺72と同様の直線的にするためには、円弧角α1を円弧角α2より少し大きめに設定すればよい。こうすることによって、ブッシュ孔5と辺42の縁との距離を大きく確保することができる。
内窓10および外窓11は矩形に限らず、図2に示すように外プレート7や内プレート4の長さ方向中央部でやや幅を絞った形状としてもよい。また、内窓10や外窓11の隅は応力集中を回避できるように丸みをつける(いわゆるrをとる)のがよい。
このように、本実施形態の駆動用ローラチェーン1は、内プレート4および外プレート7に内窓10および外窓11をそれぞれ設けるとともに、端部部分円41,71を、その円弧角が小さいものにして面積を減らしているので、従来品と比較して大幅な軽量化が図られている。例えば、図1,図2に示したものでは、約23%の軽量化が図られている。
次に、上記軽量化された内プレート4および外プレート7の形状決定に至る手順を説明する。図5は、形状決定の手順を示すフローチャートである。この形状決定手順には、位相最適化、形状最適化、および応力比較を含んでいる。
まずステップS1では、設計変数を外プレートの1/4モデルの全域におけるメッシュ密度、目的関数を重量最小化、制約条件を剛性同等として位相最適化を行う。
位相最適化は、密度法を採用して行った。密度法では、外プレート7の材料の縦弾性係数Eが密度ρのN乗に比例する(E=ρNE0)と仮定して、各メッシュの密度比を設計変数として最適位相を求める。E0は設定した縦弾性係数である。各メッシュの密度ρを0.0〜1.0で変化させることによって、位相最適化の計算で使われる縦弾性係数Eが0.0〜E0に変動する。最適化計算では、モデル12の全域の各メッシュを設計変数とし、この設計変数が、剛性を初期形状と同等とする制約条件を満たしながら、目的関数としての重量の最小化を実現するために繰り返し計算を行って最適解を求める。最適解を求めるための有限要素解析ソフトや有限要素モデル作成プログラム等は既存のものを使用することができる。
図6は、位相最適化対象としてのローラチェーンモデルのメッシュデータを示す図である。有限要素モデル12は、従来のローラチェーンに用いられている外プレートの1/4モデルである。解析は、モデル12の対称境界13を拘束し、ピン孔8に対して矢印15方向に作用する荷重Pを与えて行った。なお、分割メッシュは図示を省略している。
図6の濃淡模様は位相最適化計算による最適解としての歪みエネルギー分布を示す。模様の濃い部分が薄い部分より歪みエネルギーが大きい領域であり、この領域では外プレートが仕事をしてより大きい力を伝達する。つまり、ローラチェーンの外プレートとしては、濃度の高い部分がエネルギー伝達のために重要な部分であり、濃度の低い部分はさほど重要でない部分と判断できる。特に、モデル12のうち、白抜きで表している領域16,17,18等はローラチェーンの外プレートとしてはほとんど重要性はなく、削除可能と考えられる。
図5のステップS2では、形状トポロジーの決定を行う。ステップS2では、位相最適化で得られた重要部分とそうでない部分とに基づいて、外プレート7の望ましい形状を抽出する。つまり、図6の模様の濃淡から判断できる歪みエネルギーを分担できる最適な形状を解析者が判断して、手作業で制御点を決定する。
図7は、決定された形状のトポロジーを示す図であり、符号18は制御点を示す。つまり、図6に示した濃度の高い部分を含む領域を特徴点としての制御点18によって定義し、外プレート7の形状を決定している。ピン孔8の形状は半径で定義される。
形状のトポロジーが決定されたならば、ステップS3で形状最適化を行う。ステップS2では、外プレート7の特徴点を決定しただけであるので、ステップS3では、これに寸法を与える計算を行う。計算は、形状最適化のための既存のプログラムを使用する。形状最適化では、目的関数は重量最小化、設計変数は制御点の移動量、制約条件は剛性同等である。図8は、形状最適化されて制御点が移動した結果のメッシュデータを示す図である。
図5のステップS4では、ステップS1〜S3で形状を決定した外プレート7と、従来形状の外プレートとのCAEによる応力比較を行う。応力の評価はミーゼス応力を計算して行った。ミーゼス応力の計算は汎用の構造解析プログラムによって実行することができる。なお、応力の評価は、ミーゼス応力の計算によって行うものに限定されない。
図9は、従来の外プレートのミーゼス応力、図10は本実施形態の上記手順で決定された外プレート7のミーゼス応力をそれぞれ示す図である。これらの図において、応力の大きい部分20,21は、いずれもピン孔8の周辺近くにあって、外プレート7の外窓11を除いた領域に分布している。これから分かるように、本実施形態の外プレート7は従来の外プレートにおいて応力の小さい部分を削除し、応力の大きい部分は残した形状になっている。つまり、本実施形態の外プレート7は従来品の無駄な部分を削除したものに対応し、位相最適化および形状最適化手法により、重量最小化が達成されている。
なお、計算による応力解析と併せて、従来品の外プレートのピン孔に外プレートの長手外周方向へ荷重をかけて引張り試験を行い、ピン孔周りの4か所で応力−歪み線図を作成した。その結果、応力の増大に伴うピン孔周辺で外プレートの長さ方向の歪みは極めて小さく、この部分が剛性に関して無駄な領域であることが分かった。この結果は、上述のミーゼス応力の分布と符合する。
上述の位相最適化、形状最適化並びに応力比較、引張り試験等により、最適に軽量化された外プレート7の形状が決定され、内プレート4の形状も同様の手法で決定することができる。
続いて、上記外プレート7および内プレート4の材料について説明する。外プレート7および内プレート4等の材料つまりプレート材料としては、高炭素クロム軸受鋼(SUJ)を用いた。鋼炭素クロム軸受鋼は、クロムを例えば0.9〜1.6%含む、高炭素(例えばC:0.95〜1.10重量%)の過共析鋼であり、焼き入れ性を高めるため、さらにモリブデンを含むこともある。
この高炭素クロム軸受鋼を素材とし、外プレートおよび内プレートを成形した後、次の熱処理を施し、仕上げ処理をして成品とする。熱処理はロックウェル硬度(HRC)60以上のベイナイト組織を得ることを目標として熱処理温度や保持時間等の条件を決定した。図11は、プレート材料の一例であるSUJ2の化学成分の一例を示す図である。
図11に示したプレート材料の熱処理後の硬度を測定した結果を図12〜図14に示す。熱処理は、焼き入れ温度に加熱したプレート材料(SUJ2)を高温冷却媒体に焼き入れして恒温変態を完了させるオーステンパ処理を適用する。焼き入れ温度、恒温冷却媒体の温度(以下、「焼き戻し温度」という)、および保持時間を決定するため、これらのパラメータを変化させて硬度を測定した。
図12は、焼き入れ温度と硬度との関係を示す図である。この例では、焼き戻し温度200℃、保持時間24時間としている。図示のように焼き入れ温度は高いほど硬度が上がっており、特に焼き入れ温度850℃以上で目的の硬度60以上が得られている。
図13は、焼き戻し温度と硬度との関係を示す図である。この例では、焼き入れ温度865℃、焼き戻し温度での保持時間は24時間である。図示のように焼き戻し温度が210℃以上では、硬度が急激に低下する。そして、焼き戻し温度が210℃以下では、目的の硬度60以上が得られている。
図14は、焼き戻し温度保持時間と硬度との関係を示す図である。この例では、焼き入れ温度865℃、焼き戻し温度200℃である。図示のように、焼き戻し温度での保持時間が長くなると硬度は増大していく傾向にあり、保持時間10時間以上で、目的硬度60以上が得られている。焼き戻し温度で長時間保持するほど、完全ベイナイト化され、硬度の低い残留オーステナイトも少なくなる。保持時間24時間で硬度は62に達している。
これらの硬度測定結果から、ロックウェル硬度60以上を得るためには、焼き入れ温度は組織がオーステナイト化する温度である850℃以上、焼き戻し温度170℃〜210℃、焼き戻し温度での保持時間は10〜24時間とした。なお、焼き入れ温度は、高すぎると結晶粒子が過大となるので、890℃を上限とするのがよい。また、焼き戻し温度が低すぎると急冷され、結晶粒子が大きいままとなるので、硬度60以上が確保されている170℃を下限とした。
図12〜図14に示す硬度測定結果に基づき、プレート材料を焼き入れ温度890℃、865℃、焼き戻し温度210℃、焼き入れ温度保持時間24時間でオーステンパリング処理したプレート材料の引張試験を行った。比較のため従来使用材料(SCM435)の引張試験結果も合わせて示す。図15は、引張験結果を示す図であり、図16は応力歪み線図である。
図15,図16に示すように、引張強さは、従来材料と比べて(SCM比)132〜153%であり、硬度は、従来材料が48.5であるのに対して60以上である。高強度化、高硬度化に伴い、延びも小さくなり、駆動ローラチェーンに適した性能になっている。
高炭素クロム軸受鋼を上記熱処理条件でオーステンパ処理を行ったプレート材料は、駆動ローラチェーンに必要な高強度、高硬度、低伸びの各性能を併せ持つ好適な材料であり、これらの性能により、上記形状最適化によって決定されたリンクプレートを、さらに厚さを薄くするなどしてより軽量化することができる。
このように本実施形態によれば、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)を使用し、これをオーステンパリング処理することにより、組織をベイナイト化・炭化物微細粒化することで、耐遅れ破壊性を確保可能な限界水素量を増大できる。
なお、本実施形態では、一例として図11に示す成分の材料を選択しているが、本発明は、この材料に限定されず、炭素を0.85%以上含む過共析鋼であって、耐遅れ破壊特性を確保するためP(リン)やS(硫黄)を極力低減したものであればよい。一般的に高温焼き戻しにより残留オーステナイトが多くなり硬度が低下することから、PやSを低減することにより、残留オーステナイト粒界の強化を図ることができるからである。例えば、PやSの低い工具用炭素鋼を上記熱処理条件でオーステンパリング処理してもよい。
本発明の一実施形態に係る駆動用ローラチェーンを構成する内リンクプレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係る駆動用ローラチェーンを構成する外リンクプレートの正面図である。 本発明の一実施形態に係る駆動用ローラチェーンの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る駆動用ローラチェーンの上面図である。 外リンクプレートの形状決定手順のフローチャートである。 位相最適化対象としてのローラチェーンモデルに係る歪みエネルギーのメッシュデータを示す図である。 形状のトポロジーを示す図である。 形状最適化されて制御点が移動した結果のメッシュデータを示す図である。 従来の外プレートのミーゼス応力を示す図である。 本実施形態の手順で決定された外プレートのミーゼス応力を示す図である。 外プレートおよび内プレートの材料の一例である高炭素クロム軸受鋼の成分の一例を示す図である。 焼き入れ温度と硬度との関係を示す図である。 焼き戻し温度と硬度との関係を示す図である。 焼き戻し温度保持時間と硬度との関係を示す図である。 引張試験結果を示す図である。 引張り試験結果に基づく応力歪み線図である。
符号の説明
1…駆動用ローラチェーン、 2…内リンク、 3…外リンク、 4…内プレート、 5…ブッシュ孔、 6…ブッシュ、 7…外プレート、 8…ピン孔、 9…リンクピン、 10…内窓、 11…外窓、

Claims (5)

  1. 過共析組成を有する炭素鋼からなるリンクプレートを備え、
    前記リンクプレートがオーステンパ処理されていることを特徴とする駆動用ローラチェーン。
  2. 前記炭素鋼が、高炭素クロム軸受鋼であることを特徴とする請求項1記載の駆動用ローラチェーン。
  3. 前記オーステンパリング処理が、前記リンクプレートをオーステナイト化温度以上の焼き入れ温度に加熱し、170℃〜210℃の高温冷却媒体で予定時間保持する処理であることを特徴とする請求項1または2記載の駆動用ローラチェーン。
  4. 前記高温冷却媒体での保持時間が、10〜24時間であることを特徴とする請求項3記載の駆動用ローラチェーン。
  5. 前記リンクプレートが、一対のリンクピン孔を有する外リンクプレートと、一対のブッシュ孔を有する内リンクプレートとからなり、前記内リンクプレートのブッシュ孔に両端が嵌合されたブッシュと該ブッシュに挿通され両端が前記リンクピン孔に嵌合されたリンクピンとで前記外リンクプレートおよび内リンクプレートを互いに連結してなる駆動用ローラチェーンにおいて、
    前記外リンクプレートが、前記1対のリンクピン孔の間に形成された外窓を有し、
    前記内リンクプレートが、前記1対のブッシュ孔の間に形成された内窓を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の駆動用ローラチェーン。
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